サンフランシスコに本部を持つ米国の環境NGO RAINFOREST ACTION NETWORKの日本代表部です

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プレスリリース:「熱帯林破壊ゼロの東京五輪」を求めて11万筆の署名をIOCと東京オリンピックに提出(2018/3/28)

環境NGOレインフォレスト・アクション・ネットワーク(本部:米国サンフランシスコ、日本代表部:東京都新宿区、以下RAN)は、本日28日、国際オリンピック委員会(IOC)と東京オリンピック・パラリンピック競技大会組織委員会(東京2020組織委員会)に、「熱帯林破壊ゼロの東京五輪」を求める署名11,0572筆を提出しました。署名は平昌冬季五輪が世界の注目を集める期間中に米国で実施され、東京大会の施設建設における熱帯材の使用と人権侵害への懸念の声が高まりました。東京2020組織委員会は、持続可能性に配慮した調達基準設定の最終段階に入っています。

本署名は、RANと米国の署名サイト「CREDO Action」(英語、注1)が実施したもので、東京2020組織委員会が新国立競技場など主要施設の建設用木材に環境・社会面でリスクの高いインドネシア及びマレーシア由来の熱帯材を大量に使用している状況を2月5日に公開(注2)したことを受けて緊急に行いました。

署名は、IOCと東京2020組織委員会に、東京大会での熱帯材の使用中止、先住民族と地元住民の権利を尊重すること、森林破壊と人権侵害をもたらす高リスクの木材についての調達基準を強固なものにすることを求めていますま。「CREDO Action」では2月27日から3月26日までの1カ月間に81,831筆が集まり、RAN本部のウェブサイトサイト(注3)では昨年9月21日から3月26日までの期間に28,741筆が集まりました。東京大会の調達木材については、RANなどNGO44団体が2016年12月から継続的に情報公開請求していました。2月に公開された情報によると、2017年11月末時点で、新国立競技場建設のために使用されたコンクリート型枠合板の87%以上がマレーシアおよびインドネシアの熱帯林に由来していました。2017年と2018年に行われたNGOの調査によると、新国立競技場など複数の施設で、マレーシア・サラワク州での違法伐採、熱帯林破壊、人権侵害につながりのあるサプライヤーから調達した木材が確認されました。

RAN 責任ある金融シニアキャンペーナー ハナ・ハイネケンは「東京五輪の木材調達は、世界で最も豊かな生態系を誇り、かつ脅威にさらされている熱帯林由来となっており、持続可能な五輪を開催するというコミットメントに明確に違反しています。私たちは、IOCと東京オリンピック大会当局に対し、調達基準の改善、人権の尊重、かけがえのない熱帯林の破壊を止めるよう求めます」と訴えました。

3月16日、東京2020組織委員会は「持続可能性に配慮したパーム油・紙の調達基準(案)」を公開し、30日まで意見公募を行っています(注4)。RANは、両方の調達基準案が強固なデューデリジェンス(相当な注意による適正評価)や調達対象外についての明確な基準設定を義務付けるよりも、「PEFC森林認証プログラム」、「マレーシア・サステイナブル・パーム・オイル」(MSPO)、「インドネシア・サステイナブル・パーム・オイル」(ISPO)など、かなり弱い認証制度も活用できる提案になっていると考えています。さらに、東京大会の調達基準が実質的に強化されなければ、熱帯林破壊と人権侵害に関連したリスクが継続して残ると指摘しました。

インドネシアとマレーシアには多くの先住民族が住み、世界でも最高水準の生物多様性を誇っています。しかし同国は、森林伐採、パーム油、紙パルプ生産に関わる開発で、かつてない速さで進む森林破壊に直面しています。日本は依然として世界最大の熱帯材合板の消費国であり、インドネシアとマレーシアから2016年だけで約200万㎥の合板を輸入しています。RANなどNGOは昨年5月にも、マレーシア・サラワク州の先住民と一緒に、東京五輪施設建設での熱帯材使用を直ちに中止するよう求める14万筆の署名をスイスとドイツの日本大使館に提出しました(注5)

注1) CREDO ACTION, “Tell the International Olympic Committee: No rainforest destruction for Tokyo 2020 Olympics”

注2)RAN「緊急プレスリリース:東京五輪競技会場の建設に高リスクの熱帯材大量使用、国内外NGOから「遺憾」の声〜新たに公開された情報により、主要な五輪施設建設での無責任な木材調達の環境・社会的影響への深刻な懸念に裏付け〜」

注3)RAN, “No more rainforest destruction for Tokyo 2020 Olympics”

注4)東京オリンピック・パラリンピック競技大会組織委員会(東京2020組織委員会)「持続可能性に配慮したパーム油・紙の調達基準(案)」に関する意見募集について

注5) RAN「プレスリリース:熱帯林破壊や人権侵害のない五輪を求め日本大使館に14万超の署名」

レインフォレスト・アクション・ネットーク(RAN)は、米国のサンフランシスコに本部を持つ環境NGOです。1985年の設立以来、環境に配慮した消費行動を通じて、森林保護、先住民族や地域住民の権利擁護、環境保護活動をさまざまな角度から行っています。2005年10月より、日本代表部を設置しています。

CREDO Actionは社会変化のネットワークで、革新的変化のために5百万人の活動家を組織化し結集しています。

レインフォレスト・アクション・ネットワーク(RAN)

緊急プレスリリース:東京五輪会場建設に熱帯材使用(2018/2/16)

東京五輪競技会場の建設に高リスクの熱帯材大量使用、国内外NGOから「遺憾」の声
〜新たに公開された情報により、主要な五輪施設建設での無責任な木材調達の環境・社会的影響への深刻な懸念に裏付け〜

ブルーノマンサー基金
レインフォレスト・アクション・ネットワーク
マーケット・フォー・チェンジ
熱帯林行動ネットワーク
国際環境NGO FoE Japan

国内外のNGO5団体は本日16日、東京2020組織委員会が新国立競技場などの建設における熱帯材の調達状況を公開(注1)したことを受けて、環境・社会面のリスクの高い熱帯材が大量に調達されていることに遺憾の意を表しました。これはNGO44団体が2016年12月に公開を請求した調達木材に関する情報について1年以上経って、継続的な要請にようやく応える形で公表されました。平昌冬季オリンピックが世界の注目を集める中、東京大会の木材調達の持続可能性に関する以前からの懸念が、この開示によって裏付けられました。

写真:オリンピックアクアティクスセンター建設現場で使われているマレーシア・サラワク州産合板(2017年11月20日撮影)

マーケット・フォー・チェンジ(豪)のペグ・パットは「新たに公開された情報を見て、これまで使われてきた熱帯材の膨大な量に驚き、調達木材の持続可能性と合法性を確保する手続きが明らかに欠けていることを遺憾に思います。東京2020組織委員会が、オリンピック競技会場施建設に使用される熱帯材合板について情報を公開したことは歓迎しますが、同時に、東京大会の無責任な木材調達が環境・社会的影響をもたらす恐れがあるという深刻な懸念が裏付けられました」と訴えました。公開された情報によると、2017年11月末時点で、新国立競技場建設のために使用されたコンクリート型枠合板の87%以上がマレーシアおよびインドネシアの熱帯林に由来しています。

レインフォレスト・アクション・ネットワーク(米国)のハナ・ハイネケンは「使用されている木材の大半はインドネシアの熱帯林から切り出された非認証の合板です。インドネシアの熱帯林は森林伐採が急激に進む地域の一つで、生物多様性が脅かされている中心地です」と批判しました。

新国立競技場で使われる木材の約3%がマレーシアからの認証合板ですが、その持続可能性については非常に疑問視されています。NGOの調査(注2)では、マレーシアの伐採企業シンヤン社が供給したマレーシア産合板が、新国立競技場の建設現場で使われていることがわかっています。シンヤン社はボルネオの生物多様性のホットスポット破壊や先住民族の権利の侵害に関与し、以前には違法伐採にも関与したことで評判が悪い企業です。また東京2020組織委員会の発表は、オリンピックアクアティクスセンター、有明アリーナ、海の森水上競技場など他の施設でも同様に、マレーシアやインドネシアの熱帯材が調達されていると記載しています。

熱帯林の保護は、気候変動の抑制、生物多様性の保全、数百万人にも及ぶ先住民族や地元コミュニティの生活環境をささえるために非常に重要であるにもかかわらず、日本は依然として世界最大の熱帯材合板の消費国であり、インドネシアとマレーシアから2016年だけで約200万㎥の合板を輸入しています。ハイネケンは「2020年東京大会の施設建設のために、持続可能ではない熱帯材合板が使われることは、オリンピックの持続可能性への誓約を弱体化させます。オリンピック大会当局は、建設業界とその評判の悪い「従来通りのやり方(ビジネス・アズ・ユージュアル)」を優先し、持続可能性を犠牲にしようとしています」と懸念を述べました。

世界の森林減少は2016年に過去最高水準を記録しました。森林火災、農地開発、木材の伐採、鉱山開発を大きな原因として、2,970万ヘクタールの森林面積(ニュージーランドの総面積に相当)が失われました。インドネシアとマレーシアは2016年の森林減少面積の上位10カ国に入っており、その多くはパーム油やパルプ材の商業プランテーション開発が関係しています。急激な森林伐採は2017年も続いています。パットは「インドネシアとマレーシアからの木材製品の調達が高リスクであると考えると、東京大会当局が公表した情報では、大会関連工事で使用される木材が合法的かつ持続可能な方法で伐採されていることの有意な保証にはなりません。むしろ無責任な調達が大量に行われていることを露呈しています」と述べています。

FoE Japanの三柴淳一は「東京2020組織委員会の『持続可能性に配慮した木材の調達基準』の『持続可能性』は名ばかりで、その調達基準には反映されていません。熱帯林を破壊している企業からの合板の調達を禁止し、それらの企業が法制度や認証制度の不備につけ込むのをやめさせるために調達基準を強化しなければなりません。東京2020組織委員会は、透明性と説明責任を改善して強固なデュー・デリジェンスを確立し、持続可能な日本産の木材を積極的に使用するまで、信頼を得られないでしょう」と訴えました。

※詳細はブリーフィングペーパー「2020年東京五輪の熱帯材使用に関する公式な情報開示に対するNGOの解説」(2018年2月16日発行)をご参照ください。

注1)「『持続可能性に配慮した木材の調達基準』の実施状況に関するフォローアップについて:コンクリート型枠合板の調達状況について」(公益財団法人東京オリンピック・パラリンピック競技大会組織委員会、2018年2月5日)

注2)ブリーフィングペーパー「2020年東京五輪の熱帯材使用に関する公式な情報開示に対するNGOの解説」より

レインフォレスト・アクション・ネットワーク(RAN)

緊急プレスリリース2020年東京オリンピックが気候変動に加担:熱帯林の利用は停止せず(2017/11/3)

2017年11月3日

緊急リリース

  • ブルーノマンサー基金
  • サラワク・ダヤク・イバン協会
  •                                                         レインフォレスト・アクション・ネットワーク
  •                                                             マーケット・フォー・チェンジ
  •                                                                        熱帯林行動ネットワーク
  •                                                                                 国際環境NGO FoE Japan

連絡先:

  • Peg Putt, Markets For Change, +61 418 127 580, peg.putt@gmail.com
  • Annina Aeberli, Bruno Manser Fund, +41 79 128 58 73, annina.aeberli@bmf.ch
  • Laurel Sutherlin, Rainforest Action Network (USA), +1 415 246 0161, laurel@ran.org
  • 川上豊幸:レインフォレスト・アクション・ネットワーク(日本) 03-3341-2022, toyo@ran.org

2020年東京オリンピックが気候変動に加担:
由来が明らかでない熱帯材利用
を認めたが、利用停止の誓約はせず
熱帯材の利用停止はせず、透明性向上の約束に影を落とす

 気候に重大な影響を与える熱帯林が急速に消滅しつつある中、2020年東京大会当局は、木材の供給源が不明のまま大会関連建設のために熱帯林を利用し続けると明言した。この意向表明は、東京大会の木材調達活動の合法性と持続可能性に対する深刻な懸念を表明した47のNGOにより署名された公開書簡への回答として行われた。 当局は、東京大会のための熱帯材の使用については、より透明なものにすると約束したが、NGOが「根本的に欠陥がある」と要求した木材調達コード改訂については拒否した。

「東京大会で熱帯材を継続して使用し、合理的なデューデリジェンスを拒否していることは、持続可能なオリンピックを開催するという日本の約束と矛盾している。」とレインフォレスト・アクション・ネットワーク(米国)のハナ・ハイネケンは述べ、また「当局は木材調達コードを改善する必要がある」と述べた。

今年4月、新国立競技場の建設現場でマレーシアの木材会社シンヤン社が供給した熱帯材合板が使われていることがわかった。 シンヤン社はこれまでマレーシアのサラワクで、手つかずの熱帯林の組織ぐるみの破壊、違法伐採、人権侵害に関与してきたと指摘されている企業である。

これに応えて、世界中の47のNGOが、今年9月11日に国際オリンピック委員会(IOC)と東京大会当局に書簡を送り、熱帯材及びその他の高リスクな供給源からの木材の使用の終了、使用される熱帯材の出所と量の開示、木材サプライチェーンの完全な追跡可能性と第三者検証、より強い木材調達ルール、他のすべての森林リスク商品に対する確固としたな調達要件の採用を要求した。

10月19日、東京オリンピック・パラリンピック競技大会組織委員会、日本スポーツ振興センター、東京都オリンピック・パラリンピック準備局が東京でNGOとの会合を持った。大会当局は、熱帯材を主原料とする型枠用合板の一部に対する明白な例外規定など、組織委員会の木材調達コードの弱点がいくつもあるにもかかわらず、この欠陥のあるコードの改訂を拒否し、コードの要件に準拠しているとして熱帯材使用を擁護した。

当局はさらに、サプライヤーは自らが供給した木材の出所を把握していることは求められておらず、コードは一方で国産材の使用を優先させる方針を打ち出しているものの、コンクリート型枠用合板の場合には持続可能な森林に由来する国産材の使用を優先させる必要はない、と認識していることが明らかになった。東京大会当局は、熱帯材使用についてより透明性を確保することを約束し、関連施設建設現場で使用される型枠合板について量および正当なデューデリジェンス(確認)プロセスを開示することに合意した。

「東京大会の決定は、責任ある形で製造された国産型枠合板が利用可能であるにもかかわらず、それを優先していないことは非常に残念だ。このことで、責任あるビジネスを行おうとしている日本企業に間違ったメッセージを送っている。」と、熱帯林行動ネットワークの原田公は語った。

日本は、熱帯材合板の世界第1位の輸入国で、その原料の多くはマレーシアとインドネシアの熱帯林から来ている。 日本の木材調達は合法性や持続可能性を確保できないことで、広く批判されてきた。東京大会に向けて、日本は、その調達基準をヨーロッパや米国のレベルに引き上げるチャンスがあったが、日本の従来のビジネス慣行を妨げないように妥協することを選んだ。」とマーケット・フォー・チェンジ(豪)のペグ・パットは述べた。

最近の研究は、熱帯林の劣化に警鐘を鳴らしており、その多くは破壊的な伐採によって引き起こされている。 アジア、南米、アフリカの熱帯林はこれまで温室効果ガスの吸収に重要な役割を果たしてきたが、その劣化が続いていることから、熱帯林が炭素排出の吸収源から排出源に転じていることが報告されている。 熱帯の森林の減少と劣化は、地球温暖化ガス排出量の約5分の1を占めている。

東京大会当局は苦情処理メカニズム(通報受付窓口)の構築を進めつつあるが、10月19日の会合で、その最終決定前に公の協議プロセスを行う意図はないと明らかにした。シンヤン社のサラワクでの伐採行為は先住民族の生活を脅かしており、東京大会での苦情処理の仕組みの欠如は、地域社会が救済を求める道筋を奪ってしまった。

ブルーノマンサー基金(スイス)のアニーナ・アエベリは、「大会施設の建設が始まってから1年近く経つにもかかわらず、苦情申し立てのメカニズムがなく、関連ステークホルダーとの協議にも消極的ということは非常に心配だ。」と述べている。

NGOは、日本が真に持続可能なオリンピック・パラリンピックを開催するには、紙パルプ、パーム油、ゴムなどの他の全ての森林リスク商品へのしっかりとした調達要件が必要であると主張している。

以上

プレスリリース:先住民族村長が安倍首相に嘆願:2020年東京五輪のための熱帯林破壊の停止を(2017/10/10)

プレスリリース

2017年10月10日

 

                                                                                                    ブルーノマンサー基金

                                                                         サラワク・ダヤク・イバン協会

                                                        レインフォレスト・アクション・ネットワーク

                                                            マーケット・フォー・チェンジ

                                                                       熱帯林行動ネットワーク(JATAN)

                                                                                国際環境NGO FoE Japan

連絡先:

-Annina Aeberli, Bruno Manser Fund (Switzerland), +41 79 128 58 73, annina.aeberli@bmf.ch

-川上豊幸 レインフォレスト・アクション・ネットワーク(日本), 080 3488 9849, toyo@ran.org

-Laurel Sutherlin, Rainforest Action Network (USA), +1 415 246 0161, laurel@ran.org

-Peg Putt, Markets For Change (Australia), +61 418 127 580, peg.putt@gmail.co

新国立競技場建設の使用木材の供給企業が先住民族の暮らしを破壊していると非難

マレーシア・サラワク州-最初の東京オリンピックの開催の記念日である本日、マレーシア・サラワク州のロング・ジェイク村のプナン族コミュニティのマトゥ・トゥガン村長が日本の安倍首相に、プナン族の森や暮らしを破壊する企業からの木材調達をやめるようにという緊急の嘆願書を届けた。日本は、2020年東京大会に使われる新国立競技場の建設にサラワク産の熱帯材を使い続けている。20174月にNGOが建設現場で集めた証拠により、新国立競技場でシンヤン社製の合板が使われていることが確認されている。同社は、ロング・ジェイク村の周辺地域でおよそ20年間にわたり伐採を続けており、これまでに違法伐採や熱帯林の破壊、人権侵害と関わってきている。

ロング・ジェイク村の地域住民は、シンヤン社による木材伐採やアブラヤシ農園への転換などに反対し、自らの森林を守るため道路封鎖で闘ってきた。地域住民はシンヤン社に対して彼らの慣習的権利を侵害しているという訴訟を起こし、現在も裁判は続いているものの、シンヤン社の地域住民の土地への侵入を止めることにはなっていない。残された森を守ろうとする彼らの最後の試みとして、村長はシンヤン社の日本の買い手を頼って、日本の首相に協力してほしいと願い出た。「総理大臣、どうかシンヤン社が私たちから盗んだ木材を日本が受け入れないようにしてください。日本がこの木材を受け入れ続ける限り、彼らは毎日、森林の伐採と丸太の搬出を続けます」。

トゥガン村長は、嘆願書において、シンヤン社の破壊的な伐採施業や同社の地域住民の自由意思による事前の十分な情報に基づく同意(FPIC)の権利が無視されていると証言している。「シンヤン社は、私たちの祖先から受け継いできた森を承諾や同意なしに伐採してきました。彼らは私たちの意見やニーズを尋ねてきたことはありません」。マレーシア人権委員会(SUHAKAM)は2007年に彼らの窮状について調査をし、シンヤン社の施業が地域住民をさらに貧しい状況に追い込んでいることを明らかにした。

国際オリンピック委員会(IOC)と東京大会当局は、不十分な木材調達基準や調達木材のサプライチェーンの透明性の欠如について、市民団体の国際的な連合体から繰り返し批判されている。彼らはオリンピック関連施設に使われている木材の出所の情報公開やシンヤン社をはじめとするリスクの高い木材の停止をすべきだと繰り返し要請されているにもかかわらず、当局は市民団体の懸念に対して対応できていない。

嘆願書:原文(マレー語)はこちら

嘆願書:和訳はこちら

以上

東京オリンピックでの熱帯林破壊と人権侵害の停止を、NGOが要請

緊急リリース 2017年9月11日

連絡先:       川上豊幸 レインフォレスト・アクション・ネットワーク 日本代表  toyo@ran.org

オリンピック2020年東京大会での熱帯林破壊と人権侵害の停止を、NGOが要請

 

東京・リマ- 47の市民団体は、本日、ペルー・リマで開催される国際オリンピック委員会(IOC)理事会の開始にあたり、IOCと2020年東京大会当局に対して公開書簡を送付しました。書簡は、IOCの持続可能性に関する誓約の正当性と説明責任、そしてオリンピック競技大会の評判と信頼性に対する重大で増大しつつある懸念を繰り返し表明しています。さらに書簡は、大会関連の建設等において熱帯林を故意に利用し、人権侵害を潜在的に助長するオリンピックを批判しています。署名団体は、新国立競技場を含む東京オリンピック関連施設建設に使用されている木材の完全な透明性と、熱帯材使用の停止を求めています。

署名団体には、環境破壊や人権問題に関連するサプライチェーンのリスクを熟知している幅広い分野で活動するNGOが名前を連ねており、東京大会当局による透明性の欠如が続いていることを批判しています。

「東京大会当局は新国立競技場の建設に大量の熱帯材を使っているという事実を隠している。木材サプライチェーンの完全な透明性がなければ、持続可能なオリンピックを主催するという主張はまったく根拠がありません」とレインフォレスト・アクション・ネットワークのハナ・ハイネケンは述べています。

NGOは、IOCが持続可能性の明白なリスクに対処できていないことが、「オリンピックの全ての面に持続可能性を含める」という自らの誓約に対する明確な違反であると主張しています。特に、日本ではコンクリート型枠合板の大半が違法伐採、熱帯林破壊、土地権侵害などの問題が、はびこるマレーシアとインドネシアの熱帯林に由来しているにもかかわらず、型枠に使用されている木材を調達方針の環境、労働、人権の要件から免除できるという、2020年東京大会の調達方針の大きな抜け穴を指摘しています。

2016年12月6日、44のNGOはIOCに対して、違法で持続不可能な熱帯材が新国立競技場やその他の関連施設の建設に使用されるリスクが高いことを警告する書簡を送りました。これらのNGOは、建設着手時に追加の予防策とデュー・デリジェンス措置を採用しなかった場合、人権侵害、違法伐採、熱帯林破壊への加担となる可能性があると警告しました。この書簡は、マレーシアの高リスク木材が東京の建設事業で使用されているという証拠を提示し、2020年東京大会の「持続可能性に配慮した木材の調達基準」はリスクのある木材の使用を防ぐためには不十分であると警告しました。しかし書簡に記された1つの要求も満たされていません。

本日の書簡では、新国立競技場に、コンクリート型枠合板としてかなりの量の熱帯林が使用されていることに言及しています。悪名高いマレーシアの木材会社シンヤン社により供給された熱帯材合板が、同社の違法伐採、熱帯林破壊、人権侵害の歴史にもかかわらず、使用されているという証拠が示されています。東京大会当局は、シンヤン社の木材が認証されていると主張し、その使用を擁護していますが、書簡ではマレーシアのサラワクではシンヤン社の認証木材が人権侵害につながっているという証拠をもって、その持続可能性に異議を唱えています。さらに、書簡は新国立競技場でコンクリート型枠用として使用されている木材の大部分は実際には未認証製品であり、日本で使用されているほとんどのコンクリート型枠用合板を供給しているマレーシアまたはインドネシアの熱帯林に由来する可能性が高いと述べています。

マーケット・フォー・チェンジのCEO、ペッグ・パットは「シンヤン社の伐採事業が先住民族の伝統的土地や暮らしを破壊しているという先住民族の代表者自身の証言の前では、シンヤン社の認証は無意味である」と述べています。

2020年東京大会当局は、熱帯林減少の主な原因であるパーム油と紙パルプについて調達基準を策定中です。日本での熱帯林由来の紙の消費が大きいこと、またパーム油の消費が増えつつあることを踏まえ、NGOは東京大会当局に対し、環境面・社会面の強固な保全措置を採用することを要求し、そうでなければ熱帯林破壊、違法伐採、人権侵害を助長する行為により、さらなる批判に直面すると警告しています。

以上

なお、公開書簡については、以下をご覧ください。

(IOC向けの英語版の公開書簡へのリンクはこちら)

英語のプレスリリースについては、RAN本部のサイトをご覧ください。

また、関連する写真については、以下をご覧ください。

https://www.dropbox.com/sh/hfjjq01oaxa8wyg/AACxyIrcFxd0m90YKhhdmgBOa?dl=0

******************************以下、東京大会当局宛ての公開書簡の全文です*******************

2017年9月11日

日本スポーツ振興センター 理事長 大東 和美 様

東京オリンピック・パラリンピック競技大会組織委員会 会長 森 喜朗 様

東京都知事 小池 百合子 様

2020年東京大会当局への公開書簡

 

件名: 2020年東京オリンピックにより、オリンピックの持続可能性へのコミットメントが脅かされている件について

拝啓

私たち下記の署名団体は、2020年東京オリンピック・パラリンピック競技大会の持続可能性と説明責任について重大な懸念を抱いています。2020年東京大会が熱帯林を利用し、人権侵害に拍車をかけている可能性があることを示す証拠が増加しており、オリンピックの持続可能性と人間の尊厳への尊重についてのコミットメントが脅かされています。私たちは、国際オリンピック委員会(IOC)と2020年東京オリンピック当局に対して、使用されているすべての熱帯木材の産地と量を含め、2020年東京大会の木材サプライチェーンについて直ちに情報を開示し、これ以上、熱帯林をはじめとするリスクの高い供給源からの木材を使用するのを止めるよう要請します。

オリンピック・アジェンダ2020にも謳われているように透明性はオリンピックの信頼性の基本となるものです。森林関連製品(特に森林ガバナンスの脆弱な熱帯諸国から調達されるもの)に伴う高い環境・社会リスクを考えれば、全サプライチェーンの透明性と強化したデュー・デリジェンスは責任ある調達を確実に実施するために極めて重要です。

残念ながら2020年東京大会当局は大会関連施設での木材の使用に関して情報公開しておらず、違法で持続不可能な熱帯木材を使用するリスクを軽減する十分な対策を講じてきませんでした。木材調達に伴うリスクについては、2016年12月6日にNGO 44団体がIOCに送った書簡で明確に説明されていました[1]。書簡では東京の建設事業でマレーシアからの高リスク木材が使われている証拠を示し、2020年東京大会の木材調達コード[2]が高リスク木材の使用を防止するのに不十分であると論じました。しかし、書簡で提示された要求は一つも実現されていません。特に持続可能性に配慮した木材調達コードは、現在も根本的な欠陥があります:2020年東京大会当局は、調達コードでコンクリート型枠用合板が環境、労働および人権の基準の適用を免除されていることを盾に、新国立競技場の建設に大量の熱帯木材を使っています。型枠用合板は、日本国内外から一貫して批判の対象となってきた低い水準の合法性基準を満たすことしか義務付けられていません[3]。このような基準は国際的なベストプラクティスをはるかに下回っています。

今年の4月、マレーシアの木材会社シンヤン社の供給した熱帯材合板が新国立競技場の建設現場で発見されました[4]。シンヤン社は、マレーシア・サラワク州で手つかずの熱帯林の組織だった破壊、違法伐採および人権侵害に関わってきたことが指摘されています[5]。2020年東京大会当局は同社の供給する木材の使用を認めたばかりでなく[6]、この問題となっている供給業者から調達した木材を使用し続けています[7]。2020年東京大会当局は、その発見されたサンプルがPEFC認証材であると主張して、シンヤンの木材の使用を正当化しようとしました[8]。しかし、競技場でコンクリート型枠として使われている合板の大部分は非認証製品で、日本で使われている型枠合板の大半を供給しているマレーシアまたはインドネシアの熱帯林から調達されている原料を使っている可能性が高いのです[9]。また、熱帯林破壊と人権を侵害する伐採を行ってきたことで問題となっているシンヤン社から調達することは、オリンピックの価値観とコミットメントと矛盾しています。

さらに、合法性と伝統的・市民的権利や保護価値の高い地域を含め社会・環境面への責任ある配慮をPEFC認証が保証していないことを示す実質的証拠もあります。PEFCに相互承認されたマレーシアの認証制度であるマレーシア木材認証制度(MTCS)は、基準もシステムの強固さも、PEFCよりさらに脆弱であると評価されてきました[10]

サラワク州ロング・ジェイク村の先住民族は、土地に対する権利を守ろうとして長年、同社と闘ってきました[11]。村長のマトゥ・トゥガンさんは、最近、次のように発言しています:「[シンヤン社は]丸太を伐り出す前に目の前の全てのものを破壊します。今、ロング・ジェイク村の生活がとても困難となっているのは、そのためです」。長期にわたる住民の反対にもかかわらず、ロング・ジェイク村の周りの森林は少なくとも[12]

こうした展開に抗議して東京の新しいオリンピック関連施設の建設に熱帯木材を使用することをすぐに止めるよう求める14万以上の署名が5月10日に日本大使館に提出されました[13]。日本政府も2020年東京大会当局も、この陳情に応答していません。透明性もなく、異議申立制度も確立されてないということは、説明責任がほとんど果たされていないということです。

2020年東京大会当局は現在、熱帯林減少の重要な原因であるパーム油と紙・パルプなどの商品(「森林リスク商品」)に関する調達基準策定も検討しています。同様の間違いを回避するためには、強固な社会・環境セーフガードを導入することが不可欠です。

したがって、下記署名団体は、早急に以下の措置を求めます:

  • 熱帯木材および他のリスクの高い供給源からの木材の使用停止;
  • 新国立競技場を含む全ての2020年東京大会施設の建設に使われる熱帯木材の産地と数量について即時での情報開示および木材の合法性と持続可能性を保証する措置に関する詳細な報告;
  • 木材サプライチェーンに関する本格的なトレーサビリティと第三者検証の義務付け;
  • 木材調達コードの改訂:全ての保護価値の高いエリアと炭素蓄積量の多い森林を保護し、自由意思による事前の十分な情報に基づく同意(FPIC)の確認を含め、先住民族や地域社 会の土地、森林、天然資源に対する法的、慣習的な権利を尊重することを要求する、強化 された社会・環境基準とデュー・デリジェンスを義務付ける、コンクリート型枠用合板に 関する抜け穴を埋め、強固な合法性基準を採択することを含む;
  • 他の全ての森林リスク産品について、東京大会で使用されるいかなる原料や製品も熱帯林破壊や違法伐採もしくは人権侵害に関連しないことを保証する強固な調達方針の採用。

この手紙に対する回答を可能な限り早く、遅くとも10月2日の前にお送りくださるよう要請します。ご質問があれば、ハナ・ハイネケン(hheineken@ran.org)まで(英日どちらでも)、お問い合わせください。

敬具

署名団体

  1. Accelerated Rural Development Organisation (ARDO), Ghana – Pascal Benson Atiglah, Director
  2. ARA, Germany – Wolfgang Kuhlmann, Director
  3. Biodiversity Conservation Center, Russia – Alexey Zimenko, Director General
  4. Biofuelwatch, UK/US – Almuth Ernsting, Co-Director
  5. Bob Brown Foundation, Australia – Jenny Weber, Campaign Manager
  6. The Borneo Project, US – Jettie Word, Executive Director
  7. Bruno Manser Fund, Switzerland – Lukas Straumann, Executive Director
  8. Center for International Environmental Law, US – Carroll Muffett, President & CEO
  9. Center for Orang Asli Concerns (COAC), Malaysia – Colin Nicholas, Coordinator
  10. Chlorine Free Products Association, US – Archie Beaton, Executive Director
  11. Civic Response, Ghana
  12. Dogwood Alliance, US – Scot Quaranda, Communications Director
  13. Environment East Gippsland Inc , Australia – Jill Redwood, Coordinator
  14. Environmental Investigation Agency, US – Alexander von Bismarck, Executive Director
  15. FERN, Belgium/UK – Saskia Ozinga, Campaigns Coordinator
  16. The Finnish Nature League (Luonto-Liitto), Finland – Leo Stranius, Executive Director
  17. Forest Peoples Programme, UK – Patrick Anderson, Policy Advisor
  18. Forest Watch Ghana, Ghana – Samuel M. Mawutor, Coordinator
  19. Friends of the Earth Japan – Junichi Mishiba, Director
  20. Gaia Care, Ghana
  21. Gesellschaft für Ökologische Forschung, Germany – Sylvia Hamberger
  22. Global Justice Ecology Project, US – Anne Petermann, Executive Director
  23. Global Witness, UK – Patrick Alley, Director
  24. Greenpeace International – Matthew Daggett, Global Campaign Leader, Forests
  25. Human Rights Now, Japan – Kazuko Ito, Executive Director
  26. Japan Tropical Forest Action Network, Japan – Akira Harada, President
  27. Jikalahari (The Network for Riau’s Forest), Indonesia – Woro Supartinah, Coordinator
  28. Keruan, Malaysia – Komeok Joe , CEO
  29. Link-AR Borneo, Indonesia – Agus Sutomo, Director
  30. Markets For Change, Australia – Peg Putt, CEO
  31. Mighty Earth, US – Henry Waxman, Chairman and former US Congressman
  32. More Trees, Japan – Ryuichi Sakamoto, Representative
  33. Mother Nature Cambodia, Cambodia – Alejandro-Gonzalez Davidson, Chief Executive
  34. New York Climate Action Group, US – JK Canepa, Co-Founder
  35. PADI Indonesia – Ahmad Sja, Director
  36. Pro REGENWALD, Germany – Martin Glöckle
  37. PT AirWatchers, US – Gretchen Brewer, Director
  38. Rainforest Action Network, US – Lindsey Allen, Executive Director
  39. Rainforest Foundation UK – Simon Counsell, Executive Director
  40. Rainforest Rescue / Rettet den Regenwald, Germany – Mathias Rittgerott, Campaigner
  41. Salva la Selva, Spain – Guadalupe Rodríguez, International Campaigner
  42. Sarawak Campaign Committee, Jeapan – Tom Eskildsen, Steering Committee Member
  43. Sarawak Dayak Iban Association (SADIA), Malaysia – Nicholas Mujah, Secretary General
  44. SAVE Rivers, Malaysia – Peter Kallang, Chairman
  45. Talents Search International, Ghana
  46. The Wilderness Society, Australia – Lyndon Schneiders, National Campaigns Director
  47. TuK INDONESIA – Rahmawati Retno Winarni, Executive Director

[1] http://www.foejapan.org/forest/library/161206.html

[2] https://tokyo2020.jp/jp/games/sustainability/data/sus-wcode-timber-JP.pdf

[3] 例えば次を参照:籾井まり「違法木材の取引:日本における取組」(2014年11月)、www.chathamhouse.org/publication/trade-illegal-timber-response-japan

[4] http://japan.ran.org/?p=1032

[5] グローバル・ウィットネス「マレーシアの熱帯林破壊と日本:持続可能な2020年オリンピック東京大会へのリスク」(2015年12月)、www.globalwitness.org/en/reports/shinyang/

[6] www.bloomberg.com/news/articles/2017-04-20/rainforest-wood-breaches-tokyo-green-olympic-vow-activists-say

[7] www.thestar.com.my/news/nation/2017/08/10/tokyo-olympic-stadium-to-use-certified-msian-wood/#j8BZikQ0VyxAk2JR.99と私的な情報交換に基づく。

[8] www.jpnsport.go.jp/newstadium/Tabid/367/ItemID/220/Default.aspx

[9] 国産材など、より持続可能な代替製品が利用可能であるにもかかわらず、日本で使われているコンクリート型枠合板のほとんどすべてが熱帯木材から作られている。脚注5を参照。

[10] 例えば次を参照:WWF Forest Certification Assessment Tool (CAT)、http://wwf.panda.org/wwf_news/?246871/WWF-Forest-Certification-Assessment-Tool-CAT;および www.greenpeace.org/international/en/campaigns/forests/solutions/alternatives-to-forest-destruc/Weaker-Certification-Schemes/

[11] ロング・ジェイクのコミュニティは、シンヤン社のライセンス区画LPF 0018の中に位置する。コミュニティの住民への影響についてマレーシア人権委員会が調査を実施したことがある。このコミュニティの住民が先住慣習権の侵害でシンヤン社を提訴した裁判が係争中である。例えば、次を参照:SUHAKAM, Report on Penan in Ulu Belaga: Right To Land and Socio-Economic Development, 2007, www.suhakam.org.my/wp-content/uploads/2013/12/Report-On- Penan-In-Ulu-Belaga.pdf

[12] 次を参照:www.pefc.org/company-detail?id=287157、www.pefc.org/company-detail?id=282283、および 「Global Forestry Services, Chain of Custody Checklist & Assessment Report of Shin Yang Plywood (Bintulu) and Forescom Plywood」www.gfsinc.biz/wp-content/uploads/2015/05/Summary-Shin-Yang-Plywood-Bintulu-Nov- 2016.pdf,www.gfsinc.biz/wp-content/uploads/2015/05/Summary-Forescom-Plywood-Bintulu-Nov- 2016.pdf

[13] http://www.jatan.org/archives/4075

以上

東京オリンピック施設の人権侵害、熱帯林破壊、違法伐採リスクをIOCに警告

2016年12月6日

プレスリリース

2020年東京オリンピックを前に市民団体が人権侵害、熱帯林破壊、違法伐採のリスクをIOCに警告:

40を超える団体が国立競技場などの会場建設が人権侵害や環境破壊に関わるおそれがあるとの書簡をIOCに送付

スイス・ローザンヌ――2020年東京オリンピックの経費削減策の議論が続く[1]なか、国際NGOなど44団体が賛同し、東京の新国立競技場や他の会場に予定される施設の建設に、違法で持続不可能な熱帯雨林木材が使われる可能性が高いと警告する書簡が、冬季理事会開催中のIOCに今日手渡された。市民団体は追加の予防措置やデューデリジェンス対策がとられなければ、生物多様性や気候変動、そして森林への正当な権利をもち森林に依存して暮らす地域コミュニティに深刻な影響を与えかねないと警鐘を鳴らしている。

その木材消費が熱帯林破壊の原因になっているとして、市民団体や国際社会から長年、日本は批判されてきた[2]。日本は世界最大の熱帯合板の輸入国で、その多くがマレーシアやインドネシアの森林から供給されている。NGOは特に日本の輸入合板のほぼ半分を供給するマレーシア・サラワク州の状況に焦点を当てている。サラワクは森林減少のペースが世界でもっともはやい地域の一つであり、違法伐採の発生率が極めて高い[3]。サラワクの先住民族コミュニティは先祖伝来の土地を守るため何十年もの間、伐採会社と闘ってきており、ときに死者が出ることもあった[4]。action_to_ioc

ある独立の調査によれば、新国立競技場の施工を担当する大成建設が使用している合板と、極めて破壊的な伐採活動のために世界でもっとも急速に森林減少が進むサラワク州の生物多様性ホットスポットの関わりが指摘されている[5]。「サラワクの伐採会社は私たちの森を破壊し、飲み水を汚染した。私たちの先住民族としての権利を侵害し、生計を奪った」とSarawak Dayak Iban Associationのニコラス・ムジャ氏は語っている。

「東京2020大会関係者は先住民族の権利侵害、違法伐採、熱帯林破壊に関係する木材の使用を避けるために十分な対策をとっていない」と国際環境NGOのFoE Japanの三柴淳一氏は述べる。「東京オリンピックの会場建設に違法で持続不可能な木材を使うことになれば、持続可能性を堅持するとのオリンピック関係者の誓約に反し、とんでもないレガシーが残されることになる」と話す。NGOはIOCが大会関係者に対して、「持続可能性を、オリンピックの開催計画の策定と、開催運営のすべての側面に取り入れることを保証する」というIOCの誓約と矛盾しない、より厳しい基準を要求するよう求めている[6]。12月4日に開催された専門家による会合において、小池百合子東京都知事はこの問題に対して認識をしており、「発注者として声をあげていく」と発言している[7]。

東京オリンピックの企業スポンサー数は過去最高となっているが、こうしたオリンピック会場建設に資金が使われるとなれば、深刻なレピュテーション・リスクを抱えることになるかもしれない。「森林減少ゼロにとりくむ企業や政府が増えているときに、これは大きな後退になる。IOCとスポンサーは東京2020大会関係者に対し、オリンピック会場建設に使われるすべての木材が合法で持続可能な供給地から、地域コミュニティの自由意思による事前の十分な情報に基づく同意(FPIC)を尊重した上で供給されるよう対策をとるべきだ」とレインフォレスト・アクションネットワーク(カリフォルニア州)のハナ・ハイネケン氏は指摘している。

※国際オリンピック委員会への公開書簡(PDF版)

英語(原文)/English(original)

日本語(翻訳)/Japanese(translation)

[1] www.olympic.org/news/in-the-wake-of-rio-s-marvellous-games-tokyo-makes-strong-strides-towards-2020/
[2] Friends of the Earth, From policy to reality: ‘Sustainable’ tropical timber production, trade and procurement, 2013, 109ページ、www.foei.org/wp-content/uploads/2013/12/From-policy-to-reality.pdf
[3] グローバル・ウィットネス「衝突する二つの世界」2014年 www.globalwitness.org/olympicsjp/
[4] マーケット・フォー・チェンジ熱帯林行動ネットワーク(JATAN), 「フローリングへと変貌する熱帯林」, 2016年, http://www.marketsforchange.org/forest_to_floor_japanese , The Straits Times, June 21 2016, www.straitstimes.com/asia/se-asia/opposition-pkr-politician-shot-dead-in-sarawak/
[5] グローバル・ウィットネス「マレーシアの熱帯林破壊と日本:持続可能な2020年オリンピック東京大会へのリスク」2015年12月 www.globalwitness.org/en/reports/shinyang/
[6] オリンピック・アジェンダ2020、提言4

[7] 朝日新聞2016年12月5日付「違法伐採の木材 新国立「防止を」 輸入時の確認NGO訴え www.asahi.com/articles/DA3S12691251.html

 

 

************** 続 報 (2016年12月7日)**************

 続報「コーツIOC副会長が公開書簡を受け取り、対応を表明」

現地(スイス・ローザンヌ)時間12月6日午前11時、国際オリンピック委員会(IOC)への公開書簡「letter_handover_to_ioc2020年東京オリンピックに違法で持続不可能は熱帯木材が使用されるリスクについて」を、ジョン・コーツIOC副会長(兼東京2020調整委員会委員長)に、44の国際NGOの代表が手渡しました。
そのNGO代表からは、コーツ副会長の対応について、以下のような説明が届いています。「コーツ副会長とは10分程度の時間を得ることができ、非常に興味を示して頂き、本当に懸念を抱いているようでした。コーツ氏は、組織委員会や日本政府等の2020年東京大会関係者に対して、NGOの懸念と提案を伝えること、そして関係者に報告を求め、NGOにも共有することを約束してくれました。」

IOCへの公開書簡「2020年東京オリンピックに違法で持続不可能な熱帯木材が使用されるリスクについて」の手交の様子