サンフランシスコに本部を持つ米国の環境NGO RAINFOREST ACTION NETWORKの日本代表部です

共同プレスリリース:「化石燃料ファイナンス報告書 2026」発表 〜世界65銀行、パリ協定以降に8.7兆ドルを提供(2026/6/9)

〜2025年の提供額は9,064億ドル、米2行に続き三菱UFJが3位、みずほ4位、SMBC9位〜

レインフォレスト・アクション・ネットワーク(RAN)
特定非営利活動法人 気候ネットワーク
国際環境NGO マーケット・フォース

米環境NGO レインフォレスト・アクション・ネットワーク(本部:米国サンフランシスコ、日本:東京都渋谷区、以下RAN)をはじめとするNGOは本日9日、新報告書『化石燃料ファイナンス報告書2026〜気候カオスをもたらす銀行業務〜』(注1、第17版、 日本語要約版、英語名: Banking on Climate Chaos 2026)を発表しました。

本報告書は、世界の上位65行による約2,900社の化石燃料企業への融資・引受をまとめた年次報告書です。分析の結果、2025年に銀行から化石燃料産業に提供された金額は9,064億ドルで、2024年に比べて8%増加したことがわかりました。 また、パリ協定発効後の10年間に、石油、ガス、石炭企業に提供された金額は8.7兆ドルでした。本報告書は、民間銀行による化石燃料への資金提供に関する世界で最も包括的なオープンデータです。

図1:「化石燃料ファイナンス」2025年世界ランキング(化石燃料全部門への融資・引受額、単位=米ドル)

報告書では、JPモルガン・チェースが今回も世界最大の化石燃料資金提供者で、2025年には化石燃料企業に580億ドルを投じ、前年比で12.6%増加したことも明らかにしています。続いてバンク・オブ・アメリカが2位で470億ドル、日本の三菱UFJフィナンシャル・グループ(MUFG)が470億ドルで3位となり、前年比で21%も増加しました。 他のメガバンクはみずほフィナンシャルグループ(みずほ)が4位、三井住友フィナンシャルグループ(SMBC)が9位でした。これら化石燃料ファイナンス上位12行の提供額は、約2,000に及ぶ世界の銀行による総額の40%近くを占めています。

また、化石燃料事業を積極的に拡大している企業への資金提供額は2025年に27%急増し、5,080億ドルに達しました。このような資金提供は、地球温暖化を1.5度に抑えるという目標とは相容れないものです。

2020年代のエネルギー危機(ロシアによるウクライナ侵攻と、米国とイスラエルによるイラン攻撃)は、化石燃料への依存が世界的な不安定さの構造的要因であることを示しています。化石燃料を輸入する国々に住む世界人口の4分の3の人々が、供給が途絶えるたびにその代償を支払っています。

『化石燃料ファイナンス報告書2026』概要・主な調査結果

世界の主要民間銀行65行が化石燃料部門に行った資金提供(融資・引受)を示した包括的な報告書。化石燃料企業約2,900社への資金提供について調査・分析。対象期間は国際エネルギー機関(IEA)が「ネットゼロ・ロードマップ」(注2)を発表した2021年〜2025年で、年別、累計額を集計。化石燃料産業全体、化石燃料拡大企業への資金提供ごとに集計・分析(これまでと異なり、LNG (液化天然ガス)、オイルサンドなど部門別のランキングは発表しないが、上流・中流・下流の各部門別、および石油・ガス・石炭といった燃料別のデータは掲載している)。パリ協定が発効した2016年〜2025年の全体的な傾向の分析も一部掲載。

  • 化石燃料企業への資金提供(2025年):9,064億ドル(2024年比 +8%)
  • 化石燃料企業への資金提供(パリ協定発効以降、2016〜2025年):8.7兆ドル(石油、ガス、石炭部門)
  • 化石燃料拡大企業への資金提供(2025年):5,080億ドル(2024年比 +27% = 過去最高)
  • 米国の銀行による化石燃料への資金提供は世界総額の32%を占め、2021年の28%から増加し、世界最大の化石燃料資本の供給源となっている。欧州の銀行は明確な減少傾向を示している。 BNPパリバは化石燃料関連の取引を28%、UBSは36%、ラ・カイシャは34%削減した。一方、スタンダードチャータードは28%増加し、ドイツ銀行は20%、HSBCは16%増加した。
  • 気候変動対策における銀行の自主的な取り組みの効果が限定的であること、そしてより強い規制措置の必要性を強調している。「ネット・ゼロ・バンキング・アライアンス(NZBA)」の崩壊後、各行は方針を弱体化した。調査対象の北米の銀行15行のうち、12行は化石燃料に関する実質的な方針を持っていない。JPモルガン・チェースとゴールドマン・サックスは、石炭および北極圏へのファイナンスの除外方針を放棄し、状況に応じて対応するデューデリジェンス基準へと変更した。
  • 日本の3メガバンクは、2025年の資金提供でワースト12行に入った(MUFG 3位、みずほ 4位、SMBC 9位)。3行の合計額は1,250億ドルで、65行のうち3行だけで全体の13.7%以上を占めた。化石燃料事業を拡大している企業への2025年の資金提供額でもみずほが2位、MUFGが4位、SMBCが9位と上位を占めた。

図2:メガバンクによる化石燃料ファイナンスの比較(単位:百万米ドル)

図3:メガバンクによる化石燃料への資金提供(融資・引受)推移(単位:百万米ドル)

図4:メガバンクによる化石燃料拡大企業への資金提供(融資・引受)推移(単位:百万米ドル)

  • メガバンクは特にLNG事業の拡大を行う企業に資金提供を行っている。大規模なLNG拡大計画を持つ企業(注3)への提供額でMUFGが1位、みずほが3位、SMBCが5位となった(2025年)。3行による化石燃料ファイナンスの大部分は、米国に拠点を置く化石燃料企業に提供されている。

化石燃料部門別の動向・主な調査結果

(▲は2024年から2025年にかけて資金提供が増加したことを示す)

▲中流部門とLNG(メタンガス)ブーム:上位65行は2025年、化石燃料の中流事業を拡大する企業への資金提供額を前年比で184%、すなわち1,160億ドルも増加させた。銀行からの資金提供額が2025年に最も多かった3社は、いずれも石油・ガスの中流部門の事業者だった。LNGは最も急成長している分野だが、LNG輸出基地(ターミナル)へのファイナンスを排除する方針を定めている銀行は上位65行中わずか5行である。ベンチャー・グローバル社(米国、注4)は、化石燃料企業としては最大額の330億ドルを2025年に借り入れ、LNG企業が地政学的紛争を利用して巨額の利益を得ている実態を示している。

    ▲ 上流(生産・探索)への資金提供:1,920億ドルから2,170億ドルに増加。
    ▲ 中流(処理・貯留・パイプライン輸送)への資金提供:1,390億ドルから2,550億ドルに増加。
    ▲ ガス発電への資金提供:1,540億ドルから1,990億ドルに増加。

▲ 石炭採掘の拡大:2025年に資金提供額が77%急増し、現在は840億ドルに達している。

▲ 石炭火力発電の拡大:1年間で40%増加し、現在は810億ドルに達している。

執筆者および執筆団体からのコメント

ニコ・ルシアニ、RANリサーチ・ディレクター(共同執筆者)

「ウォール街の銀行の最大の関心は利益保護です。私たちの最大の関心は気候変動と人権保護です。2年連続で化石燃料ファイナンスが増加し、銀行方針の後退が続いた結果、示されたファイナンスのデータは明白です。銀行が自発的に気候危機への資金提供を止めることはありません。その証拠となる『領収書』は私たちの手にあります。今こそ、各国政府に行動を求める時です」

麻生 里衣 RAN責任ある金融キャンペーナー(日本担当)

「これ以上、世界は銀行による無秩序な資金提供を許すべきではありません。今年の報告書の結果を見れば、日本とアメリカの銀行が気候変動の影響に苦しむ世界中の人々に背を向け、自社の利益のみを追求していることは明らかです。

化石燃料への資金提供を急速に増やすアメリカに追従するかのように、資金提供を増やすメガバンクの傾向は、3行のリスク管理における重大な欠陥を示しています。エネルギー安全保障という切り札によって、深刻な人権侵害と健康被害に苦しむ現地コミュニティの声はもみ消されています。そして、メガバンクは情報提供を受けた上で、それでも資金提供を続けているのです」

賛同団体からのコメント

気候ネットワーク プログラム・コーディネーター 鈴木康子氏

「日本の3メガバンクは、依然として化石燃料産業への巨額の資金提供を続けており、いずれも2050年までに投融資ポートフォリオ全体の温室効果ガス(GHG)排出量を実質ゼロにする目標を掲げてはいるものの、その達成手段が見えてきません。世界では、気候変動対策に対する銀行の法的責任を問う訴訟リスクが顕在化してきています。気候危機を悪化させる事業、環境破壊や人権侵害が指摘されている事業に資金を提供する銀行および金融機関による融資責任が問われるべきです。化石燃料ファイナンスの削減を強く求めます」

マーケット・フォース、日本エネルギーファイナンスキャンペーナー、渡辺瑛莉氏

「MUFGが『ワースト12銀行』で過去最悪の世界第3位となり、みずほが化石燃料拡大への資金提供で世界第2位となったことは、日本のメガバンクにおける国際的な投資家からの信頼を致命的に失墜させるものです。

昨今の石油・ガス危機により、世界が益々再生可能エネルギーへ舵を切る中、MUFGが2030年目標を後退させ化石燃料への依存を深める経営姿勢は、気候やエネルギー安全保障のリスクを完全に見誤っています。

もはや単なる対話の段階は過ぎており、今年のメガバンクの株主総会で投資家は、気候・エネルギー関連のリスク管理監督を適切に果たしていないメガバンクの取締役の再選に明確に『No』を突きつけることで、リスク管理の改革を後押しすべきです」

『化石燃料ファイナンス報告書』はRAN、バンク・トラック、エネルギー・エコロジー・開発センター(CEED)、先住民族環境ネットワーク(IEN)、オイル・チェンジ・インターナショナル、リクレイム・ファイナンス、シエラ・クラブ、ウルゲバルトによって執筆されています。世界55カ国340以上の団体が賛同しています。

脚注

注1)「化石燃料ファイナンス報告書2026」全文(英語)
化石燃料の金融データ、方針スコア、最前線の現場からの報告、方法論などはこちらから:https://www.bankingonclimatechaos.org

日本語要約版

日本の銀行分析

注2)IEA「ネット・ゼロ・ロードマップ」、2021年5月
今後全ての化石燃料の拡大事業は1.5度目標と整合しないという分析結果が出た。
https://www.iea.org/reports/net-zero-by-2050

注3)大規模なLNG拡大計画を持つ企業11社(2025年)

  • ベンチャー・グローバル(米国)
  • シェル(英国)
  • トタルエナジーズ(フランス)
  • センプラ(米国)
  • ネクスト・ディケイド(米国)
  • エナジー・トランスファー(米国)
  • エクソンモービル(米国)
  • シェニエール・エナジー(米国)
  • エニ(イタリア)
  • ニュー・フォートレス・エナジー(米国)
  • KKR(米国)

注4)共同声明「CP2 LNGの最終投資決定を受けて、米ルイジアナ州地域社会と世界の支持団体が融資銀行を非難」、2026年3月26日
https://japan.ran.org/?p=2636

補足資料

 

*訂正:数値に誤りがありましたので訂正いたします(2026年6月10日)。

副題および二段落目
正)2025年の提供額は9,064億ドル
誤)2025年の提供額は9,060億ドル

「概要・主な調査結果」
正)化石燃料企業への資金提供(2025年):9,064億ドル(2024年比 +8%)
誤)化石燃料企業への資金提供(2025年):9,320億ドル(2024年比 +9%)

「概要・主な調査結果」
正)化石燃料企業への資金提供(パリ協定発効以降、2016〜2025年):8.7兆ドル
誤)化石燃料企業への資金提供(パリ協定発効以降、2016〜2025年):8.6兆ドル

団体紹介

レインフォレスト・アクション・ネットーク(RAN)は、米国のサンフランシスコに本部を持つ環境NGOです。1985年の設立以来、環境に配慮した消費行動を通じて、森林保護、先住民族や地域住民の権利擁護、環境保護活動をさまざまな角度から行っています。

 

本件に関するお問い合わせ先

レインフォレスト・アクション・ネットワーク
東京都渋谷区千駄ヶ谷1-13-11-204、TEL 03-6721-0441
日本チームマネジャー:関本幸 Email: yuki.sekimoto@ran.org
コミュニケーション&デジタルスペシャリスト 立花実咲 Email: misaki.tachibana@ran.org

プレスリリース:RAN「赤道原則ファクトシート」発表 〜MUFGとみずほ、「赤道原則」や自社グループ環境・社会方針不遵守の疑い〜 米テキサス州リオ・グランデLNGへの資金提供について(2026/5/20)

米環境NGOレインフォレスト・アクション・ネットワーク(本部:米国サンフランシスコ、日本代表部:東京都渋谷区、以下RAN)は本日20日、『赤道原則ファクトシート:MUFGとみずほによる赤道原則などの国際規範および自社グループ方針不遵守の疑い』(注1)を発表しました。「赤道原則」とは大規模事業への融資の際に環境・社会への影響を評価するための国際基準です。本書は、同原則を採択している三菱UFJフィナンシャル・グループ(MUFG)みずほフィナンシャルグループが米テキサス州リオ・グランデLNG事業への資金提供において、原則5の「ステークホルダー・エンゲージメント」で多くの要件を満たしていない可能性を指摘しています。同時に、融資における先住民族の地域社会への配慮や慎重な判断を定めた、自社グループの環境・社会方針への違反の可能性も示しています(注2)。今回の調査・分析は、公開情報や先住民族を含む地域コミュニティから提供された情報をもとにRANが実施し、上記資金提供が赤道原則および自社グループ方針の不遵守と考えられると結論づけています。

リオ・グランデLNGの建設現場(写真©︎ Bekah Hinojosa / (SOTXEJN)

本書は、MUFGとみずほによるリオ・グランデLNG輸出ターミナル(基地)事業への資金提供について、公開されている情報や、リオ・グランデ・バレー地域の先住民族であるカリゾ・コメクルド族を含む地域コミュニティから提供された情報に基づき、RANが実施した調査を元に作成されました。リオ・グランデLNGに隣接するテキサスLNG施設(2026年中旬に最終投資決定(FID)達成予定)は、カリゾ・コメクルド族の聖地と建設予定地が重複しています。調査の結果、リオ・グランデLNGの事業者であるネクスト・ディケイド社が、利害関係者である地域コミュニティに対して、同原則の原則5「ステークホルダー・エンゲージメント」で定められた多くの要件を満たしていないことが明らかになりました。具体的には以下が挙げられます。

  • 適切な方法での継続的なコンサルテーションの機会を提供していないこと
  • 適切に行われた環境・社会的評価の結果が未だ開示されていないにも関わらず、現地の整地作業が完了していること
  • MUFGとみずほは、赤道原則が参照する国際金融公社(IFC)パフォーマンススタンダードが定める場合において(注3)、先住民族の「自由意思による、事前の、十分な情報に基づく同意」(注4、FPIC)の取得を事業者に確認すると定めているが、事業者はカリゾ・コメクルド族からFPICを取得せずに建設を進めている、など

2024年9月、リオ・グランデ・バレー地域のコミュニティ代表団とRANは共同でMUFG とみずほに対し、ネクスト・ディケイド社との関係において適切な人権デューデリジェンスを怠ってきたとしてビジネスと人権対話救済機構(JaCER)を通じて苦情を申し立てました(注5)。2024年10月にはコミュニティ代表団が来日し、MUFGなどの金融機関と対話を行いましたが(注6)、現在においても解決に向けた進展は見られません。

また本書では、MUFGとみずほが資金提供しているリオ・グランデLNG事業、隣接するテキサスLNG事業およびリオ・ブラボー・パイプライン事業が完成した際には、ライフサイクル全体で考えると膨大な温室効果ガス(GHG)の排出をもたらすことも問題視しています。

MUFGとみずほによる関与の概要

地域コミュニティとRANによる正式な苦情や問題提起にもかかわらず、MUFGとみずほはリオ・グランデLNG事業の第1フェーズに続き、第2フェーズのFIDでも重要な役割を担っていました。その他にも、両銀行グループはネクスト・ディケイド社への資金提供やアドバイザーなどのサービス提供を通じて同事業に関与し続けています。

リオ・グランデLNG、第1フェーズ、1〜3号基、2023年(参考
・MUFG:16億4292万米ドル
・みずほ:12億2292万米ドル

リオ・グランデLNG、第2フェーズ準備、2024年(参考
・MUFG:1億9000万米ドル

リオ・グランデLNG、第2フェーズ:4号基 、2025年9月にFID(参考
・MUFG
 - 38億5,000万米ドルのタームローン債権者間代理人(インタークレジター・エージェント)
・みずほ
 - 4号基の担保管理受託者(コラテラル・エージェント)
 - ネクスト・ディケイド社の資本調達アドバイザー

RAN責任ある金融キャンペーナー(日本担当)麻生里衣は「地域の先住民族やコミュニティ代表団との切実な対話の後に発表された、MUFGとみずほによるリオ・グランデLNG拡張事業への資金提供決定の知らせは、両銀行グループの社会や環境へのコミットメントが意味を持たないものであるということを明白にしました。RANはこれまで​長年に​わたり、メガバンクに​対し社会や環境に重大な影響を及ぼす​企業グループについて問題提起を​行ってきました。​しかし、メガバンクによる​このような化石燃料​企業への​資金提供の継続を見れば、メガバンクの社会や環境へのコミットメントがどれほどの意味を持つのか疑問視されます。​銀行によって​繰り返される資金提供が、​これら​企業の​問題ある​事業活動の継続を可能にしています。​そして、​その​代償を​払うことに​なるのは​、現地で生活する​地域コミュニティの​人々なのです」と訴えました。​

RANは、MUFGとみずほに対し、以下の3点を含む対応策の早急な実施を求めます。

  • リオ・グランデLNG、テキサスLNGおよびリオ・ブラボー・パイプライン事業における先住民族の権利侵害をはじめとした負の影響と顧客企業による対応状況の事実確認を行うこと
  • 上記事業による負の影響への救済と是正について、早急にコミュニティ代表団とコンサルテーションを開始し、JaCERに提出された苦情処理を顧客企業とともに進めること
  • 上記事業の顧客による方針の不遵守状況の深刻度を考慮して、これらの事業や顧客への今後の支援を停止すること

脚注

注1)「赤道原則ファクトシート:MUFGとみずほによる赤道原則などの国際規範および自社グル ープ方針不遵守の疑い〜米国リオ・グランデLNGへの資金提供〜」http://japan.ran.org/wp-content/uploads/2026/05/Equator-Principle-fact-sheet_JP_202605.pdf

注2)「MUFG環境・社会ポリシーフレームワーク」https://www.mufg.jp/csr/policy/index.html
みずほフィナンシャル・グループ「環境・社会に配慮した取引に関する取組方針の概要」https://www.mizuho-fg.co.jp/sustainability/business/investment/index.html

注3)MUFGとみずほはIFC環境・社会持続可能性パフォーマンススタンダード( IFCパフォーマンススタンダード)第7項が定める特別な状況として、先住民族が伝統的に領有または慣習的に使用している土地や自然資源に影響がある事業、先住民族のアイデンティティにとって不可欠な重要な文化遺産に著しい影響がある事業などを定めている。
https://www.ifc.org/en/insights-reports/2012/ifc-performance-standards英語)

注4)「FPIC(エフピック)」とは Free, Prior and Informed Consent の略。先住民族と地域コミュニティが所有・利用してきた慣習地に影響を与える開発に対して、事前に十分な情報を得た上で、自由意志によって同意する、または拒否する権利のことをいう。

注5)「ビジネスと人権対話救済機構(JaCER)」ウェブサイト。MUFGとみずほは同機構の会員企業である。
https://jacer-bhr.org/index.html
提出苦情:https://japan.ran.org/wp-admin/upload.php?item=2643

JaCER「苦情処理案件リスト」(2026年5月1日更新)
・案件登録番号:No.036_2024 とNo.035_2024 (受付日 2024年9月26日 )
・ステータス:会員企業(銀行)は「通報者と対話継続中」としているが、地域コミュニティには「対話」といえるような機会は一度も提供されていない。https://jacer-bhr.org/data/media/FY2022-24List20260501JPN.pdf

注6)RANプレスリリース「危険なLNG事業を支援する邦銀に要請、 米メキシコ湾岸の住民代表団が初来日」、2024年10月18日
https://japan.ran.org/?p=2347

団体紹介

レインフォレスト・アクション・ネットーク(RAN)は、米国のサンフランシスコに本部を持つ環境NGOです。1985年の設立以来、環境に配慮した消費行動を通じて、森林保護、先住民族や地域住民の権利擁護、環境保護活動をさまざまな角度から行っています。2005年10月より、日本代表部を設置しています:http://japan.ran.org

本件に関するお問い合わせ先

レインフォレスト・アクション・ネットワーク
東京都渋谷区千駄ヶ谷1-13-11-204、TEL 03-6721-0441
責任ある金融キャンペーナー:麻生里衣 Email: rie.aso@ran.org
日本チームマネジャー:関本幸 Email: yuki.sekimoto@ran.org

別表

▼テキサスLNG、リオ・グランデLNG等の建設予定地を示したマップ。周辺には地域コミュニティ居住地、野生生物保護区およびスペースXのロケット発射拠点施設などがある。

発行物:『生物多様性崩壊をもたらす金融業務』日本語要約版発表(2026/4/28)

米環境NGOレインフォレスト・アクション・ネットワーク(本部サンフランシスコ、以下、RAN)は、4月28日、「森林と金融」連合による年次報告書である『生物多様性崩壊をもたらす金融業務:熱帯林破壊を助長する銀行と投資家の追跡』日本語要約版を発表しました。

本報告書は、大手金融機関が熱帯林地域における森林破壊、生物多様性の損失、気候変動、人権侵害を助長している役割について包括的に分析するものです。世界の熱帯林破壊の大部分を引き起こしている「森林リスク産品」セクターの6品目(牛肉、パーム油、紙パルプ、天然ゴム、大豆、木材)に携わる300社の森林部門事業に対する商業資金の流れを、パリ協定採択後の約10年間において分析しています(2016年1月から2025年7月)。

調査の結果、世界の主要30銀行はパリ協定以降、森林リスク産品に4,290億米ドル以上を投じ、うち720億米ドルは調査の直近18カ月間(2024年1月〜2025年7月)に提供されたことが明らかになりました。本調査報告書における分析は、金融機関による自主的なアプローチが失敗に終わったということを示しています。

日本語要約版では、森林リスク産品セクターにおける日本のメガバンク3行の動向も新たに調査してまとめています(対象期間:2020年1月から2025年7月の約5年間半)。

三菱UFJフィナンシャル・グループ(MUFG)の森林リスク産品セクターへの融資・引受額は、経済協力開発機構(OECD)加盟国の銀行として世界2位、みずほフィナンシャルグループ(みずほ)は世界4位、三井住友フィナンシャルグループ(SMBC)は世界5位であり、これら3行は日本の金融機関による熱帯林リスクセクターへの融資・引受全体のうち、90%を占めていることが明らかになりました。また、日本の金融機関は2024年1月から2025年7月にかけて、深刻な環境破壊や人権侵害との関連が多く指摘されているリスクの高いセクターで事業を展開する企業に対して29億米ドルを提供しています。

「森林と金融」が2023年に実施した方針評価では、銀行の森林リスク産品セクター方針に関するESG(環境・社会・ガバナンス)フレームワークが不十分であることが明らかになっています。中でもMUFGのスコアは10点満点中2.4点で、みずほ(3.8点)やSMBC(3.6点)を下回り、リスク管理および説明責任に深刻な欠陥が際立っています。MUFGは2026年4月、森林・農業セクターの方針を改定しましたが、MUFGの森林リスク産品セクターへの資金提供の大部分を占めるパーム油と紙パルプのサプライチェーンにおける中流事業は追加されませんでした。今後の方針の改善が大いに求められ、みずほとSMBCにおいても、熱帯林の破壊防止において重要な役割を担う中流事業者をNDPE方針のスコープに含めることを、早急に行う必要があります。

特設ウェブサイト:https://forestsandfinance.org/ja/banking-on-biodiversity-collapse-ja/
レポート:https://japan.ran.org/wp-content/uploads/2026/04/BOBC_2025_EXECSUMMARY_vJPN.pdf

「森林と金融」について


「森林と金融」は、レインフォレスト・アクション・ネットワーク、TuK インドネシア、プロフンド(Profundo)、アマゾン・ウォッチ、FoEオランダ(Milieudefensie)、CEDカメルーン、レポーター・ブラジル、オブゼルヴァトリオ・ダ・ミネラソン(Observatório da Mineração)、バンクトラック、サハバット・アラム・マレーシア(国際環境NGO FoE Malaysia)、FoE USから成る、キャンペーン活動や調査を行う団体の連合によるイニシアチブです。私たちは共同で、森林リスク産品セクターに頻繁に見られる環境・社会への負の影響を、金融機関が助長することを防止することを目指しています。この目的を達成するため、金融セクターの透明性向上および政策・制度・規制の改善を推進しています。

共同プレスリリース:LNGの急拡大、新ウェブサイト「ExitLNG」で明らかに(2025/12/2)

リクレイム・ファイナンス、Andy Gheorghiu Consulting、バンクトラック、CEED、Food and Water Watch、FoEフランス、レインフォレスト・アクション・ネットワーク(RAN)、ReCommon、SFOC、StandEarth、ウルゲバルト(Urgewald)

本日2日、新たなマッピング分析プロジェクトが発表され、世界は空前のLNG(液化天然ガス)開発ブームに直面し、世界全体で279件の新規LNG事業が計画されていることが明らかになりました(注1)。世界の銀行の支援を受けたこの動きはガスの拡大を引き起こし、温室効果ガス排出量を数十億トンも増加させることになり、世界的な気候目標達成の望みを打ち砕きます。さらに地域コミュニティの健康と福祉を脅かし、生物多様性にも影響を与えます。新ウェブサイト「ExitLNG(エグジットエルエヌジー)」の設立団体は、関与する銀行に対して支援撤回を強く求めています。

「ExitLNG」ウェブサイトで公開された地図は、279件の新規LNG事業の建設計画を特定し、LNG拡大の影響を受ける国々の範囲を明らかにしています(注2)。本ウェブサイトは、関連企業や融資銀行、コミュニティと生物多様性へのリスクも示しています。

今回の調査分析は、米国がLNGの輸出ブームを牽引していることと、計画されている輸出能力増加の40%に相当する38事業を進めていることも明らかにしています。この要因の一つとして、トランプ米大統領の化石燃料政策が挙げられます。次いで多いのがロシア(同20%、18事業)、カタール(同8%、3事業)です。一方、LNG輸入施設事業が最も多く計画されているのはアジア太平洋地域で、中でも中国が最多で(計画されている輸入能力増加の34%に相当する49事業)、インド(同8%、11事業)、ベトナム(同7%、14事業)が続いています。

国際エネルギー機関(IEA)によると、2025年には新規LNG輸出基地の最終投資決定(FID)が急増し、予想されるガス供給量が増加しました(注3)。これによって新規ガス田開発が促進され(注4)、地球の平均気温上昇を1.5度に抑えるという国際的な目標の達成を脅かすことになります。

全体的に、新規LNG輸出施設は二酸化炭素換算(CO2e)で10ギガトン以上の温室効果ガスを2030年までに排出すると推定されています。これは米国と欧州連合(EU)の年間排出量の合計に匹敵する規模です(注5)。

リクレイム・ファイナンスの石油・ガスキャンペーナー Justine Duclos-Gonda は「世界中で起きている建設ラッシュは、気候と地域コミュニティに被害を及ぼす災害へと私たちを導き、その代償は私たち全員が払うことになります。健康と生計を脅かすこれらの事業に反対する声がますます高まっているのは当然のことです。しかし、こうした懸念にもかかわらず、銀行は社会的・気候的コストを顧みずに、LNG拡大に数十億ドルを注ぎ続けています」と述べています。

最大のLNG輸出基地開発企業は、カタールエナジーと米国ベンチャー・グローバルです(計画中のLNG輸出基地のCO2e排出量の規模で計算)。両社はそれぞれ、2030年までに合計12億トン以上のCO2e排出をもたらすLNG輸出基地事業を計画しています。フランスの石油メジャーであるトタルエナジーズは5位で、2030年までに合計3億トン以上のCO2e排出が見込まれるLNG輸出基地事業を計画しています。

レインフォレスト・アクション・ネットワーク(RAN) LNGキャンペーンマネージャーのルース・ブリーチは「コミュニティは気候変動の影響と壊滅的な経済被害に苦しんでいます。液化ガスは事態を悪化させています。世界は化石燃料の拡大を一切必要としていません。新たなシェールガス田も、パイプラインも、LNGタンカーも、LNG基地も一切不要です。それにもかかわらず、米国政府、化石燃料企業、銀行、保険会社は世界中でガスを推進し、私たちの生涯で最大の化石燃料インフラ建設を引き起こしています」と強調しました。

こうした影響にもかかわらず、世界の銀行はLNG開発企業への資金支援を継続し、2021年から2024年にかけてLNG拡大に1,740億米ドルを投入しています。この資金の4分の3はわずか5カ国(米国、日本、中国、カナダ、フランス)から提供され、三菱UFJフィナンシャル・グループ(MUFG)、みずほフィナンシャルグループ、JPモルガン・チェースの3行がそれぞれ100億米ドル以上を支援しています。

サンタンデール、ING、ソシエテ・ジェネラル、クレディ・アグリコル、グループBPCEなどの欧州系銀行も、LNG拡大の主要な資金提供者として特定されています。

「ExitLNG」を立ち上げた以下の団体は銀行に対し、LNGの影響を認識し、新規LNG事業および新規LNG施設を開発する企業に対する全ての金融サービスを終了させるための包括的な方針を採用するよう強く求めています。

連絡先

Justine Duclos Gonda
Exit Oil & GasCampaigner
justine@reclaimfinance.org
+33781512959

Helen Burley
International press relations
helen@reclaimfinance.org
+447703731923

注1) https://ExitLNG.org
「ExitLNG」は、リクレイム・ファイナンス、 Andy Gheorghiu Consulting、バンクトラック、CEED、 Food and Water Watch、 FoEフランス、レインフォレスト・アクション・ネットワーク(RAN)、 ReCommon、 SFOC、 StandEarth、ウルゲバルト(Urgewald)が共同で立ち上げた新ウェブサイト。

注2) LNG事業とは、LNG基地の輸出入能力を大幅に増加させる大規模インフラを指している。この定義には、新規基地、および既存基地の特定フェーズやトレイン(天然ガスを冷却して液化する設備)が含まれる。各事業には、それぞれ異なる利害関係者、輸出入能力、スケジュール、資金調達方法が存在する可能性がある。LNG事業は「脱石油・ガスリスト(Global Oil & Gas Exit List: GOGEL)2024」のデータに基づき特定されている。

注3) 国際エネルギー機関(IEA)、『Gas 2025』、2025年10月

注4) リクレイム・ファイナンスは、LNG施設に直接関連する46件の短期のガス拡大事業(すなわち、現在はフィールド評価中または開発中のガス事業)を特定した。これらの事業は、石油換算で510億バレル以上のガス資源量を有する。

注5) 米国環境保護庁(EPA)によると、2022年の米国排出量は約6.34Gt CO₂eであった。欧州環境庁によると、2023年のEUの温室効果ガス排出量(土地利用・林業を除く)は約3.1Gt CO₂eであった。

(英語プレスリリース “New mapping project reveals surge in LNG expansion”)

共同プレスリリース:気候変動に関する株主提案決議結果は 企業と投資家のさらなる取り組みの必要性示す(2025/7/4)

Market Forces
FoE Japan
レインフォレスト・アクション・ネットワーク(RAN)
気候ネットワーク

日本国内外の環境団体および個人は今年4月、日本のメガバンク3行(MUFG、SMBC、みずほ)と総合商社(三井物産、三菱商事、住友商事)、中部電力に対して気候変動とガバナンス(監査)に関する株主提案を提出しました。これらの企業は1.5℃目標達成のためネットゼロ目標を掲げているにもかかわらず、その事業内容は1.5℃目標と整合していません。化石燃料への投融資および燃料調達事業への各社による関与が続いている現状を踏まえると、当該企業が極めて重大な気候リスクを抱え続けていることは明らかであり、今後も断固とした気候変動リスクへの実質的な取り組みが必要です。

これまで明らかになっている今年の決議結果からは、多くの投資家が該当企業に対して気候リスクに対する十分な説明責任を求めているとは言えず、私たちは投資家による気候変動リスクへの認識状況に対しても懸念を強めています。金融機関には昨年同様の株主提案が提出されていますが、みずほでは、実質的な改善がみられない中、賛同率が昨年の半分程度になっています。

当該企業に提出された議案と議決結果(一部速報値)は以下の通りです。一部の提案には10%を超える支持が集まるなど、一定の賛同が示されました。しかし、支持率が10%未満に留まる議案もあり、資産運用会社の多くが気候リスクを重視しているかどうか、疑問が残る結果となりました。株主提案は(全て)否決されましたが、提案対象企業に対しては気候変動リスク対応の強化を、機関投資家に対してはスチュワードシップ責任を体現することを求める働きかけを継続して行っていきます。

株主提案の内容と議決権行使結果

賛同率低下の一方で、当該企業の適切なガバナンスと実効性のある取締役会を求めている機関投資家がいることも明らかです。実際、主要な議決権行使助言会社として知られるISSは今年、我々の株主提案を受けた企業のうち1社の7人の取締役候補に反対票を投じるよう勧告しました。さらには、企業による気候リスク管理の実施状況を強力に監視する必要性に賛同し、ガバナンス強化を求める投資家もいます。1兆5,020億米ドル規模の資産を運用する世界有数の投資家である英国最大の資産運用会社のリーガル・アンド・ジェネラル・インベストメント・マネジメント(LGIM)は三菱UFJフィナンシャル・グループ、三井住友フィナンシャル・グループ、みずほフィナンシャル・グループ、中部電力に対して我々が提出した株主提案を支持する意向を事前に表明していました。

気候変動によるリスクを適切に管理できなければ、長期的には企業価値にマイナスの影響が出る可能性があります。三菱商事、三井物産、住友商事の三大総合商社は2.6℃から3.6°Cの壊滅的な気温上昇と整合する事業計画を掲げているという試算(MSCIのデータ準拠)もあり、これはパリ協定で合意された世界の平均気温上昇を1.5℃に抑える目標にも矛盾しています。さらに日本の3メガバンクも、この様な1.5°C目標と整合しない化石燃料の新規・拡張事業の計画を持つ事業者への資金提供を続けています。『化石燃料ファイナンス報告書 2025』によると、2024年、みずほは化石燃料拡大事業者への資金提供額を前年比で16%増加させ、MUFGも3.6%増加させました。

今後も、我々は日本の大手企業による脱炭素への変化と行動を引き続き後押しします。現状、気候変動対応は不十分でですが、過去5年間の働きかけによって、地域社会の懸念を受けたエンゲージメント活動の結果、日本の大手銀行や商社がアジアにおける主要な化石燃料プロジェクトへの関与を取りやめるなど、リスク管理を強化している事例もみられます。例えば、我々は三井物産が2023年10月にバングラデシュ・コックスバザールでのCPGCBL LNG火力発電所プロジェクトから撤退したことを確認しており、これによりプロジェクトのライフサイクル全体で4,400万トンのCO₂排出が回避される見込みです。

よって、機関投資家へは一層の働きかけが必要だと考えています。Market Forcesが日本の主要な機関投資家を対象に行った調査によると、主要な機関投資家5社傘下の資産運用会社は、日本の化石燃料拡大企業8社の取締役選任議案に99%の確率で賛成している結果が明らかとなり、気候変動リスクを適切に管理するためのスチュワードシップが効果的に行われていないことを示唆しています。今年の議決権行使結果を確認しながら、機関投資家に対しては、気候変動対策やリスク管理が不十分である企業に対し、スチュワードシップ責任を果たし、パリ協定に整合した移行計画の策定と実施のための、さらなる効果的なエンゲージメントと自社の気候コミットメントに沿った適切な議決権行使を行うように求めていきたいと考えています。

【提案主コメント】

総合商社・中部電力

「株主提案への支持は限定的だったものの、提案先企業へのメッセージは明確です。日本の商社と中部電力は重大な気候関連リスクに直面しており、投資家はこれに対して断固たる行動を期待しています。私たちは依然として、信頼できる脱炭素化ビジネス戦略の欠如と、事業運営における人権への配慮の不十分さについて、強い懸念を抱いています。私たちは、これからも、企業が効果的なリスク管理と透明性の高いガバナンスメカニズムを備え、信頼できる脱炭素施策の実行と、人権侵害への誠実な行うよう求めていきます。今後も建設的な対話を通じて、これらの企業がグローバルに化石燃料からの移行を進めるよう、協力関係を強化していきます。」
 布川健太郎 | Market Forces

「中部電力は株主総会で石炭火力を「ベースロード電源」と称し、エネルギー安定供給の必要性を繰り返しました。電力の安定供給と脱炭素を両立するために、あらゆるエネルギーを追求すると述べています。しかし、それでは将来世代に大きなツケを残すことになります。排出量の割合が大きな電力会社だからこそ、実現可能なロードマップの策定と化石燃料から再生可能エネルギーへの移行を加速するための対策強化を求めます。」 
鈴木康子|気候ネットワーク

「三井物産は非常に大きな気候変動リスクに晒されていることから、気候変動対策のために残された時間の中で、効果的かつ実行可能なリスク対策を講じることが重要です。情報開示の充実はその第一歩です。特に、ネットゼロを掲げながらも化石燃料分野への依存度が高いという現在の戦略を踏まえると、今回の要請は妥当なものと考えています。引き続き、気候変動対策の強化に向けてエンゲージメントを継続していきたいと考えています。」 
深草亜悠美 | FoE Japan

メバガンク3行

「昨年、投資家から『顧客の移行計画の評価』に関する株主提案に対し、強い支持があったにもかかわらず、3メガバンクは過去1年間有意義な進展を見せませんでした。今年、同様の株主提案への支持が低下したことは、多くの投資家がスチュワードシップ責任を果たさず、投資先のメガバンクにおける気候変動リスク管理を十分に担保できていない状況を示しています。

脱炭素に向けて、科学的根拠に基づいた意義深い行動をとり続けるのか、企業と投資家双方の本気度が改めて問われています。行動をとらないことによる経済と人々への深刻な損害は到底容認できるものではありません。いかなる遅延の猶予はなく、石炭、石油、ガスから再生可能エネルギーへの移行を加速するための対策強化が求められます。」
渡辺 瑛莉 | Market Forces

「今回、新たに監査役についての責任を問う提案を行いました。みずほとMUFGは現地の先住民族が反対する米国テキサス州リオ・グランデLNG事業に資金提供を行っており、自らが採択する国際基準である『赤道原則』に違反しています。また、MUFGは大規模な熱帯林火災に対してインドネシア政府から損害賠償請求を受けているアブラヤシ農園企業を管理下に置く企業にも資金提供を行っています。これらはメガバンクにおけるガバナンスの問題を象徴する一部の例に過ぎません。自社グループにおけるガバナンスの問題について監査が認識していない現在の状態は、内部監査体制が機能していないことの表れです。3メガバンクにおけるリスク管理体制の課題は、2050年ネットゼロという目標を掲げているにもかかわらず、座礁資産リスクのある化石燃料事業を拡大する計画をもつ企業に投融資を続けていることにも表れています。さらに、この様な構造的なガバナンスの問題を見抜くことができていない機関投資家についても懸念があります。機関投資家には、長期的な視点に立った、真に責任ある投資を行うことを求めます」
川上豊幸|レインフォレスト・アクション・ネットワーク(RAN)

「今回、新たに監査役についての責任を問う提案を行いました。SMBCとみずほで、監査委員会の財務リスク監査に係る情報開示を求める提案の方が、もう一方より賛成数がわずかながら高く、MUFGの投票数は2つの提案ともに他の2行よりも少ないものでした。それぞれの結果に違いはあれど、新たな動きを求めている機関投資家が一定数いることを示しています。日本のメガバンク3行は世界の化石燃料関連企業への資金提供を続けており、その金額は世界でも上位にランクしています。国民の預貯金を運用する銀行が化石燃料関連事業に資金を提供し続け、国民の将来の命の安全を脅かす、あるいは快適な環境で生活する権利を損なうことに加担していることに我々株主はもっと声をあげるべきではないでしょうか。そして機関投資家には、より長期的な視点に立ち、未来に向けて責任ある投資を行うことを求めます。」

鈴木康子|気候ネットワーク


お問合せ先

マーケット・フォース(Market Forces)
Antony Balmain E-mail: contact[@]marketforces.org.au

FoE Japan
深草亜悠美 E-mail: fukakusa[@]foejapan.org

気候ネットワーク 東京事務所:TEL:+81-3-3263-9210
鈴木康子 E-mail: suzuki[@]kikonet.org

レインフォレスト・アクション・ネットワーク(RAN)
関本幸 E-mail: yuki.sekimoto[@]ran.org

ブログ:米国リオ・グランデ・バレーの住民代表団が来日〜メガバンクらにLNG事業からの撤退を求めて 自然環境、歴史、人々の生活を破壊する5つのリスク〜(2024/12/10)

RAN「責任ある金融」キャンペーナー 麻生里衣

2024年10月6日から1週間、米国テキサス州リオ・グランデ・バレー地域のコミュニティ代表団が来日し、自然環境の破壊、先住民族の権利侵害、地域住民への健康被害、気候変動の加速など、問題の大きい液化天然ガス(LNG)事業からの撤退を日本の金融機関に求めました。多岐にわたる問題を引き起こすLNG事業。今年8月からRANで活動を始めた麻生里衣が、代表団に同行して見えてきたこの問題をまとめます。

州道48号線から見える自然、テキサス州ブラウンズビル、2017年(写真 ©︎ Joseph Fry)

地元コミュニティの反対運動

米国テキサス州南部のリオ・グランデ・バレーの河口周辺に広がるデルタ地域には、南メキシコ湾岸最後の人工物のない地平線が見られる景観が残っています。しかし現在、この地域ではリオ・グランデLNG輸出基地、テキサスLNG輸出基地、これらの基地に接続予定のリオ・ブラボー・パイプラインの3つのLNG事業が計画されています。第1フェーズの事業資金の調達が完了しているリオ・グランデLNGは、地元コミュニティの強い反対にも関わらず工事を開始し、現在も湿地帯をブルドーザーで掘り起こし、整地作業を進めています。

リオ・グランデLNGの建設現場(写真©︎ Bekah Hinojosa / (SOTXEJN)

これまでの活動の成果

地域住民はこれまで、これらのLNG事業を止めるために様々な活動を展開してきました。その成果が実り、フランスの銀行ソシエテ・ジェネラルラ・バンク・ポスタル、三井住友銀行、スイス登記の米保険会社チャブなどがリオ・グランデLNGから撤退、さらにフランスの銀行BNPパリバもテキサスLNGとの関係を絶ちました。

そして2024年8月6日、地域住民が裁判で勝訴を勝ち取り、活動の大きな追い風となりました! 米国コロンビア特別区控訴裁判所は、連邦エネルギー規制委員会(FERC)によるリオ・グランデ地域のLNG事業許可3件は、地域への環境的・社会的影響を十分に検証していないとして、許可を事実上取り消すという判決を下しました。FERCは今後、新たな補足的環境影響評価書の草案作成とパブリックコメント期間を設け、事業の影響を再評価した上で、新たな事業許可の発行を検討する必要があります。(さらに詳しくはRANのレポートを参照

今回来日したディナ・ヌニェス氏(南テキサス人権センター シニア・オーガナイザー)は、「団結した人々は、決して分断されることはない」と述べ、「私達地域コミュニティの強力な組織化と強い意志を持った人々のおかげで、良い裁判結果を勝ち取ることができました。私達は、たとえ巨大な企業であろうと打ち負かすことができると信じています。次は、日本の企業が良い決断を下すことを求めます」と訴えました。

MUFG本社前で呼びかけを行うヌニェス氏(右)と大学生のアクセル・ゴメス氏(左)(写真©︎ RAN / Masaya Noda)

日本の金融機関と気候変動

そして今回、リオ・グランデ住民代表団はこれらのLNG事業を支援する日本の金融機関に事業からの撤退を求めて日本を訪れました。中でも、三菱UFJフィナンシャル・グループ(MUFG)は、リオ・グランデLNGに約21億米ドルを2023年に融資し、世界最大の資金提供者となっています。また、みずほフィナンシャル・グループ(みずほ)も約11億米ドルの融資を行っていることが明らかになっています(参考「化石燃料ファイナンス報告書」日本語抜粋版) 。

代表団に同行したRANのルース・ブリーチ(気候変動&エネルギー担当 シニア・キャンペーナー)は、「日本の銀行は米国メキシコ湾岸におけるLNG事業拡大において、非常に重要な役割を担っています。世界のどの銀行を見ても、みずほ銀行と三菱UFJ銀行以外に、南メキシコ湾岸のLNG事業全てに資金提供を行なっている銀行はありません」と述べています。

都内の日本外国特派員協会(FCCJ)での会見にて日本の金融機関の関与について説明するルース・ブリーチ(写真©︎ RAN / Masaya Noda)

日本のメガバンクは、化石燃料事業に対して世界最大規模の資金提供を行ない、気候変動対策の流れと逆行しています。2023年のみずほの提供額(融資・引受)は世界第2位(約370億米ドル)、MUFGは世界第4位(約332億米ドル)でした。

「化石燃料ファイナンス 2023年のワースト12銀行」(化石燃料全部門への融資・引受額、2023年単年、単位:BILLION =十億ドル)

また、RANが米国の情報自由法(FOIA)で開示請求をして得た情報をもとに作成した報告書『リスク・エクスポージャー』により、SOMPOホールディングスがリオ・グランデLNGに損害保険を提供していることもわかりました。損害保険会社は化石燃料事業に不可欠な保険を提供することにより、気候変動の悪化を助長していることが問題視されています(詳しくはこちらのサイトを参照)。SOMPOホールディングスは、先住民族の権利保護に関する方針や人権デューディリジェンス・プロセスを導入していなく、早急に方針の強化が求められます。

5つのLNG事業の問題点

リオ・グランデ・バレー地域におけるLNG3事業の大きな問題点として、1)気候変動の加速、2)地域住民への健康被害、3)希少種の生息地の破壊、4)小規模産業への悪影響、5)先住民族の権利侵害があげられます。

 

 1) 気候変動の加速

LNGは、温室効果ガス(GHG)の排出量が低い『移行燃料』であるという認識が一部で存在しますが、LNGのおよそ90%以上が二酸化炭素の80倍以上の温室効果をもたらすメタンで構成されています。採掘や輸送におけるメタンの漏洩により、LNGは石炭と同等またはそれ以上に気候変動を悪化させると考えられています。ライフサイクル全体での排出を考慮すれば、リオ・グランデLNGからの年間GHG排出量は石炭火力発電43基分、テキサスLNGからは石炭火力発電7基分合計50基分にも相当するGHGが排出されると考えられているのです。

採掘地におけるフラッキング(水圧破砕法)による水質・大気汚染、地域住民の健康被害などの影響も深刻です。また、リオ・グランデLNGの事業者であるネクストディケイド社は裁判結果を受けて、唯一の気候変動対策であった炭素回収・貯留(CCS)事業についても、現時点では十分に開発が進んでいないとして申請を取り下げました。以上のことから、LNGを「移行燃料」と考えることは非常に危険であり、LNG事業の拡大はパリ協定の1.5度目標と整合しません。

 

 2) 地域住民への健康被害と「環境レイシズム」

米国メキシコ湾岸は国内で最も多くのLNG事業が乱立し、地域住民に犠牲を強いる犠牲地帯」と呼ばれています。これらの事業は、何千トンもの発がん性の有害汚染物質を周辺に撒き散らすと予想され、周辺住民への深刻な健康被害が懸念されています。(詳しくはFoEジャパンのブログを参照)このように米国全体の電力をまかなうために、有色人種や低所得者層、先住民族など社会的に弱い立場の人々が多い米国メキシコ湾岸のコミュニティに対して、公害などの環境問題を押し付けている様子は環境レイシズム(人種差別)」と批判されています。

ベッカ・ヒノホサ氏南テキサス環境正義ネットワーク共同創立者)は、MUFGの本社前で、雨の中以下の様に訴えました。「MUFGはリオ・グランデLNGから撤退すべきです。なぜなら、明らかに私たちの地域社会は、この事業を望んでいないからです。私たちのコミュニティに押し付けられたもので、環境レイシズムです。そしてこの事業は、先住民族の神聖な土地や聖地を破壊し、既にブルドーザーでそういった土地を踏み潰しています。ですから、私たちはここにいます。MUFG、私たちが引き下がることはありません。これからもこの事業に反対していきます」。

MUFG本社前でスピーチを行うヒノホサ氏(写真©︎ RAN / Masaya Noda)

 3) 希少種の生息地の破壊

リオ・グランデ・デルタの湿地帯は、絶滅が危惧される猫科のオセロットノーザン・アプロマド・ファルコン、海にはケンプヒメウミガメやライスクジラなどの希少な生き物の最後のすみかとなっています。LNG施設が建設されれば、直接的な生息地の破壊と騒音や公害、汚染物質、タンカー船の往来などの影響により、複数の絶滅危惧種に恒久的かつ重大な」影響を与える可能性が指摘されています。

 

 4) 地域の小規模産業への悪影響

周辺地域の人々は豊かな自然の恩恵を受けて、主にエビ漁などの漁業やイルカウォッチなどのエコツアーで生計を立てています。これらのLNG施設は、地域経済にとって重要なこれらの小規模産業に悪影響を与える可能性があります。

 

 5) 先住民族の権利侵害

先住民族の権利侵害も深刻な問題です。リオ・グランデ・バレー地域の先住民族であるカリゾ・コメクルド族(彼らの言語ではエシュトク・グナ族と呼ぶ)は、数千年前から周辺で狩猟・採集・農業などを行い生活していました。リオ・グランデLNGの計画地の下には村の遺跡や貝塚などの歴史遺産、テキサスLNGの地下には『ガルシア牧地』と呼ばれる聖地が眠り、彼らはリオ・ブラボー・パイプラインの建設予定地の数エーカーを直接所有し、絶滅が危惧されるミツバチの養蜂を行っています。カリゾ・コメクルド族はこれらのLNG事業に強く反対していて、事業者は彼らと協議もしていません。

10月7日に行われた会見でカリゾ・コメクルド族チェアマンのフアン・マンスィアス氏は、先住民族の歴史と現状を説明し、テキサスにおける先住民族排除の歴史が現在のLNG事業の問題へとつながっていると語りました。「500年前、私達の民族はこの川沿いにやってきた人々によって侵略されました。かつて私達の民族は、このリオ・グランデ・デルタの美しい水の中で魚をとり生活していました。私達にとってリオ・グランデ川は最初の女性が生まれた場所であり、河口のデルタ地帯には確認されているだけでも32の集落があり、ガルシア牧地と呼ばれる聖地がありました。しかし現在、ガルシア牧地はワールド・モニュメント財団により『危機に瀕している歴史サイト』に認定されています。(LNG建設予定地のすぐ横を通る)運河の建設のために掘り起こされた土の中から、骨が見つかりました。それは私達一族のものです。私の中には彼らと同じ血が流れているのです。かつて声をあげることができなかった彼らの声を代弁することが、重要だと思います」

記者会見で民族の歴史とLNG事業の懸念を語るマンスィアス氏(写真©︎ RAN / Masaya Noda)

 

西洋の入植者による先住民族の排除の歴史により、この地域では自分に先住民族の血が流れていることさえも知らされていない人も多く、カリゾ・コメクルド族の米国政府による認定に時間がかる現状があります。LNG事業者はこの状況を逆手に取り、カリゾ・コメクルド族の同意は不要として事業を進めています(より詳しくはこちらの英語記事を参照)。

問われる銀行の環境・人権への対応

国際連合が推奨する先住民族の権利保護のための「自由意思による、事前の、十分な情報に基づく同意(FPIC)」は、土地や資源開発を行う事業において、影響を受ける可能性のある先住民族に対し、事業に関する十分な情報開示を事前に行なった上で、賛成または反対の立場をとる事ができる様にすることを求める国際的な原則です。

FPICによると、先住民族の権利は国の認定に関わらず保証されるべきであり、MUFG、みずほ、SOMPOホールディングスは、グローバル企業としてこのような国際的な基準の遵守が求められます。事業に必要な資金を調達するための手法であるプロジェクトファイナンスの際に配慮すべき環境的・社会的影響の国際的な指針である赤道原則(エクエーター原則)においても、同様の基準が採用されています。MUFGおよびみずほは、赤道原則の遵守を誓約しているにも関わらず、リオ・グランデLNGのように先住民族の権利侵害が疑われる事業者への資金提供が以前から報告されていて、企業が事業活動において人権への影響を予測・評価・管理・改善するためのプロセスである人権デューデリジェンスの実効性が疑われます

RANでは引き続き、日本のメガバンクにリオ・グランデ・バレーの3つのLNG事業からの撤退と、人権方針の遵守と人権デューデリジェンスの確実な実行を求める活動を行っていきます。

会見にてリオ・グランデLNGの工事中止を求める代表団(写真©︎ RAN / Masaya Noda)

 

署名に参加して、三菱UFJ銀行にLNG事業からの撤退を求めよう!

→ この記事をSNSで拡散して、リオ・グランデの問題を広めよう!

日本外国特派員協会における記者会見の様子はこちら(英語動画)

 

RAN「責任ある金融」キャンペーナー 麻生里衣