サンフランシスコに本部を持つ米国の環境NGO RAINFOREST ACTION NETWORKの日本代表部です

ブログ:米国リオ・グランデ・バレーの住民代表団が来日〜メガバンクらにLNG事業からの撤退を求めて 自然環境、歴史、人々の生活を破壊する5つのリスク〜(2024/12/10)

RAN「責任ある金融」キャンペーナー 麻生里衣

2024年10月6日から1週間、米国テキサス州リオ・グランデ・バレー地域のコミュニティ代表団が来日し、自然環境の破壊、先住民族の権利侵害、地域住民への健康被害、気候変動の加速など、問題の大きい液化天然ガス(LNG)事業からの撤退を日本の金融機関に求めました。多岐にわたる問題を引き起こすLNG事業。今年8月からRANで活動を始めた麻生里衣が、代表団に同行して見えてきたこの問題をまとめます。

州道48号線から見える自然、テキサス州ブラウンズビル、2017年(写真 ©︎ Joseph Fry)

地元コミュニティの反対運動

米国テキサス州南部のリオ・グランデ・バレーの河口周辺に広がるデルタ地域には、南メキシコ湾岸最後の人工物のない地平線が見られる景観が残っています。しかし現在、この地域ではリオ・グランデLNG輸出基地、テキサスLNG輸出基地、これらの基地に接続予定のリオ・ブラボー・パイプラインの3つのLNG事業が計画されています。第1フェーズの事業資金の調達が完了しているリオ・グランデLNGは、地元コミュニティの強い反対にも関わらず工事を開始し、現在も湿地帯をブルドーザーで掘り起こし、整地作業を進めています。

リオ・グランデLNGの建設現場(写真©︎ Bekah Hinojosa / (SOTXEJN)

これまでの活動の成果

地域住民はこれまで、これらのLNG事業を止めるために様々な活動を展開してきました。その成果が実り、フランスの銀行ソシエテ・ジェネラルラ・バンク・ポスタル、三井住友銀行、スイス登記の米保険会社チャブなどがリオ・グランデLNGから撤退、さらにフランスの銀行BNPパリバもテキサスLNGとの関係を絶ちました。

そして2024年8月6日、地域住民が裁判で勝訴を勝ち取り、活動の大きな追い風となりました! 米国コロンビア特別区控訴裁判所は、連邦エネルギー規制委員会(FERC)によるリオ・グランデ地域のLNG事業許可3件は、地域への環境的・社会的影響を十分に検証していないとして、許可を事実上取り消すという判決を下しました。FERCは今後、新たな補足的環境影響評価書の草案作成とパブリックコメント期間を設け、事業の影響を再評価した上で、新たな事業許可の発行を検討する必要があります。(さらに詳しくはRANのレポートを参照

今回来日したディナ・ヌニェス氏(南テキサス人権センター シニア・オーガナイザー)は、「団結した人々は、決して分断されることはない」と述べ、「私達地域コミュニティの強力な組織化と強い意志を持った人々のおかげで、良い裁判結果を勝ち取ることができました。私達は、たとえ巨大な企業であろうと打ち負かすことができると信じています。次は、日本の企業が良い決断を下すことを求めます」と訴えました。

MUFG本社前で呼びかけを行うヌニェス氏(右)と大学生のアクセル・ゴメス氏(左)(写真©︎ RAN / Masaya Noda)

日本の金融機関と気候変動

そして今回、リオ・グランデ住民代表団はこれらのLNG事業を支援する日本の金融機関に事業からの撤退を求めて日本を訪れました。中でも、三菱UFJフィナンシャル・グループ(MUFG)は、リオ・グランデLNGに約21億米ドルを2023年に融資し、世界最大の資金提供者となっています。また、みずほフィナンシャル・グループ(みずほ)も約11億米ドルの融資を行っていることが明らかになっています(参考「化石燃料ファイナンス報告書」日本語抜粋版) 。

代表団に同行したRANのルース・ブリーチ(気候変動&エネルギー担当 シニア・キャンペーナー)は、「日本の銀行は米国メキシコ湾岸におけるLNG事業拡大において、非常に重要な役割を担っています。世界のどの銀行を見ても、みずほ銀行と三菱UFJ銀行以外に、南メキシコ湾岸のLNG事業全てに資金提供を行なっている銀行はありません」と述べています。

都内の日本外国特派員協会(FCCJ)での会見にて日本の金融機関の関与について説明するルース・ブリーチ(写真©︎ RAN / Masaya Noda)

日本のメガバンクは、化石燃料事業に対して世界最大規模の資金提供を行ない、気候変動対策の流れと逆行しています。2023年のみずほの提供額(融資・引受)は世界第2位(約370億米ドル)、MUFGは世界第4位(約332億米ドル)でした。

「化石燃料ファイナンス 2023年のワースト12銀行」(化石燃料全部門への融資・引受額、2023年単年、単位:BILLION =十億ドル)

また、RANが米国の情報自由法(FOIA)で開示請求をして得た情報をもとに作成した報告書『リスク・エクスポージャー』により、SOMPOホールディングスがリオ・グランデLNGに損害保険を提供していることもわかりました。損害保険会社は化石燃料事業に不可欠な保険を提供することにより、気候変動の悪化を助長していることが問題視されています(詳しくはこちらのサイトを参照)。SOMPOホールディングスは、先住民族の権利保護に関する方針や人権デューディリジェンス・プロセスを導入していなく、早急に方針の強化が求められます。

5つのLNG事業の問題点

リオ・グランデ・バレー地域におけるLNG3事業の大きな問題点として、1)気候変動の加速、2)地域住民への健康被害、3)希少種の生息地の破壊、4)小規模産業への悪影響、5)先住民族の権利侵害があげられます。

 

 1) 気候変動の加速

LNGは、温室効果ガス(GHG)の排出量が低い『移行燃料』であるという認識が一部で存在しますが、LNGのおよそ90%以上が二酸化炭素の80倍以上の温室効果をもたらすメタンで構成されています。採掘や輸送におけるメタンの漏洩により、LNGは石炭と同等またはそれ以上に気候変動を悪化させると考えられています。ライフサイクル全体での排出を考慮すれば、リオ・グランデLNGからの年間GHG排出量は石炭火力発電43基分、テキサスLNGからは石炭火力発電7基分合計50基分にも相当するGHGが排出されると考えられているのです。

採掘地におけるフラッキング(水圧破砕法)による水質・大気汚染、地域住民の健康被害などの影響も深刻です。また、リオ・グランデLNGの事業者であるネクストディケイド社は裁判結果を受けて、唯一の気候変動対策であった炭素回収・貯留(CCS)事業についても、現時点では十分に開発が進んでいないとして申請を取り下げました。以上のことから、LNGを「移行燃料」と考えることは非常に危険であり、LNG事業の拡大はパリ協定の1.5度目標と整合しません。

 

 2) 地域住民への健康被害と「環境レイシズム」

米国メキシコ湾岸は国内で最も多くのLNG事業が乱立し、地域住民に犠牲を強いる犠牲地帯」と呼ばれています。これらの事業は、何千トンもの発がん性の有害汚染物質を周辺に撒き散らすと予想され、周辺住民への深刻な健康被害が懸念されています。(詳しくはFoEジャパンのブログを参照)このように米国全体の電力をまかなうために、有色人種や低所得者層、先住民族など社会的に弱い立場の人々が多い米国メキシコ湾岸のコミュニティに対して、公害などの環境問題を押し付けている様子は環境レイシズム(人種差別)」と批判されています。

ベッカ・ヒノホサ氏南テキサス環境正義ネットワーク共同創立者)は、MUFGの本社前で、雨の中以下の様に訴えました。「MUFGはリオ・グランデLNGから撤退すべきです。なぜなら、明らかに私たちの地域社会は、この事業を望んでいないからです。私たちのコミュニティに押し付けられたもので、環境レイシズムです。そしてこの事業は、先住民族の神聖な土地や聖地を破壊し、既にブルドーザーでそういった土地を踏み潰しています。ですから、私たちはここにいます。MUFG、私たちが引き下がることはありません。これからもこの事業に反対していきます」。

MUFG本社前でスピーチを行うヒノホサ氏(写真©︎ RAN / Masaya Noda)

 3) 希少種の生息地の破壊

リオ・グランデ・デルタの湿地帯は、絶滅が危惧される猫科のオセロットノーザン・アプロマド・ファルコン、海にはケンプヒメウミガメやライスクジラなどの希少な生き物の最後のすみかとなっています。LNG施設が建設されれば、直接的な生息地の破壊と騒音や公害、汚染物質、タンカー船の往来などの影響により、複数の絶滅危惧種に恒久的かつ重大な」影響を与える可能性が指摘されています。

 

 4) 地域の小規模産業への悪影響

周辺地域の人々は豊かな自然の恩恵を受けて、主にエビ漁などの漁業やイルカウォッチなどのエコツアーで生計を立てています。これらのLNG施設は、地域経済にとって重要なこれらの小規模産業に悪影響を与える可能性があります。

 

 5) 先住民族の権利侵害

先住民族の権利侵害も深刻な問題です。リオ・グランデ・バレー地域の先住民族であるカリゾ・コメクルド族(彼らの言語ではエシュトク・グナ族と呼ぶ)は、数千年前から周辺で狩猟・採集・農業などを行い生活していました。リオ・グランデLNGの計画地の下には村の遺跡や貝塚などの歴史遺産、テキサスLNGの地下には『ガルシア牧地』と呼ばれる聖地が眠り、彼らはリオ・ブラボー・パイプラインの建設予定地の数エーカーを直接所有し、絶滅が危惧されるミツバチの養蜂を行っています。カリゾ・コメクルド族はこれらのLNG事業に強く反対していて、事業者は彼らと協議もしていません。

10月7日に行われた会見でカリゾ・コメクルド族チェアマンのフアン・マンスィアス氏は、先住民族の歴史と現状を説明し、テキサスにおける先住民族排除の歴史が現在のLNG事業の問題へとつながっていると語りました。「500年前、私達の民族はこの川沿いにやってきた人々によって侵略されました。かつて私達の民族は、このリオ・グランデ・デルタの美しい水の中で魚をとり生活していました。私達にとってリオ・グランデ川は最初の女性が生まれた場所であり、河口のデルタ地帯には確認されているだけでも32の集落があり、ガルシア牧地と呼ばれる聖地がありました。しかし現在、ガルシア牧地はワールド・モニュメント財団により『危機に瀕している歴史サイト』に認定されています。(LNG建設予定地のすぐ横を通る)運河の建設のために掘り起こされた土の中から、骨が見つかりました。それは私達一族のものです。私の中には彼らと同じ血が流れているのです。かつて声をあげることができなかった彼らの声を代弁することが、重要だと思います」

記者会見で民族の歴史とLNG事業の懸念を語るマンスィアス氏(写真©︎ RAN / Masaya Noda)

 

西洋の入植者による先住民族の排除の歴史により、この地域では自分に先住民族の血が流れていることさえも知らされていない人も多く、カリゾ・コメクルド族の米国政府による認定に時間がかる現状があります。LNG事業者はこの状況を逆手に取り、カリゾ・コメクルド族の同意は不要として事業を進めています(より詳しくはこちらの英語記事を参照)。

問われる銀行の環境・人権への対応

国際連合が推奨する先住民族の権利保護のための「自由意思による、事前の、十分な情報に基づく同意(FPIC)」は、土地や資源開発を行う事業において、影響を受ける可能性のある先住民族に対し、事業に関する十分な情報開示を事前に行なった上で、賛成または反対の立場をとる事ができる様にすることを求める国際的な原則です。

FPICによると、先住民族の権利は国の認定に関わらず保証されるべきであり、MUFG、みずほ、SOMPOホールディングスは、グローバル企業としてこのような国際的な基準の遵守が求められます。事業に必要な資金を調達するための手法であるプロジェクトファイナンスの際に配慮すべき環境的・社会的影響の国際的な指針である赤道原則(エクエーター原則)においても、同様の基準が採用されています。MUFGおよびみずほは、赤道原則の遵守を誓約しているにも関わらず、リオ・グランデLNGのように先住民族の権利侵害が疑われる事業者への資金提供が以前から報告されていて、企業が事業活動において人権への影響を予測・評価・管理・改善するためのプロセスである人権デューデリジェンスの実効性が疑われます

RANでは引き続き、日本のメガバンクにリオ・グランデ・バレーの3つのLNG事業からの撤退と、人権方針の遵守と人権デューデリジェンスの確実な実行を求める活動を行っていきます。

会見にてリオ・グランデLNGの工事中止を求める代表団(写真©︎ RAN / Masaya Noda)

 

署名に参加して、三菱UFJ銀行にLNG事業からの撤退を求めよう!

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日本外国特派員協会における記者会見の様子はこちら(英語動画)

 

RAN「責任ある金融」キャンペーナー 麻生里衣

プレスリリース:RAN新調査報告書『包囲下のオランウータンの首都』発表〜違法パーム油、日清食品などのサプライチェーンに混入の可能性が継続〜(2024/11/22)

インドネシア保護区での違法森林伐採、最新鋭の衛星画像調査で明らかに

  • インドネシアの野生生物保護区で、森林破壊の新証拠が最新鋭の衛星画像で明らかに。保護区内に652ヘクタール(東京ドーム約140個分)もの違法アブラヤシ農園を確認。
  • 消費財企業は違法パーム油が供給網に混入するリスクに、銀行は違法パーム油を調達する可能性のある顧客に資金提供するリスクにさらされている。
  • 調査結果は、企業の森林破壊禁止公約の実効性、EU新規制を遵守する準備が十分かどうか疑問を投げかけている。
  • 違法パーム油の問題が続くも、11月13日に行われた「持続可能なパーム油のための円卓会議」(RSPO)年次総会では基準が弱体化された。


写真:違法アブラヤシ農園の一つ。ラワ・シンキル野生生物保護区内の泥炭林を伐採・排水して造成された。2024年9月、インドネシア・アチェ州

米環境NGOレインフォレスト・アクション・ネットワーク(本部:サンフランシスコ、日本代表部:東京都渋谷区、以下RAN)は11月11日、タイ・バンコクで13日まで開催された「持続可能なパーム油のための円卓会議」(RSPO)に合わせ、新報告書『包囲下のオランウータンの首都』を発表しました(注1)

本報告書は、インドネシア・スマトラ島の「ラワ・シンキル野生生物保護区」で、大規模な違法伐採が今も起きていることを明らかにしました。RANは7月、最新鋭の衛星画像「プレアデス・ネオ」による調査を実施し、国の指定する保護区がパーム油生産のために破壊されている実態を確認しました。RANは同保護区で2019年22年にも調査を行い、パーム油の原料となるアブラヤシの農園造成による森林破壊を発見して公表しています。この地域は生物多様性豊かなホットスポットで、「世界のオランウータンの首都」とも呼ばれる「ルーセル・エコシステム」の南部に位置します。

調査は今年7月、同保護区の泥炭林地域におけるアブラヤシ農園拡大の範囲を把握するため、エアバス社の「プレアデス・ネオ」衛星による飛行撮影を実施しました。この衛星画像は30cmという高い解像度をもち、これほどの高解像度画像が公開されたことは同地域では初めてです。画像分析の結果、同保護区には652ヘクタール(東京ドーム約140個分)に及ぶ違法アブラヤシ農園が存在し、そのうち453ヘクタール(同97個分)がアブラヤシ果実の生産が可能な土地であることを特定しました。

現地調査、消費財企業と製油企業のサプライチェーン分析を加えた一連の調査結果は、消費財企業と銀行の森林破壊禁止方針の実効性や、消費財企業とパーム油企業が2025年末に施行となる欧州連合(EU)の新規制「森林破壊禁止法(EUDR)」を遵守する準備が十分かどうか緊急の疑問を投げかけています。

図1:2016年と2024年の衛星画像比較:黄色が野生生物保護区の境界線(報告書より)

 

【調査概要】

■調査時期:2024年7月(衛星調査)、2024年9月〜10月(現地調査、サプライチェーン分析)

■調査地域:インドネシア・スマトラ島の「ルーセル・エコシステム」内、国の保護区「ラワ・シンキル野生生物保護区」上空および周辺

■対象消費財企業8社:日清食品、花王、プロクター&ギャンブル、ネスレ、モンデリーズ、コルゲート・パーモリーブ、ペプシコ、ユニリーバ(注2)

■対象銀行11社:三菱UFJフィナンシャル・グループ(MUFG)、ING、UBS、HSBC、ラボバンク、CIMB、メイバンク、BNPパリバ、UOB、DBS、OCBC(注3)

■調査方法:1)「プレアデス・ネオ」衛星画像分析(違法農園および森林・泥炭林減少の確認)、2)現地調査(アブラヤシ農園から搾油工場を追跡)、3)サプライチェーン分析(製油企業・消費財企業の調達先リストを分析)、4)資金提供調査(製油企業への銀行の資金提供額を調査、注4)、5)The TreeMap社との衛星画像分析(2016年6月に撮影された画像を用い、期間別の森林消失を分析)

【主な調査結果】

  • 広範囲に及ぶ違法アブラヤシ生産:ラワ・シンキル野生生物保護区には652ヘクタール(東京ドーム約140個分)の違法農園があり、そのうち果実の収穫可能な土地は453ヘクタール(同97個分)だった。これは違法生産されたパーム油がすでに世界の主要消費財企業や供給業者のサプライチェーンに混入している可能性を示唆している。
  • 影響を受ける消費財企業と銀行:プロクター&ギャンブル(P&G)、ネスレ、モンデリーズ、ペプシコ、日清食品などの大手消費財企業は、違法パーム油の調達が発覚したロイヤル・ゴールデン・イーグル・グループ(子会社のアピカル)、ムシムマス・グループ、Permata Hijau Groupといった製油企業からパーム油を購入することでリスクにさらされている。三菱UFJフィナンシャル・グループ(MUFG)、ラボバンク、HSBCなどの銀行は、上記パーム油企業に資金提供をすることでリスクにさらされている。これらのパーム油企業は、RANの過去10年にわたる調査で、上記保護区で違法に生産されたパーム油を供給している搾油工場から油を調達していることが繰り返し明らかにされている。
  • 森林減少率の増加:国の法律で保護されている地域にもかかわらず、同保護区での森林伐採は2021年から2023年にかけて4倍に増加している。2016年以降の総伐採量の74%が、欧州連合(EU)の新規制「森林破壊禁止法(EUDR)」の森林破壊禁止の基準日(注5)である2020年12月31日以降に伐採されていることから、法的保護や規制要件が組織的に無視されていることを示している。
  • 新たな抜け穴:今回の調査では、裕福な土地投機家が小規模農家を装うことで、違法森林伐採への責任を回避する「パーム油ロンダリング」という新たな抜け穴が立証されている。

図2:ルーセル・エコシステム周辺の搾油工場からパーム油を調達している製油企業5社への融資・引受銀行と資金の流れ。上記11行はNDPE方針をもっている。2020年1月から2024年6月、単位:百万米ドル 出典:「森林と金融」データベース

 

パーム油産業はすでに「森林破壊ゼロ、泥炭地ゼロ、搾取ゼロ(NDPE)」方針を誓約し、EUDRは2025年12月31日の施行が提案されています。しかし今回の調査結果からは、こういった規制が採用された後も、違法伐採が著しく増加していることが浮き彫りになりました。RANはThe TreeMap 社とも衛星画像調査を行い、同保護区内で2016年以降に2,577ヘクタール(東京ドーム約551個分)もの森林が失われたことを確認しました。残念なことに、世界のパーム油産業が森林破壊禁止の基準日として設定した2015年12月から2020年12月の間に662ヘクタール、その後、EUDRの基準日である2020年12月以後には1,915ヘクタールの森林が皆伐されました(注6)。

本報告書は、違法な大規模アブラヤシ農園の破壊的な影響を明確に示しています。RANはこの違法農園がこの地域の森林破壊の主な原因であると特定しました。特に懸念されるのは、この環境危機をもたらしているのは小規模農家ではなく、土地投機家であるという点です。

RAN森林政策ディレクター、ジェマ・ティラックは「世界で最も重要な生態系のひとつが破壊され続けていることは、消費財企業や銀行、消費者への警鐘です。今回の調査で得られた証拠は、違法に皆伐された土地で生産されたパーム油がグローバルサプライチェーンに混入し、スマトラオランウータンのような象徴種が深刻な危機にさらされていることを明確に示しています。私たちが日常的に購入する製品、例えば化粧品のOLAY、ミロ、オレオ、ポテトチップスのLay’s、即席麺のカップヌードルなどのサプライチェーンには違法パーム油が混入するリスクがあり、その証拠も揃っています」と強調しました。

The TreeMap社のデビッド・ガヴォー(David Gaveau)博士は「今回初めて、時を得た衛星画像によってラワ・シンキル野生生物保護区におけるパーム油危機の全容が明らかになりました。最新鋭の衛星画像は、アブラヤシの木々や苗木の一本一本まで細かく捉えることができます。この高度なツールが公開されたことで、以前は無料の衛星データで見逃されていた違反行為も記録できるようになりました」と語りました。

 

13日、RSPOはバンコクで開催された年次総会において、認証基準改訂版(「RSPO原則と基準2024」)の承認を決議しました。RSPOは森林破壊禁止の基準日(2018年11月)を削除し、森林破壊禁止を実施するために使われる信頼できる従来の定義を、独自に作成した欠陥のある定義に置き換えて、基準を弱体化させました。ティラックは「違法に生産されたパーム油は、RSPOの『マスバランス』方式を通して世界の市場に流通しています。この方式では、認証農園で生産されたパーム油に非認証油が混合される問題があります。RSPOは、消費者や市場からの信頼を維持したいのであれば、その基準を強化する必要があります。今回の基準改訂は、執行力の欠如、腐敗した監査プロセス、欠陥のある苦情処理メカニズムによってもたらされた欠陥だらけの認証制度をさらに弱体化するものです」と批判しました(注7)。

 

RANは、消費財企業、パーム油企業、金融機関が直ちに協力し、保護区のあるシンキル・ベンクン・トゥルモン地域の保護に向けて持続可能な解決策に投資するよう強く求めています。熱帯低地林と泥炭地の保護を優先しつつ、同時に地域住民の権利と生業を尊重するコミュニティ主導の農業を育成するという、将来の見通しを共有することが必要です。

RANは、本報告書で言及された全ての消費財企業と銀行に連絡を取り、その回答は報告書に含まれています。さらに詳細な情報や分析、衛星画像については、RANの監視専用プラットフォーム「Forest Frontlines」および「Nusantara Atlas」をご覧ください。

 

注1)RAN報告書(英語)『包囲下のオランウータンの首都』(‘Orangutan Capital’ Under Siege)

注2)対象とした消費財企業8社の調達先搾油工場一覧には、違法パーム油購入が明らかになった搾油工場企業 (PT. Global Sawit Semesta:PT. GSS)が記載されていた。各社リストのリンクは報告書を参照のこと。

注3)

a) ラワ・シンキル野生生物保護区とルーセル・エコシステム周辺の搾油工場からパーム油を調達している5社、
b) 違法パーム油を調達している搾油工場企業からパーム油を調達している製油企業を特定し、該当企業に資金提供をしている、または過去にしていた銀行を対象とした。

上記製油企業5社はロイヤル・ゴールデン・イーグル(RGE)グループ(アピカル・グループ)、ムシムマス・グループ、Permata Hijau Group、ウィルマー・インターナショナル、シナルマス・グループ(ゴールデン・アグリ・リソーシズ:GAR)である。そのうち、RGE、ムシムマス、Permata Hijau Groupは上記  b)に該当する。

注4)製油企業と銀行

RGE、ムシムマス、Permata Hijau Group:MUFG、欧州の銀行ING、UBS、HSBC、ラボバンクなどから資金提供を受けている。

ウィルマー、GAR(最新搾油工場一覧にPT. GSSは含まれていないが、過去に調達していたことがある):MUFG、マレーシアの銀行CIMBとメイバンク、フランスの銀行BNPパリバ、シンガポールの銀行UOB、DBS、OCBCから資金提供を受けている。出典:「森林と金融」データベース

注5)「基準日」:カット・オフ日ともいう。基準日以降に森林伐採・転換が行われた場合、その地域や生産単位が、森林伐採や転換を行わないという約束、方針、目標、その他の義務に違反していると見なされる。アカウンタビリティ・フレームワーク・イニシアティブ(AFi)の定義を参照のこと。

注6)EUDR施行後は、2020年12月31日以降に森林伐採・劣化の起きた場所で生産された商品が、EUへの輸出不可となる。

注7)RAN声明:RSPO認証基準改訂について(英語)

 

団体紹介

レインフォレスト・アクション・ネットーク(RAN)は、米国のサンフランシスコに本部を持つ環境NGOです。1985年の設立以来、環境に配慮した消費行動を通じて、森林保護、先住民族や地域住民の権利擁護、環境保護活動をさまざまな角度から行っています。


本件に関するお問い合わせ

レインフォレスト・アクション・ネットワーク
日本チームマネジャー 関本
Email: yuki.sekimoto@ran.org

プレスリリース:危険なLNG事業を支援する邦銀に要請、 米メキシコ湾岸の住民代表団が初来日(2024/10/8)

日本の金融機関に健康、文化、経済、野生生物を脅かす化石燃料事業への支援停止を訴え

(東京)10月7日から10日、米国テキサス州リオ・グランデ・バレーの活動家であり地域住民の代表が初来日しています。代表団は来日中、米国南部メキシコ湾岸地域のLNG(液化天然ガス / メタンガス)事業と関係がある日本のメガバンクおよび保険会社と東京で会合を持つ予定です。※写真を更新(10月10日)

東京・日本外国特派員協会での記者会見、2024年10月7日 ©︎ RAN / Masaya Noda

三菱UFJフィナンシャル・グループ宛の署名数を手に会談に向かう代表団、2024年10月9日
©︎ Yuki Sekimoto / RAN

代表団 3名

・フアン・マンスィアス(テキサス州カリゾ・コメクルド族チェアマン)
・ベッカ・ヒノホサ(南テキサス環境正義ネットワーク共同創立者)
・ディナ・ヌニェス(南テキサス人権センター シニア・オーガナイザー、Vecinos para el Bienestar de la Comunidad Costeraシニア・オーガナイザー)

代表団は、米環境NGOレインフォレスト・アクション・ネットワーク(RAN)とともに、日本の保険会社および三菱UFJフィナンシャル・グループ(MUFG)などメガバンクの代表者と面会し、先祖伝来の故郷の土地を破壊し、地域のエコツーリズムを衰退させ、絶滅危惧種を脅かす大規模なLNG(メタンガス)事業(※)への支援停止について話し合う予定です。(※)リオ・グランデLNG輸出施設、テキサスLNG輸出施設、リオ・ブラボー・パイプラインの3事業

代表団のコメント

フアン・マンスィアス
「企業はこの土地を占拠しようとしています。化石燃料で富を得るお金持ちのためにです。LNG事業は私たちの空気や水を汚染し、先祖代々の土地を冒涜します。企業はこの土地を破壊しようとしています。しかしそのためには、私たちの民族を滅ぼさなければなりません。私たちはそれを許しません。私たちはもう脅しには屈しません」

日本のメガバンクであるMUFG、みずほフィナンシャルグループ、SMBCグループは、リオ・グランデLNG輸出基地を含め、LNG拡大企業への資金提供で世界の上位にあります。世界主要60銀行への資金提供(融資・引受)を分析調査した「化石燃料ファイナンス報告書」(Banking on Climate Chaos )によると、メガバンク3行は2023年単年とパリ協定以降の提供額の両方で上位10社に入っています。メガバンクには、メタンガスの新規および拡大事業への支援を除外する方針はなく、問題の多い化石燃料からの脱却を顧客企業に促す方針もありません。これはオランダのING銀行が発表した、2026年までにLNG(メタンガス)への投資を段階的に停止するという新方針や、フランスのラ・バンク・ポスタルが発表した、2022年までにすべての化石燃料への投資を停止するという方針とは対照的です。上記報告書によると、アジアの銀行は、気候変動や人権に関する方針において欧州の銀行に遅れをとっています。

ベッカ・ヒノホサ
「これらのメタンガス事業は、地元の低所得者層や野生生物に多大な汚染による危険をもたらします。それは否定できません。私たちのコミュニティはすでに、これらの事業に対する訴訟に勝訴しています。しかし、リオ・グランデLNG輸出施設は法の抜け穴を理由に、いまだにコンクリートを流し、神聖な野生生物の生息地を更地にしています。日本企業は、これらのLNG事業への支援をやめるべきです。そうすれば、事業を完全に停止させることができます」

人々が住み続けることのできる気候を実現するために、金融機関は化石燃料への資金提供を段階的に減らしていかなければなりません。しかし、前述の「化石燃料ファイナンス報告書」によると、銀行は2023年に化石燃料産業に7,058億米ドルの資金提供(融資・引受)を行ない、誤った方向に進んでいます。そのうち、1,209億ドルがLNG(メタンガス)拡張事業に使われています。リオ・グランデ地域のLNG(メタンガス)施設のステークホルダー(利害関係者)からなる代表団は、東京を訪れ、大手金融機関がこれらの化石燃料事業への支援を停止するよう要求する予定です。

ディナ・ヌニェス

「強力な組織化と、地域社会の意思の強い人々のおかげで、ワシントンD.C.(米国コロンビア特別区控訴裁判所)が3つの事業への承認を取り消すという良い判決が下されました。私たちは、リオ・グランデLNGのような巨大事業を打ち負かすことができるとわかっています。そして今、私たちは日本企業が正しい決断を下すよう求めます。そして、このような有害な採取事業への資金提供や支援を廃止するよう求めます」

LNG(メタンガス)に関する日本の金融が及ぶ範囲は、メキシコ湾岸地域を超えて広がっています。日本は、LNG輸出施設への国際的な公的金融の世界最大の資金提供国です。2012年から2022年までに建設されたLNG(メタンガス)輸出施設と、建設中または2026年までに完成予定の輸出施設に提供された世界の公的金融の約50%を占めています。日本はメタンガスへの公的資金提供でも世界トップクラスであり、毎年平均で約43億ドルを提供しています。

英語版はこちら “Japanese Banks Backing Dangerous LNG/Methane Projects: Gulf Coast Community Leaders visit Tokyo to demand that Japan’s financial institutions stop supporting dirty fossil fuel projects that threaten their health, culture, economy and wildlife” 

東京・丸の内の記者会見場にて意気込みを見せる代表団、2024年10月8日 ©︎ RAN / Masaya Noda

団体紹介

レインフォレスト・アクション・ネットーク(RAN)は、米国のサンフランシスコに本部を持つ環境NGOです。1985年の設立以来、環境に配慮した消費行動を通じて、森林保護、先住民族や地域住民の権利擁護、環境保護活動をさまざまな角度から行っています。

本件に関するお問い合わせ
日本チームマネジャー 関本 Email: yuki.sekimoto@ran.org

“Gulf Coast Residents Demand Japan Stop Supporting LNG Facilities” materials / 米メキシコ湾岸地域住民来日会見関連資料

【October 7th, 2024】
Press Conference: Gulf Coast Residents Demand Japan Stop Supporting LNG Facilities

Juan Mancias, Tribal Chair, Carrizo/Comecrudo Tribe of Texas
Rebekah Hinojosa, Co-Founder, South Texas Environmental Justice Network
Ruth Breech, Senior Campaigner for Climate & Energy, Rainforest Action Network

FCCJ website, Archived Video

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2024 Update: Rio Grande Valley at Risk from Methane Gas Export Terminals

 

【2024年10月8日】
会見「米メキシコ湾岸住民、日本の金融機関にLNG施設への支援停止を要請」

フアン・マンスィアス氏(テキサス州カリゾ・コメクルド族チェアマン)
ベッカ・ヒノホサ氏(南テキサス環境正義ネットワーク共同創立者)
ディナ・ヌニェス氏(南テキサス人権センター シニア・オーガナイザー)
ルース・ブリーチ(RAN気候変動&エネルギー担当 シニア・キャンペーナー)
川上豊幸(RAN日本シニア・アドバイザー)

プレスリリース

プレゼン資料

参考資料「化石燃料ファイナンス報告書204 抜粋版」

登壇者経歴

金融機関・投資家向け説明資料「リオ・グランデ・バレー:液化天然ガス(LNG)輸出基地がもたらすリスク 2024年最新版」

 

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ブログ:グリーンウォッシュ警報〜米リオ・グランデLNG事業者のネクストディケイド、CCSを中止〜(2024/10/1)

川上豊幸(RAN日本シニアアドバイザー)
ルース・ブリーチ(RAN米国本部シニアキャンペーナー)

日本外国特派員協会(FCCJ)にて会見を行った筆者(中央:ルース・ブリーチ)と地域住民代表団、2024年10月、東京 ©︎ RAN / Masaya Noda

画期的な判決

2024年8月、米コロンビア特別区連邦巡回区控訴裁判所(No.23-1174)は、テキサス州南部沿岸リオ・グランデ・バレーで計画されている複数のメタンガス(液化天然ガス:LNG)輸出基地事業の認可が、適切な環境評価なしに発行されたとの判決を下した。米連邦エネルギー規制委員会(FERC)が発行したネクストディケイド社のリオ・グランデLNG、グレンファーン社のテキサスLNG、エンブリッジ社のリオ・ブラボー・パイプラインの認可は全て取り消され、これらの巨大事業に大きな遅延をもたらすこととなった。

訴訟手続きの一環として、リオ・グランデLNGは基地の設計に二酸化炭素回収・貯留(CCS)システムを追加することを2021年に提案していた。LNGのCCSとは、化石燃料の処理過程で排出される二酸化炭素(CO2)を回収し、地下に圧入して恒久的に貯蔵することを試みるものであるが、この技術は未だ実証されていない

8月の判決後、リオ・グランデLNGはCCS計画を取り下げた。これにより、ネクストディケイド社の「環境に優しい」という主張がいかにお粗末であるかが明らかになった。ネクストディケイド社はエネルギー移行計画を策定していなく、また中止したCCS計画以外には、ネットゼロ排出を達成するための計画を何も公表していない。日本のメガバンクの三菱UFJフィナンシャル・グループ(MUFG)は、ネクストディケイド社とリオ・グランデLNG事業の主要な資金提供者であり、同事業に23億8000万米ドルを提供している。

リオ・グランデLNGの主要資金提供者


(出典:シェラクラブ「US LNG Export Tracker」より)

 

リオ・グランデLNG施設が稼働すれば、石炭火力発電所43基分に相当するCO2を排出することになる。ネクストディケイド社は、事業の第1フェーズ向け184億ドルのプロジェクトファイナンスが「米国史上最大のグリーンフィールドのエネルギー事業向け融資である」と自慢している。ここでいう「グリーンフィールド」とは、手つかずの海岸沿いの土地に建設するという意味である。事業建設予定地は、米国メキシコ湾岸で未だ工業化されずに自然が残る最後の地域のひとつである。

進みの遅い汚れた事業

ネクストディケイド社は当初、2017年にリオ・グランデLNG輸出基地の最終投資決定(FID)を行い、2020年第4四半期に操業を開始する予定であった。しかし同社は、法的な課題や不十分な規制手続き、コミュニティからの圧力、不安定な石油・ガス市場などにより、度重なる遅延に直面してきた。

2023年7月、ネクストディケイド社は重要な節目を迎えた。リオ・グランデLNG基地の第1フェーズに関する最終投資決定を下したのである。この初期フェーズには3つの「トレイン」(液化プラント)が含まれる。これらのトレインは、年間2700万トンのガスを処理する見込みである。フランスの銀行ソシエテ・ジェネラルは、最終投資決定に至る前にリオ・グランデLNG事業から公に撤退した。 当初ネクストディケイド社のアドバイザーを務めていた日本の三井住友銀行も、現在は事業に関与していない。さらに複数の銀行がリオ・グランデLNGへの資金提供に関与しないことを2023年に非公開で確認している。

リオ・グランデLNG施設予定地、米国テキサス州、2023年12月6日  ©︎ Bekah Hinojosa / (SOTXEJN)

偽りの解決策

ネクストディケイド社は、環境に配慮したイメージを偽り、メタンガス輸出事業による膨大な排出量と現地での影響について積極的に「グリーンウォッシュ」を行なってきた。同社は2020年10月、計画中のリオ・グランデLNG施設でネットゼロ排出の達成を目指すと発表した。CCS技術を使用し、ガスの前処理と燃焼後のプロセスで排出されるCO2を回収し、地下に注入して恒久的に貯蔵することで、ネットゼロ排出目標を達成しようという計画であった。

しかし、炭素回収技術は、米国内のメタンガス輸出施設に未だ適用されたことがなく、他の化石燃料事業でも成功したことがない。リオ・グランデLNGはCCSに関して三菱重工と提携しているが、三菱重工は過去にも石炭火力発電所の炭素回収を試み、コストと技術的な問題が原因で失敗しているMUFGは三菱重工の重要なパートナーでもあり、両社はともに三菱グループの一員で、三菱グループはかつての財閥(戦前に多くの事業分野を支配していた企業グループ)である。CCS事業の中止が、MUFGとネクストディケイド社の関係に影響を与えるかは不明である。

MUFGにリオ・グランデLNGの地域への悪影響を訴え支援停止を要請した代表団、2024年10月©︎ RAN / Masaya Noda

エネルギー経済・財務分析研究所(IEEFA)が2022年9月に行った世界各地のCCS事業の分析によれば、CCS事業の大半は失敗しているか、約束どおりにCO2を回収できていないか、大幅なコスト超過に苦しんでいることが明らかになっている。CCS技術は、メタン輸出においては未だ実証されたことがない。

ネクストディケイド社は、リオ・グランデLNGのCCS事業が「提案されている炭素回収・貯留を通じて、CO2排出量を90%以上削減する」と主張し、「年間500万トン以上のCO2を恒久的に貯蔵すると述べている。ガス業界は通常、LNGのバリューチェーンの狭い部分のみに焦点を当て、ガスを燃やす発電所と石炭を燃やす発電所の排出量を比較する。しかし、メタンの採掘から輸送、発電所での燃焼に至るまでのプロセス全体を考慮したライフサイクル分析を用いると、LNG事業からのメタン排出量は、化石燃料産業が算出する排出量よりも大幅に増加する

リオ・グランデLNG輸出基地用のメタンガスは、テキサス州西部のパーミアン盆地とイーグルフォード・シェールから、フラッキング(水圧破砕)と水平掘削によって採取される予定である。フラッキングは、強力な温室効果ガスであるメタンを大気中に大量に放出し、米国で大気汚染や水質汚染、コミュニティの健康への悪影響をもたらしている。ネクストディケイド社は、基地で処理されるガスは「持続可能な生産者」から「責任ある形で調達された天然ガス」であると主張している。2023年にアースワークスとオイル・チェンジ・インターナショナルが発表した報告書は「認証ガス」の正当性について重要な疑問を提起し、「メタンガスの最大認証機関の一つであるProject Canary社が販売するモニターによる石油・ガス汚染の検出」に重大な欠陥があることを示した。認証ガスに関する主張と使用については、米国の上院議員グループが米連邦取引委員会に異議を申し立てている

バリューチェーン上流での採掘は、私たちの環境をあらゆる面で汚染し、最前線のコミュニティに甚大な被害をもたらすとともに、世界各地で発生している深刻な気候災害を悪化させている。現実には、ガス認証やメタンガス工場のCCS事業は、気候危機に対する偽りの解決策でしかない。例えば、キャメロン郡で提案されていたリオ・グランデLNGのCCS事業は、上流と下流の両方での排出を含めて算出された事業のライフサイクル排出量の約3%しか回収できない。

コミュニティのリーダーたちは日頃からネクストディケイド社の主張に異議を唱え、また同社がウェブサイトに掲載している単純な概要以上の詳細な計画を共有していないと批判している。ネクストディケイド社は、FERCの監視官にも計画を伝えることを怠っていた。

控訴裁判所は8月の判決において、FERCが事業の環境影響を評価する前に、ネクストディケイド社がCCSの計画を共有する必要があったというコミュニティリーダーたちの意見に同意した。これに対しネクストディケイド社は、「現時点ではFERCの審査を継続できるほど十分に開発されていない」として、CCSの申請を取り下げた 

ネクストディケイド社のウェブサイトより “NextDecade Withdraws Carbon Capture and Storage Application at FERC”, 2024年8月20日

https://investors.next-decade.com/news-releases/news-release-details/nextdecade-withdraws-carbon-capture-and-storage-application-ferc/

コミュニティリーダーたちが予想していたとおり、CCS提案はごまかしにすぎなかった。ネクストディケイド社がこの疑わしいCCS提案をあっさりと取り下げたことは、同社の野心的な気候目標に対する真摯さに疑問を投げかけるものである。

幸いにも、控訴裁判所はネクストディケイド社がCCS提案を撤回する可能性を予期し、たとえCCS事業が中止されたとしても、FERCが「リオ・グランデ基地を再承認する前に、少なくとも補足的な環境影響評価書(EIS)を通じて提案を代替案として分析しなければならない」という判決を下した。

ネクストディケイド社と三菱重工との間で結ばれたCCSに関するエンジニアリングサービス契約の行方は不明である。

リオ・グランデLNGのCCS事業は、リオ・グランデLNGと長期売買契約を結んでいるフランスの多国籍電力・ガス会社エンジーとの関係にとって重要であった。エンジー社は2020年にネクストディケイド社とのCCSなしの同様の契約を拒否していた。ネクストディケイドの子会社で、CCS事業の実施主体であるネクスト・カーボン・ソリューションズ社の今後についても不明である。

州道48号線沿いの自然、テキサス州ブラウンズビル、2017年  ©︎ Joseph Fry 

より公正なエネルギー移行への資金提供を

CCSはコストが高く、また再生可能エネルギーへの投資を奪うことになる。現在のCCS技術は、建設にも運用にも莫大なコストがかかり、政府からの多額の補助金なしには実現不可能である。現在提供されている非常に高水準の補助金をもってしても、ほとんどの事業は依然として採算が取れていない。CCS事業に投入されている税金の額が、化石燃料ベースの発電所の風力や太陽光による発電能力(の強化のため)の補助金として使用されれば、風力または太陽光による発電能力を即座に5倍以上にすることが可能である。

銀行が気候変動と人権に真摯に取り組むのであれば、このような不誠実なグリーンウォッシュを見抜き、より公正なエネルギー移行への資金提供に注力すべきである。

リオ・グランデ・バレーと米国メキシコ湾岸のコミュニティには、汚染度の高い化石燃料から解放された未来を手に入れる権利がある。

MUFGにリオ・グランデLNG支援停止をアピール、日本で活動する環境NGOと共に 2024年10月©︎ RAN / Masaya Noda

参考

RANプレスリリース「危険なLNG事業を支援する邦銀に要請、 米メキシコ湾岸の住民代表団が初来日」2024/10/8)

10月記者会見資料「LNG/メタンのリスクと日本の金融機関の役割」

FCCJ会見のアーカイブ映像

本ブログは、英語記事“GREENWASHING ALERT: NextDecade Cancels Carbon Capture” (2024年10月1日)の和訳版です(2024年12月17日投稿)。

 

ルース・ブリーチ(RAN気候変動&エネルギー担当 シニア・キャンペーナー)

米環境NGO「レインフォレスト・アクション・ネットワーク(RAN)」で、世界的なメタンガス拡大に焦点を当てた活動を担当。化石燃料の採掘阻止を目的に、金融と企業責任に関するキャンペーンの組織化、化石燃料インフラの影響 を受ける最前線のコミュニティへの支援、全米の草の根ネットワークを対象とした直接行動トレーニング、銀行や保険会社とのエンゲージメント(対話)などに取り組んでいる。学術誌や多数の報告書の共著者でもある。

川上 豊幸(RAN日本シニアアドバイザー)

経済学博士。専門は国際環境経済学。聖心女子大学現代教養学部国際交流学科教員。2005 年にRAN の日本代表として事務所を設立し、豪州タスマニアの原生林保護に取り組んだ。その後、インドネシアの熱帯林保護活動に取り組み、森林と森林に依存して生活する人々への悪影響是正に向けて、紙パルプやパーム油業界、金融業界への働きかけを行っている。2023年12月より現職。

プレスリリース:米メキシコ湾岸住民と市民団体、 リオ・グランデ・バレーLNG事業への 資金提供の段階的停止を金融機関に要請(2024/7/22)

「私たちは、当該事業がもたらす社会的・環境的影響に関して、支援する金融機関の責任を追及していきます」

(和訳版発行日:2024年8月23日、最後に更新情報あり)

(米ニューヨーク)7月22日、米国メキシコ湾岸の住民と、数百万人の会員・支援者を代表する主要な市民団体らは、テキサス州リオ・グランデ・バレーにおける液化メタンガス(通称「液化天然ガス(LNG)」)事業への支援中止を求める書簡を大手金融機関に送付しました。書簡は、リオ・グランデLNG事業、テキサスLNG事業、および同施設にガスを提供するリオ・ブラボー・パイプライン事業を支援している、または支援する可能性のある40社の銀行、保険会社、資産運用会社、金融機関に送られています(以下のリストを参照。7月22日以降に送付された金融機関もある)。

**書簡(英語原文)はこちら**

書簡からの抜粋

「当該事業に資金援助を行うことは、貴社に財務リスクと評判リスクの両方をもたらし、地域の生態系、先住民族の権利、気候に取り返しのつかない害を及ぼします」

「私たちは、ネクスト•ディケイド社と同社によるリオ・グランデLNG輸出基地(ターミナル)との関係解消、エンブリッジ社とリオ・ブラボー・パイプラインとの関係解消、そして両事業およびリオ・グランデ・バレーや米国メキシコ湾岸一帯で計画されている他の事業にもさらなる金融支援を行わないことを強く求めます」

上記3件のメタンガス輸出施設はまだ建設されていなく、いずれの事業も土地の整地とコンクリート打設を開始または継続するための資金を募っています。テキサス州ポートイザベル近郊は、同州沿岸で手つかずの自然が残る最後の地域のひとつですが、ネクスト・ディケイド社はリオ・グランデLNG事業の建設に向けて地域の重要な湿地帯、干潟、先住民族の聖地をすでに破壊しているところです。

一帯は、何世代にもわたって沿岸の重要な野生生物やオセロット(ネコ科動物)などの絶滅危惧種の生息地で、テキサス州の先住民族カリゾ・コメクルド族にとっても先祖代々重要な土地です。地域には、ローワー・リオ・グランデ・バレ-野生生物保護区に隣接する重要な野生生物の回廊がありますが、これらのLNG事業は、回廊の真ん中で操業し有毒な汚染をまき散らす計画となっています。また、米宇宙企業「スペースX」社のロケット発射台(ボカチカ・ビーチ)とは約6マイルしか離れていなく、頻繁にロケット爆発が繰り返されています。一方、グレンファーン・エナジー・トランジション社が所有・管理するテキサスLNGは、ガルシア牧場に建設されようとしています。この一帯は、カリゾ・コメクルド族の先祖代々の埋葬地と村落遺跡がある場所で、ワールド・モニュメント財団に「危機に瀕した歴史地域」として指定され、米国立公園局にも「国家歴史登録財」として登録されています

2023年、世界の大手銀行は化石燃料に7,050億ドルの資金提供(融資・引受)を行いました(訳註1)。化石燃料事業を拡大している大手企業への融資・引受だけでも3,470億ドルにのぼります。化石燃料に世界最大の融資・引受を行なっている金融機関はJPモルガン・チェースです。シティバンクは化石燃料を拡大している大手企業に対して、パリ協定採択後の2016年から23年までの合計で最も多額の資金を提供しています。

2023年にリオ・グランデLNG事業を含むLNGセクターに対して最大の融資・引受を行なったのは、みずほフィナンシャルグループと三菱UFJフィナンシャル・グループ(MUFG)でした。金融機関は投資対象を選択することが可能で、資金を化石燃料事業ではなく、再生可能エネルギーなどの気候変動対策に充てることができました。フラッキング(水圧破砕法)によるシェールガスの採掘からパイプラインによる輸送、エネルギー集約的な液化に至るまで、LNG事業はあらゆる段階でメタンガスを大量に放出します。メタンガスは、大気に放出されてから20年間は二酸化炭素の80倍以上の温暖化効果を持つ、強力な温室効果ガスです。

書簡は「もし貴社がリオ・グランデ・バレーにおけるこれらの危険な事業を支援するならば、事業の遅延や法的な障害に直面し続けることによる大きな財務リスクと、責任ある持続可能な金融業務の実施を緊急に市民から要求されることで、深刻な評判損傷リスクに直面することになると警告します」とも述べています。

この書簡に署名した人々の多くは、最近米国ニューヨークで行われた抗議行動「Summer of Heat(猛暑の夏)」に参加し(訳註2)、大手金融機関が米国メキシコ湾岸沿いの化石燃料事業に資金を提供するのを止めるよう要求しています。

声明

テキサス州カリゾ・コメクルド族チェアマン
フアン・マンシアス

「リオ・グランデLNG、テキサスLNG、リオ・ブラボー・パイプラインなど、環境に害をもたらす汚れたエネルギー事業が、私たちカリゾ・コメクルド族の聖地に建設されようとしています。私たちは、これら事業の開発に関わる金融機関や企業に強く反対しています。カリゾ・コメクルド族はソシエテ・ジェネラルとBNPパリバと会合を持ち、その結果、両行はこれらのLNG事業から撤退しました。書簡を送付する銀行および投資運用企業のグローバル・インフラストラクチャー・パートナーズ(GIP)も同様に撤退しなければなりません。私たちは決して引き下がりません」

 

南テキサス環境正義ネットワーク
ベカ・イノホサ氏(テキサス州ブラウンズビル在住)

「私たちリオ・グランデ・バレー地域のコミュニティは、リオ・グランデLNG事業とテキサスLNG事業に明確に反対してきました。なぜなら、これらの事業は清潔な空気、野生生物の生息地、汚染されていない水路へのアクセスを必要とする、私たちの生活と気候を破壊するからです。これらのLNG事業を支援する銀行、投資機関、保険会社、あらゆる企業は、低所得層のラテン系コミュニティに汚染を押し付けているのであり、それは「環境レイシズム(人種差別)」そのものです。今回書簡を送った金融機関は、これらのLNG事業への支援を直ちに撤回しなければなりません」

 

ボーダー・ワーカーズ・ユナイテッド(Border Workers United)
ディレクター ルピタ・サンチェス氏(同州ブラウンズビル在住)

「リオ・グランデ・バレー地域とテキサス州にとって経済は重要ですが、同地域はより良い機会を与えられるべきです。私たちは、公正な収入、職場の安全、社会的保護が保障されたディーセント・ワーク(訳注3)の機会を得られるべきです。LNGは私たちの土地、空気、水を破壊します。LNGは私たちの環境と健康を脅かすものです」

 

シエラ・クラブ ローンスター支部
デイブ・コルテス支部長

「危険な爆発、お年寄りや子どもたちを病気にする大気汚染、地域のインフラを劣化させるトラックの交通量の多さ、水不足のなかでの大量の水使用、自然空間の冒涜。テキサス州メキシコ湾沿いの人々は、LNG施設によるこれらの影響を長年にわたって被ってきました。一方で、フリーポートからアマリロ、ブラウンズビル、オースティンに至るまで、全てのテキサス州民は気候変動の影響を感じています。記録的なハリケーン「ベリル」は、ヒューストンを襲った異常な暴風雨のわずか2カ月後にこの地域を打ちのめしました。LNG基地と、それが生み出す有毒なライフサイクル全体は、この苦しみの元凶です。これらの金融機関は、気候変動に対する迅速な行動を求めるテキサス州民やアメリカ市民の大合唱を故意に無視するのか、または21世紀のクリーン・エネルギー経済への投資を支援するのか。選択を迫られています」

 

書簡送付先 金融機関リスト(7月22日作成)

米国 

  • AIG
  • オールステート
  • バンク・オブ・アメリカ
  • ブラックロック
  • シティ 
  • クリフォード・キャピタル  
  • フィデリティ・ナショナル・ファイナンシャル
  • グローバル・インフラストラクチャー・パートナーズ(GIP)
  • JPモルガン・チェース 
  • モルガン・スタンレー 
  • シメトラ・ファイナンシャル
  • トゥルーイスト・ファイナンシャル
  • ワシントン州年金基金
  • ウェルズ・ファーゴ
  • ウィルミントン・トラスト

日本 

  • みずほ銀行
  • 三菱UFJ銀行
  • 三井住友銀行
  • SOMPOホールディングス

カナダ 

  • モントリオール銀行
  • CIBC
  • カナダ・ナショナル銀行
  • ロイヤル・バンク・オブ・カナダ(RBC)
  • スコシアバンク
  • トロント・ドミニオン(TD) 

イギリスおよびヨーロッパ 

  • アリアンツ
  • サンタンデール銀行
  • バークレイズ 
  • クレディ・アグリコル 
  • ドイツ銀行
  • HSBC
  • インテーザ・サンパオロ
  • ドイツ復興金融公庫(KfW IPEX-Bank)
  • ソシエテ・ジェネラル
  • スタンダードチャータード

サウジアラビア 

  • リヤド銀行
  • アラブ石油投資会社(APICORP)

韓国

  • KB国民銀行 
  • 韓国産業銀行 

シンガポール

  • ユナイテッド・オーバーシーズ銀行

アラブ首長国連邦  

  • アブダビ商業銀行 

中国

  • 中国銀行 

 

バミューダ

  • レゾリューションライフグループホールディングス 

 

**プレスリリースの英語原文はこちら**

“Gulf Coast Residents and Major Organizations Call on Financial Institutions to Phase Out Financing of LNG Projects in the Rio Grande Valley”

連絡先

シエラ・クラブ
Ada Recinos, Deputy Press Secretary
ada.recinos@sierraclub.org (米国太平洋時間)

更新情報

1)損害保険大手のチャブ(Chubb)は、保全方針(conservation policy)更新によって、2024年春にリオ・グランデLNG事業を保険対象から除外したことが、情報公開請求により入手した保険証書で確認された。

RANプレスリリース「チャブ社、リオ・グランデLNG保険を取下げ(Chubb Drops Rio Grande LNG Insurance)」、2024年8月

https://www.ran.org/press-releases/chubb-drops-rio-grande-lng-insurance/

2)2024年8月6日、米ワシントンD.C.巡回区控訴裁判所は、米連邦エネルギー規制委員会(FERC)によるリオ・グランデLNG事業、テキサスLNG事業およびリオ・ブラボー・パイプラインに対する承認を事実上取り消す判決を下した。裁判所は、FERC が国家環境政策法および天然ガス法の要件を遵守していなかったという申立人らの意見に同意した。FERCは今後、新規プロジェクト許可を決定する前に、環境影響に関する新たな補足草案と、新たなパブリックコメント期間を設けて、上記3件の事業すべての影響を再検討する必要があるとした。

原告として参加している米環境NGO「シエラ・クラブ」のプレスリリース:「D.C. Circuit Rules Against FERC Approval of LNG and Pipeline Projects in South Texas」、2024年8月6日

https://www.sierraclub.org/press-releases/2024/08/dc-circuit-rules-against-ferc-approval-lng-and-pipeline-projects-south-texas

訳註

1)RAN、気候ネットワーク、国際環境NGO 350.org、「共同プレスリリース:化石燃料ファイナンス報告書 2024」発表:2024年5月16日

https://japan.ran.org/?p=2300

2)2024年6月から8月にかけて実施

https://www.summerofheat.org/weekbyweek

3)「ディーセント・ワーク」とは、「働きがいのある人間らしい仕事、より具体的には、自由、公平、安全と人間としての尊厳を条件とした、全ての人のための生産的な仕事」のこと(出典:ILO )。https://www.ilo.org/ja/regions-and-countries/asia-and-pacific-deprecated/ilo-ni-tsu-i-te/te-i-se-n-wa-ku

 

レインフォレスト・アクション・ネットーク(RAN)は、米国のサンフランシスコに本部を持つ環境NGOです。1985年の設立以来、環境に配慮した消費行動を通じて、森林保護、先住民族や地域住民の権利擁護、環境保護活動をさまざまな角度から行っています。2005年10月より、日本代表部を設置しています。
japan.ran.org

本件に関する日本でのお問い合わせ先
レインフォレスト・アクション・ネットワーク
日本チームマネジャー 関本 Email: yuki.sekimoto@ran.org