サンフランシスコに本部を持つ米国の環境NGO RAINFOREST ACTION NETWORKの日本代表部です

‘気候変動’カテゴリーの記事一覧

メディア掲載:東京新聞でRAN「化石燃料ファイナンス成績表」が紹介されました(2019/5/24)

東京新聞「脱石炭火力へ埋まる外堀  環境配慮 3メガ銀融資抑制」(2019年5月24日付、一面)〜RAN「化石燃料ファイナンス成績表」での試算等が紹介されました〜

「三菱UFJフィナンシャル・グループなど国内の三メガバンクが石炭火力発電所への融資を抑制する動きを見せている。温暖化の主因とされる二酸化炭素(CO2)の排出量が多い石炭火力の建設を抑制する機運に対応する。日本政府は今後も石炭火力を安く安定的に発電できる基幹電源と位置づけるが、金融面から「脱石炭」へ見直しを迫られる可能性がある。  続きを読む

関連:NGO共同プレスリリース「3メガバンク、パリ協定後も化石燃料に約1,860億ドルを資金提供 新方針は気象災害を回避するには不十分〜RAN他『化石燃料ファイナンス成績表2019』日本語要約版発表〜」(2019/4/8)

NGO共同声明:みずほが石炭火力発電融資に関する新方針を発表、三菱UFJの新方針と比べて低水準に (2019/5/22)

(English follows Japanese)
5月22日、みずほフィナンシャルグループ(以下、みずほ)が「サステナビリティへの取り組みに関する推進体制の強化について」と題するニュースリリース(注1)を発表し、石炭火力発電事業への投融資について「基準厳格化」等の改定を行いました。具体的には「石炭火力発電の新規建設を資金使途とする投融資等については、国際的なガイドライン(OECD公的輸出信用ガイドラインなど)、導入国のエネルギー政策・気候変動対策、日本のエネルギー政策や法規制と整合する場合に限り対応します。その上で、原則、世界最新鋭である超々臨界圧及び、それ以上の高効率の案件に限定します。(ただし、運用開始日以前に支援意思表明済みの案件は除きます。)」と表明しています。

具体的には「石炭火力発電の新規建設を資金使途とする投融資等については、国際的なガイドライン(OECD公的輸出信用ガイドラインなど)、導入国のエネルギー政策・気候変動対策、日本のエネルギー政策や法規制と整合する場合に限り対応します。その上で、原則、世界最新鋭である超々臨界圧及び、それ以上の高効率の案件に限定します。(ただし、運用開始日以前に支援意思表明済みの案件は除きます。)」と表明しています。

日本の3メガバンクの中では、5月15日に三菱UFJフィナンシャル・グループ(以下、MUFG)が「新設の石炭火力発電へのファイナンスは原則として実行しません」と表明(注2)したばかりであり、MUFGの方針と比較して、みずほの方針は低水準であると言わざるを得ません。また、三井住友銀行は、みずほと同水準の方針を昨年6月に表明(注3)しており、みずほの今回の方針強化のスピードは非常に遅々たるものであると言えます。

今年レインフォレスト・アクション・ネットワーク(RAN)他が発表した『化石燃料ファイナンス成績表』(注4)によると、みずほはパリ協定締結後の2016年から2018年までの3年間、全化石燃料セクターへの融資・引受額が世界で10番目に多い銀行で、石炭火力発電部門への融資・引受額も世界8位です。石炭火力発電の新規建設がパリ協定の目標に整合していないことは明らかであり、海外の先進的な民間金融機関の方針と比べても大きく後れを取っています。

みずほは新方針の中で、「脱炭素社会への移行に向けて気候変動への対応に積極的に取り組む」と表明していますが、そうであれば、新規石炭火力発電事業への融資をやめる方針を掲げるとともに、石炭火力発電や石炭採掘の依存度が高い企業への投融資(企業融資、株式・債券の引受及び保有)から撤退する方針を掲げるべきです。また、科学的知見及びパリ協定の目標に基づき、石炭のみならず、炭素排出量の多い他の化石燃料産業への投融資の抑制方針を掲げることが重要です。

さらに、3メガバンクは各方針のなかで、運用開始日以前に支援意思を表明した案件について支援を継続する方針を示していますが、これはパリ協定の目標との整合性に照らせば不十分です。私たちは、3メガバンクが、現在計画中もしくは建設中のベトナムやインドネシア等の海外および国内における石炭火力発電事業への支援も早急に見直すことを含め、さらなる方針の強化を求めます。

国際環境NGO350.org
「環境・持続社会」研究センター(JACSES)
レインフォレスト・アクション・ネットワーク(RAN)
認定NPO法人 気候ネットワーク
国際環境NGO FoE Japan
国際環境NGOグリーンピース・ジャパン

注1)株式会社みずほフィナンシャルグループ「サステナビリティへの取り組みに関する推進体制の強化について」
注2)株式会社三菱UFJフィナンシャル・グループ「サステナブルファイナンス目標の設定とMUFG環境・社会ポリシーフレームワークの改定について」
注3)株式会社三井住友銀行「事業別融資方針の制定およびクレジットポリシーの改定について」
注4)レインフォレスト・アクション・ネットワーク(RAN)他「化石燃料ファイナンス成績表」

Mizuho’s New Policy on Coal-fired Power Generation Financing Falls Behind Mitsubishi UFJ Policy Revisions

JOINT STATEMENT
Wednesday, May 22, 2019

350.org
Japan Center for a Sustainable Environment and Society (JACSES)
Rainforest Action Network (RAN)
KIKO Network
Friends of the Earth Japan
Greenpeace Japan

On May 22, Mizuho Financial Group (hereinafter, Mizuho) announced revisions to its policies for investing in coal-fired power generation in a press release (*1) titled “Strengthening of the promotion system for our approach to sustainability.”

The press release indicates that “Investment and financing for construction of new coal-fired power projects will be provided consistent with international guidelines (such as OECD Official Export Credit Guidelines), energy policies and climate change measures in host countries, and Japan’s energy policy. In principle, financing will be limited to the world’s most advanced ultra-supercritical pressure and higher efficiency projects. (That said, this change will not impact projects for which declarations of support have been made before the enactment of this policy.)”

Among Japan’s three megabanks, Mizuho’s policy falls behind even the standard set by Mitsubishi UFJ Financial Group’s (hereinafter MUFG) May 15 policy announcement, in which MUFG declared that it would not provide financing for new coal-fired power projects in principle. (*2) In fact, the policy announcement only aligns Mizuho’s policy with the policy Sumitomo Mitsui Banking Corporation announced in June 2018 (*3), demonstrating just how far behind Mizuho is compared to its peer companies in Japan.

In the three years following the conclusion of the Paris Agreement, 2016-2018, Mizuho ranked among the ten largest fossil-fuel sector funders in terms of loans and underwriting according to the Fossil Fuel Finance Report Card 2019 (*4), published by Rainforest Action Network (RAN) and other NGOs earlier this year. In the area of coal-fired power generation, Mizuho’s loans and underwriting make it the eighth largest funder for that sector. It is clear that new construction of coal-fired power plants is not in line with the goals of the Paris Agreement, and Mizuho’s policy puts the company far behind major non-Japanese financial institutions in efforts to adjust financial policies appropriately.

We urge Mizuho to put in place a policy to discontinue financing for new coal-fired power operations and withdraw from all investment in companies that are highly dependent on coal-fired power generation and coal mining, including loans, underwriting, and holding of stocks and bonds.

Japan’s three megabanks’ policies are not consistent with the objectives of the Paris Agreement, in part because of their continued support for coal-fired power projects to which they committed before the enactment of those policies. Simply disclosing these projects is not enough. We call on all three banks to further strengthen their policies, including through a prompt review of their support for all coal-fired power generation projects currently being planned or under construction, both domestically and in such recipient countries as Vietnam and Indonesia.

(1) Mizuho Financial Group Co., Ltd. “Strengthening the promotion system for sustainability activities” (in Japanese)
(2) Mitsubishi UFJ Financial Group, Inc. “MUFG Sets Sustainable Finance Goals and Revises Environmental and Social Policy Framework ”
(3) Sumitomo Mitsui Banking Corporation “Establishment of policy for businesses associated with Environmental and Social risk”
(4) Rainforest Action Network (RAN) et al. “Banking on Climate Change – Fossil Fuel Finance Report Card 2019”

Contacts:
Yuki Tanabe, Japan Center for a Sustainable Environment and Society (JACSES),
phone: +81-3-3505-5553 Email: tanabe@jacses.org

Yuki Sekimoto, Rainforest Action Network (RAN),   
phone: +81-3-6721-0441 Email: yuki.sekimoto@ran.org

Chisato Jono, Greenpeace Japan,
phone: +81-80-6558-4446 Email: chisato.jono@greenpeace.org



声明:三菱UFJ、新方針で森林保護と気候変動対策を約束 しかし問題は山積み (2019/5/17)

環境NGOレインフォレスト・アクション・ネットワーク(本部:米国サンフランシスコ、日本代表部:東京都渋谷区、以下RAN)は、三菱UFJフィナンシャル・グループ(MUFG)が融資・引受を行う際の「環境・社会ポリシーフレームワーク」(注1)の改定を15日に発表したことを受けて、「今回の方針改定は重要なステップだが、気候変動や森林破壊、人権侵害に資金提供しないことを確実にするために実行すべきことはたくさんある」とコメントを発表しました。MUFGは日本最大の金融グループで、世界5位の資産総額を保有する銀行です。

今回の方針改定はNGOからの強い批判(注2)が続く中で発表されました。NGOは、MUFGが東南アジアで熱帯林破壊を加速させている複数の企業への融資・引受額が6番目に大きく、化石燃料全般への融資・引受額が世界で7番目に大きいことを指摘しています。またMUFGは日本のメガバンクの中で、パーム油セクターへの資金提供が最も多く、化石燃料、特に石炭火力発電事業への資金提供も最大です(注3注3′)。

MUFGユニオン・バンクの本社前でアピールする人々、2018年9月、サンフランシスコ

RAN 責任ある金融シニア・キャンペーナー ハナ・ハイネケンのコメント

「今回の方針改定は三菱UFJにとって重要なステップであり、日本の金融セクターで先例を作りました。しかし三菱UFJが気候変動や森林破壊、人権侵害に資金提供しないことを確実にするには、実行すべきことはまだたくさんあります。動植物の絶滅危機と地球規模の気候災害が起こっていることは科学的に極めて明らかです。金融機関がこういった問題に資金提供を続けることはもはや容認できません。

この方針により、MUFGは森林への負の影響を緩和することを初めて明確に約束しました。しかし遵守確認が不十分な認証制度に依存しているため、方針が弱体化する可能性があります。 MUFGが新設の石炭火力発電所に資金提供しないとコミットメントをしたことは心強く思いますが、この禁止に対して不明瞭な例外事項が含まれていたり、炭鉱開発全般への資金提供の禁止や、石炭火力発電所や炭鉱事業を行う企業への資金提供を禁止するといった広範なコミットメントが欠如していることに失望しています。

また、今回の新方針によって、MUFGが問題ある企業との取引を停止するかどうかが注目されます。その一つは違法行為や労働酷使で制裁措置を受けているインドネシア大手パーム油企業のインドフードです」(注4)

※参考:「『サステナブルファイナンス目標』の設定と 『MUFG 環境・社会ポリシーフレームワーク』の改定について」概要の抜粋(下線はRANにて強調)
1. 概要
(2)「MUFG 環境・社会ポリシーフレームワーク」の改定
MUFG は、気候変動対策への国際社会の要請や、環境・社会課題に対する様々なステークホルダーの意見、考え方も踏まえ、「MUFG 環境・社会ポリシーフレームワーク」を改定することとしました。改定内容は以下の通りです。
 ⓵本件後は、新設の石炭火力発電所へのファイナンスは、原則として実行しません。結果とし て、石炭火力発電所向けの与信残高は、中長期的には逓減していく見込みです。なお、改定前よりファイナンスの検討を継続している案件については可否を慎重に検討します。
 ②森林、パーム油、鉱業(石炭)の 3 セクターを新たに「ファイナンスに際して特に留意する 事業」に追加します。これらのセクターが環境・社会へ及ぼしうる負の影響を認識し、ファ イナンスを検討する際は、国際的に認められている認証の取得や、取得に係る行動計画を 提出いただくなど、お客さまの環境・社会配慮の実施状況を確認します。

注1)三菱UFJフィナンシャル・グループ「『サステナブルファイナンス目標』の設定と 『MUFG 環境・社会ポリシーフレームワーク』の改定について」(2019年5月15日)

注2)RAN「『MUFGユニオン・バンク、気候変動に融資しないで』グローバル気候行動サミットに合わせて」(2018年9月20日)

注3)RAN他「化石燃料ファイナンス成績表2019」、「森林と金融」データベースより

注4)RAN「プレスリリース: 3メガ融資先 インドネシア食品大手『インドフード』のパーム油部門 労働権侵害でRSPO認証停止」 (2019年3月6日)

英語のリリースはこちら “Japan’s largest bank MUFG adopts new policies to protect forests and the climate, but controversies abound”

レインフォレスト・アクション・ネットワーク
本件に関するお問い合わせ
広報 関本 Email: yuki.sekimoto@ran.org

NGO共同声明:三菱UFJが新規石炭火力発電への融資を行わないと約束、環境NGOは更なる方針強化を要請 (2019/5/16)

(English follows Japanese)
本日16日、国内外の環境NGO8団体は、三菱UFJフィナンシャル・グループ(MUFG)が環境・社会ポリシーフレームワークの改定版を15日に発表し、そのなかで石炭火力発電への融資方針を強化したことを歓迎しました。

これは、数日前にシンガポールの3大銀行が石炭火力発電への新規融資停止を表明したことに続く動きです。世界の主要な石炭火力発電への資金提供者であるMUFGの方針転換は、金融界のエネルギー問題への取り組みにおいて大きな変化を示唆するものです。

今年レインフォレスト・アクション・ネットワーク(RAN)他が発表した『化石燃料ファイナンス成績表』によると、MUFGはパリ協定締結後の2016年から2018年までの3年間に35億米ドルの資金を石炭火力発電関連の主要企業に提供し、日本のメガバンクの中で最大の資金提供者でした。みずほフィナンシャルグループ(みずほ)、三井住友フィナンシャルグループ(SMBC)も同様に多額の資金を提供しています。

RAN 責任ある金融シニア・キャンペーナー ハナ・ハイネケンは、「何年にもわたる批判を経て、三菱UFJが石炭火力発電への資金提供を段階的に停止し、環境破壊を伴う山頂除去採掘方式で行う炭鉱採掘事業には融資を終了すると明確に約束したことを歓迎します。しかし、明らかな例外事項が示されている点は懸念されます」と指摘しました。

MUFGの方針の詳細を見ると、重大な抜け穴が存在していることが懸念されます。MUFGは、受入国の状況、OECD公的輸出信用アレンジメント(OECDセクター了解)などの国際基準、および他の実行可能な技術の使用に応じて、新設の石炭火力発電所へのファイナンスを継続する可能性があると述べています。

環境金融アドボカシー団体であるMarket Forcesのリサーチ・ポリシーアナリスト、Bernadette Maheandiranは、「MUFGの以前の方針は、OECDセクター了解を参考にするとしていました。それにもかかわらず、大気汚染がひどく、OECDセクター了解では認められていない旧態依然とした超臨界圧石炭火力発電事業であるバンフォン1への融資に合意してしまいました」と批判しました。

今年初頭、MUFGはバンフォン1を含む5つの石炭火力発電事業(合計5.2GWの石炭火力)への融資を検討していると報じられました。MUFGの今回の方針では、「改定前よりファイナンスの検討を継続している案件」に対しては「慎重に検討」するとしています。

Maheandiranは「新規の石炭火力発電事業への融資をやめることは、良い取り組みのように聞こえますが、真のリーダーシップを発揮するためには、融資契約に達していないすべての石炭火力発電事業が除外されることが必要です」と続けました。

グリーンピース・ジャパンのエネルギー担当、ハンナ・ハッコは、「私たちはMUFGが原則として新しい石炭火力発電事業への融資をやめることを約束したことを歓迎します。しかし、これはMUFGの投融資方針改定の終わりではなく出発点として捉えられるべきです。パリ協定の目標を達成し、国際的な水準に追いつくために、MUFGは石炭火力発電事業へのプロジェクト・ファイナンスをやめるだけでなく、石炭火力を活用する電力会社など、石炭関連事業から収益を得る企業からの投融資撤退に踏み込む必要があります」と語りました。

日本、ベトナム、インドネシア、その他の国際NGO、および国際的な連合体であるNo Coal Japanは、5月14日のフィナンシャル・タイムズに、日本のメガバンクによる石炭火力発電への資金提供停止を呼びかける記事広告を発表しました。

気候ネットワークの国際ディレクター、平田仁子は「私たちは、他のメガバンクが方針をどのように変更するか注目しています。SMBCグループとみずほも石炭火力発電への融資を継続しています。すべてのメガバンクが、衰退しつつある石炭火力発電業界への経済支援に終止符を打つべきです」と述べました。

Market Forces
国際環境NGO350.org
「環境・持続社会」研究センター(JACSES)
レインフォレスト・アクション・ネットワーク(RAN)
認定NPO法人 気候ネットワーク
国際環境NGO FoE Japan
国際環境NGOグリーンピース・ジャパン
Oil Change International

MUFG 「サステナブルファイナンス目標」の設定と 「MUFG 環境・社会ポリシーフレームワーク」の改定について

Japan’s MUFG commits to end financing for new coal projects, NGOs call for further steps

16 May 2019: Japanese and international environmental NGOs welcomed Mitsubishi UFJ Financial Group (MUFG)’s release of its revised environmental and social policy framework, which now excludes finance to new coal power projects .

Coming only days after Singapore’s three major banks also ended coal finance, the shift by MUFG, previously one of the world’s major coal funders, signals a major change in the energy finance landscape.

The 2019 Fossil Fuel Finance report card revealed MUFG to be the biggest coal power funder among the Japanese banks, with financing in the amount of US$3.5bn from 2016 to 2018. Mizuho Financial Group and Sumitomo Mitsui Financial Group (SMBC Group) were not far behind.

“After years of criticism, we welcome MUFG’s explicit commitment to phase out coal power financing and end financing for coal mining projects that use mountaintop removal. But there are glaring exceptions, which is worrisome,” said Hana Heineken, Responsible Finance Senior Campaigner at Rainforest Action Network.

The groups are concerned that a closer look at MUFG’s policy reveals significant loopholes. MUFG states that it may continue to finance new coal power projects depending on host country circumstances, international standards such as the OECD Arrangement on Officially Supported Export Credits (OECD Sector Understanding), and the use of other available technologies.

“MUFG’s last policy said the bank would consider the OECD Sector Understanding. Still MUFG went ahead and financed Van Phong 1, a highly polluting, outdated, supercritical coal power project, although not permitted under this agreement,” said Bernadette Maheandiran, research and policy analyst at Market Forces, an environmental finance advocacy group.

As of the beginning of this year, MUFG was reported to be considering financial support to five coal-fired power projects, including Van Phong 1, totalling 5.2 GW of coal power. MUFG’s policy states that it will “take a cautious approach” to projects where “financial assessment has been ongoing since before the revision to the Framework.”

“No longer funding new coal power sounds like leadership on the part of MUFG,” Maheandiran said. “In order to demonstrate true leadership, we expect that this policy will rule out all coal power projects that have not reached financial close.”

“While we are encouraged to see MUFG committing in principle to end its financing for new coal power projects, this should be seen as a starting point, not as an end for the company’s policy development. To reach Paris Agreement objectives and catch up with its international peers, MUFG needs to establish specific standards not only to end coal project financing, but also to clean up its corporate financing involvements by addressing investments in companies that derive revenue from coal-related operations, including among coal-consuming utilities and other existing clients.” said senior energy campaigner Hanna Hakko from Greenpeace Japan.

The announcement also comes on the heels of an advertisement placed by Vietnamese, Indonesian, Japanese and other international NGOs, as well as the international coalition, No Coal Japan, in the Financial Times on May 14, calling on the Japanese megabanks to stop coal power finance.

Kimiko Hirata, International Director of Kiko Network said: “We look forward to seeing how the other megabanks respond. SMBC Group and Mizuho are continuing to fund coal as well. It’s time that all megabanks step up to end Japanese commercial support of the dying coal-fired power industry.”

Contact: James Lorenz, james@pr-arc.com



地上に残された貴重な森「ルーセル・エコシステム」が破壊の危機に(2019/5/15)

日本代表 川上 豊幸
(本記事は地球・人間環境フォーラム『グローバルネット』(2019年5月号)に寄稿したものです)

「ルーセル・エコシステム」は、インドネシア・スマトラ島北部に位置し、まとまった形で残されたアジア最大の熱帯林地帯の一つです。長野と新潟の2県の広さに匹敵する約260万haの広大な地域に、絶滅危惧種のスマトラゾウ、サイ、オランウータン、トラが大自然の中で共存する地球上で最後の場所です。この豊かな生物多様性ホットスポットは、良質な水の安定供給、漁業に最適な環境、洪水や干ばつの防止、農業に適した気候に加え、小規模分散型の水力発電の可能性、観光にもってこいの自然美、生物多様性の提供など、地域社会の経済や地球の気候や環境にとって重要な利益をもたらしています。山岳地帯は世界遺産に指定されていますが、森林地帯はパーム油や紙の原料を得るためのプランテーション開発の危機にさらされており、保全を求める声が世界から集まっています。

生物多様性の重要性とルーセルの二つの森

科学者や自然保護活動家たちは多くの理由から、ルーセル・エコシステムを「保護価値の高い(HCV)」地域に分類しています。この地域には山地林と低地林の2種類の森林があります。山地林には絶滅の危機に瀕する希少種のスマトラサイが生息し、野生では100個体以下しか残っていません。またスマトラサイが餌とする多様な植物が生育し、種の生存にも不可欠です。シカ、クマ、トラ、ウンピョウなどの大型動物も生息しています。低地林も重要で、ルーセル・エコシステムで最も高い生物多様性が存在しています。世界で最大かつ最も背が高い花の2種、ラフレシアとスマトラオオコンニャクが見られ、また地域で最も樹高のある木々が育ち、スマトラオランウータン、トラ、ゾウ、サイなどの絶滅危惧種やマレーグマに貴重な生息地を提供しています。さらに、ウンピョウ、サイチョウ、また、多くの種類の霊長類や、サル、シカ、昆虫、両生類、爬虫類、鳥類の個体群を支えています。

絶滅が危惧されているスマトラオランウータン (©Paul Hilton/RAN)

地球規模の気候変動に効果のある「炭素貯蔵吸収スポンジ」

ルーセル・エコシステムには、何十億tもの高濃度炭素を蓄えた三つの主な泥炭地、トリパ、シンキル、クルエットがあります。その泥炭の深さは12m以上に達し、面積は香川県ほどの約18.4万ha以上に達します。これらの泥炭地では木が自然に枯れて、湿った地面に倒れ、通年浸水しているため、木々の落ち葉や枝、倒れた幹はゆっくりと炭素豊かな泥炭へと変化します。こうして何世紀にもわたって、水の下の深い泥炭堆積物の中に炭素が貯蔵され、隔離された炭素は放出されず、地球温暖化の緩和に役立っています。一方で、泥炭地が農地転換され、排水されると、大規模な酸化で炭素が一気に大気へ放出され、温暖化を進める二酸化炭素(CO2)が大気に蓄積されてしまうのです。

アブラヤシ農園の開発による森林破壊とパーム油

過去30年間、大規模アブラヤシ農園企業と紙パルプ企業が、農園や植林地を拡大するため、数百万haもの泥炭地で森林を伐採し排水してきました。乾燥した泥炭は可燃性が高く、度重なる火災で膨大な量のCO2が放出されます。インドネシアの泥炭火災のCO2の排出量1年分は、西欧全体の化石燃料排出量と同等と推定され、同国は中国と米国に次いで世界第三位のCO2排出国です。

現在、この泥炭地を含む低地林とそこに依存する動植物は、アブラヤシ農園拡大が原因で最大のリスクに直面しています。専門家は、ルーセル・エコシステムの低地林や泥炭地が破壊されると、スマトラオランウータンが野生下で絶滅する最初の類人猿となる可能性があると警告しています。そんな負の遺産は残すべきではありません。

この人為的災害は世界的なパーム油需要の急増によるものです。パーム油は世界で最も広く使用されている植物油で、主にインドネシアやマレーシアで栽培され、世界中に輸出されています。今やアブラヤシ農園はルーセル・エコシステムを含むインドネシアの熱帯林の中心部へと深く侵入し、同時に土地収奪、地域住民との紛争、人権侵害、汚職、労働搾取も引き起こしています。

アブラヤシ農園開発のために伐採されるルーセル・エコシステムの低地林(©Paul Hilton/RAN)

ルーセル・エコシステムを救うために私たちにできること

このような問題を解決するには、消費者や企業による「責任あるパーム油」の需要拡大と、問題のある「紛争パーム油」の排除が必要です。パーム油生産者、加工業者、貿易業者、資金提供者、消費財メーカーに原材料から問題を抱えているパーム油を除外するよう大きな声を届け、購買力を使って働き掛ければ、企業はビジネスのやり方を変えざるを得なくなります。

また、俳優のレオナルド・ディカプリオら有名人も取り組む世界的キャンペーン「ルーセルを愛そう」に参加し、この問題を日本でも広く知らせ、企業に問題への対処を促すこともできます。

米国の環境NGOのRANは、1985年の設立以来、環境・森林保護と先住民族や地域住民の権利擁護活動を行ってきましたが、2013年からはスナック食品企業20社に対して責任あるパーム油調達を求めています。多くの企業が改善へと動く中、日清食品と東洋水産は最も対応が遅れています。主な即席麺製品には大量のパーム油が使用されていますが、2社はパーム油調達方針の策定はしたものの不十分で、森林破壊に直接関係したり、オランウータンの死亡や住民立ち退きへの関与リスクが高いパーム油を排除する対応が不足しています。とくに日清食品は持続可能な大会を目指す東京五輪のスポンサーであり、RANでは同社に改善を求める国際署名を行っています。

また金融機関に紛争パーム油やルーセル・エコシステムの破壊に資金を提供しないよう求めることもできます。過去5年、アジアの一部の銀行は森林破壊のリスクがある事業の最大の資金提供者であり、日本の3メガバンクが融資するパーム油企業でも、労働権侵害、土地紛争、違法なアブラヤシ農園、森林減少などのリスクに直面しています。

一人ひとりが企業や政府が自然保護への誓約を守り、企業や銀行が自社の行動に責任を持つよう働き掛けることで、問題解決に向けた動きがうねりを作って変化につながると考えています。

メディア掲載:Sustainable JapanでNGO50団体のフィナンシャル・タイムズ全面広告が紹介されました(2019/4/25)

Sustainable Brands「国際環境NGO50団体、安倍首相へ脱石炭火力を求める全面意見広告をFTに掲載 」( 2019/04/25)

日本及び海外の環境NGO50団体は4月18日、安倍晋三首相に対し、気候変動対策を強化し、石炭火力から脱却するよう求める全面意見広告を、英紙フィナンシャル・タイムズに掲載した。安倍首相は、同紙に2018年9月24日に寄稿し、「地球を救うために日本とともに行動しよう(Join Japan and act now to save our planet」というメッセージを世界に発信していたが、それを逆手に取る意見広告となっている。

 今回の意見広告掲載に参加したのは、グリーンピース、世界自然保護基金(WWF)、レインフォレスト・アクション・ネットワーク(RAN)、Friends of the Earth(FOE)、Urgewald、350.org、シエラクラブ、バンクトラック、気候ネットワーク、「環境・持続社会」研究センター(JACSES)、気候行動ネットワーク(CAN)インターナショナル等。 続きを読む