三菱UFJは「化石燃料ファイナンス大賞 世界ワースト2位」NGOが株主総会で表彰?! 署名も開始〜アジア各地でも同時アクション〜(2026/08/12)

2026年7月以降、日本では気温40度を超える地域が出ています。最大震度7の地震が7月28日に発生した熊本でも観測史上初の酷暑が記録され、被災地に追い討ちをかける深刻な状況が続いています。
こうした気候変動の要因は石炭・石油、ガスなどの「化石燃料」の使用による温室効果ガスの影響だと指摘されてきました。そのような状況でも化石燃料が使われ続けているのは、世界の大手銀行による資金提供が止まらないことも一つの要因です。
日本のメガバンクの一つ、三菱UFJフィナンシャル・グループ(MUFG)もまた、化石燃料企業への資金提供を増加させている一行です。その合計金額(2021-2025年)は、なんと世界2位。このような資金提供は、地球温暖化を1.5度に抑えるという世界が約束したパリ協定の目標と逆行しています。
6月26日、RANは都内で開催されたMUFGの株主総会に株主として出席しました。当日は総会での質問に加え、気候変動を加速させる化石燃料産業や人権侵害、森林破壊を行う事業者への資金提供の停止を求め、会場入りする株主にスピーチやチラシ配布を実施しました。
MUFGは化石燃料ファイナンスで世界ワースト2位!
会場前では、集まった環境NGOとともに「化石燃料ファイナンス大賞 世界ワースト2位」と書かれた”表彰スタイル”のバナーを掲げ、 MUFGの資金提供が気候変動の加速に加担していることを株主に問題提起しました。今月9日に発表した「化石燃料ファイナンス報告書2026」によると、化石燃料企業へのMUFGの2021年から2025年の資金提供額は世界の大手銀行65行中2位と明らかになったためです。
会場周辺では超小型電気自動車の移動広告が走行し、搭載したスピーカーからは、多額の化石燃料への融資と、米国における液化天然ガス(LNG)事業による先住民族の権利侵害などの悪影響を伝えました。会場へ向かう人の中には移動広告やスピーチの様子の写真を撮るなど、興味を示してくれた方もいらっしゃいました。



先住民族の権利侵害について質問。MUFGの回答は?
株主総会では、 先住民族の権利侵害が発生している資金提供例を挙げ、MUFGの方針や国際基準の違反が繰り返される原因と、その防止策についてRANから質問しました。
これらの質問の背景には、MUFGの資金提供先の一つである米国リオ・グランデLNG輸出基地事業があります。

2024年10月、日本の金融機関にLNG事業からの撤退を求めるため米国テキサス州リオ・グランデ・バレー地域のコミュニティ代表団が来日。記者会見も行った(詳細はこちら)
MUFGは、国際基準である「赤道原則」を採択しています。赤道原則とは、金融機関が大規模事業に融資する際の環境・社会リスクを評価・管理するための自主ガイドラインです。原則が適用されるプロジェクトでは、先住民族に対する十分な情報提供をおこなった上での協議と参画プロセスを必要としています。また、「赤道原則」が参照する「IFC パフォーマンススタンダード」は、先住民族の伝統的な土地に影響を与えるプロジェクトについて、先住民族が自由意思に基づき、事前に十分な情報を与えられた上で同意する権利・通称FPIC(エフピック)の取得を事業者に確認すると定めています。さらに自社方針でも、資金提供する際に特に留意すべき事業の一つに「先住民族の地域社会へ負の影響を与える事業」を挙げ、「(顧客企業による)環境・社会配慮が、予想されるリスクまたは影響に比べて十分とは言えない場合には、ファイナンスを実行しません」と明言しています。
しかし、リオ・グランデLNG事業を進める事業者のネクスト・ディケイドは、同事業の開発について地域の先住民族であるカリゾ・コメクルド族との十分な対話を行っていません。加えてネクスト・ディケイドは彼らからFPICを取得せずに建設作業を進め、カリゾ・コメクルド族の聖地や地下に眠る歴史遺産の破壊が懸念されています。こうした状況から、MUFGによる同事業への資金提供は「赤道原則」および同社グループの先住民族の権利に関する方針不遵守の可能性があることをRANは指摘してきました。
株主総会でのRANの質問に対し、グループCRO(最高リスク管理責任者)の役員は「今はLNG事業(への資金提供等)をやめることは考えていない。先住民族の権利については、IFCパフォーマンススタンダードなどの国際基準を見ている」という趣旨の説明をしました。この回答を聞いて私たちは、「リオ・グランデLNGへの融資が自社方針や国際基準に違反しているとMUFGが認識していないのではないか?」という懸念を抱かざるを得ませんでした。
アジア各地でも抗議の声が
MUFGの株主総会当日は、東京だけでなくフィリピンのマニラ、バングラデシュのダッカ、そしてインドネシアのジャカルタでもMUFGを含む日本の3メガバンクが化石燃料産業へ資金提供を行なっていることに対し、抗議デモが行われました。
参加したコミュニティの一つ、フィリピン、バタンガスの草の根団体のジョセフ・ヴァルガス氏は「東京で暮らす経営者たちが銀行の過去最高の利益を誇っている一方で、私たちの地域社会は有害なリスクにさらされています。私たちは、自分たちの住む場所が企業の貸借対照表のための『犠牲地帯』になることを決して許すことはできません」と訴えました。

同日にフィリピン・マニラでは、化石燃料への資金提供停止を求める署名が、三菱UFJ銀行のマニラ支店に提出されました。
LNGは液化天然ガスと呼ばれ、温室効果ガス(GHG)の排出量が低い「移行燃料」とも呼ばれています。しかし、LNGの主成分はメタンです。大気中に放出されてから最初の20年間で二酸化炭素の80倍を超える温暖化作用を持っています。
米国のメキシコ湾岸やフィリピンなどLNG輸出・輸入基地周辺で暮らす地域コミュニティや先住民族の人々は、文化や歴史、そして生活環境をも脅かされています。
RANでは、MUFGの株主総会に合わせてオンライン署名「三菱UFJさん、米国リオ・グランデLNGへの資金提供はもうやめて!」を開始しました。英語の署名はすでに約28,000筆も集まっています。誰かが犠牲になることなく、住みよい気候で安心して暮らせる社会と地球のために、一緒に声を上げましょう!
(写真:©︎ RAN / Masaya Noda)



