サンフランシスコに本部を持つ米国の環境NGO RAINFOREST ACTION NETWORKの日本代表部です

アジア・パルプ&ペーパー(APP)が問題のない企業となるまでには長い道のり

 緊急リリース(仮訳)

  201624

連絡先: Emma Rae Lierley, Emma@ran.org, 425.281.1989

成果の欠落、環境破壊、紛争、不透明な企業ガバナンス

-精査と独立した進捗検証が必要

サンフランシスコ- 2月4日 紙・パルプの巨大企業アジア・パルプ&ペーパー (APP)は、改善された森林・泥炭地管理、土地紛争、社会問題、景観の保全修 復の進捗 状況を述べた前向きで画期的な森林保全方針(FCP)を出してから3周年を迎えた。 しかし、地域社会、森林・泥炭地や森林ガバナンスのための現場で改善された成 果は見られず、転換し報酬を得るのに値するとAPPが語っていることは誤っている。

RANのアジア部長であるラフカディオ・コルテシ氏は述べている。「2015年にもさまざまな事件が起こり現在も土地紛争が続いていることから、同社が被害の 歴史を改善して問題の無い業者となるためには、中長期的な時間軸での努力が必要だ。長い道のりになるだろう」 。

2015年には以下のようなことが起こった。

•   2015年2月、APPの子会社ウィラカルヤ・サクティ(PT WKS)との土地紛争に関与していた22歳のコミュニティのリーダーと農民組合の主宰インドラ・ペラ ニ氏は、ジャンビ州の会社の警備員によって拘束され殴り殺された。

• 数ヶ月後、制御不可となった有毒な煙と煙霧は、公衆衛生の危機を引き起こし、インドネシアと地域全体の壊滅的な社会的、経済的影響を与えた。火災管理 の法 的義務にもかかわらず、APPおよび供給業者の開発事業権付与地域内では他 の企業やグループよりもはるかに多くの火災が発生しており、政府、市民社 会、シンガポールのスーパーマーケットによる法的措置やボイコットの対象となった。

・8月に、APP社はリアウ州と南スマトラ州において回復のために泥炭地7000haを保持する立派な約束を行った。11月に4000以上のダム建設を報告したが、それはAPP社が保有している泥炭地の1%以下でしかない。

「先住民族や地域社会の土地を十分に認識しなかったこと、そしてその境界を定めることに失敗したことにより、APPはその開発事業権付与地域で社会的対立と不 平等という遺産を引き続き有している。2015年のレインフォレスト・アライアンスによってその約束の実現に関する同社の進捗 が評価されたが、そこで彼らの 開発事業権付与地域では数百の紛争があることが判明した。」

「APPは、紛争の一覧表を作り分類し優先順位を決定するシステムを開発した。そしてそれらを解決するための行動計画を策定し実行するためにコ ンサルタント と共に仕事を進めている。しかしこのシステムの信憑性と有効性には疑問が残る。」

「APPは行動計画の内容を開示しておらず、また、そのような計画ではコミュニティの選出された代表者がその開発に関与すること、またコミュニ ティが独立 した情報や専門家の法務、財務、および他のアドバイスを容易に得られる状態であることが提案されたがそれらには応えていない。このシステムが、紛争解決につながっているかどうかはまだ不明である。そして第三者の調停や市民社会が関与している紛争解決のほんの一握りのケー スにおいてすら苦情が提出されて おり多数の不規則行為が明らかになっている。」

「これらの懸念にもかかわらず、APPは、オキ・ミル・コンプレックス-南スマト ラにあり世界最大級の一つとされる-と共にその紙パルプ生産能力を拡大している。APPが、現在の操業が直面している多くの課題に取り組む前に、また紙パルプ増産のために長期的に十分な木材供給ができることを明らかにする前に増産計画を進めようとしていることは重大な懸念である。」

「これらの出来事と判明した事実は、同社が、社会的・環境的に責任を持てる企業になることはもちろん、問題のない企業になるまでには長い道のりがあることを示している。」

「第三者が企業の実績について独立した結果重視の評価基準を設定すること、そしてこれら評価基準を用いた独立のモニタリング・検証プロセスを確立し実施することが緊急に必要である。」