日本での活動
紙パルプ
インドネシアの紙パルプ産業の代表的企業であるAPP社(Asian Pulp & Paper)とAPRIL社(エイプリル、Asia Pacific Resources International Holdings Ltd)は、広大な熱帯林を産業植林地に転換してしまいました。その熱帯林の中には「地球の火薬庫」と呼ばれる泥炭湿地も含まれています。泥炭湿地の開発や植林事業では大量の二酸化炭素やメタンが大量に発生して、気候変動にとって深刻な脅威になることも指摘されています。また、これらの植林地では、地域住民との土地紛争が多発しています。
近年、日本で購入される輸入コピー用紙は増加してきており、その大半はインドネシアからのものです。インドネシアからのコピー用紙は、その多くがAPP(Asian Pulp & Paper、インドネシア最大級のコングロマリット、シナルマスグループの中核企業の一つ)社からのものです。これに次ぐ企業としてAPRIL(エイプリル)社(Asia Pacific Resources International Holdings Ltd)があり、これら2社で、インドネシア製コピー用紙のほとんどを占めています。最近は、コピー用紙のみならず、ティッシュやトイレットペーパー、ノート、印刷物などの製品も拡大してきています。
インドネシアの紙パルプ産業の代表的企業であるAPP社とAPRIL社は、広大な熱帯林を産業植林地に転換してしまいました。その熱帯林の中には「地球の火薬庫」と呼ばれる泥炭湿地も含まれています。泥炭湿地の開発や植林事業では大量の二酸化炭素やメタンが大量に発生して、気候変動にとって深刻な脅威になることも指摘されています。また、これらの植林地では、地域住民との土地紛争が多発しています。
私たちはインドネシアの森林や野生動物、そして地域住民の生活を守るために、現地で起きている問題を伝えながら、現地での問題解決のために日本での紙購入行動を環境・社会配慮した形へと変えていくための活動を行っています。
社会的責任に関する誓約遵守におけるAPPの実績
APPの企業プロフィールと問題点
問題のコピー用紙
Beyond Paper Promises(英文)
パーム油
パーム油はアブラヤシの果実から搾油されたもので、日本においても加工食品向け(8割)や洗剤向け(2割)に利用されてきており、その量は年々増加してきています。パーム油の問題点は日本でも徐々に知られるようになってきていますが、パーム油を扱う企業の中で責任あるパーム油調達に向けての調達方針の策定に至っている企業は非常に少ない状況です。紙パルプ産業と同様に、パーム油を得るためのアブラヤシ農園開発は、天然林の転換を行い、絶滅危惧種の生息地や地域住民の森林利用を抑制することにより、泥炭湿地開発も伴うことから気候変動に対しても大きな脅威になっています。また、地域住民との土地紛争も多発しています。加えて、収穫作業等において多数の労働者を必要とするのですが、その労働条件が劣悪で労働者の人権問題が深刻な場合も多く見られます。
私たちはパーム油利用企業に対して、これらのアブラヤシ農園による問題を知らせるとともに、企業による責任あるパーム油調達方針の策定を通じて、現場での問題解決を促進するための活動を行なっています。またプランテーション問題に取り組む団体により構成されたネットワーク「プランテーション・ウォッチ」に参加しています。
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プランテーション・ウォッチ
パーム油調達ガイド
金融
パリ気候協定では、地球温暖化を摂氏 1.5度未満に制限することを国際社会が誓約しており、そのために化石燃料から脱却するだけでなく森林減少を制限する低炭素経済への迅速な移行が必要です。このような背景のもと、世界では化石燃料への投資から資金を引き揚げる動きがある一方で、日本の銀行セクターは、東南アジアの熱帯林や地域住民を危険にさらしながら紙パルプ、パーム油、木材、天然ゴムの生産・流通に携わる企業の主要な資金提供者となっています。欧米の銀行では、森林セクターでの環境・社会・ガバナンス(ESG)リスクに対処するためのセーフガード方針を公表する銀行が増えていますが、日本の主要な民間銀行では、これらのESGリスクに対処するための投融資方針やデュー・ディリジェンスの仕組みの策定には至っているところはありません。そのために、熱帯林減少や泥炭地開発を通じた気候変動リスクや生物多様性の喪失、強制労働や児童労働といった労働者の人権侵害、地域住民との土地紛争を引き起こしているような企業への融資も行われています。私たちは、東南アジアの現場での問題解決に向けて、具体的な問題事例の情報収集とその提供を通じて、日本の金融機関において責任ある投融資行動が実践されることを求めて活動しています。
2020年東京オリンピック競技大会
オリンピックにおいては、2020年の東京大会に向けて、環境的、社会的、経済的なオリンピック・レガシーとして、責任ある調達を通じた持続可能な社会の形成が期待されています。東京オリンピック・パラリンピック競技大会組織委員会においては、木材、紙、パーム油等の森林に影響を及ぼす産品についての調達方針を策定することとなっています。そこで、この機会を捉えて私たちは、これまでの取り組みで得た知見に基づいて、これらの熱帯林リスク産品セクターに対処するための調達方針が適正に策定されるよう当委員会へ働きかけています。その調達方針が広く関連業界で採用されることによる、長期的なオリンピック・レガシーとしての好ましい影響により、現場での問題解決と問題回避につなげたいと考えています。
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東京オリンピック施設の人権侵害、熱帯林破壊、違法伐採リスクをIOCに警告