サンフランシスコに本部を持つ米国の環境NGO RAINFOREST ACTION NETWORKの日本代表部です

共同プレスリリース:「化石燃料ファイナンス報告書 2026」発表 〜世界65銀行、パリ協定以降に8.7兆ドルを提供(2026/6/9)

〜2025年の提供額は9,064億ドル、米2行に続き三菱UFJが3位、みずほ4位、SMBC9位〜

レインフォレスト・アクション・ネットワーク(RAN)
特定非営利活動法人 気候ネットワーク
国際環境NGO マーケット・フォース

米環境NGO レインフォレスト・アクション・ネットワーク(本部:米国サンフランシスコ、日本:東京都渋谷区、以下RAN)をはじめとするNGOは本日9日、新報告書『化石燃料ファイナンス報告書2026〜気候カオスをもたらす銀行業務〜』(注1、第17版、 日本語要約版、英語名: Banking on Climate Chaos 2026)を発表しました。

本報告書は、世界の上位65行による約2,900社の化石燃料企業への融資・引受をまとめた年次報告書です。分析の結果、2025年に銀行から化石燃料産業に提供された金額は9,064億ドルで、2024年に比べて8%増加したことがわかりました。 また、パリ協定発効後の10年間に、石油、ガス、石炭企業に提供された金額は8.7兆ドルでした。本報告書は、民間銀行による化石燃料への資金提供に関する世界で最も包括的なオープンデータです。

図1:「化石燃料ファイナンス」2025年世界ランキング(化石燃料全部門への融資・引受額、単位=米ドル)

報告書では、JPモルガン・チェースが今回も世界最大の化石燃料資金提供者で、2025年には化石燃料企業に580億ドルを投じ、前年比で12.6%増加したことも明らかにしています。続いてバンク・オブ・アメリカが2位で470億ドル、日本の三菱UFJフィナンシャル・グループ(MUFG)が470億ドルで3位となり、前年比で21%も増加しました。 他のメガバンクはみずほフィナンシャルグループ(みずほ)が4位、三井住友フィナンシャルグループ(SMBC)が9位でした。これら化石燃料ファイナンス上位12行の提供額は、約2,000に及ぶ世界の銀行による総額の40%近くを占めています。

また、化石燃料事業を積極的に拡大している企業への資金提供額は2025年に27%急増し、5,080億ドルに達しました。このような資金提供は、地球温暖化を1.5度に抑えるという目標とは相容れないものです。

2020年代のエネルギー危機(ロシアによるウクライナ侵攻と、米国とイスラエルによるイラン攻撃)は、化石燃料への依存が世界的な不安定さの構造的要因であることを示しています。化石燃料を輸入する国々に住む世界人口の4分の3の人々が、供給が途絶えるたびにその代償を支払っています。

『化石燃料ファイナンス報告書2026』概要・主な調査結果

世界の主要民間銀行65行が化石燃料部門に行った資金提供(融資・引受)を示した包括的な報告書。化石燃料企業約2,900社への資金提供について調査・分析。対象期間は国際エネルギー機関(IEA)が「ネットゼロ・ロードマップ」(注2)を発表した2021年〜2025年で、年別、累計額を集計。化石燃料産業全体、化石燃料拡大企業への資金提供ごとに集計・分析(これまでと異なり、LNG (液化天然ガス)、オイルサンドなど部門別のランキングは発表しないが、上流・中流・下流の各部門別、および石油・ガス・石炭といった燃料別のデータは掲載している)。パリ協定が発効した2016年〜2025年の全体的な傾向の分析も一部掲載。

  • 化石燃料企業への資金提供(2025年):9,064億ドル(2024年比 +8%)
  • 化石燃料企業への資金提供(パリ協定発効以降、2016〜2025年):8.7兆ドル(石油、ガス、石炭部門)
  • 化石燃料拡大企業への資金提供(2025年):5,080億ドル(2024年比 +27% = 過去最高)
  • 米国の銀行による化石燃料への資金提供は世界総額の32%を占め、2021年の28%から増加し、世界最大の化石燃料資本の供給源となっている。欧州の銀行は明確な減少傾向を示している。 BNPパリバは化石燃料関連の取引を28%、UBSは36%、ラ・カイシャは34%削減した。一方、スタンダードチャータードは28%増加し、ドイツ銀行は20%、HSBCは16%増加した。
  • 気候変動対策における銀行の自主的な取り組みの効果が限定的であること、そしてより強い規制措置の必要性を強調している。「ネット・ゼロ・バンキング・アライアンス(NZBA)」の崩壊後、各行は方針を弱体化した。調査対象の北米の銀行15行のうち、12行は化石燃料に関する実質的な方針を持っていない。JPモルガン・チェースとゴールドマン・サックスは、石炭および北極圏へのファイナンスの除外方針を放棄し、状況に応じて対応するデューデリジェンス基準へと変更した。
  • 日本の3メガバンクは、2025年の資金提供でワースト12行に入った(MUFG 3位、みずほ 4位、SMBC 9位)。3行の合計額は1,250億ドルで、65行のうち3行だけで全体の13.7%以上を占めた。化石燃料事業を拡大している企業への2025年の資金提供額でもみずほが2位、MUFGが4位、SMBCが9位と上位を占めた。

図2:メガバンクによる化石燃料ファイナンスの比較(単位:百万米ドル)

図3:メガバンクによる化石燃料への資金提供(融資・引受)推移(単位:百万米ドル)

図4:メガバンクによる化石燃料拡大企業への資金提供(融資・引受)推移(単位:百万米ドル)

  • メガバンクは特にLNG事業の拡大を行う企業に資金提供を行っている。大規模なLNG拡大計画を持つ企業(注3)への提供額でMUFGが1位、みずほが3位、SMBCが5位となった(2025年)。3行による化石燃料ファイナンスの大部分は、米国に拠点を置く化石燃料企業に提供されている。

化石燃料部門別の動向・主な調査結果

(▲は2024年から2025年にかけて資金提供が増加したことを示す)

▲中流部門とLNG(メタンガス)ブーム:上位65行は2025年、化石燃料の中流事業を拡大する企業への資金提供額を前年比で184%、すなわち1,160億ドルも増加させた。銀行からの資金提供額が2025年に最も多かった3社は、いずれも石油・ガスの中流部門の事業者だった。LNGは最も急成長している分野だが、LNG輸出基地(ターミナル)へのファイナンスを排除する方針を定めている銀行は上位65行中わずか5行である。ベンチャー・グローバル社(米国、注4)は、化石燃料企業としては最大額の330億ドルを2025年に借り入れ、LNG企業が地政学的紛争を利用して巨額の利益を得ている実態を示している。

    ▲ 上流(生産・探索)への資金提供:1,920億ドルから2,170億ドルに増加。
    ▲ 中流(処理・貯留・パイプライン輸送)への資金提供:1,390億ドルから2,550億ドルに増加。
    ▲ ガス発電への資金提供:1,540億ドルから1,990億ドルに増加。

▲ 石炭採掘の拡大:2025年に資金提供額が77%急増し、現在は840億ドルに達している。

▲ 石炭火力発電の拡大:1年間で40%増加し、現在は810億ドルに達している。

執筆者および執筆団体からのコメント

ニコ・ルシアニ、RANリサーチ・ディレクター(共同執筆者)

「ウォール街の銀行の最大の関心は利益保護です。私たちの最大の関心は気候変動と人権保護です。2年連続で化石燃料ファイナンスが増加し、銀行方針の後退が続いた結果、示されたファイナンスのデータは明白です。銀行が自発的に気候危機への資金提供を止めることはありません。その証拠となる『領収書』は私たちの手にあります。今こそ、各国政府に行動を求める時です」

麻生 里衣 RAN責任ある金融キャンペーナー(日本担当)

「これ以上、世界は銀行による無秩序な資金提供を許すべきではありません。今年の報告書の結果を見れば、日本とアメリカの銀行が気候変動の影響に苦しむ世界中の人々に背を向け、自社の利益のみを追求していることは明らかです。

化石燃料への資金提供を急速に増やすアメリカに追従するかのように、資金提供を増やすメガバンクの傾向は、3行のリスク管理における重大な欠陥を示しています。エネルギー安全保障という切り札によって、深刻な人権侵害と健康被害に苦しむ現地コミュニティの声はもみ消されています。そして、メガバンクは情報提供を受けた上で、それでも資金提供を続けているのです」

賛同団体からのコメント

気候ネットワーク プログラム・コーディネーター 鈴木康子氏

「日本の3メガバンクは、依然として化石燃料産業への巨額の資金提供を続けており、いずれも2050年までに投融資ポートフォリオ全体の温室効果ガス(GHG)排出量を実質ゼロにする目標を掲げてはいるものの、その達成手段が見えてきません。世界では、気候変動対策に対する銀行の法的責任を問う訴訟リスクが顕在化してきています。気候危機を悪化させる事業、環境破壊や人権侵害が指摘されている事業に資金を提供する銀行および金融機関による融資責任が問われるべきです。化石燃料ファイナンスの削減を強く求めます」

マーケット・フォース、日本エネルギーファイナンスキャンペーナー、渡辺瑛莉氏

「MUFGが『ワースト12銀行』で過去最悪の世界第3位となり、みずほが化石燃料拡大への資金提供で世界第2位となったことは、日本のメガバンクにおける国際的な投資家からの信頼を致命的に失墜させるものです。

昨今の石油・ガス危機により、世界が益々再生可能エネルギーへ舵を切る中、MUFGが2030年目標を後退させ化石燃料への依存を深める経営姿勢は、気候やエネルギー安全保障のリスクを完全に見誤っています。

もはや単なる対話の段階は過ぎており、今年のメガバンクの株主総会で投資家は、気候・エネルギー関連のリスク管理監督を適切に果たしていないメガバンクの取締役の再選に明確に『No』を突きつけることで、リスク管理の改革を後押しすべきです」

『化石燃料ファイナンス報告書』はRAN、バンク・トラック、エネルギー・エコロジー・開発センター(CEED)、先住民族環境ネットワーク(IEN)、オイル・チェンジ・インターナショナル、リクレイム・ファイナンス、シエラ・クラブ、ウルゲバルトによって執筆されています。世界55カ国340以上の団体が賛同しています。

脚注

注1)「化石燃料ファイナンス報告書2026」全文(英語)
化石燃料の金融データ、方針スコア、最前線の現場からの報告、方法論などはこちらから:https://www.bankingonclimatechaos.org

日本語要約版

日本の銀行分析

注2)IEA「ネット・ゼロ・ロードマップ」、2021年5月
今後全ての化石燃料の拡大事業は1.5度目標と整合しないという分析結果が出た。
https://www.iea.org/reports/net-zero-by-2050

注3)大規模なLNG拡大計画を持つ企業11社(2025年)

  • ベンチャー・グローバル(米国)
  • シェル(英国)
  • トタルエナジーズ(フランス)
  • センプラ(米国)
  • ネクスト・ディケイド(米国)
  • エナジー・トランスファー(米国)
  • エクソンモービル(米国)
  • シェニエール・エナジー(米国)
  • エニ(イタリア)
  • ニュー・フォートレス・エナジー(米国)
  • KKR(米国)

注4)共同声明「CP2 LNGの最終投資決定を受けて、米ルイジアナ州地域社会と世界の支持団体が融資銀行を非難」、2026年3月26日
https://japan.ran.org/?p=2636

補足資料

 

*訂正:数値に誤りがありましたので訂正いたします(2026年6月10日)。

副題および二段落目
正)2025年の提供額は9,064億ドル
誤)2025年の提供額は9,060億ドル

「概要・主な調査結果」
正)化石燃料企業への資金提供(2025年):9,064億ドル(2024年比 +8%)
誤)化石燃料企業への資金提供(2025年):9,320億ドル(2024年比 +9%)

「概要・主な調査結果」
正)化石燃料企業への資金提供(パリ協定発効以降、2016〜2025年):8.7兆ドル
誤)化石燃料企業への資金提供(パリ協定発効以降、2016〜2025年):8.6兆ドル

団体紹介

レインフォレスト・アクション・ネットーク(RAN)は、米国のサンフランシスコに本部を持つ環境NGOです。1985年の設立以来、環境に配慮した消費行動を通じて、森林保護、先住民族や地域住民の権利擁護、環境保護活動をさまざまな角度から行っています。

 

本件に関するお問い合わせ先

レインフォレスト・アクション・ネットワーク
東京都渋谷区千駄ヶ谷1-13-11-204、TEL 03-6721-0441
日本チームマネジャー:関本幸 Email: yuki.sekimoto@ran.org
コミュニケーション&デジタルスペシャリスト 立花実咲 Email: misaki.tachibana@ran.org

発行物:『生物多様性崩壊をもたらす金融業務』日本語要約版発表(2026/4/28)

米環境NGOレインフォレスト・アクション・ネットワーク(本部サンフランシスコ、以下、RAN)は、4月28日、「森林と金融」連合による年次報告書である『生物多様性崩壊をもたらす金融業務:熱帯林破壊を助長する銀行と投資家の追跡』日本語要約版を発表しました。

本報告書は、大手金融機関が熱帯林地域における森林破壊、生物多様性の損失、気候変動、人権侵害を助長している役割について包括的に分析するものです。世界の熱帯林破壊の大部分を引き起こしている「森林リスク産品」セクターの6品目(牛肉、パーム油、紙パルプ、天然ゴム、大豆、木材)に携わる300社の森林部門事業に対する商業資金の流れを、パリ協定採択後の約10年間において分析しています(2016年1月から2025年7月)。

調査の結果、世界の主要30銀行はパリ協定以降、森林リスク産品に4,290億米ドル以上を投じ、うち720億米ドルは調査の直近18カ月間(2024年1月〜2025年7月)に提供されたことが明らかになりました。本調査報告書における分析は、金融機関による自主的なアプローチが失敗に終わったということを示しています。

日本語要約版では、森林リスク産品セクターにおける日本のメガバンク3行の動向も新たに調査してまとめています(対象期間:2020年1月から2025年7月の約5年間半)。

三菱UFJフィナンシャル・グループ(MUFG)の森林リスク産品セクターへの融資・引受額は、経済協力開発機構(OECD)加盟国の銀行として世界2位、みずほフィナンシャルグループ(みずほ)は世界4位、三井住友フィナンシャルグループ(SMBC)は世界5位であり、これら3行は日本の金融機関による熱帯林リスクセクターへの融資・引受全体のうち、90%を占めていることが明らかになりました。また、日本の金融機関は2024年1月から2025年7月にかけて、深刻な環境破壊や人権侵害との関連が多く指摘されているリスクの高いセクターで事業を展開する企業に対して29億米ドルを提供しています。

「森林と金融」が2023年に実施した方針評価では、銀行の森林リスク産品セクター方針に関するESG(環境・社会・ガバナンス)フレームワークが不十分であることが明らかになっています。中でもMUFGのスコアは10点満点中2.4点で、みずほ(3.8点)やSMBC(3.6点)を下回り、リスク管理および説明責任に深刻な欠陥が際立っています。MUFGは2026年4月、森林・農業セクターの方針を改定しましたが、MUFGの森林リスク産品セクターへの資金提供の大部分を占めるパーム油と紙パルプのサプライチェーンにおける中流事業は追加されませんでした。今後の方針の改善が大いに求められ、みずほとSMBCにおいても、熱帯林の破壊防止において重要な役割を担う中流事業者をNDPE方針のスコープに含めることを、早急に行う必要があります。

特設ウェブサイト:https://forestsandfinance.org/ja/banking-on-biodiversity-collapse-ja/
レポート:https://japan.ran.org/wp-content/uploads/2026/04/BOBC_2025_EXECSUMMARY_vJPN.pdf

「森林と金融」について


「森林と金融」は、レインフォレスト・アクション・ネットワーク、TuK インドネシア、プロフンド(Profundo)、アマゾン・ウォッチ、FoEオランダ(Milieudefensie)、CEDカメルーン、レポーター・ブラジル、オブゼルヴァトリオ・ダ・ミネラソン(Observatório da Mineração)、バンクトラック、サハバット・アラム・マレーシア(国際環境NGO FoE Malaysia)、FoE USから成る、キャンペーン活動や調査を行う団体の連合によるイニシアチブです。私たちは共同で、森林リスク産品セクターに頻繁に見られる環境・社会への負の影響を、金融機関が助長することを防止することを目指しています。この目的を達成するため、金融セクターの透明性向上および政策・制度・規制の改善を推進しています。

共同プレスリリース:LNGの急拡大、新ウェブサイト「ExitLNG」で明らかに(2025/12/2)

リクレイム・ファイナンス、Andy Gheorghiu Consulting、バンクトラック、CEED、Food and Water Watch、FoEフランス、レインフォレスト・アクション・ネットワーク(RAN)、ReCommon、SFOC、StandEarth、ウルゲバルト(Urgewald)

本日2日、新たなマッピング分析プロジェクトが発表され、世界は空前のLNG(液化天然ガス)開発ブームに直面し、世界全体で279件の新規LNG事業が計画されていることが明らかになりました(注1)。世界の銀行の支援を受けたこの動きはガスの拡大を引き起こし、温室効果ガス排出量を数十億トンも増加させることになり、世界的な気候目標達成の望みを打ち砕きます。さらに地域コミュニティの健康と福祉を脅かし、生物多様性にも影響を与えます。新ウェブサイト「ExitLNG(エグジットエルエヌジー)」の設立団体は、関与する銀行に対して支援撤回を強く求めています。

「ExitLNG」ウェブサイトで公開された地図は、279件の新規LNG事業の建設計画を特定し、LNG拡大の影響を受ける国々の範囲を明らかにしています(注2)。本ウェブサイトは、関連企業や融資銀行、コミュニティと生物多様性へのリスクも示しています。

今回の調査分析は、米国がLNGの輸出ブームを牽引していることと、計画されている輸出能力増加の40%に相当する38事業を進めていることも明らかにしています。この要因の一つとして、トランプ米大統領の化石燃料政策が挙げられます。次いで多いのがロシア(同20%、18事業)、カタール(同8%、3事業)です。一方、LNG輸入施設事業が最も多く計画されているのはアジア太平洋地域で、中でも中国が最多で(計画されている輸入能力増加の34%に相当する49事業)、インド(同8%、11事業)、ベトナム(同7%、14事業)が続いています。

国際エネルギー機関(IEA)によると、2025年には新規LNG輸出基地の最終投資決定(FID)が急増し、予想されるガス供給量が増加しました(注3)。これによって新規ガス田開発が促進され(注4)、地球の平均気温上昇を1.5度に抑えるという国際的な目標の達成を脅かすことになります。

全体的に、新規LNG輸出施設は二酸化炭素換算(CO2e)で10ギガトン以上の温室効果ガスを2030年までに排出すると推定されています。これは米国と欧州連合(EU)の年間排出量の合計に匹敵する規模です(注5)。

リクレイム・ファイナンスの石油・ガスキャンペーナー Justine Duclos-Gonda は「世界中で起きている建設ラッシュは、気候と地域コミュニティに被害を及ぼす災害へと私たちを導き、その代償は私たち全員が払うことになります。健康と生計を脅かすこれらの事業に反対する声がますます高まっているのは当然のことです。しかし、こうした懸念にもかかわらず、銀行は社会的・気候的コストを顧みずに、LNG拡大に数十億ドルを注ぎ続けています」と述べています。

最大のLNG輸出基地開発企業は、カタールエナジーと米国ベンチャー・グローバルです(計画中のLNG輸出基地のCO2e排出量の規模で計算)。両社はそれぞれ、2030年までに合計12億トン以上のCO2e排出をもたらすLNG輸出基地事業を計画しています。フランスの石油メジャーであるトタルエナジーズは5位で、2030年までに合計3億トン以上のCO2e排出が見込まれるLNG輸出基地事業を計画しています。

レインフォレスト・アクション・ネットワーク(RAN) LNGキャンペーンマネージャーのルース・ブリーチは「コミュニティは気候変動の影響と壊滅的な経済被害に苦しんでいます。液化ガスは事態を悪化させています。世界は化石燃料の拡大を一切必要としていません。新たなシェールガス田も、パイプラインも、LNGタンカーも、LNG基地も一切不要です。それにもかかわらず、米国政府、化石燃料企業、銀行、保険会社は世界中でガスを推進し、私たちの生涯で最大の化石燃料インフラ建設を引き起こしています」と強調しました。

こうした影響にもかかわらず、世界の銀行はLNG開発企業への資金支援を継続し、2021年から2024年にかけてLNG拡大に1,740億米ドルを投入しています。この資金の4分の3はわずか5カ国(米国、日本、中国、カナダ、フランス)から提供され、三菱UFJフィナンシャル・グループ(MUFG)、みずほフィナンシャルグループ、JPモルガン・チェースの3行がそれぞれ100億米ドル以上を支援しています。

サンタンデール、ING、ソシエテ・ジェネラル、クレディ・アグリコル、グループBPCEなどの欧州系銀行も、LNG拡大の主要な資金提供者として特定されています。

「ExitLNG」を立ち上げた以下の団体は銀行に対し、LNGの影響を認識し、新規LNG事業および新規LNG施設を開発する企業に対する全ての金融サービスを終了させるための包括的な方針を採用するよう強く求めています。

連絡先

Justine Duclos Gonda
Exit Oil & GasCampaigner
justine@reclaimfinance.org
+33781512959

Helen Burley
International press relations
helen@reclaimfinance.org
+447703731923

注1) https://ExitLNG.org
「ExitLNG」は、リクレイム・ファイナンス、 Andy Gheorghiu Consulting、バンクトラック、CEED、 Food and Water Watch、 FoEフランス、レインフォレスト・アクション・ネットワーク(RAN)、 ReCommon、 SFOC、 StandEarth、ウルゲバルト(Urgewald)が共同で立ち上げた新ウェブサイト。

注2) LNG事業とは、LNG基地の輸出入能力を大幅に増加させる大規模インフラを指している。この定義には、新規基地、および既存基地の特定フェーズやトレイン(天然ガスを冷却して液化する設備)が含まれる。各事業には、それぞれ異なる利害関係者、輸出入能力、スケジュール、資金調達方法が存在する可能性がある。LNG事業は「脱石油・ガスリスト(Global Oil & Gas Exit List: GOGEL)2024」のデータに基づき特定されている。

注3) 国際エネルギー機関(IEA)、『Gas 2025』、2025年10月

注4) リクレイム・ファイナンスは、LNG施設に直接関連する46件の短期のガス拡大事業(すなわち、現在はフィールド評価中または開発中のガス事業)を特定した。これらの事業は、石油換算で510億バレル以上のガス資源量を有する。

注5) 米国環境保護庁(EPA)によると、2022年の米国排出量は約6.34Gt CO₂eであった。欧州環境庁によると、2023年のEUの温室効果ガス排出量(土地利用・林業を除く)は約3.1Gt CO₂eであった。

(英語プレスリリース “New mapping project reveals surge in LNG expansion”)

共同プレスリリース:気候変動に関する株主提案決議結果は 企業と投資家のさらなる取り組みの必要性示す(2025/7/4)

Market Forces
FoE Japan
レインフォレスト・アクション・ネットワーク(RAN)
気候ネットワーク

日本国内外の環境団体および個人は今年4月、日本のメガバンク3行(MUFG、SMBC、みずほ)と総合商社(三井物産、三菱商事、住友商事)、中部電力に対して気候変動とガバナンス(監査)に関する株主提案を提出しました。これらの企業は1.5℃目標達成のためネットゼロ目標を掲げているにもかかわらず、その事業内容は1.5℃目標と整合していません。化石燃料への投融資および燃料調達事業への各社による関与が続いている現状を踏まえると、当該企業が極めて重大な気候リスクを抱え続けていることは明らかであり、今後も断固とした気候変動リスクへの実質的な取り組みが必要です。

これまで明らかになっている今年の決議結果からは、多くの投資家が該当企業に対して気候リスクに対する十分な説明責任を求めているとは言えず、私たちは投資家による気候変動リスクへの認識状況に対しても懸念を強めています。金融機関には昨年同様の株主提案が提出されていますが、みずほでは、実質的な改善がみられない中、賛同率が昨年の半分程度になっています。

当該企業に提出された議案と議決結果(一部速報値)は以下の通りです。一部の提案には10%を超える支持が集まるなど、一定の賛同が示されました。しかし、支持率が10%未満に留まる議案もあり、資産運用会社の多くが気候リスクを重視しているかどうか、疑問が残る結果となりました。株主提案は(全て)否決されましたが、提案対象企業に対しては気候変動リスク対応の強化を、機関投資家に対してはスチュワードシップ責任を体現することを求める働きかけを継続して行っていきます。

株主提案の内容と議決権行使結果

賛同率低下の一方で、当該企業の適切なガバナンスと実効性のある取締役会を求めている機関投資家がいることも明らかです。実際、主要な議決権行使助言会社として知られるISSは今年、我々の株主提案を受けた企業のうち1社の7人の取締役候補に反対票を投じるよう勧告しました。さらには、企業による気候リスク管理の実施状況を強力に監視する必要性に賛同し、ガバナンス強化を求める投資家もいます。1兆5,020億米ドル規模の資産を運用する世界有数の投資家である英国最大の資産運用会社のリーガル・アンド・ジェネラル・インベストメント・マネジメント(LGIM)は三菱UFJフィナンシャル・グループ、三井住友フィナンシャル・グループ、みずほフィナンシャル・グループ、中部電力に対して我々が提出した株主提案を支持する意向を事前に表明していました。

気候変動によるリスクを適切に管理できなければ、長期的には企業価値にマイナスの影響が出る可能性があります。三菱商事、三井物産、住友商事の三大総合商社は2.6℃から3.6°Cの壊滅的な気温上昇と整合する事業計画を掲げているという試算(MSCIのデータ準拠)もあり、これはパリ協定で合意された世界の平均気温上昇を1.5℃に抑える目標にも矛盾しています。さらに日本の3メガバンクも、この様な1.5°C目標と整合しない化石燃料の新規・拡張事業の計画を持つ事業者への資金提供を続けています。『化石燃料ファイナンス報告書 2025』によると、2024年、みずほは化石燃料拡大事業者への資金提供額を前年比で16%増加させ、MUFGも3.6%増加させました。

今後も、我々は日本の大手企業による脱炭素への変化と行動を引き続き後押しします。現状、気候変動対応は不十分でですが、過去5年間の働きかけによって、地域社会の懸念を受けたエンゲージメント活動の結果、日本の大手銀行や商社がアジアにおける主要な化石燃料プロジェクトへの関与を取りやめるなど、リスク管理を強化している事例もみられます。例えば、我々は三井物産が2023年10月にバングラデシュ・コックスバザールでのCPGCBL LNG火力発電所プロジェクトから撤退したことを確認しており、これによりプロジェクトのライフサイクル全体で4,400万トンのCO₂排出が回避される見込みです。

よって、機関投資家へは一層の働きかけが必要だと考えています。Market Forcesが日本の主要な機関投資家を対象に行った調査によると、主要な機関投資家5社傘下の資産運用会社は、日本の化石燃料拡大企業8社の取締役選任議案に99%の確率で賛成している結果が明らかとなり、気候変動リスクを適切に管理するためのスチュワードシップが効果的に行われていないことを示唆しています。今年の議決権行使結果を確認しながら、機関投資家に対しては、気候変動対策やリスク管理が不十分である企業に対し、スチュワードシップ責任を果たし、パリ協定に整合した移行計画の策定と実施のための、さらなる効果的なエンゲージメントと自社の気候コミットメントに沿った適切な議決権行使を行うように求めていきたいと考えています。

【提案主コメント】

総合商社・中部電力

「株主提案への支持は限定的だったものの、提案先企業へのメッセージは明確です。日本の商社と中部電力は重大な気候関連リスクに直面しており、投資家はこれに対して断固たる行動を期待しています。私たちは依然として、信頼できる脱炭素化ビジネス戦略の欠如と、事業運営における人権への配慮の不十分さについて、強い懸念を抱いています。私たちは、これからも、企業が効果的なリスク管理と透明性の高いガバナンスメカニズムを備え、信頼できる脱炭素施策の実行と、人権侵害への誠実な行うよう求めていきます。今後も建設的な対話を通じて、これらの企業がグローバルに化石燃料からの移行を進めるよう、協力関係を強化していきます。」
 布川健太郎 | Market Forces

「中部電力は株主総会で石炭火力を「ベースロード電源」と称し、エネルギー安定供給の必要性を繰り返しました。電力の安定供給と脱炭素を両立するために、あらゆるエネルギーを追求すると述べています。しかし、それでは将来世代に大きなツケを残すことになります。排出量の割合が大きな電力会社だからこそ、実現可能なロードマップの策定と化石燃料から再生可能エネルギーへの移行を加速するための対策強化を求めます。」 
鈴木康子|気候ネットワーク

「三井物産は非常に大きな気候変動リスクに晒されていることから、気候変動対策のために残された時間の中で、効果的かつ実行可能なリスク対策を講じることが重要です。情報開示の充実はその第一歩です。特に、ネットゼロを掲げながらも化石燃料分野への依存度が高いという現在の戦略を踏まえると、今回の要請は妥当なものと考えています。引き続き、気候変動対策の強化に向けてエンゲージメントを継続していきたいと考えています。」 
深草亜悠美 | FoE Japan

メバガンク3行

「昨年、投資家から『顧客の移行計画の評価』に関する株主提案に対し、強い支持があったにもかかわらず、3メガバンクは過去1年間有意義な進展を見せませんでした。今年、同様の株主提案への支持が低下したことは、多くの投資家がスチュワードシップ責任を果たさず、投資先のメガバンクにおける気候変動リスク管理を十分に担保できていない状況を示しています。

脱炭素に向けて、科学的根拠に基づいた意義深い行動をとり続けるのか、企業と投資家双方の本気度が改めて問われています。行動をとらないことによる経済と人々への深刻な損害は到底容認できるものではありません。いかなる遅延の猶予はなく、石炭、石油、ガスから再生可能エネルギーへの移行を加速するための対策強化が求められます。」
渡辺 瑛莉 | Market Forces

「今回、新たに監査役についての責任を問う提案を行いました。みずほとMUFGは現地の先住民族が反対する米国テキサス州リオ・グランデLNG事業に資金提供を行っており、自らが採択する国際基準である『赤道原則』に違反しています。また、MUFGは大規模な熱帯林火災に対してインドネシア政府から損害賠償請求を受けているアブラヤシ農園企業を管理下に置く企業にも資金提供を行っています。これらはメガバンクにおけるガバナンスの問題を象徴する一部の例に過ぎません。自社グループにおけるガバナンスの問題について監査が認識していない現在の状態は、内部監査体制が機能していないことの表れです。3メガバンクにおけるリスク管理体制の課題は、2050年ネットゼロという目標を掲げているにもかかわらず、座礁資産リスクのある化石燃料事業を拡大する計画をもつ企業に投融資を続けていることにも表れています。さらに、この様な構造的なガバナンスの問題を見抜くことができていない機関投資家についても懸念があります。機関投資家には、長期的な視点に立った、真に責任ある投資を行うことを求めます」
川上豊幸|レインフォレスト・アクション・ネットワーク(RAN)

「今回、新たに監査役についての責任を問う提案を行いました。SMBCとみずほで、監査委員会の財務リスク監査に係る情報開示を求める提案の方が、もう一方より賛成数がわずかながら高く、MUFGの投票数は2つの提案ともに他の2行よりも少ないものでした。それぞれの結果に違いはあれど、新たな動きを求めている機関投資家が一定数いることを示しています。日本のメガバンク3行は世界の化石燃料関連企業への資金提供を続けており、その金額は世界でも上位にランクしています。国民の預貯金を運用する銀行が化石燃料関連事業に資金を提供し続け、国民の将来の命の安全を脅かす、あるいは快適な環境で生活する権利を損なうことに加担していることに我々株主はもっと声をあげるべきではないでしょうか。そして機関投資家には、より長期的な視点に立ち、未来に向けて責任ある投資を行うことを求めます。」

鈴木康子|気候ネットワーク


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Antony Balmain E-mail: contact[@]marketforces.org.au

FoE Japan
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気候ネットワーク 東京事務所:TEL:+81-3-3263-9210
鈴木康子 E-mail: suzuki[@]kikonet.org

レインフォレスト・アクション・ネットワーク(RAN)
関本幸 E-mail: yuki.sekimoto[@]ran.org

共同プレスリリース「化石燃料ファイナンス報告書 2024」発表〜世界60銀行、パリ協定以降に6.9兆ドルを提供 米3行に続き三菱UFJが4位(2024/5/16)

2023年提供額はみずほ2位、三菱UFJ4位、SMBC8位

レインフォレスト・アクション・ネットワーク(RAN)
特定非営利活動法人 気候ネットワーク
国際環境NGO 350.org

米環境NGO レインフォレスト・アクション・ネットワーク(本部:米国サンフランシスコ、日本チーム:東京都渋谷区、以下RAN)をはじめとするNGOは、13日(米国東海岸時間)、最新の方法論を用いた新報告書『化石燃料ファイナンス報告書2024〜気候カオスをもたらす銀行業務〜』(第15版注1)を発表しました。

図1:パリ協定以降のワースト12銀行
(化石燃料全部門への融資・引受額、2016年〜2023年合計、単位:B=十億ドル)

 

本報告書は、世界の主要民間銀行60行による4,200社以上の化石燃料産業への融資・引受をまとめた包括的な調査報告です。分析の結果、パリ協定採択後の2016年から2023年の8年間に銀行から化石燃料産業に約6.9兆米ドルが提供され、約半分の約3.3兆ドルが化石燃料拡大のために投入されたことが明らかになりました。また、昨年の提供額は約7,050億ドルで、化石燃料拡大企業への提供額は約3,470億ドルでした。今回は新たな方法論を採用し、主幹事銀行の取引信用額だけでなく、取引に参加した各行の資金支援も明らかにしました。執筆に携わったNGOは、本報告書は気候危機の資金源を調査した最も正確かつ包括的な分析で、銀行のグリーンウォッシュ(見せかけの環境対応)を白日の下にさらしていると指摘しました。

日本の3メガバンクは、昨年の資金提供と、パリ協定後の資金提供の両方でワースト10に入りました。中でも三菱UFJフィナンシャル・グループ(MUFG)はパリ協定後の「化石燃料全部門」への資金提供で4位(約3,077億ドル)、みずほフィナンシャルグループ(みずほ)は2023年の「化石燃料全部門」と「化石燃料事業を拡大している企業」(以下、化石燃料拡大企業)への資金提供の両方で2位に順位を上げました。環境NGOらは4月、3メガバンクに気候変動対策の強化を求める株主提案を提出しています(注2)

図2:2023年のワースト12銀行
(化石燃料全部門への融資・引受額、2023年単年、単位:B=十億ドル

『化石燃料ファイナンス報告書2024』概要

世界の主要民間銀行60行が化石燃料部門に行った資金提供を示した包括的な報告書。化石燃料企業(石炭、石油、ガス部門)約4,200社への融資・引受、南米アマゾンや北極圏の環境悪化を引き起こす企業への資金提供について分析。対象期間は2016年〜2023年で、年別、累計額を分析。化石燃料産業全体、部門別、化石燃料拡大企業への資金提供ごとに集計・分析。*別表「化石燃料部門別の傾向」も参照のこと。

【パリ協定採択後:2016年〜2023年】

  • 世界の主要60行は合計で約6.9兆米ドルを化石燃料に資金提供し、ほぼ半分の約3.3兆ドルが化石燃料事業を拡大する企業に提供された。
  • 「化石燃料全部門」への資金提供額では、米銀と日本のメガバンクが上位を独占。1位にJPモルガン・チェース、続いてシティ、バンク・オブ・アメリカ、4位にMUFG5位はウェルズ・ファーゴ、6位にみずほ9位は三井住友フィナンシャルグループ(SMBCグループ)だった。
  • 「化石燃料拡大企業」の1位はシティで、約2,040億ドルを提供した。

【2023年】

  • 「化石燃料全部門」ではJPモルガン・チェースが1位で、化石燃料企業に約408億ドルの資金提供を行った。「化石燃料拡大企業」への資金提供でも1位だった。
  • 「化石燃料全部門」の2位はみずほで、資金提供額は約370億ドルだった。「化石燃料拡大企業」への資金提供でも2位(約188億ドル)で、両部門での増加が目立った。
  • 「化石燃料拡大企業」の3位はMUFG(約154億ドル)、4位はほぼ横並びでロイヤル・バンク・オブ・カナダ(RBC)バンク・オブ・アメリカ、スコシアバンク、シティだった。シティは、パリ協定後の「化石燃料拡大企業」への最多資金提供者だった。
  • 「メタンガス(LNG:液化天然ガス)」部門では、日本のメガバンクのみずほ(約109億ドル)、MUFG(約84億ドル)が1位、2を独占し、同部門に進出する企業に資金提供を行なっている。

日本の3メガバンクの動向

【化石燃料全部門】60行の合計資金提供額は前年比で9.5%減でしたが、みずほは約5%増加しました。一方、2022年まで3行の中で最多額を提供していたMUFGは前年比で12%減少しました。しかし各行とも2023年の世界順位は2位、4位、8位であることから、高水準にあることには変わりありません。

【部門別】全3行が、2023年の「化石燃料拡大企業」、「メタンガス(LNG))」、「北極圏の石油・ガス」、「超深海の石油・ガス」部門への資金提供額で、ワースト10に入りました。中でもLNG事業を拡大した130社への資金提供額では、みずほが1位(約109億ドル)、MUFGが2位(約84億ドル)で、3位のサンタンデール(スペイン)を引き離し、前年比でそれぞれ90%、88%増加しました。60行全体の提供額は約1,209億ドル、前年比で4%増加したことから、メガバンクを含めた上位行が牽引していることは明らかです。

方法論について

本報告書の正確さと対象範囲を継続的に向上する取り組みとして、今回はさらに多くの一次情報を取り入れ、調査方法論の大幅な改良を行いました。これらの情報源は、債券 、ローン、株式発行など、コーポレート・ファイナンス案件への銀行の参加を追跡調査しています。昨年版までは、主幹事銀行の取引信用額のみを対象にしていましたが、今回は各行の資金支援も明らかにされています。本報告書に掲載された全ての銀行には連絡を取り、帰属する取引について確認する機会が与えられました(注3)

アマゾンや北極圏の環境悪化を引き起こす企業への資金提供

本報告書は、気候変動に最も悪影響を与える化石燃料部門への多額の資金提供も明らかにしています。「オイルサンド(タールサンド)」への2023年の上位資金提供者はカナダのCIBC、RBC、スコシアバンクで、どの銀行もほぼ同額の約5億2,300万ドルを提供しています。一方、MUFGは約5億1,200万ドル「超深海の石油・ガス」掘削企業に、JPモルガン・チェースは約60億ドルを「フラッキング企業(シェールオイル・ガス)」に、中国中信銀行(CITIC)は「石炭採掘」に約76億ドルを提供しました。本報告書で対象とした60行は総資産額の上位行で、脆弱な生態系における有害な事業にためらうことなく資金を提供しています。イタリアのウニクレディトは「北極圏の石油・ガス」掘削企業に約2億6,500万ドル、バンク・オブ・アメリカは南米「アマゾン(生物群系)の石油・ガス」を採掘する企業に約1億6,200万ドルを提供しました。

執筆団体からのコメント

RANリサーチ&方針マネジャー エイプリル・メルロー(共同執筆者)

「ウォール街の銀行の最大の懸念は利益です。私たちの最大の懸念は気候変動と人権です。気候変動による混乱(カオス)から利益を得る銀行は新たなグリーンウォッシュを毎年作り出しますが、私たちには化石燃料に流れる金額を示す『領収書』があります。報告書の新方法論は、今まで公開されてこなかった銀行の化石燃料支援の詳細情報を明らかにし、銀行の責任を追及する新しい手段を活動家に与えます。そして、銀行の化石燃料への資金提供は十分な速さで減少していません。2023年、化石燃料事業を拡大している企業に約3,500億ドル近くが提供されましたが、これは危険で、気候変動に関する実際の公約とも矛盾しています。気候への影響が記録的となった2023年に、化石燃料の各部門で資金提供が増加したことに私は衝撃を受けました。さらに2023年には、メタンガス(LNG)輸出入ターミナルと関連インフラ施設を開発する企業への資金提供が大幅に増加しました。銀行は現地の人々の声を聞き、こうした事業から手を引くべきです」

RAN日本シニア・アドバイザー 川上豊幸

「より詳細なデータの入手により、累積の資金提供額でも、2023年単年でも、日本の3メガバンクは世界の銀行の中でも上位を占めていることが判明しました。特に、LNGセクターでは、2023年に資金提供をほぼ倍増させ、みずほが1位、MUFGは2位となり、突出しています。米国テキサス州のメキシコ湾で計画されているLNGターミナル事業を進めているネクスト・ディケイド社に、MUFGは約21.7億ドル以上(本報告書「LNG部門」提供額の26%)、みずほは約11.7億ドル以上(同10%)を2023年に提供しています。しかしこのプロジェクトの温室効果ガス排出量は非常に大きく、1.5度目標の達成を困難にしてしまいます。また、重要な地域に影響を与えるため現地の先住民族も反対しており、他の銀行が撤退する中、2行はプロジェクトを支援しています。

 ネットゼロを約束している銀行が、ネットゼロの実現を困難にするような事業計画を進める企業への資金提供を行っていることは、『移行計画を含めた融資先企業の評価体制』が不十分であるとともに、『取締役会としての管理・監督機能としての専門性』の不足を示す事例と考えます。我々NGOの株主提案では、上記2点についての情報開示を求めています」

賛同団体からのコメント

気候ネットワーク プログラム・コーディネーター 鈴木康子氏

「世界で異常気象が頻発し、被害規模が拡大しているのに、その原因とされる化石燃料の利用に対し、いまだに世界の銀行がこれだけの投融資を行っていることは信じがたいものがあります。日本の3メガバンクは、ネットゼロ目標を掲げ、サステナビリティに関する方針を改定するなど、気候変動への取組みを行っていると主張する一方で、化石燃料への資金提供の大きな銀行のトップ10に名を連ねています。国内では2023年に3メガの支援のもとで、神戸の住宅地近くに新しい石炭火力発電所が運転を開始しました。さらに近年は、従来の石炭・ガスだけでなく、石炭火力の延命につながると批判されている「誤った政策」、水素・アンモニアの利活用に向けた支援を国内外で推し進めようとしています。このままでは1.5℃目標の達成が危ぶまれます。早急に資金の流れを見直し、1.5℃目標の達成に向けて本当に効果的な策と公正な移行への資金の流れを本流とすべきです」(注4)

 

マーケット・フォース、日本エネルギーファイナンスキャンペーナー、渡辺瑛莉氏

「3メガバンクは近年、化石燃料産業への融資・引受額で世界ワースト銀行のランクを上げてきていますが、背景には、欧州や豪州、アジアの銀行と異なり、気候科学に則した石油・ガスセクターの新規開発・拡大へのファイナンスを制限する方針がないことが挙げられます。メガバンクが掲げる1.5度目標へのコミットと3行の投融資行動が著しく乖離しており、世界の中でも遅れが目立つ状況となっています。気温上昇と気候変動に起因した災害が増えるに従って、化石燃料セクターを支援する銀行の責任を問う声は今後益々強まることが予想される中、メガバンクは信頼性の高い移行計画を持たない化石燃料顧客を支援し続けることで、評判リスクや法規制リスク、財務リスク等に晒されます。従って、政府方針に追従するのではなく、メガバンクが自らリスク管理を強化することが求められます。我々環境NGOが提出している株主提案は、リスク管理の強化に資するものであり、多くの投資家の賛同を期待します」

 

国際環境NGO 350.org、ジャパン・キャンペーナー、伊与田昌慶氏

日本政府がエネルギー基本計画の見直しを開始する直前に発表されたこの報告書は、日本の3メガバンクが未だに気候変動に加担していることを示しました。日本の官民がグリーン・トランスフォーメーション(GX)の名の下で延命しようとしている化石燃料ビジネスも、三菱UFJ、みずほ、三井住友といったメガバンクに裏付けられています。すべての銀行は、気候正義を求める市民の声と環境NGOの株主提案に向き合い、化石燃料中毒から脱する必要があります。
 脱化石の鍵は再生可能エネルギーです。昨年のCOP28ドバイ会議で、日本を含むすべての国は、『2030年までの再エネ設備容量3倍』との目標に合意しました。国際再生可能エネルギー機関(IRENA)によれば、再エネ3倍目標を達成するには2030年までに年1兆5,500億米ドルの再エネ投資が必要です。メガバンクの資金力は、脱化石に資する再エネにこそ活かされなければなりません

化石燃料の金融データ、方針スコア、最前線の現場からのレポートを含む完全なデータセット(英語)はbankingonclimatechaos.orgからダウンロード可能。

 

注1)「化石燃料ファイナンス報告書2024」

全文(英語)www.bankingonclimatechaos.org

日本語抜粋版

本報告書はRAN、バンク・トラック、エネルギー・エコロジー・開発センター(CEED)、先住民族環境ネットワーク(IEN)、オイル・チェインジ・インターナショナル、リクレイム・ファイナンス、シエラ・クラブ、ウルゲバルトによって執筆されている。世界69カ国589以上の団体が賛同している。

注2)マーケット・フォース、気候ネットワーク、レインフォレスト・アクション・ネットワーク(RAN)、「東証プライム4企業に対して株主提案:メガバンク全3社含む日本企業の取締役のコンピテンシーに関する開示を要求」

https://shareholderaction.asia/ja/four-companies-tokyo-prime-market-3-megabanks-face-climate-vote-on-director-competency/

注3)方法論:昨年までは、取引データはBloomberg LP(取引信用額が主幹事銀行間で分割されている)より入手していたが、2024年版はBloomberg LPに加えてロンドン証券取引所グループ(LSEG、旧Refinitiv)の2つのデータベースを用いた。方法論の変更に伴い、本報告書に記載されている結果は、これまでの報告書のデータとは直接比較できない。なお融資・引受額は、対象となる化石燃料関連企業の当該部門の事業活動に基づいて割引して算出している。詳細は以下を参照のこと。

「報告書全文」(英語):方法論(48ページ)方法論付録(108ページ)

https://www.bankingonclimatechaos.org/wp-content/uploads/2024/05/BOCC_2024_vF1.pdf

「方法論変更について」(英語:Methodology Background for BOCC 2024)

https://docs.google.com/document/d/15Vit1UbOjWjl8dsw5J2HQptG9spmUYiRUFNrK9CxLG8/edit

注4)神戸石炭火力発電所:本報告書およびウェブサイト「フロントラインストーリー」(最前線からのレポート)で事例研究の一つとして掲載(英語)。

https://www.bankingonclimatechaos.org/frontline-stories/kobe-coal/

「神戸の石炭火力発電を考える会」ウェブサイト(日本語)

https://kobesekitan.jimdo.com/

 

団体紹介

レインフォレスト・アクション・ネットーク(RAN)は、米国のサンフランシスコに本部を持つ環境NGOです。1985年の設立以来、環境に配慮した消費行動を通じて、森林保護、先住民族や地域住民の権利擁護、環境保護活動をさまざまな角度から行っています。

*情報更新:「化石燃料ファイナンス報告書2024日本語抜粋版」を公開しました(2024年10月)

別表:化石燃料部門別の傾向

(↑は2022年から2023年に該当部門へのファイナンスが増加、↓は減少したことを示している)

↑ メタンガス(LNG:液化天然ガス):2023年に液化メタンガス事業を拡大した企業130社への資金提供上位銀行は、みずほMUFG、サンタンデール(スペイン)、RBCJPモルガン・チェースだった。2023年のLNG全体のファイナンスは約1,209億ドルに増加した。

↑ 石炭採掘:2023年に石炭採掘企業211社に提供された約425億ドルの資金のうち81%は中国の銀行が提供し、中国中信銀行、中国招商銀行、上海浦東発展銀行、中国工商銀行(ICBC)中国光大銀行グループが率いた。この部門へのファイナンスは2022年に比べて若干増加している。 

↑ 原料炭:原料炭採掘事業で操業する48社は2023年に約25.4億ドルの資金提供のコミットメントを受けた。上位銀行はCITICChina Everbright Groupバンク・オブ・アメリカ、Ping An Insurance Groupなど。この部門へのファイナンスは2022年に比べて若干増加している。

↓ 石炭火力発電:「脱石炭リスト」(GCEL)に記載された石炭火力発電企業へのファイナンスのうち、65%は中国の銀行から提供された。2023年、これらの企業は本報告書で対象とした銀行から約804億ドルのファイナンスを受けた。この部門へのファイナンスは2022年に比べて若干減少している。 

↓ ガス火力発電銀行はガス火力発電を拡大する252社に、2023年に約1,080億ドルのファイナンスを約束した上位3行はみずほ、中国工商銀行、MUFGで、この部門へのファイナンスは2022年に比べて減少している。

↓ 化石燃料拡大企業:本報告書で取り上げた60行は2023年、エンブリッジ、ヴィトール、TCエナジーヴェンチャー・グローバルなどの化石燃料を拡大している企業873社に約3,470億ドルを提供した。2022年の金額は約3,850億ドルで、2023年は若干減少している。

↓ オイルサンド(タールサンド):2023年にオイルサンド企業上位36社が受けたファイナンスは約44億ドルで、前年から約40億ドル減少した。カナダの銀行がその49%を提供した。上位資金提供者はCIBC、RBC、スコシアバンク、トロントドミニオン、そして日本のみずほである。 

↓ シェールオイル・ガス2023年のフラッキングによる採掘を行う企業236社へのファイナンスの2023年の総額は約590億ドルだった。米銀のJPモルガン・チェース、ウェルズ・ファーゴ、バンク・オブ・アメリカ、ゴールドマン・サックス、シティモルガン・スタンレーこの部門の上位を占めた。 

↓ 超深海の石油・ガス:日本のみずほMUFGSMBCグループが、2023年の超深海での石油・ガス関連企業66社への資金提供で上位となった。総額は約37億ドルで、2022年より減少した。 

↓ 北極圏の石油・ガス:北極圏の石油・ガス関連企業45社への資金提供は約33億ドルから約24億ドルに減少。2023年の最多資金提供銀行は、ウニクレディト、シティ、インテーザ・サンパオロ(イタリア)、バークレイズ(イギリス)クレディ・アグリコル(フランス)である。 

↓ アマゾンの石油・ガス:バンク・オブ・アメリカが1位で、アマゾン生物群系で採掘を行っている企業24社に約1億6,200万ドルを提供し、2位のJPモルガン・チェースを約3,300万ドルも上回った。2023年の総額は約6億3,200万ドルで、前年の約8億200万ドルから減少した。 

※「化石燃料ファイナンス報告書2024」の部門別報告は、ウルゲバルト調査の「脱石油・ガスリスト(GOGEL)および「脱石炭リスト」(GCEL)と連携している(注)。どちらかのリストで、銀行からの資金提供が各部門で掲載された企業は全て計上された。どちらかのリストで化石燃料拡大企業として特定された企業は全て本報告書の化石燃料拡大部門のリーグテーブル(ランキング)に計上された。アマゾンの石油・ガス企業はStand.earth リサーチグループによって特定された。原料炭企業はバンクトラックとリクレイム・ファイナンスの協力によって特定された。

注)参考:Japan Beyond Coal「【ニュース】Urgewald脱石炭と脱石油・ガスのリスト掲載の日本企業」、2024年2月27日 https://beyond-coal.jp/news/urgewald_gcel-gogel-2023/

 

本件に関するお問い合わせ

レインフォレスト・アクション・ネットワーク(RAN)

日本チームマネジャー 関本 Email: yuki.sekimoto@ran.org

日本シニア・アドバイザー 川上 Email: 川上豊幸  Email:   toyo@ran.org

 

共同プレスリリース:環境NGO、東証プライム4企業に対して株主提案〜メガバンク全3社含む日本企業の取締役のコンピテンシーに関する開示を要求〜(2024/4/15)

国際環境NGO マーケット・フォース
特定非営利活動法人 気候ネットワーク
レインフォレスト・アクション・ネットワーク(RAN)

国内外の環境NGOとその代表者を含む個人株主は4月15日までに、金融、電力の2業界の4企業(三菱UFJフィナンシャル・グループ、三井住友フィナンシャルグループ、みずほフィナンシャルグループ、日本最大の発電会社・JERAの経営に大きく関与する中部電力)に対し、気候変動対策の強化を求める株主提案を提出しました。

我々は関連企業との対話を続けてきましたが、より一層の気候変動対策への注力を期待し、今年は企業の取締役会に焦点を当てた提案を提出しています。提出先企業の取締役会が、気候関連事業リスク及び機会の適切な監督を行う上で必要な能力あるいは人材を備えているか、株主が評価する上で必要な情報開示を求める議案となっています。

株主提案

昨年の株主総会シーズンで日本企業は過去最多の気候変動に関する株主提案に直面しました。近年、このような株主提案は環境NGOに限らず、国外の機関投資家や地方自治体からも提案されています。多様なステークホルダーが高炭素排出企業による気候変動対策の遅れに対して、広範囲に及ぶ悪影響のみならず、企業価値の低下を招くとの危機意識を共有し、行動に移しています。我々が提出した議案も機関投資家に幅広く支持されました。

メガバンク3社については、気候変動への公約及び気候変動リスク管理戦略を踏まえ、これらの実効性を株主が判断できることが重要です。化石燃料セクターの顧客の移行計画とパリ協定1.5℃目標との整合性について、メガバンク各社がどのように評価を行うか、そして当該セクター顧客がパリ協定に沿った信頼性の高い移行計画を作成しなかった場合、新規資金の制限を含む、対応措置をどのようにとるのかの開示を求めています。

提出先企業が抱える問題の要点は以下の通りです(業界ごと)

■メガバンク

「メガバンクの気候変動対策は1.5度に気温上昇を抑えるために科学が明確に求めている行動水準からいまだに大きく乖離しており、このことは企業価値をリスクにさらします。特に、石油・ガスへのファイナンス方針においてアジアの銀行を含む競合他社から大きく遅れをとり、高リスクの事業に資金を提供し続けており、リスク管理能力が問われています。我々の2つの提案が可決されれば、メガバンクの取締役会に気候関連の事業リスクと機会を監督する能力が備わっているか、またメガバンクが重視する高排出企業への移行エンゲージメントの実効性について株主が評価できるようになるでしょう。ひいては、メガバンクの気候変動対策の強化に繋がり、企業価値の維持・向上にも資すると考えます。」

(マーケット・フォース, 日本・エネルギーファイナンスキャンペーン担当, 渡辺瑛莉)

 

「メガバンクは、融資先の移行計画への評価体制が緩い点が問題です。気候危機下で効果的な管理を行うための取締役など経営レベルでの専門性が不足しているように見えます。結果として、1.5℃目標の達成を困難にするような事業計画を持っている企業にも融資が継続されたり、また、銀行としての方針や管理体制が不十分なのではないかと私たちは懸念しています。例えば、LNGセクターでの事業拡大を進める企業への資金提供を継続し、MUFGとみずほは先住民族の人権を侵害している米国のリオ・グランデLNG事業でも重要な役割を果たしています。3行とも、木質バイオマス発電事業や農業など高炭素セクターでの生物由来CO2排出量の集計も行なっていません。メガバンクにはネットゼロにコミットし、脱炭素社会へのシステム移行をサポートする金融機関として、融資先企業や政府の移行計画の妥当性を見極め、対処する管理能力が問われています。」

(レインフォレスト・アクション・ネットワワーク, 日本シニア・アドバイザー, 川上豊幸)

 

■中部電力

今年は特に『第7次エネルギー基本計画』についての検討が行われる重要な年です。中部電力およびJERAは、引き続き、水素・アンモニア、CCSの導入促進および原発再稼働で脱炭素を図るとしていますが、それらによる実質的な排出削減効果と経済性、さらに安全性の保障を鑑みれば、まったく解決策にはなっていません。根本的な方針転換をするには、会社経営を担う人たちに科学的知見を踏まえた判断をしていただく必要があります。真の脱炭素、再エネが主力となる社会に向かっていくには柔軟な考え方と思い切った転換が必要です。」

(気候ネットワーク, プログラム・コーディネーター, 鈴木康子)

 

「採掘から使用を含めた供給網全体で化石燃料からの脱却なしに気温上昇を1.5度以下に抑制することは極めて困難です。中部電力とJERAの移行計画は、1.5度目標のタイムラインに沿っているとは言えず、両社は大きな移行リスクを抱えるとともに気候変動の悪化を招こうとしています。中部電力の取締役会は真正かつ実効性のある移行計画を後押しする監督責任があり、今後厳しい目で見られることになるでしょう。そもそも、取締役会の気候リスク監督能力を株主が評価するための情報が不足しているのが現状です。」

(マーケット・フォース, エネルギーファイナンスアナリスト, 鈴木幸子)

 

株主提案の提出先企業に求める情報開示は、コーポレートガバナンス・コードの求め、及び投資家団体(CA100+やTPI等)、国際サステナビリティ基準審議会(ISSB)等を通じ、投資家が求める情報開示に合致しています。

また、株主提案を提出先となった企業は、座礁資産リスク(環境や市場、規制の変化で企業が将来的に減損処理する資産を抱えること)や訴訟リスク、ブランド価値の毀損など将来の企業価値に関する重大なリスクを抱えています。また、こうした企業が誤った戦略を取り続けると気候変動対策の妨げともなりかねません。

企業が我々の株主提案を真摯に受け止め、投資家の方々の後押しを受けて気候変動対策を強化するとともに情報開示を進めることが、企業価値の向上に繋がり、ひいては気候危機を防ぐ一助となるとして、ご理解を得られることを期待しています。

 

■ 株主提案に関する詳細 

メガバンク3社(こちらから)

中部電力 (こちらから)

 

■ 株主提案に関する特設サイト

各社への提案書および投資家向け説明資料は特設サイトからもダウンロードいただけます。

Asia Shareholder Action: https://shareholderaction.asia/ja/

 

■ 株主提案の内容に関するお問合せ先

□ マーケット・フォース(Market Forces)https://www.marketforces.org.au
日本語窓口(松木):TEL:+81-80-4395-8529
担当者:Antony Balmain E-mail: contact[@]marketforces.org.au
Tel: +81-80 4395 8529

□ 気候ネットワーク  
https://www.kikonet.org

東京事務所:TEL:+81-3-3263-9210
担当者:鈴木康子 E-mail: suzuki[@]kikonet.org

□ レインフォレスト・アクション・ネットワーク(RAN)
japan.ran.org

担当者:川上豊幸 E-mail: toyo[@]ran.org