環境NGOレインフォレスト・アクション・ネットワーク(本部:米国サンフランシスコ、日本代表部:東京都渋谷区、以下RAN)は本日30日、2025年から1年間にわたって実施した調査を発表(注1)し、東南アジアのパーム油大手ファースト・リソーシズがパーム油の出所を隠して世界のサプライチェーンに参入していたという深刻な疑惑を提起しました。また、同社がインドネシア東カリマンタン州(ボルネオ島)で森林破壊を起こしている企業との多岐にわたる商業関係について、株主や買い手企業、規制当局に誤解を招く説明を行っていた可能性も指摘しています。

ファースト・リソーシズ(SGX: EB5)は2024年にシンガポール証券取引所へ提出した声明で、「KAS グループ」として操業する、森林破壊企業グループとの商業関係を全面的に否定していました。しかしRANの調査結果は、同社のサプライチェーンがKAS グループおよび別の企業、FAP アグリ(IDX:FAPA)と完全に統合されているように見え、前述の声明が著しく誤解を招くものだったことを示唆しています。FAP アグリはパーム油生産業者で、ファースト・リソーシズと同様に、ファンギオノ一族のコントロール下にあります。

RANの調査結果から、近年数千ヘクタールもの熱帯林破壊に関与した企業からのパーム油が、共通の施設を使って輸送、貯蔵、そして船で運ばれ、各過程で混合され「森林破壊禁止、泥炭地開発禁止、搾取禁止(NDPE)」方針の公約に準拠するパーム油として国際市場に流通されていると考えられます。

また、本報告書はファンギオノ・グループ傘下企業への約12億米ドルの融資(2021年1月〜2026年9月)も特定しました。これには三井住友フィナンシャルグループ(SMBC)ユナイテッド・オーバーシーズ銀行(UOB)、DBS銀行といったアジアの大手銀行からの融資も含まれ、どの銀行も森林破壊を起こしている顧客企業へのファイナンス防止を目的とした方針を採用しています。

本調査は1年以上にわたって行われ、現地調査、衛星画像分析、航空写真、船舶追跡データ、企業記録、内部会計文書をまとめたものです。

クタイバラ県のファンギオノ搾油工場から運ばれたパーム原油輸送トラック。ファースト・リソーシズの貯蔵タンクへの荷下ろしを待っている、2026年第1四半期
トランス・カリマンタン高速道路を走行中のパーム原油を積んだトラック
PT CAKの桟橋沖に停泊する大型バージ船へ、小型バージ船からパーム油を積み替える乗組員、2026年第2四半期
KASグループ傘下のPT Setia Agro Abadi(PT SAA)による最近の森林皆伐の様子、2025年9月

今回の調査結果は、環境NGO「環境調査エージェンシー(EIA)」とカオエム・テラパック(Kaoem Telapak)による調査と同時に発表されました。その調査は、ファースト・リソーシズとKAS グループ、FAP アグリが単一の企業グループとして運営されているように見える、多岐にわたる新たな証拠が提示されています。両調査とも企業記録、ガバナンス分析、現地でのサプライチェーンに関する証拠をまとめ、同様に広範な傾向を示しています。

RANは、ファンギオノ・グループと関連がある大手パーム油企業やグローバル消費財企業に、今回の結果を調査し、同グループ全体からの調達停止を求めるよう、正式に苦情を申し立てました。同グループの関連企業や非公開の供給ルートを通じて、森林破壊とつながりのあるパーム油が市場に流通し続けることを防ぐことを目的としています。

主な調査結果

  • 現地調査:ファースト・リソーシズとFAP アグリ、KAS グループのパーム油サプライチェーンが統合され、インフラを共有し、連携した企業グループとして機能している(公には否定している)ことを示す証拠が得られた
  • 内部会計文書:上記3グループの企業を「関連当事者」として記録。ファースト・リソーシズが、シンガポール証券取引所と投資家にそれら企業との関係性を全面的に否定した事実と矛盾している
  • 現地調査:KAS グループ生産のパーム原油が、ファースト・リソーシズのマハカム川の積み出し施設を経由して輸送されたことを記録。下流の製油所へ運ばれる前に、ファースト・リソーシズとFAP アグリのパーム原油と混合されていると見られる
  • 衛星画像分析:ファンギオノがコントロールする事業管理地(コンセッション)で9,800ヘクタール以上の森林が皆伐された(2021年1月〜2026年5月)。これには、RANが現地調査で記録した、絶滅危惧種イースタン・グレイ・ギボン(テナガザルの一種)の生息地も含まれている
  • サプライチェーンおよび金融調査の証拠:国際的な大手消費財企業と金融機関がサプライチェーンと資金提供関係を通してファンギオノ・グループと幅広い形でつながりがあることも示している

NDPE方針はグローバル基準と期待を変化させ、森林破壊の進行を遅らせることに寄与してきました。市場は、ファンギオノ・グループのような生産業者がこれまでの進展を弱体化させるようなことを許してはいけません。

RANシニア・コーポレート・エンゲージメント・スペシャリストのピート・クーパーは「サプライヤーがパーム油の出所を隠している場合、買い手企業は森林破壊ゼロのパーム油を供給しているという約束を信用できません。問題が発覚したプランテーションをサプライチェーンから排除する一方、グループ他社の約束を認めることは、買い手企業が自分たちを欺いたシステムそのものに頼り続けることを意味します。信頼を回復するには、ファンギオノ・グループが森林破壊と隠蔽の両方を停止したことを、独立検証によって確認する必要があります。買い手企業が証拠なしにサプライヤーの約束を鵜呑みにすれば、業界全体の『森林破壊ゼロ』という宣伝文句に対する消費者の信頼を危うくすることになります」と訴えました。

本調査は、インドネシア領ボルネオ島に残された数少ない森林景観の一つである、東カリマンタン州マハカム川流域に焦点を当てています。本報告書は、ボルネオ島の広範囲が急速に深刻化する火災と煙害にまたも見舞われ、国際的な注目が高まる中で発表されました。ファースト・リソーシズの複数の事業管理地でも大規模な火災が発生していることが複数の情報源から報告されています。科学者たちは長きにわたって、商業的アブラヤシ農園開発のための森林の皆伐や排水は、壊滅的な火災に対してより一層脆弱になると警告してきました。この調査結果は、さらなる被害が生じる前に、森林破壊防止の公約が確実に実行されるよう、企業や銀行、資金提供者、規制当局に緊急の必要性を強調しています。

報告書で言及された企業には、調査結果について公開前に回答する機会が与えられました。ファースト・リソーシズとFAP アグリは主な申し立てについて異議を唱えました。両社の回答は調査報告で取り上げられ、以下から全文を読むことができます(注2)。RANの質問に対し、KAS グループからの回答はありませんでした。

脚注

注1)RAN新調査「隠された産地」
日本語: https://japan.ran.org/wp-content/uploads/2026/10/Forest-frontlines_First-Resources_JP-1.pdf
英語: https://www.ran.org/forest-frontlines/hidden-origins-investigation-reveals-agri-giant-first-resources-apparent-laundering-of-deforestation-linked-palm-oil-into-sustainable-global-markets/

注2)ファースト・リソーシズ の回答 https://www.ran.org/wp-content/uploads/2026/10/160926_First-Resources-Response-to-RAN-Letter-dated-7-Sep-2026.pdf
FAP アグリの回答 https://www.ran.org/wp-content/uploads/2026/10/Released_FAPA-Clarification-to-RAN_140926.pdf

※メディア向け資料

  • 航空写真・映像
  • 衛星画像および「森林破壊の前後比較」グラフィック
  • 河川輸送および船舶追跡マップ
  • 現地調査写真
  • 現地地図およびサプライチェーン図
  • 東カリマンタンで撮影したBロール映像
  • 調査員およびインドネシア協力団体へのインタビュー

団体紹介

レインフォレスト・アクション・ネットーク(RAN)は、米国のサンフランシスコに本部を持つ環境NGOです。1985年の設立以来、環境に配慮した消費行動を通じて、森林保護、先住民族や地域住民の権利擁護、環境保護活動をさまざまな角度から行っています。2005年10月より、日本代表部を設置しています。https://japan.ran.org

本件に関するお問い合わせ先

レインフォレスト・アクション・ネットワーク
東京都渋谷区千駄ヶ谷1-13-11-204、TEL 03-6721-0441 FAX:03-6721-0959
日本チームマネジャー:関本幸 
Email: yuki.sekimoto@ran.org
コミュニケーション&デジタルスペシャリスト:立花実咲
Email: misaki.tachibana@ran.org

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