声明:東京五輪 大会前報告書は「見せかけのサステナビリティ報告書」 (2020/4/30)
〜木材調達の失敗から教訓を学ばず、悪しきレガシー残す〜
米環境NGOレインフォレスト・アクション・ネットワーク(本部:米国サンフランシスコ、日本代表部:東京都渋谷区、以下RAN)は、本日30日、東京2020組織委員会が「持続可能性大会前報告書」(注)を公表したことを受けて、以下の声明を発表しました。
「持続可能性大会前報告書」は「見せかけのサステナビリティ報告書」と言わざるを得ない。なぜならば、報告書には東南アジアの熱帯林破壊によって得られた木材が新国立競技場や有明アリーナなどの大会関連施設に調達された問題の記述がなく、東京2020大会主催者は調達の失敗を認めていないからだ。破壊された熱帯林には絶滅危惧種のオランウータンの生息地も含まれる。NGOは2016年から、熱帯材の調達に関する諸問題を指摘してきた。
さらに、NGOの指摘や社会的関心の高まりを受けて、組織委員会と東京都が2018年に実施したコンクリート型枠合板調達のモニタリング調査では、インドネシアでの熱帯林が破壊された現場は調査対象とせず、他の現場を調査しただけで「持続可能な森林管理に取り組んでいることが確認できました」と記述するなど、問題に向き合う姿勢も見られない。
大会自体の延期に伴い、組織委員会は木材調達の失敗と教訓を報告書に課題として記録し、大会の持続可能性実現ための明確な道筋を示すこともできたはずだ。しかし、それもしていない。
今、世界は新型コロナウイルスの感染拡大という大きな試練に直面している。失敗を認めず、教訓から学ばない姿勢では『悪しきレガシー』が残されるままだ。大会の開催予定まであと1年あまり。「ポストコロナ時代」の持続可能性への対応には大きな懸念が残る。
参考:NGO共同声明「東京五輪は『見せかけのサステナビリティ』〜東京五輪および『持続可能性大会前報告書』公表延期を受けて」2020年3月30日
団体紹介
レインフォレスト・アクションネットワーク(RAN)は、米国のサンフランシスコに本部を持つ環境NGOです。1985年の設立以来、環境・森林保護で最前線に立つ人々とのパートナーシップと戦略的キャンペーンを通じて、環境保護と先住民族や地域住民の権利擁護活動をさまざまな角度から行っています。
本件に関するお問い合わせ先
レインフォレスト・アクション・ネットワーク
広報:関本 Email: yuki.sekimoto@ran.org