サンフランシスコに本部を持つ米国の環境NGO RAINFOREST ACTION NETWORKの日本代表部です

メディア掲載:オルタナで「ルーセル・エコシステム」調査事例が言及されました

オルタナ「花王が小規模パーム農園の生産支援、インドネシアで」(2020年10月14日)〜RANのインドネシアでの調査事例が言及されました。

「花王は10月14日、インドネシアの小規模パーム農園の生産性を向上させ、RSPO(持続可能なパーム油の生産と利用を促進するための円卓会議)認証取得を支援するプログラム「SMILE」を発表した。現地で油脂製品製造・販売を手掛けるアピカルグループ、農園会社アジアンアグリと協働で実施する」>>続きを読む

**関連するRANのプレスリリース**

プレスリリース「花王と三菱UFJ、インドネシア『ルーセル・エコシステム』森林破壊に加担 〜取引先 RGEグループが森林破壊企業からパーム油調達〜」(2020/9/29)

ルーセル・エコシステムで造成作業をする掘削機、インドネシア ・アチェ州、2020年6月10日

プレスリリース:花王と三菱UFJ、インドネシア「ルーセル・エコシステム」森林破壊に加担 (2020/9/29)

取引先 RGEグループが森林破壊企業からパーム油調達

環境NGOレインフォレスト・アクション・ネットワーク(本部:米国サンフランシスコ、日本代表部:東京都渋谷区、以下RAN)は、インドネシアで現地調査を実施し、スマトラ島の貴重な熱帯低地林「ルーセル・エコシステム」での森林破壊に、花王と三菱UFJフィナンシャル・グループ(MUFG)が加担していることを明らかにしました注1)。「ルーセル・エコシステム」はアジア最大の熱帯林の一つで、絶滅危惧種のスマトラゾウ、サイ、オランウータン、トラが共存する、地球で最後の場所です。

ルーセル・エコシステムで造成作業をする掘削機、インドネシア ・アチェ州、2020年6月10日

本調査では、花王のパーム油サプライチェーンにある搾油工場が、「ルーセル・エコシステム」で森林破壊を起こしている生産者から調達していることが明らかになりました。同搾油工場は、花王が合弁事業をもつアピカルの子会社のパーム油精製工場にも供給しています。アピカルは複合企業ロイヤル・ゴールデン・イーグル(RGE)グループのパーム油子会社で、RGEグループはMUFGの顧客企業です。この生産者はこの地域で事業を行う企業で最も悪質な一社で、同社の皆伐率は過去半年で3倍になり、新型コロナウイルスの発生以来、同地域で急増する森林減少の証拠を示しています。

RGEグループ子会社のアピカルは、国内日用品・化粧品大手の花王と合弁会社を持っています注2)。花王は「森林破壊ゼロ」方針を日本で初めて採用し、国内の消費財メーカーでは先駆者的な存在と見なされています。花王はパーム油調達先の搾油工場リスト(2019年版)を公開しましたが(注3)、上記搾油工場の PT. SS が含まれ、同搾油工場から調達している可能性があります。花王がサプライチェーン全体で「森林破壊ゼロ」方針をしっかりと実施するためには、取引関係の見直しを含む迅速な対応が必要です。

また、不二製油と親会社の伊藤忠グループの搾油工場リストにもPT. SSが含まれていることから、日清食品を含む日本企業でも国内および海外での製造に問題あるパーム油が使われているリスクがあります。日清食品は、持続可能なパーム油調達で遅れを見せていましたが、今年8月に「森林破壊禁止・泥炭地開発禁止・搾取禁止方針」への支持を表明したばかりです(注4)。花王およびMUFGとともに日清食品は、RANが2020年から開始した「キープ・フォレスト・スタンディング:森林と森の民の人権を守ろう」キャンペーンで注力している日本企業です(注5)。

RGEグループは、多国籍銀行から紙パルプ事業に2017年から2020年4月の期間で26億米ドル近くの融資を受け、そのうち18億ドルが同グループの紙パルプ企業であるエイプリル社に向けられました。MUFGはRGEグループへの最大の貸し手の一つです。MUFGは国連「責任銀行原則」(PRI)の署名銀行(注6)で、かつ、持続可能なパーム油への資金提供についての方針を制定しているにもかかわらず、同グループに7件の融資をしています。

レインフォレスト・アクション・ネットワーク日本代表の川上豊幸は「日本の消費財企業や銀行の評判は、RGEグループとの提携や取引によって、深刻なリスクにさらされています。 花王、日清食品、三菱UFJは、RGEグループの『森林破壊禁止・泥炭地開発禁止・搾取禁止方針』の遵守が確実になるまで、グループ企業や関連会社、合弁会社からの原料調達の停止と、同様に資金提供を停止する必要があります」と訴えました。

RGEグループは、インドネシアの「タイクーン」(大物実業家)であるスカント・タノトが設立した企業グループです。 子会社が管理するアブラヤシ農園とパルプ材植林地造成のために広大な地域を大々的に開発してきたことから、長年にわたって森林破壊との関わりが指摘されてきました。本調査で判明したアピカル社と「ルーセル・エコシステム」の森林破壊とのつながりは、同グループがグローバル・サプライチェーンで「森林破壊禁止・泥炭地開発禁止・搾取禁止」(NDPE)基準を遵守できなかった一例にすぎません。このような問題が繰り返し起きるのは、RGEグループが方針を遵守していないにも関わらず、顧客企業や合弁事業パートナーが取引を続け、金融機関が資金提供を続けている実態があります。同グループが方針を強化して生産および調達を実践するまで、上記企業は取引を停止することが必要です。

さらに、同グループ紙パルプ部門のエイプリル社が保有するパルプ材植林地だけでも、500以上の地域コミュニティに悪影響を及ぼしています。今も 100を超える地域コミュニティが同グループや調達企業と対立中、あるいは対立したことがあります。例えば、先住民族のバタク族が先祖代々の土地としてきた北スマトラのトバ湖地域では、20以上の地域コミュニティで3,000以上の家族が、トバ・パルプ・レスタリのパルプ事業で被害を受けています。上記のコミュニティの多くは土地を取り戻すための抗議を続け、森林と慣習的に利用している土地は2万5千ヘクタールにもおよびます。

【調査結果】
●RANの現地調査員は、RGEグループのパーム油精製所が、問題ある生産者からのパーム油を、PT. Syaukath Sejahtera(PT. SS)という搾油工場経由で購入していることを突き止めた。この問題ある生産者PT. Tualang Raya(PT. TR)は、ルーセル・エコシステムで事業を行う企業でも最も悪質な一社で、同社の皆伐率は過去半年で3倍になった。

●2020年6月、PT. TRの事業許可地に掘削機が見つかり、同社がルーセル・エコシステムで土地を造成していたことの証拠となった。調査員はまた、同社の事業許可地で栽培され収穫されたアブラヤシの実がPT. SSの運営する搾油工場に輸送されるのを目撃した。

●調査により、PT. TRからパーム油を調達しているPT. SSの搾油工場は、アピカルの子会社であるPT. Sari Dumai Sejati Tangki Timbun が操業する精製所のサプライヤーであるという証拠が示された。 アピカルは、RGEグループのパーム油企業の1社である。

注1)RAN報告書(英語)「Royal Golden Eagle Group Links Global Brands and Financiers to Deforestation In the Leuser Ecosystem」、2020年9月21日
https://www.ran.org/leuser-watch/group-links-global-brands-and-financiers-to-deforestation-in-the-leuser/

注2)アピカル「サステナビリティレポート 2018」(英語)

注3) 花王「2019年の進捗:「持続可能なパーム油」の調達ガイドラインの進捗 目標1」(2020年9月21日閲覧)

注4) RANプレスリリース「日清食品、パーム油調達で森林破壊・泥炭地開発・搾取ゼロを約束〜「正しい方向への一歩」と歓迎、ただし達成目標2030年度では遅すぎる〜」、2020年8月20日

注5) RANプレスリリース「2020新キャンペーン開始!『キープ・フォレスト・スタンディング:森林と森の民の人権を守ろう』〜17社の消費財ブランド&銀行を対象〜」、2020年4月1日

注6)国連「責任銀行原則」(PRI)の署名銀行(英語)

【10月13日追記】

●訂正:「花王は2019年、パーム油調達先の搾油工場リストを公開」とありましたが、正しくは「パーム油調達先の搾油工場リスト(2019年版)を公開」でした。

●「注3」に閲覧日を追加しました。

本件に関するお問い合わせ先
広報:関本 Email: yuki.sekimoto@ran.org