声明:MUFG方針改定、森林保護方針で大きな変更なし 〜サプライチェーン中流を追加するも紙パルプとパーム油は含めず〜(2026/4/3)
米環境NGOレインフォレスト・アクション・ネットワーク(本部:米国サンフランシスコ、日本代表部:東京都渋谷区、以下RAN)は、本日3日、三菱UFJフィナンシャル・グループ(MUFG)がMUFG環境・社会ポリシーフレームワークを1日に改定した(注)ことを受けて、以下の声明を発表しました。
RAN 責任ある金融キャンペーナー(日本担当) 麻生里衣
「今回のMUFGの方針改定では、文字数は大幅に増えた一方で、追加されたコミットメントが希薄だった点が残念でした。RANはこれまで、MUFGの顧客企業グループによる大規模な森林破壊や人権侵害への関与について問題提起を行ってきました。MUFGの方針には、森林破壊防止の上で重要な役割を担うサプライチェーンの中流部門が含まれていなかったことが大きな課題であり、RANはその点を指摘してきました。今回、南米の保護価値の高い地域における大豆の一次加工や牛肉の処理加工・流通など、一部の部門の中流事業が方針に追加されました。
中流を含めることは重要な取り組みである一方で、MUFGの資金提供の大部分を占める紙パルプとパーム油部門(※)の中流の追加を避けた点には大きな懸念が残ります。また、物議を醸す事業活動を水面下で行う『シャドーカンパニー(影の企業)』への対応や、森林破壊を禁止する明確な基準日などの記載もなく、熱帯林の破壊に対処するためには今後より一層の方針強化が必要です」
※MUFGの森林リスク産品部門への資金提供額(融資・引受)(2016-2025年6月、単位:百万米ドル)(「森林と金融」データより)

MUFG環境・社会方針ポリシーフレームワークの主な変更点
- 林業、紙パルプ、パーム油、大豆、牛肉、天然ゴム、カカオ、コーヒーなど、熱帯林の破壊リスクが高い主要なセクターへのファイナンスに対し、FPICの取得およびNDPE方針の策定を求めると明記された。
- サプライチェーンの上流事業に加え、南米の保護価値の高い地域における大豆の一次加工や牛肉の処理加工・流通など、中流事業が追加された。一方で、『保護価値の高い地域』に関する定義がなく、どのような場所が含まれるのかが定かではない。
- 紙パルプとパーム油に関して中流事業(製紙・製油事業等)の追加がなかった点は、今後の大きな課題である。
これまでRANが求めてきた、1)顧客の企業グループ全体へのNDPE方針の適用、2)NDPE方針の明確な遵守期限の設定、3)方針違反への透明性のある対応手順の設定などにも至りませんでした。
RANも構成団体である「森林と金融」連合は2月、MUFGを含む金融機関に対し「アマゾン大豆モラトリアム」の基準遵守を求める書簡を送付しています。「アマゾン大豆モラトリアム」とは2006年に策定された大豆取引企業による自主的な取り組みで、2008年7月以降にアマゾン生物圏(バイオーム)で森林伐採を行った農園からの大豆を購入をしないことを約束しています。今回追加されたMUFGの大豆部門の方針には、森林破壊を禁止する基準日の記載がなく、モラトリアムが求める 「2008年7月以降、アマゾンにおける森林破壊ゼロ」、「農園レベルまでの完全なトレーサビリティー」という基準には及んでいません。
MUFGは、インドネシアのタイクーン(大物実業家)であるスカント・タノト氏が支配する紙パルプなどの事業も展開する複合企業のロイヤル・ゴールデン・イーグル(RGE)グループの主要な資金提供者であり、RANでは同企業グループが関係する企業による大規模森林破壊に関して問題提起を行ってきました。今後、MUFGがRGEに対してどのように方針を適用し、金融機関としての責任を果たすのか引き続き注視していきます。
注)「MUFG 環境・社会ポリシーフレームワーク」(2026年4月1日公表/2026年5月1日適用)
https://www.mufg.jp/csr/policy/index.html?link_id=csr_policy?link_id=csr_top_policy
団体紹介
レインフォレスト・アクション・ネットーク(RAN)は、米国のサンフランシスコに本部を持つ環境NGOです。1985年の設立以来、環境に配慮した消費行動を通じて、森林保護、先住民族や地域住民の権利擁護、環境保護活動をさまざまな角度から行っています。2005年10月より、日本代表部を設置しています:http://japan.ran.org
本件に関するお問い合わせ先
レインフォレスト・アクション・ネットワーク
東京都渋谷区千駄ヶ谷1-13-11-204、TEL 03-6721-0441
責任ある金融キャンペーナー 麻生里衣 Email: rie.aso@ran.org
日本チームマネジャー:関本幸 Email: yuki.sekimoto@ran.org