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‘気候変動’カテゴリーの記事一覧

プレスリリース:新報告書「森林フットプリント評価 2021」発表〜インドネシア・ボルネオ島の森林と地域コミュニティへの影響について、大手消費財企業10社の開示状況を評価〜(2021/10/22)

日清食品、花王、プロクター&ギャンブルら、森林と人権に及ぼす影響を十分に開示せず

環境NGOレインフォレスト・アクション・ネットワーク(本部:米国サンフランシスコ、日本代表部:東京都渋谷区、以下RAN)は、21日(米国現地時間)、新報告書「キープ・フォレスト・スタンディング:森林フットプリント評価2021」(注1)を発表しました。

写真:アブラヤシ農園開発のために伐採された森林、インドネシア東カリマンタン州ベラウ、2018年4月

本報告書は、大手グローバル消費財企業10社を対象に、インドネシア・ボルネオ島の北カリマンタン州と東カリマンタン州における、各社サプライチェーンの「森林フットプリント」(※)を独自に評価したものです。分析の結果、対象企業10社はサプライヤー企業からの原料調達を通じて、同地域で70万ヘクタール(サッカー場175万個分)以上の熱帯林破壊に加担し、さらに825万ヘクタールの森林が危機にあることを明らかにしました。よって10社はいずれも、インドネシアに残る森林と地域コミュニティに及ぼす影響を十分に開示していないと結論づけました。

本報告書は、 英国グラスゴーで31日から始まる国連気候変動枠組み条約第26回締約国会議(COP26)を前に発表されました。森林と泥炭地は炭素吸収源として気候の安定のために機能することから、森林保護はこれまで以上に重要になっています。

※「森林フットプリント」とは、パーム油や紙パルプ、木材など森林を破壊する恐れのある産品が影響を及ぼす森林と泥炭地の総面積をいいます。別紙参照。

『森林フットプリント評価2021』概要

  • 対象地域:インドネシア・ボルネオ島の北カリマンタン州、東カリマンタン州。この地域に残る森林の約3分の2が危機的状況にあることから、両州に焦点をあてた。
  • 対象企業(多国籍消費財企業10社):日清食品、花王、ネスレ、ペプシコ、プロクター&ギャンブル、ユニリーバ、コルゲート・パーモリーブ、フェレロ、モンデリーズ、マース。
  • ●10社は、北カリマンタン州と東カリマンタン州のパーム油や紙パルプ、林業企業からの原料調達を通じて、同地域にある70万ヘクタール(サッカー場175万面分)以上の熱帯林の破壊に加担していることが明らかになった(図1)。
  • ●10社が「森林破壊禁止」の方針をサプライヤー企業に徹底しなかったために過去10年間で失われた森林と泥炭地について詳しく説明し、両州だけで825万ヘクタール以上の重要な熱帯林が危機にあることを示した(図2)。
図1:北カリマンタン州・東カリマンタン州での森林破壊(70万ヘクタール、2009年〜2019年)
凡例:赤(泥炭地)、茶(2009〜2011年)、薄茶(2012〜2014年)、水色(2015〜2017年)、緑(2018〜2019年)
図2:北カリマンタン州・東カリマンタン州で危機にある森林(825万ヘクタール)
凡例:ピンク(泥炭地)、危機にある森林〜青(事業管理地内の劣化していない森林)、水色(事業管理地内の劣化した森林)、赤(開発可能地域の劣化していない森林)、黄(開発可能地域の劣化した森林)、保護されている森林〜緑(劣化していない森林)、黄緑(劣化した森林)
  • 両州で200万ヘクタール以上の森林が、先住民族コミュニティが何世代にもわたって生活し、保護してきた集落や慣習地において残されていることが明らかになった。しかしコミュニティの土地が林業企業や農園企業に割り当てられたことから、多くのコミュニティの森林を保護し管理する権利は尊重されていない(図3)。
図3:北カリマンタン州・東カリマンタン州の慣習地と、住民参加型「社会林業」のために政府が割り当てた地域(出典:Ancestral Domain Registration Agency: BRWA(インドネシアの団体))
凡例:赤(泥炭地)、「社会林業」〜緑(村落林)、オレンジ(住民造林)、水色(コミュニティ林)、BRWAからの慣習地〜青(慣習地)

RAN森林政策ディレクター ジェマ・ティラックは「世界の主な科学者たちは、現在の気候危機を『人類へのコードレッド(非常事態発生を告げる警報)』と呼んでいます。プロクター&ギャンブルのような多国籍消費企業と、倫理的とはいえない取引先のサプライヤー企業は、企業方針の抜け穴や口約束の陰で、森林破壊の悪循環を続けています。地球で最後の手付かずの森林が伐採されている一方、何世代にもわたって森林を維持してきた地域コミュニティからは土地の権利が奪われ、人権が侵害されています」と訴えました。

RAN日本代表 川上豊幸は「今月末からCOP26が始まります。今まさに、森林と泥炭地の破壊を防ぎ、森に住む人々の土地の権利を守るための行動を起こすときです。日清食品や花王などの大手消費財企業は、森林破壊を引き起こす開発事業の拡大という脅威の最前線に立たされている人々の人権や土地権を守るために、今すぐ積極的な役割を果たさなければなりません」と強調しました。

RANは2020年4月から「キープ・フォレスト・スタンディング:森林と森の民の人権を守ろう」キャンペーンを展開し(注2)、上記10社に対して、自社のグローバルサプライチェーンにおける「森林フットプリント」の開示を求めてきました。「森林フットプリント」という言葉はこれまでも使われてきましたが、RANで用いる場合、消費財企業が商業的な森林伐採や農業の拡大によって、これまでに影響を与えたり、今後与える可能性がある森林と泥炭地の総面積を意味します。また、森林および泥炭地が、先住民族や地域コミュニティに管理されてきた土地にある場合、先住民族と地域コミュニティの権利への影響も含みます。森林フットプリントの開示にあたっては、企業は森林フットプリント全体を説明するために行なった一連の行動を記述し、これ以上の森林破壊と権利侵害を防ぐためにサプライヤー企業に介入する方策を立てるとともに、過去の被害の是正措置を取る必要があります。

これまでユニリーバ、ネスレ(注3)コルゲート・パルモリーブの3社が、インドネシア・スマトラ島北部に限定した森林フットプリントを公表しています。日本企業では、花王は森林フットプリント導入について協議している点を「2021年活動方針」(注4)で開示しています。一方、日清食品からは正式な返答を得られませんでした。

*報告書全文はこちら(英語)。概要および評価への各社回答も掲載されています。 www.ran.org/borneo_forest_footprint

注1)新報告書「キープ・フォレスト・スタンディング:ボルネオ森林フットプリント評価2021」

注2)「キープ・フォレスト・スタンディング:森林と森の民の人権を守ろう」は、RANが2020年4月から展開しているキャンペーンです。熱帯林破壊と人権侵害を助長している最も影響力のある上記の消費財企業・銀行17社に実際の行動を起こすよう要求しています。

注3)参考:RAN声明「世界初、ネスレ『森林フットプリント』開示を歓迎〜インドネシア・パーム油サプライチェーンで影響を受ける森林面積を公表〜」(2020/12/11)

注4)花王「2021年の進捗」

※更新:以下の内容を追加しました(2022年1月11日)。
・「キープ・フォレスト・スタンディング:ボルネオ森林フットプリント評価2021」日本語要約版

別紙「森林フットプリントについて

「森林フットプリント」とは?

森林フットプリントとは、消費財企業の森林リスク産品(※)利用や銀行による森林リスク産品への資金提供によって、これまでに影響を与えたり、今後与える可能性がある森林と泥炭地の総面積をいう。消費財企業と銀行の森林フットプリントには、サプライヤー企業や投融資先企業が取引期間中に関与した森林および泥炭地の破壊地域、さらにサプライヤー企業や投融資先企業全ての森林リスク産品のグローバルサプライチェーンと原料調達地でリスクが残る地域も含まれる。上記の森林および泥炭地が、先住民族と地域コミュニティに管理されてきた土地にある場合は、その先住民族と地域コミュニティの権利への影響も含む。

※森林リスク産品:森林破壊の原因の多くはパーム油、紙パルプ、木材製品などの産品生産で、これらの産品は森林を破壊するリスクがあることから「森林リスク産品」と呼ばれている。

リスクにさらされている地域には、供給業者、投融資先企業、またはそれらに原料を供給する独立系企業の管理下にあるプランテーション(大規模農園や植林地)開発区域内の森林と泥炭地、そして上記企業のグローバルサプライチェーンの原料調達(工場、精製所、加工処理施設など の周辺地域)における伐採予定地や農業開発用に割り当てられた地域が含まれる。これらの全てが把握され、公開されている必要がある。

RANは、消費財企業および銀行が森林フットプリントを把握し開示するためには以下のようなステップを提案している。

1.情報開示
・自社サプライチェーンで森林リスク産品を調達している国、金融機関の場合は顧客企業の事業が森林リスク産品関連事業で活動している国を特定し、自社の年次報告書やサステナビリティレポートなどで情報開示する。
・優先すべき森林リスク産品の調達を行っている国・地域を選択する。当該地域で森林リスク産品を生産、加工、取引しているサプライヤー企業を特定し開示する。

2.森林・泥炭地減少へのリスクを調べる
・特定されたサプライヤー企業・企業グループからの調達や、当該企業への投融資によって、これまで影響を与えたり、今後与える可能性のある森林や泥炭地の総面積と位置を把握するために空間分析を行い、地図を作成する。
・作成した地図を自社の年次報告書、サステナビリティレポート、企業ウェブサイトなどで開示する。

3.地域域コミュニティの権利・土地紛争
・選択した調達国・地域でサプライヤー企業や投融資先企業の事業によって影響を受ける森林や泥炭地に居住する、先住民族や地域コミュニティの権利に及ぼす影響に関する情報を調査する。
・情報には先住民族や地域住民が伝統的に所有する森林や泥炭地に関する土地への権利、アクセス、利用および保全への影響を含む。
・これまで影響を与えたり、今後与える可能性のある森林や泥炭地の総面積と位置を把握するために空間分析を行い、地図を作成する。

4.2と3の統合
・森林減少のリスクに関して得た情報と、地域コミュニティへの影響と土地紛争に関するリスクをまとめた、国や地域ごとの「森林フットプリント地図」を完成し、開示する。

 

レインフォレスト・アクション・ネットーク(RAN)は、米国のサンフランシスコに本部を持つ環境NGOです。1985年の設立以来、環境に配慮した消費行動を通じて、森林保護、先住民族や地域住民の権利擁護、環境保護活動をさまざまな角度から行っています。2005年10月より、日本代表部を設置しています。

本件に関するお問い合わせ先
レインフォレスト・アクション・ネットワーク
広報:関本 Email: yuki.sekimoto@ran.org

声明:三井住友FG、2050年排出量ネットゼロを約束 (2021/9/3)

「森林破壊ゼロ、泥炭地開発ゼロ、搾取ゼロ」もパーム油など農園開発に要求
〜「TCFDレポート2021」発表に伴い方針強化、待たれる人権尊重〜

米環境NGOレインフォレスト・アクション・ネットワーク(本部:米国サンフランシスコ、日本代表部:東京都渋谷区、以下RAN)は、本日3日、三井住友フィナンシャルグループ(SMBC)が「SMBCグループ TCFDレポート 2021」を8月31日に公表(注1)したことを受けて以下の声明を発表し、パリ協定の目標に向けての方針強化であると歓迎しつつも、中期目標の設定を先送りしていると批判しました。

RAN日本代表 川上豊幸

まず、SMBCが2050 年までに投融資ポートフォリオで温室効果ガス(GHG)排出量をネットゼロにすると約束したことは、パリ協定の目標達成に向けた方針強化と受け止めて歓迎します。「2050年ネットゼロ」は気温上昇を1.5度に抑えるために必要な長期目標で、日本政府も同様の目標を掲げています。気候危機を加速させている化石燃料への資金提供額がアジア5位のSMBCが、アジア首位の三菱UFJフィナンシャル・グループ(MUFG)(注2)に次いでコミットしたことは重要です。

しかし、投融資ポートフォリオのGHG排出量把握と中長期削減目標の開示は行われず、中期目標の開示は2023年に先送りされたことから、パリ協定への整合性を確認することができません。そして2030年までの限られた数年を目標策定に費やすことになり、緊急性に欠けます。また、投融資ポートフォリオGHG排出量の算定には、石油・ガス、電力セクターに加え、GHG排出に大きな影響を与えている石炭採掘を含めた化石燃料セクター全般、およびパーム油を含む森林関連セクターを早期に追加することが求められます。

第二に、今回のレポートでは、森林破壊の要因となるパーム油などの農園開発事業に対し、「森林破壊ゼロ、泥炭地開発ゼロ、搾取ゼロ方針」(※NDPE方針)を遵守する旨の公表を求めました。しかし、取引先には遵守の公表を求めるだけではなく、グループ全体およびサプライチェーンを含めた遵守状況をモニタリングし、不遵守状況への対応等を通じて、方針の実施と強化を進めることが必要です。また同基準は農園開発事業に限定され、各産品の購入企業には適用されていないことも課題です。MUFGも今年4月にパーム油セクターにNDPEを適用しましたが、同様の問題があります(注3)
※No Deforestation, No Peat and No Exploitationの略

一方、森林伐採事業セクターでは違法労働への支援を行わないことを明記したものの、労働者の権利尊重や地域住民や先住民族の土地権尊重といった人権尊重が明記されていません。特に「自由意思による、事前の、十分な情報に基づく同意」(FPIC:Free, Prior and Informed Consent)(注4)の要件は追加されませんでした。NDPEと同様、FPIC 基準は国連「持続可能な開発目標」(SDGs)の達成や「国連ビジネスと人権に関する指導原則」(UNGP)への遵守に不可欠です。

SMBCは前述の通り、パリ協定締結以降の化石燃料への資金提供額がアジア5位、世界18位であることが明らかになっています。また、3メガバンクは東南アジアの森林減少に加担している企業への最大の資金提供者に含まれます(注5)。 SMBCの融資先には、問題案件となっているベトナムおよびインドネシアの新規石炭火力発電所建設、インドネシアで人権侵害を伴うパーム油の農園(注6)、米国で先住民族らによる抵抗が続くオイルサンド・パイプライン(注7)等が含まれています。

 

注1 ) 三井住友フィナンシャルグループ、「SMBCグループ TCFDレポート 2021」の発行について」、2021年8月31日

「SMBCグループ TCFDレポート 2021」

注2)RAN他プレスリリース「『化石燃料ファイナンス成績表2021』発表〜世界60銀行、パリ協定後も化石燃料に3.8兆ドルを資金提供〜」、2021年3月24日

注3)NGO共同声明「MUFGが石炭火力・森林セクター方針を改定、なおパリ協定と整合せず」、2021年4月26日

注4)FPIC(エフピック)とは、先住民族と地域コミュニティが所有・利用してきた慣習地に影響を与える開発に対して、自由意志による、事前の、十分な情報を得た上で同意する、または同意しない権利のことをいう。

注5)RAN他「森林と金融データベース」より
参照:​​RAN他プレスリリース「『森林と金融』メガバンク等の森林方針の評価を発表」、2021年6月22日

注6)RAN、インドフードまたは同社グループ企業への投融資に関する銀行・投資家向けレター、2020年11月13日

注7)RAN声明「メガバンクが支援する北米パイプライン『ライン3』、活動家らの封鎖で工事中断」、2021年7月7日

 

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広報:関本 Email: yuki.sekimoto@ran.org

声明:メガバンクが支援する北米パイプライン「ライン3」、活動家らの封鎖で工事中断(2021/7/7)

エンブリッジ社パイプラインに反対する先住民族の抵抗に全米の支持が高まる、活動家らは重罪起訴

RAN事務局長ジンジャー・キャサディ(左)とスタッフ

環境NGOレインフォレスト・アクション・ネットワーク(本部:米国サンフランシスコ、以下RAN)は、2日(現地時間)、「ライン3」オイルサンド・パイプライン建設への抗議の高まりを受けて、以下の声明を発表しました(日本語訳)。

米国ミネソタ州パーク・ラピッズ発——先住民族アニシナアベ族の条約保護地域で建設が進む、エンブリッジ社「ライン3」パイプラインを停止する運動が全米で高まる中、多大な弊害をもたらす同化石燃料プロジェクトの建設を止めるために、各地から集まった活動家が逮捕されるリスクを冒して抗議しています。RAN事務局長ジンジャー・キャサディらは、7月1日、建設に抗議するために平和的な市民不服従運動に参加して重罪に問われています。

レインフォレスト・アクション・ネットワーク事務局長ジンジャー・キャサディ

「ライン3パイプラインは、先住民族と、彼らの権利に対する暴力的行為です。ライン3は、アニシナアベ族や他の部族の人々が条約で保護されている先住民族の権利を侵害しています。この無謀なパイプラインは論理的ではなく、科学的にも理にかなっていません。手つかずの湿地を横切り、ミシシッピ川の源流を通り、地球上で最も汚れた化石燃料であるオイルサンドを1日あたり100万バレル近く運ぶ計画です」
(拘束前に発表した声明より)

抵抗運動への警察による強硬手段に加え、ミネソタ州ハバード郡は保釈金の10%を現金で支払えば釈放するという、従来からある選択肢を認めず、その代わりに5千米ドルの条件付き保釈金と1万米ドルの無条件保釈金の支払いを要求しています。

タラ・ホウスカ ギニウ・コレクティブ創立者
(ライン3パイプラインに反対する先住民運動リーダーの1人)

「最近、シアトル州では13人以上が猛暑で亡くなり、オレゴン州では60人が死亡しました。海岸は燃えています。ここミネソタでは川や湖が干ばつに見舞われています。エンブリッジ社が、むき出しになった川岸からライン3掘削に使用する泥水を吸い上げているからです。正気の沙汰ではありません。合衆国政府は『健全な気候政策』と言っていますが、ライン3は連邦政府の環境影響評価報告書のない状態で建設されています。ライン3建設は犯罪行為です。土地を守る人々はリスクを冒し、切りがなく続くように見える工事用機械に自らの体を鎖でつないで抗議しています。残されたいかなる水をもあきらめないリーダーシップが必要です。環境運動は言葉だけでなく、聖地のために立ち上がらなければいけません。ライン3の建設を止めましょう」

ライン3パイプライン事業は国際エネルギー機関(IEA)が2021年に発表した報告書にも真っ向から反しています。報告書は、さらなる気候変動の壊滅的影響を防ぐためには化石燃料プロジェクトの新規および拡大計画の全てを停止する必要があると明確に述べています。ライン3のような事業が稼働した場合、今後数十年にわたって化石燃料生産が固定されます。短期的にはパイプラインからの石油漏出や流出が予測され、先住民族のオジブワ族居留地の土地や、地域コミュニティが条約によって保護されてきた狩猟、漁業、ワイルドライス耕作の権利がある先祖代々の土地を不必要に壊滅させることになります。

RANスタッフ ローレル・サザリン
(平和的抗議運動に参加した罪で起訴中)

「いま、世界はミネソタ州で起きていることに注目する必要があります。これは喫緊の課題です。だからこそ私たちは、建設中止を求める地域リーダーたちを応援するために自らの体を工事機械に鎖でつなげて抗議しています。ライン3を支援している大手銀行は、スタンディング・ロック居留地のダコタ・アクセス・パイプラインに資金提供した銀行と同じです。銀行にとってライン3事業を支援することは、警察による強行かつ暴力行為を支援することを意味します。銀行は直接、暴行と権利侵害、そして何世代も続く気候災害に加担していることになります。銀行や保険会社は今すぐ、ライン3事業から撤退する必要があります」

*日本語版追記

カナダのパイプライン大手エンブリッジ社が建設する「ライン3」は、カナダのアルバータ州から米国のミネソタ州経由でウィスコンシン州を結ぶパイプライン。1日約76万バレルのオイルサンド原油の輸送を計画している。計画中の事業では、大気中への温室効果ガス排出量が年間1億9,300 万トンが増えると推定され、これは石炭火力発電所の年間排出量の50基分に相当する。

ライン3は猛烈な反対を受けながらもウィスコンシン州とカナダでは建設が完了し、ミネソタ州にパイプラインを延長すれば全ての建設が終了することから、現在、抗議運動が激化している。エンブリッジ社は2020年11月にミネソタ州汚染管理局から同パイプラインの最終認可を取得し、20年12月から同州の区間で建設が始まっている。

ライン3への支援には北米の銀行に加え、日本のメガバンクの3行全てが参加している。その中でも三菱UFJフィナンシャル・グループ(MUFG)はアジア最大の資金提供者であり、みずほフィナンシャルグループは10億ドルの融資の主幹事銀行として重要な役割を果たしている。

ライン3には同プロジェクトに特化したファイナンスがなく、エンブリッジ社は数十社の大手銀行から「一般的な事業目的」に使用できる数十億ドルの融資を受けている。このプロジェクトへの融資は銀行が最近打ち出したネットゼロ公約や人権を尊重するという方針に明らかに逆らっていると言える。ちなみに、ダコタ・アクセス・パイプラインには、MUFGとみずほが主幹事銀行として関わった。

写真:©︎Giniw Collective

参考:

RANブリーフィングペーパー『北米パイプライン「ライン3」と「キーストーンXL」の黒幕〜オイルサンド・パイプライン建設を支援する世界の銀行』、2020年12月16日発行

ブログ「バイデン政権、気候変動対策強化〜『キーストーンXL』パイプライン認可取り消しで高まるメガバンクの政治リスク〜」、2021年1月29日

動画:The Years Project「『ストップ! ライン3』石油パイプラインがもたらす弊害」

英語のプレスリリースはこちら:“Line 3 Construction Halted As Activists Lock Down, Charged with Felonies; National Support of Indigenous Fight Against Enbridge Pipeline Grows”

レインフォレスト・アクション・ネットワーク(RAN)は、米国のサンフランシスコに本部を持つ環境NGOです。1985年の設立以来、環境に配慮した消費行動を通じて、森林保護、先住民族や地域住民の権利擁護、環境保護活動をさまざまな角度から行っています。2005年10月より、日本代表部を設置しています。

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NGO共同プレスリリース:MUFG株主提案、23%の支持を獲得(速報値)(2021/6/29)

~株主のプレッシャーがMUFGの気候対策を動かす~

MUFG株主総会に気候変動株主提案を提出した気候ネットワークと個人株主 ©︎RAN

気候ネットワークおよび3人の個人株主が三菱UFJフィナンシャル・グループ(MUFG)に対して提出した株主提案は、可決に必要な3分の2の株主の支持を得ることはできませんでしたが、株主らがMUFGに対し、気候変動に対する明確な警告を示し、投資家による圧力の影響を今一度指し示す結果となりました。速報値では23%の株主の賛成が得られました。

本日のMUFGの株主総会の議案の一つとして採決された株主提案は、気候ネットワークおよびマーケット・フォース、レインフォレスト・アクション・ネットワーク、350.org Japanの3人の個人株主による共同提案であり、パリ協定の目標に整合させるために必要な指標と目標を備えた計画を決定し、開示することを求めたものです。

本株主提案は、Federated Hermes EOSを含む、資産運用総額で数兆ドルに及ぶ機関投資家からの支持を得たことに留まらず、MUFGが2050年までの投融資ポートフォリオの温室効果ガス排出量のネットゼロを約束する「MUFGカーボンニュートラル宣言」の発表につながる動きを後押ししました。

国際的な大手議決権行使助言会社であるインスティテューショナル・シェアホルダー・サービシーズ(ISS)は、株主総会に向けた助言の中で、「銀行の動きは外部からのプレッシャーと無関係ではないように見えることは指摘しておきたい。MUFGは、気候ネットワークが今年3月に株主提案を提出した後に、カーボンニュートラル宣言を発表しており、グループからのプレッシャーがこの動きを後押ししたと考えられる。このことは、気候ネットワークのMUFGに対する働きかけ(エンゲージメント)が既に実を結んでいることを示していると言えるだろう」と述べています。

 気候ネットワークの国際ディレクター平田仁子は、「大手議決権行使助言会社が会社提案を支持したにもかかわらず、4分の1に迫る23%の株主が私たちの提案を支持したことは大変心強い結果です。投資家が、今のMUFGの方針ではまだ不十分であることを突きつける結果になったたと考えます。今日の議決権行使は、経営者をさらに追及するものであり、MUFGに対するプレッシャーは今後一層高まると考えています。」

 「また、気候危機の物理的・経済的影響は明らかであり、投資家は、MUFGに対し、さらに迅速に大胆に行動することの必要性を求めていくことになるでしょう」と述べています。

MUFG株主総会会場前で株主提案について説明する気候ネットワーク国際ディレクター 平田仁子氏 ©︎Taishi Takahashi

アジアの主要銀行で化石燃料に最多の額を提供しているMUFGの現状を踏まえると、提案者は5月17日に発表されたネットゼロ宣言を歓迎しながらも、MUFGが以下のような欠陥を残していると考えます。

  • ●パリ協定と整合するために必要な短期・中期の目標が定められておらず、「2030年の中間目標は2022年度に設定・公表する」と表明するに留まっている。すべての投融資に伴う排出量の測定および開示を行うとの明確なコミットがなされていない(スコープ3)。
  • ●第26回 国連気候変動枠組み条約締約国会議(COP26)議長の最近の要求に反して、石炭に対するファイナンスのフェーズアウト(段階的廃止)目標を定めていない。
  • ●石油・ガスの事業の拡大、または森林と泥炭地の破壊といった非常に炭素集約度の高い事業に対するファイナンスを止めるという包括的なコミットメントは出されていない。

350.org Japan 代表の横山隆美は、「MUFGが新しい方針を公表したことにより、一部の株主にとっては、銀行が正しい方向に進んでいることが一時的には保障されたわけですが、本日の投票は大きな不満と懸念を残すものとなりました。私たちの議案が否決されたとはいえ、相当数の賛成票があった訳であり、コーポレート・ガバナンス・コードが示す通り、MUFGは株主の賛成の理由や多くの票が集まったことの分析を行い、株主との対話をさらに深めることが必要です」と述べています。

レインフォレスト・アクション・ネットワーク(RAN)日本代表の川上豊幸は「MUFGは化石燃料への資金提供で世界6位の銀行であり、森林破壊をもたらす産品への資金提供でもトップ銀行の一つです。そのことを考えれば、現在の約束では自社の投融資による膨大な炭素排出への影響力に対して適切に対処ができていません。この株主の賛同への動きをMUFGは真摯に受け止めて、迅速に対処することが必要です」 と指摘しています。

マーケット・フォースのエネルギーキャンペーン担当である福澤恵は、「世界は急速にクリーンエネルギーへと移行していますが、MUFGは過去にこだわり続けています」「投資家にはプレッシャーをかけ続ける責任があり、MUFGが言葉だけでなく真の行動へと確実に移行するために、今後も引き続き厳しい目を向けていくことが重要です」と述べました 。

MUFG株主総会後の記者会見 ©︎350 Japan
MUFG株主総会会場前でのアピール行動 ©︎ Taishi Takahashi
MUFG株主総会会場前でのアピール行動に参加した若者たち ©︎ Taishi Takahashi
MUFG株主総会会場前でのアピール行動に参加した若者たち ©︎ Taishi Takahashi

株主総会前アクション・記者会見の写真はこちら

参考:NGO共同プレスリリース「三菱UFJフィナンシャル・グループ(MUFG)へ気候変動に関する株主提案を提出〜昨年のみずほFGに続く日本での株主アクション〜」(2021/3/29)

英語のプレスリリース:“Shareholders send MUFG a stark climate warning”

レインフォレスト・アクション・ネットーク(RAN)は、米国のサンフランシスコに本部を持つ環境NGOです。1985年の設立以来、環境に配慮した消費行動を通じて、森林保護、先住民族や地域住民の権利擁護、環境保護活動をさまざまな角度から行っています。2005年10月より、日本代表部を設置しています。

気候ネットワーク 平田仁子 E-mail: khirata@kikonet.org
マーケット・フォース 福澤恵 E-mail: megu.fukuzawa@marketforces.org.au
レインフォレスト・アクション・ネットワーク(RAN) 関本幸 E-mail: yuki.sekimoto@ran.org
350.org Japan 渡辺瑛莉 E-mail: eri.watanabe@350.org

プレスリリース:日清食品株主総会でアピール「2030年まで問題あるパーム油を使い続けないで! 」(2021/6/25)

〜日清 持続可能なパーム油100%、国内即席めんは「2025年」と約束 
ただしグローバル目標は2030年度で据え置き〜

環境NGOレインフォレスト・アクション・ネットワーク(本部:米国サンフランシスコ、日本代表部:東京都渋谷区、以下RAN)は、本日25日、日清食品ホールディングスの第73期定時株主総会に参加し、株主に向けて、同社にパーム油調達目標「2030年度に持続可能パーム油100%達成」(注1)の前倒しを求めるよう、会場前でアピールしました。また、総会で経営陣に目標の大幅な前倒しを求めたところ、国内即席めんについては「2025年に100%を達成」するとの回答がありました。しかし、グループ全体のグローバル目標が据え置きになっているとして批判しました。

RANと「ウータン・森と生活を考える会」のスタッフとボランティアは、会場のホテルニューオータニ大阪前で「日清さん、2030年まで問題あるパーム油を使い続けないで! 」と書かれたバナーを掲げ、熱帯林保護、生態系保護、人権尊重における問題を先送りしないよう訴えました。RANは2019年にインドネシアで現地調査を行い、日清食品を含む大手消費財企業が、スマトラ島の貴重な熱帯低地林「ルーセル・エコシステム」で熱帯林および泥炭地破壊や土地紛争を引き起こしていた現地企業からのパーム油を利用していた複数の搾油工場が日清食品のサプライチェーンに含まれていたことが明らかになっています(注2)

レインフォレスト・アクション・ネットワーク日本代表の川上豊幸は、総会で株主として発言し、「日清食品は2030年度までに持続可能なパーム油のみを調達するという目標を掲げていますが、他のグローバル企業は2020年を森林減少阻止の目標にしていました。達成できなかったものの、目標年を2022年や2023年に変えて取り組んでいる企業もあり、日清食品の取り組み状況は大きく見劣りします」と、目標の前倒しを求めました。

それに対して日清食品は「持続可能なパーム油100%については、国内即席めんの目標を2025年度とし、 国内即席めん以外のグループ全体のグローバル調達についての目標年は2030年のままです」と回答しました。

RAN川上は「日清食品は株主総会の場で、国内即席めんのパーム油調達2025年までに100%持続可能にすると約束しました。これは改善といえます。ただ、即席めん以外の国内調達や、米州および欧州、アジアで展開するグループ全体の目標は2030年度のままで、問題が先送りになる懸念は払拭されていません。また、これらの目標をどのように達成するかといった見通しや実施計画の内容、そして目標達成の確認方法も不明確です。グローバルカンパニーの対応としては不十分です」と批判しました。

日清食品は昨年8月、同社ウェブサイト「持続可能なパーム油調達コミットメント」でパーム油方針強化を公表しました。方針には責任あるパーム油生産に欠かせない国際基準である「森林破壊ゼロ、泥炭地開発ゼロ、搾取ゼロ」(NDPE:No Deforestation、No Peat、No Exploitation)に沿った項目が含まれ、森林破壊や森林火災、そして炭素を豊富に含む泥炭地開発の禁止、また先住民族および地域住民の権利尊重と土地権侵害の禁止が明記されています(注3)

一方、日清食品が調達している「持続可能なパーム油のための円卓会議」(RSPO)認証パーム油は「マスバランス方式」で、生産地の追跡ができない問題のあるパーム油も混合されています。同社は「持続可能なパーム油100%」について、「RSPO認証パーム油の調達に加え、独自アセスメントにより持続可能であると判断できるパーム油のみを調達する」と説明しています。しかし「独自アセスメント」の説明は少なく、RANとしては、同社は供給業者の方針遵守状況を監視し、独立した第三者機関による検証を行う必要があると考えます。

RANはオンライン署名「日清食品さん、2030年まで、問題あるパーム油を使い続けないで!」を昨年11月から実施し、日清食品に目標年の前倒しを求めています(注4)。これからも引き続き消費者の方々とともに声を高めていきます。

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注1)日清食品ホールディングス「地球のために、未来のために。環境戦略『EARTH FOOD CHALLENGE 2030』始動!」、2020年6月9日

注2)RANプレスリリース「日清食品を東京五輪調達コード違反で通報 〜ライセンス商品のパーム油について〜」(2020/7/1)

※「ルーセル・エコシステム」内シンキル・ベンクン地帯では、以下の環境・社会面での事例がRANの調査で明らかになっています。
1) 「ラワ・シンキル野生生物保護区」内での違法農園開発
2) 生態系を保全せず、また泥炭地や天然林を含む環境上重要な地域の適切な保全をせずに熱帯林破壊を行なっている農園企業からの調達
3) 農園企業による地域住民の土地権侵害、など

日清食品ホールディングス株式会社「2020年7月 当社商品の原材料(パーム油)調達に関する指摘について」、2020年8月

RANの通報した日清食品製品は東京五輪ライセンス商品ではありませんでしたが、日清食品のパーム油サプライチェーンに、環境・社会面での問題が指摘されている複数の搾油工場が含まれていたことが確認されました。

注3) RANプレスリリース「日清食品、パーム油調達で森林破壊・泥炭地開発・搾取ゼロを約束」(2020/8/20)

NDPEについては、以下、日清食品ホールディングス「持続可能な調達:持続可能なパーム油調達コミットメント」より抜粋

日清食品グループは、NDPE (No Deforestation、No Peat、No Exploitation=森林破壊ゼロ、泥炭地開発ゼロ、搾取ゼロ) を支持し、取引先等のステークホルダーの協力を得て、パーム原産地の環境と労働者の人権に配慮して生産されたことが確認できるパーム油を調達します。

●保全価値の高い (HCV: High Conservation Value) 地域および炭素貯蔵力の高い (HCS: High Carbon Stock) 森林の保護、森林破壊ゼロ
●深さに関わらない泥炭地の新たな開発禁止
●植栽や土地造成、その他開発のための火入れ禁止
●先住民族・地域住民の権利尊重・土地権侵害の禁止
●RSPO (持続可能なパーム油のための円卓会議) が定める「原則と基準」の遵守
●農園まで含めたトレーサビリティの確認

注4)RANプレスリリース「日清食品に新署名開始『2030年まで、問題あるパーム油を使い続けないで!』」(2020/11/13)

レインフォレスト・アクション・ネットーク(RAN)は、米国のサンフランシスコに本部を持つ環境NGOです。1985年の設立以来、環境に配慮した消費行動を通じて、森林保護、先住民族や地域住民の権利擁護、環境保護活動をさまざまな角度から行っています。2005年10月より、日本代表部を設置しています。

本件に関するお問い合わせ先
レインフォレスト・アクション・ネットワーク
広報:関本 Email: yuki.sekimoto@ran.org

NGO共同プレスリリース:三菱UFJ株主総会を前に世界同時アクション実施(2021/6/23)

〜気候変動を悪化させる投融資の中止を求め〜

2021年6月23日
国際環境NGO 350.org Japan
レインフォレスト・アクション・ネットワーク(RAN)
Oil Change International
Asian Peoples’ Movement on Debt and Development (APMDD)
BankTrack

東京ー6月17日〜22日まで、化石燃料部門や森林破壊など気候危機への資金提供でアジア最大の銀行である三菱UFJフィナンシャル・グループ(MUFG)に対して、化石燃料、森林破壊や人権侵害への支援をやめるように求める世界一斉アクションが、東京のMUFG本店、およびマニラ、ジャカルタ、ニューヨーク、アムステルダム、バルセロナ、ブラジルなど各国のグローバル拠点で行われました。アクションはMUFG年次株主総会の1週間前に行われました。株主総会では、同行に対する史上初の気候変動株主提案に対して、投資家が投票を行います。

活動家たちは、MUFGがパリ気候協定の採択以降、アジアで最大の化石燃料への資金提供者であり、世界中で石炭、石油、ガスの拡大に資金を提供し続けていると訴えました。MUFGが関与するプロジェクトとして特に注目を集めたのは、物議を醸しているライン3タールサンドパイプライン東アフリカ原油パイプライン(EACOP)、およびアジアにおける石炭火力発電事業でした。活動家たちはまた、MUFGとインドネシアの子会社であるバンクダナモンが、同国において熱帯林の破壊、石炭採掘、人権侵害に資金提供を行なっていると非難しました。

オフラインのアクションに加え、SNS上でのアクションも行われ「#気候変動への支援をやめてください」「#EndFossilFinance」「#DefundDeforestation」などのハッシュタグとともにツイッター、フェイスブック、インスタグラムなどで投稿が行われました。ニューヨーク市では、森林と人権に対するより強化された行動を要求する約20,000筆の署名が提出されました。また、MUFGに対し、30を超える国・地域の143団体は、化石燃料への投融資のフェーズアウト(段階的撤退)などを求める署名を提出しました。

アクションの写真やビデオはこちらからご覧いただけます。(日付、撮影場所、撮影者の名前を記載)

各国参加者からのコメント:

<東京>

350 Japanボランティアによるローカルグループで、石炭火力発電所の問題に特化したキャンペーンを展開する、350 New Enerationの山崎鮎美は「残念ながら日本の銀行が、アジアや世界レベルで見ても、化石燃料産業への支援に大きく加担してしまっていることは、日本では積極的に情報をとりにいかない限り、その恐ろしい事実を感じることができません。MUFGさんの公式サイトやSNSはクリーンなイメージで、一見、気候危機と何も関係がないように見えます。だからこそ、私たちはずっと声を上げ続けなければいけないと思います。#気候変動への支援をやめてください」と訴えました。

<サンフランシスコ、ニューヨーク>

レインフォレスト・アクション・ネットワーク(RAN)のハナ・ハイネケンは「MUFGは、熱帯林や泥炭地の破壊、ライン3パイプラインのような化石燃料の拡張プロジェクトに対して無謀な資金提供を続けながら、漠然とした2050年ネットゼロを公約することによって、気候破壊的な資金提供をグリーンウォッシュしようとしています。私たちはもうこんなことは懲り懲りだと伝えるために、ここにやってきました。真の気候変動対策は今すぐ始める必要があります」と訴えました。

<マニラ>

Asian Peoples’ Movement on Debt and Development (APMDD)のコーディネーターのリディ・ナクピルは「MUFGの環境ポリシーの例外規定、特にCCUS、混焼などの技術を用いる石炭火力へのファイナンスに対して、私たちは警鐘を鳴らします。これらの技術を装備した場合でも、石炭火力発電所からの温室効果ガス排出量は、人々や地球が許容できないレベルに達します。株主総会を控えた今、気候危機の緊急性に鑑みて、MUFGに例外なく石炭火力へのファイナンスを停止し、アジアにおけるガスおよび石油プロジェクトへの関与を段階的に廃止するよう要請します」とコメントしました。

Asian Energy Networkのコーディネーターであるスザンヌ・タグルは、「MUFGは、アジアだけでなく世界中で、化石燃料プロジェクトのトップの資金提供者であり続けています。これが、アジアの「ダーティ・カンパニー」の1つとして特定した理由です。MUFGの政策は、パリ協定の目標を達成するために必要な野心と緊急性を欠いています」とコメントしました。

<ジャカルタ> 

インドネシアの若者コミュニティであるFossil Free Universitas Indonesiaに所属する大学生のナイファ・ウズラは、「私たちはNoCoal Japanと連帯し、MUFGが地球と私たちの世代の未来を破壊している石炭とパーム油への資金提供を終了することを求めています。汚染企業への資金の流れを遮断することで、私たちの国および世界の気候災害を悪化させるプロジェクトを阻止できることを願っています」と述べました。

MUFGとインドネシア子会社のバンクダナモン、インドネシア金融庁(OJK)に対する請願を始めたTuKインドネシアの事務局長エディ・ストリスノは、「MUFGがインドネシアにダブル・スタンダードを適用し、同社の子会社が世界の他の地域よりも低い基準を用いて、気候を破壊する企業を支援することを許可していることは恥ずべきことです。投資家は株主総会で、『MUFGの長期的なコミットメントは、熱帯林の破壊、森林火災、人権侵害への資金提供を停止するための早急な対策とは代替できない』という明確なメッセージを送るべきです」とコメントしました。

<アムステルダム、バルセロナ>

アムステルダムでの行動に参加したBanktrackヘンリケ・ブティジンは次のように述べています。「MUFGのネットゼロの発表と責任銀行原則へのコミットメントは、銀行が新しい化石燃料プロジェクトや東アフリカ原油パイプライン(EACOP)のような人権に深刻な影響を与えるプロジェクトを除外しない限り、空虚な約束のままです。EACOPのパイプラインは、地域社会に広範な悪影響を及ぼし、野生生物や水源を脅かし、新たな炭素排出源となるでしょう。だからこそ、MUFGにEACOPへの融資を公に除外するよう呼びかけているのです。」

本件に関するお問い合わせ

350.org Japan  担当:渡辺瑛莉  japan[@]350.org

RAN  担当: 関本幸 yuki.sekimoto[@]ran.org