IOC、無計画で持続不可能な東京オリンピック競技場建設に加担
緊急リリース
2017年7月24日
連絡先:
ペグ・パット(マーケット・フォー・チェンジ):+61 418 127 580, peg.putt@gmail.com
川上豊幸 (レインフォレスト・アクション・ネットワーク):+81 80 3488 9849, toyo@ran.org
アニーナ・エベリ(ブルーノ・マンサー・ファンド):+41 128 58 73/+60 11-25117107, annina.aeberli@bmg.ch
ちょうど3年後に開催される東京2020オリンピックを記念して今日開かれる「東京2020オリンピック・パラリンピック・フラッグ・ツアー・フェスティバル」に、オリンピック主催者の持続可能性コミットメントの重大な弱点が影を落としています。過去6ヶ月間、国際オリンピック委員会(IOC)は、東京の新国立競技場の建設に、その由来が不明または不審な大量の熱帯材を使用されることがわかっていながら認めていたと、レインフォレスト・アクション・ネットワーク、マーケット・フォー・チェンジ、ブルーノ・マンサー・ファンド、サラワク・ダヤック・イバン・アソシエーション、熱帯林行動ネットワークが述べています。熱帯材原産地に関する明らかな透明性欠如と調達における予防策の脆弱さにより、その持続可能性または合法性を保証することができなくなっています。 持続可能性の明白なリスクへの対処にIOCが失敗していることは「オリンピックのあらゆる面に持続可能性を含める」という自らのコミットメントへの明確な違反であると、NGOは主張しています。
今年4月には、マレーシアのサラワク州の悪名高い木材会社が供給した熱帯材合板が、新東京オリンピック競技場の建設現場で発見されました。環境団体にそれを公表された後、東京オリンピック当局はシンヤン社(Shin Yang)が供給している木材を使用したことを認めましたが、その対象の木材がPEFC認証を受けていることを理由にそれを擁護しました。新国立競技場の基礎工事のために大量の熱帯材合板が引き続き使用されていましたが、当局は木材が伐採された場所や、認証を受けた供給源からの木材の割合を公表していません。
サラワク州は熱帯材合板の日本への主要な供給元ですが、腐敗、持続不可能な伐採、先住民族の権利侵害がはびこっています。例えば、シンヤン社は手つかずの熱帯林の破壊、違法伐採、人権侵害に組織的に関与しています。ブルーノ・マンサー・ファンドのアニーナ・エベリは次のように述べています。「どの会社が木材を供給しているか、木材がどこから来ているのかについての完全な透明性がない状況では、サラワクの木材が持続可能、または合法であるという保証はありません」。
2016年12月6日、44のNGOはIOCに対して、違法で持続不可能な熱帯材が東京の新オリンピック競技場とその他関連施設の建設に使用されることを警告する手紙を送りました。この中でNGOは、建設当初に追加的に予防策とデュー・デリジェンスの措置を講じないと、人権侵害、違法伐採、熱帯林破壊の共犯になる可能性があると警告しました。
5月17日、IOCは、東京オリンピック当局は「持続可能性に配慮した木材の調達基準」を遵守していることに言及してNGOの懸念に応えました。驚いたことに、公益財団法人東京オリンピック・パラリンピック組織委員会は、持続可能性を犠牲にしたとしても「基準は…実現可能性を確保するために木材貿易の実際のビジネス慣行を考慮」を許容すると、その手紙は伝えていました。
「 持続可能性に配慮した木材の調達基準は、数十年間日本の『実際のビジネス慣行』であった熱帯材合板の極めて持続不可能な使用を正当化している。」とレインフォレスト・アクション・ネットワークのハナ・ハイネケンは述べています。日本は熱帯材合板の最大輸入国であり、コンクリート型枠に使用される合板はほとんどがマレーシアやインドネシアの熱帯林に由来しています。コンクリート型枠用合板は、特定の例外の下で、環境、労働、人権の要求事項から適用除外となっています[1] 。「これは業界への大きな贈り物だった」と彼女は語りました。
PEFC認証システムは合法性および社会的・環境的責任を保証できていないというかなりの証拠があるにもかかわらず、東京大会の木材コードがこの認証を取得したすべての木材にゴーサインを出すことで、これらの欠陥品も混入させてしまっていると、NGOは指摘しています.[2]。
シンヤン社のPEFC認証合板は人権侵害と関連していることを示す証拠が存在しています。 サラワクのロング・ジェイク先住民族コミュニティのマットゥ・トゥガン氏は、30年以上にわたりシンヤン社と闘い続けており、最近の声明の中で「(シンヤン社は)、伐採の前に彼らの前にあるもの全てを破壊する。そのため、ロング・ジェイクでの私たちの生活は非常に厳しい。」と述べています。現在、コミュニティの周囲の森林は、シンヤン社のPEFC認証合板工場の少なくとも2つに木材を供給しています[3]。「シンヤン社のPEFC認証は、その『認証された』伐採行為が先住民族の生活を破壊しているという証拠を前にして、意味をなさない。」とマーケット・フォー・チェンジのCEO、ペッグ・パットは述べました。
NGOは、オリンピック当局に対して木材調達について完全に透明であること、すなわち使用中のすべての熱帯木材に対する完全な追跡可能性と第三者による検証の確立、全ての木材が熱帯林破壊、違法伐採、人権侵害に関連していないことの保証を求めます。そのためには、シンヤン社の木材の使用を直ちに止める必要があります。
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注
[1]この例外は、再利用される型枠用合板に適用される。型枠用合板は、通常2〜3回使用された後廃棄される。.持続可能性に配慮した木材の調達基準、2項目を参照。 https://tokyo2020.jp/jp/games/sustainability/data/sus-wcode-timber-JP.pdf
[2] マレーシアにおけるPEFCとの相互認証制度は、マレーシア木材認証制度(MTCS)である。 PEFCとMTCSの弱点の分析については、以下を参照。WWF Forest Certification Assessment Tool The PEFC-endorsed system in Malaysia is the Malaysian Timber Certification Standard (MTCS). For an analysis of the weaknesses of PEFC and MTCS, see WWF Forest Certification Assessment Tool (CAT), http://wwf.panda.org/wwf_news/?246871/WWF-Forest-Certification-Assessment-Tool-CAT; http://timbernews.org/malaysia_eu_vpa/; www.greenpeace.org/international/en/campaigns/forests/solutions/alternatives-to-forest-destruc/Weaker-Certification-Schemes/
[3] ロング・ジェイクのコミュニティは、License for Planted Forest (LPF) 0018に位置するが、ここはシンヤン合板のビントゥル工場とビントゥルのシンヤン社所有のフォレスコム合板工場に原料供給することが知られている。以下を参照。Global Witness, Japan’s Links to Rainforest aDestruction in Malaysia: Risks to a sustainable 2020 Tokyo Olympics, December 2015, www.globalwitness.org/en/reports/shinyang/, and Global Forestry Services, Chain of Custody Checklist & Assessment Report of Shin Yang Plywood (Bintulu) and Forescom Plywood, www.gfsinc.biz/wp-content/uploads/2015/05/Summary-Shin-Yang-Plywood-Bintulu-Nov-2016.pdf, www.gfsinc.biz/wp-content/uploads/2015/05/Summary-Forescom-Plywood-Bintulu-Nov-2016.pdf