サンフランシスコに本部を持つ米国の環境NGO RAINFOREST ACTION NETWORKの日本代表部です

プレスリリース:MUFG株主総会でアピール「気候変動と人権侵害に投融資しないで」〜MUFG、LNGの環境・社会リスク認識せず支援継続を明言〜(2026/6/26)

執行役のリスクへの認識不足が露呈、取締役の監督機能への懸念残る

「化石燃料ファイナンス大賞 世界ワースト2位」と書かれた”表彰スタイル”のバナーを掲げアピール©︎ RAN / Masaya Noda

米環境NGOレインフォレスト・アクション・ネットワーク(本部:米国サンフランシスコ、日本:東京都渋谷区、以下RAN)は本日26日、三菱UFJフィナンシャル・グループ(MUFG)株主総会に参加し、気候変動を加速させる化石燃料産業や人権侵害、森林破壊を行う事業者への資金提供の停止を求め、会場前でアピールしました。

RANは集まった環境NGOとともに、会場のグランドプリンスホテル新高輪前で「化石燃料ファイナンス大賞 世界ワースト2位」と書かれた”表彰スタイル”のバナーを掲げ、 MUFGの資金提供が気候変動の加速に加担していることを株主にアピールしました。今月9日に発表した「化石燃料ファイナンス報告書2026」によると、化石燃料企業へのMUFGの2021年から2025年の資金提供額は世界の大手銀行65行中2位でした(注1)。会場周辺では、超小型電気自動車の移動広告と搭載したスピーカーを用い(注2)、米国における液化天然ガス(LNG)事業による先住民族の権利侵害などの悪影響を示しました。また、スピーチと資料配布も行いMUFGの資金提供への懸念点を説明しました。

会場前を走行する超小型電気自動車による移動広告 ©︎ RAN / Masaya Noda

スピーチの様子 ©︎ RAN / Masaya Noda

株主への資料配布の様子 ©︎ RAN / Masaya Noda

RANは総会で、1) 米国リオ・グランデLNG事業など先住民族の権利侵害が発生している資金提供例を挙げ、MUFGの方針や国際基準の違反が繰り返される原因と防止策、2) 外部からの情報提供に基づいて、取締役が方針遵守状況を監視・確認するためのメカニズム設置について質問しました。執行役専務グループCROの横幕勝範氏は「今はLNG事業(への資金提供等)をやめることは考えていない。先住民族の権利については、IFCパフォーマンススタンダードなどの国際基準を見ている」という趣旨の説明をしました。この回答は、同LNGへの融資が自社方針や国際基準に違反しているとMUFGが認識していない可能性を示唆しています。取締役の監視機能についての質問には、取締役ではなく執行役が対応したものの、質問への回答はなく、取締役のガバナンス機能が不十分であるとの懸念が浮き彫りになりました。

RANは昨年の株主総会で「リオ・グランデLNG事業などにおける先住民族の権利侵害についてMUFGではどのような是正措置や救済が可能か」と質問したところ、横幕氏からは「顧客の先住民族の人権への配慮を確認し、仮に顧客の配慮が十分でない場合は、融資を行わない方針である」という趣旨の説明がありました(注3)。

責任ある金融キャンペーナー・麻生里衣は「MUFGは、リオ・グランデLNGにおける先住民族の権利侵害などの問題を知りながら抜本的な対策を行っていません。よって、この権利侵害に加担していると言わざるをえません。昨年の株主総会での役員の返答にもかかわらず、MUFGは昨年秋に同事業の拡張プロジェクトに7億ドル以上の資金提供を行いました。2024年に来日し、MUFGと直接対話した先住民族を含む地域コミュニティは、このニュースを聞いてとても失望していました。事業者は今も、地域の先住民族やコミュニティと対話の場を設けずに、彼らの声を無視する形で建設を進めています。地下に眠る先住民族の歴史遺産は、破壊されれば永久に失われてしまいます」と訴えました。

©︎ RAN / Masaya Noda

前述の「化石燃料ファイナンス報告書 2026」では、MUFGの2025年の化石燃料企業への資金提供額が世界3位の470億ドルで、前年比で21%も増加しました。MUFGは、LNG事業を拡大する企業に対して多額の資金提供を行なっています(注4)。米ネクスト・ディケイド社が進めるリオ・グランデLNG輸出基地事業において、地域の先住民族であるカリゾ・コメクルド族との十分な対話は行われていません。この事業への資金提供は、大規模事業への融資の際に環境・社会面での影響を確認するための国際基準である「赤道原則」(注5)や、同社グループの先住民族の権利に関する方針不遵守の可能性があることをRANは指摘しています(注6)。

RANは、オンライン署名「MUFGにリオ・グランデLNGへの資金提供の停止を求めよう!」を英語で展開し、現在は約28,000筆の署名が世界中から集まっています。日本語版もMUFGの株主総会を前に開始しました(注7)。RANは今後もMUFGを含むメガバンクに対し、銀行が助長する負の影響を受ける地域の人々の声を伝え、環境・社会方針やガバナンス体制についての改善を求め、「環境と人権を守るリーダー」となるよう要請するとともに、世論喚起を行っていきます。

脚注

注1)共同プレスリリース「化石燃料ファイナンス報告書 2026」発表 〜世界65銀行、パリ協定以降に8.7兆ドルを提供(2026年6月9日)

注2)環境に配慮し、化石燃料車ではなく電気自動車(EV、電動ミニカー:第一種原動機付自転車)を使用。使用した広告宣伝車は、東京都屋外広告物条例の規制対象外であるが、委託企業は管轄警察署など関係各所に相談・報告しながら走行ルートの策定などを行った。午後には金融街の中心地である丸の内・大手町でも1時間程度走行した。

注3)RANプレスリリース MUFG株主総会でアピール「気候変動に投融資しないで」(2025年6月27日)

注4)『化石燃料ファイナンス報告書 2026』 参考資料 3メガバンクの資金提供分析

注5)「赤道原則」とは大規模事業への融資の際に環境・社会への影響を評価するための国際基準のこと。参考:https://equator-principles.com/app/uploads/EP4_Japanese.pdf

注6)RANプレスリリース「赤道原則ファクトシート」発表 〜MUFGとみずほ、「赤道原則」や自社グループ環境・社会方針不遵守の疑い〜 米テキサス州リオ・グランデLNGへの資金提供について」(2026年5月20日)

注7)オンライン署名「三菱UFJさん、米国リオ・グランデLNGへの資金提供はもうやめて!」(日本語)

Tell MUFG to Defund Rio Grande LNG!」(英語)

参考:「MUFGの投資リスクをご存知ですか?」(RANのキャンペーン特設Webページ)https://fossilfreejapan.org/ja/campaigns/mufg/

団体紹介

レインフォレスト・アクション・ネットーク(RAN)は、米国のサンフランシスコに本部を持つ環境NGOです。1985年の設立以来、環境に配慮した消費行動を通じて、森林保護、先住民族や地域住民の権利擁護、環境保護活動をさまざまな角度から行っています。2005年10月より、日本代表部を設置しています:http://japan.ran.org

本件に関するお問い合わせ先

レインフォレスト・アクション・ネットワーク
東京都渋谷区千駄ヶ谷1-13-11-204、TEL 03-6721-0441
責任ある金融キャンペーナー 麻生里衣 Email: rie.aso@ran.org
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コミュニケーション&デジタルスペシャリスト 立花実咲 Email: misaki.tachibana@ran.org

共同プレスリリース:「化石燃料ファイナンス報告書 2026」発表 〜世界65銀行、パリ協定以降に8.7兆ドルを提供(2026/6/9)

〜2025年の提供額は9,064億ドル、米2行に続き三菱UFJが3位、みずほ4位、SMBC9位〜

レインフォレスト・アクション・ネットワーク(RAN)
特定非営利活動法人 気候ネットワーク
国際環境NGO マーケット・フォース

米環境NGO レインフォレスト・アクション・ネットワーク(本部:米国サンフランシスコ、日本:東京都渋谷区、以下RAN)をはじめとするNGOは本日9日、新報告書『化石燃料ファイナンス報告書2026〜気候カオスをもたらす銀行業務〜』(注1、第17版、 日本語要約版、英語名: Banking on Climate Chaos 2026)を発表しました。

本報告書は、世界の上位65行による約2,900社の化石燃料企業への融資・引受をまとめた年次報告書です。分析の結果、2025年に銀行から化石燃料産業に提供された金額は9,064億ドルで、2024年に比べて8%増加したことがわかりました。 また、パリ協定発効後の10年間に、石油、ガス、石炭企業に提供された金額は8.7兆ドルでした。本報告書は、民間銀行による化石燃料への資金提供に関する世界で最も包括的なオープンデータです。

図1:「化石燃料ファイナンス」2025年世界ランキング(化石燃料全部門への融資・引受額、単位=米ドル)

報告書では、JPモルガン・チェースが今回も世界最大の化石燃料資金提供者で、2025年には化石燃料企業に580億ドルを投じ、前年比で12.6%増加したことも明らかにしています。続いてバンク・オブ・アメリカが2位で470億ドル、日本の三菱UFJフィナンシャル・グループ(MUFG)が470億ドルで3位となり、前年比で21%も増加しました。 他のメガバンクはみずほフィナンシャルグループ(みずほ)が4位、三井住友フィナンシャルグループ(SMBC)が9位でした。これら化石燃料ファイナンス上位12行の提供額は、約2,000に及ぶ世界の銀行による総額の40%近くを占めています。

また、化石燃料事業を積極的に拡大している企業への資金提供額は2025年に27%急増し、5,080億ドルに達しました。このような資金提供は、地球温暖化を1.5度に抑えるという目標とは相容れないものです。

2020年代のエネルギー危機(ロシアによるウクライナ侵攻と、米国とイスラエルによるイラン攻撃)は、化石燃料への依存が世界的な不安定さの構造的要因であることを示しています。化石燃料を輸入する国々に住む世界人口の4分の3の人々が、供給が途絶えるたびにその代償を支払っています。

『化石燃料ファイナンス報告書2026』概要・主な調査結果

世界の主要民間銀行65行が化石燃料部門に行った資金提供(融資・引受)を示した包括的な報告書。化石燃料企業約2,900社への資金提供について調査・分析。対象期間は国際エネルギー機関(IEA)が「ネットゼロ・ロードマップ」(注2)を発表した2021年〜2025年で、年別、累計額を集計。化石燃料産業全体、化石燃料拡大企業への資金提供ごとに集計・分析(これまでと異なり、LNG (液化天然ガス)、オイルサンドなど部門別のランキングは発表しないが、上流・中流・下流の各部門別、および石油・ガス・石炭といった燃料別のデータは掲載している)。パリ協定が発効した2016年〜2025年の全体的な傾向の分析も一部掲載。

  • 化石燃料企業への資金提供(2025年):9,064億ドル(2024年比 +8%)
  • 化石燃料企業への資金提供(パリ協定発効以降、2016〜2025年):8.7兆ドル(石油、ガス、石炭部門)
  • 化石燃料拡大企業への資金提供(2025年):5,080億ドル(2024年比 +27% = 過去最高)
  • 米国の銀行による化石燃料への資金提供は世界総額の32%を占め、2021年の28%から増加し、世界最大の化石燃料資本の供給源となっている。欧州の銀行は明確な減少傾向を示している。 BNPパリバは化石燃料関連の取引を28%、UBSは36%、ラ・カイシャは34%削減した。一方、スタンダードチャータードは28%増加し、ドイツ銀行は20%、HSBCは16%増加した。
  • 気候変動対策における銀行の自主的な取り組みの効果が限定的であること、そしてより強い規制措置の必要性を強調している。「ネット・ゼロ・バンキング・アライアンス(NZBA)」の崩壊後、各行は方針を弱体化した。調査対象の北米の銀行15行のうち、12行は化石燃料に関する実質的な方針を持っていない。JPモルガン・チェースとゴールドマン・サックスは、石炭および北極圏へのファイナンスの除外方針を放棄し、状況に応じて対応するデューデリジェンス基準へと変更した。
  • 日本の3メガバンクは、2025年の資金提供でワースト12行に入った(MUFG 3位、みずほ 4位、SMBC 9位)。3行の合計額は1,250億ドルで、65行のうち3行だけで全体の13.7%以上を占めた。化石燃料事業を拡大している企業への2025年の資金提供額でもみずほが2位、MUFGが4位、SMBCが9位と上位を占めた。

図2:メガバンクによる化石燃料ファイナンスの比較(単位:百万米ドル)

図3:メガバンクによる化石燃料への資金提供(融資・引受)推移(単位:百万米ドル)

図4:メガバンクによる化石燃料拡大企業への資金提供(融資・引受)推移(単位:百万米ドル)

  • メガバンクは特にLNG事業の拡大を行う企業に資金提供を行っている。大規模なLNG拡大計画を持つ企業(注3)への提供額でMUFGが1位、みずほが3位、SMBCが5位となった(2025年)。3行による化石燃料ファイナンスの大部分は、米国に拠点を置く化石燃料企業に提供されている。

化石燃料部門別の動向・主な調査結果

(▲は2024年から2025年にかけて資金提供が増加したことを示す)

▲中流部門とLNG(メタンガス)ブーム:上位65行は2025年、化石燃料の中流事業を拡大する企業への資金提供額を前年比で184%、すなわち1,160億ドルも増加させた。銀行からの資金提供額が2025年に最も多かった3社は、いずれも石油・ガスの中流部門の事業者だった。LNGは最も急成長している分野だが、LNG輸出基地(ターミナル)へのファイナンスを排除する方針を定めている銀行は上位65行中わずか5行である。ベンチャー・グローバル社(米国、注4)は、化石燃料企業としては最大額の330億ドルを2025年に借り入れ、LNG企業が地政学的紛争を利用して巨額の利益を得ている実態を示している。

    ▲ 上流(生産・探索)への資金提供:1,920億ドルから2,170億ドルに増加。
    ▲ 中流(処理・貯留・パイプライン輸送)への資金提供:1,390億ドルから2,550億ドルに増加。
    ▲ ガス発電への資金提供:1,540億ドルから1,990億ドルに増加。

▲ 石炭採掘の拡大:2025年に資金提供額が77%急増し、現在は840億ドルに達している。

▲ 石炭火力発電の拡大:1年間で40%増加し、現在は810億ドルに達している。

執筆者および執筆団体からのコメント

ニコ・ルシアニ、RANリサーチ・ディレクター(共同執筆者)

「ウォール街の銀行の最大の関心は利益保護です。私たちの最大の関心は気候変動と人権保護です。2年連続で化石燃料ファイナンスが増加し、銀行方針の後退が続いた結果、示されたファイナンスのデータは明白です。銀行が自発的に気候危機への資金提供を止めることはありません。その証拠となる『領収書』は私たちの手にあります。今こそ、各国政府に行動を求める時です」

麻生 里衣 RAN責任ある金融キャンペーナー(日本担当)

「これ以上、世界は銀行による無秩序な資金提供を許すべきではありません。今年の報告書の結果を見れば、日本とアメリカの銀行が気候変動の影響に苦しむ世界中の人々に背を向け、自社の利益のみを追求していることは明らかです。

化石燃料への資金提供を急速に増やすアメリカに追従するかのように、資金提供を増やすメガバンクの傾向は、3行のリスク管理における重大な欠陥を示しています。エネルギー安全保障という切り札によって、深刻な人権侵害と健康被害に苦しむ現地コミュニティの声はもみ消されています。そして、メガバンクは情報提供を受けた上で、それでも資金提供を続けているのです」

賛同団体からのコメント

気候ネットワーク プログラム・コーディネーター 鈴木康子氏

「日本の3メガバンクは、依然として化石燃料産業への巨額の資金提供を続けており、いずれも2050年までに投融資ポートフォリオ全体の温室効果ガス(GHG)排出量を実質ゼロにする目標を掲げてはいるものの、その達成手段が見えてきません。世界では、気候変動対策に対する銀行の法的責任を問う訴訟リスクが顕在化してきています。気候危機を悪化させる事業、環境破壊や人権侵害が指摘されている事業に資金を提供する銀行および金融機関による融資責任が問われるべきです。化石燃料ファイナンスの削減を強く求めます」

マーケット・フォース、日本エネルギーファイナンスキャンペーナー、渡辺瑛莉氏

「MUFGが『ワースト12銀行』で過去最悪の世界第3位となり、みずほが化石燃料拡大への資金提供で世界第2位となったことは、日本のメガバンクにおける国際的な投資家からの信頼を致命的に失墜させるものです。

昨今の石油・ガス危機により、世界が益々再生可能エネルギーへ舵を切る中、MUFGが2030年目標を後退させ化石燃料への依存を深める経営姿勢は、気候やエネルギー安全保障のリスクを完全に見誤っています。

もはや単なる対話の段階は過ぎており、今年のメガバンクの株主総会で投資家は、気候・エネルギー関連のリスク管理監督を適切に果たしていないメガバンクの取締役の再選に明確に『No』を突きつけることで、リスク管理の改革を後押しすべきです」

『化石燃料ファイナンス報告書』はRAN、バンク・トラック、エネルギー・エコロジー・開発センター(CEED)、先住民族環境ネットワーク(IEN)、オイル・チェンジ・インターナショナル、リクレイム・ファイナンス、シエラ・クラブ、ウルゲバルトによって執筆されています。世界55カ国340以上の団体が賛同しています。

脚注

注1)「化石燃料ファイナンス報告書2026」全文(英語)
化石燃料の金融データ、方針スコア、最前線の現場からの報告、方法論などはこちらから:https://www.bankingonclimatechaos.org

日本語要約版

日本の銀行分析

注2)IEA「ネット・ゼロ・ロードマップ」、2021年5月
今後全ての化石燃料の拡大事業は1.5度目標と整合しないという分析結果が出た。
https://www.iea.org/reports/net-zero-by-2050

注3)大規模なLNG拡大計画を持つ企業11社(2025年)

  • ベンチャー・グローバル(米国)
  • シェル(英国)
  • トタルエナジーズ(フランス)
  • センプラ(米国)
  • ネクスト・ディケイド(米国)
  • エナジー・トランスファー(米国)
  • エクソンモービル(米国)
  • シェニエール・エナジー(米国)
  • エニ(イタリア)
  • ニュー・フォートレス・エナジー(米国)
  • KKR(米国)

注4)共同声明「CP2 LNGの最終投資決定を受けて、米ルイジアナ州地域社会と世界の支持団体が融資銀行を非難」、2026年3月26日
https://japan.ran.org/?p=2636

補足資料

 

*訂正:数値に誤りがありましたので訂正いたします(2026年6月10日)。

副題および二段落目
正)2025年の提供額は9,064億ドル
誤)2025年の提供額は9,060億ドル

「概要・主な調査結果」
正)化石燃料企業への資金提供(2025年):9,064億ドル(2024年比 +8%)
誤)化石燃料企業への資金提供(2025年):9,320億ドル(2024年比 +9%)

「概要・主な調査結果」
正)化石燃料企業への資金提供(パリ協定発効以降、2016〜2025年):8.7兆ドル
誤)化石燃料企業への資金提供(パリ協定発効以降、2016〜2025年):8.6兆ドル

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プレスリリース:RAN「赤道原則ファクトシート」発表 〜MUFGとみずほ、「赤道原則」や自社グループ環境・社会方針不遵守の疑い〜 米テキサス州リオ・グランデLNGへの資金提供について(2026/5/20)

米環境NGOレインフォレスト・アクション・ネットワーク(本部:米国サンフランシスコ、日本代表部:東京都渋谷区、以下RAN)は本日20日、『赤道原則ファクトシート:MUFGとみずほによる赤道原則などの国際規範および自社グループ方針不遵守の疑い』(注1)を発表しました。「赤道原則」とは大規模事業への融資の際に環境・社会への影響を評価するための国際基準です。本書は、同原則を採択している三菱UFJフィナンシャル・グループ(MUFG)みずほフィナンシャルグループが米テキサス州リオ・グランデLNG事業への資金提供において、原則5の「ステークホルダー・エンゲージメント」で多くの要件を満たしていない可能性を指摘しています。同時に、融資における先住民族の地域社会への配慮や慎重な判断を定めた、自社グループの環境・社会方針への違反の可能性も示しています(注2)。今回の調査・分析は、公開情報や先住民族を含む地域コミュニティから提供された情報をもとにRANが実施し、上記資金提供が赤道原則および自社グループ方針の不遵守と考えられると結論づけています。

リオ・グランデLNGの建設現場(写真©︎ Bekah Hinojosa / (SOTXEJN)

本書は、MUFGとみずほによるリオ・グランデLNG輸出ターミナル(基地)事業への資金提供について、公開されている情報や、リオ・グランデ・バレー地域の先住民族であるカリゾ・コメクルド族を含む地域コミュニティから提供された情報に基づき、RANが実施した調査を元に作成されました。リオ・グランデLNGに隣接するテキサスLNG施設(2026年中旬に最終投資決定(FID)達成予定)は、カリゾ・コメクルド族の聖地と建設予定地が重複しています。調査の結果、リオ・グランデLNGの事業者であるネクスト・ディケイド社が、利害関係者である地域コミュニティに対して、同原則の原則5「ステークホルダー・エンゲージメント」で定められた多くの要件を満たしていないことが明らかになりました。具体的には以下が挙げられます。

  • 適切な方法での継続的なコンサルテーションの機会を提供していないこと
  • 適切に行われた環境・社会的評価の結果が未だ開示されていないにも関わらず、現地の整地作業が完了していること
  • MUFGとみずほは、赤道原則が参照する国際金融公社(IFC)パフォーマンススタンダードが定める場合において(注3)、先住民族の「自由意思による、事前の、十分な情報に基づく同意」(注4、FPIC)の取得を事業者に確認すると定めているが、事業者はカリゾ・コメクルド族からFPICを取得せずに建設を進めている、など

2024年9月、リオ・グランデ・バレー地域のコミュニティ代表団とRANは共同でMUFG とみずほに対し、ネクスト・ディケイド社との関係において適切な人権デューデリジェンスを怠ってきたとしてビジネスと人権対話救済機構(JaCER)を通じて苦情を申し立てました(注5)。2024年10月にはコミュニティ代表団が来日し、MUFGなどの金融機関と対話を行いましたが(注6)、現在においても解決に向けた進展は見られません。

また本書では、MUFGとみずほが資金提供しているリオ・グランデLNG事業、隣接するテキサスLNG事業およびリオ・ブラボー・パイプライン事業が完成した際には、ライフサイクル全体で考えると膨大な温室効果ガス(GHG)の排出をもたらすことも問題視しています。

MUFGとみずほによる関与の概要

地域コミュニティとRANによる正式な苦情や問題提起にもかかわらず、MUFGとみずほはリオ・グランデLNG事業の第1フェーズに続き、第2フェーズのFIDでも重要な役割を担っていました。その他にも、両銀行グループはネクスト・ディケイド社への資金提供やアドバイザーなどのサービス提供を通じて同事業に関与し続けています。

リオ・グランデLNG、第1フェーズ、1〜3号基、2023年(参考
・MUFG:16億4292万米ドル
・みずほ:12億2292万米ドル

リオ・グランデLNG、第2フェーズ準備、2024年(参考
・MUFG:1億9000万米ドル

リオ・グランデLNG、第2フェーズ:4号基 、2025年9月にFID(参考
・MUFG
 - 38億5,000万米ドルのタームローン債権者間代理人(インタークレジター・エージェント)
・みずほ
 - 4号基の担保管理受託者(コラテラル・エージェント)
 - ネクスト・ディケイド社の資本調達アドバイザー

RAN責任ある金融キャンペーナー(日本担当)麻生里衣は「地域の先住民族やコミュニティ代表団との切実な対話の後に発表された、MUFGとみずほによるリオ・グランデLNG拡張事業への資金提供決定の知らせは、両銀行グループの社会や環境へのコミットメントが意味を持たないものであるということを明白にしました。RANはこれまで​長年に​わたり、メガバンクに​対し社会や環境に重大な影響を及ぼす​企業グループについて問題提起を​行ってきました。​しかし、メガバンクによる​このような化石燃料​企業への​資金提供の継続を見れば、メガバンクの社会や環境へのコミットメントがどれほどの意味を持つのか疑問視されます。​銀行によって​繰り返される資金提供が、​これら​企業の​問題ある​事業活動の継続を可能にしています。​そして、​その​代償を​払うことに​なるのは​、現地で生活する​地域コミュニティの​人々なのです」と訴えました。​

RANは、MUFGとみずほに対し、以下の3点を含む対応策の早急な実施を求めます。

  • リオ・グランデLNG、テキサスLNGおよびリオ・ブラボー・パイプライン事業における先住民族の権利侵害をはじめとした負の影響と顧客企業による対応状況の事実確認を行うこと
  • 上記事業による負の影響への救済と是正について、早急にコミュニティ代表団とコンサルテーションを開始し、JaCERに提出された苦情処理を顧客企業とともに進めること
  • 上記事業の顧客による方針の不遵守状況の深刻度を考慮して、これらの事業や顧客への今後の支援を停止すること

脚注

注1)「赤道原則ファクトシート:MUFGとみずほによる赤道原則などの国際規範および自社グル ープ方針不遵守の疑い〜米国リオ・グランデLNGへの資金提供〜」http://japan.ran.org/wp-content/uploads/2026/05/Equator-Principle-fact-sheet_JP_202605.pdf

注2)「MUFG環境・社会ポリシーフレームワーク」https://www.mufg.jp/csr/policy/index.html
みずほフィナンシャル・グループ「環境・社会に配慮した取引に関する取組方針の概要」https://www.mizuho-fg.co.jp/sustainability/business/investment/index.html

注3)MUFGとみずほはIFC環境・社会持続可能性パフォーマンススタンダード( IFCパフォーマンススタンダード)第7項が定める特別な状況として、先住民族が伝統的に領有または慣習的に使用している土地や自然資源に影響がある事業、先住民族のアイデンティティにとって不可欠な重要な文化遺産に著しい影響がある事業などを定めている。
https://www.ifc.org/en/insights-reports/2012/ifc-performance-standards英語)

注4)「FPIC(エフピック)」とは Free, Prior and Informed Consent の略。先住民族と地域コミュニティが所有・利用してきた慣習地に影響を与える開発に対して、事前に十分な情報を得た上で、自由意志によって同意する、または拒否する権利のことをいう。

注5)「ビジネスと人権対話救済機構(JaCER)」ウェブサイト。MUFGとみずほは同機構の会員企業である。
https://jacer-bhr.org/index.html
提出苦情:https://japan.ran.org/wp-admin/upload.php?item=2643

JaCER「苦情処理案件リスト」(2026年5月1日更新)
・案件登録番号:No.036_2024 とNo.035_2024 (受付日 2024年9月26日 )
・ステータス:会員企業(銀行)は「通報者と対話継続中」としているが、地域コミュニティには「対話」といえるような機会は一度も提供されていない。https://jacer-bhr.org/data/media/FY2022-24List20260501JPN.pdf

注6)RANプレスリリース「危険なLNG事業を支援する邦銀に要請、 米メキシコ湾岸の住民代表団が初来日」、2024年10月18日
https://japan.ran.org/?p=2347

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別表

▼テキサスLNG、リオ・グランデLNG等の建設予定地を示したマップ。周辺には地域コミュニティ居住地、野生生物保護区およびスペースXのロケット発射拠点施設などがある。

発行物:『生物多様性崩壊をもたらす金融業務』日本語要約版発表(2026/4/28)

米環境NGOレインフォレスト・アクション・ネットワーク(本部サンフランシスコ、以下、RAN)は、4月28日、「森林と金融」連合による年次報告書である『生物多様性崩壊をもたらす金融業務:熱帯林破壊を助長する銀行と投資家の追跡』日本語要約版を発表しました。

本報告書は、大手金融機関が熱帯林地域における森林破壊、生物多様性の損失、気候変動、人権侵害を助長している役割について包括的に分析するものです。世界の熱帯林破壊の大部分を引き起こしている「森林リスク産品」セクターの6品目(牛肉、パーム油、紙パルプ、天然ゴム、大豆、木材)に携わる300社の森林部門事業に対する商業資金の流れを、パリ協定採択後の約10年間において分析しています(2016年1月から2025年7月)。

調査の結果、世界の主要30銀行はパリ協定以降、森林リスク産品に4,290億米ドル以上を投じ、うち720億米ドルは調査の直近18カ月間(2024年1月〜2025年7月)に提供されたことが明らかになりました。本調査報告書における分析は、金融機関による自主的なアプローチが失敗に終わったということを示しています。

日本語要約版では、森林リスク産品セクターにおける日本のメガバンク3行の動向も新たに調査してまとめています(対象期間:2020年1月から2025年7月の約5年間半)。

三菱UFJフィナンシャル・グループ(MUFG)の森林リスク産品セクターへの融資・引受額は、経済協力開発機構(OECD)加盟国の銀行として世界2位、みずほフィナンシャルグループ(みずほ)は世界4位、三井住友フィナンシャルグループ(SMBC)は世界5位であり、これら3行は日本の金融機関による熱帯林リスクセクターへの融資・引受全体のうち、90%を占めていることが明らかになりました。また、日本の金融機関は2024年1月から2025年7月にかけて、深刻な環境破壊や人権侵害との関連が多く指摘されているリスクの高いセクターで事業を展開する企業に対して29億米ドルを提供しています。

「森林と金融」が2023年に実施した方針評価では、銀行の森林リスク産品セクター方針に関するESG(環境・社会・ガバナンス)フレームワークが不十分であることが明らかになっています。中でもMUFGのスコアは10点満点中2.4点で、みずほ(3.8点)やSMBC(3.6点)を下回り、リスク管理および説明責任に深刻な欠陥が際立っています。MUFGは2026年4月、森林・農業セクターの方針を改定しましたが、MUFGの森林リスク産品セクターへの資金提供の大部分を占めるパーム油と紙パルプのサプライチェーンにおける中流事業は追加されませんでした。今後の方針の改善が大いに求められ、みずほとSMBCにおいても、熱帯林の破壊防止において重要な役割を担う中流事業者をNDPE方針のスコープに含めることを、早急に行う必要があります。

特設ウェブサイト:https://forestsandfinance.org/ja/banking-on-biodiversity-collapse-ja/
レポート:https://japan.ran.org/wp-content/uploads/2026/04/BOBC_2025_EXECSUMMARY_vJPN.pdf

「森林と金融」について


「森林と金融」は、レインフォレスト・アクション・ネットワーク、TuK インドネシア、プロフンド(Profundo)、アマゾン・ウォッチ、FoEオランダ(Milieudefensie)、CEDカメルーン、レポーター・ブラジル、オブゼルヴァトリオ・ダ・ミネラソン(Observatório da Mineração)、バンクトラック、サハバット・アラム・マレーシア(国際環境NGO FoE Malaysia)、FoE USから成る、キャンペーン活動や調査を行う団体の連合によるイニシアチブです。私たちは共同で、森林リスク産品セクターに頻繁に見られる環境・社会への負の影響を、金融機関が助長することを防止することを目指しています。この目的を達成するため、金融セクターの透明性向上および政策・制度・規制の改善を推進しています。

声明:MUFG方針改定、森林保護方針で大きな変更なし 〜サプライチェーン中流を追加するも紙パルプとパーム油は含めず〜(2026/4/3)

米環境NGOレインフォレスト・アクション・ネットワーク(本部:米国サンフランシスコ、日本代表部:東京都渋谷区、以下RAN)は、本日3日、三菱UFJフィナンシャル・グループ(MUFG)がMUFG環境・社会ポリシーフレームワークを1日に改定した()ことを受けて、以下の声明を発表しました。

RAN 責任ある金融キャンペーナー(日本担当) 麻生里衣

「今回のMUFGの方針改定では、文字数は大幅に増えた一方で、追加されたコミットメントが希薄だった点が残念でした。RANはこれまで、MUFGの顧客企業グループによる大規模な森林破壊や人権侵害への関与について問題提起を行ってきました。MUFGの方針には、森林破壊防止の上で重要な役割を担うサプライチェーンの中流部門が含まれていなかったことが大きな課題であり、RANはその点を指摘してきました。今回、南米の保護価値の高い地域における大豆の一次加工や牛肉の処理加工・流通など、一部の部門の中流事業が方針に追加されました。

中流を含めることは重要な取り組みである一方で、MUFGの資金提供の大部分を占める紙パルプとパーム油部門(※)の中流の追加を避けた点には大きな懸念が残ります。また、物議を醸す事業活動を水面下で行う『シャドーカンパニー(影の企業)』への対応や、森林破壊を禁止する明確な基準日などの記載もなく、熱帯林の破壊に対処するためには今後より一層の方針強化が必要です」

※MUFGの森林リスク産品部門への資金提供額(融資・引受)(2016-2025年6月、単位:百万米ドル)(「森林と金融」データより)

MUFG環境・社会方針ポリシーフレームワークの主な変更点

  • 林業、紙パルプ、パーム油、大豆、牛肉、天然ゴム、カカオ、コーヒーなど、熱帯林の破壊リスクが高い主要なセクターへのファイナンスに対し、FPICの取得およびNDPE方針の策定を求めると明記された。
  • サプライチェーンの上流事業に加え、南米の保護価値の高い地域における大豆の一次加工や牛肉の処理加工・流通など、中流事業が追加された。一方で、『保護価値の高い地域』に関する定義がなく、どのような場所が含まれるのかが定かではない。
  • 紙パルプとパーム油に関して中流事業(製紙・製油事業等)の追加がなかった点は、今後の大きな課題である。

これまでRANが求めてきた、1)顧客の企業グループ全体へのNDPE方針の適用、2)NDPE方針の明確な遵守期限の設定、3)方針違反への透明性のある対応手順の設定などにも至りませんでした。

RANも構成団体である「森林と金融」連合は2月、MUFGを含む金融機関に対し「アマゾン大豆モラトリアム」の基準遵守を求める書簡を送付しています。「アマゾン大豆モラトリアム」とは2006年に策定された大豆取引企業による自主的な取り組みで、2008年7月以降にアマゾン生物圏(バイオーム)で森林伐採を行った農園からの大豆を購入をしないことを約束しています。今回追加されたMUFGの大豆部門の方針には、森林破壊を禁止する基準日の記載がなく、モラトリアムが求める 「2008年7月以降、アマゾンにおける森林破壊ゼロ」、「農園レベルまでの完全なトレーサビリティー」という基準には及んでいません。

MUFGは、インドネシアのタイクーン(大物実業家)であるスカント・タノト氏が支配する紙パルプなどの事業も展開する複合企業のロイヤル・ゴールデン・イーグル(RGE)グループの主要な資金提供者であり、RANでは同企業グループが関係する企業による大規模森林破壊に関して問題提起を行ってきました。今後、MUFGがRGEに対してどのように方針を適用し、金融機関としての責任を果たすのか引き続き注視していきます。

注)「MUFG 環境・社会ポリシーフレームワーク」(2026年4月1日公表/2026年5月1日適用)
https://www.mufg.jp/csr/policy/index.html?link_id=csr_policy?link_id=csr_top_policy

団体紹介

レインフォレスト・アクション・ネットーク(RAN)は、米国のサンフランシスコに本部を持つ環境NGOです。1985年の設立以来、環境に配慮した消費行動を通じて、森林保護、先住民族や地域住民の権利擁護、環境保護活動をさまざまな角度から行っています。2005年10月より、日本代表部を設置しています:http://japan.ran.org

本件に関するお問い合わせ先

レインフォレスト・アクション・ネットワーク
東京都渋谷区千駄ヶ谷1-13-11-204、TEL 03-6721-0441
責任ある金融キャンペーナー 麻生里衣 Email: rie.aso@ran.org
日本チームマネジャー:関本幸 Email: yuki.sekimoto@ran.org

プレスリリース:RAN最新調査 MUFG資金提供とRGEグループの森林破壊の実態が明らかに(2025/12/19)

〜インドネシアが大洪水に見舞われる中で発覚〜

写真:RGEグループの供給業者 PT. SAKの事業管理地で、熱帯林が皆伐されたばかりの区域を記録したドローン写真。© Auriga Nusantara, 2025

米環境NGOレインフォレスト・アクション・ネットワーク(本部:サンフランシスコ、日本代表部:東京都渋谷区、以下RAN)は本日19日、新たな調査の結果を発表し(注1)、三菱UFJフィナンシャル・グループ(MUFG)が、ロイヤル・ゴールデン・イーグル(RGE)グループとつながりのある供給業者によるインドネシアでの大規模熱帯林破壊の明白かつ継続した証拠があるにもかかわらず、同グループへの資金提供を続けていることを明らかにしました。RGEは、インドネシアの億万長者であるスカント・タノト氏が支配する紙パルプ複合企業です。RANは「このスキャンダルは、世界の銀行や大企業が森林破壊を終わらせると約束しながらも、いかに生態系の崩壊を加速させているかを強く示している」と主張しました。森林破壊は、11月末にインドネシア各地を襲った壊滅的な洪水の一因に挙げられています。 これによりインドネシア政府は、北スマトラ州にあるRGE傘下のパルプ企業であるトバ・パルプ・レスタリの操業停止を命じました

今回の調査は、衛星画像分析やインドネシア政府のデータ、サプライチェーン記録によって、中国にあるRGEグループ最大のパルプ工場に供給する木材チップ工場が、2020年から2024年にボルネオ島の東カリマンタン州で5,500ヘクタール以上の天然林を皆伐した植林地から木材を調達していたことを明らかにしました。この調査は、インドネシアのパルプ材セクターに関するサプライチェーン透明性プラットフォーム「Trase」の最新データを利用して実施されました。 調査結果は、RGEが2016年に大々的に発表した「サプライチェーンからの森林破壊停止」の誓約と矛盾し、MUFGの森林破壊をなくすという約束の信頼性についても深刻な懸念を提起しています。RGEはこれに対して、予備分析の結果、供給業者の事業許可地で「土地被覆の変化」が発生し、これは同社の方針に違反している可能性が高いと結論付けたと、回答しました。

PT. BJAの事業管理地における年ごとの森林破壊を示した衛星画像(2020〜2024年)

森林破壊スキャンダル、インドネシア地域社会が壊滅的な洪水に見舞われる中で発覚

調査による新事実は、インドネシアがボルネオ島(カリマンタン)からスマトラ島の各地でコミュニティを壊滅させた深刻な洪水の余波に直面する中で明らかになりました。災害対策政府機関や科学者は、この災害を上流の森林喪失と直接結びつけています。かつて降雨を緩和し、ランドスケープ(景観)を安定させていた原生林は産業用植林地に取って代わり、浸食を悪化させ、鉄砲水の速さと規模を増幅させています。洪水の後、インドネシア政府は監査を実施する間、RGEグループの別のパルプ企業であるトバ・パルプ・レスタリに対し操業停止を命じました。

RAN森林プログラムディレクターのロビン・アバベックは「記録された森林皆伐は些細なものではなく、RGEグループのグローバルな木材繊維供給量のかなりの部分を占めています。また、この様な事例が発覚したのは今回だけではありません。 まさにこれらの同じ企業は、数年前の森林皆伐の後、強化された監視下に置かれるはずでした。この事例は、RGEが掲げる『森林破壊へのゼロ・トレランス(不容認)』が偽りであることを明らかにしています。RGEの木質繊維需要の急増は、ボルネオに残る熱帯林への最大の脅威の一つであり続けています」と警鐘を鳴らしました。

FSC規則が証明:RGEの関連企業、森林皆伐を続けるシャドー事業とのつながり

今回の調査により、PT. バリクパパン・チップ・レスタリ(PT. BCL)が、RGEの保有する中国の巨大パルプ工場「アジア・シンボル」に木材チップを独占供給していることが判明しました。 森林管理協議会(FSC)の改訂ガイドラインによると、PT. BCLはRGEの財務的支配下にあるとみなされます。これはPT. BCLとつながりのある森林破壊の継続が、FSC方針およびRGE自身の「森林破壊ゼロ」誓約に直接違反していることを意味します。

RGEはPT. BCLの所有を否定していますが、重複する企業構造や産業施設の共有、独占的な供給の流れは、RGEの「紙パルプ帝国」を拡張する「シャドーカンパニー(影の企業)」の形態を明らかにしています。この仕組みにより、タノト一族の複合企業は森林皆伐から利益を得ながら、自社の旗艦的な代表企業を破壊行為から隔てることを可能にしています。
RGEはRANの質問に対して、アジア・シンボルおよびRGEグループの他の下流パルプ企業はPT. BCLからの供給を全て停止すると回答しました。しかしながら、PT. BCL自体は依然としてRGEの企業グループの一部です。

アバベックは「RGEは、市場と金融へのアクセスを確保するために、FSC認証企業としての地位回復を急いでいます。そのために、過去における環境破壊の規模を査定しています。しかし同時に、同社の木材繊維需要はボルネオの熱帯林での新たな破壊を加速させ続けています」と続けました。

関連する最新情報として、本日(米国時間18日)、RANはFSCの設立メンバーを辞職することを発表しました。長年にわたる当認証機関への信頼性の失墜が理由です。

写真:PT. BCLで植林地からの丸太が荷下ろしされる様子、インドネシア東カリマンタン州バリクパパン、2024年11月

MUFGはRGEへの支援を継続、明白な証拠があるにもかかわらず

RGEの森林破壊に関する証拠が増える中、MUFGは2020年から2025年7月までに、RGEのパルプ部門であるエイプリル社(APRIL)に少なくとも2億2200万米ドルの融資を提供しました(注2)。これには2024年のシンジケートローンへの9,500万米ドルの出資も含まれます。 MUFGは持続可能なファイナンスを牽引すると表明する一方で、「森林破壊禁止、泥炭地開発禁止、搾取禁止(NDPE)」方針の包括的な適用方法や、不透明な企業構造やシャドーカンパニーを持つ顧客へのデューデリジェンスの実施方法を示していません。
RANは調査結果公表の前に、新たな証拠をMUFGに提示しました。しかしMUFGは顧客の守秘義務を理由に、調査結果についてのコメントを控えました。

RAN 責任ある金融キャンペーナー(日本担当)の麻生里衣は「MUFGは、サステナビリティへの誓いを行動に移すべきです。MUFGは、自然資本と生物多様性を優先課題と認識しているとしながらも、RGEグループなどの顧客への資金提供は全く逆の傾向を示しています。責任ある金融機関を目指すのであれば、MUFGは影に隠れて熱帯林を破壊する企業にではなく、最前線のコミュニティの声に耳を傾けるべきです」と訴えました。

即時に求められる行動

レインフォレスト・アクション・ネットワークは以下を要求します:

1. RGEグループ全体の森林破壊が停止・是正されない限り、FSCとの関係修復停止の措置は延長されること。

2. FSCのガイドラインに従い、PT. バリクパパン・チップ・レスタリ、タラカン島のパルプ工場(PT. フェニックス・リソーシズ・インターナショナル、注3、その他のRGE関連のシャドーカンパニーを明確に企業グループに含めること。

3. RGEグループへのMUFGの新規の資金提供を即時に停止すること。

4. グループ全体で森林破壊のない事業活動が確認されない限り、グローバル消費財企業によるRGEからの調達を停止すること。

アバベックは「RGEがボルネオのあらゆる場所で森林破壊を積極的に進めている傍ら、MUFGは資金を提供しています。地域社会は、土砂崩れや壊滅的な洪水を含む被害に必然的に見舞われることになります。タノト一族のビジネス帝国と、それを可能にしている銀行には責任があります」と強調しました。

注1)RAN「RGEグループ、パルプ材サプライチェーンにおける新たな森林破壊を認める」
https://japan.ran.org/?p=2584

注2)「森林と金融」データより
https://forestsandfinance.org/ja/

注3)参考
RAN「ボルネオとパプアで森林破壊の新たな動き〜背後にひしめく悪しきプレイヤーたち〜」、2023年5月22日
https://japan.ran.org/?p=2276

*本プレスリリースは、英文 ”New Investigation Exposes MUFG’s Financing of Royal Golden Eagle’s Deforestation as Indonesia Reels from Deadly Floods” の和訳版です。

団体紹介

レインフォレスト・アクション・ネットーク(RAN)は、米国のサンフランシスコに本部を持つ環境NGOです。1985年の設立以来、環境に配慮した消費行動を通じて、森林保護、先住民族や地域住民の権利擁護、環境保護活動をさまざまな角度から行っています。2005年10月より、日本代表部を設置しています。
http://japan.ran.org

本件に関するお問い合わせ先

レインフォレスト・アクション・ネットワーク

東京都渋谷区千駄ヶ谷1-13-11-204、TEL 03-6721-0441 FAX:03-6721-0959

責任ある金融キャンペーナー(日本担当)麻生里衣 
Email: rie.aso@ran.org

日本チームマネジャー:関本幸
Email: yuki.sekimoto@ran.org