サンフランシスコに本部を持つ米国の環境NGO RAINFOREST ACTION NETWORKの日本代表部です

声明:三井住友FG、2050年排出量ネットゼロを約束 (2021/9/3)

「森林破壊ゼロ、泥炭地開発ゼロ、搾取ゼロ」もパーム油など農園開発に要求
〜「TCFDレポート2021」発表に伴い方針強化、待たれる人権尊重〜

米環境NGOレインフォレスト・アクション・ネットワーク(本部:米国サンフランシスコ、日本代表部:東京都渋谷区、以下RAN)は、本日3日、三井住友フィナンシャルグループ(SMBC)が「SMBCグループ TCFDレポート 2021」を8月31日に公表(注1)したことを受けて以下の声明を発表し、パリ協定の目標に向けての方針強化であると歓迎しつつも、中期目標の設定を先送りしていると批判しました。

RAN日本代表 川上豊幸

まず、SMBCが2050 年までに投融資ポートフォリオで温室効果ガス(GHG)排出量をネットゼロにすると約束したことは、パリ協定の目標達成に向けた方針強化と受け止めて歓迎します。「2050年ネットゼロ」は気温上昇を1.5度に抑えるために必要な長期目標で、日本政府も同様の目標を掲げています。気候危機を加速させている化石燃料への資金提供額がアジア5位のSMBCが、アジア首位の三菱UFJフィナンシャル・グループ(MUFG)(注2)に次いでコミットしたことは重要です。

しかし、投融資ポートフォリオのGHG排出量把握と中長期削減目標の開示は行われず、中期目標の開示は2023年に先送りされたことから、パリ協定への整合性を確認することができません。そして2030年までの限られた数年を目標策定に費やすことになり、緊急性に欠けます。また、投融資ポートフォリオGHG排出量の算定には、石油・ガス、電力セクターに加え、GHG排出に大きな影響を与えている石炭採掘を含めた化石燃料セクター全般、およびパーム油を含む森林関連セクターを早期に追加することが求められます。

第二に、今回のレポートでは、森林破壊の要因となるパーム油などの農園開発事業に対し、「森林破壊ゼロ、泥炭地開発ゼロ、搾取ゼロ方針」(※NDPE方針)を遵守する旨の公表を求めました。しかし、取引先には遵守の公表を求めるだけではなく、グループ全体およびサプライチェーンを含めた遵守状況をモニタリングし、不遵守状況への対応等を通じて、方針の実施と強化を進めることが必要です。また同基準は農園開発事業に限定され、各産品の購入企業には適用されていないことも課題です。MUFGも今年4月にパーム油セクターにNDPEを適用しましたが、同様の問題があります(注3)
※No Deforestation, No Peat and No Exploitationの略

一方、森林伐採事業セクターでは違法労働への支援を行わないことを明記したものの、労働者の権利尊重や地域住民や先住民族の土地権尊重といった人権尊重が明記されていません。特に「自由意思による、事前の、十分な情報に基づく同意」(FPIC:Free, Prior and Informed Consent)(注4)の要件は追加されませんでした。NDPEと同様、FPIC 基準は国連「持続可能な開発目標」(SDGs)の達成や「国連ビジネスと人権に関する指導原則」(UNGP)への遵守に不可欠です。

SMBCは前述の通り、パリ協定締結以降の化石燃料への資金提供額がアジア5位、世界18位であることが明らかになっています。また、3メガバンクは東南アジアの森林減少に加担している企業への最大の資金提供者に含まれます(注5)。 SMBCの融資先には、問題案件となっているベトナムおよびインドネシアの新規石炭火力発電所建設、インドネシアで人権侵害を伴うパーム油の農園(注6)、米国で先住民族らによる抵抗が続くオイルサンド・パイプライン(注7)等が含まれています。

注1 ) 三井住友フィナンシャルグループ、「SMBCグループ TCFDレポート 2021」の発行について」、2021年8月31日

「SMBCグループ TCFDレポート 2021」

注2)RAN他プレスリリース「『化石燃料ファイナンス成績表2021』発表〜世界60銀行、パリ協定後も化石燃料に3.8兆ドルを資金提供〜」、2021年3月24日

注3)NGO共同声明「MUFGが石炭火力・森林セクター方針を改定、なおパリ協定と整合せず」、2021年4月26日

注4)FPIC(エフピック)とは、先住民族と地域コミュニティが所有・利用してきた慣習地に影響を与える開発に対して、自由意志による、事前の、十分な情報を得た上で同意する、または同意しない権利のことをいう。

注5)RAN他「森林と金融データベース」より
参照:​​RAN他プレスリリース「『森林と金融』メガバンク等の森林方針の評価を発表」、2021年6月22日

注6)RAN、インドフードまたは同社グループ企業への投融資に関する銀行・投資家向けレター、2020年11月13日

注7)RAN声明「メガバンクが支援する北米パイプライン『ライン3』、活動家らの封鎖で工事中断」、2021年7月7日

本件に関するお問い合わせ先
レインフォレスト・アクション・ネットワーク
広報:関本 Email: yuki.sekimoto@ran.org

NGO共同声明:みずほ、石炭採掘・化石燃料コーポレートファイナンスなどで進展するもパリ協定の目標達成の水準にはなお及ばず(2021/5/14)

昨日13日、みずほフィナンシャルグループ(以下、みずほ)が「サステナビリティアクションの強化について」を発表し(注1)、パリ協定の目標と整合するポートフォリオへの転換、化石燃料企業の移行リスクへの対応強化、新規炭鉱採掘への投融資禁止などの方針を明らかにしました。みずほのポリシー改定は、いくつかの点で他のメガバンクよりも前進しており、脱炭素化に向けた方針強化を歓迎します。一方で、現時点でそこに届かない点もあります。今改定をもってしてもパリ協定と整合的であると判断することは難しく、気候危機の緊急性を踏まえて、より具体的な目標や指標、ロードマップの早急な策定が求められます。

みずほ株主総会会場前での環境NGOアクション、2020年6月25日、東京

石炭採掘(一般炭)セクター方針の改定
今般、「新規の炭鉱採掘(一般炭)を資金使途とする投融資等は行わない」としたことは他の邦銀に先駆けた方針強化として歓迎します。一方で、「既存の炭鉱採掘(一般炭)を資金使途とする案件については、パリ協定と整合的な方針を表明している国のエネルギー安定供給に資する案件に限り、慎重に検討の上、対応する可能性あり」と例外を残したことは不十分です。

石炭火力セクター方針は抜け穴残す
石炭火力発電所の投融資等停止の例外として「当該国のエネルギー安定供給に必要不可欠、且つ、リプレースメント案件は慎重に検討」「革新的、クリーンで効率的な次世代技術の発展」等の規定を残したことは問題です。現在実用化されていないCCUSやアンモニア・水素混焼等は、2030年までの排出削減にほとんど寄与せず、石炭火力を延命させるものになりかねず、パリ協定1.5度目標に必要な中期目標と整合しません。OECD諸国では2030年までに、世界全体では2040年までに石炭火力発電所を全廃するための具体的なロードマップを描くべきです。

化石燃料企業の移行リスクをセクター方針に追加
「石炭火力発電、石油火力発電、ガス火力発電、石炭鉱業および石油・ガスを主たる事業とする企業は、脱炭素社会に向けた移行が適切になされない場合、移行リスクに晒される可能性があり」「〈みずほ〉は、気候変動に伴う移行リスクへの対応が進展するよう、取引先とエンゲージメントを行い、一定期間を経過しても、移行リスクへの対応に進捗がない取引先への投融資等は、慎重に取引判断を行います」と発表したことについては、今回初めて化石燃料に依存する企業に対するコーポレートファイナンスに踏み込んで対応しようとする姿勢がみられます。ただし、その具体性には欠けています。エンゲージメントの実効性を担保するためにも、パリ協定と整合的な目標・指標を含む具体的なロードマップを示す必要があります。

パリ協定の目標と整合するポートフォリオ
「環境方針」の改定として、「パリ協定における世界全体の平均気温上昇を抑制する目標達成に向けた資金の流れをつくり、 同目標に整合したファイナンスポートフォリオへと段階的に転換を図っていきます」と明確化したことは歓迎されます。一方で、1.5度目標に整合するには(注2)、石炭火力向け与信残高削減目標をコーポレートファイナンスへ適用拡大、より早期の実現、石油・ガスおよび森林関連セクターへ拡大することが求められます。今回、北極圏での石油・ガス採掘事業、オイルサンド、シェールオイル・ガス事業を明記しましたが、環境・社会リスク評価の実施に留まり、パリ協定の整合性に必要な具体的禁止事項が示されるべきです。
また、SMBCグループが投融資ポートフォリオのGHG排出量把握(Scope3)にコミットしたことは重要であり、みずほも続くべきです。

大規模農園(大豆等)セクター、パームオイルセクター
パーム油および木材・紙パルプセクターの顧客企業に限定されていた「森林破壊ゼロ、泥炭地開発ゼロ、搾取ゼロ」(NDPE)等の環境・人権方針の策定や、「自由意思による、事前の、十分な情報に基づく同意」(FPIC、注3)の尊重が、大規模農園(大豆等)セクターにも拡大された点は歓迎します。一方パーム油セクターでは、顧客農園企業に全農園での「持続可能なパーム油のための円卓会議」(RSPO)認証取得を求めるものの、取得予定のない企業との取引も「同水準の対応」であれば可能とし、抜け穴になる可能性があります。方針は顧客の独立系サプライヤーやパーム油購入企業には適用されないため、人権侵害や環境破壊への加担を避けることは困難です。そしてNDPE方針の策定やFPICの尊重を求めるだけでなく、遵守状況の確認も求められます。さらに農園開発時の火入れの禁止を明記しなかったことは気候対策面から大きな失敗です。

<各団体からのコメント>
国際環境NGO 350.org Japanキャンペーナーの渡辺瑛莉は「今般のみずほの方針は、石炭採掘の新規投融資停止など、邦銀の中では最も先進的だと言えますが、世界の主要銀行と比べると低い水準に留まっています。パリ協定と整合的なポートフォリオへ転換、化石燃料企業と移行リスクエンゲージメント強化などは具体的な中期目標や指標の設定・公表、化石燃料セクターからのフェーズアウト方針などがなければ、実効性あるポリシーとは見なされません。今後のさらなる方針強化に期待します」と述べました。

気候ネットワークの国際ディレクターの平田仁子は、「昨年、私たちの株主提案は否決されましたが、提案していたパリ協定との整合性を図ることに向けて方針を強化し、コーポレートファイナンスにも踏み込んで対応しようとする姿勢は重要な進展だと考えます。しかしその具体的目標設定に至らなかったこと、石炭火力の延命の可能性を残していることなど、対応はまだ不十分であり、更なる強化が必要です」と指摘しました。

レインフォレスト・アクション・ネットワーク「責任ある金融」シニアキャンペーナーのハナ・ハイネケンは、「投融資先企業との対話を通じてパリ協定と整合する事業を促す意図は評価できますが、気候危機を回避するためには化石燃料の拡大、森林破壊、泥炭地の破壊などを直ちにやめなければいけません。化石燃料及び森林破壊を起こす産品産業への資金提供者として世界トップ10に入るみずほは、現在のポートフォリオを大胆に変えることが必須です」と指摘しました。

注1)みずほフィナンシャルグループ「サステナビリティアクションの強化について」2021年5月13日

注2)詳細はRAN「パリ協定と整合性のある金融機関原則」を参照。

注3)Free, Prior and Informed Consentの略。先住民族と地域コミュニティが所有・利用してきた慣習地に影響を与える開発に対して、事前に十分な情報を得た上で、自由意志によって同意する、または拒否する権利のことをいう。

国際環境NGO 350.org Japan
気候ネットワーク
「環境・持続社会」研究センター(JACSES)
国際環境NGO FoE Japan
メコン・ウォッチ
レインフォレスト・アクションネットワーク(RAN)

<本件に関するお問い合わせ>
国際環境NGO 350.org Japan 担当:渡辺 japan@350.org
気候ネットワーク 担当:平田 khirata@kikoent.org
レインフォレスト・アクションネットワーク(RAN) 担当:関本 yuki.sekimoto@ran.org

NGO共同声明:三井住友フィナンシャル、石炭火力方針を改定もなお抜け穴〜パリ協定と整合せず〜(2021/5/12)

(English follows Japanese)

本日、三井住友フィナンシャルグループ(以下、SMBCグループ)が「気候変動問題への対策強化について」(注1)を発表し、石炭火力セクター方針の改定、グリーンファイナンス及びサステナビリティに資するファイナンス目標の改定などを明らかにしました。環境NGOは、脱炭素化に向けた一定の方針強化を歓迎するものの、パリ協定と整合的なビジネス戦略としてはなお課題が多いとの認識の下、下記の声明を発表しました。

三井住友フィナンシャルグループ株主総会会場前でのアピール行動、2018年6月25日

石炭火力セクター方針の改定
「石炭火力発電所の新設および拡張案件への支援は行いません」と明記し、従来の超々臨界圧(USC)技術などの例外規定を取り除きました。しかし、方針には明記されていないものの、NGOとのやり取りにおいて、「CCUSやアンモニア・バイオマス混焼等、トランジションに資するものについては支援を検討可としている」と明らかにしました。これらの技術はいまだ実用化されておらず、2030年に温室効果ガスを半減するという、パリ協定1.5度目標に必要な中期目標の達成には何ら寄与しません。アンモニアや水素の混焼については、1-2割程度の混焼が目指されているところであり、全く解決策にはなりません。1.5度目標達成のためには、OECD諸国では2030年までに、世界全体では2040年までに石炭火力発電所は稼動を停止する必要があり、単にCCUSや混焼の技術を備えていることを例外扱いするのではなく、1.5度目標と整合的かどうかを厳格に判断する基準が必要です。

投融資ポートフォリオ排出量(Scope3)の把握
SMBCグループが「2050年カーボンニュートラルに向けた長期行動計画および具体的な施策を定めていく」とし、「投融資ポートフォリオのGHG排出量把握(Scope3)と中長期目標の設定」を行うと発表したことは、他の邦銀に先駆けた取り組みとして歓迎します。電力・石油・ガスセクターのScope3の把握を始めるとのことですが、石炭採掘を含めた化石燃料セクター全般およびパーム油を含む森林関連セクターのバリューチェーン全体に今後スコープを拡大していくことを期待します。また、三井住友DSアセットマネジメントなどの運用会社を含めたグループ全体での取り組みが重要です。

中長期目標は設定せず
一方で、欧米の銀行が投融資ポートフォリオの排出量ネットゼロに相次いでコミットしていることと比べて(注2)、同グループの今次改定が「今後の目標設定」に留まったことは懸念されます。昨年同グループが定めた「2040年度に石炭火力発電向けプロジェクトファイナンスの残高をゼロにする」という目標は、パリ協定に整合するために、石炭火力セクターのコーポレートファイナンスにも適用を拡大し、より早期に実現されなければなりません。また、石油・ガス、およびパーム油を含む森林関連セクターに関する改定が何ら行われなかったことは大きな懸念です。これらのセクターも含め、パリ協定と整合する具体的な指標と中長期目標の速やかな設定が求められます。

<各団体からのコメント>
国際環境NGO 350.org Japan代表の横山隆美
は「気候危機の緊急性に比べて、今般のSMBCグループの方針改定は遅々としていると言わざるを得ません。1.5度目標を守るためには、科学の要請に基づいて早期に脱石炭・脱化石燃料を実現する必要があります。現状を見て積み上げるのではなく、あるべき姿からバックキャスティングを行うための強力なリーダーシップが求められます」と述べました。

気候ネットワークの国際ディレクター平田仁子は「今回の方針強化は、パリ協定の下での行動強化の必要性を認識したものと受け止めたいが、SMBCグループのファイナンスがなおパリ協定に整合するものとは評価できません。特に石炭火力セクターにおいて、明示的に書かれていないものの、CCUSやアンモニア・水素混焼技術を容認していることにより、石炭火力の延命を支援することにつながることが大いに懸念されます」と述べています。

「環境・持続社会」研究センター(JACSES)、プログラム・ディレクターの田辺有輝は、「石炭火力発電事業への支援停止について、SMBCグループはNGOとのやり取りにおいて、CCUSやアンモニア・バイオマス混焼等を例外としていることを明らかにしましたが、公開されている方針の文言から、このような例外規定があることを想定することは不可能です。このような例外規定があるのであれば、あらかじめ方針で明示するべきです」と述べています。

レインフォレスト・アクション・ネットワーク(RAN)、責任ある金融シニア・キャンペーナーのハナ・ハイネケンは、「SMBCグループは、ファイナンスによる温室効果ガス排出量の算定を約束したことで、他の邦銀から一歩先に踏み出しました。しかしSMBCの気候フットプリントの重要性を考えると、同グループが化石燃料全般、森林破壊および泥炭地破壊への資金提供停止を含め、1.5度目標のタイムラインに基づいて排出量ゼロを明確に誓約しない限り、真剣に受け止めることはできません」と指摘しました。

注1)https://www.smfg.co.jp/news/j110309_01.html

注2)https://www.unepfi.org/net-zero-banking/

<本件に関するお問い合わせ>
国際環境NGO 350.org Japan 担当:渡辺 japan@350.org
気候ネットワーク 担当:平田 khirata@kikoent.org
「環境・持続社会」研究センター(JACSES) 担当:田辺 tanabe@jacses.org
レインフォレスト・アクションネットワーク(RAN) 担当:関本 yuki.sekimoto@ran.org

*5月13日追記:5月12日配信内容に以下を追加しました。
●RANも13日に賛同団体として連名し、ハイネケンのコメントを追加しました。
●「森林セクター」としていましたが「パーム油を含む森林関連セクター」に変更しました。

Loopholes Remain in SMBC Group’s New Coal Policy
Japan’s Megabank Still Not Aligned with the Paris Agreement

Today, Sumitomo Mitsui Financial Group (hereinafter SMBC Group) published a statement entitled “Reinforcing Efforts against Climate Change,” (1) announcing revisions to its coal-fired power sector policy as well as updated targets for green and sustainability finance. Environmental NGOs welcomed the strengthening of policies toward decarbonization, but issued the following statement, recognizing that there are still many challenges to be addressed for the SMBC Group to set a business strategy consistent with the Paris Agreement.

Coal-fired Power Sector Policy
In the new policy, the Group stated that “Support for newly planned coal-fired power plants and the expansion of existing plants are not provided” and removed exceptions such as ultra-supercritical pressure (USC) technology from the previous policy. However, in an exchange with NGOs, the Group clarified that under the new policy, “support can be considered when (projects) will contribute to transition to decarbonization, such as CCUS and ammonia / biomass mixed combustion.” These technologies have not yet been put to practical use and will not contribute to the achievement of the medium-term goal required for the 1.5 degrees Celsius goal of the Paris Agreement, which is to halve greenhouse gases in 2030. Regarding the mixed combustion of ammonia and hydrogen, about 10-20% of the mixed combustion is aimed at, and it is not a solution at all. Coal-fired power plants need to be shut down by 2030 in OECD countries and by 2040 globally to reach the 1.5 degrees target. Instead of treating CCUS and mixed combustion technology as exceptions, the Group needs to set rigorous criteria to determine whether their clients’ businesses are consistent with the 1.5 degrees goal.

Measurement of Loan/Investment Portfolio GHG Emissions (Scope 3)
The SMBC Group announced that it will “establish a long-term action plan to contribute to a carbon neutral society by 2050 and detailed initiatives” and that it will “obtain a clear understanding of the GHG emissions generated by its loan/investment portfolio (Scope3) and set medium- to long-term targets regarding those emissions.” We welcome this as an initiative that is more progressive than other Japanese banks. The Group explains it will start with Scope 3 of power, oil and gas sectors. We urge the Group to expand the scope to the entire value chain of the fossil fuel sector including coal mining, and the forest sector including palm oil. In addition, it is important to include asset management companies such as Sumitomo Mitsui DS Asset Management and work on it as an entire group.

No Medium-To Long-Term Goal Setting
On the other hand, compared to the recent international trend that European and US banks are committing to net zero emissions in their investment and loan portfolios (2), it is a concern that the Group’s has only committed to “future target setting” of such emissions. The goal set by the Group last year to reduce its credit balance of project finance related to coal-fired power generation to zero by 2040 needs to be realized earlier and be expanded to corporate finance in the coal-fired sector in order to be consistent with the Paris Agreement. There is also great concern that no revisions have been made to the oil and gas and forest sectors. Including these sectors, it is necessary to promptly set specific indicators and medium- to long-term goals that are consistent with the Paris Agreement.

Comments by NGOs
Eri Watanabe, Japan Finance Campaigner for 350.org said “Concerning the urgency of the climate crisis, the revision of the SMBC Group’s policy is much slower. In order to meet the 1.5 degrees target, it is necessary to realize the urgent phase-out of coal and fossil fuel sectors as climate science demands. Strong leadership is required to achieve the target by backcasting, rather than by building up on the current situation.”

Kimiko Hirata, International Director at Kiko Network stated “Understanding that the SMBC Group’s recent revision is due to the recognition of the need to strengthen actions under the Paris Agreement, we cannot evaluate that the Group’s finance is consistent with the Paris Agreement. Especially in the coal-fired power sector, although not explicitly stated, there is great concern that allowing CCUS and ammonia/hydrogen mixed combustion technologies will help extend the life of coal-fired power.”

Yuki Tanabe, Program Director of JACSES said “Regarding the suspension of support for coal-fired power generation projects, the SMBC Group has made it clear that CCUS and ammonia/biomass mixed combustion are exceptions in the conversation with NGOs. It is impossible to assume that there are such exceptions from the announced policy text. If there is such an exception, it should be clearly stated in the policy to avoid misleading understanding by stakeholders.”

Hana Heineken, Senior Responsible Finance Campaigner at RAN said, “SMBC Group has stepped ahead of the other Japanese banks by committing to measure its financed emissions. But given its significant climate footprint, there is no way we can take them seriously without a clear commitment to zero out emissions based on a 1.5 degree timeline, including by stopping the financing of fossil fuels, deforestation, and peat destruction.”

(1) https://www.smfg.co.jp/news_e/e110168_01.html

(2) https://www.smfg.co.jp/news_e/e110168_01.html

Contacts
Eri Watanabe (350.org Japan) Email: japan@350.org
Kimiko Hirata (Kiko Network) Email: khirata@kikoent.org
Yuki Tanabe (JACSES) Email: tanabe@jacses.org
Yuki Sekimoto (RAN) Email: yuki.sekimoto@ran.org

ブログ:バイデン政権、気候変動対策強化〜「キーストーンXL」パイプライン認可取り消しで高まるメガバンクの政治リスク〜(2021/1/29)

責任ある金融 シニア・キャンペーナー ハナ・ハイネケン

写 真 : Kayana Szymczak; Bonnie Chan / RAN

1月20日、ジョー・バイデン氏が米大統領に就任した。就任直後にパリ協定に復帰し、「キーストーンXL」パイプライン建設認可の取り消し、そして北極圏国立野生生物保護区における石油・ガス鉱区のリース権発行を停止した。アメリカの気候危機対策強化の始まりだ。就任から1週間がたった27日には、気候変動を「国家安全保障と外交政策の中心」とする考えのもと、複数の大統領令に署名した。

実は、このような動きは日本のメガバンクに大きな影響を及ぼす。なぜならば、3メガは「キーストーンXL」パイプラインをはじめとするアメリカの化石燃料産業に膨大な資金を提供しているからだ。

メガバンクが支える化石燃料産業

レインフォレスト・アクション・ネットワーク他が行った調査によれば、3メガは世界の化石燃料産業、そしてアメリカでの石油・ガス開発や輸送等のインフラ建設を大きく支えている。

●2015年12月に採択されたパリ協定以降、3メガは化石燃料産業に計約2,814億ドルの融資・引受を2016年から2019年の間に提供した。そして、この資金の約3分の1は化石燃料事業を拡大している上位100社の企業に提供された。邦銀では三菱UFJフィナンシャル・グループ(MUFG)の資金提供額が最も大きく、世界では6位だった。みずほフィナンシャルグループは9位、SMBCグループは20位だ。

●バイデン政権が就任初日にブレーキをかけたオイルサンドと北極圏の石油・ガス産業では、3メガはトップ30の事業社、そして関連するパイプライン企業に合計でそれぞれ約13億ドル、約18億ドルの融資・引受を同期間に提供した。邦銀ではMUFGが最大の資金提供者だった。

●3メガは、アメリカのシェールガス産業の上位40社に計384億ドルの融資・引受を同期間に提供した。ここでも邦銀ではMUFGが最大の資金提供者である。シェールガス産業は気候危機を悪化させているメタン排出の要因の一つで、パイプラインなどの設備から漏れ出すメタンが問題視されている。

写 真 : Jiri Rezac / G R E E N P E A C E

「キーストーンXL」パイプライン建設の取り消し、高まる政治リスクとESGリスク

赤:「キーストーンXL」パイプライン(TCエナジー社:停止)、オレンジ:「ライン3」パイプライン(エンブリッジ 社)、青:トランス・マウンテン(当初はキンダー・モルガンが計画、2019年にカナダ連邦政府へ売却)、黒:アルバータ油田、フロンティア採掘事業(テック・リソーシズ:停止)
出典www.ran.org/funding_tar_sands/

「キーストーンXL」パイプライン(赤線)はTCエナジー社(旧トランス・カナダ社)が計画する、カナダ・アルバータ州のオイルサンド油田から米国ネブラスカ州を通り、メキシコ湾岸の製油所を結ぶ長さ1,179マイルのパイプラインだ。

日量83万バレルの石油を輸送し、年間二酸化炭素排出量は新規石炭火力発電所50基分に相当する影響を及ぼすといわれている。先住民族の権利や水環境、気候に深刻な影響を及ぼす事業で、10年以上もの間、先住民族、牧場主や農家、環境保護活動家、若者など様々な人々が建設に抗議してきた。ESG(環境、社会、企業統治)リスク、特に気候リスク、先住民族の権利侵害リスク、原油流出事故リスク、評判リスクなどが高いことが指摘されてきた。

また、この事業は政権の気候変動対策によって対応が変わり、事業の先行きが不透明になることから政治リスクも高い。2015年11月、 オバマ大統領は気候変動問題を理由にこの事業を却下したが、2017年にトランプ前大統領の元で復活。今回の取り消しの主な理由も気候変動問題だった。

MUFGをはじめ日本の3メガバンクは、このパイプライン事業の建設企業であるTCエナジー社を融資と引受で支えてきた。MUFGの同社への石燃料関連融資・引受額は6億2500万ドル(2016年〜2020年9月末)で、世界9位、邦銀では最多である。MUFGは2020年12月時点で3件の融資に参加し、社債発行1件の引受銀行であった。

今回の認可取り消しによってTCエナジー社は建設を中止したため、メガバンクの資金は座礁資産になったのではないだろうか?

写 真 : Joe P. Dick/ Shooting Stars Inc.

次の課題:「ライン3」パイプライン

気候変動及び先住民族権利問題の観点でキーストーンXLと同じく深刻であることから、「ライン3」オイルサンド・パイプライン(オレンジの線)の取り消しが次の重要課題である。

写 真 : March on Enbridge

エンブリッジ社が建設している「ライン3」パイプラインは、既存のパイプラインを直径の大きいパイプに交換し、カナダのアルバータ州からミネソタ州経由でウィスコンシン州まで、日量76万バレルのオイルサンド原油輸送を計画している。

既存のライン3を安全に廃止することなく現場に放置し、昨年12月からミネソタ州での建設が始まったが、原油流出事故のリスクや先住民族の権利侵害リスク、法的リスクや評判リスクが非常に高い。特に先住民族の反対は激しく、ホワイトアース族とレッドレイク族居留地の部族が主導して3部族が訴訟を起こした。建設現場で逮捕されるなど、今も激しい抵抗が続いている。

また、建設労働者の大半を男性が占めるため、「男のキャンプ(man camps)」と呼ばれる労働者向け仮設住宅が建てられ、先住民族の女性への暴力や人身売買にもつながっていることが問題視されている。加えて、労働者による新型コロナウイルスの感染拡大リスクも指摘されている。

「ライン3」パイプライン事業にも3メガは関与し、このプロジェクトでもMUFGの資金提供額は邦銀で最も多い。エンブリッジ社へのMUFGの化石燃料関連融資・引受額(2016年~2020年9月30日)は26.8億ドル。そのうち、2021年に満期を迎える総額18億ドルの融資1件の主幹事銀行、融資他5件の参加銀行、そして社債発行1件の主幹事会社の役割を担っている。

動画:The Years Project「『ストップ! ライン3』石油パイプラインがもたらす弊害」

メガバンクに求められること

3メガは、北米パイプライン事業で上記のような重大リスクを抱えていることは一切開示していない。また残念ながら、日本ではほとんど知られていない。

3メガは気候変動対策に真剣に取り組むのであれば、このような問題に目を向け、エンブリッジ社とTCエナジー社との関係を断ち切り、先住民族の権利を尊重していない事業や企業、そしてオイルサンド生産拡大事業とそれを進める企業への資金提供を直ちに停止することが必要だ。

化石燃料全体への支援の段階的廃止に向けた第一歩として、インフラ事業も含めオイルサンド部門全体との取引の段階的廃止を約束することが求められる。

写 真 : Kayana Szymczak; Bonnie Chan / RAN

【更新】動画:The Years Project, “Why Enbridge’s Line 3 Pipeline Project Is Bad for Everyone” を日本語字幕版に差し替えました(2021年4月13日)

参考:RANブリーフィングペーパー『北米パイプライン「ライン3」と「キーストーンXL」の黒幕〜オイルサンド・パイプライン建設を支援する世界の銀行』、2020年12月16日発行

声明:米バイデン大統領就任、パリ協定復帰と「キーストーンXL」パイプライン建設認可取り消しについて(2021/1/22)

〜日本のメガバンクの高まる政治リスク〜

環境NGOレインフォレスト・アクション・ネットワーク(本部:米国サンフランシスコ、以下RAN)は、20日(現地時間)、ジョー・バイデン氏が米大統領就任直後にパリ協定に復帰し、「キーストーンXL」パイプライン建設認可を取り消したことについて、以下の声明を発表しました。

パリ協定復帰について

RAN 気候・エネルギープログラムディレクター パトリック・マカリー

「新政権が発足直後にパリ協定に復帰し、トランプ氏による気候政策の混乱を一掃し始めたことは確かに希望を与えてくれます。

しかし、世界の気候危機を起こした米国の大きな役割に対してバイデン政権が説明責任を果たすのであれば、米国の金融機関から世界の化石燃料産業への年間数千億ドルもの資金の流れを止める連邦政府の行動が必要です。米国の政策立案者は、ウォール街の銀行の気候フットプリントをこれ以上無視することはできません」

「キーストーンXL」パイプライン建設認可取り消しについて

RAN事務局長 ジンジャー・キャサディ

「今日、化石燃料産業に反対してきた人々の力によって勝ち取られた、遅れに遅れた勝利を祝います。『キーストーンXL』パイプライン建設の取り消しは、気候科学の論理と先住民の土地権利尊重の必要性を明確にしました。

気候危機対策をしっかりとるには、同様に破壊的な影響をもたらすエンブリッジ社の『ライン3』パイプラインの取り消しと、今後も経済を化石燃料に依存させる『ダコタ・アクセスパイプライン』(DAPL)と他の石油・ガス輸出事業の認可を取り消すことも必要です」

*日本語版追記

「キーストーンXL」パイプラインはTCエナジー社(旧トランス・カナダ社)が計画するオイルサンド・パイプラインで、カナダ・アルバー タ州のオイルサンド油田から米国ネブラスカ州を通り、メキシコ湾岸の製油所に向けて石油を輸送する。10年以上もの間、先住民族、牧場主や農家、環境保護活動家、若者など様々な人々が建設に抗議してきた。

日本の3メガバンクは、上記3つのパイプライン事業の建設に融資等している。三菱UFJフィナンシャル・グループ(MUFG)とみずほフィナンシャルグループは、DAPLへのプロジェクトローンに主幹事銀行として関わった。キーストーンXL及びライン3には3メガバンク全てが参加し、その中でMUFGが最も大きな資金提供者である。今回のバイデン政権による認可取り消しによって、パイプラインを含む化石燃料事業への融資等に対する政治リスクが高まる。

参考:RANブリーフィングペーパー『北米パイプライン「ライン3」と「キーストーンXL」の黒幕〜オイルサンド・パイプライン建設を支援する世界の銀行』、2020年12月16日発行

英文:“RAN Response on Biden Rejoining Paris Agreement”

英文:“RAN Responds to President Biden’s Cancellation of the Keystone XL Pipeline”

レインフォレスト・アクション・ネットーク(RAN)は、米国のサンフランシスコに本部を持つ環境NGOです。1985年の設立以来、環境に配慮した消費行動を通じて、森林保護、先住民族や地域住民の権利擁護、環境保護活動をさまざまな角度から行っています。2005年10月より、日本代表部を設置しています。

本件に関するお問い合わせ先
レインフォレスト・アクション・ネットワーク
広報:関本 Email: yuki.sekimoto@ran.org

発行物:北米パイプライン「ライン3」と「キーストーンXL」の黒幕〜メガバンクの関与

環境NGOレインフォレスト・アクション・ネットワーク(本部:米国サンフランシスコ、日本代表部:東京都渋谷区、以下RAN)は、12月16日、ブリーフィングペーパー「北米パイプライン『ライン3』と『キーストーンXL』の黒幕:オイルサンド・パイプライン建設を支援する世界の銀行」(和訳版)を発表しました。

12月12日、「パリ協定」が採択されてから5年を迎えました。

新型コロナウイルスの感染拡大が厳しい局面を迎え、米国トランプ大統領の任期も残りわずかとなった今、エンブリッジ社の「ライン3」TCエナジー社の「キーストーンXL」という2つの大規模オイルサンド・パイプライン事業が北米で強引に進められようとしています。各パイプラインによって排出される温室効果ガスは、50基の石炭火力発電所に相当すると計算されています。

日本の3メガバンクは、オイルサンド部門の拡大に必要なパイプライン建設に多額の融資・引受を行っています。3メガバンクは今年初めて、オイルサンドに適用する方針を発表しました。キーストーンXLの建設資金をまかなう42億ドルのプロジェクトローンを確保するプロセスが進められる中、どのように方針を実施していくかが問われます。

TCエナジー社の「キーストーンXL」パイプラインはオバマ政権時代に計画が中止されましたが、トランプ大統領が建設を再承認し、政権交代前に建設が押し進められようとしています。バイデン次期政権が気候変動対策強化を打ち出す中、「ライン3」パイプライン建設も先住民族の抵抗が強まり、注目されています。両パイプラインは「ダコタ・アクセス・パイプライン」と多くの類似点があり、先住民族主導の激しい反対運動に直面しています。

3メガバンクを含む大手グローバル銀行は、両パイプライン建設への資金提供について、今後数カ月の内に明確な選択を迫られることになります。

ブリーフィングペーパーを読む>>
「北米パイプライン『ライン3』と『キーストーンXL』の黒幕:オイルサンド・パイプライン建設を支援する世界の銀行」(PDF)