サンフランシスコに本部を持つ米国の環境NGO RAINFOREST ACTION NETWORKの日本代表部です

‘気候変動’カテゴリーの記事一覧

NGO共同声明:「わずかな進歩だが、パリ協定目標達成には不十分」三井住友銀行が新融資方針を公開、石炭火力の制限示すも”例外”に言及(2018/6/21)

(English follows Japanese)

三井住友銀行が6月18日に石炭火力発電、パーム油、森林伐採についての新たな「事業別融資方針」の制定および「クレジットポリシー」の改定を公開した(注1)。環境NGO6団体は、方針表明を受け、石炭火力発電所と森林減少に対する融資方針を厳格化する姿勢を打ち出したことを歓迎する。一方、石炭火力セクターへの与信制限を明示しながら、実質的には現状容認となりうる抜け穴があるものと考える。日本3大金融グループの中で、地球環境に著しく悪影響を与える懸念のある特定セクターへの与信の対応を明確化したのは3社目である(注2)。

同発表において、三井住友銀行はメガバンクとしては初めて、石炭火力電力セクターへの「新規融資は国や地域を問わず超々臨界およびそれ以上の高効率の案件に融資を限定」することを明確にし、同セクター与信に対する具体的な制限を明記した。しかし、方針の中には「新興国等のエネルギー不足解決に貢献しうるなどの観点から、適用日以前に支援意志表明をしたもの、もしくは日本国政府・国際開発機関などの支援が確認できる」案件において「ポリシーの例外として、慎重に対応を検討」するという言及がある。これは”大きな抜け穴”となりうる可能性を持ち、この方針自体の意義を無効化しかねず、気候変動対策として評価できない。また、仮に高効率のものであっても、750kg/kWhものCO2を排出する新たな石炭火力発電所の建設は許されず、既存の石炭火力発電所であっても廃止していく必要があるという国連環境計画の勧告が存在する中、石炭火力発電を許容する方針は状況認識が甘いと言わざるを得ない。

さらに、三井住友銀行は大型の超臨界圧技術を用いたベトナムのギソン2石炭火力発電事業への融資を今年4月に決定している。これは、超々臨界圧より劣る大型の超臨界圧技術を用いており、「赤道原則」に違反している可能性もあると地域NGOに批判されている(注3)。こうした事業への融資は、三井住友銀行の今回の方針がこのような「大きな抜け穴」を許すものになりうることの証左である。

パリ協定の1.5~2℃目標達成のために、多くの銀行は石炭火力発電や石炭採掘事業への新規融資を禁止している。今回の三井住友銀行の石炭火力発電セクターへの与信制限に関する発表は明らかにこの水準に行き届いていない。6NGOは同社に対し引き続き、国内外の石炭火力発電事業や石炭火力発電に関与する企業への新規融資・引受から迅速に撤退する意思と工程をより明確にすることを求める(注4)。

三井住友銀行は「事業別融資方針」の中で、みずほフィナンシャルグループ(みずほFG)と同じく、石炭火力と同様に気候変動リスクを高めるパーム油・森林伐採にも触れている。しかしパーム油事業については、RSPO(持続可能なパーム油のための円卓会議)認証と同等の認証制度の有無を確認するだけでは森林減少、および気候への影響の高い泥炭地管理、人権侵害についての確認が不十分であり、広範に支持されている高炭素貯留アプローチ(HCSA)を義務付けるなど、追加的な確認項目を設定することが必要だ。また森林伐採への対応として、違法伐採や違法な焼却への融資を禁止することは前進だが、それだけでは「持続可能な開発目標(SDGs)」目標15にある2020年までに森林破壊を阻止することは満たせない。

三井住友銀行はSDGsへのコミットメントを表明しており、その中の目標13「気候変動に具体的な対策」について注力して取り組むとしている。私たちは同社が石炭からのダイベストメントを早急に進め、気候変動の緩和に重要な役割を果たす森林、特に熱帯林の保護などの取り組みも強化することを期待する。

国際環境NGO350.org日本支部 350.org Japan
「環境・持続社会」研究センター(JACSES)
レインフォレスト・アクション・ネットワーク(RAN)
認定NPO法人 気候ネットワーク
国際環境NGO FoE Japan
国際環境NGOグリーンピース・ジャパン

注1:「事業別融資方針の制定およびクレジットポリシーの改定について」株式会社三井住友銀行(2018年6月18日)

注2:「NGO共同声明:みずほFG新投融資方針策定、気候変動リスク管理に対する小さな前進。さらなる具体化が必要」(2018年6月14日)、
「NGO共同声明:『小さな前進、しかし具体的な取り組み内容の向上が必要』三菱UFJの環境・社会ポリシーフレームワークの制定について環境NGOが評価を公表」(2018年5月25日)

注3:ギソン2石炭火力発電事業プロジェクトの環境影響評価においては代替案が検討されていない、住民協議が適切に行われていないなどの懸念があり、銀行による環境・社会リスク管理を定めた「赤道原則」に違反している可能性もある。

注4:「石炭火力発電事業及び石炭採掘事業への新規融資に関する要請」では国際環境NGO 350.orgの日本支部(350.org Japan)は賛同団体とともに、3大金融グループ゚に対して以下の対策を求めている。
1.気候関連財務情報開示タスクフォース(TCFD)の提言にもとづき、温室効果ガスを大量に排出する分野への投融資状況を公開すること、
2.世界の平均気温の上昇を摂氏2度未満に抑えるシナリオに整合した事業戦略や明確な指標や目標を公表すること、
3.パリ協定の目標達成のため、石炭火力発電事業及び一般炭の採掘事業に関与する企業への新規融資を中止すること。

Environmental NGOs Evaluate SMBC’s New Sector Policies on Coal-fired Power, Palm Oil and Deforestation : “A policy showing little progress with a concerning loophole that does not align with the Paris Agreement”

350.org Japan
JACSES
Rainforest Action Network
Greenpeace Japan
Kiko Network
FoE Japan

June 21, 2018 Tokyo, Japan — On June 18, Sumitomo Mitsui Banking Corporation (SMBC) announced its “policy towards financing businesses with potentially significant adverse environmental and/or social impact” including coal-fired power, palm oil plantation developments and deforestation.

Environmental groups ー 350.org Japan, Japan Center for a Sustainable Environment and Society (JACSES), Rainforest Action Network (RAN), Kiko Network, Friends of the Earth Japan and Greenpeace Japan ー issued the following statement on SMBC’s new policies.

“We had high hopes for SMBC being the last of the major Japanese financial groups to announce an update of their social and environmental policy (1), following Mitsubishi UFJ Financial Group and Mizuho Financial Group. However we are very disappointed to see the visible loopholes in SMBC’s coal-fired power sector policy, which may defeat the purpose of the policy itself. There is also a lack of clarity around specific actions that the company will take on deforestation. While we welcome the fact that SMBC has shown a willingness to restrict coal financing and address deforestation, this announcement does not come even close to addressing the climate action needed in order to meet the goals of the Paris Agreement.

The decision that SMBC should have made here is to announce a stop to any new financing for domestic and foreign coal-fired power projects and companies involved in such projects, with a clear strategy and timeline. (2) SMBC’s recent decision in April 2018 to finance the Nghi Son 2 coal-fired power plant in Vietnam, which will utilize sub-critical coal technology and has been challenged by local groups for apparent violations of the Equator Principles, highlights the potential loopholes of its coal policy.

On deforestation, SMBC should have laid out clear criteria for halting deforestation and protecting carbon-intensive peatlands. Its mere reliance on weak certification systems and national laws is clearly not enough.

SMBC states that they are committed to the Paris Agreement and the SDG goal of “tak[ing] urgent action to combat climate change and its impacts.” We urge SMBC to step up their game by making immediate steps towards divesting from coal and strengthening their policies on deforestation.”

The NGOs also provide the following detailed analysis of the policy which reveals glaring inconsistencies:

“In the document, SMBC states that it will limit lending to coal-fired power plants that “use ultra-supercritical or more advanced technologies which are considered highly efficient.” Firstly, the policy’s inclusion of financing for any type of coal-fired power is insufficient when research endorsed by the United Nations Environment Programme clearly indicates there is no space to build any more new coal-fired power plants – no matter how efficient – in order to keep global temperature rise well below 2 degrees. More worrisome is the fact that SMBC states it will make exemptions for projects that [they have] already committed support […] or where the Japanese government or Multilateral Development Banks support.” This is a major loophole that will likely nullify the limitation that is set in the first place.

SMBC, like Mizuho Financial Group, also references palm oil and logging, which are significant causes of deforestation, which in turn contributes to climate change. However, for palm oil, mere reliance on the Roundtable for Sustainable Palm Oil (RSPO) or equivalent certification systems is not sufficient to address deforestation, management of carbon-intensive peatlands or human rights, and additional measures are necessary, including use of the High Carbon Stock Approach. Additionally, SMBC’s policy to prohibit financing to businesses involved in illegal logging and illegal land clearance activities is a good start, but not sufficient to achieve zero deforestation by 2020 as stipulated in Sustainable Development Goal (SDG) 15. ”

Notes to the editor

1. Sumitomo Mitsui Banking Corporation: Establishment of policy for businesses associated with Environmental and Social risk
2. 350.org Japan and supporting NGOs are currently running a global petition calling upon Japan’s three biggest financial institutions — Mitsubishi UFJ Financial Group, Mizuho Financial Group, and Sumitomo Mitsui Financial Group — to: i) disclose financial exposure to carbon intensive industries in line with the Task Force on Climate Related Financial Disclosures (TCFD); ii) outline business strategies and clear targets and metrics to align their finance policies with the Paris Agreement; iii) cease all new lending to coal fired power generation and coal extraction projects and companies involved in such projects.

For more details please see: http://world.350.org/east-asia/divest-from-coal-en/

CONTACT:

Shin Furuno, 350.org Japan: shin@350.org
+81(0)3 3230 7600 / +81(0)70-2793-3648

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レインフォレスト・アクション・ネットワーク(RAN)

日本経済新聞でRAN「化石燃料ファイナンス成績表」が紹介されました(2018/6/17)

日本経済新聞「三井住友銀、石炭火力の融資絞る 環境配慮促す 」(2018年6月17日付)〜RAN「化石燃料ファイナンス成績表」が紹介されました〜

「三井住友銀行は発電効率が低く、二酸化炭素(CO2)の排出量が多い石炭火力発電事業への融資を国内外でやめる。新規融資は最先端の技術を使う石炭火力に限る。投資家が企業に環境などへの配慮を促す「ESG投資」が広がり、銀行も対応を求められている。環境に配慮する動きが融資まで広がり、エネルギー関連の企業は一段と対応を迫られそうだ。記事を読む

RIEFでRAN「化石燃料ファイナンス成績表」が紹介されました(2018/6/17)

RIEF(環境金融研究機構)「三井住友銀行、石炭火力発電所向け融資は、超々臨界圧(USC)方式に現地。3メガバンクの石炭火力向け融資方針出そろう(各紙)」(2018年6月17日付)〜RAN「化石燃料ファイナンス成績表」が紹介されました〜

「各紙の報道によると、三井住友銀行は石炭火力発電所への融資について、超超臨界圧(USC)石炭火力発電所以上の高効率技術のプロジェクトだけに融資する方針を決めた。メガバンクでは三菱UFJフィナンシャル・グループ(MUFG)が同様にUSCへの融資に限定したOECDルールに基づく方針を示しており、3メガバンクの石炭火力対応が出そろった。記事を読む

Sustainable BrandsでNGO共同声明が紹介されました(2018/6/15)

Sustainable Brands「みずほFG、石炭火力発電などの投融資基準を厳しく」(2018年6月15日付)〜NGO共同声明位が紹介されました〜

「みずほフィナンシャルグループ(みずほFG)は6月13日、責任ある投融資などに関する「特定セクターに対する取り組み方針」を制定した。兵器、石炭火力発電、パーム油、木材については環境・社会的にリスクが高い業種であるとし、特に注意が必要となる「留意する取引」と定めた。環境NGO6団体は同社の新方針を歓迎する一方で、「パリ協定の目標達成のためには具体性に乏しく、さらなる進化が求められる」とコメントした。記事を読む

NGO共同声明:みずほFG新投融資方針策定、気候変動リスク管理に対する小さな前進。さらなる具体化が必要(2018/6/14)

(English follows Japanese)

株式会社みずほフィナンシャルグループ(みずほFG)が6月13日に責任ある投融資等に関する「特定セクターに対する取り組み方針」を制定し、石炭火力発電、パーム油、木材、兵器を環境・社会面でリスクが高い業種であると認識し、明記したこと(注1)を歓迎する。資金提供・資金調達支援業務において、リスクの低減・回避に向けて取引判断を行うよう定めたことは、小さな前進といえる。しかし、パリ協定の目標達成のためには、この方針は具体性に乏しく、さらなる進化が求められる。

同社は、石炭火力発電セクターへの投融資等に関して、気候変動や大気汚染へのリスクから、「石炭火力発電を資金使途とする与信案件については、同等のエネルギー効率を持つ実行可能な代替技術と比較し、経済合理性等を検証し与信判断を行う」と表明した。三菱UFJフィナンシャル・グループに続き、日本3大金融グループの中で、石炭火力発電セクターへの与信判断に関する方針表明が進んでいる。

一方、国連環境計画(UNEP)は、パリ協定の1.5~2℃目標達成のためには、仮に高効率のものであっても、新たな石炭火力発電所の建設は許されず、既存の石炭火力発電所も廃止していく必要があると勧告しているが、今回の方針では、全く触れられていない。6NGOは同社に対し引き続き、国内外の石炭火力発電事業や石炭火力発電に関与する企業への新規融資・引受から迅速に撤退する意思と工程をより明確にすることを求める。(注2)

また、みずほFGは同方針で「特に留意する主たる取引」に対して「国際的基準等を参考に」取引先の対応状況を確認した上で取引判断を行うと明記しているにもかかわらず、ベトナムのギソン2石炭火力発電事業への融資を今年4月に決定した。これは、超々臨界圧より劣る大型の超臨界圧技術を用いており、OECD 公的輸出信用アレンジメントに反する。このプロジェクトの環境影響評価においては代替案が検討されていない、住民協議が適切に行われていないなどの懸念があり、銀行による環境・社会リスク管理を定めた「赤道原則」に違反している可能性もある。

本方針では、石炭火力以外に、気候リスクの大きな要因である森林減少・劣化を引き起こすパーム油・森林伐採に対して、リスク管理を強化する判断を示した一方、取引判断をパーム油や木材の認証制度に頼る姿勢は不十分で、森林減少への対処状況や泥炭地管理状況を確認する必要があるといえる。

パリ協定の目標達成に向けて気温上昇を1.5~2℃に抑えるために、石炭やタールサンドをはじめとする化石燃料への規制はますます厳しくなると見られている。さらに、気候変動の緩和に重要な役割を果たす森林、特に熱帯林の保護などの取り組みも必須だ。気候変動に具体的な対策をとることは、国連の持続可能な開発目標(SDGs)にも掲げられている。私たちは、みずほFGを含む3大金融グループが、環境リスクおよび経済リスクを両方抱える石炭からのダイベストメントを速やかに進めることを期待している。

(注1)みずほFGが6月13日に発表した「責任ある投融資等の管理体制強化について」には、「取引を通じて環境・社会に対する負の影響を助長する可能性が高い業種」として石炭火力発電の他に、兵器、パーム油・木材等が言及されている。

(注2)「石炭火力発電事業及び石炭採掘事業への新規融資に関する要請」では国際環境NGO 350.orgの日本支部(350.org Japan)は賛同団体とともに、みずほフィナンシャルグループ、三菱UFJフィナンシャル・グループおよび三井住友フィナンシャルグループに対して2018年9月12−14日に行われる世界気候行動サミット(Global Climate Action Summit)及び国連責任投資原則(PRI)年次総会前までに以下を求めている。1.気候関連財務情報開示タスクフォース(TCFD)の提言にもとづき、温室効果ガスを大量に排出する分野への投融資状況を公開すること、2.世界の平均気温の上昇を摂氏2度未満に抑えるシナリオに整合した事業戦略や明確な指標や目標を公表すること、3.パリ協定の目標達成のため、石炭火力発電事業及び一般炭の採掘事業に関与する企業への新規融資を中止すること。

※参考:三菱UFGフィナンシャル・グループの発表についてのNGO共同声明

 

国際環境NGO350.org日本支部 350.org Japan
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レインフォレスト・アクション・ネットワーク(RAN)
認定NPO法人 気候ネットワーク
国際環境NGO FoE Japan
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For Immediate Release: “A small step forward on climate change risk management, but bolder action required”: Environmental NGOs Respond to Release of New Mizuho Financial Group Financing Policy

350.org Japan
JACSES
Rainforest Action Network(RAN)
Greenpeace Japan
Kiko Network
FoE Japan

June 15 2018 Tokyo, Japan — On June 13, Mizuho Financial Group (Mizuho) announced its adoption of a new “sector specific policy” on responsible financing. Japanese environmental groups ー 350.org Japan, Japan Center for a Sustainable Environment and Society (JACSES), Rainforest Action Network, Greenpeace Japan, Kiko Network and Friends of the Earth Japan ー issued the following statement on Mizuho’s new policies.

“First, we welcome the fact that in the document released, Mizuho recognizes the high social and environmental risk accompanying coal-fired power, palm oil, deforestation, and the weapons industry.(1) Mizuho’s decision to make efforts to mitigate and avoid these risks in its financing and financial advisory services is a small step in the right direction. However, the policy is lacking details on the concrete actions needed to achieve the goals of the Paris Agreement, and further progress is required.

With regards to financing the coal-fired power generation sector, the policy states, “For projects financing coal-fired power, financing decisions will be made by comparing feasible alternative technologies which possess equivalent energy efficiency and by verifying their economic rationale.” Mizuho is the second financial group after Mitsubishi UFJ Financial Group (MUFG) to announce such a policy on financing to the coal-fired power sector, and it represents progress compared to past policies.

However, the United Nations Environment Programme (UNEP) has made clear that meeting the Paris Agreement goal of keeping global warming well below 2 degrees requires no new coal-fired power plants to be built – no matter how efficient – and the early phase out of existing coal power. The need for the exclusion of new coal power is not reflected in Mizuho’s newly published policy. We continue to urge Japan’s megabanks including Mizuho to swiftly announce a stop to any new financing for domestic and foreign coal-fired power projects and companies involved in such projects, with a clear strategy and timeline. (2)

Additionally, under “transactions deserving special attention”, Mizuho’s new policy states that when making financing decisions it will “refer to international guidelines” while confirming the social and environmental considerations of prospective clients. Nevertheless, in April this year, the three major Japanese financial groups including Mizuho agreed to participate in financing the new polluting Nghi Son 2 coal power station in Vietnam. Nghi Son 2 uses large-scale Supercritical (SC) technology which is inferior to the current standard Ultra-supercritical (USC) technology, in violation of international standards set out under the OECD Sector Understanding on Export Credits for Coal-Fired Electricity Generation Projects. There have also been concerns raised regarding the Environmental Impact Assessment associated with the project, such as the failure to consider alternative energy sources or conduct proper consultation with local communities, breaching international standards for the management of social and environmental risks under the Equator Principles.

In addition to coal-fired power, Mizuho’s policy strengthens its risk management towards the palm oil and timber sectors, which cause deforestation and forest degradation and are a major source of carbon emissions. However, Mizuho’s position of relying solely on certification systems for palm oil and timber is inadequate. Mizuho must also confirm how their clients are actually addressing deforestation and managing peatlands.

To achieve the Paris Agreement target to keep global warming well below 2 degrees Celsius, regulations on fossil fuels such as coal and tar sands are expected to become more stringent. In addition, efforts to protect forests, especially tropical rainforests, which play an important role in mitigating climate change, are essential. The need to take concrete measures to address climate change is also included under the United Nations’ Sustainable Development Goals (SDGs).

We hope that Mizuho and the other two major financial groups in Japan, Mitsubishi UFJ Financial Group and Sumitomo Mitsui Financial Group, will promptly proceed with divesting from the coal sector, which carries high environmental and economic risks.”

Note to the Editors:

1. Mizuho’s new policy on responsible financing announced on June 13, mentions “industries highly likely to have negative impact on the environment and society” including coal-fired power, weapons industry, palm oil, and wood products.

2. 350.org Japan and supporting NGOs are currently running a global petition calling upon Japan’s three biggest financial institutions — Mitsubishi UFJ Financial Group, Mizuho Financial Group, and Sumitomo Mitsui Financial Group — to: i) disclose financial exposure to carbon intensive industries in line with the Task Force on Climate Related Financial Disclosures (TCFD); ii) outline business strategies and clear targets and metrics to align their finance policies with the Paris Agreement; iii) cease all new lending to coal fired power generation and coal extraction projects and companies involved in such projects. For more details please see here.

(Reference)

“A small step forward, but not nearly enough”- Environmental NGOs Respond to Release of New MUFG Environmental, Social and Human Rights Policy

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Shin Furuno, 350.org Japan: +81(3)070-2793-3648
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レインフォレスト・アクション・ネットワーク(RAN)

ブログ:3大メガバンクが直面するパーム油セクターのESGリスク: インドフード社の事例(2018/6/6)

責任ある金融 シニア・キャンペーナー ハナ・ハイネケン

(本ブログは、RIEF環境研究機構に2018年6月6日に寄稿したものです)

インドフード・スクセス・マクムル社(インドフード:IDX: INDF)は、インドネシア最大の食品会社です。インドネシアの大財閥であるサリム・グループの一社で、同財閥の最高経営責任者のアンソニー・サリム氏はインドフードの最高経営責任者でもあり、インドネシア第4位の富豪です。日系企業ではアサヒグループホールディングス、王子製紙ともそれぞれジョイントベンチャーを設立しています。

2016年以降、インドフードはパーム油事業に関連する深刻な人権侵害について、買い手企業、金融機関や投資家、NGOなどから厳しい監視を受けています。最近では人権侵害以外にも、サリム氏が間接的にコントロールする企業が過去5年で、インドネシアの約1万ヘクタールの泥炭地を違法に皆伐したことが明らかになりました。炭素集約度の高い泥炭地では、1ヘクタール当たり、多いもので100トンの二酸化炭素を排出するという分析もあります。1万ヘクタールでは毎年100万トンを排出する計算になり、これは230万バレルの石油を燃やすのとほぼ同じ排出量になります。

このような問題があるにもかかわらず、同社は前述のように様々な日本企業とビジネス関係を持ち、みずほフィナンシャルグループ(みずほ)、三井住友フィナンシャルグループ(SMFG)、三菱UFJフィナンシャル・グループ(MUFG)、年金積立金管理運用独立行政法人(GPIF)を含む、社会的責任や環境への責任を掲げる多くの銀行や投資家から多額の投融資を受けています。またシティグループ、ブラックロックなどの大手金融機関や投資家も多額の投融資をしています。

投融資の決定において「環境、社会、ガバナンス」(ESG)の重要性を認識する銀行や投資家が増えている中で、インドフードの事例はESGへの配慮がまだまだ不十分であることを示しています。

 

森林リスク産品セクターにおけるESGリスクと金融セクターのエクスポージャー

東南アジアは現存する世界最大の熱帯林地域の一つです。しかし急速な森林減少が続いており、その大部分はパーム油、紙・パルプ、木材、天然ゴム(以下、「森林リスク産品」と総称)などの少数の産品によって引き起こされています。これらの森林リスク産品セクターは気候変動、生物多様性の損失、土地収奪、労働者の酷使、贈収賄、違法行為など重大なESGの問題に直面しています。こういったリスクは、業務停止、買い手企業からの契約解除、訴訟などの重大なリスクを引き起こすことで、金融セクターに直接的な影響をもたらし、最終的には顧客企業の債務不履行や投資収益率の悪化だけでなく、金融機関自身の評判低下など、様々なリスクの結果として、投資家や銀行に財政的な損失を与えます(詳細はRANのレポート「投資家には責任がある」をご参照ください)。

これらのリスクにもかかわらず、RANの「森林と金融」の調査によると、大手銀行や投資家、特にアジアの銀行・投資家は、インドフードのようなESGリスクが大きな企業を含めて、このセクターに多額の投融資を行っていることが明らかになっています(下記参照)。

企業融資および引受(国別・セクター別)2010-2016年。単位は10億米ドル
出典: forestsandfinance.org

インドフードおよび関連企業のESGリスク インドフードのサプライチェーン上流におけるパーム油事業のESGリスクは、どの銀行や投資家にとっても憂慮すべきことです。重要なリスクには以下が含まれます。

  • 労働者の酷使:児童労働の使用、危険な労働条件、最低賃金以下の賃金など、インドネシアの20の労働法への組織的な違反についての証拠があります。このような労働者の酷使状況は2016年6月に初めて明らかにされ、2017年11月にRANとパートナー団体によって行われた調査を含めて繰り返し確認されており(詳細はこちら)、また、今年3月を含めて2度、独立監査によって確認されています。
  • RSPO認証基準の違反:インドフードのパーム油生産子会社は、労働搾取の嫌疑について「持続可能なパーム油に関する円卓会議」(RSPO)から苦情申立によって調査されており、認証停止を勧告されるリスクがあります。RSPOがパーム油生産のIOIグループに対して認証一時停止を勧告したときは、27社のバイヤーが取引を停止し、株価が20%下落しました。インドフードの有力な合弁パートナーであるペプシコ社は最近、インドフードのパーム油生産子会社からのパーム油の直接購入を中止しました。他のバイヤー(ケロッグ 、ゼネラルミルズ 、マーズ 、ハーシー 、ロレアル など)もエクスポージャーの軽減に動いています。今年6月にはRSPOの監査が予定されており、100の機関投資家(その資産は合計3.2兆米ドル)がその結果を注視していることを公表しています。
  • 問題のある土地利用:インドフードの子会社であるインドフード・アグリ・リソーシズ(インドアグリ)の農園用地の42%、つまり23万ヘクタールの土地は、地域コミュニティとの紛争、労働争議、開発を制限する環境規制、事業管理地の地図の未公開などのためにその正当性が疑われています。森林リスク産品のESGリスク分析を専門とする研究イニシアチブであるチェーン・リアクション・リサーチによると、これはインドフードおよびインドアグリと、インドフードの親会社であるファーストパシフィックに大幅な株価下落のリスクをもたらしています。
  • 供給源の非公開:インドアグリの製油所で生産される未精製のパーム油の36%は原料の供給源が公開されていないことが判明しており、このことは買い手企業および投資家や銀行にサプライチェーン及びレピュテーションリスクをもたらすと分析されています。

インドフードとサリム・グループ傘下企業は、コーポレート・ガバナンスの欠陥 についても批判されており、これは森林減少リスクを助長する「リスク乗数」とみなされています。 ワシントンDCを拠点とするコンサルティング会社のクライメート・アドバイザーとインドネシアの政策研究団体アウリガは、「企業はインサイダー情報や複雑な企業構造を利用して業績不振や違反行為を隠蔽することができます。リスクが隠されることで投資家や融資機関が十分な情報に基づく投融資決定を行うのが困難になり、アカウンタビリティが低下します」と説明しています。彼らの調査によると、インドフードの子会社で、上場しているパーム油製造企業の2社、サリム・イボマス・プラタマとロンドン・スマトラは「インドネシアの1999年の独占禁止法違反の嫌疑がかけられている」ことが指摘されています。

インドフードの最高経営責任者のアンソニー・サリム氏はまた、インドネシアの熱帯林と泥炭地の皆伐を続けている民間プランテーション事業への関与をめぐって、人々の関心を広く集めています。今年4月、サリム氏がアブラヤシ農園企業のドゥタ・レンドラ・ムルヤ(PT Duta Rendra Mulya:DRM社)とサウィット・カトゥリスティワ・レスタリ社(PT Sawit Khatulistiwa Lestari: SKL社)を財務面で間接的にコントロールしていたり、共同出資者を通じてつながっていることが明らかにされました。これらの企業は2013年から2017年までの期間、ボルネオ島のケタンガウ(Ketungau)で約1万ヘクタールの炭素集約度の高い泥炭地を不法に皆伐したことが明らかにされています。その多くはインドネシア政府によって保護対象として区分されている区域でした。これらのプランテーション資産は、買い手企業の「森林破壊なし、泥炭地なし、搾取なし」( No Deforestation, No Peatland and No Exploitation:NDPE)の方針、およびインドネシア政府の泥炭地および森林保護の法律・規則のために座礁資産化するリスクがあります(詳細についてはこちらをご参照ください)。

SKL社によって皆伐された土地のドローンによる検証(2017年11月4日)
出典:Aidenvironment, Palm oil sustainability assessment of Salim-related companies in Borneo peat forests, April 2018

金融セクターのエクスポージャーと対応(または不対応)

サリムグループ企業が直面する様々なESGリスクへの金融セクターの対応は弱々しく、期待外れです。これは彼らの持続可能性と人権へのコミットメント、さらには合法性へのコミットメントに対してさえ、重大な懸念をもたらすものです。

サリム・グループの主な融資元、引受機関、投資者。
出典: forestsandfinance.org, Indofood Financial Statements & Bloomberg

 

上の図が示すように、有名な銀行や投資家がサリム・グループの傘下企業に数十億ドルを投融資しています。貸し手のトップ3は、インドネシアの大手銀行のバンク・セントラル・アジア、みずほ、SMFGです。また、三菱UFJはインドフードに直接融資しており、GPIFはインドフード、ファーストパシフィック及び関連会社のインドフードCBPに投資しています。サリム・グループの複雑な企業構造や所有構造のため、金融機関は融資した資金が実際にどのように使われているか知るのが難しくなっています。

投資引き上げを実施した最初の投資家の一つは、世界最大の政府系ファンドであるノルウェー政府年金基金グローバルです。同基金はインドアグリファーストパシフィックが「持続可能でない方法でパーム油を生産している」ことを理由に、これらの企業への投資を引き上げました。銀行では、ドイツ銀行がインドフードとその子会社に対して、労働者の酷使状況が暴露された後に融資を中止したことが最初だと考えられます。今年4月にシティグループはインドアグリへの融資を中止しましたが、一方でインドフードのパーム油関連でない別の事業への融資を継続しています。注目すべき点として、ドイツ銀行シティの両行は強制労働と児童労働を明確に禁止しています。

他の金融機関も、インドフードの顕著なESGリスクを考えれば、特に自らが明確に掲げる基準をインドフードが満たしていない場合には、相応の対応をすべきです。最近ではSMFGが人権方針を発表し、みずほは人権に関するデューデリジェンス方針を強化しました。また、5月15 日に三菱UFJが発表した新融資・引受方針では、「児童労働・強制労働を行っている事業」に対して「環境・社会に対するリスクまたは負の影響を認識した場合はファイナンスを実行しません」と明記しています。

これらの動きは称賛に値しますが、3メガバンクのインドフードに対する対応は、その方針を実施するための試金石となるでしょう。また、ブラックロックはすべての投資先企業に対して「社会へのポジティブな貢献」と「すべてのステークホルダーの利益」を求めています。そのためにはインドフードに対する連携した働きかけと、場合によっては投資引き上げが必要となります。

 

必要とされる対策

インドフードとその他のサリム・グループ企業に金融サービスを提供する機関は、同社及び同グループのパーム油事業に起因する環境および人権への有害な影響に対して、責任の一端を負っています。これは多国籍企業に関するOECDガイドラインおよびビジネスと人権に関する国連指導原則に沿った判断です。銀行や投資家はアンソニー・サリム氏に対して、サリム・グループと同氏の”隠れた関連企業”に適用される「森林破壊なし、泥炭地なし、搾取なし」方針の採用を要求し、信頼できる苦情申立メカニズムの確立、確認された労働法違反や継続中の土地紛争を解決するための独立した検証を伴う是正処置、を強く求める最後通告を即座に発行する必要があります。継続的なリスクに対処するためには、金融機関はすべての新規プランテーション開発の即時中止、高炭素貯留(HCS)アプローチの要求事項の遵守、劣化した泥炭地の回復への投資を確約する期限付きの実施計画の公表を要求する必要があります。

残されている熱帯林と泥炭地を保護および回復し、パーム油事業に関連する人権を尊重することは、持続可能な開発目標(SDGs)とパリ協定の目標実現のために決定的に重要です。金融セクターは問題解決の一翼を担うことを、十分かつ公的に約束するべき時です。

レインフォレスト・アクション・ネットワーク(RAN)