サンフランシスコに本部を持つ米国の環境NGO RAINFOREST ACTION NETWORKの日本代表部です

熱帯林の破壊及び人権侵害の疑い 緊急の調査を要請 新国立競技場建設で

2017年4月20日

熱帯林の破壊及び人権侵害につながる疑いのある合板の使用について

緊急の調査を要請 新国立競技場建設で

日本及び国際環境団体は本日、持続可能な 2020 年東京オリンピックへのコミットメントに対する 深刻な違反であるとして、東京の新国立競技場の建設における、悪評高いマレーシアの伐採企業 であるシンヤン社製と考えられる熱帯材合板型枠の使用について緊急に調査するよう要請した。

国際オリンピック委員会(IOC)及び東京 2020 大会関係者は、オリンピック関連の建設事業にお いて違法かつ持続不可能な木材が使用されるリスクが高いことに対し、繰り返し情報提供を受け てきた[1]。昨年 12 月の新国立競技場の建設着工の数日前には、40 を超える環境団体が IOC に対し、 オリンピック関連の建設事業で使用される木材が合法かつ持続可能なものであることを確保する ための東京 2020 大会関係者及び日本政府による取り組みが適切でないと警告する書簡を送付した [2]。NGO は、オリンピックで使用される木材について強固なデューデリジェンスを義務付けるこ とでリスクを直ちに軽減しなければ、生物多様性、気候変動、地域コミュニティに悪影響を与え ることになると主張してきた。

4 月 3 日、競技場の建設現場において、シンヤン社のものであると思われる表示の付いた熱帯合板 がコンクリート型枠に使われていることが調査担当者によって判明した(添付写真(a)、(b)参照)。 表示は、シンヤン社製合板として日本国内で販売されているものに非常に類似している(添付写 真(c)参照)。4 月 18 日にも熱帯合板型枠の使用が確認されている。

シンヤン社は、違法伐採が横行し、森林破壊が世界で最も深刻な場所の一つであるマレーシア・ サラワク州の「6 大」伐採企業の一つとして知られている。同社は、「ハート・オブ・ボルネオ」 と呼ばれる、国境をまたがる保全地域における広範囲を含む原生林を組織的に伐採している。 2016 年には、一日当たりサッカーコート 40 個分以上に当たる面積の手付かずの雨林を皆伐したこ とが明らかになっている[3]。地元コミュニティ及び同社の元社員は、自社の利益に反する懸念を 表明したり、行動を起こす者に対して恐喝や襲撃をするために、同社が武装した犯罪組織を雇っ ていると主張している。また、同社は森林に対する慣習上の権利を主張する先住民族の人々に影響を及ぼすような人権侵害にも関与している[4]。建設現場で見られた「E パネル」と表示されて いるからといって、必ずしも環境面での持続可能性や人権侵害とは関わりのないことを保証する ものではない。

「シンヤン社はサラワクの熱帯林で最も悪名高い開発企業の一つであり、この企業からの合板は いかなる持続可能性基準をも満たしてはいない。シンヤン社の合板を使用することは、持続可能 なオリンピックを開催するという日本のコミットメントに対して明らかな違反である」と Markets for Change のペグ・パットは述べた。

「シンヤン社の木材製品を使用することは、立場の弱い先住民族であるペナンやイバンの人々か ら慣習的権利や生計手段、文化的慣行を奪うことになる」とSarawak Dayak Iban Associationのニコ ラス・ムジャは述べた。

さらに懸念されるのは、大会組織委員会が環境面の持続可能性及び人権に関する基準からコンク リート合板型枠を免除するという抜け穴を認めていることである[5]。適用される方針は、合法性 について極めて弱い規定である「グリーン購入法」で、この規定のもとでは違法性の高い木材が 合法な木材として日本に輸入されてしまっていると、これまで繰り返し批判されている[6]。

「国立競技場は日本政府が建設する建造物であり、国の威信を示す場所でなければならない。し かし、オリンピック関連の建設において弱い環境・社会基準が適用され、不正企業からの木材を 使用しているという予備的証拠を考えると、オリンピック及び日本にとっての不祥事なりかねな いと懸念する」と国際環境 NGO FoE Japan の三柴淳一は述べた。さらに三柴は「この証拠により、 大会関係者が大会のための木材をどのように調達しているかを緊急に調査すること、そして木材 が合法、持続可能で、人権侵害に関わっていないか確保するための強力な対策を即時に採用する ことが求められる」と述べた。

環境団体は、日本のオリンピック関係者に対して説明及び信頼のおける環境監査のできる第三者 による公開調査の実施を求めている。ここで提示された問題が解決されない限り、建設現場でこれ以上熱帯合板が使われてはならないと環境団体は要請する。

このプレスリリースのPDF版は、こちらからダウンロードできす。

新国立競技場建設現場で使われているシンヤン社製合板の写真はこちらからダウン ロードできます。

注: [1] 例えば以下を参照:グローバル・ウィットネス「衝突する二つの世界(Two Worlds Collide)」(2014年1 2月)https://www.globalwitness.org/olympics/、グローバル・ウィットネス「マレーシアの熱帯林破壊と 日本:持続可能な2020年オリンピック東京大会へのリスク(Japan’s links to rainforest destruction)」(2015年1 2月)、https://www.globalwitness.org/ru/reports/shinyang/

[2] https://www.fairwood.jp/news/pr_ev/2016/161206_pr_ngoletterIOC.html

[3] グローバル・ウィットネス、「マレーシアの熱帯林破壊と日本:持続可能な2020年オリンピック東京大 会へのリスク(Japan’s links to rainforest destruction)」

[4] マレーシア人権委員会(SUHAKAM)報告書「Report On Penan In Ulu Belaga: Right To Land And Socio- Econo mic Development」http://www.suhakam.org.my/wp-content/uploads/2014/01/PS08_Pem.Tanah_ecosoc090108.pdf

[5] 公益財団法人東京オリンピック・パラリンピック競技大会組織委員会、持続可能性に配慮した木材の調 達基準 英語版:https://tokyo2020.jp/en/games/sustainability/data/sus-wcode-timber-EN.pdf 日本語版:h ttps://tokyo2020.jp/jp/games/sustainability/data/sus-wcode-timber-JP.pdf

[6] Mari Momii, チャタム・ハウス, 「Trade in Illegal Timber: The Response in Japan,」(2014年11月) https://w ww.chathamhouse.org/publication/trade-illegal-timber-response-japan