サンフランシスコに本部を持つ米国の環境NGO RAINFOREST ACTION NETWORKの日本代表部です

‘人権侵害’カテゴリーの記事一覧

インドネシアの森林減少と土地収奪という危機の最前線での暮らし

紙パルプ生産で破壊されたインドネシアの森林の片隅で暮らす住民の貴重な情景写真を提供する

新たなキャンペーンサイト(BeyondPaperPromises.org)開設

緊急リリース

2017523

連絡先: Emma Rae Lierley, Emma@ran.org, +1 425.281.1989

サンフランシスコーレインフォレスト・アクション・ネットワーク(RAN)により本日開始された新しいキャンペーンとウェブサイトでは、進行中の紙パルプ企業との紛争の前線にあるインドネシアの先住民族コミュニティをめぐる貴重な情景写真を提供しています。このサイト、ビヨンド・ペーパー・プロミス(BeyondPaperPromises.orgは、生き生きした人物写真と住民との本人の語りを使って、住民自身の声で土地収奪と森林減少の話を伝えています。(サイトは英語です)

 サプライチェーンの大半の企業が事業による森林減少や土地権や人権侵害を排除する約束をしていますが、この新しいキャンペーンではインドネシアの森林減少の危機の最前線のコミュニティにとっては、ほとんど変化がないという事実に着目しています。

 「コミュニティと森林の現実こそが、企業コミットメントの測定に使うべき本当の評価基準です。」RANのシニア森林キャンペーナーのブレア・モーガンは述べています。「森林減少を停止し、今や数十年が経過している土地権紛争に取り組むという約束そのものはいいことだが、実際のところ、現場ではこれまでのところ、私たちにはほとんど変化を見出すことができません」。

 コミュニティと企業との間の紛争は、脅迫、抗議、逮捕、さらには殺人によって特徴付けられ長年にわたり続いています。インドネシア・スマトラ島のジャンビ州と北スマトラ州では、アジア・パルプ・アンド・ペーパー・グループ(APP)とトバ・パルプ・レスタリ社(Toba Pulp LestariTPL)が大きな役割を果たしています。これらの企業が国際商品市場の産業植林地を拡大しようとしているため、地元コミュニティの農場や村がしばしば彼らにとっては障害となっているのです。

 201612月の歴史的発表で、ジョコウィ・インドネシア大統領はインドネシア史上初めて先住民族の土地の権利を認め、北スマトラのパンダマン・シピトゥータ(Pandumaan-Sipituhutaコミュニティの土地をTPLの植林地から除外し、他の9つのコミュニティの慣習的土地権をも認めました。これは多くの人にとって最初の肯定的なステップと見なされていました。しかし地方政府は地方レベルでは同様の土地権についての認識が遅れており、多くのコミュニティは土地が返還されるのを未だ待っています。

 「政府が私たちを保護し、先祖から受け継いできた土地を政府が私たちに返すようにお願いします。」と、このキャンペーンで様子を伝えられたコミュニティの一つであるインドネシア、北スマトラ州、アエクルン(Aek Lung)の住民、レンティーナ・ナババンは語りました。「この土地は私たちの生活の源であり、子どもたちが学校に行くことができるようにしてくれる私たちの蓄えです。また自分たちの土地を耕すことを怖がったりしなくてすむように、私たちの伝統的に所有している土地を政府が認めるようお願いします」。

 数十年に渡ってインドネシアの森林の行く末が国際的に懸念されています。産業用パルプ材植林地やアブラヤシ農園の開発によって大規模に促進される森林減少は、広大な天然の熱帯林と炭素を豊富に含む泥炭地を皆伐によるものです。インドネシアは、国内で継続している森林減少と商品作物のためのプランテーション開発により世界の温室効果ガスの巨大な排出者であり、そのために米国と中国に次ぐ世界第三位の排出国となっています。

大手金融機関、商社、GPIFの森林破壊・搾取・児童労働への関与が判明

2017 年 4 月 24 日

日本の大手金融機関や商社、そして GPIF が東南アジアでの森林破壊・搾取・児童労働への関与が判明

〜新報告書によって、非倫理的な 8 つの企業に対し資金支援を行う金融機関が明らかに〜

レインフォレスト・アクション・ネットワーク(以下、RAN)は本日、「投資家には責任が ある―森林と金融調査レポート」と題された報告書を発表いたします。報告書では、森林破壊 と人権侵害を繰り返している東南アジアのパーム油、紙パルプ、ゴム、木材企業に対し、多大 な資金提供を行っている世界の主要な銀行や投資機関の一覧を公開しています。

RAN の調査により、王子ホールディングス、丸紅、伊藤忠、フェルダ・グローバル・ベンチ ャーズ、インドフード、IOI、ウィルマー、APP の 8 社が、自社やサプライチェーンの事業に おいて、児童労働や強制労働、先住民族からの土地の搾取、熱帯林皆伐、炭素を豊富に含んだ 泥炭地の破壊、現地の汚職に便乗した利益享受、違法に製造された商品の売却など、社会およ び環境問題に関与している事実が明らかになりました。上記 8 社はすべて、社会問題や環境問 題への取組みについてそれぞれ誓約や方針を公表していますが、問題は改善されていません。

RAN 森林と金融キャンペーンディレクターのトム・ピケンは、以下のように述べています。 「銀行や投資機関は、自らが資金を提供している事業が熱帯林破壊や現地の人々からの搾取を 行っているという事実を認識する倫理的、経済的な義務があります。こうした金融機関は、自 分たちの投資によって、環境、社会、そして最終的には自らに対し多大なダメージを与えてい ると理解する必要があります。」

機関投資家による最新報告(2017 年 2 月付)によると、上記 8 社の森林部門事業は、債券お よび株式で合計 65 億米ドル以上の資金を得ているほか、2010 年以降に融資および引受で受け取っ た資金の総額は 280 億米ドル以上となっています*。上記 8 社を金銭的に支援している主要銀行 は、三井住友フィナンシャルグループ、みずほフィナンシャルグループ、三菱 UFJ フィナンシ ャル・グループ、中国開発銀行、RHB バンキング、CIMB グループ、HSBC などであり、最大 級の投資機関としては、日本の年金積立金管理運用独立行政法人(GPIF)、バンガード、エン プロイーズ・プロヴィデント・ファンド、ブラックロック、およびディメンショナル・ファン ド・アドバイザー等が含まれています。

「銀行家や投資家の人々は、こうした事態から目を背けるのを止め、自分たちが受け取って いる短期的な配当や数百万ドルのボーナスが実際は何を犠牲にして生みだされているのかを認 識しなくてはいけません。金融機関が森林破壊や人権侵害には融資をしないと誓約しない限り、 気候変動の大きな要因である森林破壊に歯止めをかけようとする国際努力は徒労に終わってし まうのです。」

RAN は今回の報告書で、銀行と投資機関に対し、熱帯林に害を与えている商品の製造に関 わるすべての企業、およびそれに関連する川下のサプライチェーンについて、投融資方針を策定するよう求めています。 そうした方針があって初めて、自らが資金的に支援している森林破 壊や人権侵害について明白に確認ができるからです。銀行や投資家は、デューディリジェンス によるスクリーニングを強化し、資金提供先の企業の業務をきちんとモニターして、無責任な 企業に対しては資金提供を断つ社会的責任があります。

森林破壊や社会問題は、金融機関にとっても重要な問題になっています。 2000 年から 2012 年にかけて、日本の国土の約 3 倍の面積の熱帯林が失われましたが、その中でも消失が最も深 刻な地域の一つが東南アジアです。その大きな要因は、グローバル企業によるパーム油、紙パ ルプ、木材、ゴム、その他ソフト・コモディティへの急激な需要の高まりです。消失した熱帯林のうち、ほぼ半分が商業的用地に違法に転換されており、その半分は輸出用商品を生産する ためのものです。

今回の報告書によって、融資、引受、投資を通じて年間何十億ドルもの資金を提供すること で、金融機関がいかに環境破壊を行う主体的存在となっているかが明らかになっています。こ の報告書は、 明日から東京で開催される「RI アジア 2017」でも発表いたします。

以下からダウンロードできます。

日本語版 投資家には責任がある -森林と金融 調査レポート-

英語版 Every Investor Has A Responsibility:Forest & Finance Risk Dossier

*融資と引受はグループ会社レベルで計算されており、森林セクター以外の事業活動がある企業については、選定した企業の森林リスク分野に帰すると合理的に考えられる資金提供額の割合をより正確に捕捉するために、減額して集計した。入手可能な情報の限界により、本報告書で指摘する債券・株式の総額はいくつかの年金基金による債券・株式を含めていない。さらなる情報については次を参照してください。forestsandfinance.org

熱帯林の破壊及び人権侵害の疑い 緊急の調査を要請 新国立競技場建設で

2017年4月20日

熱帯林の破壊及び人権侵害につながる疑いのある合板の使用について

緊急の調査を要請 新国立競技場建設で

日本及び国際環境団体は本日、持続可能な 2020 年東京オリンピックへのコミットメントに対する 深刻な違反であるとして、東京の新国立競技場の建設における、悪評高いマレーシアの伐採企業 であるシンヤン社製と考えられる熱帯材合板型枠の使用について緊急に調査するよう要請した。

国際オリンピック委員会(IOC)及び東京 2020 大会関係者は、オリンピック関連の建設事業にお いて違法かつ持続不可能な木材が使用されるリスクが高いことに対し、繰り返し情報提供を受け てきた[1]。昨年 12 月の新国立競技場の建設着工の数日前には、40 を超える環境団体が IOC に対し、 オリンピック関連の建設事業で使用される木材が合法かつ持続可能なものであることを確保する ための東京 2020 大会関係者及び日本政府による取り組みが適切でないと警告する書簡を送付した [2]。NGO は、オリンピックで使用される木材について強固なデューデリジェンスを義務付けるこ とでリスクを直ちに軽減しなければ、生物多様性、気候変動、地域コミュニティに悪影響を与え ることになると主張してきた。

4 月 3 日、競技場の建設現場において、シンヤン社のものであると思われる表示の付いた熱帯合板 がコンクリート型枠に使われていることが調査担当者によって判明した(添付写真(a)、(b)参照)。 表示は、シンヤン社製合板として日本国内で販売されているものに非常に類似している(添付写 真(c)参照)。4 月 18 日にも熱帯合板型枠の使用が確認されている。

シンヤン社は、違法伐採が横行し、森林破壊が世界で最も深刻な場所の一つであるマレーシア・ サラワク州の「6 大」伐採企業の一つとして知られている。同社は、「ハート・オブ・ボルネオ」 と呼ばれる、国境をまたがる保全地域における広範囲を含む原生林を組織的に伐採している。 2016 年には、一日当たりサッカーコート 40 個分以上に当たる面積の手付かずの雨林を皆伐したこ とが明らかになっている[3]。地元コミュニティ及び同社の元社員は、自社の利益に反する懸念を 表明したり、行動を起こす者に対して恐喝や襲撃をするために、同社が武装した犯罪組織を雇っ ていると主張している。また、同社は森林に対する慣習上の権利を主張する先住民族の人々に影響を及ぼすような人権侵害にも関与している[4]。建設現場で見られた「E パネル」と表示されて いるからといって、必ずしも環境面での持続可能性や人権侵害とは関わりのないことを保証する ものではない。

「シンヤン社はサラワクの熱帯林で最も悪名高い開発企業の一つであり、この企業からの合板は いかなる持続可能性基準をも満たしてはいない。シンヤン社の合板を使用することは、持続可能 なオリンピックを開催するという日本のコミットメントに対して明らかな違反である」と Markets for Change のペグ・パットは述べた。

「シンヤン社の木材製品を使用することは、立場の弱い先住民族であるペナンやイバンの人々か ら慣習的権利や生計手段、文化的慣行を奪うことになる」とSarawak Dayak Iban Associationのニコ ラス・ムジャは述べた。

さらに懸念されるのは、大会組織委員会が環境面の持続可能性及び人権に関する基準からコンク リート合板型枠を免除するという抜け穴を認めていることである[5]。適用される方針は、合法性 について極めて弱い規定である「グリーン購入法」で、この規定のもとでは違法性の高い木材が 合法な木材として日本に輸入されてしまっていると、これまで繰り返し批判されている[6]。

「国立競技場は日本政府が建設する建造物であり、国の威信を示す場所でなければならない。し かし、オリンピック関連の建設において弱い環境・社会基準が適用され、不正企業からの木材を 使用しているという予備的証拠を考えると、オリンピック及び日本にとっての不祥事なりかねな いと懸念する」と国際環境 NGO FoE Japan の三柴淳一は述べた。さらに三柴は「この証拠により、 大会関係者が大会のための木材をどのように調達しているかを緊急に調査すること、そして木材 が合法、持続可能で、人権侵害に関わっていないか確保するための強力な対策を即時に採用する ことが求められる」と述べた。

環境団体は、日本のオリンピック関係者に対して説明及び信頼のおける環境監査のできる第三者 による公開調査の実施を求めている。ここで提示された問題が解決されない限り、建設現場でこれ以上熱帯合板が使われてはならないと環境団体は要請する。

このプレスリリースのPDF版は、こちらからダウンロードできます。

新国立競技場建設現場で使われているシンヤン社製合板の写真等はこちらからダウン ロードできます。

注: [1] 例えば以下を参照:グローバル・ウィットネス「衝突する二つの世界(Two Worlds Collide)」(2014年1 2月)https://www.globalwitness.org/olympics/、グローバル・ウィットネス「マレーシアの熱帯林破壊と 日本:持続可能な2020年オリンピック東京大会へのリスク(Japan’s links to rainforest destruction)」(2015年1 2月)、https://www.globalwitness.org/ru/reports/shinyang/

[2] https://www.fairwood.jp/news/pr_ev/2016/161206_pr_ngoletterIOC.html

[3] グローバル・ウィットネス、「マレーシアの熱帯林破壊と日本:持続可能な2020年オリンピック東京大 会へのリスク(Japan’s links to rainforest destruction)」

[4] マレーシア人権委員会(SUHAKAM)報告書「Report On Penan In Ulu Belaga: Right To Land And Socio- Econo mic Development」http://www.suhakam.org.my/wp-content/uploads/2014/01/PS08_Pem.Tanah_ecosoc090108.pdf

[5] 公益財団法人東京オリンピック・パラリンピック競技大会組織委員会、持続可能性に配慮した木材の調 達基準 英語版:https://tokyo2020.jp/en/games/sustainability/data/sus-wcode-timber-EN.pdf 日本語版:h ttps://tokyo2020.jp/jp/games/sustainability/data/sus-wcode-timber-JP.pdf

[6] Mari Momii, チャタム・ハウス, 「Trade in Illegal Timber: The Response in Japan,」(2014年11月) https://w ww.chathamhouse.org/publication/trade-illegal-timber-response-japan

東京オリンピック施設の人権侵害、熱帯林破壊、違法伐採リスクをIOCに警告

2016年12月6日

プレスリリース

2020年東京オリンピックを前に市民団体が人権侵害、熱帯林破壊、違法伐採のリスクをIOCに警告:

40を超える団体が国立競技場などの会場建設が人権侵害や環境破壊に関わるおそれがあるとの書簡をIOCに送付

スイス・ローザンヌ――2020年東京オリンピックの経費削減策の議論が続く[1]なか、国際NGOなど44団体が賛同し、東京の新国立競技場や他の会場に予定される施設の建設に、違法で持続不可能な熱帯雨林木材が使われる可能性が高いと警告する書簡が、冬季理事会開催中のIOCに今日手渡された。市民団体は追加の予防措置やデューデリジェンス対策がとられなければ、生物多様性や気候変動、そして森林への正当な権利をもち森林に依存して暮らす地域コミュニティに深刻な影響を与えかねないと警鐘を鳴らしている。

その木材消費が熱帯林破壊の原因になっているとして、市民団体や国際社会から長年、日本は批判されてきた[2]。日本は世界最大の熱帯合板の輸入国で、その多くがマレーシアやインドネシアの森林から供給されている。NGOは特に日本の輸入合板のほぼ半分を供給するマレーシア・サラワク州の状況に焦点を当てている。サラワクは森林減少のペースが世界でもっともはやい地域の一つであり、違法伐採の発生率が極めて高い[3]。サラワクの先住民族コミュニティは先祖伝来の土地を守るため何十年もの間、伐採会社と闘ってきており、ときに死者が出ることもあった[4]。action_to_ioc

ある独立の調査によれば、新国立競技場の施工を担当する大成建設が使用している合板と、極めて破壊的な伐採活動のために世界でもっとも急速に森林減少が進むサラワク州の生物多様性ホットスポットの関わりが指摘されている[5]。「サラワクの伐採会社は私たちの森を破壊し、飲み水を汚染した。私たちの先住民族としての権利を侵害し、生計を奪った」とSarawak Dayak Iban Associationのニコラス・ムジャ氏は語っている。

「東京2020大会関係者は先住民族の権利侵害、違法伐採、熱帯林破壊に関係する木材の使用を避けるために十分な対策をとっていない」と国際環境NGOのFoE Japanの三柴淳一氏は述べる。「東京オリンピックの会場建設に違法で持続不可能な木材を使うことになれば、持続可能性を堅持するとのオリンピック関係者の誓約に反し、とんでもないレガシーが残されることになる」と話す。NGOはIOCが大会関係者に対して、「持続可能性を、オリンピックの開催計画の策定と、開催運営のすべての側面に取り入れることを保証する」というIOCの誓約と矛盾しない、より厳しい基準を要求するよう求めている[6]。12月4日に開催された専門家による会合において、小池百合子東京都知事はこの問題に対して認識をしており、「発注者として声をあげていく」と発言している[7]。

東京オリンピックの企業スポンサー数は過去最高となっているが、こうしたオリンピック会場建設に資金が使われるとなれば、深刻なレピュテーション・リスクを抱えることになるかもしれない。「森林減少ゼロにとりくむ企業や政府が増えているときに、これは大きな後退になる。IOCとスポンサーは東京2020大会関係者に対し、オリンピック会場建設に使われるすべての木材が合法で持続可能な供給地から、地域コミュニティの自由意思による事前の十分な情報に基づく同意(FPIC)を尊重した上で供給されるよう対策をとるべきだ」とレインフォレスト・アクションネットワーク(カリフォルニア州)のハナ・ハイネケン氏は指摘している。

※国際オリンピック委員会への公開書簡(PDF版)

英語(原文)/English(original)

日本語(翻訳)/Japanese(translation)

[1] www.olympic.org/news/in-the-wake-of-rio-s-marvellous-games-tokyo-makes-strong-strides-towards-2020/
[2] Friends of the Earth, From policy to reality: ‘Sustainable’ tropical timber production, trade and procurement, 2013, 109ページ、www.foei.org/wp-content/uploads/2013/12/From-policy-to-reality.pdf
[3] グローバル・ウィットネス「衝突する二つの世界」2014年 www.globalwitness.org/olympicsjp/
[4] マーケット・フォー・チェンジ熱帯林行動ネットワーク(JATAN), 「フローリングへと変貌する熱帯林」, 2016年, http://www.marketsforchange.org/forest_to_floor_japanese , The Straits Times, June 21 2016, www.straitstimes.com/asia/se-asia/opposition-pkr-politician-shot-dead-in-sarawak/
[5] グローバル・ウィットネス「マレーシアの熱帯林破壊と日本:持続可能な2020年オリンピック東京大会へのリスク」2015年12月 www.globalwitness.org/en/reports/shinyang/
[6] オリンピック・アジェンダ2020、提言4

[7] 朝日新聞2016年12月5日付「違法伐採の木材 新国立「防止を」 輸入時の確認NGO訴え www.asahi.com/articles/DA3S12691251.html

 

 

************** 続 報 (2016年12月7日)**************

 続報「コーツIOC副会長が公開書簡を受け取り、対応を表明」

現地(スイス・ローザンヌ)時間12月6日午前11時、国際オリンピック委員会(IOC)への公開書簡「letter_handover_to_ioc2020年東京オリンピックに違法で持続不可能は熱帯木材が使用されるリスクについて」を、ジョン・コーツIOC副会長(兼東京2020調整委員会委員長)に、44の国際NGOの代表が手渡しました。
そのNGO代表からは、コーツ副会長の対応について、以下のような説明が届いています。「コーツ副会長とは10分程度の時間を得ることができ、非常に興味を示して頂き、本当に懸念を抱いているようでした。コーツ氏は、組織委員会や日本政府等の2020年東京大会関係者に対して、NGOの懸念と提案を伝えること、そして関係者に報告を求め、NGOにも共有することを約束してくれました。」

IOCへの公開書簡「2020年東京オリンピックに違法で持続不可能な熱帯木材が使用されるリスクについて」の手交の様子

アニメビデオでのパーム油労働者の実話により、現代の奴隷制が明らかに

2016年7月13日水曜日

連絡先: Emma Rae Lierley, +1.425.281.1989, Emma@ran.org

ペプシコ合弁パートナー・インドフード社のアブラヤシ農園での

ひどい労働権侵害を暴露するレポートに続き、ビデオを公開

サンフランシスコ – レインフォレスト・アクション・ネットワーク(RAN)、インドネシアの労働者権利擁護団体(OPPUK)、および国際労働権利フォーラム(ILRF)が本日リリースした「紛争パーム油のヒューマン・コスト(人々の損失)」と題された短いアニメビデオは、大規模アブラヤシ農園の業界全体に蔓延している現代の奴隷制度、児童労働、そして労働侵害にさらされている3人の農園労働者の真実の物語を伝えています。先日、ペプシコ・ブランドのスナック食品の原料生産者であるインドネシアの食品大手インドフード(Indofood)社が所有し運営する2つのアブラヤシ農園について記述された労働者の権利侵害を詳述する画期的な調査報告書が公開されましたが、このビデオはそれに続くものです。

「このビデオで強調されている虐待は、すべてのパーム油産業の労働者数百万人の間で共通している。インドネシアの労働者の権利団体、OPPUKの事務局長、ヘルウィン・ナスティオンは述べた。「ペプシコのように、自社製品にパーム油を使用していたブランドは、業界で広く行われていた広範囲で重度の労働虐待を知っていたが無視してきた。が、安価なパーム油の生産が搾取された労働者に依存していたという汚い秘密をもはや消費者から隠すことはできない」。

ビデオは3人の労働者の実話に基づいています。マレーシアのアブラヤシ農園の仕事に人身売買で送られてきたマニクは、借金を背負わされパスポートは取り上げられました。スタントリーは家族を養うためにパートタイム待遇で有毒な化学物質を扱う仕事を引き受ける若い母親、そしてアディは仕事のノルマを達成し何とか家族を養うために、農園で妻と子供たちを働かせなければならない父親です。

このビデオは、パーム油の重要な買い手としてペプシコ社に焦点を当てています。彼らは年間45万トンを超える量を購入しているのです。ペプシコ社はスナック食品20社の中で最大の会社ですが、同業他社の中では出遅れており、世界の全てのペプシコ・ブランドの製品に森林伐採・泥炭地への拡大・人権や労働権侵害に関与しないパーム油使用を求める責任あるパーム油調達方針を採用していません。代わりに、2015年9月に公開された最新のパーム油方針では、彼らの合弁パートナーであるインドフード社を除外しています。これは、インドネシア-パーム油が加速させる森林伐採、温暖化ガスの排出、それに人権・労働権侵害の最前線-で作られ販売されたペプシコ製品は、他の場所で生産されたペプシコ製品と同じ責任の基準を満たす必要はないことを意味します。

RAN、OPPUKとILRFは、「紛争パーム油のヒューマン・コスト:インドフード社、ペプシコ社のインドネシアの労働者搾取との隠されたつながり」と題された最新のレポートで、ペプシコ社がインドフード社を除外していることの労働者への影響を強調しています。調査により、インドフード社の農園における児童労働、労働者に危険性の高い殺虫剤を扱わせていること、最低賃金未満の支払い、中心的な業務に臨時労働者を長期就業させていること、独立した労働組合活動を阻止するための会社が支援する労働組合の利用などが明らかになりました。そのパーム油サプライチェーンにおける労働者の権利を守るためにペプシコ社が主張する約束に、パートナーが違反していることを証明する、これらの調査結果があるにもかかわらず、ペプシコ社は、表立った措置は講じていません。

「ペプシコ社は、そのパートナーであるインドフード社による紛争パーム油利用と労働者虐待に対処するために、消費者の要求に取り組む必要がある」。アバーベックは続けます。「ペプシコ社が、これらの悪質な労働権侵害にどのように対処しようとしているのかについて、表舞台に立つことをし損ねたという事実は非難されるべきこと。今こそ、ペプシコ社は暗がりに隠れることを止め、その製品に隠された虐待の責任を取るべきだろう」。

(以下は全て英語です。)

・紛争パーム油使用の影響に対処するための、消費者から続けられているペプシコ社へのプレッシャーについては、 ran.org/solidarity

・全レポートのダウンロードはこちら

・レポートの要約のダウンロードはこちら

・インドフード、ペプシコ、パーム油に係る労働権侵害についてのメディア用説明資料のダウンロードはこちら

###

レインフォレスト・アクション・ネットワークは、教育、草の根組織、および非暴力直接行動を通じて、北米の化石燃料依存を停止させ、危険にさらされた森と先住民の権利を保護し、世界中の破壊的な投資を停止させる積極的なキャンペーンを実行しています。更なる情報は www.ran.orgでご覧ください。

国際労働権利フォーラム(ILRF)は、世界中の労働者のために公正かつ人道的な環境を達成するための人権擁護団体です。ILRFは、子どもと強制労働、差別などの労働者の権利侵害を明らかにするために、労働組合とコミュニティベースの労働者の権利擁護団体と連携し、組織を作り団体交渉をしています。

OPPUKはインドネシア、北スマトラのパーム油労働者の労働・生活状況に懸念を持つ学生運動と労働者によって2005年に設立されたインドネシアの労働団体です。OPPUKは労働者を組織し教育し、北スマトラとインドネシアの他地域でパーム油労働者の権利のための研究、政策提言、およびキャンペーンを実施しています。

ペプシコ社とインドフード社の児童労働、低賃金、労働搾取との関連を報告

巨大食品企業ペプシコとインドフードが児童労働、低賃金、労働者搾取と結びついていると、新レポートで報告

2016年6月8日(水)

インドフード社所有のパーム油農園に関する現地調査でインドネシアの悪質な労働権侵害が明らかに

 

連絡先: Emma Rae Lierley, +1.425.281.1989, Emma@ran.org

                 Abby McGill, +1.202.347.4100 ext. 113, abby@ilrf.org

            Herwin Nasution, buruhkelapasawit@gmail.com

 サンフランシスコ - レインフォレスト・アクション・ネットワーク(RAN)、インドネシア労働者の権利擁護団体(OPPUK)、国際労働権フォーラム(ILRF)による本日公開の「紛争パーム油のヒューマン・コスト(人々の損失):インドフード社、ペプシコ社のインドネシアの労働者搾取との隠されたつながり」と題された新しいレポートは、インドネシアの食品大手企業でありペプシコブランドのスナック生産者であるインドフード(Indofood)社が所有し運営する2つのパーム油プランテーション農園で行われた現地調査と労働者へのインタビューによる調査結果を明らかにしています。

調査結果の中でも、とりわけ、児童労働、労働者に危険性の高い殺虫剤を扱わせていること、最低賃金未満の支払い、中心的な業務に臨時労働者を長期就業させていること、独立した労働組合活動を阻止するための会社が支援する労働組合の利用ら全てが、インドフード社との合弁提携を通じてペプシコ社と結びついている大規模農園について記述されています。

「簡単に言えば、このレポートで明らかにしたは、ペプシコ社の監視のもとで、インドフード社がそのパーム油大規模農園での労働者の基本的権利を侵害していること。両社はインドフード社の大規模農園での明らかとなったひどい労働者搾取に対処するために即座に行動しなければならない」。RANのシニア・キャンペーナーであるロビン・アバーベックは述べています。

「これらの労働者は、パーム油に支配される世界に住んでいる。大規模農園は、全方向に何マイルも伸びており、そしてインドフードの子会社ロンドンスマトラ社は、その労働者の生活についてほぼ完全な支配力を持っている。女性は十分な常勤雇用はほとんどされず、非常に危険な農薬を使う最も毒性の高い仕事の一部を割り当てられている。常勤の職種は比較的非常に少なく、収穫作業もそうした常勤でない仕事の一つで、わずかばかりの基本給-大幅に生活賃金を下回る額-を獲得するために妻や子供の助けまで求めなければならない厳しい歩合制度の下で苦しんでいる。自分の家族の生計を助けるために、子どもたちは学校に行かなくなり子供時代を失い、パーム油の木の列の中で働く。これは、労働者の権利がほとんど尊重されていない憂慮すべき虐待のシステムである。」 とアバーベックは述べています。

インドフード社-世界最大のパーム油生産者の一つ、インドネシアで最大の食品会社、およびインドネシアのペプシコ製品の唯一のメーカー-は同業他社に後れを取っています。インドフード社は現在、責任あるパーム油のための新たなベンチマーク-森林破壊せず、泥炭地への拡大せず、自社と第三者のサプライヤーによる労働者の権利や人権侵害せずという誓約-と整合を取るために、方針を強化したり、その操業内容を改善していないインドネシア最大の民間パーム油会社です。

ペプシコ社は、同様に同業者の間でかなり出遅れていますが、2015年9月に更新したパーム油方針を発表しましたが、合弁相手のインドフード社についてはパーム油方針の原則を遵守する必要はないとした。このペプシコ社のパーム油方針と実施の努力が不十分であったことから、世界中の何千もの消費者がペプシコ社への圧力を増幅させ、パーム油の労働者との連帯して、同社が迅速かつ意味のある行動を取ることを要求しています。

「ペプシコ社は、そのサプライチェーンにおける人権侵害に対処するための大胆な行動を取る必要がある。真剣な責任あるパーム油に関する誓約は、世界最大のパーム油生産国でありパーム油大規模農園の拡大による熱帯林破壊や人権侵害の影響を最も深刻に受けている国であるインドネシアを含める必要がある。本レポートに詳述されたインドフード農園での悪質な状況を考慮して、ペプシコ社は改善する必要がある。」とILRFの法務・政策ディレクターのエリック・ゴットバルトは述べています。

「このようにこの国における主要な雇用者であるので、地理的に隔離されていることから特有の増幅するリスクに直面しているパーム油プランテーション労働者を保護するために、インドネシア政府は特定の労働法を制定すべきである。具体的には、最もリスクにさらされ最も保護されていない労働者-おそらく極端に高い仕事の割当てと非倫理的低賃金の下で最も苦しんでいる女性労働者や児童労働者 –に緊急の注意が払われる必要がある。」とOPPUKの事務局長アーウィン・ナスティオンは述べています。

インドフード社とペプシコ社は、本レポートの公開に先立って、このレポートの主要な調査結果に応答する機会を与えられました。それらの応答は、報告書の7ページに記載されています。

ペプシコ社への紛争パーム油使用の影響への対処のための消費者からの継続的圧力については ran.org/solidarity をご覧下さい(英語のみ)。世界中の30以上の組織が、パーム油労働者と連帯するための、そして、労働者の権利を擁護し早急に真に責任あるパーム油方針を実行に移すことをインドフード社に求めることをペプシコに対して要求する努力を支援してきました。

インドフード社、ペプシコ社、パーム油の労働権侵害に関するメディア用説明資料のダウンロードはこちら

報告書の要旨のダウンロードはこちら

全報告書のダウンロードはこちら