メディア掲載:雑誌『DAYS JAPAN』にRANが寄稿しました(2018/11/20)
雑誌『DAYS JAPAN』12月号「特集不都合な東京オリンピック:インドネシア・現地ブラック企業から買い付ける木材、森林伐採天国からの悲鳴」(2018年11月20日発売)〜RANが寄稿しました〜
サンフランシスコに本部を持つ米国の環境NGO RAINFOREST ACTION NETWORKの日本代表部です
雑誌『DAYS JAPAN』12月号「特集不都合な東京オリンピック:インドネシア・現地ブラック企業から買い付ける木材、森林伐採天国からの悲鳴」(2018年11月20日発売)〜RANが寄稿しました〜
日本とインドネシアの金融機関とのつながりも
環境NGOレインフォレスト・アクション・ネットワーク(本部:米国サンフランシスコ、日本代表部:東京都新宿区、以下RAN)は、本日12日、Walhi(ワルヒ:インドネシア環境フォーラム)、Tukインドネシア(トゥック)、プロフンドと共同で、韓国・インドネシアの複合企業コリンド・グループに関する二つの調査報告書を発表しました。両報告書は、綿密な調査で明らかになった、同グループの事業全般における違法行為、環境破壊、コミュニティの権利侵害に関する膨大な証拠をまとめています。
本日、日本で発表した報告書「守られなかった約束」( Broken Promises、注1 )は、2020年東京五輪の会場建設に供給されたコリンド社の木材が、東京五輪の定めた持続可能性に適合せず、違法木材であった可能性が高いことを概説しています。また、インドネシアで同時に発表された報告書「ペリラス:コリンド、土地収奪と銀行」( 英語、Perilous: Korindo, Land Grabbing and Banks、ペリラス=「非常に危険な」という意味 、注2)は、コリンド社によるインドネシアの未開拓林への事業拡大に伴い、原生林の皆伐、意図的な火入れ、土地収奪、地元住民への嫌がらせや令状なしの逮捕など悪質な行為が起きていることをまとめた報告書です。
本報告書の発表に合わせて、本日、Walhi・北マルク支部をはじめとするインドネシアの市民は、コリンドのジャカルタ本社前と、同社のメインバンクであるバンク・ネガラ・インドネシア(BNI)の本店前で抗議行動を行いました。コリンド社には北マルク州での森林破壊中止とコミュニティの居住地域からの撤退を求め、BNIにはコリンドとの銀行取引を停止するよう求めました。北マルク州では、地域コミュニティの土地所有者が、代々受け継いできた土地や森林の管理権を守るためにコリンドとたたかっています。両報告書に記載された証拠や証言によると、同社は地域コミュニティの同意なしに土地を収奪し、火を使って違法に土地を開拓し、必要な許可を得ることなくアブラヤシを植えたことや、同社の事業に抵抗する住民を犯罪者扱いし、令状なしの逮捕や暴力を行使したことが明らかになっています。
「守られなかった約束」報告書は、コリンドの合板工場が違法かつ持続不可能な方法で伐採した木材を調達し、同社工場から供給された合板がコンクリート型枠として東京五輪施設の建設に使われていたことを裏付ける証拠がまとめられています。今年5月、コリンド・グループのバリクパパン・フォレスト・インダストリーズの工場で製造された合板が、東京五輪バレーボール会場となる有明アリーナで見つかり、その合板は住友林業によって供給されていたことが判明しました。コリンド社がインドネシア環境林業省に提出した申告書によると、同工場の2016年と2017年の製造原料となった木材の約4割が、森林の土地利用転換による木材で、中には皆伐の進むボルネオオランウータンの生息地からの木材も含まれていました。
五輪施設の建設に使われたコリンド社の合板には、北マルク州で違法伐採された木材が含まれている可能性もあります。今年5月30日時点で、東京五輪施設の建設にインドネシアのコンクリート型枠合板が118,900枚使われ、そのうちの11万枚以上が新国立競技場に使われたことが公表されています(注3)。東京五輪当局は、製造企業や木材原産地の詳細を公開していませんが、新国立競技場の建設にコリンドが供給した木材が含まれている可能性があります。
RAN責任ある金融シニア・キャンペーナー ハナ・ハイネケンは「2020年東京五輪の主催者は持続可能性に配慮したオリンピックの実現を約束しました。しかし、インドネシアからの熱帯材合板を11万枚以上も使用しています。コリンド社が提供したインドネシア産の合板は、熱帯林破壊や土地強奪、そして絶滅の危機にあるオランウータンの生息地での皆伐とつながりがあります。その目的の多くはアブラヤシ農園開発のためです。 オリンピックは人類の達成と世界の連帯を祝う祭典です。世界の遠い場所で起きている、人権侵害や環境破壊の上に建設されるものではありません」と批判しました。
Walhi・北マルク支部代表のイスメット氏は「コリンド社は北マルクとインドネシアの人々を虐待し、搾取しています。地域コミュニティの土地の収奪や農民への嫌がらせ、そして単一作物の大規模農園によって地域の生態系を破壊し、その代償を一般の人々が支払っています。コリンドは現在、木材販売とアブラヤシ農園開発のために、北マルクのコミュニティの森林をさらに奪おうとしています。コミュニティは抵抗していますが、政府と警察の助けを必要としています。政府と警察は違法行為の手助けをするのを止め、むしろ人々と農地と森林を守るべきです」と声を上げました。
コリンド社の財務、企業構造および海外ペーパーカンパニーの調査では、さらに多くの反倫理的行為や違法行為の事例が明らかになっています。その中には、シンガポールのペーパーカンパニーを通じて融資契約および財務諸表に関する虚偽の情報や、誤解を招く情報を提供したことも含まれます。「ペリラス:コリンド、土地強奪と銀行」報告書はまた、コリンド社の違法行為や人権侵害への関与に融資し、そこから利益を得ている銀行と投資家に責任があることも強調しています。コリンドへの資金提供者とビジネスパートナー、主にBNI、三井住友フィナンシャルグループ(SMBC)、ヒョースン(Hyosung )、住友林業、王子ホールディングスは、コリンド社の事業拡大に重要な役割を果たしてきました。
RANのハイネケンは「SMBCは東京2020ゴールドパートナーで、コリンドの子会社に融資しただけでなく、同社の取引先の住友林業や合弁パートナーの王子ホールディングスの主な資金提供者でもあります。さらに、東南アジアの熱帯林をリスクにさらしている企業への最大の資金提供者です。(注4)今年6月、SMBCは森林セクターの投融資方針を導入し、同セクターのリスクに対処する上での重要な第一歩を踏み出しました。しかし、その方針は森林と人権をしっかり守るために強化されなければならず、顧客企業の事業だけでなく、そのサプライチェーンの事業についても考慮に入れる必要があります」と続けました。
両報告書は、インドネシア及び日本の関係当局に調査を含め、緊急かつ強力な措置を提言しています。さらに、悪質行為とのつながりが認められた東京五輪当局、インドネシアと日本の銀行や企業にはコリンド社との取引を即時解消することを求めています。
*両報告書に関する調査結果は、2018年6月から11月にかけてコリンド社に提示され、コメントと対応が求められました。コリンド社は、全ての法律および規制に完全に準拠して事業を行っており、自社を持続可能性におけるリーダー企業であると主張しています。両報告書にはコリンド社および、言及されている他企業のさらなる回答も記載されています。
*コリンド社が熱帯林破壊や違法な火入れに関与したのは今回が初めてではありません。参考:ロイター、“Korean firm burns rainforest for palm oil in Indonesia, report says”(2016年9月2日)
*高解像度写真や証言映像はこちら
北マルク州・ガーネのコミュニティの証言動画①(英語、インドネシア語)
北マルク州・ガーネのコミュニティの証言動画②(日本語、インドネシア語)
注1)「守られなかった約束: 東京2020年大会と日本の金融機関 〜事例研究:インドネシアの熱帯林破壊及び 土地収奪との関わり〜 (Broken Promises)」
日本語
英語
注2)「ペリラス:土地収奪と銀行」(英語)
注3)東京2020組織委員会、「持続可能性に配慮した木材の調達基準」の実施状況に関するフォローアップについて」、2018年7月2日
注4)「森林と金融」データベースを参照
森林リスク部門に関する「銀行の方針評価まとめ」でSMBCは50点満点の内22点の評価を得ている。
レインフォレスト・アクションネットワーク(RAN)は、米国のサンフランシスコに本部を持つ環境NGOです。1985年の設立以来、環境・森林保護で最前線に立つ人々とのパートナーシップと戦略的キャンペーンを通じて、環境保護と先住民族や地域住民の権利擁護活動をさまざまな角度から行っています。
TuKインドネシアは、政策やプログラム及び農業関連産業分野、天然資源管理で、国家及び非国家アクターによる人権と社会的公正の尊重、保護、達成の実現を求めるNGOです。
WALHI は、インドネシアで最も大きく歴史ある環境政策アドボカシーNGOです。国内31州の内27州に独立した事務所と草の根の構成団体があります。WALHIは、天然資源へのアクセスに関する農業紛争、先住民族の権利、森林破壊など多くの問題に取り組んでいます。
プロフンド(Profundo)は、オランダを拠点とする独立系非営利企業です。国際的な産品供給プロセス、金融セクター、政策構築、そして持続可能性におけるあらゆる側面で企業と投資家が与える影響において、事実に基づいた研究と助言を提供しています。
※動画へのリンクと一部写真を追加しました(2018年11月13日、11月21日)
レインフォレスト・アクション・ネットワーク
本件に関するお問い合わせ
広報 関本 Email: yuki.sekimoto@ran.org
「東京オリンピック・パラリンピック競技大会組織委員会は3日、持続可能な調達ワ ーキンググループ(WG)を開き、現在運用されている木材の調達基準について、見 直しを含めた検討を行った。熱帯林関係のNGOから「書かれている基準を形の上で 守っているだけでは不十分ではないか」との指摘が出ていることを受けたもので、 熱帯産木材を中心にリスク把握と対応策を検討する。計5回の開催を予定しており、 1回目はNGO等からリスクに関して聞き取りを行った。今後企業や政府、認証機関 等から取り組みを聞き、それを踏まえた意見交換を経て10月中のとりまとめを目指 している。・・・
「国際環境NGO「350.org Japan」は、温暖化を悪化させる地球環境に無責任な銀行「無責任銀行ジャパン大賞2018」として、三菱UFJフィナンシャルグループを選んだ。化石燃料への融資の多さがその選考理由となった。メガバンク他行では、みずほ銀行が石炭火力への融資の多さ、三井住友銀行は東南アジアでの森林破壊への関与が、グリーンピース・ジャパンやレインフォレスト・アクション・ネットワークなどの環境NGOから指摘された。(略)
環境NGO「レインフォレスト・アクション・ネットワーク」(RAN)のシニアキャンペーナー、ハナ・ハイネケン氏は「熱帯林伐採やそれに伴う森林火災、膨大な炭素をためこむ泥炭地の破壊は、温暖化を促進させています」と訴える。「しかし、熱帯林を保護すること、つまりCO2の排出源ではなく吸収源にすることで、トータルのCO2排出量を最大で3割減らすことができます」記事を読む
三井住友FG株主総会会場前で株主にアピール
「森林と人権を守るリーダーになってください」
〜森林破壊企業への資金提供停止を求める署名 約2万筆提出〜
環境NGOレインフォレスト・アクション・ネットワーク(本部:米国サンフランシスコ、日本代表部:東京都新宿区、以下RAN)は、本日28日、三井住友フィナンシャルグループ(SMFG)の第16期定時株主総会に参加し(注1)、同社の銀行業務における森林セクターの方針強化を求めるよう、会場前で株主にアピールしました。また本日の株主総会前に、SMFGへ署名19,581筆を電子メールで提出し、森林破壊と人権侵害を起こす企業への融資を即時停止するよう求めました。
RANのスタッフやボランティア8人は、株主総会会場の東京・丸の内の三井住友銀行本店ビルの前で「三井住友フィナンシャルグループ:森林と人権を守るリーダーになってください」と書かれたバナーを掲げ、環境・社会・ガバナンス(ESG)に関する投融資方針を強化すべきであるとアピールしました。また、森林破壊に脅かされるインドネシアのNGOとして現地の声を届けるために、TuK (トゥック)インドネシア副代表のエディ・ストリスノもアピール活動に参加しました。
RAN 責任ある金融シニアキャンペーナー ハナ・ハイネケンは「三井住友フィナンシャルグループは、先週、事業別融資方針の制定を発表し、環境・社会的責任を果たすための取り組みを進めてきました。しかし、SMFGは気候変動リスクのある石炭やタールサンドなどの化石燃料、熱帯林破壊や人権侵害を起こすパーム油や紙パルプなどの部門への主要な資金提供者となっています。このような事業への資金提供は同グループをESGリスクにさらすとともに、業界のリーダーとなれるはずの立場を危うくしています。パリ協定やSDGの森林減少阻止目標を達成するため、SMFGはESGに関する投融資方針を飛躍的に強化すべきです」と訴えました。
会場前では株主たちに『三井住友フィナンシャルグループの環境・社会・ガバナンス(ESG)の実績に関する独立評価レポート:森林と人権保護の金メダルを目指して』(注2)を配布し、情報提供も行いました。SMFGが、極度に環境へ悪影響を与える化石燃料に16.5億米ドル、東南アジアの熱帯林をリスクにさらす産品へ約4億米ドルの融資・引受を2016年に提供していたことや、インドネシアで児童労働を含む人権侵害、違法行為、森林破壊に関与する企業とつながっている事例を紹介しました。そして、SMFGは金融ポートフォリオで企業価値に悪影響を及ぼすESGリスクを評価及び開示すべきであると提言しました。
また、株主総会前の本日早朝、オンライン署名「Big Banks Financing Forest Destroyers(大手銀行、森林破壊者に資金提供)」(注3、英語)19,581筆を、SMFGに電子メールで提出しました。本署名はRAN本部のウェブサイトで6月26日と27日の2日間に集中して実施したもので、SMFGに、森林破壊と人権侵害を起こし、現地コミュニティを脅かす企業への資金調達を即時停止するよう求めています。
*SMFGは事業別融資方針を6月18日に制定し、石炭火力発電所、アブラヤシ農園開発および森林伐採を「環境や社会へ大きな影響を与える可能性が高い」事業として特定しました(注4)。
注1) RANは、森林セクターでの金融機関の責任と方針強化を求め、株主総会への参加のために、三井住友FG、三菱UFJフィナンシャル・グループ、みずほフィナンシャル・グループの株式を最小単位で(100株)購入しています。
注2)三井住友FGは、持続可能性への取り組みをうたう2020年東京オリンピック・パラリンピックのゴールドパートナー(スポンサー企業)です。※当日の配布資料をご希望の場合はご連絡ください。
注3)署名URL:https://www.ran.org/financing_destroyers
注4)三井住友FG「トップコミットメント」
三井住友FG「人権尊重に係る声明」
三井住友銀行「事業別融資方針の制定およびクレジットポリシーの改定について」
レインフォレスト・アクション・ネットーク(RAN)
2018年6月29日(金)13時15分より、環境NGOレインフォレスト・アクション・ネットワーク(本部:米国サンフランシスコ、以下RAN)は、東京・丸の内で、報道関係、商社および金融関係、CSR関係の皆さま向けに「ESGセミナー:森林リスクと金融セクターの役割〜東京五輪とインドネシアの違法伐採〜」を開催いたしますので、ご案内申し上げます。
本セミナーは、森林破壊に脅かされるインドネシアのNGOを迎え現地の声を届けるとともに、木材、紙パルプ、パーム油セクターにおける森林破壊、違法伐採、人権侵害という「環境・社会・ガバナンス(ESG)リスク」と、そのような「森林リスク」に対処するための金融セクターの役割について、社会的責任投資フォーラム(JSIF)会長の荒井勝氏と高崎経済大学教授の水口剛氏をコメンテーターに迎えて議論します。RANのハナ・ハイネケンからはインドネシアにおける違法伐採と先住民族の権利侵害との日本市場及び東京五輪とのつながり、そして金融機関や投資家の取り組みを紹介します。
熱帯林は気候変動の緩和に重要な役割を果たし、国連の持続可能な開発目標(SDGs)の「目標15: 陸の豊かさも守ろう」は、実質上 2020年までに「森林破壊ゼロ」を約束しています。しかし、今年2月、新国立競技場など東京五輪施設の建設で、環境・社会面でリスクの高い南洋材が大量に使用されていることが明らかになりました。パリ協定とSDGsの目標を達成するためには、森林リスクに対処することがますます重要です。
【日時】 2018年6月29日(金)13:15~15:00/受付開始12:45
13:15-13:30 開会・森林セクターにおけるESGリスクと金融セクターの責任、東京五輪との関連
ハナ・ハイネケン/RAN 責任ある金融シニア・キャンペーナー
13:30-14:05 インドネシアでの違法伐採、汚職、人権侵害、および金融セクターの役割
エディ・ストリスノ/TuK インドネシア副代表(※日/インドネシア逐次通訳)
14:05-14:30 コメント
水口 剛/高崎経済大学教授
荒井 勝/NPO 法人社会的責任投資フォーラム(JSIF)会長
14:30-15:00 質疑応答
【会場】 AP東京丸の内 (東京都千代田区丸の内1-1-3 日本生命丸の内ガーデンタワー3階)
TEL.03-5224-5109 JR「東京駅」、東京メトロ「大手町駅」から徒歩約4分
【参加費】 無料 【定員】 80名
【主催】 レインフォレスト・アクション・ネットワーク(RAN)
【協力】 地球・人間環境フォーラム、熱帯林行動ネットワーク(JATAN)
【参加申込】 お申し込みフォームにてお申し込みください。
※フォーム記入ができない場合、「6/29 ESGセミナー申し込み」と件名に明記の上
1)お名前、2)ふりがな、3)ご所属(組織名・部署名等)、4)Eメールアドレス、5)電話番号を、
メールにてevent@gef.or.jpまで送付ください。
【問い合わせ先】
レインフォレスト・アクション・ネットワーク TEL 03-3341-2022(川上、関本)
地球・人間環境フォーラムTEL03-5825-9735(坂本)
「レインフォレスト・アクションネットワーク(RAN)」は、米国のサンフランシスコに本部を持つ環境NGOです。1985年の設立以来、環境に配慮した消費行動を通じて、森林保護、先住民族や地域住民の権利擁護、環境保護活動をさまざまな角度から行っています。
レインフォレスト・アクション・ネットワーク(RAN)