サンフランシスコに本部を持つ米国の環境NGO RAINFOREST ACTION NETWORKの日本代表部です

プレスリリース:三菱UFJ子会社のMUFGユニオン・バンクにアピール行動(2018/9/15)

〜三菱UFJに森林破壊と環境負荷が最も高い化石燃料への資金提供停止を求めて〜
「グローバル気候行動サミット」開催中のサンフランシスコにて

MUFGユニオン・バンクの本社前でアピールする人々

サンフランシスコ−−環境NGOレインフォレスト・アクション・ネットワーク(本部:米国サンフランシスコ、日本代表部:東京都新宿区、以下RAN)は、14日(現地時間)、環境・人権・先住民族の権利を主張する人々とともに数十名で、三菱UFJフィナンシャル・グループ(MUFG)子会社のMUFGユニオン・バンクの本社前でアピール行動を行い、森林破壊及び環境負荷が最も高い「エクストリーム化石燃料」(注1)への資金提供を停止することで「気候変動への融資」を止めるようMUFGに求めました。MUFGは日本最大の銀行で、世界第5位の銀行です。このアピール行動は9月12日から14日にサンフランシスコで開催された「グローバル気候行動サミット」(GCAS)と国連の「責任投資原則」(PRI)主催で毎年開催される、責任ある投資家のための世界最大の国際会議「PRI in Person」にともなって行われました。

RAN責任ある金融シニアキャンペーナー ハナ・ハイネケンは「三菱UFJは、問題の多いタールサンドのパイプラインや世界中の石炭火力発電、そして熱帯林破壊への資金提供を通じて、気候変動に多額の融資をしています。ゼロ・カーボンの未来へ移行するためには、銀行は重要な役割を担っています。しかしあまりにも多くの銀行が化石燃料と森林破壊に資金提供を続け、パリ協定と持続可能な開発目標(SDGs)の達成を弱めています。三菱UFJは今年になって融資・引受に関して環境と社会に配慮した方針を制定し、大胆な最初の一歩を踏み出しました。しかし、さらなる改善が求められます」と訴えました。

国際的なキャンペーン団体は、気候変動危機に「油を注ぐような」役割を果たす金融機関に対し、ますます働きかけを強めています。特に日本の銀行は、気候に損害をもたらす産業を支援し、非常に大きな地域的役割を果たしているため、キャンペーン団体から監視の対象とされています。MUFGは今年の株主総会で環境NGOの350.org から批判されました。

先住民環境ネットワークのコミュニティ・オーガナイザーで、シャイアン・リバー・スー族のジョイ・ブラウン氏は「三菱UFJのタールサンドやパイプライン建設企業への資金提供は大量虐殺的で、環境及び社会的配慮がほとんどされていません。銀行が私たちの民族や孫たちの生活を脅かし続けることを許しません」と声をあげました。ブラウン氏は以前、日本に留学生した経験もあります。

MUFGはこれまで、大問題となったダコタ・アクセス・パイプライン(DAPL)への融資で中心的な役割を果たす銀行に含まれていたため、論争と無縁だったわけではありません。DAPL建設はスタンディングロックでの数カ月にもわたる歴史的な抗議に火をつけ、国連の代表者は先住民の権利が侮辱されたと非難しました。MUFGは、他の化石燃料インフラ計画にも資金提供をしています。それには物議を醸したバイユー・ブリッジ、キーストーンXL、ライン3などのパイプライン建設計画が含まれ、エナジー・トランスファー・パートナーズ、トランスカナダ、エンブリッジといった北米のタールサンド・パイプライン建設企業への資金調達を通じて加担しています。RANが4月に発表した報告書「化石燃料ファイナンス成績表2018」(注2)に基づくと、MUFGは世界中の石炭火力発電所に資金提供し、2015年から2017年の間の石炭火力発電への融資・引受額では世界5位でした。

化石燃料だけでなく、MUFGは、気候変動を悪化させる熱帯林破壊と、関連する人権侵害に関わる企業へも資金提供していることがRANの調査で明らかになっています。インドフード社のようなパーム油大手企業にも融資を続けていますが、インドフード社は熱帯林破壊と労働者搾取が問題視されています(注3)。MUFGはインドネシアで事業を拡大しようとしているため、森林破壊と人権問題にさらされるリスクが増大する可能性があります。

今年5月15日、MUFGは融資・引受に関する広範な「MUFG 環境・社会ポリシーフレームワーク」を初めて制定しました。日本の3メガバンクの中でも初めての適用でしたが、気候変動がもたらす破壊的活動への融資・引受を終わらせるまでには至りませんでした。本日のアピール行動に集まった人々は、MUFGは社会及び環境への影響にしっかりと責任を果たしている企業にのみ資金提供し、持続可能な社会の実現に確実に貢献するよう、自社の方針を実行し、かつ強化するよう訴えました。

*MUFGの 環境方針、人権方針、取引先などに適用される環境・社会ポリシーフレームワークの制定についてはこちらをご参照ください。

NGO共同声明「小さな前進、しかし具体的な取り組み内容の向上が必要」三菱UFJの環境・社会ポリシーフレームワークの制定について環境NGOが評価を公表」(2018/5/25)

注1)「エクストリーム化石燃料」は最も炭素集約度が高く財務上リスクのある燃料で、石炭採掘、石炭火力発電、エクストリーム・オイル(タールサンド、北極・超深海の石油)、北米での液化天然ガス(LNG)輸出ターミナルが含ま れる。

注2)プレスリリース:新報告書 「化石燃料ファイナンス成績表2018」日本語要約版発表(2018/4/9)

注3)参考:「3大メガバンクが直面するパーム油セクターのESGリスク:インドフード社への事例」(ハナ・ハイネケン、「RIEF環境金融研究機構」への寄稿)

アピール行動の写真はこちらからダウンロードしていただけます。

レインフォレスト・アクション・ネットーク(RAN)