サンフランシスコに本部を持つ米国の環境NGO RAINFOREST ACTION NETWORKの日本代表部です

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NGO共同プレスリリース:MUFG株主提案、23%の支持を獲得(速報値)(2021/6/29)

~株主のプレッシャーがMUFGの気候対策を動かす~

MUFG株主総会に気候変動株主提案を提出した気候ネットワークと個人株主 ©︎RAN

気候ネットワークおよび3人の個人株主が三菱UFJフィナンシャル・グループ(MUFG)に対して提出した株主提案は、可決に必要な3分の2の株主の支持を得ることはできませんでしたが、株主らがMUFGに対し、気候変動に対する明確な警告を示し、投資家による圧力の影響を今一度指し示す結果となりました。速報値では23%の株主の賛成が得られました。

本日のMUFGの株主総会の議案の一つとして採決された株主提案は、気候ネットワークおよびマーケット・フォース、レインフォレスト・アクション・ネットワーク、350.org Japanの3人の個人株主による共同提案であり、パリ協定の目標に整合させるために必要な指標と目標を備えた計画を決定し、開示することを求めたものです。

本株主提案は、Federated Hermes EOSを含む、資産運用総額で数兆ドルに及ぶ機関投資家からの支持を得たことに留まらず、MUFGが2050年までの投融資ポートフォリオの温室効果ガス排出量のネットゼロを約束する「MUFGカーボンニュートラル宣言」の発表につながる動きを後押ししました。

国際的な大手議決権行使助言会社であるインスティテューショナル・シェアホルダー・サービシーズ(ISS)は、株主総会に向けた助言の中で、「銀行の動きは外部からのプレッシャーと無関係ではないように見えることは指摘しておきたい。MUFGは、気候ネットワークが今年3月に株主提案を提出した後に、カーボンニュートラル宣言を発表しており、グループからのプレッシャーがこの動きを後押ししたと考えられる。このことは、気候ネットワークのMUFGに対する働きかけ(エンゲージメント)が既に実を結んでいることを示していると言えるだろう」と述べています。

 気候ネットワークの国際ディレクター平田仁子は、「大手議決権行使助言会社が会社提案を支持したにもかかわらず、4分の1に迫る23%の株主が私たちの提案を支持したことは大変心強い結果です。投資家が、今のMUFGの方針ではまだ不十分であることを突きつける結果になったたと考えます。今日の議決権行使は、経営者をさらに追及するものであり、MUFGに対するプレッシャーは今後一層高まると考えています。」

 「また、気候危機の物理的・経済的影響は明らかであり、投資家は、MUFGに対し、さらに迅速に大胆に行動することの必要性を求めていくことになるでしょう」と述べています。

MUFG株主総会会場前で株主提案について説明する気候ネットワーク国際ディレクター 平田仁子氏 ©︎Taishi Takahashi

アジアの主要銀行で化石燃料に最多の額を提供しているMUFGの現状を踏まえると、提案者は5月17日に発表されたネットゼロ宣言を歓迎しながらも、MUFGが以下のような欠陥を残していると考えます。

  • ●パリ協定と整合するために必要な短期・中期の目標が定められておらず、「2030年の中間目標は2022年度に設定・公表する」と表明するに留まっている。すべての投融資に伴う排出量の測定および開示を行うとの明確なコミットがなされていない(スコープ3)。
  • ●第26回 国連気候変動枠組み条約締約国会議(COP26)議長の最近の要求に反して、石炭に対するファイナンスのフェーズアウト(段階的廃止)目標を定めていない。
  • ●石油・ガスの事業の拡大、または森林と泥炭地の破壊といった非常に炭素集約度の高い事業に対するファイナンスを止めるという包括的なコミットメントは出されていない。

350.org Japan 代表の横山隆美は、「MUFGが新しい方針を公表したことにより、一部の株主にとっては、銀行が正しい方向に進んでいることが一時的には保障されたわけですが、本日の投票は大きな不満と懸念を残すものとなりました。私たちの議案が否決されたとはいえ、相当数の賛成票があった訳であり、コーポレート・ガバナンス・コードが示す通り、MUFGは株主の賛成の理由や多くの票が集まったことの分析を行い、株主との対話をさらに深めることが必要です」と述べています。

レインフォレスト・アクション・ネットワーク(RAN)日本代表の川上豊幸は「MUFGは化石燃料への資金提供で世界6位の銀行であり、森林破壊をもたらす産品への資金提供でもトップ銀行の一つです。そのことを考えれば、現在の約束では自社の投融資による膨大な炭素排出への影響力に対して適切に対処ができていません。この株主の賛同への動きをMUFGは真摯に受け止めて、迅速に対処することが必要です」 と指摘しています。

マーケット・フォースのエネルギーキャンペーン担当である福澤恵は、「世界は急速にクリーンエネルギーへと移行していますが、MUFGは過去にこだわり続けています」「投資家にはプレッシャーをかけ続ける責任があり、MUFGが言葉だけでなく真の行動へと確実に移行するために、今後も引き続き厳しい目を向けていくことが重要です」と述べました 。

MUFG株主総会後の記者会見 ©︎350 Japan
MUFG株主総会会場前でのアピール行動 ©︎ Taishi Takahashi
MUFG株主総会会場前でのアピール行動に参加した若者たち ©︎ Taishi Takahashi
MUFG株主総会会場前でのアピール行動に参加した若者たち ©︎ Taishi Takahashi

株主総会前アクション・記者会見の写真はこちら

参考:NGO共同プレスリリース「三菱UFJフィナンシャル・グループ(MUFG)へ気候変動に関する株主提案を提出〜昨年のみずほFGに続く日本での株主アクション〜」(2021/3/29)

英語のプレスリリース:“Shareholders send MUFG a stark climate warning”

レインフォレスト・アクション・ネットーク(RAN)は、米国のサンフランシスコに本部を持つ環境NGOです。1985年の設立以来、環境に配慮した消費行動を通じて、森林保護、先住民族や地域住民の権利擁護、環境保護活動をさまざまな角度から行っています。2005年10月より、日本代表部を設置しています。

気候ネットワーク 平田仁子 E-mail: khirata@kikonet.org
マーケット・フォース 福澤恵 E-mail: megu.fukuzawa@marketforces.org.au
レインフォレスト・アクション・ネットワーク(RAN) 関本幸 E-mail: yuki.sekimoto@ran.org
350.org Japan 渡辺瑛莉 E-mail: eri.watanabe@350.org

NGO共同プレスリリース:三菱UFJ株主総会を前に世界同時アクション実施(2021/6/23)

〜気候変動を悪化させる投融資の中止を求め〜

2021年6月23日
国際環境NGO 350.org Japan
レインフォレスト・アクション・ネットワーク(RAN)
Oil Change International
Asian Peoples’ Movement on Debt and Development (APMDD)
BankTrack

東京ー6月17日〜22日まで、化石燃料部門や森林破壊など気候危機への資金提供でアジア最大の銀行である三菱UFJフィナンシャル・グループ(MUFG)に対して、化石燃料、森林破壊や人権侵害への支援をやめるように求める世界一斉アクションが、東京のMUFG本店、およびマニラ、ジャカルタ、ニューヨーク、アムステルダム、バルセロナ、ブラジルなど各国のグローバル拠点で行われました。アクションはMUFG年次株主総会の1週間前に行われました。株主総会では、同行に対する史上初の気候変動株主提案に対して、投資家が投票を行います。

活動家たちは、MUFGがパリ気候協定の採択以降、アジアで最大の化石燃料への資金提供者であり、世界中で石炭、石油、ガスの拡大に資金を提供し続けていると訴えました。MUFGが関与するプロジェクトとして特に注目を集めたのは、物議を醸しているライン3タールサンドパイプライン東アフリカ原油パイプライン(EACOP)、およびアジアにおける石炭火力発電事業でした。活動家たちはまた、MUFGとインドネシアの子会社であるバンクダナモンが、同国において熱帯林の破壊、石炭採掘、人権侵害に資金提供を行なっていると非難しました。

オフラインのアクションに加え、SNS上でのアクションも行われ「#気候変動への支援をやめてください」「#EndFossilFinance」「#DefundDeforestation」などのハッシュタグとともにツイッター、フェイスブック、インスタグラムなどで投稿が行われました。ニューヨーク市では、森林と人権に対するより強化された行動を要求する約20,000筆の署名が提出されました。また、MUFGに対し、30を超える国・地域の143団体は、化石燃料への投融資のフェーズアウト(段階的撤退)などを求める署名を提出しました。

アクションの写真やビデオはこちらからご覧いただけます。(日付、撮影場所、撮影者の名前を記載)

各国参加者からのコメント:

<東京>

350 Japanボランティアによるローカルグループで、石炭火力発電所の問題に特化したキャンペーンを展開する、350 New Enerationの山崎鮎美は「残念ながら日本の銀行が、アジアや世界レベルで見ても、化石燃料産業への支援に大きく加担してしまっていることは、日本では積極的に情報をとりにいかない限り、その恐ろしい事実を感じることができません。MUFGさんの公式サイトやSNSはクリーンなイメージで、一見、気候危機と何も関係がないように見えます。だからこそ、私たちはずっと声を上げ続けなければいけないと思います。#気候変動への支援をやめてください」と訴えました。

<サンフランシスコ、ニューヨーク>

レインフォレスト・アクション・ネットワーク(RAN)のハナ・ハイネケンは「MUFGは、熱帯林や泥炭地の破壊、ライン3パイプラインのような化石燃料の拡張プロジェクトに対して無謀な資金提供を続けながら、漠然とした2050年ネットゼロを公約することによって、気候破壊的な資金提供をグリーンウォッシュしようとしています。私たちはもうこんなことは懲り懲りだと伝えるために、ここにやってきました。真の気候変動対策は今すぐ始める必要があります」と訴えました。

<マニラ>

Asian Peoples’ Movement on Debt and Development (APMDD)のコーディネーターのリディ・ナクピルは「MUFGの環境ポリシーの例外規定、特にCCUS、混焼などの技術を用いる石炭火力へのファイナンスに対して、私たちは警鐘を鳴らします。これらの技術を装備した場合でも、石炭火力発電所からの温室効果ガス排出量は、人々や地球が許容できないレベルに達します。株主総会を控えた今、気候危機の緊急性に鑑みて、MUFGに例外なく石炭火力へのファイナンスを停止し、アジアにおけるガスおよび石油プロジェクトへの関与を段階的に廃止するよう要請します」とコメントしました。

Asian Energy Networkのコーディネーターであるスザンヌ・タグルは、「MUFGは、アジアだけでなく世界中で、化石燃料プロジェクトのトップの資金提供者であり続けています。これが、アジアの「ダーティ・カンパニー」の1つとして特定した理由です。MUFGの政策は、パリ協定の目標を達成するために必要な野心と緊急性を欠いています」とコメントしました。

<ジャカルタ> 

インドネシアの若者コミュニティであるFossil Free Universitas Indonesiaに所属する大学生のナイファ・ウズラは、「私たちはNoCoal Japanと連帯し、MUFGが地球と私たちの世代の未来を破壊している石炭とパーム油への資金提供を終了することを求めています。汚染企業への資金の流れを遮断することで、私たちの国および世界の気候災害を悪化させるプロジェクトを阻止できることを願っています」と述べました。

MUFGとインドネシア子会社のバンクダナモン、インドネシア金融庁(OJK)に対する請願を始めたTuKインドネシアの事務局長エディ・ストリスノは、「MUFGがインドネシアにダブル・スタンダードを適用し、同社の子会社が世界の他の地域よりも低い基準を用いて、気候を破壊する企業を支援することを許可していることは恥ずべきことです。投資家は株主総会で、『MUFGの長期的なコミットメントは、熱帯林の破壊、森林火災、人権侵害への資金提供を停止するための早急な対策とは代替できない』という明確なメッセージを送るべきです」とコメントしました。

<アムステルダム、バルセロナ>

アムステルダムでの行動に参加したBanktrackヘンリケ・ブティジンは次のように述べています。「MUFGのネットゼロの発表と責任銀行原則へのコミットメントは、銀行が新しい化石燃料プロジェクトや東アフリカ原油パイプライン(EACOP)のような人権に深刻な影響を与えるプロジェクトを除外しない限り、空虚な約束のままです。EACOPのパイプラインは、地域社会に広範な悪影響を及ぼし、野生生物や水源を脅かし、新たな炭素排出源となるでしょう。だからこそ、MUFGにEACOPへの融資を公に除外するよう呼びかけているのです。」

本件に関するお問い合わせ

350.org Japan  担当:渡辺瑛莉  japan[@]350.org

RAN  担当: 関本幸 yuki.sekimoto[@]ran.org

NGO共同声明:MUFG、邦銀初の2050年カーボンニュートラル宣言発表を受けて(2021/5/18)

パリ協定と整合的な具体策は示さず、株主提案は継続へ

特定非営利活動法人 気候ネットワーク
マーケット・フォース
レインフォレスト・アクション・ネットワーク(RAN)
国際環境NGO 350.org Japan

環境NGO4団体は本日18日、三菱UFJフィナンシャル・グループ(以下、MUFG)が17日に「MUFG カーボンニュートラル宣言」(注1)を公表し、2050 年までに投融資ポートフォリオの温室効果ガス排出量をネットゼロにすることなどを発表したことを受け、以下の声明を発表しました。

写真:気候ネットワークと個人株主3名がMUFGに株主提案を提出、2021年3月、東京

今般のMUFGの発表は先月のポリシー改定に続き、3月に気候ネットワークおよび他環境NGO3団体に所属する個人株主3名(以下、共同提案者)が、MUFGに対してパリ協定の目標に沿った投融資を行うための計画を決定・開示することを求めた株主提案を提出した後に発表されました。

環境NGO4団体は、MUFGによるパリ協定の目標に向けた方針強化を一定の前進と受け止め、歓迎します。

しかし、本方針では株主提案が要求する具体的な指標や短・中期目標が示されず、なおパリ協定との整合性が取れていると判断することはできません。共同提案者はMUFGへの株主提案を継続することとし、引き続きMUFGへのさらなる行動強化を求めていく予定です。

以下は、各目標およびセクター別方針における主な課題点です。

短・中期の目標の設定は先送りに
MUFGは邦銀として初めて、2050年にファイナンスによる排出量をネットゼロにするカーボンニュートラル目標を公表し、同目標を掲げる国際的イニシアティブのNet-Zero Banking Alliance(NZBA、注2)への加盟を発表しました。2050年ネットゼロは気温上昇を1.5度に抑えるために必要な長期目標であり、日本政府が掲げた目標でもあります。気候危機を加速する化石燃料へ資金提供を行うアジアのトップ銀行(注3)であるMUFGがネットゼロにコミットしたことは歓迎されます。しかし、短・中期の目標を設定することなしに、「2030年の中間目標は2022年度に設定・公表する」と表明することに留まっています。気候変動の緊急性、並びに、1.5度目標達成のためには2030年までの排出量半減が必要という科学的コンセンサスを鑑みれば、MUFGが短・中期の目標を今回掲げなかったことにより、パリ協定の整合性を確認することができないままであることは懸念されます。また、目標の達成のためには、全ての投融資ポートフォリオのGHG排出量(Scope3)の計測・公表が必要ですが、MUFGはこの点をより明確にするべきです。

石炭火力発電からのフェーズアウト目標
MUFGは昨年度、2040年度に石炭火力発電向けプロジェクトファイナンス残高をゼロにする削減目標を掲げましたが、今後、「事業に占める石炭火力発電の比率が高いお客さま向けコーポレート与信の残高目標を開示する方針」を明らかにしました。プロジェクトファイナンスのみならず、コーポレートファイナンスに踏み込む削減目標の開示方針を明らかにしたことは前進ですが、1.5度目標達成のために、2030年にOECD諸国で、2040年に世界全体で石炭火力発電所の全廃が必要とされる中で、MUFGが石炭火力発電の全廃にコミットしなかったことは科学に反するだけでなく、COP26議長国によって表明された要請とも反します。

石油・ガスセクター、森林関連セクターは進展なし
先月のポリシーフレームワークの改定時と同様に、本発表でも炭素集約的な石油・ガスセクターの拡大および森林・泥炭地破壊を止める包括的なコミットメントが示されませんでした。パリ協定の目標に整合するには、これらのセクターの新規開発・拡張および自然生態系の劣化を加速する余地はありません。MUFGが、化石燃料への資金提供者として世界第6位の銀行であり、森林破壊を伴う産品への世界最大の資金提供者に数えられることに鑑みれば、最近のコミットメントをもってしても、投融資ポートフォリオからの過大な炭素集約度を管理することができているとは言えません。

株主からのコメント

気候ネットワークの国際ディレクターの平田仁子は、「2050年ネットゼロのゴールを明確にし国際的な連盟に参加したことは、大きな一歩です。しかし、そこに向けて、投融資を通じた石炭火力からの排出削減やコーポレートファイナンスの脱炭素化を短中期にいかに着実に実現するのかの具体的な指標と目標は定まっていません。パリ協定の整合性を図るためにはさらなる方針強化とその加速が必要です」と述べました。

国際環境NGO 350.org Japan代表である横山隆美は、「MUFGが2050年までに投融資ポートフォリオの温室効果ガス(GHG)排出量のネットゼロを宣言したことは邦銀初の試みであり、一定の前進です。しかし、1.5度目標との整合性に必要な短・中期目標を設定しなかったことは大きな懸念です。気候危機の解決に寄与するためには、新規の化石燃料への投融資を直ちに止め、石炭火力を筆頭に科学の要請に沿った化石燃料の包括的なフェーズアウト戦略を早急に構築すべきです」と指摘しました。

レインフォレスト・アクション・ネットワーク(RAN)日本代表である川上豊幸は、「MUFGの『ネットゼロ宣言』は、自社が多大な二酸化炭素の排出源であると認識しているという点で重要です。しかしネットゼロの約束は、化石燃料の拡大と森林破壊への資金提供をすぐに停止しなければ意味がなく、問題の多いカーボンオフセットへの依存も容認できません。また、MUFGの方針は炭素集約型産業への重要な資金提供銀行となっているインドネシアの子会社には適用されていない点も大きな懸念です」と強調しました。

マーケット・フォース(Market Forces)エネルギーキャンペーン担当である福澤恵は、「MUFGは『カーボンニュートラル宣言』によって気候変動へ真剣に取り組んでいることを投資家向けにアピールしたつもりかも知れませんが、十分なアピールになっていません。改定されたポリシーを持ってしても化石燃料や石炭火力発電事業者へ投融資を継続できます。MUFGは深刻さと緊急性を増す気候危機問題の表面を取り繕っているに過ぎず、解決にはほとんど貢献しません」と述べました。

注1)三菱 UFJ フィナンシャル・グループ「『MUFG カーボンニュートラル宣言』について」2021年5月17日
注2)国連環境計画金融イニシアチブ(UNEP FI)「Net-Zero Banking Alliance(NZBA)」
注3)RANプレスリリース「RAN他『化石燃料ファイナンス成績表2021』発表〜世界60銀行、パリ協定後も化石燃料に3.8兆ドルを資金提供〜」2021年3月24日

本件に関するお問い合わせ
気候ネットワーク 平田仁子 khirata@kikonet.org
マーケット・フォース 福澤恵 meg.fukuzawa@marketforces.org.au
レインフォレスト・アクション・ネットワーク(RAN) 関本幸 yuki.sekimoto@ran.org
国際環境NGO 350.org Japan 渡辺瑛莉 japan@350.org

英語の声明はこちらから:
“MUFG Commits to Carbon Neutrality by 2050 but Punts Detailed Plan on Paris Alignment – Shareholders Will Not Withdraw Climate Resolution”

NGO共同声明:みずほ、石炭採掘・化石燃料コーポレートファイナンスなどで進展するもパリ協定の目標達成の水準にはなお及ばず(2021/5/14)

昨日13日、みずほフィナンシャルグループ(以下、みずほ)が「サステナビリティアクションの強化について」を発表し(注1)、パリ協定の目標と整合するポートフォリオへの転換、化石燃料企業の移行リスクへの対応強化、新規炭鉱採掘への投融資禁止などの方針を明らかにしました。みずほのポリシー改定は、いくつかの点で他のメガバンクよりも前進しており、脱炭素化に向けた方針強化を歓迎します。一方で、現時点でそこに届かない点もあります。今改定をもってしてもパリ協定と整合的であると判断することは難しく、気候危機の緊急性を踏まえて、より具体的な目標や指標、ロードマップの早急な策定が求められます。

みずほ株主総会会場前での環境NGOアクション、2020年6月25日、東京

石炭採掘(一般炭)セクター方針の改定
今般、「新規の炭鉱採掘(一般炭)を資金使途とする投融資等は行わない」としたことは他の邦銀に先駆けた方針強化として歓迎します。一方で、「既存の炭鉱採掘(一般炭)を資金使途とする案件については、パリ協定と整合的な方針を表明している国のエネルギー安定供給に資する案件に限り、慎重に検討の上、対応する可能性あり」と例外を残したことは不十分です。

石炭火力セクター方針は抜け穴残す
石炭火力発電所の投融資等停止の例外として「当該国のエネルギー安定供給に必要不可欠、且つ、リプレースメント案件は慎重に検討」「革新的、クリーンで効率的な次世代技術の発展」等の規定を残したことは問題です。現在実用化されていないCCUSやアンモニア・水素混焼等は、2030年までの排出削減にほとんど寄与せず、石炭火力を延命させるものになりかねず、パリ協定1.5度目標に必要な中期目標と整合しません。OECD諸国では2030年までに、世界全体では2040年までに石炭火力発電所を全廃するための具体的なロードマップを描くべきです。

化石燃料企業の移行リスクをセクター方針に追加
「石炭火力発電、石油火力発電、ガス火力発電、石炭鉱業および石油・ガスを主たる事業とする企業は、脱炭素社会に向けた移行が適切になされない場合、移行リスクに晒される可能性があり」「〈みずほ〉は、気候変動に伴う移行リスクへの対応が進展するよう、取引先とエンゲージメントを行い、一定期間を経過しても、移行リスクへの対応に進捗がない取引先への投融資等は、慎重に取引判断を行います」と発表したことについては、今回初めて化石燃料に依存する企業に対するコーポレートファイナンスに踏み込んで対応しようとする姿勢がみられます。ただし、その具体性には欠けています。エンゲージメントの実効性を担保するためにも、パリ協定と整合的な目標・指標を含む具体的なロードマップを示す必要があります。

パリ協定の目標と整合するポートフォリオ
「環境方針」の改定として、「パリ協定における世界全体の平均気温上昇を抑制する目標達成に向けた資金の流れをつくり、 同目標に整合したファイナンスポートフォリオへと段階的に転換を図っていきます」と明確化したことは歓迎されます。一方で、1.5度目標に整合するには(注2)、石炭火力向け与信残高削減目標をコーポレートファイナンスへ適用拡大、より早期の実現、石油・ガスおよび森林関連セクターへ拡大することが求められます。今回、北極圏での石油・ガス採掘事業、オイルサンド、シェールオイル・ガス事業を明記しましたが、環境・社会リスク評価の実施に留まり、パリ協定の整合性に必要な具体的禁止事項が示されるべきです。
また、SMBCグループが投融資ポートフォリオのGHG排出量把握(Scope3)にコミットしたことは重要であり、みずほも続くべきです。

大規模農園(大豆等)セクター、パームオイルセクター
パーム油および木材・紙パルプセクターの顧客企業に限定されていた「森林破壊ゼロ、泥炭地開発ゼロ、搾取ゼロ」(NDPE)等の環境・人権方針の策定や、「自由意思による、事前の、十分な情報に基づく同意」(FPIC、注3)の尊重が、大規模農園(大豆等)セクターにも拡大された点は歓迎します。一方パーム油セクターでは、顧客農園企業に全農園での「持続可能なパーム油のための円卓会議」(RSPO)認証取得を求めるものの、取得予定のない企業との取引も「同水準の対応」であれば可能とし、抜け穴になる可能性があります。方針は顧客の独立系サプライヤーやパーム油購入企業には適用されないため、人権侵害や環境破壊への加担を避けることは困難です。そしてNDPE方針の策定やFPICの尊重を求めるだけでなく、遵守状況の確認も求められます。さらに農園開発時の火入れの禁止を明記しなかったことは気候対策面から大きな失敗です。

<各団体からのコメント>
国際環境NGO 350.org Japanキャンペーナーの渡辺瑛莉は「今般のみずほの方針は、石炭採掘の新規投融資停止など、邦銀の中では最も先進的だと言えますが、世界の主要銀行と比べると低い水準に留まっています。パリ協定と整合的なポートフォリオへ転換、化石燃料企業と移行リスクエンゲージメント強化などは具体的な中期目標や指標の設定・公表、化石燃料セクターからのフェーズアウト方針などがなければ、実効性あるポリシーとは見なされません。今後のさらなる方針強化に期待します」と述べました。

気候ネットワークの国際ディレクターの平田仁子は、「昨年、私たちの株主提案は否決されましたが、提案していたパリ協定との整合性を図ることに向けて方針を強化し、コーポレートファイナンスにも踏み込んで対応しようとする姿勢は重要な進展だと考えます。しかしその具体的目標設定に至らなかったこと、石炭火力の延命の可能性を残していることなど、対応はまだ不十分であり、更なる強化が必要です」と指摘しました。

レインフォレスト・アクション・ネットワーク「責任ある金融」シニアキャンペーナーのハナ・ハイネケンは、「投融資先企業との対話を通じてパリ協定と整合する事業を促す意図は評価できますが、気候危機を回避するためには化石燃料の拡大、森林破壊、泥炭地の破壊などを直ちにやめなければいけません。化石燃料及び森林破壊を起こす産品産業への資金提供者として世界トップ10に入るみずほは、現在のポートフォリオを大胆に変えることが必須です」と指摘しました。

注1)みずほフィナンシャルグループ「サステナビリティアクションの強化について」2021年5月13日

注2)詳細はRAN「パリ協定と整合性のある金融機関原則」を参照。

注3)Free, Prior and Informed Consentの略。先住民族と地域コミュニティが所有・利用してきた慣習地に影響を与える開発に対して、事前に十分な情報を得た上で、自由意志によって同意する、または拒否する権利のことをいう。

国際環境NGO 350.org Japan
気候ネットワーク
「環境・持続社会」研究センター(JACSES)
国際環境NGO FoE Japan
メコン・ウォッチ
レインフォレスト・アクションネットワーク(RAN)

<本件に関するお問い合わせ>
国際環境NGO 350.org Japan 担当:渡辺 japan@350.org
気候ネットワーク 担当:平田 khirata@kikoent.org
レインフォレスト・アクションネットワーク(RAN) 担当:関本 yuki.sekimoto@ran.org

NGO共同声明:三井住友フィナンシャル、石炭火力方針を改定もなお抜け穴〜パリ協定と整合せず〜(2021/5/12)

(English follows Japanese)

本日、三井住友フィナンシャルグループ(以下、SMBCグループ)が「気候変動問題への対策強化について」(注1)を発表し、石炭火力セクター方針の改定、グリーンファイナンス及びサステナビリティに資するファイナンス目標の改定などを明らかにしました。環境NGOは、脱炭素化に向けた一定の方針強化を歓迎するものの、パリ協定と整合的なビジネス戦略としてはなお課題が多いとの認識の下、下記の声明を発表しました。

三井住友フィナンシャルグループ株主総会会場前でのアピール行動、2018年6月25日

石炭火力セクター方針の改定
「石炭火力発電所の新設および拡張案件への支援は行いません」と明記し、従来の超々臨界圧(USC)技術などの例外規定を取り除きました。しかし、方針には明記されていないものの、NGOとのやり取りにおいて、「CCUSやアンモニア・バイオマス混焼等、トランジションに資するものについては支援を検討可としている」と明らかにしました。これらの技術はいまだ実用化されておらず、2030年に温室効果ガスを半減するという、パリ協定1.5度目標に必要な中期目標の達成には何ら寄与しません。アンモニアや水素の混焼については、1-2割程度の混焼が目指されているところであり、全く解決策にはなりません。1.5度目標達成のためには、OECD諸国では2030年までに、世界全体では2040年までに石炭火力発電所は稼動を停止する必要があり、単にCCUSや混焼の技術を備えていることを例外扱いするのではなく、1.5度目標と整合的かどうかを厳格に判断する基準が必要です。

投融資ポートフォリオ排出量(Scope3)の把握
SMBCグループが「2050年カーボンニュートラルに向けた長期行動計画および具体的な施策を定めていく」とし、「投融資ポートフォリオのGHG排出量把握(Scope3)と中長期目標の設定」を行うと発表したことは、他の邦銀に先駆けた取り組みとして歓迎します。電力・石油・ガスセクターのScope3の把握を始めるとのことですが、石炭採掘を含めた化石燃料セクター全般およびパーム油を含む森林関連セクターのバリューチェーン全体に今後スコープを拡大していくことを期待します。また、三井住友DSアセットマネジメントなどの運用会社を含めたグループ全体での取り組みが重要です。

中長期目標は設定せず
一方で、欧米の銀行が投融資ポートフォリオの排出量ネットゼロに相次いでコミットしていることと比べて(注2)、同グループの今次改定が「今後の目標設定」に留まったことは懸念されます。昨年同グループが定めた「2040年度に石炭火力発電向けプロジェクトファイナンスの残高をゼロにする」という目標は、パリ協定に整合するために、石炭火力セクターのコーポレートファイナンスにも適用を拡大し、より早期に実現されなければなりません。また、石油・ガス、およびパーム油を含む森林関連セクターに関する改定が何ら行われなかったことは大きな懸念です。これらのセクターも含め、パリ協定と整合する具体的な指標と中長期目標の速やかな設定が求められます。

<各団体からのコメント>
国際環境NGO 350.org Japan代表の横山隆美
は「気候危機の緊急性に比べて、今般のSMBCグループの方針改定は遅々としていると言わざるを得ません。1.5度目標を守るためには、科学の要請に基づいて早期に脱石炭・脱化石燃料を実現する必要があります。現状を見て積み上げるのではなく、あるべき姿からバックキャスティングを行うための強力なリーダーシップが求められます」と述べました。

気候ネットワークの国際ディレクター平田仁子は「今回の方針強化は、パリ協定の下での行動強化の必要性を認識したものと受け止めたいが、SMBCグループのファイナンスがなおパリ協定に整合するものとは評価できません。特に石炭火力セクターにおいて、明示的に書かれていないものの、CCUSやアンモニア・水素混焼技術を容認していることにより、石炭火力の延命を支援することにつながることが大いに懸念されます」と述べています。

「環境・持続社会」研究センター(JACSES)、プログラム・ディレクターの田辺有輝は、「石炭火力発電事業への支援停止について、SMBCグループはNGOとのやり取りにおいて、CCUSやアンモニア・バイオマス混焼等を例外としていることを明らかにしましたが、公開されている方針の文言から、このような例外規定があることを想定することは不可能です。このような例外規定があるのであれば、あらかじめ方針で明示するべきです」と述べています。

レインフォレスト・アクション・ネットワーク(RAN)、責任ある金融シニア・キャンペーナーのハナ・ハイネケンは、「SMBCグループは、ファイナンスによる温室効果ガス排出量の算定を約束したことで、他の邦銀から一歩先に踏み出しました。しかしSMBCの気候フットプリントの重要性を考えると、同グループが化石燃料全般、森林破壊および泥炭地破壊への資金提供停止を含め、1.5度目標のタイムラインに基づいて排出量ゼロを明確に誓約しない限り、真剣に受け止めることはできません」と指摘しました。

注1)https://www.smfg.co.jp/news/j110309_01.html

注2)https://www.unepfi.org/net-zero-banking/

<本件に関するお問い合わせ>
国際環境NGO 350.org Japan 担当:渡辺 japan@350.org
気候ネットワーク 担当:平田 khirata@kikoent.org
「環境・持続社会」研究センター(JACSES) 担当:田辺 tanabe@jacses.org
レインフォレスト・アクションネットワーク(RAN) 担当:関本 yuki.sekimoto@ran.org

*5月13日追記:5月12日配信内容に以下を追加しました。
●RANも13日に賛同団体として連名し、ハイネケンのコメントを追加しました。
●「森林セクター」としていましたが「パーム油を含む森林関連セクター」に変更しました。

Loopholes Remain in SMBC Group’s New Coal Policy
Japan’s Megabank Still Not Aligned with the Paris Agreement

Today, Sumitomo Mitsui Financial Group (hereinafter SMBC Group) published a statement entitled “Reinforcing Efforts against Climate Change,” (1) announcing revisions to its coal-fired power sector policy as well as updated targets for green and sustainability finance. Environmental NGOs welcomed the strengthening of policies toward decarbonization, but issued the following statement, recognizing that there are still many challenges to be addressed for the SMBC Group to set a business strategy consistent with the Paris Agreement.

Coal-fired Power Sector Policy
In the new policy, the Group stated that “Support for newly planned coal-fired power plants and the expansion of existing plants are not provided” and removed exceptions such as ultra-supercritical pressure (USC) technology from the previous policy. However, in an exchange with NGOs, the Group clarified that under the new policy, “support can be considered when (projects) will contribute to transition to decarbonization, such as CCUS and ammonia / biomass mixed combustion.” These technologies have not yet been put to practical use and will not contribute to the achievement of the medium-term goal required for the 1.5 degrees Celsius goal of the Paris Agreement, which is to halve greenhouse gases in 2030. Regarding the mixed combustion of ammonia and hydrogen, about 10-20% of the mixed combustion is aimed at, and it is not a solution at all. Coal-fired power plants need to be shut down by 2030 in OECD countries and by 2040 globally to reach the 1.5 degrees target. Instead of treating CCUS and mixed combustion technology as exceptions, the Group needs to set rigorous criteria to determine whether their clients’ businesses are consistent with the 1.5 degrees goal.

Measurement of Loan/Investment Portfolio GHG Emissions (Scope 3)
The SMBC Group announced that it will “establish a long-term action plan to contribute to a carbon neutral society by 2050 and detailed initiatives” and that it will “obtain a clear understanding of the GHG emissions generated by its loan/investment portfolio (Scope3) and set medium- to long-term targets regarding those emissions.” We welcome this as an initiative that is more progressive than other Japanese banks. The Group explains it will start with Scope 3 of power, oil and gas sectors. We urge the Group to expand the scope to the entire value chain of the fossil fuel sector including coal mining, and the forest sector including palm oil. In addition, it is important to include asset management companies such as Sumitomo Mitsui DS Asset Management and work on it as an entire group.

No Medium-To Long-Term Goal Setting
On the other hand, compared to the recent international trend that European and US banks are committing to net zero emissions in their investment and loan portfolios (2), it is a concern that the Group’s has only committed to “future target setting” of such emissions. The goal set by the Group last year to reduce its credit balance of project finance related to coal-fired power generation to zero by 2040 needs to be realized earlier and be expanded to corporate finance in the coal-fired sector in order to be consistent with the Paris Agreement. There is also great concern that no revisions have been made to the oil and gas and forest sectors. Including these sectors, it is necessary to promptly set specific indicators and medium- to long-term goals that are consistent with the Paris Agreement.

Comments by NGOs
Eri Watanabe, Japan Finance Campaigner for 350.org said “Concerning the urgency of the climate crisis, the revision of the SMBC Group’s policy is much slower. In order to meet the 1.5 degrees target, it is necessary to realize the urgent phase-out of coal and fossil fuel sectors as climate science demands. Strong leadership is required to achieve the target by backcasting, rather than by building up on the current situation.”

Kimiko Hirata, International Director at Kiko Network stated “Understanding that the SMBC Group’s recent revision is due to the recognition of the need to strengthen actions under the Paris Agreement, we cannot evaluate that the Group’s finance is consistent with the Paris Agreement. Especially in the coal-fired power sector, although not explicitly stated, there is great concern that allowing CCUS and ammonia/hydrogen mixed combustion technologies will help extend the life of coal-fired power.”

Yuki Tanabe, Program Director of JACSES said “Regarding the suspension of support for coal-fired power generation projects, the SMBC Group has made it clear that CCUS and ammonia/biomass mixed combustion are exceptions in the conversation with NGOs. It is impossible to assume that there are such exceptions from the announced policy text. If there is such an exception, it should be clearly stated in the policy to avoid misleading understanding by stakeholders.”

Hana Heineken, Senior Responsible Finance Campaigner at RAN said, “SMBC Group has stepped ahead of the other Japanese banks by committing to measure its financed emissions. But given its significant climate footprint, there is no way we can take them seriously without a clear commitment to zero out emissions based on a 1.5 degree timeline, including by stopping the financing of fossil fuels, deforestation, and peat destruction.”

(1) https://www.smfg.co.jp/news_e/e110168_01.html

(2) https://www.smfg.co.jp/news_e/e110168_01.html

Contacts
Eri Watanabe (350.org Japan) Email: japan@350.org
Kimiko Hirata (Kiko Network) Email: khirata@kikoent.org
Yuki Tanabe (JACSES) Email: tanabe@jacses.org
Yuki Sekimoto (RAN) Email: yuki.sekimoto@ran.org

NGO共同声明:MUFGが石炭火力・森林セクター方針を改定、なおパリ協定と整合せず(2021/4/26)

特定非営利活動法人 気候ネットワーク
マーケット・フォース
レインフォレスト・アクション・ネットワーク(RAN)
国際環境NGO 350.org Japan

本日、三菱UFJフィナンシャル・グループ(以下、MUFG)が「MUFG 環境・社会ポリシーフレームワークの改定について 」(注1)における「特定セクターに係る項目」の石炭火力発電セクターおよび森林、パーム油セクターに関するファイナンス方針の改定を公表しました。

気候ネットワークの国際ディレクターの平田仁子は、「本改定は、いくつかの部門において対策強化が図られていますが、急を要する気候危機への対応として、なお不十分なものです。日本の金融機関を代表するMUFGには今後、パリ協定の1.5度目標達成に整合した、より野心的な石炭関連の方針を策定し、その他化石燃料や森林破壊を引き起こす産品に関する方針の強化を期待します」と述べました。

本改定でMUFGは、石炭火力発電所の新設に加え、既存発電設備の拡張にも原則としてファイナンスを実行しないと規定しましたが、「パリ協定目標達成に必要な、CCUS、混焼等の技術を備えた石炭火力発電所は個別に検討する場合があります」と例外を残しています。CCUSも混焼も2030年までの削減にはほとんど寄与しないと考えられており、石炭火力を延命することにすぎない技術です。これらの技術への支援はパリ協定と整合しません。

国際環境NGO 350.org Japan代表である横山隆美は、「MUFGのセクター方針のスコープは基本的にプロジェクトファイナンスに限定されており、コーポレートファイナンスは含まれていないことは大きな懸念事項です。「脱石炭リスト(Global Coal Exit List)」投融資調査 (注2、3)によると、MUFGの石炭産業 への融資は世界第3位です。石炭火力セクターのポリシーとしてはバリューチェーン全体を網羅したコーポレートファイナンスへと拡大し、パリ協定に整合的な時間軸でのフェーズアウト戦略を策定すべきですが、今回の改訂では踏み込めていません」と指摘しました。

MUFGはまた、熱帯林破壊を引き起こしている企業に資金提供を行っている世界有数の金融機関であり、パーム油および紙パルプセクターの顧客企業に関連するESG(環境・社会・ガバナンス)リスクへのエクスポージャーが高い銀行です。特にパーム油セクターへの融資・引受額は東南アジア以外の地域に本社を置く銀行では最大で、インドネシア6位のバンクダナモンを買収して東南アジアでの存在感を高めつつあります。

レインフォレスト・アクション・ネットワーク(RAN)日本代表である川上豊幸は、「今回の方針改定でパーム油セクターにおいて『森林破壊ゼロ、 泥炭地開発ゼロ、搾取ゼロ(NDPE: No Deforestation, No Peat and No Exploitation)を遵守する旨の公表を求める』ことが追加されたことは評価できます。しかしNDPE基準の適用はパーム油のプランテーション企業に限定され、パーム油購入企業には適用されず、そして紙パルプなど熱帯林や泥炭地の破壊を引き起こしているパーム油以外の産品に対しても適用されなかったことは非常に残念です。そしてNDPE方針を遵守するための独立検証を求めていないことも課題です。農園開発時の火入れの禁止を明記しなかったことは、気候対策面からは大きな失敗といえます」と指摘しました。

今回の改定ではまた、石油・ガスセクター方針に何らの変更がなく、パリ協定の目標に沿ってフェーズアウトする約束がされなかったのは大きな懸念です。マーケット・フォース(Market Forces)エネルギーキャンペーン担当である福澤恵は、「MUFGを始め日本の金融機関は化石燃料企業へのエクスポジャーが大きく、中でもMUFGは今年3月にRAN他が発表した調査(注4) では、過去5年間の化石燃料事業への融資・引受額で世界第6位を占め、アジアで第1位を占めました。本改定をもってしても、MUFGの化石燃料セクターポリシーは、諸外国の金融機関と比べても極めて不十分です。昨今、世界の投資家や金融機関による2050年ネットゼロ実現に向けて、投融資による排出をゼロにするコミットメントが相次ぐ中、MUFGは遅れをとっています。」と述べました。

気候ネットワークおよび環境NGOに所属する個人株主3名は今年3月 、MUFGに対してパリ協定の目標に沿った投融資を行うための計画を決定し、開示することを求めた株主提案を提出しました(注5)。本改定内容は提案内容とはいまだに乖離があり、パリ協定1.5℃目標に整合していると理解できるものではありません。今後、株主としてMUFGと引き続き協議を進めてまいります。

注1)三菱 UFJ フィナンシャル・グループ「『MUFG 環境・社会ポリシーフレームワーク』の改定について」、2021年4月26日

注2)共同プレスリリース「日本の金融機関が石炭産業への融資総額で世界第1位に」、2021年2月25日

注3)本調査の対象および調査方法はこちらをご参照。

注4)共同プレスリリース「『化石燃料ファイナンス成績表2021』発表〜世界60銀行、パリ協定後も化石燃料に3.8兆ドルを資金提供〜」、2021年3月24日

注5)プレスリリース「三菱UFJフィナンシャル・グループ(MUFG)へ気候変動に関する株主提案を提出」、2021年3月29日

英語のプレスリリース:“Japan’s largest bank MUFG tightens coal power and forest sector policies – but far from aligned with Paris Agreement”

本件に関するお問い合わせ

気候ネットワーク 平田仁子 khirata@kikonet.org

マーケット・フォース 福澤恵 meg.fukuzawa@marketforces.org.au

レインフォレスト・アクション・ネットワーク(RAN) 関本幸 yuki.sekimoto@ran.org

国際環境NGO 350.org Japan 横山隆美 japan@350.org