サンフランシスコに本部を持つ米国の環境NGO RAINFOREST ACTION NETWORKの日本代表部です

ブログ:RAN 事務局長「2026年の展望:激動の時代に立ち向かう」

写真:Anderson Barbosa

レインフォレスト・アクション・ネットワーク(RAN)
事務局長ジンジャー・キャサディ

レインフォレスト・アクション・ネットワーク(RAN)では、「私たちはどのような未来を共に作るのか?」という、現代における最も差し迫った問いに向き合いながら、新年を迎えています。この問いこそが私たちの活動の源であり、変革の理論(セオリー・オブ・チェンジ)の中核を成すものです。

昨年秋、私はブラジル・ベレンで開催されたCOP30(国連気候変動枠組条約 第30回締約国会議)に参加し、先住民族、森林コミュニティ、女性、労働者、若者による歴史的なモビライゼーション(組織化された行動)に心を打たれました。彼らは市内のあらゆる街頭や草の根の場で、力強い機運を作り上げました。「地球は、破壊を推し進めている従来の金融システムでは決して繁栄できない」という彼らのメッセージは明確で、アマゾンという枠を遥かに超える意義深いものでした。

しかし、COP30の内部では様相が異なっていました。交渉担当者たち(自らの利益優先で既存ビジネスモデルを守ろうとする化石燃料企業やアグリビジネス複合企業、産品取引業者、大手銀行らのロビイストに影響された)が、現状の既存の経済システムを崩すことのないまま、地球規模の緊急事態に対処しようと試みていたのです。

ベレンで明らかになったのは、私たちの未来をめぐる闘いが、地球の南北や国境、政党の枠を超えて展開されているだけでなく、搾取的で破壊的な経済システムを擁護する人々と、公平で生態学的な代替案を提唱し、それを築いている人々との間で繰り広げられているということです。

そして、RANは、40年にわたり企業権力に挑み、実際に変化を生み出してきた経験をもつ組織として、その闘いに臨む準備は整っています。

2025年は、記録的な気候災害、政治的分断、世界中の人道支援資金や保全活動資金の大幅削減、各国政府と企業利益の連携強化などといった、世界的に激動の年でした。しかし、こうした状況下でも、RANの最新の年次報告書が示す通り、私たちは重要な変化をもたらしました。2026年、RANは戦略をさらに研ぎ澄まし、森林破壊、化石燃料の拡大や人権侵害を引き起こしている多国籍銀行や保険会社、企業への働きかけという最も重要な分野で、影響力を行使する準備ができています。

2026年のRANの戦略的優先事項

グローバル金融の変革:COP30は、「従来通りのやり方(ビジネス・アズ・ユージュアル)では、気候・生態学系危機の深刻さに応えられる構造的変化を実現することはできない」という、切迫した真実を浮き彫りにしました。被害を生み出している金融的要因に正面から向き合わない限り、実質的な進展が実現することはないでしょう。

2026年、RANは全てのキャンペーンにおいてグローバル金融戦略を拡大し続けます。金融機関に直接、その破壊行為について責任を問うと同時に、規制当局に対しても、自主的な約束や取り組みに留まることなく、強制力のある金融規制を制定するよう働きかけます。これには以下が含まれます:

  • RANの代表的な報告書である『化石燃料ファイナンス報告書:気候カオスをもたらす金融業務』の対象を拡大し、より多くの地域と金融機関を含めること
  • 「森林と金融」連合の活動を拡充すること、第3回目となる年次報告書『生物多様性崩壊をもたらす金融業務』を発行すること
  • 昨年の保険会社に対する重要な勝利を土台として、保険業界全体の責任強化を促すこと
  • 重点地域の拡大:多くの国で市民社会スペースが縮小し、企業の横暴さがますます勢いづく中で、RANは、長年にわたり、自らが有効性が実証してきた戦略が、最大限の効果を発揮できる地域を優先しています。インドネシアでは、スマトラ島の「ルーセル・エコシステム」における10年以上の取り組みを基盤とし、ボルネオ島マハカムウル地域で森林保護キャンペーンを強化していきます。同キャンペーンは、慣習林の法的承認の確保と、先住民族の領域へのアブラヤシ農園開発(パーム油生産のための)拡大阻止に焦点を当てています。
  • 同時に、森林リスク産品とメタン(LNG=液化天然ガス)拡大に多額の投資を行う日本の銀行への働きかけを強化するとともに、世界的なメタン拡大との闘いを拡大してフィリピンの草の根運動を支援します。また、米国南部メキシコ湾岸地域での連携を深め、さらに保険業界に対する働きかけの対象を日本と欧州の保険会社にも拡大します。
  • 人権を中心に据える:昨年のCOPが期待に沿わず残念な結果となった中で「Political Declaration of the Indigenous Peoples of the Amazon Basin and of All Biomes of Brazil for COP30(アマゾン盆地およびブラジルの全生物群系の先住民族によるCOP30に向けた政治宣言)」が、強力な対抗軸として浮上しました。この宣言は、アマゾンの未来だけでなく、より広く気候行動を生態学的現実と整合させるための構造的な枠組みを提示しています。
  • 権利に基づき、先住民族を中心に据えたリーダーシップが、意思決定の場で軽視され続ける中で、RANは全キャンペーンにおいて人権中心の枠組みを強化します。具体的には、金融機関や企業に、先住民族の土地権を尊重し、FPIC原則(「自由意思による、事前の、十分な情報に基づく同意」の尊重)を遵守し、コミュニティや人権擁護者などを暴力や報復の危険にさらす慣行を終わらせるよう強く求めていきます。
  • 資金不足の解消:前進を阻む最も根強い障壁の一つは、解決策の欠如ではなく、解決策を主導している人々に資源が届いていないことです。気候投資全体は増加しているにもかかわらず、自然保護や、最前線である現場主義の解決策への資金は、世界の資本や慈善寄付のごくわずかな割合にとどまっています。
  • 2026年、RANは、従来の資金提供ネットワークから歴史的に排除されてきた先住民族や地域のコミュニティへ、迅速かつ効率的に資金を届けるために、コミュニティ・アクション助成プログラムを通じて、先住民族と最前線の協力団体への直接支援を引き続き優先事項として位置付けます。
  • 運動の拡大:RANの戦略の中核的な柱は、最も潤沢な資源を持つ強力な企業にさえ立ち向かうことができるピープルパワー(人々の力)を築き、草の根運動を強化することです。
  • 2026年には、動員と研修への注力を強化し、活動家や協力団体が企業権力に挑み市民社会スペースを守るためのツールを提供します。また、世界中の活動家や協力団体、運動、そしてメディアにとって不可欠な資料となっているRANの各種調査報告書の規模と対象を拡大する取り組みを継続します。

間違いなく困難となるこの一年において、私たち一人ひとりには、活動家、資金提供者、支援者、そして世界的な運動の一員として果たすべき役割があります。なぜなら私たちは力を合わせることで、人々や森林、気候を中心に据えた解決策に向けて資源を投入する力があるからです。そして、政治的不確実性が高まり、活動家、人権擁護者、最前線のリーダーたちの標的化が激化する中でも、私たちが必要だと信じる未来に邁進するために、私たちは声を上げ、組織化し、連帯して行動する力があります。

私たちのネットワークへの協力と支援に感謝します。そして闘いに取り組み続けてくれてありがとうございます。

連帯を込めて

ジンジャー・キャサディ

この記事は “Looking Ahead: Meeting the Moment in 2026” の和訳版です(2026年1月発行)。

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