サンフランシスコに本部を持つ米国の環境NGO RAINFOREST ACTION NETWORKの日本代表部です

発行物:ポジションペーパー「COP26:気候カオス回避のため、企業に求められる行動」(2021/10/29)

環境NGOレインフォレスト・アクション・ネットワーク(本部:米国サンフランシスコ、日本代表部:東京都渋谷区、以下RAN)は、29日、ポジションペーパー「COP26 気候カオス回避のため、企業に求められる行動(和訳)」(英語版は9月28日発行)を発行しました。

「CODE RED: 人類への非常事態警報」NY国連本部前でのアクション、2021年10月27日 PHOTO: Erik McGregor

ーー202110月31、パリ協定の締結以降、最も重要な気候変動会議が英国スコットランドのグラスゴーで始まる。しかし、先住民族の人々や最貧国の代表者、世界中の有色人種コミュニティを代表する人々が会議に出席し、その声を確実に届けることができるかどうかは、いまだ疑問視されている。新型コロナウイルスのワクチン接種の機会のみならず、締約国会議(COP)への渡航と参加の仕組みにも不公平さがあるためだ。

COPの目的は、私たちみんなが直面している、世界で同時に起きている気候危機への解決策を構築することだ。しかし、化石燃料および森林破壊産業による極端な気候変動や人権侵害について、最も責任のないコミュニティが最も直接的に大きな影響を受け、ここでもまた、制度的な不正義によって深刻な悪影響を受けていることを記しておきたいーー

レインフォレスト・アクション・ネットワーク(RAN)は、パリ協定の目標達成に向けて地球温暖化を1.5度に抑えるため、国連気候変動枠組条約(UNFCCC)のグラスゴーでの締約国会議(COP26)で実質的な成果を求める協力者たちの世界的なネットワークに参加する

今年の気候サミットは金融に焦点が置かれるーーそれは当然だ。金融が重要なのは、途上国が異常気象に対処し、クリーンエネルギーの未来へと移行するのを支援するためだけではない。銀行や保険会社もまた、化石燃料拡大および、産業が引き起こす森林破壊を助長する資金の流れを直ちに断ち切る必要があるからだ。

国連の気候変動に関する政府間パネル(IPCC)は『第6次評価報告書』の中で、「人間の影響が大気、海洋および陸域を温暖化させてきたことには疑う余地がない」と宣言した。向こう数十年の間に二酸化炭素およびその他の温室効果ガスの排出が大幅に減少しない限り、21世紀中に、地球温暖化は1.5度および2度を超えるという。

つまり、手つかずの森林や泥炭地、自然生態系、先住民族の領域で、森林破壊のリスクがある産品(以下、森林リスク産品)の生産拡大を推し進める大手銀行や消費財企業は、森林と森の民の人権を守り、権利を擁護する方針を直ちに採用して実施しなければならないということだ。パーム油や紙パルプ、木材、大豆、牛肉生産は森林減少の最大の要因であり、気候危機に拍車をかけている。大手銀行や消費財企業は、そうした目的のために商業伐採や植林地・牧草地の天然林への拡大を推進している顧客企業あるいはサプライヤーとの関係を断ち切らなければならない。

そして私たちは、化石燃料に依存する経済から直ちに脱却する必要がある。保守的な国際エネルギー機関(IEA)でさえ、人間が暮らしやすい未来を守るためには、各国は化石燃料の全ての新規探査および生産を停止し、化石燃料への補助金を打ち切るべきであると明言している。それでも、ウォール街をはじめ世界中の銀行は、化石燃料セクターに数十億ドルを投じ続けている。

森林や、炭素を豊富に含む泥炭地に火が入れられブルドーザーで一掃される場合、または化石燃料が抽出され燃焼された場合、膨大な量の温室効果ガスが大気中に放出される。そして、炭素吸収源として機能するはずの森林や泥炭地は、破壊されるだけでなく、逆に二酸化炭素を放出して気温上昇をもたらす要因となる。非常識かつ無責任である。こうした脅威の存在に加担している企業や金融機関が責任を負うための気候変動のための合意が、地球には必要なのである。

気候危機の規模に応じた対応を取る

指針としての「リアルゼロ」

「2050年までにネットゼロ」はCOP26開催に至るまでの間、官民関係組織の常套句となってきた。しかし、2050年までにネットゼロでは「少なすぎ、遅すぎる」。2050年までに、すでに炭素排出量が壊滅的な影響を引き起こすレベルに達してしまう可能性がある。

FoE (Friends of the Earth)インターナショナルが、気候正義を求める複数団体の支援を受けて発行した報告書の中で述べているとおり、「リアルゼロ」とは「可能な限りゼロとなるよう排出量を削減し、生態学的アプローチを用いて残留排出量を除去する」ことを意味する。つまり、化石燃料が世界全体の排出量の主たる要因である以上、企業や政府が化石燃料の拡大を即時停止し、可能な限り早急に化石燃料全体を段階的に廃止する明確で実行可能な計画を示さない限り、そのネットゼロの約束を信用することはできないということだ。

森林減少や自然生態系の劣化は、世界全体の排出量の大きな要因となっている。炭素吸収源の役目を果たし、大気から最も多くの炭素を除去できる森林を保護することは、排出量を削減する最も安価で早い手段のひとつだ。したがって、世界の消費財企業――つまり、森林リスク産品の調達によって森林破壊につながる需要を推進している企業――に見られる多くのネットゼロの約束も、サプライチェーンで関わる森林やその他の自然生態系への商業伐採や単一作物のプランテーション、牧場の拡大を即時停止すると証明しない限り、信用することはできない。

あまりにも頻繁に「2050年までにネットゼロ」という言葉はPR戦術として使われ、政府や金融機関、企業は実質的かつ意味のある行動を遅らせている。気候変動対策の遅れは、気候変動による影響を否定するのと本質的には同じことである。

「リアルゼロ」の達成には、次の行動が必須となる。

●あらゆるセクターで最前線のコミュニティの権利を尊重し、暴力を終わらせる

IPCCは『土地関係特別報告書の中で、強力かつ組織化された地域コミュニティや先住民族コミュニティは森林減少と生態系崩壊に対する重要な防御であると確認している。こうしたコミュニティは、土地や文化、生活を守り、数世代にもわたってその営みを続けてきた。先住民族の人々が管理しているのは地球上の土地の約2割に過ぎないが、世界の生物多様性の8割を保護している。優先すべきは、人権を中心に据えて擁護し、先住民族の土地権を保証し、先住民族の権利を尊重する気候変動対策だ。それが正しい行動指針だからというだけでなく、最も有効なアプローチでもあるからだ。

多国籍企業や政府が人権を優先課題として擁護できないと、最前線のコミュニティや人権擁護者が受ける暴力、脅迫、不当な犯罪者扱いが増加する。この相関性はアグリビジネスセクターと化石燃料セクターで最も顕著だが、これは居住地で計画中あるいは進行中の開発事業による影響を受ける先住民族やコミュニティの土地保有権、土地利用権、またそれらの事業に対して「FPIC原則」(自由意思による、事前の、十分な情報に基づく同意を与える、または拒否する権利、FPIC=Free, Prior and Informed Consent)との関連がとりわけ深いからだ。土地紛争では、自分たちの領域やコミュニティのこれまでの暮らしを守ろうとする先住民族の人々や女性、活動家たちが、社会的抗議を不当告発されたり、嫌がらせを受けたり、投獄されたりすることが珍しくない。最近のグローバル・ウィットネスの報告書『Last Line of Defence(仮邦題:最後の砦)』によれば、2020年だけで200人もの環境保護活動家が殺害されている。

化石燃料拡大への財政支援を停止し、化石燃料の段階的廃止を開始する

IEAは最近の報告書『IEAロードマップ(Net Zero by 2050)』の中で、2021年以降、新規の石油、ガス、石炭を供給してはいけないとする、これまでの結論を強調している。この主張からも、2050年までのネットゼロを約束している全ての企業が、化石燃料拡大への支援を即時停止すべきであることは明らかだ。化石燃料拡大への支援を続ける銀行や保険会社による「2050年までにネットゼロ」の約束を信用すべきではない。

優先課題として、銀行および保険会社は、人権や環境破壊、炭素排出量の多さに関して悲惨な記録が残るオイルサンド部門への支援を停止すべきである。また石炭産業への支援を即刻停止し、経済協力開発機構(OECD)加盟国とEU諸国では遅くとも2030年まで、他の各国では2040年までに完全撤退する必要がある。

銀行はこれらの短期的な取り組みと並行して、化石燃料融資の完全で管理された公平な段階的停止と、影響を受ける全ての労働者とコミュニティの公正な移行(ジャスト・トランジション)を計画し、スタートさせなければならない。同様に保険会社は、化石燃料に関する保険全体の段階的廃止を計画しなければならない。これらを果たさない約束は全てグリーンウォッシュになる。

森林と泥炭地の保護を優先する

森林と泥炭地は、すでに進行している重大な気候変動に世界が適応していくうえで不可欠であり、今後もその事実は変わらない。健全な森林は河川流域を維持し、海面上昇への影響を軽減し、気温の上昇を抑えるのに必要な植生をもたらし、生物多様性を維持・向上させ、二酸化炭素を吸収するが、こうした便益はほんの一例に過ぎない。天然林と泥炭地の保護は、企業の見せかけの「植林」プロジェクトであってはならず、その土地に根差した気候緩和・適応計画の中で何よりもまず優先されるべきものである。劣化した森林の回復は、炭素の吸収・貯留に極めて重要な役割を果たすため、手つかずの森林を守る取り組みを続ける必要がある。土地利用の転換を阻止し、森林リスク産品サプライチェーンを「森林破壊禁止、泥炭地開発禁止、搾取禁止」(NDPE:No Deforestation, No Peat and No Exploitation)の取り組みと整合するよう改革することも、同じく現存する炭素貯蔵量の増加と保護につながる。逆に、森林の減少と劣化が続けば、気候変動や生物多様性の損失が加速するだけでなく、森林コミュニティは気候変動に対処する力を削がれ、不公平かつ深刻な影響をさらに被ることになる。

気候危機に対する世界規模の方針と介入     は、林業や産品生産、化石燃料の採掘を望む企業に先住民族コミュニティの土地を引き渡すのではなく、自らの土地に対してコミュニティが持つ法的権利を保証し、拡大することを目指さなければならない。最後に残された手つかずの森林景観や天然林および生態系で、林業や産業型の産品生産、そして化石燃料の採掘を拡大することは直ちに停止しなければならない。

産品生産による森林破壊を阻止する

政府と企業は、自らの森林リスク産品の調達や資金提供が、森林減少や森林劣化、権利侵害の原因とならないよう徹底しなければならない。パリ協定の履行に対する包括的方針には、企業によるNDPE方針採用に関する明確な要件を記載する必要がある。その一環として、政府は企業のサプライチェーンおよび金融セクターへの強い規制を採用すべきである。

世界の森林減少の40%は、パーム油や紙パルプ、牛肉、大豆、カカオ、木材製品などの産品生産に起因する。森林リスク産品によって利益を得ている消費財企業や銀行は、森林減少を食い止めるだけでなく、先住民族の土地権を保証して、森林伐採や産業型農業、牧場の拡大による影響を受ける先住民族と地域コミュニティの権利を尊重する厳格な方針を採用し、遵守しなければならない。

さらに、家畜の生産はメタン排出の極めて大きな要因となっている。気候変動の主たる要因に完全に対処するためには、世界の食料システムもまた、破壊的で集約的な農法からアグロエコロジー(農業生態学)的な農法へと転換し、野菜中心の食事を奨励する必要がある。

 

偽りの解決策を防止する

カーボンオフセットは、気候変動の解決策にはならない。

現実的なリスクとして、COP締約国が、偽りの解決策の定着や奨励を狙いとするルールブックを承認する可能性がある。例えばネットゼロ目標達成のためのカーボンオフセット容認や、再生可能エネルギーのポートフォリオに組み込まれた発電用森林バイオマスの大規模燃焼、さらにネガティブエミッション技術といったものが該当する。世界は企業や政府のグリーンウォッシュを認める余裕はない。

カーボンオフセットは、IPCCの定義によれば、「他の場所で発生した排出量を相殺するために削減、回避または隔離される二酸化炭素換算排出量の単位」とされる。オフセットは取引可能なクレジットとしてパッケージ化され、販売されている。金融機関や消費財企業、政府に気候変動対策を求める圧力が高まる中、これらの組織は事業活動での排出量削減とは別物のカーボンオフセットに頼っている。化石燃料セクターにおける最大の汚染者である多くの企業が、ネットゼロ目標の達成に向けて森林カーボンオフセットの利用を検討している。

COP26に向けて大規模汚染企業が示している提案の多くは、カーボンオフセットの仕組みが、森林減少に歯止めをかけて排出量を削減するための市場本位のメカニズムとなる可能性を示唆するものである。しかし、その仕組みは機能しておらず、今後も機能するはずがない。むしろ、あらゆるカーボンオフセットのメカニズムには深刻な問題があることがこれまで明らかになっており、排出量を削減できなかったり、人権侵害や酷使に拍車をかけたりしているケースも多い。エネルギーセクターのネットゼロ目標達成のために、土地・森林によるオフセットの利用を認めてはならない。排出量を相殺するのではなく、削減できる場所で削減することが重要である。

発電用に木材を燃焼した場合、燃焼時のエネルギー当たりの排出量は、石炭よりも多くの二酸化炭素が排出される。さらに、バイオマス産業が推進している炭素回収技術は規模の大きな検証は行われていないため、大規模集中型発電での利用は、気候変動の解決策として認めることはできない。石炭火力発電の廃止が依然として優先事項であり、木質バイオマスを代替燃料として使うことは解決策にならないことを強調しておきたい。

COPの優先課題の一つは、欠陥のある「市場本位の解決策」から、人と地球の双方に利益をもたらすために、多様な生物が暮らす生態系を真に保護・管理し、回復させる一連の「自然本位の解決策」へと転換することだ。今回のCOPでは、偽りの解決策を停止すること、そしてオフセット、森林伐採、単一作物プランテーションの拡大、ネガティブエミッション技術の提案を認めないことを、全世界の合意事項としなければならない。

RANは、オフセットではなく、独立した基金を創設することで資金を調達する非市場型アプローチについて、CLARA(Climate Land Ambition and Rights Alliance)の提案を支持している。このような基金は、委任信託のように、土地・森林による大量のカーボンオフセットを発生させずに、権利を保証し、森林保護のために必要な資金を提供できるだろう。カーボンオフセットは、化石燃料由来の排出量削減に必要な投資を遠ざけ、遅らせるだけである。

パリ協定第6条8項では「総合的及び全体的であり、並びに均衡のとれた非市場型アプローチ」の正当性を強く示しており、これこそCOP26会期中に合意されるべきものである。これらの解決策は第6条2項および第6条4項で目指している定義がやや曖昧なアプローチとは異なる。第6条8項の非市場型解決策もまた保護と回復の優先を基本とし、自分たちの土地の持続可能な管理に対する先住民族コミュニティの法的権利の保証と拡大を目指す必要がある。

提言:気候変動、生物多様性、人権の危機に拍車をかけている銀行、保険会社、消費財企業へ

COP26の開幕までに、全ての金融機関および消費財企業は以下を行う必要がある。

●人権および先住民族の主権を尊重すること

金融機関は、人権および土地権を侵害する事業や企業、また、人種差別の慣行に関与し、条約が保護する先住民族の権利、主権、FPIC原則(自由意思による、事前の、十分な情報に基づく同意を与える、または拒否する権利)を尊重しない事業や企業には、全ての金融サービスおよび投資を停止しなければならない。

消費財企業は、FPIC原則をはじめとする先住民族およびコミュニティの権利を擁護する方針や手順に実効性を持たせることで、人権や土地権が侵害されることのないよう積極的な役割を果たさなければならない。消費財企業は、FPIC原則の権利尊重を検証するために、人権モニタリング(監視)とデューデリジェンス(相当の注意による適正評価)システム、現地調査に基づく方法を構築しなければならない。これは、インドネシアやアマゾン、コンゴ盆地の熱帯林を含む、林業やプランテーション拡大のために新たな開発が進む地域において特に重要である。消費財企業は、国際的な人権規範に従って、先住民族の土地権およびFPIC原則を保証する法的枠組みを推奨すべきであり、そうした枠組みを揺るがすことがあってはならない。消費財企業はまた、土地権の擁護者に対する暴力、不当告発、脅迫、殺害を防止するために、そのような行為を決して容認しない「ゼロトレランス」手順を制定しなければならない。

●森林破壊に関わる支援を停止すること

金融機関は、サプライチェーン全体を見て森林破壊や自然地域の転換、泥炭地破壊に関わりのある顧客企業には、あらゆる金融サービスおよび投資を即時停止しなければならない。

消費財企業は、サプライチェーン全体を見て、森林破壊や自然地域の転換、泥炭地破壊に関与している企業からの全ての調達と、こうした企業への投資を即時停止しなければならない。

●化石燃料への支援を停止すること

金融機関は、化石燃料産業への全ての金融サービスおよび投資の段階的廃止を始めなければならない。これには、化石燃料の採掘や生産および輸送の拡大に関与している事業や企業への全支援の即時停止を含む。

参考情報として、60団体を超える世界の気候変動団体および人権団体が2020年9月に発表した『パリ協定と整合性のある金融機関原則』では、パリ協定との整合性を図ろうとする金融機関の行動を評価するための基準をいくつか提供している。

さらに、RANが2021年4月に発表した『キープ・フォレスト・スタンディング 森林&人権方針ランキング2021』では、影響力のあるグローバル銀行および消費財企業各社(※)が、森林リスク産品セクターで森林破壊と人権侵害を助長している現状に対処するために採用した方針と行動を評価している。

※消費財企業(10社):日清食品、花王、ネスレ、ペプシコ、プロクター&ギャンブル、ユニリーバ、コルゲート・パーモリーブ、フェレロ、モンデリーズ、マース
銀行(7社):MUFG、JPモルガン・チェース、中国工商銀行(ICBC)、DBS、バンクネガラインドネシア(BNI)、CIMB、ABNアムロ

 

引用資料、参考資料

IPCC第6次評価報告書、全文はこちら

国際自然保護連合(IUCN)の方針声明:手つかずの森林景観を含む原生林について(仮邦題)

生物多様性と気候変動に関するIPCC-CBD(生物多様性条約)共同報告書、要約はこちら

Chasing Carbon Unicorns: The deception of carbon markets and “net zero”(仮邦題:炭素のユニコーン(幻の生き物)を追う~炭素市場の欺瞞と「ネットゼロ」)

IEAロードマップ

Last Line of Defence(仮邦題:最後の砦)』

CLARA(Climate Land Ambition and Rights Alliance)、ウェブサイト入手可能な発行物

『The Final Warning Bel(仮邦題;最後の警報)』

英語版はこちら

“COP26 Glasgow: What’s Needed Now to Avert Climate Chaos”

レインフォレスト・アクション・ネットーク(RAN)は、米国のサンフランシスコに本部を持つ環境NGOです。1985年の設立以来、環境に配慮した消費行動を通じて、森林保護、先住民族や地域住民の権利擁護、環境保護活動をさまざまな角度から行っています。2005年10月より、日本代表部を設置しています。

本件に関するお問い合わせ先
レインフォレスト・アクション・ネットワーク
広報:関本 Email: yuki.sekimoto@ran.org

ブログ:三菱UFJが抱える重大なESGリスク

RANはMUFGアメリカズのニューヨーク本社前でアピール行動を行い、森林火災への資金提供停止を訴えた。2020年9月1日、写真:Erik McGregor

菅首相が日本の「温室効果ガスを2050年までに実質ゼロ」にすると10月26日に発表しました。この数カ月、HSBC、モルガン・スタンレー、JPモルガン・チェース、バークレイズなど世界の銀行でも気候変動対策に関する公約を発表する動きが続いています。

一方、三菱UFJフィナンシャル・グループ(MUFG)は「持続可能な社会の実現に貢献する」と約束しているにも関わらず、実際は、森林破壊と気候変動を加速し、人々の生活を脅かしています。

このような問題に対応すべきESG(環境・社会・ガバナンス)与信方針について、今年4月にみずほフィナンシャル・グループと三井住友フィナンシャルグループ(SMBC)が方針を改定し、その後5月にMUFGも改定しましたが、気候変動対策においては遅れを取ってしまいました。これではMUFGは「サステナビリティ・リーダー」にはなれません。

MUFGの投融資には、以下の3つの部門において様々なESGリスクを抱えています。

1. パーム油:熱帯林を破壊しているパーム油企業等に投融資

MUFGは、熱帯林や熱帯泥炭地の破壊を加速させているパーム油部門に、世界で最も融資している金融機関の一つです。熱帯林は二酸化炭素の吸収源として、そして大半の陸上生物多様性の生息地としても重要な役割を果たしています。また、泥炭地は「炭素の貯蔵庫」とも呼ばれ、気候へのインパクトは測り知れません。しかし熱帯林は、パーム油や紙パルプ等の生産のために急速に失われています。森を長年守ってきた地域住民の生活と権利も脅かされているのです。

MUFGは、熱帯林の重要性を認識しつつも、保護に必要な対策を十分に取らず、熱帯林や泥炭地の破壊に加担している企業に融資を続けています。世界クラスの生物多様性ホットスポットと知られるルーセル・エコシステムの熱帯林まで影響を受けています。これでは、2020年までに森林減少を阻止しようという国連「持続可能な目標」(SDGs)の目標15を実現することはできません。

インドネシア、スマトラ島・アチェ半島上空。Duta Rendra Mulyaによる森林破壊の光景

2.石炭:気候危機を悪化させている

MUFGは、石炭火力発電への投融資を段階的に廃止し、石炭火力向けプロジェクトファイナンスを2040年までに残高ゼロにすることを公約しました。しかし、MUFGは、国内外で批判の的になっているベトナム・ブンアン2石炭火力発電事業(1,200メガワット規模)に融資しようとしています。このプロジェクトは今後数十年にわたって二酸化炭素を大気中に排出することになります。ブンアン 2 は座礁資産になるリスクが高く、建設されるべきではない理由が複数指摘されています。

3.オイルサンド・パイプライン:世の中の流れに逆行

MUFGは、オイルサンド部門でアジア最大の資金提供者です。カナダのアルバータ州から米国ミネソタ州の先住民の土地を通って五大湖につづく、問題の多い「ライン3」パイプラインの事業者であるエンブリッジに多額の資金を提供しています。このパイプラインがもしも建設された場合、平均的な石炭火力発電所の約50倍(!)もの二酸化炭素を排出することが予測されます。MUFGは、バイデン大統領が中止を約束した「キーストーンXL」パイプラインにも資金を提供しています。両方のプロジェクトは、先住民の権利と生活を脅かすため、先住民族の人々は強く反対しています。

***

パリ協定が採択された2015年以降の4年間、MUFGは化石燃料部門に1,188億ドル(約12.7兆円)の融資・引受を提供し、その金額は世界6位、国内ではトップの金融機関でした。科学的知見によれば、パリ協定の目標を満たすためには「パリ協定と整合性のある金融機関原則」に沿って化石燃料の拡大と森林破壊を直ちに止める必要がありますが、MUFGはこのような約束を一切していません。

MUFGが真の「サステナビリティ・リーダー」になるには、社会的責任を果たしている他の大手金融機関のベストプラクティスを見習い、ESGに関する投融資方針とその実施を次のように強化する必要があります:

1.森林、特に熱帯林に影響を及ぼす林業・農業関連企業には、ベストプラクティスである「森林減少禁止、泥炭地開発禁止、搾取禁止(NDPE)」基準遵守を要求すること

2.パリ協定の1.5度目標に沿って、化石燃料への投融資を段階的に停止し、化石燃料を拡大させる投融資は直ちに止めること

3.人権、特に先住民族と地域コミュニティの権利を尊重し、人権侵害を起こすプロジェクトには投融資をしないこと

4.高リスク部門をはじめ、ESGリスクの管理・監督の実効性を向上すること

もっと知りたい方はこちらへ:

熱帯林破壊・森林火災への投融資について

化石燃料への投融資について

メディア掲載:【動画】Brut JapanでRANハイネケンが取材を受けました

Brut Japan「メガバンクと気候変動の危険な関係」(2020年10月15日)〜RAN「責任ある金融」シニア・キャンペーナーのハナ・ハイネケンが、森林火災、気候変動とメガバンクの関係について取材を受けました。

動画を見る>>

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**関連するRANのプレスリリース**

「『森林と金融』グローバルのデータベース発表〜パリ協定後、森林破壊企業に1,500億ドルの資金が流入〜」(2020/9/2)

Photo by Erik McGregor

NGO共同声明:三菱UFJ、石炭火力向けプロジェクトファイナンス残高ゼロ目標 (2020/10/16)

依然パリ協定と整合せず、邦銀の遅れ目立つ

(English follows Japanese)

本日、三菱UFJフィナンシャル・グループ(以下、MUFG)がサステナビリティレポートを公表し(注1)、「2019年度末時点で3,580百万米ドルの石炭火力発電向けプロジェクトファイナンスの貸出金残高を2030 年度に2019 年度比 50% 削減、2040年度を目途にゼロにする(但し、MUFG 環境・社会ポリシーフレームワークに基づき、脱炭素社会への移行に向けた取り組みに資する案件は除外)」との目標を掲げました。これは、本年4月および7月にそれぞれ同様の目標を掲げた、みずほフィナンシャルグループ(注2)、三井住友フィナンシャルグループに続いての発表であり、邦銀大手3行の足並みが揃った形となります。

 これは一定の前進ではあるものの、気候危機の緊急性を鑑みれば、不十分な目標設定としか言わざるを得ません。早急にさらなる厳格な目標設定と方針改訂が求められます。MUFGも署名している国連責任銀行原則(PRB)では、パリ協定と持続可能な開発目標(SDGs)にビジネス戦略を整合させることが謳われていますが、この度MUFGが掲げた目標は、時間軸の長さ、並びにスコープの狭さの両面で大きな問題があります。また、邦銀の石炭方針は、海外の金融機関と比べても依然低い評価に留まっています(注3)。

 最新の科学によれば、パリ協定の1.5度目標を達成するためには、先進国では2030年までに、途上国であっても2040年までに石炭火力発電所の運転を完全に停止する必要があります。償還期間を過ぎても何十年も石炭火力発電所が稼働し続けることを鑑みれば、与信残高ゼロはより早期に達成される必要があります。また、今回の目標では依然として、新規の融資契約の余地が残されています。新規の石炭火力発電所は、世界中で1基たりとも建設の余地のないことが科学的にも明らかとなっていますが、邦銀によるブンアン2(ベトナム)などの新規融資検討が懸念されています。同事業はパリ協定の目標と整合しないだけでなく、経済合理性の欠如、現地の環境汚染や住民への人権侵害など、様々な問題が指摘されています。新規石炭火力発電事業への融資を例外なく停止する方針を早急に掲げるべきです。

 また、スコープをプロジェクトファイナンスに限定し、コーポレートファイナンスを対象外としていることも問題です。石炭採掘を含む石炭火力のバリューチェーン全体を網羅したコーポレートファイナンス(注4)も対象に含めるべきであり、パリ協定に整合的な時間軸でのフェーズアウト戦略を掲げるべきです。海外では、顧客にパリ協定に整合的な時間軸での移行計画の提出を求めるエンゲージメントを行い、計画が不適格であればダイベストメントするという流れが加速しています。これは一例ですが、エンゲージメントを効果的に行うためにも、まず金融機関がパリ協定に整合的な戦略・目標のロードマップを示す必要があります。注5

 さらに、石炭火力だけでなく、炭素排出量の多い他の化石燃料関連事業や土地利用に関わる(注6)事業および企業に対する資金提供の停止や残高削減の方針も掲げるべきです。

注1) https://www.mufg.jp/dam/csr/report/2020/ja_all.pdf

注2) 4月公表の同グループの方針では、2050年までの目標設定だったが、6月に開催された年次株主総会で2040年を目処に達成できるという趣旨の発言がなされた。

注3) 欧州やアメリカ、シンガポールの銀行と比べても邦銀の石炭方針は低い評価となっている。https://coalpolicytool.org/ 
(参考:https://world.350.org/ja/press-release/200908/

注4) 石炭火力発電への依存度が高い企業・新規発電所および関連インフラ建設を計画中の企業向けの融資、株式や債券の引受・投資など。

注5) パリ協定と整合的な目標設定とロードマップを示そうとしている例として、仏BNPパリバの取り組みが挙げられる。https://350jp.org/tcfd/

注6) IPCC(国連気候変動に関する政府間パネル)の2019年「土地関係特別報告書」(https://www.maff.go.jp/j/press/kanbo/kankyo/190809.html)では、農業、林業、その他土地利用による排出量が、人間活動による排出量の約23%を占めており、このうち、熱帯林減少による排出量が最も問題であるとされた。http://japan.ran.org/?p=1517

国際環境NGO 350.org Japan
気候ネットワーク
「環境・持続社会」研究センター(JACSES)
国際環境NGO FoE Japan
メコン・ウォッチ
レインフォレスト・アクション・ネットワーク
国際環境NGOグリーンピース・ジャパン

<本件に関するお問い合わせ>
国際環境NGO 350.org Japan 渡辺瑛莉 japan@350.org

‘Inadequately aligned with Paris Agreement, Mitsubishi UFJ Financial Group lags far behind its international peers’

No Coal Japan coalition responds to banking giant’s new climate goals

Joint Press Statement
October 16, 2020

350.org
Kiko Network
Japan Center for a Sustainable Environment and Society (JACSES)
Friends of the Earth Japan
Mekong Watch
Rainforest Action Network
Greenpeace Japan

Japan — Today, Mitsubishi UFJ Financial Group (MUFG), the largest banking institution in Japan, released its Sustainability Report (Japanese version only), stating its goal of erasing US$3.58 billion loan balances for coal-fired power projects by 2040. This announcement follows those of its Japanese peers, Mizuho Financial Group and Sumitomo Mitsui Financial Group, which set the same goal in April (1) and July this year respectively.

In response to the announcement, the No Coal Japan coalition, formed by several civil society groups, including 350.org, Kiko Network, JACSES, FoE Japan, Mekong Watch, Rainforest Action Network and Greenpeace Japan, said:

“While this is a step forward for MUFG, this goal is inadequate given the urgency of the climate crisis, and the impact of coal-fired power plants and other fossil fuels on health amidst the COVID-19 pandemic. There is an urgent need for stricter goal setting and fundamental policy revisions in Japan’s financial sector.

The standard of Japanese banks’ coal policies including MUFG remains low as compared to overseas financial institutions. MUFG is also one of the signatories of the UN Principles for Responsible Banking (PRB), which stipulates that the signatory banks should align their business strategies with the Paris Agreement and the Sustainable Development Goals (SDGs).

The goal set by MUFG is problematic in both a lengthy timeline and narrow scope. According to the best available science, coal-fired power plants need to be completely shut down by 2030 in developed countries and by 2040 in the rest of the world to limit the warming of the Earth to1.5 degrees, aligning with the Paris Agreement. Given that coal-fired power plants will continue to operate for decades beyond the redemption period, a zero-loan balance needs to be achieved much sooner.

In addition, the goal still leaves room for financing new coal fired power projects. It is scientifically clear that there is no room for the construction of any new coal-fired power plant in the world. However, there are concerns that Japanese banks are considering new loans such as the coal-fired power station Vung Ang 2 in Vietnam.

“Not only is the project inconsistent with the goal of the Paris Agreement, it lacks economic profitability, and will pollute the local environment and violate the basic human rights of the local communities. To align with Paris goals, MUFG should urgently put in place a policy to suspend financing for all the new coal-fired power projects without exception.

The scope of the goal set by MUFG is limited to project financing and not applied to corporate financing. Corporate financing (2), which covers the entire value chain of coal-fired power including coal mining, should be included along with a phase-out strategy with a timeline consistent with the Paris Agreement. Internationally, there is an accelerating trend where banks ask their customers to submit a transition plan on a timeline consistent with the Paris Agreement, and divest from clients with inadequate transition plans. To effectively facilitate this process, financial institutions must first set a roadmap of strategies and goals that are consistent with the Paris Agreement.

Furthermore, in addition to coal-fired power, policies to stop funding other high carbon emitting sectors such as other fossil fuel sectors and land-use-related sectors (3), and targets to phase-out from those sectors should be put forward.

Notes to editors:

(1) In April, Mizuho Financial Group announced its goal of erasing its outstanding credit balance for coal-fired power projects by 2050. However, during its Annual Shareholders’ Meeting in June 2020, the group commented that this goal could be achieved by 2040.

(2) Loans, underwritings, equity and bond investments for companies heavily reliant on coal mining/coal-fired power and companies who have expansion plans for new coal mining/coal-fired power plants and related infrastructures.

(3) According to the IPCC Special Report on Climate Change and Land (2019), emissions from agriculture, forestry and other forms of land use make up 23% of total emissions from human activities, with deforestation in tropical regions being singled out as the biggest carbon emitter from the land-use.

Contacts:
Asia Pacific: Nicole Han, +65 9828 1538, nicole.han@350.org
Global: Nathalia Clark, +55 61 991371229, nathalia@350.org

メディア掲載:日本経済新聞で「森林と金融」関連活動が紹介されました(2020/10/5)

日本経済新聞「ESG投資家が注視するメガバンクとアジア 」(2020年10月5日)〜RANのコメントが紹介されました〜

「国際会計基準(IFRS)をつくる国際会計基準審議会(IASB)の運営母体IFRS財団が、非財務情報の基準設定について協議文書を発表している。世界的に乱立ぎみの基準を整理、簡素化する狙いがあり、選択肢の1つとして財団の下に新組織『サステナビリティー基準審議会』(SSB)をつくる案を示した。12月末まで意見を募るという(略)。

環境NGOレインフォレスト・アクション・ネットワーク(RAN)が9月末に開いた説明会では、みずほに加えて、三菱UFJフィナンシャル・グループや三井住友フィナンシャルグループのASEAN域内での企業向け投融資について「結果として泥炭地・熱帯林の破壊につながっているのではないか」との問題提起がなされた。紹介されたインドネシアの大手財閥シナルマスへの融資などが象徴的な事例だ」>>続きを読む

**関連するRANのプレスリリース**
「『森林と金融』グローバルのデータベース発表〜パリ協定後、森林破壊企業に1,500億ドルの資金が流入〜」(2020/9/2)

MUFGアメリカズのニューヨーク本社前で森林火災への資金提供停止を訴えた、2020年9月1日、写真:Erik McGregor

ブログ:森林火災をあおる金融機関〜背後で動く資金〜(2020/9/15)

ニューヨークでアピール行動、三菱UFJとブラックロックに熱帯林破壊への資金提供停止を求め

責任ある金融 シニア・キャンペーナー ハナ・ハイネケン
(FoE米国 ガウラブ・マダン氏との共同執筆

伐採直後の森林に隣接する、森林火災の発生地点、ブラジルマットグロッソ州アウタ・フロレスタ 写真:Christian Braga / Greenpeace

レインフォレスト・アクション・ネットワーク(RAN)と国際的な市民団体は、8月31日から9月4日、インドネシアアマゾンで起きている森林火災について「ストップ!森林火災アクション週間」の呼びかけを行った。火災によって先住民族の土地が破壊され、気候変動と生物絶滅の危機が加速しているからだ。

さらに今年は、森林火災が、新型コロナウイルスによる公衆衛生と経済の「二重の危機」を悪化させる可能性がある。火災が、世界的流行の影響で動揺が広がる医療システムと経済にさらなる負担となっているのだ。新型コロナはすでに、先住民族や森林破壊の最前線にあるコミュニティに不均等な影響を及ぼしているが、火災によってその悲惨な状況が深刻化している。

熱帯林が自然発火することはなく、ブラジルとインドネシアで発生しているのは「自然火災」ではない。巨大アグリビジネス向けの土地開墾のために、意図的に火が放たれたのである。ブラジルでは牛肉と大豆、インドネシアではパーム油と紙パルプ事業がその原因である。違法にもかかわらず、企業が火入れをするのは、土地を切り拓く手段として最も安価だからだ。そして直接または間接的に森林火災につながりのあるこうした企業は、銀行や投資機関から莫大な額の投融資を受けている。その中には持続可能性への取り組みを主張している金融機関もある。

今回のアクション週間で、重要な4金融機関ーブラックロック、サンタンデール、三菱UFJフィナンシャル・グループ(MUFG)、バンクネガラインドネシア(BNI)ーの果たす役割に注目した理由はここにある。RANと協力団体が9月に更新した「森林と金融」データベースで検索すれば、どの銀行と投資機関が熱帯林の破壊と火災に拍車をかけ、どれだけの資金を提供しているのかを正確に突き止めることができる。分析の結果、上記の投資機関と銀行4社は、火入れを行なって森林を破壊するパーム油、紙パルプ、牛肉、大豆産業に大きく加担していることがわかった。

MUFG — 2016年以降、森林破壊リスク事業に32億ドルを提供

日本のメガバンクであるMUFGは世界5位の資産総額を保有する銀行で、実はパーム油部門では、東南アジア以外に本社を置く金融機関の中で最大の資金提供者でもある。MUFGは、シナルマス・グループのような、気候の安定化に極めて重要なインドネシアの熱帯林と泥炭地を破壊している世界最大のパーム油・紙パルプ企業複数社に資金を提供している。泥炭地破壊はインドネシアで起きている火災の最大の原因であり、アマゾンでの火災よりもはるかに多い二酸化炭素を放出した主因となっている。

残念ながら、MUFGが公表している与信方針に森林火災と煙害(ヘイズ)に関する記載はなく、インドネシアの子会社であるダナモン銀行に同行の方針の順守を義務付けてもいない。ただ私たち活動家にとって幸いなことに、米国におけるMUFGの存在感は大きい。MUFGは西海岸を拠点とするユニオンバンクを小会社に持ち、モルガン・スタンレーの筆頭株主でもある。なので、私たちの本拠地である米国で圧力をかけられるのは利点だ。

RANはボランティアとともにMUFGアメリカズのニューヨーク本社前でアピール行動を行い、森林火災への資金提供停止を訴えた。2020年9月1日
写真:Erik McGregor

ブラックロック — 2020年に森林破壊リスク事業に13億ドルを投資

世界最大の資産運用会社で、気候危機に責任を負うべき企業への最大の機関投資家でもあるブラックロックには、大きな問題がある。ブラックロックは今年1月、気候問題を投資戦略の中心に据えると約束したばかりだが、森林破壊、人権、そして先住民族および気候危機の最前線にある地域コミュニティの権利に対処する包括的で一貫性のある投資方針を持たず、森林破壊リスク企業への膨大な投資を続けている。さらに悪いことに、ブラックロックは2010年以降、森林破壊に対処する行動を求める株主提案の全てに、臆面もなく反対票を投じている以下、ブラックロックの森林破壊問題について簡単にまとめてみた。

●ブラックロックは、上場している世界最大の森林破壊リスク企業25社の三大株主の1社である
●ブラックロックは世界最大の食肉加工会社JBSの大口投資家であるが、同社がブラジルのアマゾンでの火災に関与しているという度重なる証拠や、さらに最近、同社のサプライチェーンにアマゾン熱帯林の保護地域で違法に放牧された畜牛が含まれているという証拠があるにもかかわらず、総額およそ1億4,000万米ドルを提供している
●ブラックロックは、2020年までに自社サプライチェーンで森林破壊に終止符を打つと約束しながら達成できなかった複数の消費財企業に、2,500億米ドルを投資している

RANとアマゾン・ウォッチ、FoEなどの協力団体は、ブラックロックに森林破壊と森林火災への資金提供を止めるよう訴えた。2020年9月1日 写真:Brooke Anderson

サンタンデール — 2016年以降、森林破壊リスク事業に50億ドルを提供

米国各地に支店を持ち、スペインに本社を置くサンタンデールは、ブラジルの企業に多額の資金を提供している。森林破壊の禁止をいろいろと宣言しているが、実際は、特にアマゾンの熱帯林破壊のリスクにさらされている。

サンタンデールは、2012年から「銀行環境イニシアティブ(Banking Environment Initiative)」のメンバーで、ソフト・コモディティ・コンパクト(SCC)に署名している。同コンパクトへの署名を通じて、サンタンデールは「ザ・コンシューマー・グッズ・フォーラム」の会員企業と協力して、2020年までに大豆、パーム油、牛肉、紙パルプおよび木材のサプライチェーンにおける「森林破壊実質ゼロ」を達成することを約束した。また同社は、自社の顧客企業と投資先が「熱帯林破壊のリスクが高い市場においてパーム油や木材製品、大豆を大量に生産または加工する業務を行っている場合も、それらの業務が2020年までに森林破壊実質ゼロを達成するという目標に沿うものであることを確認できる」ようにするとも約束している。お気づきのとおり、この中には牛肉に関する資金提供が含まれていない。

上記のようなグリーンウォッシュはさておき、サンタンデールがブラジルの牛肉セクターに対する最大の資金提供者の1社であることは事実である。このセクターがアマゾンの森林破壊や火入れによる森林開墾に関係していることは明らかだが、融資先にはマルフリグやJBSといった物議を醸している企業も含まれる。

サンタンデールの森林破壊リスク事業への融資・引受額(単位:100万米ドル)(2016年1月〜2020年4月)出典:https://forestsandfinance.org/?lang=ja

バンクネガラインドネシア(BNI) — 2016年以降、森林破壊リスク事業に24億ドルを提供

BNIはインドネシア最大手銀行の一つで、持続可能性に関して同国をリードするイメージを打ち出している。しかし、インドネシア各地で火災が発生する要因となっている泥炭地での火の使用や農園および植林地の開発を禁止する方針は公表していない。BNIの顧客として名を連ねる企業には、2019年に農園および植林地のある地域で起きた火災を理由に、インドネシア政府に農園の操業を凍結された数社が含まれる。BNIの顧客で最も有名な企業が前述のシナルマス・グループだ。世界有数の紙パルプおよびパーム油企業で、火災が影響した森林と泥炭地の面積はインドネシアの企業グループで最大である。BNIは2016年以降、同グループの紙パルプとパーム油の両部門に総額12億米ドル以上の資金を提供してきた。環境NGOのグリーンピースによれば、同グループの紙パルプ部門であるAPP(アジア・パルプ・アンド・ペーパー)とその子会社、事業パートナー、およびサプライヤーは、2015年から2018年の間にインドネシアにおいて総面積25万ヘクタール以上を焼き払った。また、同社はインドネシア各地での土地紛争の渦中にありながら、パルプ材植林地向けにさらに多くの土地の開墾を続けている。これは、気候にも甚大な影響を及ぼす。植林地の多くは、層の厚い泥炭(何千年にもわたり有機物が堆積した結果、大量の炭素を貯留する土壌)を排水し、劣化させて開発しているからだ。

今後、RANは上記の銀行と機関投資家への働きかけを強め、その見境のない資金提供によって私たちと地球の未来がどれほど脅かされているかを明るみに出していく。このオンライン署名「STOP! 企業があおる森林火災」(英語)に賛同して、上記4社を含む企業への働きかけを継続できるよう、協力をお願いしたい。

■署名の参加方法(英語)

以下の内容を記入して「Take Action」(賛同する)ボタンをクリックしてください。アルファベットと数字での記入をお願いします。

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Take Action: 賛同する!

英語のブログはこちら “The Money Behind the Big Business of Burning” (2020年9月3日)