サンフランシスコに本部を持つ米国の環境NGO RAINFOREST ACTION NETWORKの日本代表部です

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プレスリリース:紙パルプ調達方針実施に積極的な企業ランキング発表『紙の約束を超えて』(2018/6/14)

〜オフィス用品・出版社・ファッション企業13社を評価 アスクルは最下位グループに~

サンフランシスコ発ーー環境NGOレインフォレスト・アクション・ネットワーク(本部:米国サンフランシスコ、日本代表部:東京都新宿区、以下RAN)は、本日14日(現地13日)、オフィス用品企業、出版社、ファッション企業13社を対象に、紙パルプ調達方針の実施状況を評価した新報告書『紙の約束を超えて』(”Beyond Paper Promises” 、注1、2)を発表しました。調査の結果、13社全てが調達方針を定めているにも関わらず、ほとんどの企業で具体的な取り組みが進んでいない現状が明らかになりました。日本企業ではアスクルとリコーが対象で、アスクルは各項目で評価は低く、高リスクなサプライヤーから紙の調達も続けており、最下位グループ「要緊急改善」となりました。

紙パルプ調達方針実施に積極的な企業ランキング

  • 「トップリーダー」(1社):スカラスティック
  • 「リーダー」(3社):エル・ブランズ、マクミラン、アシェット
  • 「要改善」(6社):ディズニー、ハーパーコリンズ、ラルフローレン、ステープルズ、リコー、アバクロンビー&フィッチ
  • 「要緊急改善」(3社):アスクル、オフィスデポ、ペンギン・ランダムハウス (注2)

本調査は、2018年2月から3月にかけて、調査票を送付し、返送を依頼する形で実施しました。採点方法は100点満点とし、特別加点として「アドボカシー」を加えた、以下の6項目で評価しました。
※各社の実際の点数は公表していません。

A)調達方針(20点)
B)実施計画(15点)
C)効果的な実施体制(20点)
D)サプライチェーンの追跡可能性、評価、行動(30点)
E)検証、モニタリング および報告(15点)
F)アドボカシー(責任ある調達の推進活動、特別加点10点)

各グループの特徴は以下の通りです。

  • トップリーダー、リーダー:自社の調達方針が、現地で実際に変化をもたらすよう、以下の積極的な措置を講じている。
    • 天然林由来の原料の使用を中止している
    • 報告システムや苦情処理手続きを開発している(有効性は未確認)
    • 持続可能性に関わる人員と体制への投資を増やしている、など
  •  要改善:取り組みの改善は必要だが、明らかに前進を示している。
  • 要緊急改善:調達方針で約束していることを現地での改善につなげていく努力が遅く、緊急に措置を講じる必要がある。

RAN森林シニアキャンペーナー ブリアナラ・モーガンは「企業が調達方針での約束を守らない結果として、森林や森林から生活の糧を得ている人々が被害を直接受けています。先住民族や地域住民は、既存の産業植林事業や植林地拡大のために土地や森林を失い続け、 基本的人権が尊重されていません。手付かずだった森林は伐採され、炭素を多く含む泥炭地が燃やされ、環境面での被害も深刻です」と批判しました。

また、RAN日本代表の川上豊幸は「アスクルは、高リスクのサプライヤーであるAPP社(Asian Pulp & Paper)から今も大量の用紙を調達しています。国際的な森林認証制度である『PEFC認証』を得ていたとしても、問題は山積みしているのが現状で、これらの問題を知りながら長年にわたって購入を継続しているアスクルの責任は重いものです。APP社が現地コミュニティの人権を尊重して社会的紛争を解決し、救済措置を講じるよう、購入停止も含めた影響力の行使がアスクルには求められています」と訴えました。

インドネシアの森林は、世界でも重要な生物多様性を誇り、気候変動の緩和においても重要です。同国における高い森林減少率、森林セクターでの大きな温室効果ガス排出、及び人権侵害は、主に産業植林などの大規模なプランテーション開発で引き起こされています。RANは対象企業に、期限付きの測定可能な改善目標を定め、進捗状況を監視して適切な処置を講じ、企業間でベストプラクティスを共有することなどを提言しています。

注1)『紙の約束を超えて』(”Beyond Paper Promises” レポート全文、英語)

注2)『「紙の約束を超えて」ブリーフィングペーパー』(日本語)

注3)業種別対象企業:オフィス用品企業(アスクル、リコー、ステープルズ、オフィスデポ)、出版社(スカラスティック、エル・ブランズ、マクミラン、アシェット、ディズニー、ハーパーコリンズ、ペンギン・ランダムハウス)、ファッション企業(ラルフローレン、アバクロンビー&フィッチ)

参考資料:RANブログ『APP 社は約束を果たすべき時だ』(2017年5月13日)

レインフォレスト・アクション・ネットーク(RAN)

論議を呼ぶダコタ・アクセス・パイプラインに日本の3金融機関が参加

ダコタ・アクセス・パイプラインの最終融資に関するRANの声明

2017年2月13日

問合せ先:ハナ・ハイネケン hheineken@ran.org (日本語可)

川上豊幸  toyo@ran.org 電話03-3341-2022

 2月8日(米国時間)、論議を呼んでいる米国のダコタ・アクセス・パイプライン(DAPL)[1] について、必要とされていた最後の地役権を米国陸軍工兵司令部が発行することで、トランプ政権は、同日日本の3金融機関を含む、パイプラインに融資する17の銀行にプロジェクト費用25億ドルのうち残りの14億ドルの貸付供与についてゴーサインを出しました。この資金は、パイプライン所有者であるエネジー・トランスファー・パートナーズ(ETP)、サノコ・ロジスティック・パートナーズ、およびフィリップス 66にいつでも貸出可能となります。 レインフォレスト・アクション・ネットワーク(RAN)の事務局長、リンジー・アレンは、次の声明を発表しました。

「このプロジェクトの融資は、これらの銀行が人権と先住民族の権利に関する誓約に対して、どれだけ真剣なのかを試す重要な試金石となります。三菱東京UFJ銀行 [2]、 みずほ銀行 [3] 、SMBC日興証券 [4] 、そしてその他の14の銀行が融資に最終的にサインすることは、深刻な人権侵害に手を貸すことになる」。「銀行は、この歴史的な論争において受動的な主体ではなく、ダコタ・アクセス・パイプラインの壊滅的な影響に直接な責任を負っている」。

シティバンク、TD証券、三菱東京UFJ銀行、みずほ銀行が率いる17の銀行は、工事で影響を受ける先住民族スタンディング・ロック・スー族の同意がないにもかかわらず、非暴力のデモ参加者に対するパイプラインの治安部隊による数か月の虐待、神聖なネイティブアメリカン埋葬地の意図的な破壊、下流のコミュニティのための重要な飲料水供給を脅かすことが確認されているにもかかわらず、25億ドルもの融資により、この腐敗した事業者を支援するという選択をしました。国連の専門家は、パイプライン所有者によるこれらの行動を非難しました [5] 。 ダコタ・アクセス・パイプライン・プロジェクトとそれを支援する銀行は、スタンディング・ロック・スー族のための自由意志による事前の十分な情報に基づく同意(FPIC)といった国際的に認められた基準を遵守することを拒否し、その結果として世界中の何十万人もの人々が抗議活動を行いました。スタンディング・ロック・スー族は、水の供給と神聖な場所を保護することを明言し、地役権が合法的に許可されていないとして裁判所に異議を申し立てようとしています[6]

リンジー・アレンは続けて述べています。「RANは、すべての未解決問題についてスタンディング・ロック・スー族が完全に満足する解決に至らない限り、追加融資の支払いを即座に停止し、プロジェクトのスポンサーに建設中止を求めるよう、すべての銀行に対して要求する」。 「日本の銀行は、ダコタ・アクセス・パイプラインへの支援を停止というスタンディング・ロック・スー族からの要求に応えることで、人権への尊重とリーダーシップを示すことができるのである」。

以上

[1] ノースダコタ州のバクケン油田とイリノイ州を結ぶ1886kmのパイプライン。このプロジェクトはエネルギー自給率を高め地域に収益をもたらし雇用を創出すると言われているが、パイプライン所有者による過去のプロジェクトは原油流出のリスクが高いことを示しており、このことから、地元の先住民族スタンディング・ロック・スーを含む下流の1,700万人の人々へ供給される水を汚染する可能性がある。このプロジェクトはまた部族の神聖な埋葬地を破壊する恐れも有している。

[2] 融資額は23,500万米ドル(全体の9.4%)

[3] 融資額は同上

[4]融資額は12,000万米ドル(全体の4.8%)

[5]  http://www.ohchr.org/EN/NewsEvents/Pages/DisplayNews.aspx?NewsID=20570&LangID=E [6] http://standwithstandingrock.net/standing-rock-denounces-army-easement-announcement-vows-court-challenge/

APP社の新しい森林保全政策(2013年2月5日発表)へのRANの応答

「もし実施すれば、APP社の新しい約束はインドネシアのコミュニティや絶滅の危機に瀕 した森林にとって、画期的出来事となり得る。ただ人権侵害やAPP 社の世界最大級の パルプ工場建設計画への重大な懸念は残っている。」(2013年2月5日 サンフランシスコ)

英文の原文と日本語仮訳はこちらのファイル(日本語仮訳付)をご覧ください。

APP社による新たな約束についての批判

●Greenomics社によるレポート「Why the Indonesian Ministry of Forestry Recommends that ASIA PULP & PAPER revise its “APP Sustainability Roadmap 2020 and beyond”」(2012年10月22日)

●WWFのコメント:APP’s announced logging “moratorium” is more greenwashing(2012年5月22日)

●APP社のコミットメントへのRANの応答「Risks Remain」(2012年5月24日)

ウォルト・ディズニー社の世界森林誓約をRAN称賛(2012年10月11日)

 (以下は、原文プレスリリースの翻訳で資料室の文書ファイルと同じです。)

エンターテイメント業界の巨大企業が、特にインドネシアにおける森林破壊に対処する緊急性を認識し、紙製品の調達方針を変更

ディズニー社、新たにAPP社やAPRIL社といった問題のある紙・パルプ大手企業との関係を断った会社

サンフランシスコ ― ウォルト・ディズニー社は、今日、自社の広範囲な事業と使用権取得者の事業に適用する重要な新しい紙政策を発表しました。これは絶滅危惧の状況下にある森林や動物たちの破壊に関わる紙製品を除外することを意味します。

ディズニー社の取締役とRANとの二年間に及ぶ対話の集大成となるその方針は、紙・パルプ生産の原料となっている世界の最も貴重な森林が紙・パルプ生産の原料となるスピードを遅くするのを助け、より責任ある調達へと動いた、ステープルズ社(Staple)、マテル社(Mattel)、スカラスティック社(Scholastic)、ティファニー社(Tiffany)、クローガー社(Kroger)といった日用品ブランドの中でのリーダーシップを確立するものです。 (さらに…)

グリーンピース発表:APP社原料に希少樹種混入!

APP社の紙原料に、泥炭地等に生息する絶滅危惧樹種のラミンが混入されていることを、独立調査機関による分析に基づいて、グリーンピースが発表した。1年にわたる9か所から得た59サンプルのうち、46件でラミン材を含むことが示されたと報告。こうした樹種の伐採は違法とされているので、論議を呼んでいる。ラミンはワシントン条約にも登録されている。
グリーンピースの発表(英文)は、こちら
The Guardianの英文記事はこちら