サンフランシスコに本部を持つ米国の環境NGO RAINFOREST ACTION NETWORKの日本代表部です

ブログ:新動画「日清食品と熱帯林『ルーセル・エコシステム』との関係は?」即席ラーメン記念日に公開(2021/9/8)

RAN日本代表 川上豊幸

9月に入って、あたたかい食べ物が美味しくなってきましたね。

RANは「即席ラーメン記念日」だった8月25日、新動画「日清食品と熱帯林『ルーセル・エコシステム』との関係は?」を公開しました。もうご覧いただけましたか?

動画の中で紹介している「ルーセル・エコシステム」は、インドネシア・スマトラ島に残る低地熱帯林です。森の奥深くは「オランウータンの都」として知られ、緑豊かな熱帯林にはスマトラ固有のゾウ、トラ、サイも生息しています。そして地域住民にとっては必要不可欠な水の供給源です。

しかし、この貴重な熱帯林と動物たちの生息地が危機にひんしています。

日本の大手食品会社が批判され、その1社が即席ラーメンを発明した日清食品です。

その理由は? 日清食品が日本、米州、欧州、アジアなど世界中で生産している商品が、ルーセル・エコシステムや、インドネシアの保護区である「ラワ・シンキル野生生物保護区」の熱帯林を犠牲にして生産された可能性があるからです。

日清食品は東京2020オリンピック・パラリンピック大会のスポンサーでもあることから、ルーセル・エコシステムの森林破壊に果たすべき責任は大きいとして、消費者やNGOから対応を求められてきました。

写真:伐採され排水作業が進むシンキル泥炭林、ルーセル・エコシステム 2016年8月14日、インドネシア、アチェ州 (2°44’38.59″N, 97°39’51.39”E)©︎Paul Hilton / RAN

「森林破壊フリーの東京五輪に!」3万人が賛同

ルーセル・エコシステムの熱帯林を犠牲にして生産されたパーム油は、日清食品にパーム油を供給しているサプライヤー企業と関連があります。

RANは消費者とともに、日清食品に、問題あるパーム油の調達を通して森林破壊と人権侵害に加担してきた責任を認識して対策を取るよう、2015年から求めてきました。

今年6月に大阪で行われた日清食品の株主総会では、経営陣に対してパーム油調達方針の強化を求める声が株主から上がりました。また五輪開催前には、日清食品が東京五輪のスポンサーであることから、東京2020大会を「森林破壊のない東京五輪」にするよう日清食品に求める署名をRANは展開し、約3万人の賛同署名が集まりました。

写真:「持続可能なパーム油100%達成目標が2030年では遅すぎる」、日清食品株主総会会場前でアピール行動をするRANと「ウータン・森と生活を考える会」メンバー、2021年6月25日、大阪

森林や人権の方針でも課題

日清食品はまた、森林や人権に関する方針でも課題があります。

日清食品は、RANがグローバルで展開する「キープ・フォレスト・スタンディング」キャンペーンの対象企業です。RANが今年4月に発表した「森林&人権方針ランキング2021」では、対象企業17社のうち最低ランクの評価を受けた1社でした。

低評価の理由は、公表されている方針が不十分であること、そしてパーム油、紙パルプなど森林を破壊するリスクのある産品のサプライチェーンで、人権侵害と森林破壊を防ぐために必要な方針の実施も検証システムも不十分なためでした。

日清食品はまた、パーム油の搾油工場リストといった供給業者の情報開示もしていないため、他社に遅れをとっています。

日清食品が動いた

このような批判や要求が高まる中、日清食品は即席麺大手企業として、2030年度までに「持続可能に生産された」パーム油の調達を100%にすると約束しました。

今年6月の株主総会では一歩踏み込んで、日本で販売される即席麺製品の目標を2025年にすると発表しましたが、グループ全体の目標は据え置きです。

熱帯林の破壊が続く今、どちらの目標年も遅すぎます。

写真:ルーセル・エコシステムにあるクルット泥炭地、インドネシア・スマトラ島 Suaq Balimbing ©︎RAN / Paul Hilton

「ルーセル・エコシステム」を守ろう

この動画を撮影した写真家のポール・ヒルトン氏が、メッセージを寄せてくれました。

「ルーセル・エコシステムの広大な熱帯低地林は危険にさらされている。日清食品は、スマトラ島のオランウータン、ゾウ、サイ、トラの重要な生息地にパーム油生産が拡大しないよう、行動を取ることができる」

ぜひ動画を見て、森の中の音を聞き、「ルーセル・エコシステム」の自然の素晴らしさを体感してください。

そしてこの動画をシェアし、これ以上、インスタントラーメンによって森林が破壊されないよう、オンライン署名に賛同をお願いします!

以下のキャンペーンに賛同をお願いします

日清さん、2030年まで

問題あるパーム油を使い続けないで!

#日清2030年では遅すぎる

http://chng.it/fPL9gLxkV6

声明:三井住友FG、2050年排出量ネットゼロを約束 (2021/9/3)

「森林破壊ゼロ、泥炭地開発ゼロ、搾取ゼロ」もパーム油など農園開発に要求
〜「TCFDレポート2021」発表に伴い方針強化、待たれる人権尊重〜

米環境NGOレインフォレスト・アクション・ネットワーク(本部:米国サンフランシスコ、日本代表部:東京都渋谷区、以下RAN)は、本日3日、三井住友フィナンシャルグループ(SMBC)が「SMBCグループ TCFDレポート 2021」を8月31日に公表(注1)したことを受けて以下の声明を発表し、パリ協定の目標に向けての方針強化であると歓迎しつつも、中期目標の設定を先送りしていると批判しました。

RAN日本代表 川上豊幸

まず、SMBCが2050 年までに投融資ポートフォリオで温室効果ガス(GHG)排出量をネットゼロにすると約束したことは、パリ協定の目標達成に向けた方針強化と受け止めて歓迎します。「2050年ネットゼロ」は気温上昇を1.5度に抑えるために必要な長期目標で、日本政府も同様の目標を掲げています。気候危機を加速させている化石燃料への資金提供額がアジア5位のSMBCが、アジア首位の三菱UFJフィナンシャル・グループ(MUFG)(注2)に次いでコミットしたことは重要です。

しかし、投融資ポートフォリオのGHG排出量把握と中長期削減目標の開示は行われず、中期目標の開示は2023年に先送りされたことから、パリ協定への整合性を確認することができません。そして2030年までの限られた数年を目標策定に費やすことになり、緊急性に欠けます。また、投融資ポートフォリオGHG排出量の算定には、石油・ガス、電力セクターに加え、GHG排出に大きな影響を与えている石炭採掘を含めた化石燃料セクター全般、およびパーム油を含む森林関連セクターを早期に追加することが求められます。

第二に、今回のレポートでは、森林破壊の要因となるパーム油などの農園開発事業に対し、「森林破壊ゼロ、泥炭地開発ゼロ、搾取ゼロ方針」(※NDPE方針)を遵守する旨の公表を求めました。しかし、取引先には遵守の公表を求めるだけではなく、グループ全体およびサプライチェーンを含めた遵守状況をモニタリングし、不遵守状況への対応等を通じて、方針の実施と強化を進めることが必要です。また同基準は農園開発事業に限定され、各産品の購入企業には適用されていないことも課題です。MUFGも今年4月にパーム油セクターにNDPEを適用しましたが、同様の問題があります(注3)
※No Deforestation, No Peat and No Exploitationの略

一方、森林伐採事業セクターでは違法労働への支援を行わないことを明記したものの、労働者の権利尊重や地域住民や先住民族の土地権尊重といった人権尊重が明記されていません。特に「自由意思による、事前の、十分な情報に基づく同意」(FPIC:Free, Prior and Informed Consent)(注4)の要件は追加されませんでした。NDPEと同様、FPIC 基準は国連「持続可能な開発目標」(SDGs)の達成や「国連ビジネスと人権に関する指導原則」(UNGP)への遵守に不可欠です。

SMBCは前述の通り、パリ協定締結以降の化石燃料への資金提供額がアジア5位、世界18位であることが明らかになっています。また、3メガバンクは東南アジアの森林減少に加担している企業への最大の資金提供者に含まれます(注5)。 SMBCの融資先には、問題案件となっているベトナムおよびインドネシアの新規石炭火力発電所建設、インドネシアで人権侵害を伴うパーム油の農園(注6)、米国で先住民族らによる抵抗が続くオイルサンド・パイプライン(注7)等が含まれています。

注1 ) 三井住友フィナンシャルグループ、「SMBCグループ TCFDレポート 2021」の発行について」、2021年8月31日

「SMBCグループ TCFDレポート 2021」

注2)RAN他プレスリリース「『化石燃料ファイナンス成績表2021』発表〜世界60銀行、パリ協定後も化石燃料に3.8兆ドルを資金提供〜」、2021年3月24日

注3)NGO共同声明「MUFGが石炭火力・森林セクター方針を改定、なおパリ協定と整合せず」、2021年4月26日

注4)FPIC(エフピック)とは、先住民族と地域コミュニティが所有・利用してきた慣習地に影響を与える開発に対して、自由意志による、事前の、十分な情報を得た上で同意する、または同意しない権利のことをいう。

注5)RAN他「森林と金融データベース」より
参照:​​RAN他プレスリリース「『森林と金融』メガバンク等の森林方針の評価を発表」、2021年6月22日

注6)RAN、インドフードまたは同社グループ企業への投融資に関する銀行・投資家向けレター、2020年11月13日

注7)RAN声明「メガバンクが支援する北米パイプライン『ライン3』、活動家らの封鎖で工事中断」、2021年7月7日

本件に関するお問い合わせ先
レインフォレスト・アクション・ネットワーク
広報:関本 Email: yuki.sekimoto@ran.org

プレスリリース:明治を東京五輪パーム油調達コード違反で通報〜ライセンス菓子商品について〜(2021/7/9)

環境NGOレインフォレスト・アクション・ネットワーク(本部:米国サンフランシスコ、日本代表部:東京都渋谷区、以下RAN)と熱帯林行動ネットワーク(東京都渋谷区、以下JATAN)は、7月8日、明治の東京五輪ライセンス商品におけるパーム油調達が東京五輪「持続可能性に配慮した調達コード」に違反した疑いがあるとして、緊急事態宣言下での五輪開催に批判が高まる中、パーム油の利用が本格化する開幕直前に東京2020組織委員会へ通報を行いました。

写真:インドネシア「ルーセル・エコシステム」内のシンキル・ベンクン熱帯低地林地域。
パーム油生産の農園開発のために排水され、火入れで皆伐された泥炭林 ©Nanang Sujana / RAN

通報の対象(注1)は、東京2020大会スポンサー企業である株式会社明治が2019年7月に販売開始した、東京2020公式ライセンス商品「チョコレートスナック」です(注2)。東京五輪「持続可能性に配慮した調達コード」(注3) と「持続可能性に配慮したパーム油を推進するための調達基準」(注4)では、法令遵守、環境保全、先住民族等の権利尊重の基準を満たした形での生産を求めています。しかし、RANが2019年に発表したインドネシアの熱帯林「ルーセル・エコシステム」での調査事例を元に分析した結果、明治のパーム油サプライチェーンには現地での違法農園開発や、泥炭地および熱帯林破壊、地域住民の土地権侵害などに関与する企業が含まれている疑いがあることが明らかになりました。2021年6月にも、森林破壊に関与して問題となっているインドネシア現地企業からのパーム油が日本を含むサプライチェーンから排除できていないことが見つかっています。

このような違反事例が起こる背景には、五輪パーム油の調達がRSPO(持続可能なパーム油のための円卓会議)などの認証制度に依存している現状があります。明治をはじめ日本企業は、非認証油が混合されているRSPO「マスバランス」方式のパーム油を調達していることから、サプライチェーンで起こる問題を防ぐことができていません。パーム油の利用が本格化する開幕を前に、東京五輪の調達基準の不足点を顕在化させることも今回の通報の目的です。

【通報の概要】

通報者:
●熱帯林行動ネットワーク(JATAN)
●レインフォレスト・アクション・ネットワーク(RAN)
●インドネシア「ルーセル・エコシステム」熱帯林(通報者に生じる負の影響を説明する必要があるため追加)

被通報者:
●株式会社明治(五輪スポンサー企業「東京2020ゴールドパートナー」)
●明治ホールディングス(HD)株式会社(明治グループ全体のパーム油調達方針を策定)
●東京2020組織委員会(「持続可能性に配慮したパーム油を推進するための調達基準」の制定主体)

通報先:東京2020組織委員会

内容:明治が調達しているパーム油における調達コードおよび基準違反の可能性について、同社のサプライヤー企業(不二製油)のパーム油調達先(搾油工場や農園)で起きている環境・社会問題を指摘。

通報の目的:
東京2020大会で調達するパーム油の持続可能性(注5)の担保方法としてISPO(インドネシア政府主導のパーム油認証)、MSPO(同マレーシア)、RSPOの認証制度が認められている。特にRSPOでは非認証油の混入が可能な「マスバランス方式」も活用可能で、東京五輪の調達コードや調達基準を満たしていないパーム油が利用されるリスクを排除できていない。今回の通報で、森林破壊や違法な農園開発、土地紛争を引き起こした企業から調達したパーム油が日本市場で流通してきたことを示すとともに、パーム油調達基準の不足点を顕在化させる。

レインフォレスト・アクション・ネットワーク(RAN)日本代表の川上豊幸は「今回の通報によって、明治のサプライチェーン管理を改善するとともに、五輪調達の持続可能性に配慮した基準の担保方法が不適切な認証システム(RSPOマスバランス方式)に依存している現状を示すことができます。東京2020組織委員会および関連企業は、こうした問題を認識して調査を行い、『持続可能性大会後報告書』で報告する必要があります。調達基準の不足点および改善点を『東京五輪のレガシー』として残し、問題のあるパーム油を市場から排除する仕組みを促進していきたいです」と訴えました

熱帯林行動ネットワーク(JATAN) 事務局長の原田公は「今回の通報は、東京五輪の持続可能性の調達基準が、パーム油の持続可能性への配慮を必ずしも担保するものでないことを示しています。調達基準の名称が、他の品目では「持続可能性に配慮した◯◯の調達基準」となっているところ、「持続可能性に配慮したパーム油を推進するための調達基準」とされたことも、持続可能性の確認方法の不十分さを最初から認めていることを表しています。
オリンピックとパラリンピックで、どのような物品やサービスにパーム油が利用されているかは不明です。このライセンス商品以外でも同様の問題が発生している可能性があることから、会場や選手村で使用されるパーム油全体の利用状況についても情報を公開するとともに、今回の通報を受けて、組織委員会には、指摘した基準違反が疑われるような調達先からの利用がないかの実態調査を行い、基準の遵守状況を確認することが求められます」と指摘しました。

【通報の詳細】

明治のサプライヤー企業である不二製油が公開している搾油工場リスト(注6)および苦情処理リスト(注7)には、環境・社会面での諸問題が判明している搾油工場・農園企業が含まれている。東京五輪のパーム油調達コードでは、法令遵守、環境保全、先住民族等の権利尊重の基準を満たした形での生産を求めているため、調達コードに違反するパーム油が明治の東京五輪のライセンス製品に含まれていた可能性がある。

インドネシアの搾油工場・農園企業の主な事例:

スマトラ島北部にある「ルーセル・エコシステム」内のシンキル・ベンクン地帯では、以下の調査事例がRANの報告で明らかになっている。保護区の近隣にある搾油工場では、農園企業の生産状況について十分な確認が行われていなく、下記のような問題を抱えるパーム油が調達されていた。

1) 「ラワ・シンキル野生生物保護区」内での違法農園開発(注8)、2019年10月発表

2) 生態系を保全せず、また泥炭地や天然林を含む環境上重要な地域の適切な保全をせずに熱帯林破壊を行なっている農園企業からの調達(注9)、2019年10月発表。継続調査により調達の継続を確認(注10)、2021年6月

3) 農園企業による地域住民の土地権侵害(注11)、2019年11月発表など。

通報の背景・明治とのやりとり:

明治HDは、2019年9月にパーム油の調達ガイドラインを策定し、2020年2月に森林破壊ゼロを支持を加える形で改定が行われた。しかし、これは東京五輪の「持続可能性に配慮したパーム油を推進するための調達基準」の確認方法に従った、持続可能性の担保が不十分なものだった。

RANとJATANは2020年に、明治HDに対して、上記の問題事例を示した文書を送付し、同社調達方針の改善を含めて対応を求めた。明治HDは2021年1月、グループ全体のパーム油調達ガイドライン(注12)でNDPE方針(No Deforestation, No Peat and No Exploitation:森林破壊禁止、泥炭地開発禁止、搾取禁止)に基づく調達方針へと一定の改善が行われた。上記の事例が示すような個別事例については、引き続き、明治にサプライヤーへの対応状況を確認するよう求めている。 

*報道関係の皆様:通報文書の閲覧をご希望の場合はご連絡ください。

注1)東京2020組織委員会「『持続可能性に配慮した調達コード』に係る 通報受付窓口 業務運用基準」

※対象案件は「本通報受付窓口は、東京 2020 組織委員会の調達する物品・サービス及びライセンス商品(以下「調達物品等」といいます。)に関する案件であって、調達コードの不遵守に関する通報(調達コードの不遵守又はその疑いを生じ得る事実をその内容とするもの) について取り扱うことができるものとします」と定義されています。(太字はRANで強調)

注2)株式会社明治は「東京2020ゴールドパートナー」。

「東京2020オリンピック・パラリンピック競技大会開催まであと1年!『チョコレートスナック』<東京2020オリンピックマスコット/東京2020パラリンピックマスコット>7月23日 新発売」、2019年7月10日

注3)東京2020組織委員会「持続可能性に配慮した調達コード」

注4)東京2020組織委員会「持続可能性に配慮したパーム油を推進するための調達基準」
①生産された国または地域における農園の開発・管理に関する法令等に照らして手続きが適切になされていること。
②農園の開発・管理において、生態系が保全され、また、泥炭地や天然林を含む環境上重要な地域が適切に保全されていること。
③農園の開発・管理において、先住民族等の土地に関する権利が尊重され、事前の 情報提供に基づく、自由意思による合意形成が図られていること。
④農園の開発・管理や搾油工場の運営において、児童労働や強制労働がなく、農園 労働者の適切な労働環境が確保されていること。

注5)「持続可能性に配慮したパーム油を推進するための調達基準」では、法令等の遵守、泥炭地や天然林を含む生態系の保全、先住民族等の権利尊重、適切な労働環境を確認することが規定されている。また、調達全般を規定している「持続可能性に配慮した調達コード」においても、(1)全般の1で「法令遵守」、(2)環境の7で「資源保全」、(3)人権の1で「国際的人権基準の遵守・尊重」が規定されている。

注6)不二製油の搾油工場リスト(2020年7月15日、英語)

注7)不二製油の苦情処理リスト(2020年3月25日更新、英語)

参考:不二製油「責任あるパーム油調達に関する取組み状況について」2020年6月30日

注8)RANプレスリリース「三菱UFJ、高リスクのパーム油企業へ資金提供 〜違法パーム油およびインドネシア泥炭林破壊とのつながりが明らかに〜炭素を豊富に含む『ルーセル・エコシステム』のシンキル保護区で違法栽培」 (2019年10月18日)

注9)RAN, “Major Brands Again Caught Sourcing Deforestation-Linked Palm Oil” (2019年10月29日、英語)

注10)RAN, “Indonesian Forestry Titan Royal Golden Eagle Remains a Major Roadblock to Progress in Saving Leuser Ecosystem“(2021年6月23日、英語)。
注9の森林破壊を継続して問題となっている農園企業からのパーム油が、注8で指摘された違法なパーム油購入で問題となった搾油工場のPT.Global Sawit Semestaを通じて、ロイヤル・ゴールデン・イーグルグループ(RGE)に調達されていることが確認された。RGEグループはインドネシアの財閥企業グループで、日本にも大量のパーム油を供給している。

注11)RAN, “Community Struggles for Land Rights and Livelihoods in Singkil-Bengkung region” (2019年11月25日)

他の事例とRAN報告(英語)へのリンクは以下の通り

●調達している搾油工場は不明だが、残された天然林の皆伐を継続している企業がパーム油原料のアブラヤシの実の出荷を開始した。日本にも供給される可能性がある。
https://www.ran.org/leuser-watch/chainsaws-enter-indonesias-orangutan-capital/

2020年12月に、ようやく森林破壊を停止することを発表し、NDPE方針の採用に至った。
https://www.ran.org/leuser-watch/conservation-breakthrough-for-the-leuser-ecosystem/

●絶滅危惧種(スマトラゾウ)の生息地の皆伐と違法な火入れや森林破壊を続けている農園企業の事例。
https://www.ran.org/leuser-watch/elephant-habitat-under-fresh-attack/

2021年3月にも、スマトラゾウの移動経路の森林破壊を継続していることが確認された。
https://www.ran.org/leuser-watch/procter-gamble-other-brands-implicated-as-critical-rainforests-continue-to-fall-in-leuser-ecosystem/

●泥炭地での絶滅危惧種(オランウータン)の生息地への違法な火入れを行ったことで罰金支払い判決がでている農園企業の事例。
https://www.ran.org/leuser-watch/will-nestle-and-mars-intervene-to-protect-indonesias-peatlands/

注12)明治ホールディングス「明治グループ調達ポリシー:パーム油調達ガイドライン」
https://www.meiji.com/sustainability/policy/pdf/palm_oil_procurement_guideline.pdf
https://www.meiji.com/sustainability/policy/

団体紹介

レインフォレスト・アクションネットワーク(RAN)は、米国のサンフランシスコに本部を持つ環境NGOです。1985年の設立以来、環境・森林保護で最前線に立つ人々とのパートナーシップと戦略的キャンペーンを通じて、環境保護と先住民族や地域住民の権利擁護活動をさまざまな角度から行っています。

熱帯林行動ネットワーク(JATAN)は、マレーシア・サラワクでの熱帯林破壊の問題に取り組むため1987年に設立された団体。近年はインドネシアにおける紙・パルプやパーム油、サラワク産の合板製品を中心にキャンペーンを展開しており、サプライチェーンに連なる日本企業などへの働きかけを行っている。http://www.jatan.org

本件に関するお問い合わせ先
レインフォレスト・アクション・ネットワーク
広報:関本 Email: yuki.sekimoto@ran.org

プレスリリース:日清食品株主総会でアピール「2030年まで問題あるパーム油を使い続けないで! 」(2021/6/25)

〜日清 持続可能なパーム油100%、国内即席めんは「2025年」と約束 
ただしグローバル目標は2030年度で据え置き〜

環境NGOレインフォレスト・アクション・ネットワーク(本部:米国サンフランシスコ、日本代表部:東京都渋谷区、以下RAN)は、本日25日、日清食品ホールディングスの第73期定時株主総会に参加し、株主に向けて、同社にパーム油調達目標「2030年度に持続可能パーム油100%達成」(注1)の前倒しを求めるよう、会場前でアピールしました。また、総会で経営陣に目標の大幅な前倒しを求めたところ、国内即席めんについては「2025年に100%を達成」するとの回答がありました。しかし、グループ全体のグローバル目標が据え置きになっているとして批判しました。

RANと「ウータン・森と生活を考える会」のスタッフとボランティアは、会場のホテルニューオータニ大阪前で「日清さん、2030年まで問題あるパーム油を使い続けないで! 」と書かれたバナーを掲げ、熱帯林保護、生態系保護、人権尊重における問題を先送りしないよう訴えました。RANは2019年にインドネシアで現地調査を行い、日清食品を含む大手消費財企業が、スマトラ島の貴重な熱帯低地林「ルーセル・エコシステム」で熱帯林および泥炭地破壊や土地紛争を引き起こしていた現地企業からのパーム油を利用していた複数の搾油工場が日清食品のサプライチェーンに含まれていたことが明らかになっています(注2)

レインフォレスト・アクション・ネットワーク日本代表の川上豊幸は、総会で株主として発言し、「日清食品は2030年度までに持続可能なパーム油のみを調達するという目標を掲げていますが、他のグローバル企業は2020年を森林減少阻止の目標にしていました。達成できなかったものの、目標年を2022年や2023年に変えて取り組んでいる企業もあり、日清食品の取り組み状況は大きく見劣りします」と、目標の前倒しを求めました。

それに対して日清食品は「持続可能なパーム油100%については、国内即席めんの目標を2025年度とし、 国内即席めん以外のグループ全体のグローバル調達についての目標年は2030年のままです」と回答しました。

RAN川上は「日清食品は株主総会の場で、国内即席めんのパーム油調達2025年までに100%持続可能にすると約束しました。これは改善といえます。ただ、即席めん以外の国内調達や、米州および欧州、アジアで展開するグループ全体の目標は2030年度のままで、問題が先送りになる懸念は払拭されていません。また、これらの目標をどのように達成するかといった見通しや実施計画の内容、そして目標達成の確認方法も不明確です。グローバルカンパニーの対応としては不十分です」と批判しました。

日清食品は昨年8月、同社ウェブサイト「持続可能なパーム油調達コミットメント」でパーム油方針強化を公表しました。方針には責任あるパーム油生産に欠かせない国際基準である「森林破壊ゼロ、泥炭地開発ゼロ、搾取ゼロ」(NDPE:No Deforestation、No Peat、No Exploitation)に沿った項目が含まれ、森林破壊や森林火災、そして炭素を豊富に含む泥炭地開発の禁止、また先住民族および地域住民の権利尊重と土地権侵害の禁止が明記されています(注3)

一方、日清食品が調達している「持続可能なパーム油のための円卓会議」(RSPO)認証パーム油は「マスバランス方式」で、生産地の追跡ができない問題のあるパーム油も混合されています。同社は「持続可能なパーム油100%」について、「RSPO認証パーム油の調達に加え、独自アセスメントにより持続可能であると判断できるパーム油のみを調達する」と説明しています。しかし「独自アセスメント」の説明は少なく、RANとしては、同社は供給業者の方針遵守状況を監視し、独立した第三者機関による検証を行う必要があると考えます。

RANはオンライン署名「日清食品さん、2030年まで、問題あるパーム油を使い続けないで!」を昨年11月から実施し、日清食品に目標年の前倒しを求めています(注4)。これからも引き続き消費者の方々とともに声を高めていきます。

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注1)日清食品ホールディングス「地球のために、未来のために。環境戦略『EARTH FOOD CHALLENGE 2030』始動!」、2020年6月9日

注2)RANプレスリリース「日清食品を東京五輪調達コード違反で通報 〜ライセンス商品のパーム油について〜」(2020/7/1)

※「ルーセル・エコシステム」内シンキル・ベンクン地帯では、以下の環境・社会面での事例がRANの調査で明らかになっています。
1) 「ラワ・シンキル野生生物保護区」内での違法農園開発
2) 生態系を保全せず、また泥炭地や天然林を含む環境上重要な地域の適切な保全をせずに熱帯林破壊を行なっている農園企業からの調達
3) 農園企業による地域住民の土地権侵害、など

日清食品ホールディングス株式会社「2020年7月 当社商品の原材料(パーム油)調達に関する指摘について」、2020年8月

RANの通報した日清食品製品は東京五輪ライセンス商品ではありませんでしたが、日清食品のパーム油サプライチェーンに、環境・社会面での問題が指摘されている複数の搾油工場が含まれていたことが確認されました。

注3) RANプレスリリース「日清食品、パーム油調達で森林破壊・泥炭地開発・搾取ゼロを約束」(2020/8/20)

NDPEについては、以下、日清食品ホールディングス「持続可能な調達:持続可能なパーム油調達コミットメント」より抜粋

日清食品グループは、NDPE (No Deforestation、No Peat、No Exploitation=森林破壊ゼロ、泥炭地開発ゼロ、搾取ゼロ) を支持し、取引先等のステークホルダーの協力を得て、パーム原産地の環境と労働者の人権に配慮して生産されたことが確認できるパーム油を調達します。

●保全価値の高い (HCV: High Conservation Value) 地域および炭素貯蔵力の高い (HCS: High Carbon Stock) 森林の保護、森林破壊ゼロ
●深さに関わらない泥炭地の新たな開発禁止
●植栽や土地造成、その他開発のための火入れ禁止
●先住民族・地域住民の権利尊重・土地権侵害の禁止
●RSPO (持続可能なパーム油のための円卓会議) が定める「原則と基準」の遵守
●農園まで含めたトレーサビリティの確認

注4)RANプレスリリース「日清食品に新署名開始『2030年まで、問題あるパーム油を使い続けないで!』」(2020/11/13)

レインフォレスト・アクション・ネットーク(RAN)は、米国のサンフランシスコに本部を持つ環境NGOです。1985年の設立以来、環境に配慮した消費行動を通じて、森林保護、先住民族や地域住民の権利擁護、環境保護活動をさまざまな角度から行っています。2005年10月より、日本代表部を設置しています。

本件に関するお問い合わせ先
レインフォレスト・アクション・ネットワーク
広報:関本 Email: yuki.sekimoto@ran.org

プレスリリース:森林&人権方針ランキング2021発表〜日清食品、花王、三菱UFJは低評価 〜 (2021/4/27)

各社、取り組み遅れ〜森林破壊と人権侵害をもたらす消費財企業・銀行17社の実施方針を比較〜

環境NGOレインフォレスト・アクション・ネットワーク(本部:米国サンフランシスコ、日本代表部:東京都渋谷区、以下RAN)は、本日27日、新報告書「キープ・フォレスト・スタンディング:森林&人権方針ランキング2021」(注1)を発表しました。熱帯林破壊と人権侵害を助長している最も影響力のある消費財企業と銀行の17社を対象に(注2)、各社の方針と実施計画を森林と人権の二分野で評価した結果、自社サプライチェーンおよび投融資で森林破壊と人権侵害を止めるために適切な措置を講じている企業と銀行は一社もないと結論づけました。人権侵害には土地収奪や地域住民および先住民族への暴力なども含まれます。

本ランキングは、日本企業の日清食品ホールディングス、花王、三菱UFJフィナンシャル・グループ(MUFG)を含むグローバル消費財企業と銀行の17社を対象に、森林と人権分野の10項目を20点満点で評価しています。得点に合わせてA(18〜20点)、B(15〜17点)、C(12〜14点)、D(5〜11点)、不可(0〜4点)で評価しました。最も高評価だったのはユニリーバですがCランクにとどまり、日本企業はいずれも最低ランクの「不可」でした。

主な森林・人権方針の評価項目(全10項目、各2点)

「森林減少禁止、泥炭地開発禁止、搾取禁止」(NDPE)採用:パーム油や紙パルプなど森林破壊を引き起こす産品事業の生産・投融資に欠かせない国際基準(注3)

「森林フットプリント」開示:サプライチェーンや投融資先の事業が影響を与える森林の総面積(注4)

「自由意思による、事前の、十分な情報に基づく同意(FPIC)原則」の実施:先住民族および地域コミュニティの権利尊重(注5)

暴力や脅迫への「ゼロトレランス」(不容認)方針の有無

NDPE方針遵守の証明・独立検証、など

日本企業は3社とも方針にNDPEを限定的ながら採用するも、森林フットプリント開示、FPIC原則の実施、ゼロトレランス方針の有無、NDPE方針遵守の証明では得点がなく、総合点は2〜4点という低評価となりました。

レインフォレスト・アクション・ネットワーク日本代表の川上豊幸は「日清食品、花王、三菱UFJはいずれも低評価だったのは残念です。3社ともベストプラクティスである『森林減少禁止、泥炭地開発禁止、搾取禁止』(NDPE)を方針に採用したことは評価できます。しかし同時に、自社のサプライチェーンや投融資先で起きている人権侵害を止めるための方針策定が急務です。さらにNDPE方針の適用セクターの拡大や遵守のための独立検証、森林フットプリントに代表される情報開示といった、具体的な取り組みを進める必要があります」と訴えました。

日本企業各社の点数と評価概要、改善点

日清食品(2点):グループ全体の調達方針に「NDPEを支持する」と記載しているが、消費財企業10社で最も低評価だった。改善のためには、グループ調達方針に供給業者が遵守すべきNDPE項目を明記し、供給業者にNDPE採用を義務付ける必要がある。またパーム油の搾油工場リストといった供給業者の情報開示を通して、生産地の現状把握と問題対応のための体制強化を行う必要がある。持続可能なパーム油100%調達を2030年までに達成するという目標も大幅な前倒しが必要。

花王(3点):原材料調達ガイドラインで森林破壊ゼロを支持し、人権方針で人権尊重を支持している。供給業者や合弁企業側のグループ全体でのNDPE遵守を要請はしているが、NDPE方針採用の義務化が必要。2021年の活動方針に「人権擁護者への暴力や不当告発、脅迫などを容認しない」とあるが、企業方針となっていないので国際基準のゼロトレランス・イニシアティブ(注6)に沿った企業方針としての公表が必要。そしてインドネシアでの森林フットプリントを作成し公表する迅速な動きが求められる。

MUFG(4点)環境・社会方針を4月26日に改定し、投融資先に「NDPE遵守の公表」の要求を追加したがパーム油の農園企業に限定され、パーム油購入企業や、紙パルプや大豆など他の森林リスク産品セクターには適用されなかった。MUFGはパーム油セクターへの融資・引受額が東南アジア以外の地域に本社を置く銀行では最大で、紙パルプ産業にも多額の融資を提供している。今後、NDPE方針の適用拡大と、投融資先にNDPE方針遵守のための独立検証を求めていくことが課題になる。

17社の消費財企業・銀行の持つ影響力

評価対象となった企業や銀行の多くは、「森林破壊禁止」と先住民族の権利および人権尊重の達成のために、国連「持続可能な開発目標」(SDGs 15.2:2020年までに森林減少阻止)への賛同をはじめ様々なコミットメントを表明して自社方針を策定してきました。しかし、インドネシアの熱帯林と世界中の熱帯林はパーム油や紙パルプ、牛肉、大豆、カカオ、木材製品といった産品のために伐採されて火を入れられ、さら地にされています。

川上は「評価対象となった消費財企業と銀行は熱帯林破壊や土地収奪、人権擁護活動家の殺害といった問題に対して大きな影響力を持っています。なぜならば、インドネシアで大規模な森林破壊や人権侵害を行っている林業やアグリビジネス企業は、グローバル消費財企業との取引に支えられ、大手銀行からは多額の資金が流れているためです。今回の評価と分析からは、人権侵害や森林破壊を止めるための方針策定と、具体的な取り組みを十分に実践している企業がないことが明らかになりました」と指摘しました。

今回の評価では、以下の通り、方針の実施を改善するために必要な手順も示しています:

●第一段階として、自社のサプライチェーンや投融資から森林破壊と人権侵害を停止するための方針を採用すること

●自社事業が森林と先住民族・地域コミュニティの権利に与える影響の全容を公表すること

●暴力的行為を未然に防ぎ、先住民族・地域コミュニティの権利が十分に尊重されることを保証していること

●供給業者や投融資先企業の自社方針遵守を証明すること

森林、特に熱帯林は温室効果ガスを吸収して貯留し、地球全体の降雨量を維持しています。インドネシアの森林は地球で3番目に大きな熱帯林で、地球全体の気候と生物多様性の危機に対処する上で重要な役割をもちます。インドネシアの先住民族と地域コミュニティは森林減少を効果的に防いできた守り手であり、何世代にもわたって森林を上手に管理してきました。そして今、自分たちの同意なしに土地や森林を搾取しようとする様々な企業に抵抗しています。

さらなる森林破壊と人権侵害を防ぐために、森林破壊と人権侵害を行う大手アグリビジネス企業と林業企業に対して大きな影響力をもつ消費財企業と銀行は、実質的な行動を早急に取ることが要求されます。

注1)新報告書「キープ・フォレスト・スタンディング:森林&人権方針ランキング2021〜森林破壊と人権侵害をもたらす企業と銀行の実施方針を評価〜」(日本語版)

方法論等の詳細は英語版を参照ください:「 Keep Forests Standing: Evaluating Brands and Banks Driving Deforestation and Human Rights Abuses」

注2)消費財企業(10社):日清食品、花王、ネスレ、ペプシコ、プロクター&ギャンブル、ユニリーバ、コルゲート・パーモリーブ、フェレロ、モンデリーズ、マース
銀行(7社):MUFG、JPモルガン・チェース、中国工商銀行(ICBC)、DBS、バンクネガラインドネシア(BNI)、CIMB、ABNアムロ

「キープ・フォレスト・スタンディング:森林と森の民の人権を守ろう」は、RANが2020年4月から展開しているキャンペーンです。熱帯林破壊と人権侵害を助長している最も影響力のある上記の消費財企業・銀行17社に実際の行動を起こすよう要求しています。注3)〜注5)の参考資料としてもご参照ください。

注3)NDPEはNo Deforestation、No Peat、No Exploitationの略。森林減少や劣化に対しての保護(炭素貯留力の高い(High Carbon Stock:HSC)森林の保護、保護価値の高い(HCV: High Conservation Value)地域の保護)、泥炭地の保護(深さを問わず)、人権尊重、火入れの禁止といった要素を含む方針を公表している企業は「あり」の評価を得る。

注4)「森林フットプリント」とは、森林を犠牲にして生産される「森林リスク産品」の消費財企業の利用や、銀行による資金提供によって影響を与えた森林と泥炭地の総面積をいう(影響を与える可能性がある面積も含む)。消費財企業と銀行の森林フットプリントには、供給業者や投融資先企業が取引期間中に関与した森林および泥炭地の破壊地域、さらに供給業者や投融資先企業全ての森林リスク産品のグローバルサプライチェーンと原料調達地でリスクが残る地域も含まれる。森林および泥炭地が先住民族や地域コミュニティに管理されてきた土地にある場合は、その先住民族と地域コミュニティの権利への影響も含む。

注5)「FPIC」(エフピック)とは Free, Prior and Informed Consentの略。先住民族と地域コミュニティが所有・利用してきた慣習地に影響を与える開発に対して、事前に十分な情報を得た上で、自由意志によって同意する、または拒否する権利のことをいう。

注6)「ゼロトレランス・イニシアティブ」ウェブサイト

レインフォレスト・アクション・ネットーク(RAN)は、米国のサンフランシスコに本部を持つ環境NGOです。1985年の設立以来、環境に配慮した消費行動を通じて、森林保護、先住民族や地域住民の権利擁護、環境保護活動をさまざまな角度から行っています。2005年10月より、日本代表部を設置しています。

本件に関するお問い合わせ先
レインフォレスト・アクション・ネットワーク
広報:関本 Email: yuki.sekimoto@ran.org

NGO共同声明:MUFGが石炭火力・森林セクター方針を改定、なおパリ協定と整合せず(2021/4/26)

特定非営利活動法人 気候ネットワーク
マーケット・フォース
レインフォレスト・アクション・ネットワーク(RAN)
国際環境NGO 350.org Japan

本日、三菱UFJフィナンシャル・グループ(以下、MUFG)が「MUFG 環境・社会ポリシーフレームワークの改定について 」(注1)における「特定セクターに係る項目」の石炭火力発電セクターおよび森林、パーム油セクターに関するファイナンス方針の改定を公表しました。

気候ネットワークの国際ディレクターの平田仁子は、「本改定は、いくつかの部門において対策強化が図られていますが、急を要する気候危機への対応として、なお不十分なものです。日本の金融機関を代表するMUFGには今後、パリ協定の1.5度目標達成に整合した、より野心的な石炭関連の方針を策定し、その他化石燃料や森林破壊を引き起こす産品に関する方針の強化を期待します」と述べました。

本改定でMUFGは、石炭火力発電所の新設に加え、既存発電設備の拡張にも原則としてファイナンスを実行しないと規定しましたが、「パリ協定目標達成に必要な、CCUS、混焼等の技術を備えた石炭火力発電所は個別に検討する場合があります」と例外を残しています。CCUSも混焼も2030年までの削減にはほとんど寄与しないと考えられており、石炭火力を延命することにすぎない技術です。これらの技術への支援はパリ協定と整合しません。

国際環境NGO 350.org Japan代表である横山隆美は、「MUFGのセクター方針のスコープは基本的にプロジェクトファイナンスに限定されており、コーポレートファイナンスは含まれていないことは大きな懸念事項です。「脱石炭リスト(Global Coal Exit List)」投融資調査 (注2、3)によると、MUFGの石炭産業 への融資は世界第3位です。石炭火力セクターのポリシーとしてはバリューチェーン全体を網羅したコーポレートファイナンスへと拡大し、パリ協定に整合的な時間軸でのフェーズアウト戦略を策定すべきですが、今回の改訂では踏み込めていません」と指摘しました。

MUFGはまた、熱帯林破壊を引き起こしている企業に資金提供を行っている世界有数の金融機関であり、パーム油および紙パルプセクターの顧客企業に関連するESG(環境・社会・ガバナンス)リスクへのエクスポージャーが高い銀行です。特にパーム油セクターへの融資・引受額は東南アジア以外の地域に本社を置く銀行では最大で、インドネシア6位のバンクダナモンを買収して東南アジアでの存在感を高めつつあります。

レインフォレスト・アクション・ネットワーク(RAN)日本代表である川上豊幸は、「今回の方針改定でパーム油セクターにおいて『森林破壊ゼロ、 泥炭地開発ゼロ、搾取ゼロ(NDPE: No Deforestation, No Peat and No Exploitation)を遵守する旨の公表を求める』ことが追加されたことは評価できます。しかしNDPE基準の適用はパーム油のプランテーション企業に限定され、パーム油購入企業には適用されず、そして紙パルプなど熱帯林や泥炭地の破壊を引き起こしているパーム油以外の産品に対しても適用されなかったことは非常に残念です。そしてNDPE方針を遵守するための独立検証を求めていないことも課題です。農園開発時の火入れの禁止を明記しなかったことは、気候対策面からは大きな失敗といえます」と指摘しました。

今回の改定ではまた、石油・ガスセクター方針に何らの変更がなく、パリ協定の目標に沿ってフェーズアウトする約束がされなかったのは大きな懸念です。マーケット・フォース(Market Forces)エネルギーキャンペーン担当である福澤恵は、「MUFGを始め日本の金融機関は化石燃料企業へのエクスポジャーが大きく、中でもMUFGは今年3月にRAN他が発表した調査(注4) では、過去5年間の化石燃料事業への融資・引受額で世界第6位を占め、アジアで第1位を占めました。本改定をもってしても、MUFGの化石燃料セクターポリシーは、諸外国の金融機関と比べても極めて不十分です。昨今、世界の投資家や金融機関による2050年ネットゼロ実現に向けて、投融資による排出をゼロにするコミットメントが相次ぐ中、MUFGは遅れをとっています。」と述べました。

気候ネットワークおよび環境NGOに所属する個人株主3名は今年3月 、MUFGに対してパリ協定の目標に沿った投融資を行うための計画を決定し、開示することを求めた株主提案を提出しました(注5)。本改定内容は提案内容とはいまだに乖離があり、パリ協定1.5℃目標に整合していると理解できるものではありません。今後、株主としてMUFGと引き続き協議を進めてまいります。

注1)三菱 UFJ フィナンシャル・グループ「『MUFG 環境・社会ポリシーフレームワーク』の改定について」、2021年4月26日

注2)共同プレスリリース「日本の金融機関が石炭産業への融資総額で世界第1位に」、2021年2月25日

注3)本調査の対象および調査方法はこちらをご参照。

注4)共同プレスリリース「『化石燃料ファイナンス成績表2021』発表〜世界60銀行、パリ協定後も化石燃料に3.8兆ドルを資金提供〜」、2021年3月24日

注5)プレスリリース「三菱UFJフィナンシャル・グループ(MUFG)へ気候変動に関する株主提案を提出」、2021年3月29日

英語のプレスリリース:“Japan’s largest bank MUFG tightens coal power and forest sector policies – but far from aligned with Paris Agreement”

本件に関するお問い合わせ

気候ネットワーク 平田仁子 khirata@kikonet.org

マーケット・フォース 福澤恵 meg.fukuzawa@marketforces.org.au

レインフォレスト・アクション・ネットワーク(RAN) 関本幸 yuki.sekimoto@ran.org

国際環境NGO 350.org Japan 横山隆美 japan@350.org