サンフランシスコに本部を持つ米国の環境NGO RAINFOREST ACTION NETWORKの日本代表部です

‘パーム油’カテゴリーの記事一覧

マレーシアのパーム油大企業、フェルダ社(FGV)、現代の奴隷制問題で今も紛糾

2016年3月17日水曜日

国際市民社会は進行中のリスクに対処するため強力な行動を取るようFGVの投資家や購入業者に要求

緊急リリース

連絡先: Emma Rae Lierley, Emma@ran.org, +1 425.281.1989

サンフランシスコ –2015年7月の、ウォールストリート・ジャーナルによる同社のパーム・プランテーションでの人身売買、強制労働、給与未払い、その他の労働者への虐待の暴露に続いて、今も継続する論争がフェルダ・グローバル・ベンチャーズ(FGV)を悩ませている。長期にわたる強力な批判に続いて、持続可能なパーム油円卓会議(RSPO)の苦情処理パネルは、先週、調査対象としたFGVの圧搾工場でRSPO認証を取消すという決定を下した。

RSPOはFGVのパソ(Pasoh)パーム油圧搾工場の即時停止を命じた。その中には、3か所全ての監査済みのFGVの圧搾工場の再監査、FGVの認証を再検討する前の、最近の監査報告書で指摘された重大なもの(Major)及び軽微なもの(Minor)を含めた全ての不遵守事項に対処するための1年間の期限付きの行動計画及び四半期報告書作成が含まれている。

一方、FGVは、最近、「独立した評価で、FGVの人身売買の疑惑がクリア」という見事な見出しのプレスリリースの発行によって、さらなる論争をもたらした。ワイルドアジア―評価を実施するためにFGVから委託を受けた組織―は、それは自分たちへの相談なしに行われたと述べ、FGVの声明を非難している。ワイルドアジアの評価は、現地調査は5日間で、単一のパーム油工場複合体の訪問のみであったことから、FGVによるこのような見事な主張を裏付けるには十分ではない。

進行状況を監視する市民社会連合は、2016年2月29日にFGVの購入業者及び投資家-ウィルマ―、カーギル、プロクター&ギャンブル、モルガン・スタンレー等-宛てに、自社のサプライチェーンおよび投資ポートフォリオのための直接の責任を取るよう依頼する手紙を出した。

「FGVが、問題の存在を認めるまたは指摘された問題を解決するよう慣行を変えることを、何度も見送っていることを考えると、購入業者と投資家はFGVの業務における深刻な人権侵害という現在進行中のリスクに対処するために、即時に透明かつ強固な行動を取る必要がある。」と国際労働権フォーラム(International Labor Rights Forum)のキャンペーン部長、アビー・マックギル氏は述べた。

「責任ある購入業者と投資家は、FGVが監査時期までにその目標マイルストーンを達成できない、または強制労働・人身売買や労働違反への対応に進展がない場合、FGV からの購入やFGV への投融資を中断しなければならない。」とマックギル氏は続ける。「労働違反に対処するために適切な実務と手続が取られる必要があり、また責任ある購買と投資の継続を行う前に、進行中の紛争のための救済策が合意される必要がある。」

市民団体の国際連合は、FGVの購入業者と投資家に対し、FGVにワイルドアジアの報告書の一般公開を求めること、またFGVが適切な時期に透明性を持って以下を実施することへの直接の関与を求めている。

  1. フェルダ・グローバル・ベンチャーズ(Felda Global Ventures: FGV)は、ウォールストリート・ジャーナルに書かれた強制労働、人身売買、他の労働違反に対処するための移住者労働と是正アクションプランに関するポリシーを毎月の進展を示すマイルストーンを付けて公開しなければならない。特にFGV は以下の方針と計画を採用すること。
  • FGV、労働契約業者または採用担当者からの労働者への手数料請求の禁止
  • FGV、労働契約業者または募集業者による身分証明書の没収・保持の禁止
  • 労働者が理解できる言語で記載され、全ての控除が反映された正規の賃金票を通じた一日8 時間労働に基づく法定最低賃金の支払い
  • ビジネスと人権に関する国連指導原則と整合する、正当で利用が容易で、透明な苦情処理メカニズムの確立
  1. 6 か月以内に、購入業者と投資家は、独立性・透明性を確保した上でFGV によるその方針と是正アクションプランの遵守を、熟練した労働監査人に委託して確認すること。

以上

パーム油産業により進行する伐採が、種の絶滅と気候への影響に拍車をかける

横行するプランテーション拡大が深い泥炭地とスマトラ象の主要な生息地を破壊。

地域の命運は、産業の巨人と 地方及び中央政府の集団的な行動に委ねられている。

緊急リリース

 2015年11月10日

Emma Rae Lierley, Emma@ran.org, 425.281.1989

サンフランシスコ – 壊滅的なインドネシアの森林火災シーズンの最中に、本日発表されたRainforest Action Network (RAN)による新しい報告書が、地球上で最も生物多様性に富む地域のひとつにおいて破壊が進行していることを明らかにした。「地球上の最後の場所:ルセル生態系を守るための進捗確認と新たな機会(The Last Place on Earth: Tracking Progress and New Opportunities to Protect the Leuser Ecosystem)」と題されたRANの報告書は、現地工場にパーム油を供給する生産業者による継続的な伐採の証拠に言及している(訳注:ルセル生態系とは、インドネシアのアチェ州及び北スマトラ州にある森林地帯。260万ヘクタールを占め東南アジアの熱帯雨林の中で最も豊かな地帯のひとつである)。

特に、現在、この地域からパーム油を調達している可能性のあるパーム油の三大バイヤーとされるウィルマー(Wilmar International)、ムシムマス(Musim Mas Group)、ゴールデン・アグリ・リソーシーズ(Golden Agri Resources)に焦点を当て、彼ら及び政府当局者が、侵入してくる産業開発事業から絶滅危惧種や地域生活を守るために必要な手順の概要を述べている。

進捗報告書は、インドネシア・アチェ州の開発への新しい進路を見いだすチャンスについて説明している。それはルセル生態系を保護し、平和と生活の安定を確保し、地域社会のための新しい経済的機会を作る機会である。インドネシアの大統領ジョコ・ウィドド氏は、この機会を確保する上で重要な人物である。なぜなら彼は、まもなくインドネシアの裁判所で民事訴訟の対象となるかもしれない保留中のアチェ州における悲惨な計画の承認を拒絶する力を持っているからである。

RANが最初に2014年11月にルセル生態系への脅威を明らかにした1年後に発行したこの最新の報告書は、熱帯雨林が伐採され続け、泥炭地が枯渇し続け、企業と地域社会の紛争が続き、ルセル生態系のための継続的な法的保護が危機に瀕していることを示した。

報告書は、最も重要な現存の低地熱帯雨林や泥炭地が紛争パーム油のために破壊され続けていることを示す新たな衛星画像と現地調査結果を明らかにした。

また報告書では、脅威にさらされた広大な生態系の周辺を侵食する森林破壊活動に責任のある企業を名指しした。それには、インドネシア政府自身のプランテーション会社であるプルクブナン・ヌサンタラIII社(PT. Perkebunan Nusantara (PTPN) III)も含まれている。これら危機に瀕した地域で進行する破壊の規模からみて、今、さらなる集団行動をとらない場合、私たちは永遠にルセル生態系を失う恐れがあることは明らかだ。

RANのアグリビジネスのキャンペーンディレクターであるジェマ・ティラック氏は述べている。「ルセル生態系は、世界で最も豊かな生物多様性の景観地域の一つであり、何百万人もの人々が、その食料、水や生活をここに依存している。しかし、この自然の王冠における宝石-トラ、オランウータン、サイ、ゾウやクマにとっての居住地である泥炭地や低地熱帯雨林-の運命は、今行われる重要な決定に委ねられている。」

「ルセル生態系から紛争パーム油を買い付ける可能性がある三大バイヤーは、ルセル生態系の破壊を停止する購買力を持っている。これらバイヤーは他の利害関係者と協力し、彼らのサプライヤーと地方政府や州政府に本当の意味での奨励策を提供し、熱帯雨林や泥炭地の破壊に対する一時凍結措置を推進し、ルセル生態系のための継続的な法的保護を確保するために、ステップアップする必要がある。」

「人権、森林や地域社会が依存する生態系サービスを保護しながら、多様な経済を構築するようにバランスを取ることが求められる。この機会はつかみ取られなければならない。さもなければインドネシアの最後の森林フロンティア-ルセルの生態系というアチェの最も貴重な資産-は、開発モデルの犠牲になってしまう。スマトラとボルネオの工業開発は、熱帯雨林と泥炭地を破壊しコミュニティの生計を喪失させ土地収奪、紛争、従事する労働者の権利侵害を引き起こしてきたが、それと同じことが起こってしまうのである。」

「ルセル生態系の破壊はアチェの何百万人もの人々にとって悲惨なものとなり、絶滅危惧種を絶滅の淵に追い込むだろう。」ティラック氏は続ける。「ジョコ大統領は、インドネシアの人々のために最善のことをし、国のかけがえのない自然の遺産を保存するために、三大バイヤー、及び、最近推進されているインドネシアのパーム油誓約(Indonesian Palm Oil Pledge :IPOP、 http://www.palmoilpledge.id/ 参照)の仲間たちと力を合わせる力を持っている。森林や泥炭地の破壊を停止する、また産業パーム油開発の拡大を促すために意図的に行われる森林火災を停止する努力は、インドネシアの二酸化炭素排出量と、毎年恒例の煙霧危機の深刻さを縮小し、コミュニティの生活と生計を保障するものとなるだろう。」

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更なる情報は www.ran.org でご覧ください。

セミナーのご案内 (10月14日):熱帯林を危険にさらす産品と責任ある投融資

熱帯林を危険にさらす産品と責任ある投融資
〜木材、パーム油、紙・パルプ事業での合法性とESGのより良いリスク評価の必要性〜

<本セミナーは、終了しました。セミナー開催報告をご覧下さい。>

世界で残存するアフリカ、中南米、東南アジアの熱帯雨林は急速に失われつつあり、生物多様性の減少、地球温暖化、先住民族や地域住民や労働者の権利侵害等を引き起こしています。

金融機関は、熱帯林を危険にさらす商品、すなわち木材、パーム油、紙・パルプ事業等に関わる顧客企業へ多額の投資・金融サービスを提供することによって、大きく、熱帯林セクターでの違法行為のリスクと環境・社会・ガバナンス(ESG)リスクにさらされています。森林減少、違法伐採、汚職、土地紛争、強制労働、児童労働などに関与している企業への投融資のリスクが含まれます。世界最大級の政府系ファンド、ノルウェー政府年金基金、などの機関は対応し始めています。当該基金は、森林減少のリスクを理由に約50社への投資を引き上げ、その内、約半分はパーム油と関係している会社でした。

ESGリスクに対処することは、新たに施行されたスチュワードシップコードおよびコーポレート・ガバナンス・コードでの課題となっています。本セミナーでは、熱帯林セクターにおける違法性・ESGリスクの特定、軽減に必要な情報やツールをお伝えします。

開会挨拶: 荒井 勝/NPO 法人社会的責任投資フォーラム(JSIF)会長、責任投資原則 (PRI) ボードメンバー

スピーカー: 

ベン・リドリー(Ben Ridley) /クレディ・スイス、サステナビリティ部 アジア太平洋地域代表

  金融取引に関連する環境や社会(労働、コミュニティ)問題の技術面・評判面でのアセスメントを含めた持続可能性課題の管理責任者

トム・ピケン(Tom Picken)/レインフォレスト・アクション・ネットワーク 森林と金融シニア・キャンペーナー

ハナ・ハイネケン(Hana Heineken) /グローバル・ウィットネス シニア・アドバイザー

コメンテータ: 河口 真理子/大和総研 調査本部 主席研究員

モデレータ: 後藤 敏彦/サステナビリティ日本フォーラム 代表理事

【日時】   2015年10月14日(水)13:30~17:30/受付開始13:00

【会場】   大手町ファーストスクエア カンファレンス (東京都千代田区大手町1-5-1大手町ファーストスクエア イーストタワー2F)

【最寄り駅】東京メトロ 「大手町駅」C8/C11/C12 出口から直結、JR「東京駅」丸の内北口から徒歩4分

http://www.1ofsc.jp/common/pdf/access_map.pdf

【主催】   レインフォレスト・アクション・ネットワーク、グローバル・ウィットネス

 レインフォレスト・アクション・ネットワーク(RAN)は、森林とそこに暮らす人々の人権の保護のために1985年に設立された米国のNGO。サンフランシスコ、東京、ロンドン、ジャカルタにスタッフを置く。2000年に、米国の金融機関への働きかけを開始。RANの活動を通じて、シティバンクを皮切りに多くの金融機関が赤道原則を超えるレベルで融資方針等を採用することとなった。

 グローバル・ウィットネス(Global Witness)は、木材や鉱物等の天然資源への需要、汚職、武力紛争と環境破壊との関係性を明らかにするために1993年に設立された英国のNGO。ロンドン、ワシントンDC、北京に事務所を置く。紛争ダイヤモンドに関する活動により、2003年にノーベル平和賞にノミネートされた。

【協力】   PRI日本ネットワーク(責任投資原則(PRI))、Fair Finance Guide Japan

【問い合わせ先】レインフォレスト・アクション・ネットワーク日本代表部 川上

TEL: 03-3341-2022  FAX: 03-3341-2277

紛争パーム油の進捗報告:主要スナック食品ブランド、持続可能性誓約で遅れたまま

新レポート発表:スナック食品20の遅延組ーペプシコ、クラフト・ハインツ、即席麺大手企業ーにサプライチェーンから紛争パーム油をカットするために、さらに行動を求める

緊急発信

ここからレポートがダウンロードできます。➡www.ran.org/sf20scorecard

問い合わせ先:エマ・リーレイ  425.281.1989, Emma@ran.org

サンフランシスコ, カリフォルニア州 — 本日、レインフォレスト・アクション・ネットワーク(RAN)は、「紛争パーム油をカットする約束をテスト」という題名の新しい進捗レポートを発表した。これは2年前のスナック食品20キャンペーンの開始以降に行われたパーム油についての約束の相対的な強度をランクづけするもの。この2015年進捗レポートは、スナック食品20の遅延組にスポットライトを当て、それら企業や、約束を押し進めている先頭組企業が、私たちの食品システムから紛争パーム油を早くカットするために、できる行動や、行わなければならない行動の要点を述べている。RaceToCutConflictPalmOil

つい数年前は、米国でも非常に少数の人々しか、紛争パーム油について聞いたことが無かったが、パーム油の注目度は、Showtime、HBOやCNNの特集番組を含めてメディアの膨大な注目を浴びて、ゴールデンタイム状態となっている。現在、注目度が高い問題となり、論争の的となっているが、有名となった原材料は食料品店で販売されているパッケージ商品のおよそ半分で見つけられる。過去18ヶ月以上に渡り、消費者の需要によって、パーム油産業の巨大プレイヤーの多くに対して、そのサプライチェーンを浄化するコミットメントの公表を行うよう、成功裏に圧力をかけてきた。今、多くの人々が訪ねる質問は、本当にこれら全ての約束は実際にはどういう意味があるのか、そして、パーム油産業が森林減少、人権侵害、土地紛争、気候変動をもはや引き起こさない状態になるまでに、さらにどれだけ必要なことがあるのか、ということである。 (さらに…)

お知らせ:NHK BSで「危険な時代に生きる」にてRANスタッフ登場予定

米国のRANで活動しているラフ カディオ・コルテシ(Lafcadio Cortesi)が、3月2日の深夜に放送になるNHKの BSでのドキュメン タリーに登場すると思います。http://www.nhk.or.jp/wdoc/yotei/index.html
この番組は、Yeas of Living Dangerouslyという原題ですが、「危険な時代に 生きる:乾く大地」タイトルで、この番組は、いくつかのエピソードを組み 合わせたオムニバス 構成です。俳優のハリソン・フォードが出てくるパーム 油問題についてのパートで登場すると思います。英語版であれば、YouTubeで見られます。https://www.youtube.com/watch?v=brvhCnYvxQQ

 併せて、3月3日の深夜の第二回の「森林がなくなるとき」も是非ご覧下さい。  http://www.nhk.or.jp/wdoc/backnumber/detail/150303.html

是非ご覧下さい。

2月3日 熱帯林とCSR 2015〜パーム油産業の課題と対応

「熱帯林とCSR-2015- パーム油産業の課題と対応」

【日 時】 2015年2月3日(火) 13:30~16:30 (終了しました)

➡ 見逃した方は、こちらの録画画像をYoutubeにてご覧下さい。

【趣 旨】パーム油の主な生産国であるインドネシアとマレーシアでは、パーム農園開発により、森林の減少、地域住民との土地紛争などが深刻な問題となっており、これらの問題解決に向けて世界的に関心が高まっています。このセミナーではインドネシアで現地NGOと多くの調査研究・提言活動を行っているフォレスト・ピープルズ・プログラムより、パトリック・アンダーソン氏をお招きし、現地における現状と課題についてお話いただきます。またサラワク州での現地調査の結果等から、私たちの暮らしと関わるパーム油産業の課題と対応について考えます。

【プログラム】
1. パーム油でつながる熱帯林と私たちの暮らし
(飯沼佐代子/地球・人間環境フォーラム)
2. インドネシアのパーム農園開発と土地紛争
(パトリック・アンダーソン/フォレスト・ピープルズ・プログラム)
3. サラワク州のパーム農園開発と森林減少
(三柴淳一/国際環境NGO FoE Japan)
4. まとめと提言
(川上豊幸/レインフォレスト・アクション・ネットワーク日本代表部) (さらに…)