人権

森林保護、気候変動とのたたかい、そして人権擁護は、全てつながっている

世界中で、黒人、褐色人種、先住民族のコミュニティは、化石燃料産業や農産業から最も大きな影響を受けてきました。土地収奪、資源採掘、大気・水質汚染、労働違反は、企業が地域コミュニティに与える環境と人権への影響のほんの一部に過ぎません。人種的正義と環境正義は表裏一体です。

米国では、深刻な汚染を引き起こしている大手公害企業が、黒人や褐色人種コミュニティの多い地域に化学工場や石油・ガス精製所などを構えています。この一帯では、地域の汚染が引き起こしているとみられるがんや喘息の症例が、異常に高い割合で報告されており、人々の健康が深刻な危険にさらされています。

また、ガスや石油のパイプラインが、先住民族の土地に彼らの同意なしに建設されています。地域には、パイプライン建設のために大勢の男性労働者が押し寄せ、「男のキャンプ(man camps)」として知られる仮設住宅施設がたくさん設置されています。これにともない、先住民族の若い女性が行方不明になったり、殺害されたりする事件が多発しています。さらに、パイプラインからの石油やガス漏れによって、飲料水や食糧が有害物質に汚染される恐れがあります。

インドネシアでは、パーム油の原料であるアブラヤシを栽培する大規模農園(プランテーション)開発のために、コミュニティの土地が同意なしに奪われ、破壊されています。大規模農園で働く労働者たちは、強制労働や搾取、虐待などの問題に直面し、その労働者の配偶者や子どもたちも、発言すれば暴力を振るわれるとおびえながら、有害な環境下で無償で働かされています。

アマゾンでは、化石燃料企業が先住民族を土地から追い出し、西洋の感染症にさらし、彼らが飲んだり釣りをしたりする水域に有毒な石油を流出させています。アマゾンで採掘されたその石油は、米国に到着し、カリフォルニア州リッチモンドや「がん回廊(Cancer Allay)」として知られるロサンゼルスのサンガブリエルのような黒人コミュニティに所在する石油精製所で加工されています。

そしてアマゾン、インドネシア、コンゴの熱帯林では、大規模な農業産業(アグリビジネス)のための農園などの開発目的で、意図的な火入れが行われ、森林火災が起きています。これにより、地域コミュニティは住んでいた森から追われ、家屋や生計は破壊され、先住民族は西洋の感染症や新型コロナ感染症にさらされています。

環境正義は必要不可欠なもの

森林破壊、気候変動、そして構造的な人種差別の最前線にいるのは、これらの人々です。破壊的なビジネスを行う企業が引き起こす環境汚染の影響を最も大きく受け、それに伴う人権侵害に苦しんでいるのは、これらの地域コミュニティです。

平等、公平、基本的権利の尊重が全ての人に保証されて初めて、熱帯林と地球気候の保全が保証されます。

人権と環境正義を同時に求めることで、より安全な労働や生活を確かなものにすることができます。そして地域コミュニティの土地への権利が強化され、環境汚染が減少し、先住民族が熱帯林を守ってきた、古くから伝わる知恵や経験から恩恵を受けることができます。そのようにして、公正で公平、経済的に実現可能で気候が安定した未来を築くことができるのです。

コミュニティをサポートしよう

森林・気候破壊企業の虚偽と不正と収奪

企業が最終収益を優先すればするほど、その代償として生態系が破壊され、無数の生物種が生息地を失い、全世界的な気候変動を悪化させます。甚大な被害を受けるのは、人間も例外ではありません。

世界中で、有名な大手消費財企業や銀行、保険会社が、地域コミュニティや先住民族の権利や健康を無視した事業に加担しています。

例えばアマゾンの先住民族は、世界最大の資産運用会社であるブラックロックの脅威にさらされています。同社は、人権や先住民族・地域コミュニティの権利に取り組むための実践的な方針を持たず、土地収奪や人権侵害につながる事業に拍車をかけています。

インドネシアでは、スマトラ島の熱帯林の農民や、森林破壊の最前線にいる指導者たちが、巨大な紙パルプ企業の大規模植林地の拡大や人権侵害とたたかっています。紙パルプ企業らは長年にわたり、暴力と脅迫により、地域コミュニティに先祖伝来の土地を放棄するよう強要するなど地域の歴史や文化、暮らしを踏みにじってきました。

北米では、地域住民や環境保護団体が反対しているにもかかわらず、メキシコ湾岸でLNG(液化天然ガス)輸出施設の集中が進んでいます。LNGの主成分は温室効果ガスのメタンで、20年間で二酸化炭素(CO2)の80倍の温室効果があります。日本の大手銀行は米テキサス州のリオ・グランデLNG輸出基地に融資しています。もし建設されれば、先住民族の権利を侵害し、地域住民の健康、絶滅危惧種に危害を与える可能性があります。

大企業は利益を追求するなかで、牛肉、アブラヤシ、大豆などの産品を生産するために、先住民族から土地を奪い、保護されてきた森や土地を破壊しています。また、大気や水源を汚染して、そこに住む人びとに甚大な被害を及ぼしているのです。(写真: Khairul Abdi / RAN)

森林破壊の最前線にいるリーダーの声を強め、持続的な解決策をつくる。

人種的正義や人権の尊重なくして、環境正義は成り立ちません。そして私たちの活動は、地域コミュニティとパートナーシップを結び、地域コミュニティのリーダーシップを尊重することで、最大の効果を発揮します。だからこそ私たちは、「コミュニティ・グラント(助成金)」という直接的な支援を提供し、最前線のコミュニティや先住民族コミュニティと連帯しています。

先住民族や最前線のコミュニティは、地球規模の気候変動や、山頂除去採掘(MTR)方式の石炭採掘のような破壊的で侵略的な採掘産業、大規模アブラヤシ農園の拡大などによって、健康、生活、文化に多大な負の影響を受け、不均等な形で被害が集中しています。

日々、環境の影響と向き合い、多くの負担を強いられているこれらのコミュニティは何が脅威なのかを理解しています。国際的な組織として、RANは現地の草の根運動をできる限り支援し、資金を提供し、その力を強化させるよう努めています。