サンフランシスコに本部を持つ米国の環境NGO RAINFOREST ACTION NETWORKの日本代表部です

インドネシア「ルーセル・エコシステム」をまもる

インドネシアのルーセル・エコシステム(Leuser Ecosystem)は、インドネシア・スマトラ島のアチェ州と北スマトラ州に位置する260万ヘクタールの熱帯低地林です。世界クラスの生物多様性のホットスポットで、科学的に記録されている最も古く、生命豊かな生態系の一つです。

約260万ヘクタールの広大な地域に、絶滅危惧種のスマトラゾウ、サイ、オランウータン、トラが共存する地球上で最後の場所です。

しかし、ルーセル・エコシステムは危機に瀕しています。インドネシアの国家法の下では保護対象であるにもかかわらず、パーム油、パルプ、紙のための植林や、道路、エネルギー事業、違法伐採、密猟、鉱山業が、生態系全体と森に依存して暮らす人々の食料や水、生活を脅かしています。

「ルーセル・エコシステム」とは?

ルーセル・エコシステムは、105種以上の哺乳類、382種の鳥類、95種の爬虫類と両生類の生息地で、これほど多くの野生生物が今も繁栄する最後の生息地の一つです。しかし今、森林破壊によってルーセル・エコシステムの野生生物は絶滅の危機に瀕しています。この生態系は、多くの象徴的な野生生物種にとって生き残るための「最後の砦」であり、森林を守るための努力が必要とされる大きな理由です。

ルーセル・エコシステムは、何百万もの人々に食料と水を提供しています。何世代もの人々が数千年にわたって、生物多様性豊かなこの森に依存して暮らしてきました。それは先住民族の人々が彼らの慣習的な土地として暮らしてきたからです。先住民族コミュニティや、アチェおよび北スマトラの多くの地域コミュニティは、ルーセル・エコシステムの素晴らしい森林、泥炭地、自然の川、低山帯環境の完全性を守るため、1世紀以上にわたってたたかってきました。

森林破壊は壊滅的な鉄砲水を起こして近隣の地域コミュニティを脅かしています。これは人為的災害で「紛争パーム油」のために森林が伐採された地域では一般的になっています。

またルーセル・エコシステムは森林と泥炭地に大量の炭素を貯留し、地球の気候を調整するという重要な役割も果たしています。森林や泥炭地が伐採そして排水され、火をつけられると、数千年にもわたって貯留されていた炭素が大気中に放出されてしまいます。森林火災がひどい年には、西ヨーロッパ全体の化石燃料が排出する二酸化炭素の量に相当すると推定されています。

「ルーセル・エコシステム」が破壊される理由

大企業ーーよく知られる世界的な消費財企業や銀行ーーは、パーム油などの産品のためにルーセル・エコシステムの破壊を促進しています。パーム油はシャンプーやローション、シリアル、麺類、クラッカー、キャンディー、クッキーなどあらゆるものに原料として使用されています。パーム油は安価なためファストフードにも使われ、ルーセル・エコシステムに、そして野生生物と、生きるために森に依存して暮らす人々に、長期にわたって大きな損害を与えています。企業の利益は、インドネシアの熱帯林に自然のまま残る森林と泥炭地の破壊(ブルドーザーで壊され火がつけられる)に直接つながっているのです。

森林破壊を加速させている消費財企業と銀行は、世界中に顧客をもつグローバル企業です。いま、人々の意見を聞く必要があります。

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地上に残された貴重な森「ルーセル・エコシステム」