サンフランシスコに本部を持つ米国の環境NGO RAINFOREST ACTION NETWORKの日本代表部です

2016, 6月の記事一覧

ペプシコ社とインドフード社の児童労働、低賃金、労働搾取との関連を報告

巨大食品企業ペプシコとインドフードが児童労働、低賃金、労働者搾取と結びついていると、新レポートで報告

2016年6月8日(水)

インドフード社所有のパーム油農園に関する現地調査でインドネシアの悪質な労働権侵害が明らかに

 

連絡先: Emma Rae Lierley, +1.425.281.1989, Emma@ran.org

                 Abby McGill, +1.202.347.4100 ext. 113, abby@ilrf.org

            Herwin Nasution, buruhkelapasawit@gmail.com

 サンフランシスコ - レインフォレスト・アクション・ネットワーク(RAN)、インドネシア労働者の権利擁護団体(OPPUK)、国際労働権フォーラム(ILRF)による本日公開の「紛争パーム油のヒューマン・コスト(人々の損失):インドフード社、ペプシコ社のインドネシアの労働者搾取との隠されたつながり」と題された新しいレポートは、インドネシアの食品大手企業でありペプシコブランドのスナック生産者であるインドフード(Indofood)社が所有し運営する2つのパーム油プランテーション農園で行われた現地調査と労働者へのインタビューによる調査結果を明らかにしています。

調査結果の中でも、とりわけ、児童労働、労働者に危険性の高い殺虫剤を扱わせていること、最低賃金未満の支払い、中心的な業務に臨時労働者を長期就業させていること、独立した労働組合活動を阻止するための会社が支援する労働組合の利用ら全てが、インドフード社との合弁提携を通じてペプシコ社と結びついている大規模農園について記述されています。

「簡単に言えば、このレポートで明らかにしたは、ペプシコ社の監視のもとで、インドフード社がそのパーム油大規模農園での労働者の基本的権利を侵害していること。両社はインドフード社の大規模農園での明らかとなったひどい労働者搾取に対処するために即座に行動しなければならない」。RANのシニア・キャンペーナーであるロビン・アバーベックは述べています。

「これらの労働者は、パーム油に支配される世界に住んでいる。大規模農園は、全方向に何マイルも伸びており、そしてインドフードの子会社ロンドンスマトラ社は、その労働者の生活についてほぼ完全な支配力を持っている。女性は十分な常勤雇用はほとんどされず、非常に危険な農薬を使う最も毒性の高い仕事の一部を割り当てられている。常勤の職種は比較的非常に少なく、収穫作業もそうした常勤でない仕事の一つで、わずかばかりの基本給-大幅に生活賃金を下回る額-を獲得するために妻や子供の助けまで求めなければならない厳しい歩合制度の下で苦しんでいる。自分の家族の生計を助けるために、子どもたちは学校に行かなくなり子供時代を失い、パーム油の木の列の中で働く。これは、労働者の権利がほとんど尊重されていない憂慮すべき虐待のシステムである。」 とアバーベックは述べています。

インドフード社-世界最大のパーム油生産者の一つ、インドネシアで最大の食品会社、およびインドネシアのペプシコ製品の唯一のメーカー-は同業他社に後れを取っています。インドフード社は現在、責任あるパーム油のための新たなベンチマーク-森林破壊せず、泥炭地への拡大せず、自社と第三者のサプライヤーによる労働者の権利や人権侵害せずという誓約-と整合を取るために、方針を強化したり、その操業内容を改善していないインドネシア最大の民間パーム油会社です。

ペプシコ社は、同様に同業者の間でかなり出遅れていますが、2015年9月に更新したパーム油方針を発表しましたが、合弁相手のインドフード社についてはパーム油方針の原則を遵守する必要はないとした。このペプシコ社のパーム油方針と実施の努力が不十分であったことから、世界中の何千もの消費者がペプシコ社への圧力を増幅させ、パーム油の労働者との連帯して、同社が迅速かつ意味のある行動を取ることを要求しています。

「ペプシコ社は、そのサプライチェーンにおける人権侵害に対処するための大胆な行動を取る必要がある。真剣な責任あるパーム油に関する誓約は、世界最大のパーム油生産国でありパーム油大規模農園の拡大による熱帯林破壊や人権侵害の影響を最も深刻に受けている国であるインドネシアを含める必要がある。本レポートに詳述されたインドフード農園での悪質な状況を考慮して、ペプシコ社は改善する必要がある。」とILRFの法務・政策ディレクターのエリック・ゴットバルトは述べています。

「このようにこの国における主要な雇用者であるので、地理的に隔離されていることから特有の増幅するリスクに直面しているパーム油プランテーション労働者を保護するために、インドネシア政府は特定の労働法を制定すべきである。具体的には、最もリスクにさらされ最も保護されていない労働者-おそらく極端に高い仕事の割当てと非倫理的低賃金の下で最も苦しんでいる女性労働者や児童労働者 –に緊急の注意が払われる必要がある。」とOPPUKの事務局長アーウィン・ナスティオンは述べています。

インドフード社とペプシコ社は、本レポートの公開に先立って、このレポートの主要な調査結果に応答する機会を与えられました。それらの応答は、報告書の7ページに記載されています。

ペプシコ社への紛争パーム油使用の影響への対処のための消費者からの継続的圧力については ran.org/solidarity をご覧下さい(英語のみ)。世界中の30以上の組織が、パーム油労働者と連帯するための、そして、労働者の権利を擁護し早急に真に責任あるパーム油方針を実行に移すことをインドフード社に求めることをペプシコに対して要求する努力を支援してきました。

インドフード社、ペプシコ社、パーム油の労働権侵害に関するメディア用説明資料のダウンロードはこちら

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全報告書のダウンロードはこちら

10社のコーポレートガバナンス・コード報告を調査、サステナビリティ-報告の改善を提言

連絡先: (日本) 川上豊幸toyo@ran.org
(米国) Laurel Sutherlin, laurel@ran.org

株主に警告するレポートを発表:
日本の大手企業、サステナビリティ遵守状況を適切に伝えず。

日本のコーポレートガバナンス・コードの一周年記念日(6月1日)に、
レインフォレスト・アクション・ネットワークは、透明性と監視にむけた進展を欠いていることを明らかに

東京 -昨年6月の日本でのコーポレートガバナンス・コード(以下本コード)の導入は、より大きな透明性と監視に向けて日本企業を開放していく手助けをする上で大きな一歩として歓迎された。しかし、レインフォレスト・アクション・ネットワーク(RAN)が本日発表した新しいレポートでは、本コードは取締役会の独立性などのガバナンス問題に関するいくつかの肯定的な影響を与えているように見える一方で、透明性と、サステナビリティの課題を企業の事業運営に統合していく点での改善については同様の効果があるとはいえない、と述べている。

「このRANのレポートで述べた調査結果は、サステナビリティーの問題に関する実施状況について、体系的に誤って企業が伝えているか、真のサステナビリティー報告と企業の社会的責任(CSR)についての表面的な記述との違いについての根本的な理解ができていないことを示唆しています。」とRAN日本代表の川上豊幸は述べている。また「日本のコーポレートガバナンス・コードが、企業のサステナビリティの達成状態に関心を持つ株主から信頼を得るには、本コードのサステナビリティ報告義務の総点検、指導、それに遵守状況の監視が緊急に必要です。」と述べている。

本コード実施の初年度の企業の遵守状況を掲載した最近の東京証券取引所の報告書によると、99%以上の企業が本コードのサステナビリティーとステークホルダーの規定を実施していると自己申告している。

「SHAREHOLDERS BEWARE -株主の皆様、要注意。:コーポレートガバナンス・コード報告において、日本の大企業はサステナビリティー報告がいかに適切にできていないか」と題された本レポートにおいて、RANは熱帯林の破壊リスクに直接関係していることが知られている10社の大企業のコーポレートガバナンス・コード報告書を評価することにより、これら企業の主張を検証した。
企業は一般的なサステナビリティーの問題を認識していることを報告しているものの、熱帯林破壊への直接的な関連により、直面する環境・社会的リスク要因を特定した企業はほとんどなく、そして、これらの問題に実質的に対処する方法を示す企業は皆無であることが、本レポートにより判明した。全ての事例で、企業は今起きている重大な環境的・社会的な紛争に関係していることも判明した。

「サプライチェーンと投資の関係を含め、事業運営に関連する明確かつ正確なサステナビリティー情報の提供は、企業の投資可能性を評価する重要な部分です。」とRANのトム・ピケンは述べている。「このような情報を省略したり、隠蔽したりすることは、企業が負の環境的・社会的影響に関連することで、投資家に不測の損害を発生させる可能性があり、このことは次にはブランドの評判失墜、サプライヤーとの契約解消、法的措置による生産停止へつながる可能性があるのです。」

RANのレポートは、本コードにおいてサステナビリティーとステークホルダーに関する項目の基準とガイドラインが強化されること、そして、企業の報告書をもっと積極的に金融庁の遵守モニタリング対象とすることを提言している。また、本レポートでは主要なステークホルダーグループの中でも特に地域住民の権利を尊重し守るとともに、熱帯林リスク商品に関係しているすべての企業による協調した行動が、これらの脅威にさらされた固有の生態系の保護や保全を進めるために不可欠であると結論付けている。
レポートをご覧下さい : Shareholders Beware-株主の皆様、要注意。:コーポレートガバナンス・コード報告において、日本の大企業はサステナビリティー報告がいかに適切にできていないか
Read the report: Shareholders beware: How major Japanese companies are misreporting sustainability under the Corporate Governance Code (English)