「森林と金融」データベースの日本語版を公表
2016年9月16日
緊急リリース
GPIF は重大なESGリスクに 直面-保有株トップ10に入る3大メガバンクは東南アジアの熱帯森林破壊や人権侵害に関わる企業への主要な資金提供者-新調査結果発表
森林と森林コミュニティの保護への新たな国際的なプレッシャーの下、 注目を浴びる金融部門
連絡先: 日本語: 川上豊幸 toyo@ran.org 英語: ハナ・ハイネケンhheineken@ran.org
レインフォレスト・アクション・ネットワーク
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東京 — 本日、レインフォレスト・アクション・ネットワーク(RAN)、TuKインドネシア、プロフンド(Profundo)は、東南アジアの熱帯林を脅かしている企業への民間資金源として、日本がマレーシア、中国に次いで三番目に大きいことを示す日本語での新しいオンライン・データベース・サイト「森林と金融:東南アジアでの森林破壊リスクに直面している銀行と投資機関」を公開しました。調査によると、年金積立金管理運用独立行政法人(GPIF) [1]が株式を大量に保有している、みずほフィナンシャルグループ(みずほFG)、三井住友フィナンシャルグループ(SMFG)、三菱UJFフィナンシャル・グループらは、熱帯林破壊に関与する企業への主要な資金提供者でした。そうした金融機関の中で、みずほFGが、マレーシアの2つの銀行に次いで世界第三位の金融機関であることがわかりました。このデータベースの公開は、環境や社会への責任投資を促進する国際的なイニシアチブである国連責任投資原則(PRI)[2]へのGPIFの署名1周年を機に行ったものです。
調査では、2010年から2015年の間に、貸付金および引受業務で少なくとも380億米ドル相当が、パーム油、紙パルプ、ゴム、熱帯材の生産と一次加工によって東南アジアの熱帯の天然林に影響を与えている企業50社に提供されたことがわかりました。加えて、これら問題の50社の森林関係の事業は、2016年の開始時の債券と株式で140億米ドルに相当する資金により追加して支援されていました。GPIFのポートフォリオにある丸紅株式会社(丸紅)、伊藤忠商事株式会社、王子ホールディングス株式会社、住友林業株式会社(住友林業)、および住友商事株式会社は、東南アジアの森林に影響を与える50社に含まれています[3] 。例えば丸紅と住友林業によるプランテーション事業は地域社会との紛争や貴重な熱帯林の破壊をもたらしています [4]。
また、このウェブサイトでは、森林や地域社会でこの資金提供の影響を実証するケーススタディを掲載し、これらの部門への資金供与に関する重要な環境、社会、ガバナンス(ESG)のリスクに対処するために銀行が持つべき方針について評価しています。ケーススタディの一つで取り上げたインドネシアの民間企業で第三位のパーム油プランテーション会社インドフード(Indofood)については、日本の三大メガバンクが共に資金を提供していますが、その農園では児童労働を含む深刻な労働違反であることが最近確認されました[5]。またSMFGは、土地をクリアするために違法に火を用いたり、村民を移住させてしまった王子ホールディングスの関連会社のコリンティガ・フタニ社(PT Korintiga Hutani)への主要な資金提供者です。これら日本の3行はいずれも特に森林部門のESGリスクに対処する方針が無く、金融機関の方針評価において主要な欧米の銀行よりも低い得点となりました。
「世界最大級の銀行は、顧客企業が実際に森林法に従っているか、地域社会の権利を尊重しているかどうかのチェックをほとんどすることなく、紙パルプ、パーム油、ゴム等の生産および伐採等の熱帯林リスクのセクターに年間数十億ドルを注ぎ込んでいる。」とRANの森林と金融キャンペーン・ディレクターのトム・ピッケン氏は述べています。「この調査結果は、日本の3大メガバンクが金融サービスによる壊滅的な影響を見て見ぬふりをし続けていることを示唆している」。
勧告として述べたいことは、日本を含めた関連する地域の金融セクターの規制当局は、不遵守の場合の強力な罰則の導入と共に、森林部門の顧客企業への強固なデューデリジェンスに基づく適格審査プロセスを実施するために、銀行や投資機関に義務となる要求事項を導入すべき、ということです。責任ある投資家はまた、銀行が金融サービスの全てにわたってESG課題を統合していることを確認する必要があります。GPIFは、日本国民の年金の134兆円以上の資金を監督しています。 PRIに署名することで、投資先企業の投資分析、それら企業とのエンゲージメントでESG課題に配慮することを約束しました[6] 。
調査内容はforestsandfinance.orgに掲載されていますが、検索可能なデータベースと共に、熱帯林破壊に関与している企業がどのように資金提供されているかについて包括的な評価を提供しています。東南アジアの熱帯林は、これらの森林リスク商品の大規模開発により、世界で最も速いスピードで森林減少が起きている地域にあたります。本サイトは、四半期ごとに更新して責任ある投資業界、研究者そしてキャンペーナーのために、 継続的な情報提供をしていきます。また本サイトには、金融に係る調査と企業の方針の採点をどのように行ったかの方法論について詳細な説明もあります。
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[1] GPIFは世界最大の年金基金。詳しくは http://www.gpif.go.jp/
[2] 国連責任投資原則(PRI) https://www.unpri.org/about.
[3] GPIFの国内株式保有についてはhttp://merutore.com/investment-theme-stock/gpif-japanstocklist-2015/
[4] これらの日本企業が直面している森林関連のESGリスクに関する情報は、レインフォレスト・アクション・ネットワークの報告書にある。http://ranjapan.wpengine.com/wp-content/uploads/2016/06/Shareholders_Beware_jp_web.pdf
[5] 以下の報告書参照。「紛争パーム油のヒューマン・コスト(人々の損失):インドフード社、ペプシコ社のインドネシアの労働者搾取と隠れたつながり」 The Human Cost of Conflict Palm Oil, June 2016: www.ran.org/new_report_finds_food_giants_pepsico_indofood_linked_to_child_labor_poverty_wages_and_worker_exploitationこの報告書の所見の多くは、最近、RSPO(パーム油の認証機関)に関連する独立機関、Accreditation Services Internationalにより確認された。 www.accreditation-services.com/document/asi-rspo-sai-pc-compliance-indonesia-2016/
[6] GPIFのPRIへの署名についてはhttp://www.gpif.go.jp/topics/2015/pdf/0928_signatory_UN_PRI.pdf
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レインフォレスト・アクション・ネットワークは、教育、草の根組織、および非暴力直接行動を通じて、北米の化石燃料依存を停止させ、危険にさらされた森林と先住民族の権利を保護し、世界中の破壊的な投資を停止させる積極的なキャンペーンを行っています。更なる情報は japan.ran.orgでご覧ください。
TUKインドネシアは、人権、正義それに自己決定を可能なものとし保護するために、政治的な解決と、弱者、地域社会そして先住民族のための選択肢の確保を推進するために活動しています。更なる情報はhttp://www.tuk.or.id/ でご覧ください。
プロフンド(Profundo)は、商品チェーン、金融機関や企業の社会的責任(CSR)の問題を分析する経済研究のコンサルタントで、主にオランダとその他の国々の環境、人権、開発組織のための仕事をしています。更なる情報はhttp://www.profundo.nl/page/show/home-122 でご覧ください。
**英語版オンライン・データベースは国連の責任投資原則主催の会議で、9月6日に発表されました。