プレスリリース:東京五輪スポンサー日清食品に「森林破壊フリーの東京五輪に!」署名開始〜問題あるパーム油を使わないで〜 (2019/8/21)
〜「即席ラーメン記念日」を前に、日清食品にパーム油調達方針の強化を求めて〜
環境NGOレインフォレスト・アクション・ネットワーク(本部:米国サンフランシスコ、日本代表部:東京都渋谷区、以下RAN)は、本日21日、日清食品ホールディングスにパーム油調達方針の強化を求めて、「日清食品さん、森林破壊フリーの東京五輪に! 〜問題あるパーム油を使わないで〜」署名の日本語版を開始しました(注1)。
東京2020大会まで1年を切り、同社に東京五輪スポンサー企業として、パーム油調達の方針強化を実施するよう、日本の消費者と共に働きかけていきます。日清食品は8月25日を「即席ラーメン記念日」とし、1958年のこの日に「チキンラーメン」を初めて発売したことにちなんでいます。
本署名は、署名サイト「change.org」で展開され、宛先は日清食品ホールディングス安藤宏基取締役社長 CEOです。日清食品が「持続可能性」を追求する東京2020五輪・パラリンピックの「オフィシャルパートナー」(スポンサー)であることから、環境面・社会面におけるパーム油調達方針の強化が求められます。パーム油は同社の看板商品である『カップヌードル』の揚げ油として利用されていますが、アブラヤシ農園開発による熱帯林破壊や、生産国での人権侵害など多くの問題が指摘されています。方針の具体的な強化内容としては、森林破壊ゼロを基本に、インドネシアやマレーシアなどパーム油生産国の熱帯林及び泥炭地の保護、アブラヤシ農園での労働権保護、先住民族や地域コミュニティの土地権を含む人権尊重が挙げられます。英語版の署名(注2)は2018年1月18日より開始し、これまで米国を中心に16,800筆が集まっています。
【日清食品のパーム油調達方針と実施について】
日清食品グループでは、今年から持続可能なパーム油円卓会議(RSPO)の認証油の利用を開始しました。しかし「マスバランス」(MB)と呼ばれる方法による調達で、非認証パーム油が混入されています。そのため、パーム油産業が引き起こしている森林破壊や気候変動への影響、様々な人権侵害といった問題への対応は困難です。
日清食品ホールディングスのウェブサイトによると、現在のグループ全体のRSPO認証パーム油使用量の比率は20%程度にとどまっています。同社は、2025年までにその比率を25%にまで高めることを目標としていますが、それでは不十分です。利用する全てのパーム油について、森林破壊や人権侵害などの、問題がある農園や企業から調達されていないかどうかを確認する「NDPE方針(森林破壊禁止、泥炭地開発禁止、搾取禁止)」を採択するなど、責任ある調達に早急に取り組む必要があります。すでにネスレ、ハーシーズ、ケロッグ、ユニリーバなどの欧米企業は、NDPE方針の実施に取り組んでいます。
【日清食品のパーム油調達における取り組みの経過】
RANは、2013年に「スナック食品20キャンペーン」を開始し、日清食品に調達方針の策定及び問題点への対応を求める要請文を送付しました(注3)。日清食品はこれを受けて、パーム油調達方針を策定。同年、日清食品USAがRSPOに加盟しました。現在はRSPO認証油を全て利用していますが、非認証油が混入されているMBです。続いて日清食品ハンガリーも2016年にRSPOへ加盟し、現在は、非認証油の混入がない「セグリゲーション」(SG)のRSPO認証油を全て利用しています。
日清食品ホールディングスは2017年10月にRSPOへ加盟。日本では、2019年3月からRSPO認証油を利用開始していますがMBです。
注1)RAN「日清食品さん、森林破壊フリーの東京五輪に! 〜 問題あるパーム油を使わないで〜」署名
注2)RAN英語版署名「Olympic Sponsor Nissin Foods At Risk of Conflict Palm Oil」
注3)RAN「スナック食品20キャンペーン」は、20社の食品・菓子企業に、パーム油の調達方針の強化と、問題あるパーム油の排除を求めて、2013年に開始したキャンペーンです。日本からは日清食品と東洋水産が対象企業の20社に入り、調達方針制定と対応の遅れが指摘されました。英語のウェブサイトはこちら。
レインフォレスト・アクション・ネットワーク
本件に関するお問い合わせ
広報 関本 Email: yuki.sekimoto@ran.org