サンフランシスコに本部を持つ米国の環境NGO RAINFOREST ACTION NETWORKの日本代表部です

プレスリリース:インドネシア木材合法性証明制度の抜け穴で、林産物製品の顧客は重大な危機に(2015/4/23)

国際的な購入企業と税関当局のための新たなレポートは、合法性検査システムはインドネシアの国内法および国際人権法を満たしているという十分な保証を与えていないことを指摘、追加的なデューデリジェンスが必要

カリフォルニア州サンフランシスコ – インドネシアの林産物製品の監査と認証システムは、依然として合法性を確保するには不適切であると、レポート「偽りの保証(FALSE ASSURANCES)」は指摘。レポートは、これら不十分な点に、どのように取り組んでシステムを改善し得るかを、具体的に勧告。

地域の法的権利を侵すことを避けたいと願う購入企業、輸入製品の合法性法制の実施を担当する関係当局は、製品がインドネシアの法律に適合していることの保証として、この検証システムにのみ頼ることを控えるべきである。

Indonesian Timber Legality Verification System、またはSistem Verifikasi Legalitas Kayu (SVLK) として知られているインドネシア木材合法性証明制度は、インドネシアの林業部門に規制を設けるための認証制度として設置された。しかし、レポートは、インドネシアの林産物企業がコミュニティの法的権利を守っていることを購入企業が確信するには、たとえ当該製品がSVLKで「合法性」や「持続可能性」といった認証を受けていても、製品の原料調達について、厳格かつ、さらに踏み込んだデューデリジェンス(詳細確認調査)がさらに必要だとしている。

レポートは、SVLKの監査基準の抜け穴と基準適用における脆弱さのために、国内に蔓延する汚職行為やコミュニティの法的権利の侵害に対して適切な防止措置を講じることに失敗していると指摘する。一例として、SVLK基準はコミュニティの権利を非常に軽視しており、たとえ監査で企業がコミュニティの権利に関する法的義務に全て違反していることが明らかになったとしても、「持続可能」と認定される可能性がある。さらに、SVLKの監査は書類による「机上の審査」に偏重しており、実際の企業の実施状況を査定するための現地での抜き打ち審査を必要としていない。このような方法で、企業がたとえ人権を侵害していたとしても、合法かつ、「持続可能」の認証を受けることになると、レポートは指摘している。

「コミュニティの法的権利の重大な侵害に関わっていたにもかかわらず、その林産物製品を合法と認証することは、コミュニティの虐待に加担し、購入企業に林産物製品に関するリスクの誤認につながる。理にかなわないうわべだけの偽の合法性と持続可能性は、先に述べたような企業のマーケットシェアを伸ばしかねない。購入企業にとって必要なのは、さらに踏み込んだデューデリジェンスを行うことと、サプライヤーおよびインドネシア政府に実施状況の改善、すなわちSVLK基準とその適用の改善に従事させることであり、それがコミュニティの権利が尊重、強化されることにつながる」と、レインフォレスト・アクション・ネットワークのラフカディオ・コルテシは述べた。

レポートは、林産物製品の購入企業と投資家が、生産企業と自国の政府およびインドネシア政府に、コミュニティの法的権利や人権がサプライチェーンの合法性の重要な一部分であること、コミュニティの権利が尊重されていることを確実に保証するもとなるようSVLKが強化されるべきであると、伝えるよう勧告している。さらにレポートは、購入企業がEU政府に対して、SVLK認証の弱点に対して対策が講じられるまでは、SVLK認証の貨物に対する「グリーン・レーン(green lane)」の適用を控えるよう働きかけることを求めている。また、購入企業と投資家が、グリーン購入法をさらに明確化かつ強化して、SVLKの弱点に対して対策が講じられるまでは、SVLKを適切な合法性の保証として受け入れないよう、日本政府に対して働きかけることもレポートでは勧告している。

詳細はレポート「False Assuarance: A Briefing for International Buyers and Customs Authorities on How Indonesia’s Timber Legalty Verification system Fails to Protect Community Rights 」(英文)をご覧ください。

お問い合わせ:Emma Lierley TEL:425-281-1989 Emma@ran.org (プレスリリース英語原文

※当初、本プレスリリースでレポート名称を「誤った保証」としておりましたが、正しくは「偽りの保証」でした。