発行物:『生物多様性崩壊をもたらす金融業務』日本語要約版発表(2026/4/28)
米環境NGOレインフォレスト・アクション・ネットワーク(本部サンフランシスコ、以下、RAN)は、4月28日、「森林と金融」連合による年次報告書である『生物多様性崩壊をもたらす金融業務:熱帯林破壊を助長する銀行と投資家の追跡』日本語要約版を発表しました。
本報告書は、大手金融機関が熱帯林地域における森林破壊、生物多様性の損失、気候変動、人権侵害を助長している役割について包括的に分析するものです。世界の熱帯林破壊の大部分を引き起こしている「森林リスク産品」セクターの6品目(牛肉、パーム油、紙パルプ、天然ゴム、大豆、木材)に携わる300社の森林部門事業に対する商業資金の流れを、パリ協定採択後の約10年間において分析しています(2016年1月から2025年7月)。
調査の結果、世界の主要30銀行はパリ協定以降、森林リスク産品に4,290億米ドル以上を投じ、うち720億米ドルは調査の直近18カ月間(2024年1月〜2025年7月)に提供されたことが明らかになりました。本調査報告書における分析は、金融機関による自主的なアプローチが失敗に終わったということを示しています。
日本語要約版では、森林リスク産品セクターにおける日本のメガバンク3行の動向も新たに調査してまとめています(対象期間:2020年1月から2025年7月の約5年間半)。
三菱UFJフィナンシャル・グループ(MUFG)の森林リスク産品セクターへの融資・引受額は、経済協力開発機構(OECD)加盟国の銀行として世界2位、みずほフィナンシャルグループ(みずほ)は世界4位、三井住友フィナンシャルグループ(SMBC)は世界5位であり、これら3行は日本の金融機関による熱帯林リスクセクターへの融資・引受全体のうち、90%を占めていることが明らかになりました。また、日本の金融機関は2024年1月から2025年7月にかけて、深刻な環境破壊や人権侵害との関連が多く指摘されているリスクの高いセクターで事業を展開する企業に対して29億米ドルを提供しています。
「森林と金融」が2023年に実施した方針評価では、銀行の森林リスク産品セクター方針に関するESG(環境・社会・ガバナンス)フレームワークが不十分であることが明らかになっています。中でもMUFGのスコアは10点満点中2.4点で、みずほ(3.8点)やSMBC(3.6点)を下回り、リスク管理および説明責任に深刻な欠陥が際立っています。MUFGは2026年4月、森林・農業セクターの方針を改定しましたが、MUFGの森林リスク産品セクターへの資金提供の大部分を占めるパーム油と紙パルプのサプライチェーンにおける中流事業は追加されませんでした。今後の方針の改善が大いに求められ、みずほとSMBCにおいても、熱帯林の破壊防止において重要な役割を担う中流事業者をNDPE方針のスコープに含めることを、早急に行う必要があります。
・特設ウェブサイト:https://forestsandfinance.org/ja/banking-on-biodiversity-collapse-ja/
・レポート:https://japan.ran.org/wp-content/uploads/2026/04/BOBC_2025_EXECSUMMARY_vJPN.pdf
「森林と金融」について

「森林と金融」は、レインフォレスト・アクション・ネットワーク、TuK インドネシア、プロフンド(Profundo)、アマゾン・ウォッチ、FoEオランダ(Milieudefensie)、CEDカメルーン、レポーター・ブラジル、オブゼルヴァトリオ・ダ・ミネラソン(Observatório da Mineração)、バンクトラック、サハバット・アラム・マレーシア(国際環境NGO FoE Malaysia)、FoE USから成る、キャンペーン活動や調査を行う団体の連合によるイニシアチブです。私たちは共同で、森林リスク産品セクターに頻繁に見られる環境・社会への負の影響を、金融機関が助長することを防止することを目指しています。この目的を達成するため、金融セクターの透明性向上および政策・制度・規制の改善を推進しています。
