サンフランシスコに本部を持つ米国の環境NGO RAINFOREST ACTION NETWORKの日本代表部です

ブログ:「MUFGユニオン・バンク、気候変動に融資しないで」グローバル気候行動サミットに合わせて(2018/9/20)

ユニオン・バンクの親会社、三菱UFJに環境負荷が高い化石燃料と森林破壊への資金提供停止を求めて

責任ある金融 シニア・キャンペーナー ハナ・ハイネケン

ゼロ・カーボンの未来へ移行するためには、銀行は重要な役割を担っています。しかし残念ながら多くの大手銀行は、自然エネルギーなどの持続可能で正しい解決策よりも、化石燃料と森林破壊に多くの資金を提供しており、環境と未来の両方を危険にさらしています。

「グローバル気候行動サミット」(GCAS) は、カリフォルニア州のジェリー・ブラウン知事の主催で2018年9月に開催され、大企業が気候変動への新たなコミットメントを発表する機会としてPRされていました。しかし実際は数千人規模の街頭抗議が起き、抗議した人々は、GCASは企業の「グリーンウォッシュ」(*)の場で、他の場所も汚染する新たなお墨付きを与えてしまうと批判しました。*環境配慮の実態がないにも関わらず、あたかも環境に配慮しているように見せかけること。

MUFGユニオン・バンクの本社前でアピールする人々

一週間にわたって、数千もの人々や様々な団体、環境破壊の最前線で抵抗するコミュニティのリーダーたちが気候正義を求めて抗議活動を行いました。GCAS最終日の9月14日、RANら活動家は、ユニオン・バンクのサンフランシスコ本社前に集まり、同銀行の親会社である三菱UFJフィナンシャル・グループ(MUFG)に対して「気候変動に融資しないで」と横断幕を掲げ、気候変動への資金提供停止を求めました。MUFGは日本最大で世界第5位の銀行ですが、実は、気候変動を引き起こしている企業に多額の融資を行なっています。そういった企業は熱帯林を破壊し、世界で最も多くの二酸化炭素を排出する化石燃料を開発して輸送し、燃やしています。

MUFGは、物議を醸している「ダコタ・アクセス・パイプライン」(DAPL)への融資で中心的な役割を果たした銀行の一つでした。この1,172マイル(約1,875km)にもおよぶ石油パイプライン事業は、米国ノースダコタ州スタンディングロックでの数カ月にもわたる先住民族主導による歴史的な抗議に火をつけました。同事業は、国連の代表者らにも先住民族の権利を侮辱したとして非難されています。

MUFGは、他の化石燃料インフラ計画にも資金提供をしています。それには、物議を醸した「キーストーンXL」や「ライン3」といったタールサンド・パイプライン計画、「バイユー・ブリッジ・パイプライン」計画が含まれ、エナジー・トランスファー・パートナーズ社、トランスカナダ社、エンブリッジ社への資金調達を通じて加担しています。RANが4月に発表した「化石燃料ファイナンス成績表2018」に基づくと、MUFGは世界中の石炭火力発電所に資金提供し、2015年から2017年の間の石炭火力発電への融資・引受額では世界5位でした。

シャイアン・リバー・スー族のジョイ・ブラウンさんは、RANとともに、MUFGへの抗議活動に参加しました。彼女は先住民環境ネットワークのコミュニティ・オーガナイザーで、ダコタ・アクセス・パイプライン計画への抗議活動に初日から参加してきました。

ブラウンさんは「三菱UFJのタールサンドやパイプライン建設企業への資金提供は大量虐殺的で、環境及び社会的配慮がほとんどされていません。銀行が私たちの民族や孫たちの生活を脅かし続けることを許しません」と声をあげました。ブラウンさんらは、MUFGの代表取締役に宛てた手紙をユニオン・バンクに手渡し、持続可能な未来の障害となる企業とのビジネスをやめるよう求めました。

MUFGは、化石燃料に固執する企業だけでなく、熱帯林を破壊し、熱帯林破壊に付随して起こる人権侵害や労働権侵害を行っている企業にも多額の資金を提供しています。MUFGは、インドフードなどパーム油大手企業にも融資を続けていますが、こういった企業は熱帯林破壊と労働者搾取が問題視されています。MUFGはインドネシアでの事業拡大の計画があり、森林破壊と人権問題にさらされるリスクがさらに大きくなる可能性があります。

2018年5月15日、MUFGは融資・引受に関する広範な「MUFG 環境・社会ポリシーフレームワーク」を初めて制定しました。これは日本の三メガバンクでも初めての取り組みで、大胆なステップだったといえます。同方針は環境保護に関していくつかの重要な基準や人権尊重を明確に誓約している一方で、気候変動による破壊をもたらす活動への資金提供停止を約束するまでには至りませんでした。現在でもMUFGは、重大な社会・環境影響を引き起こす企業に資金提供を続けています。

MUFGは現行の方針を完全に実践し、かつ方針をさらに強化して、持続可能な未来に貢献することを確かにする必要があります。今こそ、人々と地球を守ることができる方針を制定し、その理念を実際の行動に移すことで、5月に始めた環境・社会配慮への取り組みを完成させるチャンスです。世界はこれ以上待てません。

関連資料
プレスリリース「三菱UFJ子会社のMUFGユニオン・バンクにアピール行動」(2018/9/15)

署名「MUFGユニオン・バンク、気候変動に融資しないで」(英語、MUFG stop bankrolling climate change!)

写真はこちらから

原文:“RAN targets MUFG Union Bank during Global Climate Action Summit: Climate activists demand that parent company MUFG end financing of extreme fossil fuels and deforestation” , September 20, 2018(和訳は2019年5月17日に投稿しました)