サンフランシスコに本部を持つ米国の環境NGO RAINFOREST ACTION NETWORKの日本代表部です

発行物:『生物多様性崩壊をもたらす金融業務』日本語要約版発表(2026/4/28)

米環境NGOレインフォレスト・アクション・ネットワーク(本部サンフランシスコ、以下、RAN)は、4月28日、「森林と金融」連合による年次報告書である『生物多様性崩壊をもたらす金融業務:熱帯林破壊を助長する銀行と投資家の追跡』日本語要約版を発表しました。

本報告書は、大手金融機関が熱帯林地域における森林破壊、生物多様性の損失、気候変動、人権侵害を助長している役割について包括的に分析するものです。世界の熱帯林破壊の大部分を引き起こしている「森林リスク産品」セクターの6品目(牛肉、パーム油、紙パルプ、天然ゴム、大豆、木材)に携わる300社の森林部門事業に対する商業資金の流れを、パリ協定採択後の約10年間において分析しています(2016年1月から2025年7月)。

調査の結果、世界の主要30銀行はパリ協定以降、森林リスク産品に4,290億米ドル以上を投じ、うち720億米ドルは調査の直近18カ月間(2024年1月〜2025年7月)に提供されたことが明らかになりました。本調査報告書における分析は、金融機関による自主的なアプローチが失敗に終わったということを示しています。

日本語要約版では、森林リスク産品セクターにおける日本のメガバンク3行の動向も新たに調査してまとめています(対象期間:2020年1月から2025年7月の約5年間半)。

三菱UFJフィナンシャル・グループ(MUFG)の森林リスク産品セクターへの融資・引受額は、経済協力開発機構(OECD)加盟国の銀行として世界2位、みずほフィナンシャルグループ(みずほ)は世界4位、三井住友フィナンシャルグループ(SMBC)は世界5位であり、これら3行は日本の金融機関による熱帯林リスクセクターへの融資・引受全体のうち、90%を占めていることが明らかになりました。また、日本の金融機関は2024年1月から2025年7月にかけて、深刻な環境破壊や人権侵害との関連が多く指摘されているリスクの高いセクターで事業を展開する企業に対して29億米ドルを提供しています。

「森林と金融」が2023年に実施した方針評価では、銀行の森林リスク産品セクター方針に関するESG(環境・社会・ガバナンス)フレームワークが不十分であることが明らかになっています。中でもMUFGのスコアは10点満点中2.4点で、みずほ(3.8点)やSMBC(3.6点)を下回り、リスク管理および説明責任に深刻な欠陥が際立っています。MUFGは2026年4月、森林・農業セクターの方針を改定しましたが、MUFGの森林リスク産品セクターへの資金提供の大部分を占めるパーム油と紙パルプのサプライチェーンにおける中流事業は追加されませんでした。今後の方針の改善が大いに求められ、みずほとSMBCにおいても、熱帯林の破壊防止において重要な役割を担う中流事業者をNDPE方針のスコープに含めることを、早急に行う必要があります。

特設ウェブサイト:https://forestsandfinance.org/ja/banking-on-biodiversity-collapse-ja/
レポート:https://japan.ran.org/wp-content/uploads/2026/04/BOBC_2025_EXECSUMMARY_vJPN.pdf

「森林と金融」について


「森林と金融」は、レインフォレスト・アクション・ネットワーク、TuK インドネシア、プロフンド(Profundo)、アマゾン・ウォッチ、FoEオランダ(Milieudefensie)、CEDカメルーン、レポーター・ブラジル、オブゼルヴァトリオ・ダ・ミネラソン(Observatório da Mineração)、バンクトラック、サハバット・アラム・マレーシア(国際環境NGO FoE Malaysia)、FoE USから成る、キャンペーン活動や調査を行う団体の連合によるイニシアチブです。私たちは共同で、森林リスク産品セクターに頻繁に見られる環境・社会への負の影響を、金融機関が助長することを防止することを目指しています。この目的を達成するため、金融セクターの透明性向上および政策・制度・規制の改善を推進しています。

声明:MUFG方針改定、森林保護方針で大きな変更なし 〜サプライチェーン中流を追加するも紙パルプとパーム油は含めず〜(2026/4/3)

米環境NGOレインフォレスト・アクション・ネットワーク(本部:米国サンフランシスコ、日本代表部:東京都渋谷区、以下RAN)は、本日3日、三菱UFJフィナンシャル・グループ(MUFG)がMUFG環境・社会ポリシーフレームワークを1日に改定した()ことを受けて、以下の声明を発表しました。

RAN 責任ある金融キャンペーナー(日本担当) 麻生里衣

「今回のMUFGの方針改定では、文字数は大幅に増えた一方で、追加されたコミットメントが希薄だった点が残念でした。RANはこれまで、MUFGの顧客企業グループによる大規模な森林破壊や人権侵害への関与について問題提起を行ってきました。MUFGの方針には、森林破壊防止の上で重要な役割を担うサプライチェーンの中流部門が含まれていなかったことが大きな課題であり、RANはその点を指摘してきました。今回、南米の保護価値の高い地域における大豆の一次加工や牛肉の処理加工・流通など、一部の部門の中流事業が方針に追加されました。

中流を含めることは重要な取り組みである一方で、MUFGの資金提供の大部分を占める紙パルプとパーム油部門(※)の中流の追加を避けた点には大きな懸念が残ります。また、物議を醸す事業活動を水面下で行う『シャドーカンパニー(影の企業)』への対応や、森林破壊を禁止する明確な基準日などの記載もなく、熱帯林の破壊に対処するためには今後より一層の方針強化が必要です」

※MUFGの森林リスク産品部門への資金提供額(融資・引受)(2016-2025年6月、単位:百万米ドル)(「森林と金融」データより)

MUFG環境・社会方針ポリシーフレームワークの主な変更点

  • 林業、紙パルプ、パーム油、大豆、牛肉、天然ゴム、カカオ、コーヒーなど、熱帯林の破壊リスクが高い主要なセクターへのファイナンスに対し、FPICの取得およびNDPE方針の策定を求めると明記された。
  • サプライチェーンの上流事業に加え、南米の保護価値の高い地域における大豆の一次加工や牛肉の処理加工・流通など、中流事業が追加された。一方で、『保護価値の高い地域』に関する定義がなく、どのような場所が含まれるのかが定かではない。
  • 紙パルプとパーム油に関して中流事業(製紙・製油事業等)の追加がなかった点は、今後の大きな課題である。

これまでRANが求めてきた、1)顧客の企業グループ全体へのNDPE方針の適用、2)NDPE方針の明確な遵守期限の設定、3)方針違反への透明性のある対応手順の設定などにも至りませんでした。

RANも構成団体である「森林と金融」連合は2月、MUFGを含む金融機関に対し「アマゾン大豆モラトリアム」の基準遵守を求める書簡を送付しています。「アマゾン大豆モラトリアム」とは2006年に策定された大豆取引企業による自主的な取り組みで、2008年7月以降にアマゾン生物圏(バイオーム)で森林伐採を行った農園からの大豆を購入をしないことを約束しています。今回追加されたMUFGの大豆部門の方針には、森林破壊を禁止する基準日の記載がなく、モラトリアムが求める 「2008年7月以降、アマゾンにおける森林破壊ゼロ」、「農園レベルまでの完全なトレーサビリティー」という基準には及んでいません。

MUFGは、インドネシアのタイクーン(大物実業家)であるスカント・タノト氏が支配する紙パルプなどの事業も展開する複合企業のロイヤル・ゴールデン・イーグル(RGE)グループの主要な資金提供者であり、RANでは同企業グループが関係する企業による大規模森林破壊に関して問題提起を行ってきました。今後、MUFGがRGEに対してどのように方針を適用し、金融機関としての責任を果たすのか引き続き注視していきます。

注)「MUFG 環境・社会ポリシーフレームワーク」(2026年4月1日公表/2026年5月1日適用)
https://www.mufg.jp/csr/policy/index.html?link_id=csr_policy?link_id=csr_top_policy

団体紹介

レインフォレスト・アクション・ネットーク(RAN)は、米国のサンフランシスコに本部を持つ環境NGOです。1985年の設立以来、環境に配慮した消費行動を通じて、森林保護、先住民族や地域住民の権利擁護、環境保護活動をさまざまな角度から行っています。2005年10月より、日本代表部を設置しています:http://japan.ran.org

本件に関するお問い合わせ先

レインフォレスト・アクション・ネットワーク
東京都渋谷区千駄ヶ谷1-13-11-204、TEL 03-6721-0441
責任ある金融キャンペーナー 麻生里衣 Email: rie.aso@ran.org
日本チームマネジャー:関本幸 Email: yuki.sekimoto@ran.org

プレスリリース:RAN最新調査 MUFG資金提供とRGEグループの森林破壊の実態が明らかに(2025/12/19)

〜インドネシアが大洪水に見舞われる中で発覚〜

写真:RGEグループの供給業者 PT. SAKの事業管理地で、熱帯林が皆伐されたばかりの区域を記録したドローン写真。© Auriga Nusantara, 2025

米環境NGOレインフォレスト・アクション・ネットワーク(本部:サンフランシスコ、日本代表部:東京都渋谷区、以下RAN)は本日19日、新たな調査の結果を発表し(注1)、三菱UFJフィナンシャル・グループ(MUFG)が、ロイヤル・ゴールデン・イーグル(RGE)グループとつながりのある供給業者によるインドネシアでの大規模熱帯林破壊の明白かつ継続した証拠があるにもかかわらず、同グループへの資金提供を続けていることを明らかにしました。RGEは、インドネシアの億万長者であるスカント・タノト氏が支配する紙パルプ複合企業です。RANは「このスキャンダルは、世界の銀行や大企業が森林破壊を終わらせると約束しながらも、いかに生態系の崩壊を加速させているかを強く示している」と主張しました。森林破壊は、11月末にインドネシア各地を襲った壊滅的な洪水の一因に挙げられています。 これによりインドネシア政府は、北スマトラ州にあるRGE傘下のパルプ企業であるトバ・パルプ・レスタリの操業停止を命じました

今回の調査は、衛星画像分析やインドネシア政府のデータ、サプライチェーン記録によって、中国にあるRGEグループ最大のパルプ工場に供給する木材チップ工場が、2020年から2024年にボルネオ島の東カリマンタン州で5,500ヘクタール以上の天然林を皆伐した植林地から木材を調達していたことを明らかにしました。この調査は、インドネシアのパルプ材セクターに関するサプライチェーン透明性プラットフォーム「Trase」の最新データを利用して実施されました。 調査結果は、RGEが2016年に大々的に発表した「サプライチェーンからの森林破壊停止」の誓約と矛盾し、MUFGの森林破壊をなくすという約束の信頼性についても深刻な懸念を提起しています。RGEはこれに対して、予備分析の結果、供給業者の事業許可地で「土地被覆の変化」が発生し、これは同社の方針に違反している可能性が高いと結論付けたと、回答しました。

PT. BJAの事業管理地における年ごとの森林破壊を示した衛星画像(2020〜2024年)

森林破壊スキャンダル、インドネシア地域社会が壊滅的な洪水に見舞われる中で発覚

調査による新事実は、インドネシアがボルネオ島(カリマンタン)からスマトラ島の各地でコミュニティを壊滅させた深刻な洪水の余波に直面する中で明らかになりました。災害対策政府機関や科学者は、この災害を上流の森林喪失と直接結びつけています。かつて降雨を緩和し、ランドスケープ(景観)を安定させていた原生林は産業用植林地に取って代わり、浸食を悪化させ、鉄砲水の速さと規模を増幅させています。洪水の後、インドネシア政府は監査を実施する間、RGEグループの別のパルプ企業であるトバ・パルプ・レスタリに対し操業停止を命じました。

RAN森林プログラムディレクターのロビン・アバベックは「記録された森林皆伐は些細なものではなく、RGEグループのグローバルな木材繊維供給量のかなりの部分を占めています。また、この様な事例が発覚したのは今回だけではありません。 まさにこれらの同じ企業は、数年前の森林皆伐の後、強化された監視下に置かれるはずでした。この事例は、RGEが掲げる『森林破壊へのゼロ・トレランス(不容認)』が偽りであることを明らかにしています。RGEの木質繊維需要の急増は、ボルネオに残る熱帯林への最大の脅威の一つであり続けています」と警鐘を鳴らしました。

FSC規則が証明:RGEの関連企業、森林皆伐を続けるシャドー事業とのつながり

今回の調査により、PT. バリクパパン・チップ・レスタリ(PT. BCL)が、RGEの保有する中国の巨大パルプ工場「アジア・シンボル」に木材チップを独占供給していることが判明しました。 森林管理協議会(FSC)の改訂ガイドラインによると、PT. BCLはRGEの財務的支配下にあるとみなされます。これはPT. BCLとつながりのある森林破壊の継続が、FSC方針およびRGE自身の「森林破壊ゼロ」誓約に直接違反していることを意味します。

RGEはPT. BCLの所有を否定していますが、重複する企業構造や産業施設の共有、独占的な供給の流れは、RGEの「紙パルプ帝国」を拡張する「シャドーカンパニー(影の企業)」の形態を明らかにしています。この仕組みにより、タノト一族の複合企業は森林皆伐から利益を得ながら、自社の旗艦的な代表企業を破壊行為から隔てることを可能にしています。
RGEはRANの質問に対して、アジア・シンボルおよびRGEグループの他の下流パルプ企業はPT. BCLからの供給を全て停止すると回答しました。しかしながら、PT. BCL自体は依然としてRGEの企業グループの一部です。

アバベックは「RGEは、市場と金融へのアクセスを確保するために、FSC認証企業としての地位回復を急いでいます。そのために、過去における環境破壊の規模を査定しています。しかし同時に、同社の木材繊維需要はボルネオの熱帯林での新たな破壊を加速させ続けています」と続けました。

関連する最新情報として、本日(米国時間18日)、RANはFSCの設立メンバーを辞職することを発表しました。長年にわたる当認証機関への信頼性の失墜が理由です。

写真:PT. BCLで植林地からの丸太が荷下ろしされる様子、インドネシア東カリマンタン州バリクパパン、2024年11月

MUFGはRGEへの支援を継続、明白な証拠があるにもかかわらず

RGEの森林破壊に関する証拠が増える中、MUFGは2020年から2025年7月までに、RGEのパルプ部門であるエイプリル社(APRIL)に少なくとも2億2200万米ドルの融資を提供しました(注2)。これには2024年のシンジケートローンへの9,500万米ドルの出資も含まれます。 MUFGは持続可能なファイナンスを牽引すると表明する一方で、「森林破壊禁止、泥炭地開発禁止、搾取禁止(NDPE)」方針の包括的な適用方法や、不透明な企業構造やシャドーカンパニーを持つ顧客へのデューデリジェンスの実施方法を示していません。
RANは調査結果公表の前に、新たな証拠をMUFGに提示しました。しかしMUFGは顧客の守秘義務を理由に、調査結果についてのコメントを控えました。

RAN 責任ある金融キャンペーナー(日本担当)の麻生里衣は「MUFGは、サステナビリティへの誓いを行動に移すべきです。MUFGは、自然資本と生物多様性を優先課題と認識しているとしながらも、RGEグループなどの顧客への資金提供は全く逆の傾向を示しています。責任ある金融機関を目指すのであれば、MUFGは影に隠れて熱帯林を破壊する企業にではなく、最前線のコミュニティの声に耳を傾けるべきです」と訴えました。

即時に求められる行動

レインフォレスト・アクション・ネットワークは以下を要求します:

1. RGEグループ全体の森林破壊が停止・是正されない限り、FSCとの関係修復停止の措置は延長されること。

2. FSCのガイドラインに従い、PT. バリクパパン・チップ・レスタリ、タラカン島のパルプ工場(PT. フェニックス・リソーシズ・インターナショナル、注3、その他のRGE関連のシャドーカンパニーを明確に企業グループに含めること。

3. RGEグループへのMUFGの新規の資金提供を即時に停止すること。

4. グループ全体で森林破壊のない事業活動が確認されない限り、グローバル消費財企業によるRGEからの調達を停止すること。

アバベックは「RGEがボルネオのあらゆる場所で森林破壊を積極的に進めている傍ら、MUFGは資金を提供しています。地域社会は、土砂崩れや壊滅的な洪水を含む被害に必然的に見舞われることになります。タノト一族のビジネス帝国と、それを可能にしている銀行には責任があります」と強調しました。

注1)RAN「RGEグループ、パルプ材サプライチェーンにおける新たな森林破壊を認める」
https://japan.ran.org/?p=2584

注2)「森林と金融」データより
https://forestsandfinance.org/ja/

注3)参考
RAN「ボルネオとパプアで森林破壊の新たな動き〜背後にひしめく悪しきプレイヤーたち〜」、2023年5月22日
https://japan.ran.org/?p=2276

*本プレスリリースは、英文 ”New Investigation Exposes MUFG’s Financing of Royal Golden Eagle’s Deforestation as Indonesia Reels from Deadly Floods” の和訳版です。

団体紹介

レインフォレスト・アクション・ネットーク(RAN)は、米国のサンフランシスコに本部を持つ環境NGOです。1985年の設立以来、環境に配慮した消費行動を通じて、森林保護、先住民族や地域住民の権利擁護、環境保護活動をさまざまな角度から行っています。2005年10月より、日本代表部を設置しています。
http://japan.ran.org

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東京都渋谷区千駄ヶ谷1-13-11-204、TEL 03-6721-0441 FAX:03-6721-0959

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Email: rie.aso@ran.org

日本チームマネジャー:関本幸
Email: yuki.sekimoto@ran.org

ブログ:RGEグループ、パルプ材サプライチェーンにおける新たな森林破壊を認める(2025/12/19)

レインフォレスト・アクション・ネットワーク(RAN)

RGEグループの供給業者であるPT. SAKの事業管理地で、熱帯林が転換されたばかりの区域を記録した最近のドローン写真。ドローンの位置:北緯0.0784825度、東経115.9216100度、皆伐が行われた区域:北緯0.083936度、東経115.937801度(© Auriga Nusantara, 2025)

概要

● ロイヤル・ゴールデン・イーグル(RGE)グループは、自社サプライチェーンにおける森林破壊を2016年以降に停止することを誓約している。しかし、それから9年後の今も、RGEグループの紙パルプ部門のサプライチェーンは、熱帯林の皆伐を続ける事業管理地からの調達を継続している。木材チップの調達は、物議を呼んでいる PT. バリクパパン・チップ・レスタリ(PT. BCL)を通じて行われている。RGEグループは、自社方針の違反があったことを認めている。

● 森林管理協議会(FSC)が新たに公表したガイドラインによれば、PT. BCLはRGEグループの財務的支配下にあり、ゆえにRGEの企業グループの一員とみなされる。したがって、RGEグループは、FSCとの関係修復に向けた取り組みの基盤である「森林破壊禁止」誓約に引き続き違反している。

● インドネシア政府の記録および衛星画像分析から、中国にあるRGEグループ最大のパルプ工場に専属で供給する木材チップ工場であるPT. BCLが、2020年から2024年の間に5,565ヘクタールの天然林を皆伐した2つのパルプ材植林地から調達していたことが明らかになった。

● 日本のメガバンクである三菱UFJフィナンシャル・グループ(MUFG)は、RGEグループのパルプ部門への融資を続けている。2020年から2025年7月までに、エイプリル社に2億2,200万米ドルの融資を行っている。そのうち、2024年にはシンジゲートローンに9,500万米ドルもの拠出が行われた。

RGEグループと森林破壊のつながり

ロイヤル・ゴールデン・イーグル(RGE)グループは、ビスコース、紙、ティッシュ、包装材の世界的な大手供給企業である。同グループは、2016年の始めまでに自社サプライチェーンから森林破壊を停止するという誓約を広く宣伝しているにもかかわらず、インドネシアの熱帯林を皆伐している供給業者からの調達を続けている。

税関記録、衛星画像分析およびサプライチェーンのデータによると、インドネシアの木材チップ生産者であるPT. バリクパパン・チップ・レスタリ(PT. BCL)が、2020年から2024年にかけてボルネオ島の東カリマンタン州で5,500ヘクタール以上の天然林を皆伐した2つのパルプ材植林地から、大量の木材を調達してきたことを示している。この税関記録および木材供給に関するデータは、サプライチェーンの透明性向上のためのプラットフォーム「Trase」が、インドネシアのパルプ部門に関する最新アップデートのなかでまとめたものである。現地のNGOである「アウリガ・ヌサンタラ(Auriga Nusantara)」による現地調査は、2025年に至るまで継続している森林破壊を記録している。

RGEグループの供給業者であるPT. SAKの事業管理地2025年5月の衛星画像(Sentinel-2)に示された、最近皆伐された区域の記録(ヌサンタラ・アトラス上で閲覧)。ドローンの位置(黄色のピン)および撮影されたおおよその範囲(ピンク色)を表示

RGEグループの供給業者であるPT. SAKの事業管理地RGEグループの供給業者であるPT. SAKの事業管理地で、熱帯林が転換されたばかりの区域を記録した最近のドローン写真。ドローンの位置:北緯0.0784825度、東経115.9216100度、皆伐が行われた区域:北緯0.083936度、東経115.937801度(© Auriga Nusantara, 2025)

RGEグループの供給業者であるPT. SAKの事業管理地で、熱帯林が転換されたばかりの区域を記録した最近のドローン写真。ドローンの位置:北緯0.0784825度、東経115.9216100度、皆伐が行われた区域:北緯0.083936度、東経115.937801度 (© Auriga Nusantara, 2025)

問題となっている木材チップ工場——PT. BCL——は、数年にわたりRGEグループの独占供給者となっている。森林管理協議会(FSC)が2025年10月に採用した新しいガイドラインによれば、PT. BCLは、RGEグループの財務的支配下にあり、ゆえに企業グループの一員とみなされる。以上のことから、RGEグループは保護価値の高い(HCV)地域の破壊および森林の非森林用途への大規模転換を禁じるFSCの「組織とFSCの関係に関する指針」に違反していると見られる。RGEグループは、「救済(補償)プロセス」を通じて、傘下のパルプ企業グループであるエイプリル社(APRIL:アジア・パシフィック・リソース・インターナショナル)とFSCとの関係修復を図ってきた。しかし、RGEグループ傘下のパルプ企業トバ・パルプ・レスタリ(TPL)の労働者が先住民族コミュニティの人々に暴行を加えた事件の告発を受け、この救済プロセスは2025年9月に停止されている。

PT. BCLで植林地からの丸太が荷下ろしされる様子(2024年11月)

loyal-Golden-Eagle-Industrial-Zone-BalikpapanPT. BCLの木材チップ施設は、RGEグループ傘下のアピカル社のパーム油精油施設の隣に位置する(バリクパパン)

RGEグループはこの告発に対し、同社の「予備的分析は、2020年から2024年の間に、PT. センダワル・アディ・カリヤ(PT. Sendawar Adhi Karya: PT. SAK)およびPT. バカヤン・ジャヤ・アバディ(PT. Bajayan Jaya Abadi: PT. BJA)の事業管理地において土地被覆の変化が実際に発生していること、および、この土地被覆の変化は当社の森林破壊禁止方針および持続可能な調達方針に適合していなかった可能性が高いことを示しています」と回答している(RGEの回答全文はページ下部を参照)。

2023年7月、RGEグループ傘下のアジア・シンボル社も、PT. BCLは木材チップ供給者であり、RGEグループおよびアジア・シンボルの森林破壊禁止誓約に反して、2016年から2022年にかけて森林破壊を引き起こしていた供給業者から木材を調達していたと認めている。アジア・シンボルはこの声明の中で、PT. BCLには「強固なデューデリジェンス体制を整備し、調達した全ての木材について定期的な現地検証を実施することが求められていました」と述べた。しかし、このスキャンダル以降も、アジア・シンボルはPT. BCLから安定的に調達を続けている。2020年にはアジア・シンボルのPT. BCLからの木材チップ調達は、全体の約5分の1を占めていた。政府記録と衛星画像分析などを用いた今回の新たな調査結果は、PT. BCLが天然林を皆伐している企業からの調達を継続していたことを示している。2024年にPT. BCLが調達した木材総量の36%は、天然林の皆伐を行うPT. SAKとPT. BJAから調達されていた。この調達は、アジア・シンボルが表明している、PT. BCLの調達に関する強化されたデューデリジェンス・検証の実施期間中に行われたものである。RGEグループのバリューチェーンに森林破壊とつながりのある供給業者が存在し続けていることは、RGEグループが掲げる「森林破壊を一切容認しない」という主張が偽りであることを示している。

RGEグループは次のように回答した。「PT. BCLおよびその供給業者による当社方針の遵守に疑いが生じたのは、今回が初めてではありません。(略)当社調査による予備的な所見に基づき(略)アジア・シンボルは、PT. BCLからの全ての供給を直ちに停止する決定を下しました。アジア・シンボルおよびその他のRGE企業は、今後PT. BCLから調達を行いません」

PT. BJAの事業管理地における年次の森林破壊を示した地図(2020〜2024年)

PT. SAKの事業管理地における年次の森林破壊を示した地図(2020〜2024年)

サプライチェーン内の森林破壊

衛星画像分析および現地調査は、PT. SAKおよびPT. BJAの隣接する事業管理地内で、2020年以降、5,500ヘクタール以上の熱帯林(サッカー場7,000面以上に相当)がパルプ材用植林地のために皆伐されてきたことを示している(衛星リモートセンシング分析はRANが外部委託したもの)。

PT. BCLがインドネシア環境林業省に報告したデータによれば、PT. SAKおよびPT. BJAは、2024年に両社の植林地の40万立方メートルを超える木材を、全てPT. BCLの木材チップ工場に送っている。出荷記録によれば、PT. BCLは同年、その木材チップの全量、すなわち80万トン超(7,000万米ドル以上相当)を、中国山東省日照市にあるRGEグループの巨大パルプ工場であるアジア・シンボルに輸出している。これらの出荷記録は、インドネシアのバリクパパンと中国の日照市との間で木材チップを輸送した船舶の動きの追跡データの分析結果によって確認された。

PT. BCLの最終受益者(実質的な所有者)は、オフショアのペーパーカンパニーによって隠されているが、これらのペーパーカンパニーは、RGEグループと複数の共通点を持つ。RGEグループはPT. BCLの所有・支配を否定しているものの、PT. BCLは、RGEグループのパルプ材サプライチェーンにおける垂直統合型の施設であると見られる。PT. BCLは、RGEグループに専属で供給し、RGEグループ傘下のクタイ(Kutai)にあるパーム油の製油所と同じコンビナートで操業し、出荷港を共有している。

マハカム川の森林景観

PT. SAKおよびPT. BJAの事業管理地は、西クタイ県にあり、ボルネオ島で三番目に大きい河川であるマハカム川の流域に位置する。インドネシア語で「マハカム・ウル」と呼ばれる上流域には、インドネシアに残された最大級の手付かずの熱帯林が広がっている。しかし、マハカム川流域に残存する熱帯林は、石炭採掘やアブラヤシ農園開発、森林伐採、そして今回の事例に見られるようなパルプ材用植林地開発などの産業によって、断片化の脅威に晒されている。

マハカム川で遊ぶ絶滅危惧種カワゴンドウ7頭の群れ(2024年11月© RAN)

マハカム川流域には、現地では「ペスット」と呼ばれるマハカム川固有のカワゴンドウの個体群(別名:イラワジイルカ、IUCNレッドリスト:深刻な危機(CR))や、めったに姿を見せないスマトラサイなど、多くの絶滅危惧種や、象徴的な種が生息している。スマトラサイは、かつて野生では絶滅したと考えられていたが、2025年にタバング(Tabang)郡区のPT. SAKの事業管理地近く、2016年にマハカム地域で確認されている。一頭のサイはその後保護されたが、この森林は野生復帰を成功させる上でも極めて重要な生息地であることに変わりはない。さらに、絶滅の危機にあるボルネオオランウータンやテングザル、オナガサイチョウなどの動物も生息している。

タバング郡区のPT. SAKの事業管理地近くで、2025年にカメラトラップにより撮影されたボルネオサイ(CR)(写真© Indonesia’s Resource Conservation Centre (BKSDA))

カワゴンドウマハカム川に生息する絶滅危惧種(CR)のカワゴンドウ。「ペスット」とも呼ばれる(© Yayasan RASI)

ボルネオオランウータン絶滅危惧種(CR)のボルネオオランウータン。生息地存続可能性評価によると、マハカム川周辺に生息する(写真:Creative Commons)

マハカム川流域に生息する絶滅危惧種(EN)のテングザル(写真© Yayasan RASI)


先住民族ダヤックのフドック祭(マハカム・ウル)

マハカム川上流の素晴らしい景観と生物多様性は、自然に依存した伝統的農業と現代的農業により生計を立てる先住民族コミュニティのダヤック族のスチュワードシップ(責任ある管理)によって守られている。これらのコミュニティの多くは、伝統的に使用してきた土地と森林をめぐる慣習的権利(慣習林:インドネシア語で「フータン・アダット」)を獲得して、森林伐採、アブラヤシ農園、鉱山の新規開発地を求める企業の進出から土地と権利を守るために闘っている。

MUFGは森林破壊への関与に対処していない

日本のメガバンクである三菱UFJフィナンシャル・グループ(MUFG)は、RGEグループのパルプ部門およびパーム油部門に対する重要な資金提供者である。MUFGは、RGEグループのインドネシア事業に対する第二位の資金提供者であり、同グループの数十億ドル規模のサステナビリティ・リンク・ローンにおいて主幹事およびサステナビリティ・アドバイザーを務めた。「森林と金融」のデータによれば、MUFGは2020年から2025年7月までの間に、RGEグループのパルプ企業であるエイプリル社に2億2,200万米ドルを提供した。その中には、2024年のシンジゲートローンへの9,500万米ドルの拠出が含まれる。

MUFGは、顧客の守秘義務を理由に、本調査結果についてのコメントを控えた。

2021年、MUFGはパーム油部門に「森林破壊禁止、泥炭地開発禁止、搾取禁止(NDPE)」方針を採用し、その後2023年に紙パルプ部門にも同方針の適用範囲を拡大した。しかしMUFGは、これらの方針をどのように実施し、デューデリジェンスやリスク管理プロセスに統合しているかについて、ほとんど情報を開示していない。また、森林破壊ゼロのポートフォリオを達成するための明確な基準日(カットオフ日)や達成の期限も開示していない。このMUFGの現状は、森林破壊への対処に関して2024年に大手機関投資家グループが示した期待を大きく下回っている。

RGEグループが、インドネシア各地で森林破壊を引き起こし続けている「貸借対照表に計上されない事業活動」、いわゆる「シャドーカンパニー(影の企業)」の複雑なネットワークを運営している証拠は増え続けている2020年2023年および2024年の報告書を参照)。これらのシャドーカンパニーの最終受益者は、秘密管轄区(secrecy jurisdictions)に所在するオフショア企業によって隠されている。しかし、複数の取締役の重複や資源の共有、そして従業員の証言も含めると、シャドーカンパニーの事業活動は実質的にRGEグループに支配されていることを示している。RGEグループは、これらの事業活動への関与を否定している

MUFGがパルプ部門の融資先による森林破壊に対処するためには、複数のマルチステークホルダー型イニシアチブが推奨する様に、自社方針やデューデリジェンスを特定の事業や子会社に限定せずに、顧客の企業グループ全体に適用するべきである。このようなアプローチは、気候変動に関する機関投資家グループ(IIGCC)、アカウンタビリティ・フレームワーク・イニシアチブ(AFi)、森林破壊フリー・デューデリジェンスのガイド、ならびに「森林と金融」による方針評価によって支持されている。

 

本調査のストーリーマップはこちら(英語ページ)

 

著者:レインフォレスト・アクション・ネットーク(RAN)

米国のサンフランシスコに本部を持つ環境NGOです。1985年の設立以来、環境に配慮した消費行動を通じて、森林保護、先住民族や地域住民の権利擁護、環境保護活動をさまざまな角度から行っています。2005年10月より、日本代表部を設置しています。


https://japan.ran.org

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RGEグループからの回答原文(2025年12月11日)

Dear Rainforest Action Network,

This is in response to your letter dated 24 November, 2025 regarding wood supply received by Asia Symbol from its supplier PT. Balikpapan Chip Lestari (BCL), specifically the wood supply sourced by BCL from companies PT Sendawar Adhi Karya (SAK) and PT Bakayan Jaya Abadi (BJA). In your letter you stated that you had evidence that between 2020 and 2024 SAK and BJA had converted forest areas into plantations in their concessions in East Kalimantan.

We take all such allegations seriously. Asia Symbol investigated your claims and preliminary analysis of the concessions of the two suppliers to BCL indicates that land cover change did occur in the concessions of SAK and BJA between 2020 and 2024 and that this land cover change was likely non-compliant with our no-deforestation and sustainable sourcing policies and requirements.

As you have noted in your letter, this is not the first time that compliance by BCL and its suppliers with our policies has come into question. Asia Symbol had in 2023 requested BCL to suspend supply from its supplier PT. Industrial Forest Plantation (IFP) after claims that IFP had conducted non-compliant plantation establishment and BCL had implemented that suspension.

Based on the preliminary findings of our investigation regarding supply to BCL by SAK and BJA, and following the earlier issues with BCL and its then supplier IFP in 2023, Asia Symbol has taken the decision to immediately cease all supply from BCL. Asia Symbol and any other RGE companies will not source from BCL in the future.

Asia Symbol’s decision indicates the seriousness with which we take issues of non-compliance with our wood sourcing and sustainability policies and processes. In addition to immediately ceasing wood sourcing from BCL, Asia Symbol is continuing to review its wood supply due diligence and compliance systems to ensure they are rigorously applied to and by every supplier, and that their application is strengthened.

We ask that our response above is published in full in your upcoming report.

Sincerely,

Lucita Jasmin
Group Sustainability Director

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免責事項: この記事は “Royal Golden Eagle acknowledges new deforestation in its pulpwood supply chain” の和訳版です。参照、引用、正確な理解のためには英語の原文をご覧ください。

共同プレスリリース:LNGの急拡大、新ウェブサイト「ExitLNG」で明らかに(2025/12/2)

リクレイム・ファイナンス、Andy Gheorghiu Consulting、バンクトラック、CEED、Food and Water Watch、FoEフランス、レインフォレスト・アクション・ネットワーク(RAN)、ReCommon、SFOC、StandEarth、ウルゲバルト(Urgewald)

本日2日、新たなマッピング分析プロジェクトが発表され、世界は空前のLNG(液化天然ガス)開発ブームに直面し、世界全体で279件の新規LNG事業が計画されていることが明らかになりました(注1)。世界の銀行の支援を受けたこの動きはガスの拡大を引き起こし、温室効果ガス排出量を数十億トンも増加させることになり、世界的な気候目標達成の望みを打ち砕きます。さらに地域コミュニティの健康と福祉を脅かし、生物多様性にも影響を与えます。新ウェブサイト「ExitLNG(エグジットエルエヌジー)」の設立団体は、関与する銀行に対して支援撤回を強く求めています。

「ExitLNG」ウェブサイトで公開された地図は、279件の新規LNG事業の建設計画を特定し、LNG拡大の影響を受ける国々の範囲を明らかにしています(注2)。本ウェブサイトは、関連企業や融資銀行、コミュニティと生物多様性へのリスクも示しています。

今回の調査分析は、米国がLNGの輸出ブームを牽引していることと、計画されている輸出能力増加の40%に相当する38事業を進めていることも明らかにしています。この要因の一つとして、トランプ米大統領の化石燃料政策が挙げられます。次いで多いのがロシア(同20%、18事業)、カタール(同8%、3事業)です。一方、LNG輸入施設事業が最も多く計画されているのはアジア太平洋地域で、中でも中国が最多で(計画されている輸入能力増加の34%に相当する49事業)、インド(同8%、11事業)、ベトナム(同7%、14事業)が続いています。

国際エネルギー機関(IEA)によると、2025年には新規LNG輸出基地の最終投資決定(FID)が急増し、予想されるガス供給量が増加しました(注3)。これによって新規ガス田開発が促進され(注4)、地球の平均気温上昇を1.5度に抑えるという国際的な目標の達成を脅かすことになります。

全体的に、新規LNG輸出施設は二酸化炭素換算(CO2e)で10ギガトン以上の温室効果ガスを2030年までに排出すると推定されています。これは米国と欧州連合(EU)の年間排出量の合計に匹敵する規模です(注5)。

リクレイム・ファイナンスの石油・ガスキャンペーナー Justine Duclos-Gonda は「世界中で起きている建設ラッシュは、気候と地域コミュニティに被害を及ぼす災害へと私たちを導き、その代償は私たち全員が払うことになります。健康と生計を脅かすこれらの事業に反対する声がますます高まっているのは当然のことです。しかし、こうした懸念にもかかわらず、銀行は社会的・気候的コストを顧みずに、LNG拡大に数十億ドルを注ぎ続けています」と述べています。

最大のLNG輸出基地開発企業は、カタールエナジーと米国ベンチャー・グローバルです(計画中のLNG輸出基地のCO2e排出量の規模で計算)。両社はそれぞれ、2030年までに合計12億トン以上のCO2e排出をもたらすLNG輸出基地事業を計画しています。フランスの石油メジャーであるトタルエナジーズは5位で、2030年までに合計3億トン以上のCO2e排出が見込まれるLNG輸出基地事業を計画しています。

レインフォレスト・アクション・ネットワーク(RAN) LNGキャンペーンマネージャーのルース・ブリーチは「コミュニティは気候変動の影響と壊滅的な経済被害に苦しんでいます。液化ガスは事態を悪化させています。世界は化石燃料の拡大を一切必要としていません。新たなシェールガス田も、パイプラインも、LNGタンカーも、LNG基地も一切不要です。それにもかかわらず、米国政府、化石燃料企業、銀行、保険会社は世界中でガスを推進し、私たちの生涯で最大の化石燃料インフラ建設を引き起こしています」と強調しました。

こうした影響にもかかわらず、世界の銀行はLNG開発企業への資金支援を継続し、2021年から2024年にかけてLNG拡大に1,740億米ドルを投入しています。この資金の4分の3はわずか5カ国(米国、日本、中国、カナダ、フランス)から提供され、三菱UFJフィナンシャル・グループ(MUFG)、みずほフィナンシャルグループ、JPモルガン・チェースの3行がそれぞれ100億米ドル以上を支援しています。

サンタンデール、ING、ソシエテ・ジェネラル、クレディ・アグリコル、グループBPCEなどの欧州系銀行も、LNG拡大の主要な資金提供者として特定されています。

「ExitLNG」を立ち上げた以下の団体は銀行に対し、LNGの影響を認識し、新規LNG事業および新規LNG施設を開発する企業に対する全ての金融サービスを終了させるための包括的な方針を採用するよう強く求めています。

連絡先

Justine Duclos Gonda
Exit Oil & GasCampaigner
justine@reclaimfinance.org
+33781512959

Helen Burley
International press relations
helen@reclaimfinance.org
+447703731923

注1) https://ExitLNG.org
「ExitLNG」は、リクレイム・ファイナンス、 Andy Gheorghiu Consulting、バンクトラック、CEED、 Food and Water Watch、 FoEフランス、レインフォレスト・アクション・ネットワーク(RAN)、 ReCommon、 SFOC、 StandEarth、ウルゲバルト(Urgewald)が共同で立ち上げた新ウェブサイト。

注2) LNG事業とは、LNG基地の輸出入能力を大幅に増加させる大規模インフラを指している。この定義には、新規基地、および既存基地の特定フェーズやトレイン(天然ガスを冷却して液化する設備)が含まれる。各事業には、それぞれ異なる利害関係者、輸出入能力、スケジュール、資金調達方法が存在する可能性がある。LNG事業は「脱石油・ガスリスト(Global Oil & Gas Exit List: GOGEL)2024」のデータに基づき特定されている。

注3) 国際エネルギー機関(IEA)、『Gas 2025』、2025年10月

注4) リクレイム・ファイナンスは、LNG施設に直接関連する46件の短期のガス拡大事業(すなわち、現在はフィールド評価中または開発中のガス事業)を特定した。これらの事業は、石油換算で510億バレル以上のガス資源量を有する。

注5) 米国環境保護庁(EPA)によると、2022年の米国排出量は約6.34Gt CO₂eであった。欧州環境庁によると、2023年のEUの温室効果ガス排出量(土地利用・林業を除く)は約3.1Gt CO₂eであった。

(英語プレスリリース “New mapping project reveals surge in LNG expansion”)

ブログ:2025年MUFG株主総会、世界各地でMUFGの問題ある資金提供に抗議(8月26日)

〜RAN、他NGOと共に株主総会会場周辺にてアピール活動を実施〜

6月27日、都内で三菱UFJフィナンシャル・グループ(MUFG)の年次株主総会が行われました。

RANは他の環境NGOと共に、気候変動をはじめ先住民族の権利侵害や熱帯林の破壊を行う事業者に対し、MUFGが資金提供を行なっている件について会場入りする株主にスピーチやチラシの配布を行い、問題提起を行いました。

MUFG株主総会会場前におけるアピール活動 2025年6月27日 ©︎ RAN / Masaya Noda

今回は超小型EV(電気自動車)の移動広告を利用したことで、より多くの方の注目を得ることができました。配布したチラシも多くの個人株主の方々に手に取っていただきました!ありがとうございました。

MUFG株主総会周辺にてチラシを配布し問題提起を行った 2025年6月27日 ©︎ RAN / Masaya Noda

MUFGは、現地の先住民族が反対している米国テキサス州のリオ・グランデLNG事業の世界最大の資金提供者であり、また南太平洋のパプアニューギニアにおいても先住民族の同意を得ずに計画が進められ問題となっているパプアLNG財務アドバイザーを務めています。

MUFG株主総会会場前におけるスピーチ 2025年6月27日 ©︎ RAN / Masaya Noda

またRANでは今年も、環境NGOマーケット・フォース、気候ネットワークと共同で、MUFGを含めた3メガバンクに対して株主提案を行いました。残念ながら否決されてしまいましたが、以前からの提案である「顧客の移行計画の評価に関する情報開示」に加えて、今年は「監査委員会の財務リスク監査に係る情報開示」を提案し、総会にて提案の説明を行いました。

株主からの質問受付の時間でRANは、リオ・グランデLNGやパプアLNGなどの気候変動や先住民族の権利侵害のリスクが高い事業への関与によって発生した負の影響について、MUFGではどのような是正措置や救済措置が可能かという質問をしました。MUFGがホームページ上に公開した回答によると、「融資実行時には…先住民族の人権への配慮等も確認しており…お客さまが斯かる配慮に十分対応できていないことを認識した場合は、融資を行わない方針です」と回答がありました。株主総会の場でこの方針を再確認できた点は良かったですが、投融資の結果発生した負の影響を取り除くための是正措置や救済措置について、MUFGで何かできるかという点について具体的な回答はありませんでした

MUFGの回答には、融資後も顧客と問題対処について対話を行っている点や、苦情処理システムのプラットフォームであるJaCER(ビジネスと人権対話救済機構)を使用している点などが共有されました。しかし、これらは苦情処理プロセスにおける入り口の段階の取り組みであり、負の影響を受けている現地コミュニティの求める是正・救済には至っていません。

昨年9月、RANはテキサス州リオ・グランデ・バレー地域の先住民族カリゾ・コメクルド族を含むコミュニティ代表団とJaCERに苦情を提出しました。苦情には、『求める救済』は「カリゾ・コメクルド族とMUFGとの間で、一連の協議を実施することを期待する」と記入しましたが、MUFGとコミュニティとの間での協議は昨年10月の代表団の訪日以降、行われていません(是正と救済に関するより詳しい情報は国連『ビジネスと人権に関する指導原則』の原則2225をご参照ください;英語版日本語版

同日、現地でも抗議活動が

MUFGの株主総会と同じ日に、テキサス州リオ・グランデLNG施設に天然ガスを供給する予定のリオ・ブラボー・パイプラインの建設現場前でも、カリゾ・コメクルド族を含む現地コミュニティによる抗議活動が行われました。

リオ・ブラボー・パイプライン敷設地周辺における現地コミュニティによる抗議活動(写真©︎SOTXEJN)

パイプライン事業者はここ数カ月にわたり、パイプライン建設予定地の一部を所有するカリゾ・コメクルド族に対し、「(事業者の)収用権を行使し、一族の土地を取得する考えである」といった内容の文章を送り続けているというのです(南テキサス正義ネットワークのInstagram投稿)。

カリゾ・コメクルド族チェアマンのフアン・マンスィアス氏は以前から、この地域周辺の地下に一族の文化財や遺骨が眠っている可能性が高いと指摘しています。文化遺跡の保護は、『先住民族権利に関する国際連合宣言』に基づく人権問題です地元コミュニティ代表は、リオ・グランデLNGの世界最大の資金提供者であるMUFGに対し、今後のリオ・グランデLNGの拡張事業やリオ・ブラボー・パイプラインなどの事業に資金提供しないよう求めています。

リオ・ブラボー・パイプライン事業に抗議するマンスィアス氏(写真©︎SOTXEJN)

アジア諸国からもメガバンクの化石燃料事業への資金提供に批判の声

さらに、3メガバンクの株主総会と「ジャパン・エネルギー・サミット」が5月に東京で行われたことを受け、6月、フィリピン、インドネシア、バングラデッシュ、インドの各地では、多くの参加者が集まり抗議デモが行われました。フィリピン、マカティではAPMDDPMCJなどのNGOや市民団体が、「日本の3メガバンクとJERAは数十億ドルの資金提供と長期的なLNG契約を通じて、アジアにおける化石燃料の拡大を助長し、地域社会にリスクをもたらすヴィラン(悪者)であると抗議しました。

フィリピン、マカティでのNGOと市民団体による抗議活動(Photo©︎APMDD)

「MUFG、SMBC、みずほ、ガス事業拡大への資金提供をやめて」と書かれたプラカードを持つ女性(Photo©︎APMDD)

今年の夏は記録的な猛暑が各地で続いています。気候変動の影響を抑え、人々の暮らしを守るために、あなたにできることがあります。RANではオンライン署名「MUFGにリオ・グランデLNG施設への資金提供停止を伝えよう!」を展開中です。現在、1万3,000筆を超える署名が世界から集まっています。

あなたの力が必要です。ぜひ署名に参加して、日本からもMUFGにリオ・グランデの自然と歴史、人々の暮らしを守ってほしいという声を届けましょう!

< 記入方法 >

名字(First Name)、名前(Last Name)、メールアドレス(Email)、郵便番号(Zip or Postal Code)、電話番号(Mobile Phone Number)を記入し、Take Actionをクリック

 

RAN「責任ある金融」キャンペーナー 麻生里衣