サンフランシスコに本部を持つ米国の環境NGO RAINFOREST ACTION NETWORKの日本代表部です

ブログ:2025年MUFG株主総会、世界各地でMUFGの問題ある資金提供に抗議(8月26日)

〜RAN、他NGOと共に株主総会会場周辺にてアピール活動を実施〜

6月27日、都内で三菱UFJフィナンシャル・グループ(MUFG)の年次株主総会が行われました。

RANは他の環境NGOと共に、気候変動をはじめ先住民族の権利侵害や熱帯林の破壊を行う事業者に対し、MUFGが資金提供を行なっている件について会場入りする株主にスピーチやチラシの配布を行い、問題提起を行いました。

MUFG株主総会会場前におけるアピール活動 2025年6月27日 ©︎ RAN / Masaya Noda

今回は超小型EV(電気自動車)の移動広告を利用したことで、より多くの方の注目を得ることができました。配布したチラシも多くの個人株主の方々に手に取っていただきました!ありがとうございました。

MUFG株主総会周辺にてチラシを配布し問題提起を行った 2025年6月27日 ©︎ RAN / Masaya Noda

MUFGは、現地の先住民族が反対している米国テキサス州のリオ・グランデLNG事業の世界最大の資金提供者であり、また南太平洋のパプアニューギニアにおいても先住民族の同意を得ずに計画が進められ問題となっているパプアLNG財務アドバイザーを務めています。

MUFG株主総会会場前におけるスピーチ 2025年6月27日 ©︎ RAN / Masaya Noda

またRANでは今年も、環境NGOマーケット・フォース、気候ネットワークと共同で、MUFGを含めた3メガバンクに対して株主提案を行いました。残念ながら否決されてしまいましたが、以前からの提案である「顧客の移行計画の評価に関する情報開示」に加えて、今年は「監査委員会の財務リスク監査に係る情報開示」を提案し、総会にて提案の説明を行いました。

株主からの質問受付の時間でRANは、リオ・グランデLNGやパプアLNGなどの気候変動や先住民族の権利侵害のリスクが高い事業への関与によって発生した負の影響について、MUFGではどのような是正措置や救済措置が可能かという質問をしました。MUFGがホームページ上に公開した回答によると、「融資実行時には…先住民族の人権への配慮等も確認しており…お客さまが斯かる配慮に十分対応できていないことを認識した場合は、融資を行わない方針です」と回答がありました。株主総会の場でこの方針を再確認できた点は良かったですが、投融資の結果発生した負の影響を取り除くための是正措置や救済措置について、MUFGで何かできるかという点について具体的な回答はありませんでした

MUFGの回答には、融資後も顧客と問題対処について対話を行っている点や、苦情処理システムのプラットフォームであるJaCER(ビジネスと人権対話救済機構)を使用している点などが共有されました。しかし、これらは苦情処理プロセスにおける入り口の段階の取り組みであり、負の影響を受けている現地コミュニティの求める是正・救済には至っていません。

昨年9月、RANはテキサス州リオ・グランデ・バレー地域の先住民族カリゾ・コメクルド族を含むコミュニティ代表団とJaCERに苦情を提出しました。苦情には、『求める救済』は「カリゾ・コメクルド族とMUFGとの間で、一連の協議を実施することを期待する」と記入しましたが、MUFGとコミュニティとの間での協議は昨年10月の代表団の訪日以降、行われていません(是正と救済に関するより詳しい情報は国連『ビジネスと人権に関する指導原則』の原則2225をご参照ください;英語版日本語版

同日、現地でも抗議活動が

MUFGの株主総会と同じ日に、テキサス州リオ・グランデLNG施設に天然ガスを供給する予定のリオ・ブラボー・パイプラインの建設現場前でも、カリゾ・コメクルド族を含む現地コミュニティによる抗議活動が行われました。

リオ・ブラボー・パイプライン敷設地周辺における現地コミュニティによる抗議活動(写真©︎SOTXEJN)

パイプライン事業者はここ数カ月にわたり、パイプライン建設予定地の一部を所有するカリゾ・コメクルド族に対し、「(事業者の)収用権を行使し、一族の土地を取得する考えである」といった内容の文章を送り続けているというのです(南テキサス正義ネットワークのInstagram投稿)。

カリゾ・コメクルド族チェアマンのフアン・マンスィアス氏は以前から、この地域周辺の地下に一族の文化財や遺骨が眠っている可能性が高いと指摘しています。文化遺跡の保護は、『先住民族権利に関する国際連合宣言』に基づく人権問題です地元コミュニティ代表は、リオ・グランデLNGの世界最大の資金提供者であるMUFGに対し、今後のリオ・グランデLNGの拡張事業やリオ・ブラボー・パイプラインなどの事業に資金提供しないよう求めています。

リオ・ブラボー・パイプライン事業に抗議するマンスィアス氏(写真©︎SOTXEJN)

アジア諸国からもメガバンクの化石燃料事業への資金提供に批判の声

さらに、3メガバンクの株主総会と「ジャパン・エネルギー・サミット」が5月に東京で行われたことを受け、6月、フィリピン、インドネシア、バングラデッシュ、インドの各地では、多くの参加者が集まり抗議デモが行われました。フィリピン、マカティではAPMDDPMCJなどのNGOや市民団体が、「日本の3メガバンクとJERAは数十億ドルの資金提供と長期的なLNG契約を通じて、アジアにおける化石燃料の拡大を助長し、地域社会にリスクをもたらすヴィラン(悪者)であると抗議しました。

フィリピン、マカティでのNGOと市民団体による抗議活動(Photo©︎APMDD)

「MUFG、SMBC、みずほ、ガス事業拡大への資金提供をやめて」と書かれたプラカードを持つ女性(Photo©︎APMDD)

今年の夏は記録的な猛暑が各地で続いています。気候変動の影響を抑え、人々の暮らしを守るために、あなたにできることがあります。RANではオンライン署名「MUFGにリオ・グランデLNG施設への資金提供停止を伝えよう!」を展開中です。現在、1万3,000筆を超える署名が世界から集まっています。

あなたの力が必要です。ぜひ署名に参加して、日本からもMUFGにリオ・グランデの自然と歴史、人々の暮らしを守ってほしいという声を届けましょう!

< 記入方法 >

名字(First Name)、名前(Last Name)、メールアドレス(Email)、郵便番号(Zip or Postal Code)、電話番号(Mobile Phone Number)を記入し、Take Actionをクリック

 

RAN「責任ある金融」キャンペーナー 麻生里衣

共同プレスリリース:気候変動に関する株主提案決議結果は 企業と投資家のさらなる取り組みの必要性示す(2025/7/4)

Market Forces
FoE Japan
レインフォレスト・アクション・ネットワーク(RAN)
気候ネットワーク

日本国内外の環境団体および個人は今年4月、日本のメガバンク3行(MUFG、SMBC、みずほ)と総合商社(三井物産、三菱商事、住友商事)、中部電力に対して気候変動とガバナンス(監査)に関する株主提案を提出しました。これらの企業は1.5℃目標達成のためネットゼロ目標を掲げているにもかかわらず、その事業内容は1.5℃目標と整合していません。化石燃料への投融資および燃料調達事業への各社による関与が続いている現状を踏まえると、当該企業が極めて重大な気候リスクを抱え続けていることは明らかであり、今後も断固とした気候変動リスクへの実質的な取り組みが必要です。

これまで明らかになっている今年の決議結果からは、多くの投資家が該当企業に対して気候リスクに対する十分な説明責任を求めているとは言えず、私たちは投資家による気候変動リスクへの認識状況に対しても懸念を強めています。金融機関には昨年同様の株主提案が提出されていますが、みずほでは、実質的な改善がみられない中、賛同率が昨年の半分程度になっています。

当該企業に提出された議案と議決結果(一部速報値)は以下の通りです。一部の提案には10%を超える支持が集まるなど、一定の賛同が示されました。しかし、支持率が10%未満に留まる議案もあり、資産運用会社の多くが気候リスクを重視しているかどうか、疑問が残る結果となりました。株主提案は(全て)否決されましたが、提案対象企業に対しては気候変動リスク対応の強化を、機関投資家に対してはスチュワードシップ責任を体現することを求める働きかけを継続して行っていきます。

株主提案の内容と議決権行使結果

賛同率低下の一方で、当該企業の適切なガバナンスと実効性のある取締役会を求めている機関投資家がいることも明らかです。実際、主要な議決権行使助言会社として知られるISSは今年、我々の株主提案を受けた企業のうち1社の7人の取締役候補に反対票を投じるよう勧告しました。さらには、企業による気候リスク管理の実施状況を強力に監視する必要性に賛同し、ガバナンス強化を求める投資家もいます。1兆5,020億米ドル規模の資産を運用する世界有数の投資家である英国最大の資産運用会社のリーガル・アンド・ジェネラル・インベストメント・マネジメント(LGIM)は三菱UFJフィナンシャル・グループ、三井住友フィナンシャル・グループ、みずほフィナンシャル・グループ、中部電力に対して我々が提出した株主提案を支持する意向を事前に表明していました。

気候変動によるリスクを適切に管理できなければ、長期的には企業価値にマイナスの影響が出る可能性があります。三菱商事、三井物産、住友商事の三大総合商社は2.6℃から3.6°Cの壊滅的な気温上昇と整合する事業計画を掲げているという試算(MSCIのデータ準拠)もあり、これはパリ協定で合意された世界の平均気温上昇を1.5℃に抑える目標にも矛盾しています。さらに日本の3メガバンクも、この様な1.5°C目標と整合しない化石燃料の新規・拡張事業の計画を持つ事業者への資金提供を続けています。『化石燃料ファイナンス報告書 2025』によると、2024年、みずほは化石燃料拡大事業者への資金提供額を前年比で16%増加させ、MUFGも3.6%増加させました。

今後も、我々は日本の大手企業による脱炭素への変化と行動を引き続き後押しします。現状、気候変動対応は不十分でですが、過去5年間の働きかけによって、地域社会の懸念を受けたエンゲージメント活動の結果、日本の大手銀行や商社がアジアにおける主要な化石燃料プロジェクトへの関与を取りやめるなど、リスク管理を強化している事例もみられます。例えば、我々は三井物産が2023年10月にバングラデシュ・コックスバザールでのCPGCBL LNG火力発電所プロジェクトから撤退したことを確認しており、これによりプロジェクトのライフサイクル全体で4,400万トンのCO₂排出が回避される見込みです。

よって、機関投資家へは一層の働きかけが必要だと考えています。Market Forcesが日本の主要な機関投資家を対象に行った調査によると、主要な機関投資家5社傘下の資産運用会社は、日本の化石燃料拡大企業8社の取締役選任議案に99%の確率で賛成している結果が明らかとなり、気候変動リスクを適切に管理するためのスチュワードシップが効果的に行われていないことを示唆しています。今年の議決権行使結果を確認しながら、機関投資家に対しては、気候変動対策やリスク管理が不十分である企業に対し、スチュワードシップ責任を果たし、パリ協定に整合した移行計画の策定と実施のための、さらなる効果的なエンゲージメントと自社の気候コミットメントに沿った適切な議決権行使を行うように求めていきたいと考えています。

【提案主コメント】

総合商社・中部電力

「株主提案への支持は限定的だったものの、提案先企業へのメッセージは明確です。日本の商社と中部電力は重大な気候関連リスクに直面しており、投資家はこれに対して断固たる行動を期待しています。私たちは依然として、信頼できる脱炭素化ビジネス戦略の欠如と、事業運営における人権への配慮の不十分さについて、強い懸念を抱いています。私たちは、これからも、企業が効果的なリスク管理と透明性の高いガバナンスメカニズムを備え、信頼できる脱炭素施策の実行と、人権侵害への誠実な行うよう求めていきます。今後も建設的な対話を通じて、これらの企業がグローバルに化石燃料からの移行を進めるよう、協力関係を強化していきます。」
 布川健太郎 | Market Forces

「中部電力は株主総会で石炭火力を「ベースロード電源」と称し、エネルギー安定供給の必要性を繰り返しました。電力の安定供給と脱炭素を両立するために、あらゆるエネルギーを追求すると述べています。しかし、それでは将来世代に大きなツケを残すことになります。排出量の割合が大きな電力会社だからこそ、実現可能なロードマップの策定と化石燃料から再生可能エネルギーへの移行を加速するための対策強化を求めます。」 
鈴木康子|気候ネットワーク

「三井物産は非常に大きな気候変動リスクに晒されていることから、気候変動対策のために残された時間の中で、効果的かつ実行可能なリスク対策を講じることが重要です。情報開示の充実はその第一歩です。特に、ネットゼロを掲げながらも化石燃料分野への依存度が高いという現在の戦略を踏まえると、今回の要請は妥当なものと考えています。引き続き、気候変動対策の強化に向けてエンゲージメントを継続していきたいと考えています。」 
深草亜悠美 | FoE Japan

メバガンク3行

「昨年、投資家から『顧客の移行計画の評価』に関する株主提案に対し、強い支持があったにもかかわらず、3メガバンクは過去1年間有意義な進展を見せませんでした。今年、同様の株主提案への支持が低下したことは、多くの投資家がスチュワードシップ責任を果たさず、投資先のメガバンクにおける気候変動リスク管理を十分に担保できていない状況を示しています。

脱炭素に向けて、科学的根拠に基づいた意義深い行動をとり続けるのか、企業と投資家双方の本気度が改めて問われています。行動をとらないことによる経済と人々への深刻な損害は到底容認できるものではありません。いかなる遅延の猶予はなく、石炭、石油、ガスから再生可能エネルギーへの移行を加速するための対策強化が求められます。」
渡辺 瑛莉 | Market Forces

「今回、新たに監査役についての責任を問う提案を行いました。みずほとMUFGは現地の先住民族が反対する米国テキサス州リオ・グランデLNG事業に資金提供を行っており、自らが採択する国際基準である『赤道原則』に違反しています。また、MUFGは大規模な熱帯林火災に対してインドネシア政府から損害賠償請求を受けているアブラヤシ農園企業を管理下に置く企業にも資金提供を行っています。これらはメガバンクにおけるガバナンスの問題を象徴する一部の例に過ぎません。自社グループにおけるガバナンスの問題について監査が認識していない現在の状態は、内部監査体制が機能していないことの表れです。3メガバンクにおけるリスク管理体制の課題は、2050年ネットゼロという目標を掲げているにもかかわらず、座礁資産リスクのある化石燃料事業を拡大する計画をもつ企業に投融資を続けていることにも表れています。さらに、この様な構造的なガバナンスの問題を見抜くことができていない機関投資家についても懸念があります。機関投資家には、長期的な視点に立った、真に責任ある投資を行うことを求めます」
川上豊幸|レインフォレスト・アクション・ネットワーク(RAN)

「今回、新たに監査役についての責任を問う提案を行いました。SMBCとみずほで、監査委員会の財務リスク監査に係る情報開示を求める提案の方が、もう一方より賛成数がわずかながら高く、MUFGの投票数は2つの提案ともに他の2行よりも少ないものでした。それぞれの結果に違いはあれど、新たな動きを求めている機関投資家が一定数いることを示しています。日本のメガバンク3行は世界の化石燃料関連企業への資金提供を続けており、その金額は世界でも上位にランクしています。国民の預貯金を運用する銀行が化石燃料関連事業に資金を提供し続け、国民の将来の命の安全を脅かす、あるいは快適な環境で生活する権利を損なうことに加担していることに我々株主はもっと声をあげるべきではないでしょうか。そして機関投資家には、より長期的な視点に立ち、未来に向けて責任ある投資を行うことを求めます。」

鈴木康子|気候ネットワーク


お問合せ先

マーケット・フォース(Market Forces)
Antony Balmain E-mail: contact[@]marketforces.org.au

FoE Japan
深草亜悠美 E-mail: fukakusa[@]foejapan.org

気候ネットワーク 東京事務所:TEL:+81-3-3263-9210
鈴木康子 E-mail: suzuki[@]kikonet.org

レインフォレスト・アクション・ネットワーク(RAN)
関本幸 E-mail: yuki.sekimoto[@]ran.org

プレスリリース:MUFG株主総会でアピール「気候変動に投融資しないで」(2025/6/27)

〜化石燃料支援継続とガバナンス問題を指摘、気候変動株主提案は否決〜

「MUFGさん、気候変動に投融資しないで」超小型電気自動車による移動広告でアピール ©︎ RAN / Masaya Noda

米環境NGOレインフォレスト・アクション・ネットワーク(本部:米国サンフランシスコ、日本:東京都渋谷区、以下RAN)は、本日27日、三菱UFJフィナンシャル・グループ(MUFG)株主総会に参加し、気候変動を加速させる化石燃料と森林破壊への支援停止を求め会場前でアピールしました。今年4月、RANを含む環境NGO3団体は、MUFGを含むメガバンク3行に気候変動対策の強化を求める株主提案を提出しました(注1)。総会で提案は否決されるも、人権デューデリジェンス(相当の注意による適正評価)で問題が改善しない事業には資金提供をしないことを、RANの質問によって改めて確認できました。また、気候変動など重大なリスクに対応するガバナンス体制が不十分で、問題ある化石燃料企業や森林破壊企業への資金提供が継続している点も指摘しました。

RANは、集まった環境NGOとともに、会場のグランドプリンスホテル新高輪前で「MUFGさん、気候変動に投融資しないで」などのバナーを掲げてスピーチを行い、株主に関連資料を配布してアピール行動を行いました。同時に、会場周辺で超小型電気自動車による移動広告を用い(写真、注2)、液化天然ガス(LNG)事業による環境破壊や先住民族の権利侵害などの悪影響を伝えました。広告には、昨年10月に来日した、米国テキサス州「リオ・グランデLNG」事業に反対する地域住民の写真を使用。住民は来日中にMUFG担当者と面会し、同事業への支援停止を求めていました。RAN は総会に先立ち、オンライン署名「MUFGにリオ・グランデLNGへの資金提供停止を伝えよう!」(英語)を展開し、現在は1万3,000筆を超える署名が集まっています(注3)

「MUFGさん、気候変動に投融資しないで、米国リオ・グランデLNG事業に投資しないで」環境NGOによるアピール©︎ RAN / Masaya Noda

今年4月、マーケット・フォース、気候ネットワーク、RAN(個人株主)の環境NGO3団体はメガバンク3行に気候変動対策と監査体制に関する情報開示を求める株主提案を提出しました。本日のMUFG総会では、第3号議案(監査委員会の財務リスク監査に係る情報開示)、第4号議案(顧客の気候変動移行計画の評価に関する情報開示)とも否決されました。一方、RANからの「先住民族の同意を得ずに進めている化石燃料事業(注4)への関与は人権問題であるが、どのような是正措置や救済措置を取ることが可能か」という質問に対し、MUFGの横幕勝範執行役常務 グループCROは「人権面で問題のある事業についてデューデリジェンスを実施しても改善しない場合には資金提供を行わない方針である」との回答がありました。

RAN日本シニアアドバイザーの川上豊幸は、第3号、4号議案について総会中に説明しました。総会での決議結果を受けて私たちの株主提案が否決されても、MUFGのガバナンス体制が弱く、監督機能が不十分であることには変わりありません。株主総会の場で、デューデリジェンスを実施しても改善しない場合には資金提供をしないと再確認したのは意味があります。しかし、すでに提供したファイナンスに関する人権侵害への是正措置や救済措置の対応についての明確な返答はありませんでした。私たちは気候変動対策や森林減少、人権面でリスクのある事業や企業への資金提供を事前に食い止めるとともに、すでに引き起こされた問題への対応も可能となるよう、MUFGとのエンゲージメントを継続していきます」と強調しました。

MUFG株主総会の会場前を走行する超小型電気自動車による移動広告 ©︎ RAN / Masaya Noda

RANなどが今月発表した「化石燃料ファイナンス報告書2025」(注5)によると、2021年から2024年のMUFGによる化石燃料産業への融資・引受額は世界4位で、2024年単年では6位でした 。国際エネルギー機関(IEA)の調査報告書では、2021年以降、全ての化石燃料拡大事業はパリ協定の1.5度目標に整合しないという分析結果が出ています。しかしその後も、MUFGは化石燃料の拡大計画を有する企業への資金提供で上位に名を連ねています。新規LNG事業への巨額の投融資など、パリ協定の1.5度目標に整合しないプロジェクトへの資金提供も継続しています。その一つが米国テキサス州の「リオ・グランデLNG事業」です。

川上は「私たちはリオ・グランデLNG事業について、MUFGが利用している苦情処理プラットフォームのJaCER(ビジネスと人権対話救済機構)に人権侵害事例として昨年9月に申し立てを行いました。しかしその後も状況に改善はみられず、事業者のネクスト・ディケイドは、計画地周辺に聖地があるカリゾ・コメクルド族と協議をしていません。先住民族には、事前に十分な情報が提供され、彼らの自由意志に基づいて開発事業に同意するかどうかを決める権利が国際的に認められています。融資先の事業者がこのプロセスを怠っていることは、MUFGが採択している『赤道原則』にも明らかに違反しています。このように、環境や社会面で問題ある事業や顧客企業への資金提供を事前に防ぐことができていなく、さらに、問題を指摘されても継続している現状は、方針違反に当たる業務執行上の問題を執行役員、監査役員が共に認識できていなく、本来のガバナンス機能を果たしていないと考えられます」と問題を提起しました。

総会に参加する株主たち ©︎ RAN / Masaya Noda

また、MUFGは東南アジアで森林破壊を起こしている産品セクターに、経済協力開発機構(OECD)加盟国の銀行で最も多額の融資・引受を行っています(注6)。紙パルプやパーム油などの産業は、炭素を吸収し貯留する熱帯林の破壊や土地紛争とも結びついています。RANは4月、MUFG子会社のバンクダナモンを通して、大規模な森林火災を繰り返し発生させているアブラヤシ農園企業を支配下に置く企業グループに融資を継続している事例も公開しました(注7)

RANは株主総会後も、MUFGを含めたメガバンクに、現地の情報提供、環境・社会方針やガバナンス体制についての提言、そして銀行の支援で負の影響を受けている地域の人々の声を伝えるなどのエンゲージメント(対話)を定期的に実施していきます。

参考:「MUFGの投資リスクをご存知ですか?」(RANのキャンペーン特設Webページ)https://fossilfreejapan.org/ja/campaigns/mufg/

 

注1)共同プレスリリース「東証プライム7企業に対して気候変動対策に関する株主提案〜全7社が勧告的決議案を拒んだことを受け、定款変更議案を提出〜」、2025年4月15日

注2)環境に配慮し、化石燃料車ではなく電気自動車(EV、電動ミニカー:第一種原動機付自転車)を使用。使用した広告宣伝車は、東京都屋外広告物条例の規制対象外であるが、委託企業は管轄警察署など関係各所に相談・報告しながら走行ルートの策定などを行った。午後には金融街の中心地である丸の内・大手町でも1時間程度走行した。

注3)オンライン署名「Tell MUFG to Defund Rio Grande LNG!」(英語)。6月24日時点での署名数は 13,225 筆。

注4)リオ・グランデLNGをはじめ、パプアLNG、スカボローガス、バロッサガス田など

注5)共同プレスリリース「化石燃料ファイナンス報告書 2025」発表 〜世界65銀行の化石燃料への資金提供額、2024年は8,694億ドルに急増〜」、2025年6月18日

注6)共同プレスリリース「『生物多様性崩壊をもたらす金融業務』日本語要約版発表 〜メガバンクら邦銀、森林リスク産品にパリ協定以降215億ドルを提供〜」、2025年4月10日

注7)RAN「MUFG、インドネシア泥炭地で大規模『炭素爆弾』に融資 〜子会社銀行、アブラヤシ農園企業グループに2億8100万ドルを提供〜」、2025年4月10日

 

団体紹介
レインフォレスト・アクションネットワーク(RAN)は、米国のサンフランシスコに本部を持つ環境NGOです。1985年の設立以来、環境・森林保護で最前線に立つ人々とのパートナーシップと戦略的キャンペーンを通じて、環境保護と先住民族や地域住民の権利擁護活動をさまざまな角度から行っています。

 

本件に関するお問い合わせ先
レインフォレスト・アクション・ネットワーク
日本チームマネジャー:関本 Email: yuki.sekimoto@ran.org

声明:MUFGはNZBA脱退後も約束を反故にせず、 パリ協定1.5度目標に整合しない企業への融資中止を(2025/4/9)

三菱UFJフィナンシャル・グループ(MUFG)が銀行間の自主的イニシアティブ「ネットゼロ・バンキング・アライアンス(NZBA)」から3月19日に脱退したことを受けて、レインフォレスト・アクション・ネットワーク(本部:米国サンフランシスコ、日本:東京都渋谷区、RAN)は9日、MUFGに、NZBAから脱退しても投融資ポートフォリオをパリ協定1.5度目標と整合させる約束を反故にせず、パリ協定の1.5度目標に整合しない企業への融資の中止を求める声明を発表しました。

RANは3月と4月に2回にわたって、MUFGに脱退の理由を質問するメールを送りました。同グループは「今後の気候変動対策を検討するにあたり、NZBAにおける加盟継続のメリットを総合的に判断した結果だ」とし、「カーボンニュートラル実現や、パリ協定1.5度目標達成へ MUFG として貢献するというコミットメントは不変です」と回答しました。

 

RAN日本シニア・アドバイザー川上豊幸は「MUFGから『パリ協定1.5度目標達成に貢献するというコミットメントは不変である』という回答をもらいました。MUFGが、2050年までの投融資ポートフォリオの温室効果ガス排出量をネットゼロにするという目標に今後も取り組むと改めて言及したことは重要です。なぜなら米国では大手銀行のNZBAからの脱退が続き、その一行のウェルズ・ファーゴが2月、2050年までのネットゼロのコミットメントを反故にした実例があるからです。MUFGはこのような動きに屈することなく、世界中で危機感が高まる気候変動問題に対して、日本最大手の銀行として責任を持って行動してもらいたいと願います」と主張しました。

一方、MUFGは新規の液化天然ガス(LNG)事業への巨額の投融資など、パリ協定の1.5度目標に整合しないプロジェクトへの資金提供を行っています。RANら『化石燃料ファイナンス報告書2024』によると、パリ協定採択以降、2016年から2023年のMUFGの化石燃料産業への投融資額は世界4位の約3,077億米ドルで、LNG事業を拡大する企業130社への2023年の投融資額は世界2位の約84億米ドルでした。例えば環境・社会面でも大きな問題がある米国テキサス州メキシコ湾岸地域で計画中のリオ・グランデLNG事業を進めるネクスト・ディケイド社に、MUFGは2023年に約21.7億ドル以上を提供しています。

川上は「リオ・グランデLNG施設が稼働すれば石炭火力発電所50基分に相当する二酸化炭素を排出することになると懸念されています。今年、2024年の平均気温がパリ協定の抑制目標である1.5度上昇を初めて上回ったことが明らかになりました。MUFGは直ちに、リオ・グランデLNG施設など、1.5度目標の達成を困難にする事業や企業への資金提供は中止すべきです」と強調しました。

 

昨年12月、米メキシコ湾岸地域の住民や先住民族、市民団体らはNZBAと、その母体であるグラスゴー金融同盟(GFANZ)、国際連合に書簡を送り、NZBAからの加盟銀行脱退の懸念を示し、NZBAは圧力に屈せず規約を維持し、加盟銀行に「世界の平均気温上昇を1.5度に抑える」というパリ協定の合意と目標を整合させることを要請していました。今年3月、 日本のメガバンク3行全てもNZBAから脱退しました。ほぼ同時期にNZBAは加盟規約の見直しを巡り、融資案件を1.5度以内に抑える目標と整合させる必要性について撤廃が提案されていると報道されました。MUFGは2025年3月までNZBAステアリンググループ(地域毎に選出される金融機関で構成)の一員だったとRANに回答しましたが、規約の見直しと脱退との関係については「コメントを控える」としています。

 

本件に関するお問い合わせ先
レインフォレスト・アクション・ネットワーク
東京都渋谷区千駄ヶ谷1-13-11-2F
日本チームマネジャー:関本 Email: yuki.sekimoto@ran.org

声明:トランプ大統領就任日の大統領令について(2025/1/20)

 

2025年1月20日(月)に大量の大統領令が出されたことを受けて、米環境NGOレインフォレスト・アクション・ネットワーク(本部:米国サンフランシスコ、日本:東京都渋谷区、RAN)事務局長ジンジャー・キャサディは以下の声明を発表しました。

 

「トランプ政権によるエネルギーと環境関連の大統領令は破壊を招く近視眼的なもので、気候変動とコミュニティへの代償を顧みず、企業利益を最大化するという一大テーマがあります。

アラスカ固有の生態系での無制限の石油・ガス開発許可からパリ協定離脱まで、これらの大統領令は科学と現実に真っ向から反しています。そして、米国と世界中のコミュニティ、特に脆弱な黒人、先住民族、褐色人種、低所得者のコミュニティが、その代償を支払うことになります。

記録的な熱波、猛威を振るう山火事、激しさを増す嵐、そして何百万もの人々が気候変動による移住を余儀なくされている現実を無視する余裕は私たちにはありません。

私たちは前に進まなければなりません。クリーンエネルギー中心の未来への公正な移行が私たちには必要です。しかし、この政権は私たちの未来を、過去の汚れた化石燃料経済にしばりつけようとしています」

 

レインフォレスト・アクション・ネットワーク事務局長
ジンジャー・キャサディ

(英語プレスリリース”Statement on Trump Inauguration Day Executive Orders”、和訳版は2025年1月21日投稿)

レインフォレスト・アクション・ネットーク(RAN)は、米国のサンフランシスコに本部を持つ環境NGOです。1985年の設立以来、環境に配慮した消費行動を通じて、森林保護、先住民族や地域住民の権利擁護、環境保護活動をさまざまな角度から行っています。2005年10月より、日本代表部を設置しています。

本件に関するお問い合わせ先
レインフォレスト・アクション・ネットワーク
日本チームマネジャー 関本 Email: yuki.sekimoto@ran.org

ブログ:米国リオ・グランデ・バレーの住民代表団が来日〜メガバンクらにLNG事業からの撤退を求めて 自然環境、歴史、人々の生活を破壊する5つのリスク〜(2024/12/10)

RAN「責任ある金融」キャンペーナー 麻生里衣

2024年10月6日から1週間、米国テキサス州リオ・グランデ・バレー地域のコミュニティ代表団が来日し、自然環境の破壊、先住民族の権利侵害、地域住民への健康被害、気候変動の加速など、問題の大きい液化天然ガス(LNG)事業からの撤退を日本の金融機関に求めました。多岐にわたる問題を引き起こすLNG事業。今年8月からRANで活動を始めた麻生里衣が、代表団に同行して見えてきたこの問題をまとめます。

州道48号線から見える自然、テキサス州ブラウンズビル、2017年(写真 ©︎ Joseph Fry)

地元コミュニティの反対運動

米国テキサス州南部のリオ・グランデ・バレーの河口周辺に広がるデルタ地域には、南メキシコ湾岸最後の人工物のない地平線が見られる景観が残っています。しかし現在、この地域ではリオ・グランデLNG輸出基地、テキサスLNG輸出基地、これらの基地に接続予定のリオ・ブラボー・パイプラインの3つのLNG事業が計画されています。第1フェーズの事業資金の調達が完了しているリオ・グランデLNGは、地元コミュニティの強い反対にも関わらず工事を開始し、現在も湿地帯をブルドーザーで掘り起こし、整地作業を進めています。

リオ・グランデLNGの建設現場(写真©︎ Bekah Hinojosa / (SOTXEJN)

これまでの活動の成果

地域住民はこれまで、これらのLNG事業を止めるために様々な活動を展開してきました。その成果が実り、フランスの銀行ソシエテ・ジェネラルラ・バンク・ポスタル、三井住友銀行、スイス登記の米保険会社チャブなどがリオ・グランデLNGから撤退、さらにフランスの銀行BNPパリバもテキサスLNGとの関係を絶ちました。

そして2024年8月6日、地域住民が裁判で勝訴を勝ち取り、活動の大きな追い風となりました! 米国コロンビア特別区控訴裁判所は、連邦エネルギー規制委員会(FERC)によるリオ・グランデ地域のLNG事業許可3件は、地域への環境的・社会的影響を十分に検証していないとして、許可を事実上取り消すという判決を下しました。FERCは今後、新たな補足的環境影響評価書の草案作成とパブリックコメント期間を設け、事業の影響を再評価した上で、新たな事業許可の発行を検討する必要があります。(さらに詳しくはRANのレポートを参照

今回来日したディナ・ヌニェス氏(南テキサス人権センター シニア・オーガナイザー)は、「団結した人々は、決して分断されることはない」と述べ、「私達地域コミュニティの強力な組織化と強い意志を持った人々のおかげで、良い裁判結果を勝ち取ることができました。私達は、たとえ巨大な企業であろうと打ち負かすことができると信じています。次は、日本の企業が良い決断を下すことを求めます」と訴えました。

MUFG本社前で呼びかけを行うヌニェス氏(右)と大学生のアクセル・ゴメス氏(左)(写真©︎ RAN / Masaya Noda)

日本の金融機関と気候変動

そして今回、リオ・グランデ住民代表団はこれらのLNG事業を支援する日本の金融機関に事業からの撤退を求めて日本を訪れました。中でも、三菱UFJフィナンシャル・グループ(MUFG)は、リオ・グランデLNGに約21億米ドルを2023年に融資し、世界最大の資金提供者となっています。また、みずほフィナンシャル・グループ(みずほ)も約11億米ドルの融資を行っていることが明らかになっています(参考「化石燃料ファイナンス報告書」日本語抜粋版) 。

代表団に同行したRANのルース・ブリーチ(気候変動&エネルギー担当 シニア・キャンペーナー)は、「日本の銀行は米国メキシコ湾岸におけるLNG事業拡大において、非常に重要な役割を担っています。世界のどの銀行を見ても、みずほ銀行と三菱UFJ銀行以外に、南メキシコ湾岸のLNG事業全てに資金提供を行なっている銀行はありません」と述べています。

都内の日本外国特派員協会(FCCJ)での会見にて日本の金融機関の関与について説明するルース・ブリーチ(写真©︎ RAN / Masaya Noda)

日本のメガバンクは、化石燃料事業に対して世界最大規模の資金提供を行ない、気候変動対策の流れと逆行しています。2023年のみずほの提供額(融資・引受)は世界第2位(約370億米ドル)、MUFGは世界第4位(約332億米ドル)でした。

「化石燃料ファイナンス 2023年のワースト12銀行」(化石燃料全部門への融資・引受額、2023年単年、単位:BILLION =十億ドル)

また、RANが米国の情報自由法(FOIA)で開示請求をして得た情報をもとに作成した報告書『リスク・エクスポージャー』により、SOMPOホールディングスがリオ・グランデLNGに損害保険を提供していることもわかりました。損害保険会社は化石燃料事業に不可欠な保険を提供することにより、気候変動の悪化を助長していることが問題視されています(詳しくはこちらのサイトを参照)。SOMPOホールディングスは、先住民族の権利保護に関する方針や人権デューディリジェンス・プロセスを導入していなく、早急に方針の強化が求められます。

5つのLNG事業の問題点

リオ・グランデ・バレー地域におけるLNG3事業の大きな問題点として、1)気候変動の加速、2)地域住民への健康被害、3)希少種の生息地の破壊、4)小規模産業への悪影響、5)先住民族の権利侵害があげられます。

 

 1) 気候変動の加速

LNGは、温室効果ガス(GHG)の排出量が低い『移行燃料』であるという認識が一部で存在しますが、LNGのおよそ90%以上が二酸化炭素の80倍以上の温室効果をもたらすメタンで構成されています。採掘や輸送におけるメタンの漏洩により、LNGは石炭と同等またはそれ以上に気候変動を悪化させると考えられています。ライフサイクル全体での排出を考慮すれば、リオ・グランデLNGからの年間GHG排出量は石炭火力発電43基分、テキサスLNGからは石炭火力発電7基分合計50基分にも相当するGHGが排出されると考えられているのです。

採掘地におけるフラッキング(水圧破砕法)による水質・大気汚染、地域住民の健康被害などの影響も深刻です。また、リオ・グランデLNGの事業者であるネクストディケイド社は裁判結果を受けて、唯一の気候変動対策であった炭素回収・貯留(CCS)事業についても、現時点では十分に開発が進んでいないとして申請を取り下げました。以上のことから、LNGを「移行燃料」と考えることは非常に危険であり、LNG事業の拡大はパリ協定の1.5度目標と整合しません。

 

 2) 地域住民への健康被害と「環境レイシズム」

米国メキシコ湾岸は国内で最も多くのLNG事業が乱立し、地域住民に犠牲を強いる犠牲地帯」と呼ばれています。これらの事業は、何千トンもの発がん性の有害汚染物質を周辺に撒き散らすと予想され、周辺住民への深刻な健康被害が懸念されています。(詳しくはFoEジャパンのブログを参照)このように米国全体の電力をまかなうために、有色人種や低所得者層、先住民族など社会的に弱い立場の人々が多い米国メキシコ湾岸のコミュニティに対して、公害などの環境問題を押し付けている様子は環境レイシズム(人種差別)」と批判されています。

ベッカ・ヒノホサ氏南テキサス環境正義ネットワーク共同創立者)は、MUFGの本社前で、雨の中以下の様に訴えました。「MUFGはリオ・グランデLNGから撤退すべきです。なぜなら、明らかに私たちの地域社会は、この事業を望んでいないからです。私たちのコミュニティに押し付けられたもので、環境レイシズムです。そしてこの事業は、先住民族の神聖な土地や聖地を破壊し、既にブルドーザーでそういった土地を踏み潰しています。ですから、私たちはここにいます。MUFG、私たちが引き下がることはありません。これからもこの事業に反対していきます」。

MUFG本社前でスピーチを行うヒノホサ氏(写真©︎ RAN / Masaya Noda)

 3) 希少種の生息地の破壊

リオ・グランデ・デルタの湿地帯は、絶滅が危惧される猫科のオセロットノーザン・アプロマド・ファルコン、海にはケンプヒメウミガメやライスクジラなどの希少な生き物の最後のすみかとなっています。LNG施設が建設されれば、直接的な生息地の破壊と騒音や公害、汚染物質、タンカー船の往来などの影響により、複数の絶滅危惧種に恒久的かつ重大な」影響を与える可能性が指摘されています。

 

 4) 地域の小規模産業への悪影響

周辺地域の人々は豊かな自然の恩恵を受けて、主にエビ漁などの漁業やイルカウォッチなどのエコツアーで生計を立てています。これらのLNG施設は、地域経済にとって重要なこれらの小規模産業に悪影響を与える可能性があります。

 

 5) 先住民族の権利侵害

先住民族の権利侵害も深刻な問題です。リオ・グランデ・バレー地域の先住民族であるカリゾ・コメクルド族(彼らの言語ではエシュトク・グナ族と呼ぶ)は、数千年前から周辺で狩猟・採集・農業などを行い生活していました。リオ・グランデLNGの計画地の下には村の遺跡や貝塚などの歴史遺産、テキサスLNGの地下には『ガルシア牧地』と呼ばれる聖地が眠り、彼らはリオ・ブラボー・パイプラインの建設予定地の数エーカーを直接所有し、絶滅が危惧されるミツバチの養蜂を行っています。カリゾ・コメクルド族はこれらのLNG事業に強く反対していて、事業者は彼らと協議もしていません。

10月7日に行われた会見でカリゾ・コメクルド族チェアマンのフアン・マンスィアス氏は、先住民族の歴史と現状を説明し、テキサスにおける先住民族排除の歴史が現在のLNG事業の問題へとつながっていると語りました。「500年前、私達の民族はこの川沿いにやってきた人々によって侵略されました。かつて私達の民族は、このリオ・グランデ・デルタの美しい水の中で魚をとり生活していました。私達にとってリオ・グランデ川は最初の女性が生まれた場所であり、河口のデルタ地帯には確認されているだけでも32の集落があり、ガルシア牧地と呼ばれる聖地がありました。しかし現在、ガルシア牧地はワールド・モニュメント財団により『危機に瀕している歴史サイト』に認定されています。(LNG建設予定地のすぐ横を通る)運河の建設のために掘り起こされた土の中から、骨が見つかりました。それは私達一族のものです。私の中には彼らと同じ血が流れているのです。かつて声をあげることができなかった彼らの声を代弁することが、重要だと思います」

記者会見で民族の歴史とLNG事業の懸念を語るマンスィアス氏(写真©︎ RAN / Masaya Noda)

 

西洋の入植者による先住民族の排除の歴史により、この地域では自分に先住民族の血が流れていることさえも知らされていない人も多く、カリゾ・コメクルド族の米国政府による認定に時間がかる現状があります。LNG事業者はこの状況を逆手に取り、カリゾ・コメクルド族の同意は不要として事業を進めています(より詳しくはこちらの英語記事を参照)。

問われる銀行の環境・人権への対応

国際連合が推奨する先住民族の権利保護のための「自由意思による、事前の、十分な情報に基づく同意(FPIC)」は、土地や資源開発を行う事業において、影響を受ける可能性のある先住民族に対し、事業に関する十分な情報開示を事前に行なった上で、賛成または反対の立場をとる事ができる様にすることを求める国際的な原則です。

FPICによると、先住民族の権利は国の認定に関わらず保証されるべきであり、MUFG、みずほ、SOMPOホールディングスは、グローバル企業としてこのような国際的な基準の遵守が求められます。事業に必要な資金を調達するための手法であるプロジェクトファイナンスの際に配慮すべき環境的・社会的影響の国際的な指針である赤道原則(エクエーター原則)においても、同様の基準が採用されています。MUFGおよびみずほは、赤道原則の遵守を誓約しているにも関わらず、リオ・グランデLNGのように先住民族の権利侵害が疑われる事業者への資金提供が以前から報告されていて、企業が事業活動において人権への影響を予測・評価・管理・改善するためのプロセスである人権デューデリジェンスの実効性が疑われます

RANでは引き続き、日本のメガバンクにリオ・グランデ・バレーの3つのLNG事業からの撤退と、人権方針の遵守と人権デューデリジェンスの確実な実行を求める活動を行っていきます。

会見にてリオ・グランデLNGの工事中止を求める代表団(写真©︎ RAN / Masaya Noda)

 

署名に参加して、三菱UFJ銀行にLNG事業からの撤退を求めよう!

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日本外国特派員協会における記者会見の様子はこちら(英語動画)

 

RAN「責任ある金融」キャンペーナー 麻生里衣