サンフランシスコに本部を持つ米国の環境NGO RAINFOREST ACTION NETWORKの日本代表部です

声明:三井住友FG、気候リーダーになる好機を逃す〜与信方針を改訂するも、みずほに及ばず〜 (2020/4/17)

三菱UFJに注目が高まる

米環境NGOレインフォレスト・アクション・ネットワーク(本部:米国サンフランシスコ、日本代表部:東京都渋谷区、以下RAN)は、本日17日、三井住友フィナンシャルグループ(SMBC)が同グループの石炭、石油・ガス、森林減少等への資金提供に関するESG(環境・社会・ガバナンス)方針の改定を16日に発表したこと(注1)を受けて、「中途半端な改訂で残念である」とし、以下の声明を発表しました。SMBCの方針改訂は、国内2位のメガバンクであるみずほフィナンシャルグループ(みずほ、TYO:8411)が気候リスク管理を強化した一連の方針改訂を発表した(注2)翌日に公表されました。メガバンクの方針はパリ協定の目標を達成するにはまだ不十分ですが、初めてセクター別の方針を定めた2年前に比べると大きな変化を遂げています。三菱UFJフィナンシャル・グループ(MUFG)の方針改訂は5月までに発表される可能性があり、みずほとSMBCの方針改訂を受けて、MUFGへの注目が高まります。

RAN「責任ある金融」シニアキャンペーナー ハナ・ハイネケンは「今回の方針改訂で、三井住友フィナンシャルグループは日本での気候変動対策のリーダーになる大きな機会を逃しました。 同グループは国連の『責任ある銀行原則』に署名し、投融資をパリ協定と持続可能な開発目標に合致させることを約束しましたが、これでは達成できません。 もう一度、振り出しに戻って直ちにやり直す必要があります」と指摘しました。

写真:三井住友フィナンシャルグループ株主総会前でのアクション、2018年6月

3メガバンクは昨年9月に国連「責任銀行原則」に署名したことで、銀行業務の実態と持続可能性に関する公約の間に『大きな開き』ができました(注3)。日本の銀行による融資先は、問題案件となっているベトナムおよびインドネシアの新規石炭火力発電所建設、インドネシアでの森林火災と搾取を伴うパーム油の農園、米国で紛争をもたらしているオイルサンド・パイプライン等(注4)に関わり、世界中に広がっています。今年3月に発表されたRANらの報告書では、MUFGとみずほは世界6位、9位の化石燃料への資金提供者であることが明らかになりました(注5)。また、3メガバンクは東南アジアの森林減少に加担している最大の資金提供者に含まれ、SMBCがメガバンクで最も多いことも明らかになっています(注6)

SMBCの方針は以下の通り、多くの面でみずほの方針よりも弱いと言えます。

●パーム油、紙パルプ、木材等、森林に悪影響を与える恐れのある産品への与信方針に「森林破壊禁止、泥炭地開発禁止、搾取禁止方針」(NDPE : No Deforestation, No Peat and No Exploitation、注7)や、「自由意思による、事前の、十分な情報に基づく同意」(FPIC:Free, Prior and Informed Consent))の要件がない。 このような基準は国連「持続可能な開発目標(SDGs)達成に不可欠である

● SMBCは、石炭に関わる資金提供の段階的廃止を約束せず、新設の石炭火力発電所への支援は「原則として」実行しないと約束している。一方で、超々臨界石炭火力発電所を「環境へ配慮した技術」と評価している(注8)

●炭鉱採掘部門で環境負荷の大きい「山頂除去採掘」を新たに禁止している点や、石油・ガス部門で社会・環境面でのリスクを認識している点は進展といえる。しかし、気候変動関連の制約が全く記載されていない

MUFGの方針改訂への期待は、みずほが設定した新基準を超えなければ、大きな失望へと変わるでしょう。MUFGは日本最大の銀行として、そして世界で銀行業務を大きく展開している上でも、3メガバンクで最も厳しい気候関連方針を策定し、世界の銀行と競い合っていくという、他の銀行にはない大きな責任を負っています。

注1)三井住友フィナンシャルグループ「ESGに関するリスクの考え方について」、2020年4月16日

注2)みずほフィナンシャルグループ「サステナビリティへの取り組み強化について〜脱炭素社会実現に向けたアクション強化〜」、2020年4月15日

注3)NGO共同声明「グリーンウォッシュはもういらない、好結果がともなう原則を〜国連『責任銀行原則』発足をうけて〜」、 2019年9月23日

注4)参考資料
Market Forces「ブンアン2石炭火力事業に融資しないで!」

東洋経済「日本が関与『インドネシア石炭火力』に重大事態:チレボン2号機案件で『贈収賄疑惑』が浮上」、2020年1月16日

RANプレスリリース「新報告書『森林火災・違法行為とメガバンク』発表〜3メガ、炭素吸収源の熱帯林破壊に加担し『気候危機』を加速〜 」、2020年1月29日

RAN本部プレスリリース「TCエナジー社、キーストーンXLパイプライン計画を進める〜JPモルガンチェース、シティ・グループ、カナダの銀行が資金提供」(Reckless Keystone XL Decision by TC Energy Endorsed by JPMorgan Chase, Citi and Canadian Peers)(英語)、2020年4月3日

SMBC関連で、問題ある事業や融資先企業には以下も含まれる。
東アフリカ原油パイプライン

マイティアース『住友商事が引き起こす環境破壊 :石炭とバイオマスが影を落とす日本の未来』、2019年12月10日

米国カリフォルニア州での石炭輸出ターミナル

注5)NGO共同プレスリリース「RAN他『化石燃料ファイナンス成績表2020』発表:3メガバンク、パリ協定後も化石燃料に約2,3814億ドルを資金提供〜みずほ、三菱UFJが世界トップ10入り〜」 、2020年3月18日

注6)RAN他「森林と金融データベース:東南アジアの森林リスク企業へ融資と引受:上位10金融機関(2014年〜2019年8月)」

注7) NDPE方針については「責任投資原則」のパーム油に関する声明を参照

注8)SMBCの石炭方針については以下のNGO共同声明も参照
「三井住友が石炭新方針を発表~みずほの新方針と比べて低水準に〜」、2020年4月16日

団体紹介
レインフォレスト・アクションネットワーク(RAN)は、米国のサンフランシスコに本部を持つ環境NGOです。1985年の設立以来、環境・森林保護で最前線に立つ人々とのパートナーシップと戦略的キャンペーンを通じて、環境保護と先住民族や地域住民の権利擁護活動をさまざまな角度から行っています。

本件に関するお問い合わせ先
レインフォレスト・アクション・ネットワーク
広報:関本 Email: yuki.sekimoto@ran.org