サンフランシスコに本部を持つ米国の環境NGO RAINFOREST ACTION NETWORKの日本代表部です

NGO共同声明:米国で初めて大手保険会社が石炭事業の保険引き受け及び投融資の中止を表明 (2019/7/2)

2019年7月1日(米国時間):本日、アメリカの最大手民間保険会社であるChubb (チャブ、NYSE: CB)が気候変動の危機に立ち向かうべく、新しい方針を発表した。同方針によれば、Chubbは2022年までに新規石炭火力発電事業の保険引き受けを中止し、石炭採掘企業の保険引き受けを停止する、また、Chubbは石炭火力が発電割合の30%以上を占める電力会社の保険引き受けを制限し、かつ、直ちに石炭関連企業への新規投融資を中止するとのことである。

レインフォレスト・アクション・ネットワークの事務局長Lindsey Allenは、「同方針によってChubbは、気候変動の危機を止める役割を持つ保険会社として、その重要な役割を認識した初めてのアメリカの保険会社となった。保険の引き受けなしでは新規石炭事業は建設されない。今回の方針発表は、いまだに世界中で石炭事業を拡大している数十の企業にChubbが大打撃を与えたことを意味する。我々はChubbが気候変動対策のための真のアクションに踏み切り、より健全な未来に保険をかけたことで大いに勇気付けられた」と述べた。

Chubbは世界最大の損保会社であり、アメリカの電力セクターにおける保険市場のリーダーである。California Department of Insurance’s Climate Risk Carbon Initiative のデータベースによると、最近Chubb及びChubbの子会社だけで少なくとも29億米ドルを化石燃料関連企業に投融資している。過去9ヶ月間、ChubbはInsure Our Futureキャンペーンからのプレッシャーを受けてきた。Insure Our Futureキャンペーンとは、アメリカの保険業界が石炭・タールサンド事業及び関連企業への保険引き受けと投融資を中止するように促すキャンペーンである。

シエラクラブのBeyond Coal campaignのディレクターMary Anne Hittは「Chubbの発表は、世界中で石炭の保険引き受けが不可になっているという明らかなシグナルである。ヨーロッパ及びオーストラリアの15の保険会社がすでに石炭業界への保険を制限している。この世界的な潮流にアメリカの保険会社が賛同したことによって、政府及び電力関係者は保険業界が脱石炭に動いていることに直面するだろう」とコメントした。

2年前、Insure Our Futureも参加する国際キャンペーンであるUnfriend Coalキャンペーンが設立され、ヨーロッパから14の保険会社、オーストラリアから1つの保険会社が気候変動対策のための方針を発表した。そのうち8つの方針は、今後さらにそのスコープを拡大していくものとして最近6ヶ月に発表された。先週は、チューリッヒ保険がタールサンドセクターへの関わりを制限する3社目の保険会社となった。

Insure our Future上級ストラテジストのRoss Hammondは、「石炭事業及び企業への保険引き受けを制限したChubbのようなアメリカの主要保険会社はゲームチェンジャーである。同社は、新規石炭採掘事業を除外し、パリ協定に整合するように全ての保険引き受け及び投融資において脱石炭を行い、さらに、壊滅的なタールサンド業界への保険引き受けも中止するよう、方針をさらに強化するべきである。Liberty Mutual、AIGや他の米国保険会社もChubbの動きに加わり、気候変動の悪化を止めるために果たすべき役割をしっかり認識し、化石燃料支援をやめることが求められている」と述べた。

Insure Our Futureは350.org、Indigenous Environmental Network、グリーンピース、レインフォレスト・アクション・ネットワーク、Public Citizen及びシエラクラブと他のNGOによって運営されている。

プレスリリース日本語版への補足(本プレスリリースの日本語版配信に当たって、以下のステートメントを追加しました):

「環境・持続社会」研究センター(JACSES)理事の田辺有輝は、「欧州の損害保険会社に続いて、今回、米国の損害保険会社が石炭事業への保険の引き受け停止方針を発表した。当然ながら、世界の損保業界の主要プレーヤーの一角を占める日本の3損保(東京海上、MS&AD、SOMPO)の対応に国際的な注目が集まるだろう。この国際潮流に乗って、日本の3損保も石炭事業への保険の引き受け停止方針を表明するべきである。」と述べた。

英語のプレスリリースはこちら

日本の問い合わせ先:
「環境・持続社会」研究センター(JACSES)、田辺有輝03-3505-5553 / tanabe@jacses.org

米国の問い合わせ先(英語):
Myriam Fallon, Sunrise Project, +1-708-546-9001 / myriam@sunriseproject.net
Ayse Gürsöz, レインフォレスト・アクション・ネットワーク(RAN), +1-650-391-6443 / Ayse@ran.org
Jeff Shaw, Sierra Club, +1-503-551-3615/ jeff.shaw@sierraclub.org