サンフランシスコに本部を持つ米国の環境NGO RAINFOREST ACTION NETWORKの日本代表部です

プレスリリース『森林と金融』メガバンク等の森林方針の評価を発表(2021/6/22)

〜世界のトップ50銀行・投資機関、不十分な方針と多額の投融資で森林破壊を加速〜
三菱UFJは高評価も方針適用が限定的、GPIFは低評価(7月9日更新)

環境NGOレインフォレスト・アクション・ネットワーク(本部:米国サンフランシスコ、日本代表部:東京都渋谷区、以下RAN)他7団体は、6月8日に『森林と金融』データベース(注1)のウェブサイトをリニューアルし、世界最大手54金融機関(銀行と投資機関)の森林関連方針を新たに評価・分析した結果、総じて方針が不十分であると指摘しました。

本データベースを用いた分析の結果、対象金融機関による森林をリスクにさらす産品(以下、森林リスク産品)への多額の金融サービスが明らかになり、不十分な方針のもとで森林リスク産品への多額の投融資が行われ、森林破壊を加速させていると結論づけました。

対象となった金融機関には日本のメガバンク3行、年金積立金管理運用独立行政法人(GPIF)なども含まれます。メガバンクの方針評価は平均(2.4ポイント)以上だった一方、GPIFの方針は0.6ポイントと低評価でした。

1位 ABNアムロ(7.1ポイント)
2位 ラボバンク(6.8ポイント)
3位 ノルウェー政府年金基金(6.5)
7位 三菱UFJフィナンシャル・グループ(MUFG)(5.4ポイント)
13位 みずほフィナンシャルグループ(3.9ポイント)
16位 三井住友フィナンシャルグループ(3.3ポイント)
24位 野村グループ(2.6ポイント)
30位 三井住友トラスト・グループ(1.9ポイント)
39位 年金積立金管理運用独立行政法人(GPIF)(0.6ポイント)

【概要】

『森林と金融』は、東南アジア、ラテンアメリカ、中央・西アフリカにおける紙パルプやパーム油など森林リスク産品への資金流入を包括的に分析したオンラインデータベースです。金融商品、銀行・投資機関、国・地域、企業グループ、年、部門別に検索が可能です。今回の調査対象となった54金融機関は、森林リスク産品セクターの企業を投融資先とする銀行および投資機関で、銀行には日本のメガバンク3行、バンクオブアメリカ、中国工商銀行(ICBC)など、投資機関には年金積立金管理運用独立行政法人(GPIF)、ブラックロック、バンガードなどが含まれます。

今回の調査では、森林リスク産品セクターのサプライチェーンに直接関わり、その事業が東南アジア、ラテンアメリカ、中央・西アフリカ(コンゴ盆地含む)の天然熱帯林に影響を与える可能性がある企業200社以上に対して行われた金融サービス を分析しています。

●対象事業地域:世界三大熱帯林地域である東南アジア、ラテンアメリカ(アマゾン)、中央・西アフリカ(コンゴ盆地)
●対象産品:牛肉、パーム油、紙パルプ、天然ゴム、大豆、木材
●対象期間:融資・引受は2016年から2020年4月、債券・株式保有は2021年4月時点

【主な分析結果】

方針評価:各金融機関の森林関連方針を環境・社会・ガバナンス(ESG)の3分野35項目の基準で評価した結果、総じて低評価で、10ポイント満点で平均2.4 ポイントだった(注2)。上記6産品セクターへの投融資の大半は、顧客企業の基準の検証はおろか、ESGの基本的な書類確認も行われていないことが判明した。
金融サービス:対象金融機関の金融サービスの合計を調査・分析。その結果、森林リスク産品への融資・引受額はパリ協定締結以降の2016年から2020年4月で1,280億米ドル、株式・債券の保有額は2021年4月時点で280億米ドルであることがわかった。
●メガバンクの方針がこの数年で改善した一方(注3)、野村グループ、三井住友トラスト・グループ、年金積立金管理運用独立行政法人(GPIF)の方針は低いままである。

RAN 責任ある金融シニアキャンペーナー ハナ・ハイネケンは「邦銀の森林セクターに関する方針が毎年改善されていることは評価できます。特に、みずほとMUFGが国際基準であるNDPE基準を方針に盛り込んだことは重要です。しかし実際に、方針が投融資先企業の現地の事業で遵守されているかどうかを確認する必要があります。それがない限り、方針の効果は限定的です。
一方、MUFGは方針で高評価を得ながらも、インドネシアの子会社であるバンクダナモンにはMUFGの方針は適用されていません。バンクダナモンは問題あるパーム油大手企業に資金を提供しているため、大きな抜け穴となっています。方針が改善されながらも、森林や泥炭地の破壊、さらに人権侵害に関わりのある企業との取引が継続しています。今後、方針の実施状況をモニタリングしていく必要があります」と指摘しました(注4)

今回の調査では、森林リスク産品企業への投資額が372億米ドル(2020年4月時点)から453億米ドル(2021年4月)に増加し、新型コロナウイルスの世界的流行と同時期に、投資機関が森林破壊への投資を増やしていたことも明らかになりました。2020 年だけでも1,220万ヘクタールの熱帯林が失われました(注5)。

森林生態系の破壊は、新型コロナのような新たな人畜共通伝染病の出現との相関を指摘する研究もあり(注6)、森林破壊を止めることが将来のパンデミックを防ぐためにもきわめて重要です。

注1)「森林と金融」データベース(日本語は準備中)

「森林と金融」ブリーフィングペーパー(2021年6月22日更新)

銀行方針評価まとめ(英語:右上のオレンジのボタンからダウンロード可能)

「森林と金融」協力団体:レインフォレスト・アクション・ネットワーク、TuKインドネシア、プ ロフンド(Profundo)、レポーターブラジル、アマゾン・ウォッチ、バンクトラック、Sahabat Alam マレーシア、FoE US。各団体からのコメントは英語のプレスリリースをご覧ください。

注2)方針評価の方法論:54の大手銀行・投資機関の公開されている方針を環境・社会・ガバナンス(ESG)の3分野35項目の基準で採点・分析。各金融機関が基準項目に明確に取り組み、対象企業とサプライヤーに基準を適用していれば10点、サプライヤーに基準が適用されていないなど部分的遵守は8.5点とした。そして35項目の合計得点を0から10ポイントに標準化した。また産品別でも採点され、各金融機関の投融資額の合計に各産品事業が占める割合を算出し、荷重計算の上、合計した数字を総合得点とした。

評価基準35項目の概要:
●環境分野(10項目):森林破壊禁止、泥炭地開発禁止など
●社会分野(10項目):先住民族や地域コミュニティの権利尊重(自由意思による、事前の、十分な情報に基づく同意(FPIC)原則の実施)など
●ガバナンス分野(15項目):投融資の透明性、汚職規制、情報開示など

注3)NGO共同プレスリリース「日本のメガバンク3行の気候関連ポリシー比較を公表:総合評価ではみずほがトップ」、2021年6月21日

参考資料:NGO共同プレスリリース「三菱UFJフィナンシャル・グループ(MUFG)へ気候変動に関する株主提案を提出」、2021年3月29日 

注4)RAN、TuKインドネシア、ジカラハリ「三菱 UFJ、森林リスク産品セクターの ESG 方針で後れ:インドネシア子会社 バンクダナモンは方針適用から除外」、2021年4月

注5)Fiona Harvey, “Destruction of world’s forests increased sharply in 2020”, The Guardian, 21 March 2021

注6)Laura S. P. Bloomfield, Tyler L. McIntosh & Eric F. Lambin, “Habitat fragmentation, livelihood behaviors, and contact between people and nonhuman primates in Africa”, Landscape Ecology volume 35, pages 985–1000 (2020)

【7月9日追記】
6月22日時点では、6月8日にグローバルで発表した方針評価を掲載していました。その後、日本の金融機関の方針をレビューして方針評価を更新しました。更新内容は以下の通りです。

三菱UFJフィナンシャル・グループ(MUFG)(8位:5.1ポイント)→7位 5.4ポイント
みずほフィナンシャルグループ(14位:3.8ポイント)→13位 3.9ポイント
三井住友フィナンシャルグループ(19位:3.1ポイント)→16位 3.3ポイント
31位 三井住友トラスト・グループ(31位:1.8ポイント)→30位1.9ポイント

参考:「森林と金融」ウェビナー(2021年6月11日実施、日本語訳)

団体紹介
レインフォレスト・アクション・ネットーク(RAN)は、米国のサンフランシスコに本部を持つ環境NGOです。1985年の設立以来、環境に配慮した消費行動を通じて、森林保護、先住民族や地域住民の権利擁護、環境保護活動をさまざまな角度から行っています。2005年10月より、日本代表部を設置しています。

本件に関するお問い合わせ先
レインフォレスト・アクション・ネットワーク
東京都渋谷区千駄ヶ谷1-13-11-4F
広報:関本 Email: yuki.sekimoto@ran.org