サンフランシスコに本部を持つ米国の環境NGO RAINFOREST ACTION NETWORKの日本代表部です

‘気候変動’カテゴリーの記事一覧

ブログ:三菱UFJは、森林保護、気候変動対策、人権尊重の強化を(2020/5/8)

三菱UFJフィナンシャル・グループ(MUFG)は持続可能な社会の実現に貢献すると約束しているにも関わらず、実際は、森林破壊と気候変動を加速し、人々の生活を脅かしています。このような問題に対応すべきESG(環境・社会・ガバナンス)与信方針も、4月のみずほフィナンシャル・グループと三井住友フィナンシャルグループ(SMBC)の方針発表で、遅れを取ってしまいました。これではサステナビリティ・リーダーにはなれません。MUFGは、実際どのような批判対象となる投融資を行なっているのでしょうか?

熱帯林を破壊しているパーム油企業等に投融資

MUFGは、熱帯林破壊を加速しているパーム油部門に、世界で最も融資している金融機関の一つです。二酸化炭素の吸収源として、そして大半の陸上生物多様性の生息地としても重要な役割を果たす熱帯林は、パーム油や紙パルプ等の生産のために急速に失われています。森を長年守ってきた地域住民の生活と権利も脅かされているのです。

MUFGは、熱帯林の重要性を認識しつつも、保護に必要な対策を十分に取らず、熱帯林を破壊している企業に融資を続けています。これでは、2020年までに森林減少を阻止しようという国連「持続可能な目標」(SDGs)の目標15を実現することはできません

インドネシア、スマトラ島・アチェ半島上空。Duta Rendra Mulyaによる森林破壊の光景。

気候危機を悪化している石炭、石油ガスの拡大へ投融資

パリ協定が採択された2015年以降の4年間、MUFGは化石燃料部門に1,188億ドル(約12.7兆円)の融資・引受を提供し、その金額は世界6位、国内ではトップの金融機関でした。最近の資金使途には、ベトナムでの新規石炭火力発電所の他、高炭素で汚染リスクが高いオイルサンド・パイプライン建設やシェールガス開発、そして巨大炭鉱事業にも融資しているのです。

科学的知見によれば、パリ協定の目標を満たすためには化石燃料の拡大を直ちに止める必要がありますが、MUFGは化石燃料への投融資を段階的にやめる約束を一切していません

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MUFGが真のサステナビリティ・リーダーになるには、社会的責任を果たしている他の大手金融機関のベストプラクティスを見習い、ESGに関する投融資方針とその実施を次のように強化する必要があります

1. 森林、特に熱帯林に影響を及ぼす林業・農業関連企業には、ベストプラクティスである「森林減少禁止、泥炭地開発禁止、搾取禁止(NDPE)」基準遵守を要求すること

2. パリ協定の1.5度目標に沿って、化石燃料への投融資を段階的に停止し、化石燃料を拡大させる投融資は直ちに止めること

3. 人権、特に先住民族の権利を尊重し、人権侵害を起こすプロジェクトには投融資をしないこと

4. 高リスク部門をはじめ、ESGリスクの管理・監督の実効性を向上すること

もっと知りたい方はこちらへ:

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声明:三井住友FG、気候リーダーになる好機を逃す〜与信方針を改訂するも、みずほに及ばず〜 (2020/4/17)

三菱UFJに注目が高まる

米環境NGOレインフォレスト・アクション・ネットワーク(本部:米国サンフランシスコ、日本代表部:東京都渋谷区、以下RAN)は、本日17日、三井住友フィナンシャルグループ(SMBC)が同グループの石炭、石油・ガス、森林減少等への資金提供に関するESG(環境・社会・ガバナンス)方針の改定を16日に発表したこと(注1)を受けて、「中途半端な改訂で残念である」とし、以下の声明を発表しました。SMBCの方針改訂は、国内2位のメガバンクであるみずほフィナンシャルグループ(みずほ、TYO:8411)が気候リスク管理を強化した一連の方針改訂を発表した(注2)翌日に公表されました。メガバンクの方針はパリ協定の目標を達成するにはまだ不十分ですが、初めてセクター別の方針を定めた2年前に比べると大きな変化を遂げています。三菱UFJフィナンシャル・グループ(MUFG)の方針改訂は5月までに発表される可能性があり、みずほとSMBCの方針改訂を受けて、MUFGへの注目が高まります。

RAN「責任ある金融」シニアキャンペーナー ハナ・ハイネケンは「今回の方針改訂で、三井住友フィナンシャルグループは日本での気候変動対策のリーダーになる大きな機会を逃しました。 同グループは国連の『責任ある銀行原則』に署名し、投融資をパリ協定と持続可能な開発目標に合致させることを約束しましたが、これでは達成できません。 もう一度、振り出しに戻って直ちにやり直す必要があります」と指摘しました。

写真:三井住友フィナンシャルグループ株主総会前でのアクション、2018年6月

3メガバンクは昨年9月に国連「責任銀行原則」に署名したことで、銀行業務の実態と持続可能性に関する公約の間に『大きな開き』ができました(注3)。日本の銀行による融資先は、問題案件となっているベトナムおよびインドネシアの新規石炭火力発電所建設、インドネシアでの森林火災と搾取を伴うパーム油の農園、米国で紛争をもたらしているオイルサンド・パイプライン等(注4)に関わり、世界中に広がっています。今年3月に発表されたRANらの報告書では、MUFGとみずほは世界6位、9位の化石燃料への資金提供者であることが明らかになりました(注5)。また、3メガバンクは東南アジアの森林減少に加担している最大の資金提供者に含まれ、SMBCがメガバンクで最も多いことも明らかになっています(注6)

SMBCの方針は以下の通り、多くの面でみずほの方針よりも弱いと言えます。

●パーム油、紙パルプ、木材等、森林に悪影響を与える恐れのある産品への与信方針に「森林破壊禁止、泥炭地開発禁止、搾取禁止方針」(NDPE : No Deforestation, No Peat and No Exploitation、注7)や、「自由意思による、事前の、十分な情報に基づく同意」(FPIC:Free, Prior and Informed Consent))の要件がない。 このような基準は国連「持続可能な開発目標(SDGs)達成に不可欠である

● SMBCは、石炭に関わる資金提供の段階的廃止を約束せず、新設の石炭火力発電所への支援は「原則として」実行しないと約束している。一方で、超々臨界石炭火力発電所を「環境へ配慮した技術」と評価している(注8)

●炭鉱採掘部門で環境負荷の大きい「山頂除去採掘」を新たに禁止している点や、石油・ガス部門で社会・環境面でのリスクを認識している点は進展といえる。しかし、気候変動関連の制約が全く記載されていない

MUFGの方針改訂への期待は、みずほが設定した新基準を超えなければ、大きな失望へと変わるでしょう。MUFGは日本最大の銀行として、そして世界で銀行業務を大きく展開している上でも、3メガバンクで最も厳しい気候関連方針を策定し、世界の銀行と競い合っていくという、他の銀行にはない大きな責任を負っています。

注1)三井住友フィナンシャルグループ「ESGに関するリスクの考え方について」、2020年4月16日

注2)みずほフィナンシャルグループ「サステナビリティへの取り組み強化について〜脱炭素社会実現に向けたアクション強化〜」、2020年4月15日

注3)NGO共同声明「グリーンウォッシュはもういらない、好結果がともなう原則を〜国連『責任銀行原則』発足をうけて〜」、 2019年9月23日

注4)参考資料
Market Forces「ブンアン2石炭火力事業に融資しないで!」

東洋経済「日本が関与『インドネシア石炭火力』に重大事態:チレボン2号機案件で『贈収賄疑惑』が浮上」、2020年1月16日

RANプレスリリース「新報告書『森林火災・違法行為とメガバンク』発表〜3メガ、炭素吸収源の熱帯林破壊に加担し『気候危機』を加速〜 」、2020年1月29日

RAN本部プレスリリース「TCエナジー社、キーストーンXLパイプライン計画を進める〜JPモルガンチェース、シティ・グループ、カナダの銀行が資金提供」(Reckless Keystone XL Decision by TC Energy Endorsed by JPMorgan Chase, Citi and Canadian Peers)(英語)、2020年4月3日

SMBC関連で、問題ある事業や融資先企業には以下も含まれる。
東アフリカ原油パイプライン

マイティアース『住友商事が引き起こす環境破壊 :石炭とバイオマスが影を落とす日本の未来』、2019年12月10日

米国カリフォルニア州での石炭輸出ターミナル

注5)NGO共同プレスリリース「RAN他『化石燃料ファイナンス成績表2020』発表:3メガバンク、パリ協定後も化石燃料に約2,3814億ドルを資金提供〜みずほ、三菱UFJが世界トップ10入り〜」 、2020年3月18日

注6)RAN他「森林と金融データベース:東南アジアの森林リスク企業へ融資と引受:上位10金融機関(2014年〜2019年8月)」

注7) NDPE方針については「責任投資原則」のパーム油に関する声明を参照

注8)SMBCの石炭方針については以下のNGO共同声明も参照
「三井住友が石炭新方針を発表~みずほの新方針と比べて低水準に〜」、2020年4月16日

団体紹介
レインフォレスト・アクションネットワーク(RAN)は、米国のサンフランシスコに本部を持つ環境NGOです。1985年の設立以来、環境・森林保護で最前線に立つ人々とのパートナーシップと戦略的キャンペーンを通じて、環境保護と先住民族や地域住民の権利擁護活動をさまざまな角度から行っています。

本件に関するお問い合わせ先
レインフォレスト・アクション・ネットワーク
広報:関本 Email: yuki.sekimoto@ran.org

声明:みずほ、邦銀で最も厳しいESG方針を発表〜気候変動と森林保護方針を強化〜(2020/4/15)

銀行業界における新たなスタンダードに

環境NGOレインフォレスト・アクション・ネットワーク(本部:米国サンフランシスコ、日本代表部:東京都渋谷区、以下RAN)は、本日15日、みずほフィナンシャルグループ(みずほ)が「サステナビリティへ の取り組みに関する基本方針」を改定し(注1)、邦銀で最も厳しいESG(環境・社会・ガバナンス)方針の採用を発表したことを受けて以下の声明を発表し、歓迎しつつも問題点を指摘しました。今回の方針改定は、RANを含めたNGOが、みずほによる新規石炭火力発電所、オイルサンドのパイプライン開発、熱帯林破壊への無責任な資金提供を数年にわたって批判してきたことが背景にあります(注2)。また、6月のみずほの定時株主総会に向けて気候変動対策の進歩的な方針を求めた、環境NGO「 気候ネットワーク」による株主提案(注3)に続いて発表されました。

みずほ銀行の株主総会前でのNGOによるアクション、2017年6月

RAN「責任ある金融」シニアキャンペーナー ハナ・ハイネケンは「今回の新方針で、みずほは日本の銀行業界で新たな基準を設定しました。石炭に関する方針で例外が残るものの、森林破壊の要因となる産品に対して「森林破壊ゼロ、泥炭地開発ゼロ、搾取ゼロ方針」(※)が適用され、石油・ガス、石炭採掘における社会的・環境的保護が強化されたことを歓迎します。他のメガバンク2行の三菱UFJフィナンシャル・グループとSMBCグループも、みずほの方針に匹敵する方針、あるいはさらに厳しい方針を策定するよう願っています」と強調しました。
※NDPE方針: No Deforestation, No Peat and No Exploitation

取締役会によるサステナビリティの監督および気候変動への対応に関するガバナンス体制の強化に加え、みずほの新方針の特筆すべき点は以下の通りです。

●パーム油および 木材・紙パルプセクターの顧客企業にベストプラクティスであるNDPE方針の策定や、地域住民等への「自由意思による、事前の、十分な情報に基づく同意」(FPIC: Free, Prior and Informed Consent)の尊重を求める

●新規の石炭火力発電所建設への資金提供はしないが(すでに支援意思表明済みの案件は除く)、当該国のエネルギー安定供給に必要不可欠であり温室効果ガスの削減を実現するリプレースメント案件は例外とし、次世代技術の発展等の脱炭素社会への移行に向けた取り組みは支援は継続。石炭火力発電所向け与信残高削減目標として2030年度までに2019年度比50%に削減し、2050年度までに残高ゼロとする

●山頂除去方式で行う炭鉱採掘事業への投融資等は行わない

●石炭採掘、石油・ガスに関わる顧客企業は、気候変動に伴う移行リスクへの対応を確認し、環境・社会に及ぼす影響を評価する。石油・ガスに関わる顧客企業(パイプライン建設を含む)は、先住民族や地域コミュニティとのトラブルの有無等に十分に注意を払い取引判断を行う

● セクターを横断して、児童労働・強制労働を行っている事業、ラムサール条約指定湿地およびユネスコ指定世界遺産へ負の影響を与える事業、ワシントン条約に違反する事業には投融資等を行わない

●セクター横断的に投融資等に留意が必要な対象事業として、先住民族の地域社会に負の影響を与える事業、非自発的住民移転につながる土地収用を伴う事業を規定。投融資を検討する際には、リスク低減・回避に向け取引先の対応状況を確認し、慎重に取引判断を行う

みずほは、東南アジアで森林破壊の要因となっている産品に世界で3番目に多く資金提供しています(注4)東南アジアには、地球上で最後に残された広大な熱帯林の一つがあります。みずほの紙パルプおよびパーム油企業への資金提供は特に問題があり、最近では2019年にインドネシアで発生した森林火災にも直接的な関係があります(注5)。同年の森林火災では85万ヘクタールを超える土地と森林が破壊され、7億900万トンの温室効果ガスが排出されたと推計されています。また何年にもわたって、みずほは、泥炭地破壊や違法労働搾取に関与するパーム油大手インドフード社への最大の資金提供者の一つです。インドフードのような企業への投融資の継続の有無は、方針遵守における重要な「リトマス試験紙」になります。

みずほはまた、化石燃料への資金提供額では世界9位の銀行で(注6)、パリ協定締結以降の4年間で1,034億ドルの融資・引受を行っています。2017年1月から2019年9月の期間、新規石炭火力発電所を開発する企業への最大の貸し手でもあります(注7)。また、TCエナジー社とエンブリッジ社に資金提供することで、物議を醸しているオイルサンドのパイプラインおよびフラッキング(水圧破砕法)によるシェールガスのパイプラインを支援しています。TCエナジー社は「キーストーンXL」と「コスタル・ガスリンク」を、エンブリッジ社は「ライン3」を建設しています。

ハイネケンは「みずほが発表した方針強化を歓迎します。しかし、気候危機対策に真剣に取り組むリーダーになりたいのであれば、改定方針にある2050年より早期の脱石炭を約束し、化石燃料の拡大と熱帯林破壊を促進するあらゆる投融資を停止する必要があります。また、ESGについて大々的に発表しながら、気候に悪影響を及ぼしたり、先住民族等の権利を侵害する企業に資金を提供し続ければ、それは偽善的です。新方針の適用後、みずほが問題ある企業に対しての無責任な投融資を止めるかどうかは今後の課題です。方針は実施されて初めて価値があります」と続けました。

新方針の効果的な実施は、急激な気候変動と前例のない生物多様性の損失という「二重の危機」への取り組みと、国連『責任銀行原則』(注8)に署名した銀行としての誓約を果たすには不可欠です。

参考
Say No, Mizuho〜気候変動におけるみずほの”真実”とは〜」ウェブサイト

銀行セクターにおけるベストプラクティスの事例:
RAN他「化石燃料ファイナンス成績表2020」(世界35銀行の化石燃料に関する方針を評価)
RAN他「森林と金融:銀行の分析結果」(世界30銀行の森林減少および人権に関する方針評価)

英語のプレスリリースはこちら:
“Japan’s 2nd Largest Bank – Mizuho – Announces Strictest ESG Policies To Date In Japan”

注1)みずほフィナンシャルグループ「サステナビリティへの取り組み強化について〜脱炭素社会実現に向けたアクション強化〜」、2020年4月15日

注2)NGO共同プレスリリース「みずほ銀行へ『無責任銀行ジャパン大賞2017』を株主総会前で贈呈」、2017年6月23日

注3)気候ネットワーク プレスリリース「みずほフィナンシャルグループの株主として 日本初の気候変動に関する株主提案を提出」、2020年3月16日

注4)RAN他「森林と金融」データベース

注5)RANプレスリリース「新報告書『森林火災・違法行為とメガバンク』発表〜3メガ、炭素吸収源の熱帯林破壊に加担し『気候危機』を加速〜 」、2020年1月29日

注6)NGO共同プレスリリース「RAN他『化石燃料ファイナンス成績表2020』発表:3メガバンク、パリ協定後も化石燃料に約2,814億ドルを資金提供〜みずほ、三菱UFJが世界トップ10入り〜」 、2020年3月18日

注7)際環境NGO 350.org Japan、気候ネットワーク プレスリリース「日本の金融機関・投資家が石炭投融資リストのトップを独占 – COP25で判明」、2019年12月6日

注8)NGO共同声明「グリーンウォッシュはもういらない、好結果がともなう原則を〜国連『責任銀行原則』発足をうけて〜」、 2019年9月23日

団体紹介
レインフォレスト・アクション・ネットーク(RAN)は、米国のサンフランシスコに本部を持つ環境NGOです。1985年の設立以来、環境に配慮した消費行動を通じて、森林保護、先住民族や地域住民の権利擁護、環境保護活動をさまざまな角度から行っています。2005年10月より、日本代表部を設置しています。http://japan.ran.org

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レインフォレスト・アクション・ネットワーク
広報:関本 Email: yuki.sekimoto@ran.org

プレスリリース:2020新キャンペーン開始!「キープ・フォレスト・スタンディング:森林と森の民の人権を守ろう」〜17社の消費財ブランド&銀行を対象〜 (2020/4/1)

2020年までに森林破壊ゼロ・人権尊重の公約を実行せよ(5月14日更新)

東京ーー米環境NGO レインフォレスト・アクション・ネットワーク(本部:米国サンフランシスコ、日本代表部:東京都渋谷区、以下RAN)は、本日1日(米国太平洋時間 3月31日)、新報告書「キープ・フォレスト・スタンディング〜森林と森の民の人権を守ろう〜」(注1)を発表し、熱帯林破壊と人権侵害を助長している企業で影響力のある代表的な企業として、多国籍ブランド企業10社、大手銀行7社に対応を求めるキャンペーンを開始しました。17社には日本企業3社ー三菱UFJフィナンシャル・グループ(MUFG)、日清食品、花王ーも含まれます。

本報告書は、17社のブランド企業と銀行の業務が重要な熱帯林を破壊し続けている状況を説明するとともに、2020年までに森林破壊を止めて先住民族の権利を尊重するという公約を怠っている事例も説明しています。こういった企業の無責任な事業活動は、急激な気候変動と前例のない生物多様性の損失という二重の危機を助長し、パリ協定と持続可能な開発目標(SDGs)ターゲット15(2020年までに森林破壊を阻止)と矛盾しています。熱帯林破壊による森林減少はまた、新型コロナウィルス感染症の拡大に拍車をかけている可能性も指摘されています。世界保健機関(WHO)は、新型コロナウイルスの流行は野生動物から始まった可能性があると報告し(注2)、国連環境計画(UNEP)は予防策として生態系および野生生物への脅威に取り組む必要があると述べています(注3)

本報告書はRANの2020年における新キャンペーン開始に合わせて発表されました。インドネシアをはじめ、熱帯林の運命を左右するともいえる、以下の17社を対象にしています。

消費財ブランド企業(10社:多国籍・日用消費財企業):日清食品、花王、ネスレ、ペプシコ、プロクター&ギャンブル、ユニリーバ、コルゲート・パーモリーブ、フェレロ、モンデリーズ、マース
銀行(7社:金融大手):MUFG、JPモルガン・チェース、中国工商銀行(ICBC)、DBS、バンクネガラインドネシア(BNI)、CIMB、ABNアムロ

RANは本キャンペーンで、17社の消費財ブランドと銀行に、森林リスク産品のサプライチェーン、投資(合弁事業への投資も含む)、金融サービスについて、ベストプラクティスである「森林減少禁止、泥炭地開発禁止、搾取禁止(NDPE)」方針を企業グループ全体で採用および実施することを求めています。また、対象企業に自社の「森林フットプリント」ーー森林伐採や産業的農業の拡大によって、森林や泥炭地、先住民族や地域コミュニティの権利がサプライチェーンおよび資金提供で受けた影響について情報開示することを求めています。また企業は、先住民族と地域コミュニティの人権について、サプライチェーンの改善や森林保護および回復の取り組みにおいて重視するよう求められています。産業的農業の拡大は森林破壊を助長する要因の一つであるだけでなく、先住民族が直面する暴力行為にも大きな責任があります。

本報告書は初めて、消費財ブランドと銀行、そしてインドネシアの森林リスク産品、特にパーム油、紙パルプの生産・加工過程で森林破壊と人権侵害を引き起こしている10社の林業・農業企業とのつながりも分析しています。

MUFGはパーム油企業への世界最大の資金提供者の一つで、紙パプルや木材等の森林リスク産品および、関連する消費財企業への重要な資金提供者でもある。MUFGは東南アジアの森林リスク産品事業のみに対して2015年から2019年8月の期間で9億4,100万米ドルもの資金提供を行った。MUFGはNDPE方針を持たないまま、子会社のダナモン銀行を通じてインドネシアでの事業を拡大している(注4)

花王は日本で最大のパーム油購入企業の一社です。花王は2014年にNDPEに合致した方針を採用し、今年3月中旬に2020年森林減少ゼロ目標を強化すると共に、パーム油サプライチェーンの搾油工場リストを公表した(注5)。しかしながら、国際的な業界団体「コンシューマー・グッズ・フォーラム」の会員企業として約束した、2020年までに森林減少をゼロにする目標は達成していない(注6)

日清食品は、即席麺生産での主要なパーム油購入企業だが、花王と比較すると、NDPE方針を採用せず、自社サプライチェーンにおけるパーム油搾油工場リストも公表していない。日清食品は「コンシューマー・グッズ・フォーラム」の会員企業としての公約を達成するには程遠い(注7)

レインフォレスト・アクション・ネットワーク日本代表の川上豊幸は「熱帯林破壊は、森林の生態系だけでなく、人間の命も脅かしています。数十万人が感染し、世界経済を揺るがしている新型コロナウィルスの大流行と熱帯林破壊が関連していることで、緊急性が増しています。キャンペーン対象企業となった消費財企業10社と銀行7行は森林減少を巨額の資金で助長しています。今のような危機を防ぐためにも、これらの企業は責任を果たすべきです」と訴えました。

影響力の大きい消費財ブランド、銀行、林業・農業企業は、金融およびサプライチェーンでの相互関係で「破壊の輪」を作っています。日本企業について、川上は「三菱UFJは、国連責任銀行原則(PRB)に署名した限り、自行のポートフォリオにおける森林破壊・人権侵害の停止に取り組む大きな責任があります」と指摘し、「花王は、森林減少ゼロ方針を全ての製品に適用を拡大し、サプライチェーンでのNDPE方針の実施確認の取り組みを早急に進める必要があります。日清食品は、現在の持続可能なパーム油のための円卓会議(RSPO)認証油に依存した取り組みでは不十分なので、まずはNDPE方針を採択し、搾油工場リストの公表を通じてリスク管理体制を強化し、森林減少、泥炭地開発を食い止める対処に一刻も早く取り組みを進めることが必要です」と続けました。

*本報告書に対する企業からの返答はこちらに記載しています(英語)。

**注記:レインフォレスト・アクション・ネットワークは、世界中の人々が現在直面している新型コロナウィルスによる生命、健康、生計手段への深刻な影響による緊急事態を認識しています。パンデミックおよびそれに付随する経済的影響への緊急対応が当面の優先事項とされるべきとの認識の下、今回の報告書を発表しています。しかしながら、森林減少、先住権への攻撃と気候変動が脅威として存在することに変わりありません。私たちが再び生物多様性の喪失および気候危機に目を向けることができるようになった時、本報告書のデータや分析が上記の脅威に真剣に立ち向かうために役立つことを願っています。

動画(日本語字幕付き)

注1)新報告書「Keep Forests Standing: Exposing Brands and Banks Driving Deforestation」(英語)
*日本語要約版(5月14日追加)「「キープ・フォレスト・スタンディング:森林と森の民の人権を守ろう」

注2)WHO, “Coronavirus disease 2019 (COVID-19) Situation Report – 32”, 2020年2月21日

注3)UNEP, “Coronavirus outbreak highlights need to address threats to ecosystems and wildlife”, 2020年3月3日

注4)三菱UFJフィナンシャル・グループ「MUFG環境・社会ポリシーフレームワーク」

※参考:RANプレスリリース「新報告書『森林火災・違法行為とメガバンク』発表〜3メガ、炭素吸収源の熱帯林破壊に加担し『気候危機』を加速〜」、2020年1月29日

注5)花王「『持続可能なパーム油』の調達ガイドライン」 
「2019年の進捗『持続可能なパーム油』の調達ガイドラインの進捗 2020年の目標」

注6)コンシューマー・グッズ・フォーラム「Deforestation: Mobilising resources to help achieve zero net deforestation by 2020」(英語)

注7)「日清食品グループ 持続可能な調達方針」
「日清食品グループ 人権方針」
「持続可能なパーム油の調達」

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本件に関するお問い合わせ先
レインフォレスト・アクション・ネットワーク
広報:関本 Email: yuki.sekimoto@ran.org

NGO共同声明:東京五輪は「見せかけのサステナビリティ」(2020/3/30)

〜施設建設で東南アジアの熱帯林を破壊、調達の失敗から教訓を学び是正を〜
東京五輪および「持続可能性大会前報告書」公表延期を受けて

国内外のNGO8団体は、本日30日、東京五輪の延期を受けて、東京2020大会主催者に東京五輪の木材調達による環境および社会への悪影響を認めるよう求める共同声明を発表しました。東京2020組織委員会は持続可能性報告書を3回公表する予定でしたが、2021年までの大会延期によって、2回目の「持続可能性大会前報告書」も延期される見込みです。延期によって、組織委員会はこの報告書を見直し、調達の失敗と教訓を記録し、持続可能性の実現ための明確な道筋を示すことができます。

「本声明の賛同団体は、東京五輪も含め、世界中の人々が現在直面している新型コロナウィルスによる生命、健康、生計手段への深刻な影響による緊急事態を認識している。パンデミックおよびそれに付随する経済的影響への緊急対応が当面の優先事項とされるべきとの認識の下、今回の声明を発表している。しかしながら、地球が急激な気候変動と前例のない生物多様性の損失という二重の危機に直面していることには変わりない。私たちはこれらの危機について人々の意識が東京五輪によって高まり、地球に生きる私たちにとってより持続可能で公正な未来を実現できるよう願っている

東京2020大会主催者は『持続可能な大会』の実施を約束しているが、現状は『見せかけのサステナビリティ』である。五輪施設建設に森林減少を引き起こした大量の熱帯材合板が使用されたことは明確な調達基準違反でありながら、基準の不遵守が起きていないように都合よく非常識な解釈をしている。前回の報告書(注1、2019年3月26日)では、大会主催者はこの問題に向き合わず、持続可能性の約束を守っているかのように見せかけようとしてきた。さらに、指摘された問題から学ぶという姿勢が見られない。このままでは東京五輪は『見せかけのサステナビリティ』でよいという『悪しきレガシー』を後世に残してしまう恐れがある。

大会開催が延期されたため、東京2020大会主催者は大会前報告書を見直し、持続可能性の面での失敗を認めて教訓とし、森林保護に必要な前向きな行動を促進できるはずだ。東京五輪が熱帯林破壊に加担した事実を認めて問題と向き合い、そして問題が起きた経緯を検証し、繰り返さないための対応策を教訓にすることが求められる。できたところだけを評価し、できなかった点は無かったことにしてしまうような、無責任な対応は許されない。持続可能性の担保方法に問題があった点を課題として真摯に認め、その是正策を国と東京都をはじめとする自治体、そして業界が持続可能な調達のために将来参考にできるよう、報告書で提示することが『真のレガシー』である。

森林、特に熱帯林は、地球の気候と降雨パターンを調節する重要な役割を果たしている。また、炭素を吸収かつ貯留し、そこに暮らす人々の生活や水、食料などの基本的ニーズを満たし、生物多様性の保護に不可欠である。森林と野生生物の生息地保護は、新型コロナウィルスのような死に至る感染症の防護物として認識され始めている(注2)。そのため、国連の「持続可能な開発目標」(SDGs)「ターゲット15.2」は2020年までの森林破壊阻止、「ターゲット15.5」は生物多様性損失の阻止及び2020年までに絶滅危惧種保護と絶滅防止の対策を講じることを目標としている。東京五輪はSDGsの推進も約束したが(注3)、熱帯材の大量使用はサステナビリティの取り組みと大きく逆行する。この点は、大会前報告書および大会後報告書に明記し、持続可能性に配慮した調達のための今後の教訓とすべきである

賛同団体
レインフォレスト・アクション・ネットワーク(RAN、米国)
TuK インドネシア(インドネシア)
サラワク・キャンペーン委員会(SCC、日本)
ウータン・森と生活を考える会(日本)
ブルーノマンサー基金 (スイス)
熱帯林行動ネットワーク(JATAN、日本)
国際NGO EIA(環境調査エージェンシー)
国際環境NGO FoE Japan(日本)

  

【これまでの経緯】
NGOは、東京五輪が熱帯林破壊に加担してきた問題を指摘し続けてきた。東京2020組織委員会が公表した情報によると(注4)、夢の島公園アーチェリー会場以外の全ての施設で熱帯合板が利用された。大会施設の基礎工事でコンクリートを成形するために使われた型枠合板は、インドネシアとマレーシア産合計で22万5千枚以上(全体の68%)にも上る。そのうち、持続可能性の認証を取得していないインドネシア産合板が新国立競技場と有明アリーナで、それぞれ約12万枚、約1万枚も使われた。国立競技場で使われたインドネシア産型枠合板は全体の36%を占め、丸太換算で約6,731立方メートルと推計される。これは、国立競技場の屋根等の国産木材使用量2,000立方メートルを上回る(注5)。また、認証されたマレーシア産木材の持続可能性も極めて疑わしい(注6)。以下、持続可能性の公約を守っていない二つの例を提示する。

持続可能でない「転換材」の使用について
第一に、持続可能でない「転換材」が大会施設の建設に使用された点にある。2018年5月、RANなどのNGOの調査によって、東京都が管轄する有明アリーナの建設現場でインドネシア産の型枠合板の使用が見つかった(注7)。この合板を製造した企業の工場では、2017年に製造された合板原料の約4割が炭鉱開発やアブラヤシ農園などの開発のために土地転換された熱帯林に由来していることが、インドネシア政府へ提出された書類によって確認された。その後、同インドネシア産合板を提供した住友林業は有明アリーナ及び新国立競技場の両方に転換材を提供したことを認め、東京都は有明アリーナに調達したインドネシア材のほとんどが転換材であったことを認めた。

このような「転換材」は森林を全面伐採する「皆伐」を伴うため、五輪の木材調達基準に定められた「中長期的な計画又は方針に基づき管理経営されている森林」由来とは言えない。また、科学者によると、すべての陸生種の約3分の2を熱帯林に生息しているといわれ、インドネシアは地球上の生物種の約1〜2割が生息する生物多様性の非常に豊かな国である(注8)。実際、五輪のために皆伐された熱帯林には原生林および絶滅危惧種のボルネオ・オランウータンの生息地の破壊も含まれることもNGOの調査でわかった。そのため、木材調達基準の「伐採に当たって、生態系の保全に配慮されていること」という項目にも反する(注9)。実際、五輪に皆伐された熱帯林には絶滅危惧種のボルネオ・オランウータンの生息地の破壊も含まれることもNGOの調査でわかった。

「通報受付窓口」の機能不全について
第二に、2件の苦情が上記の問題に基づいて大会主催者である東京都と日本スポーツ振興センターに通報されたが、苦情を受け入れず、責任逃れをするような姿勢も、持続可能性の約束を守っていない一例である。

2018年11月、RANは、ボルネオオランウータンと熱帯林を代弁して、新国立競技場を管轄する日本スポーツ振興センターと有明アリーナを管轄する東京都に、非認証のインドネシア産「転換材」の大量使用及びボルネオ・オランウータンの生息地を含む伐採地からの木材使用を理由に、調達基準の不遵守を通報した(注10)。しかし現在まで16カ月が経ってもこの通報については正式に苦情処理手続きを開始せず、東京都とスポーツ振興センターの対応には、これまでのやりとりで以下の4点の大きな疑問が判明している。

1.東京都の通報制度には、違反が疑わしい事例であれば対象案件とする規定があるが(注11)、不遵守が確定しなければ通報の処理手続きを開始しない、という独自解釈を行っている。

2.2019年1月の木材調達基準改定で「転換材」の調達禁止が追加されたが、東京都は改定前の「転換材」使用は、計画に基づいて農地などに転換され、適切に管理活用されるなら趣旨に反しないと容認されていると、重大な解釈変更を行っている。

3.東京都は、インドネシア政府によるオランウータン生息地評価では不十分で、オランウータンが伐採地にいることを証明できなければ不遵守とはならず、苦情として認めないとしている。

4. 日本スポーツ振興センターは、東京都が都への苦情を却下したという決定に基づき、同センターに通報された転換材の使用に関する苦情を却下した。
(*1〜3は、東京都との面談やメールでの返答、4は日本スポーツ振興センターからのメールでの返答による)

2019年3月に公表された持続可能性進捗報告書では「通報受付窓口」の運用が持続可能性を担保するメカニズムとして記載されたが、NGOの通報によって、このように通報制度が実際には機能していないことが明らかになった。

なお、上記を求めた署名には、世界中から約3万筆の賛同が集まっている。署名は二度にわたってオンラインで実施され、本日、組織委員会、日本スポーツ振興センター、東京都に提出された。同署名は、熱帯林破壊に関する通報を苦情処理の案件として受理すること、東京五輪の木材調達が熱帯林に与えた影響を調査すること、そして今後の調達方針の実施の改善について大会主催者に求めている(注12)。

注1)東京2020組織委員会「『持続可能性進捗状況報告書』の公表について」、2019年3月26日

注2)参考:英ガーディアン紙記事
Coronavirus: ‘Nature is sending us a message’, says UN environment chief」2020年3月25日

‘Tip of the iceberg’: is our destruction of nature responsible for Covid-19?」2020年3月18日

注3)国際連合広報センター「国際連合と東京2020組織委員会が東京2020大会を通したSDGsの推進協力に関する基本合意書に署名」、2018年11月14日

注4)東京2020組織委員会「『持続可能性に配慮した木材の調達基準』の実施状況に関するフォローアップについて」、2020年1月10日(2019年11月末時点。総数は33万1,700枚。その内、国産材は3万9,500枚、再利用は6万6,600枚でその多くは熱帯材である)

注5)注4)の公開情報によると、新国立競技場では117,800枚のインドネシア産コンクリート型枠合板が使われた。日本では、コンクリート型枠合板の典型的なサイズは、12X900X1800mm〜15x910x1820mmであり、合板の量を生産において利用する丸太の量に変換する場合に使用される係数は2.3となる(出所: UNECE/FAO)。これは約6,731立方メートルもの丸太材に相当する。

日本スポーツ振興センター「新しい国立競技場の竣工について」、2019年11月29日
※国立競技場で使われた国産材の少なくとも約9割が集成材であった。そのため、集成材における丸太換算率60%を適用すると(出所:林野庁)、約3,333立方メートルの丸太に相当する。

注6)RAN他「2020 年東京五輪􏰀熱帯材使用に関する公式な情報開示に対する NGO 􏰀解説」、 2018年2月

注7)RAN他、報告書「守られなかった約束」、2018年11月

注8)国際熱帯木材機関「熱帯林の生物多様性保全のためのITTO/CBD共同イニシアティブ」
ODA見える化サイト「生物多様性保全センター整備計画」

注9)東京2020組織委員会「持続可能性に配慮した木材の調達基準」(2019年1月改定)
※改定で「森林の農地等への転換に由来するものでないこと」が明記されたが、改定前の基準でも「中長期的な計画又は方針に基づき管理経営されている森林に由来するもの」と「森林に由来する」との記載があり、森林ではなくなる「転換材」は基準を満たせなかった。特に非認証材については「当該木材が生産される森林について、森林経営計画等の認定を受けている、 あるいは、森林所有者等による独自の計画等に基づき管理経営されているこ とを確認する」と管理経営されている森林についての中長期的な計画の確認が求められている。

注10)参考:RANブログ「東京五輪の木材スキャンダル、持続可能性と説明責任に問題あり」2019年9月9日

注11) 東京都「『持続可能性に配慮した調達コード』に係る通報受付窓口 業務運用基準」

注12)RANは東京2020大会主催者宛て(東京2020組織委員会、日本スポーツ振興センター、東京都)に、2回の署名を実施した。
2019年11月の署名(英語)
2020年3月11日の署名(英語)

*英語版声明はこちら Joint NGO Statement on Tokyo 2020 Olympics’ “Fake Sustainability”: Organizers called on to learn from & fix procurement failures linked to rainforest destruction in light of the Olympics postponement

レインフォレスト・アクション・ネットワーク
本件に関するお問い合わせ
広報 関本 Email: yuki.sekimoto@ran.org

メディア掲載:朝日新聞でRANパーム油関連の調査が紹介されました(2020/3/22)

朝日新聞「環境 転換点2030:農園開発、地球脅かす パーム油、持続可能な生産模索 奪われた原生林、取り戻せるか」(2020年3月22日朝刊)〜RANのインドネシア・ルーセルエコシステム(ラワ・シンキル野生生物保護区)での調査活動が紹介されました〜

「インドネシア・スマトラ島北部の『ラワシンキル野生生物保護区』は、絶滅危惧種のスマトラオランウータンの生息地でもある原生林だ。保護区の東部を上空からドローンで撮影すると、境界線を越えた保護区内でも原生林が切られている所があった。泥炭湿地を乾燥させる水路も見えた。(略)
 違法栽培のアブラヤシ農園は保護区内の別の場所にもあり、実が収穫された――。昨年9月、米環境NGO『レインフォレスト・アクション・ネットワーク(RAN)』は報告書でそう指摘した。違法に栽培・収穫された実はどのような流通経路をたどってパーム油になり加工されるのか。RANは3年間にわたり調査し、報告書に記した。国際的な食品メーカーとともに、日本企業も巻き込まれていた。」>>続きを読む
「(環境 転換点2030)奪われた原生林、取り戻せるか」
「パーム油農園、森林破壊の傷痕 持続可能な生産目指す」(無料動画あり)

**関連するRANのプレスリリース**

「三菱UFJ、高リスクのパーム油企業へ資金提供 〜違法パーム油およびインドネシア泥炭林破壊とのつながりが明らかに〜炭素を豊富に含む『ルーセル・エコシステム』のシンキル保護区で違法栽培」 (2019/10/18)

破壊されたシンキル泥炭林、アチェ州