インドネシアの森林減少と土地収奪という危機の最前線での暮らし
紙パルプ生産で破壊されたインドネシアの森林の片隅で暮らす住民の貴重な情景写真を提供する
新たなキャンペーンサイト(BeyondPaperPromises.org)開設
緊急リリース
2017年5月23日
連絡先: Emma Rae Lierley, Emma@ran.org, +1 425.281.1989
サンフランシスコーレインフォレスト・アクション・ネットワーク(RAN)により本日開始された新しいキャンペーンとウェブサイトでは、進行中の紙パルプ企業との紛争の前線にあるインドネシアの先住民族コミュニティをめぐる貴重な情景写真を提供しています。このサイト、ビヨンド・ペーパー・プロミス(BeyondPaperPromises.org)は、生き生きした人物写真と住民との本人の語りを使って、住民自身の声で土地収奪と森林減少の話を伝えています。(サイトは英語です)
サプライチェーンの大半の企業が事業による森林減少や土地権や人権侵害を排除する約束をしていますが、この新しいキャンペーンではインドネシアの森林減少の危機の最前線のコミュニティにとっては、ほとんど変化がないという事実に着目しています。
「コミュニティと森林の現実こそが、企業コミットメントの測定に使うべき本当の評価基準です。」RANのシニア森林キャンペーナーのブレア・モーガンは述べています。「森林減少を停止し、今や数十年が経過している土地権紛争に取り組むという約束そのものはいいことだが、実際のところ、現場ではこれまでのところ、私たちにはほとんど変化を見出すことができません」。
コミュニティと企業との間の紛争は、脅迫、抗議、逮捕、さらには殺人によって特徴付けられ長年にわたり続いています。インドネシア・スマトラ島のジャンビ州と北スマトラ州では、アジア・パルプ・アンド・ペーパー・グループ(APP)とトバ・パルプ・レスタリ社(Toba Pulp Lestari:TPL)が大きな役割を果たしています。これらの企業が国際商品市場の産業植林地を拡大しようとしているため、地元コミュニティの農場や村がしばしば彼らにとっては障害となっているのです。
2016年12月の歴史的発表で、ジョコウィ・インドネシア大統領はインドネシア史上初めて先住民族の土地の権利を認め、北スマトラのパンダマン・シピトゥータ(Pandumaan-Sipituhuta)コミュニティの土地をTPLの植林地から除外し、他の9つのコミュニティの慣習的土地権をも認めました。これは多くの人にとって最初の肯定的なステップと見なされていました。しかし地方政府は地方レベルでは同様の土地権についての認識が遅れており、多くのコミュニティは土地が返還されるのを未だ待っています。
「政府が私たちを保護し、先祖から受け継いできた土地を政府が私たちに返すようにお願いします。」と、このキャンペーンで様子を伝えられたコミュニティの一つであるインドネシア、北スマトラ州、アエクルン(Aek Lung)の住民、レンティーナ・ナババンは語りました。「この土地は私たちの生活の源であり、子どもたちが学校に行くことができるようにしてくれる私たちの蓄えです。また自分たちの土地を耕すことを怖がったりしなくてすむように、私たちの伝統的に所有している土地を政府が認めるようお願いします」。
数十年に渡ってインドネシアの森林の行く末が国際的に懸念されています。産業用パルプ材植林地やアブラヤシ農園の開発によって大規模に促進される森林減少は、広大な天然の熱帯林と炭素を豊富に含む泥炭地を皆伐によるものです。インドネシアは、国内で継続している森林減少と商品作物のためのプランテーション開発により世界の温室効果ガスの巨大な排出者であり、そのために米国と中国に次ぐ世界第三位の排出国となっています。