サンフランシスコに本部を持つ米国の環境NGO RAINFOREST ACTION NETWORKの日本代表部です

共同プレスリリース「化石燃料ファイナンス報告書 2025」発表 〜世界65銀行の化石燃料への資金提供額、2024年は8,694億ドルに急増〜(2025/6/18)

米銀とメガバンクが上位独占、2024年提供額はみずほ4位、三菱UFJ6位、SMBC11位

レインフォレスト・アクション・ネットワーク(RAN)
特定非営利活動法人 気候ネットワーク
国際環境NGO マーケット・フォース
国際環境NGO 350.org

米環境NGO レインフォレスト・アクション・ネットワーク(本部:米国サンフランシスコ、日本:東京都渋谷区、以下RAN)をはじめとするNGOは17日(米国東部時間)、新報告書『化石燃料ファイナンス報告書2025〜気候カオスをもたらす銀行業務〜』(注1、第16版、 日本語要約版、英語名: Banking on Climate Chaos 2025)を発表しました。

本報告書は、世界の上位65行による2,800社以上の化石燃料企業への融資・引受をまとめた年次報告書です。分析の結果、昨年に銀行から化石燃料産業に提供された金額は約8,694億米ドルで、2023年と比べて1,625億ドルも増加したことがわかりました。また、2024年には全体の約半分の約4,290億ドルが化石燃料拡大のために投入され、2021年以降の合計額は1兆6,000億ドルでした。報告書の執筆団体は、国際エネルギー機関(IEA)の世界的な科学者たちが油田やガス田の新規開発、新規タンカーやパイプライン計画など、いかなる化石燃料の拡大は必要ないと繰り返し述べてきたにもかかわらず、銀行は気候変動のリスクを無視し、化石燃料拡大への資金提供を増やしてきたと指摘しています。また資金提供の増加は、2021年にグラスゴーで開催された国連気候変動枠組条約締結国会議(COP26)で、多くの銀行が表明した気候変動に関する約束(コミットメント)の急速な後退の中で起きていることも言及しました。

日本の3メガバンクは、昨年の資金提供でワースト12銀行に入りました。みずほフィナンシャルグループ(みずほ)が4位、三菱UFJフィナンシャル・グループ(MUFG)は6位、三井住友フィナンシャルグループ(SMBC)は11位でした。65行のうちの3行のみで全体の資金提供額の12%を占めました。化石燃料事業を拡大している企業への資金提供額でもワースト12銀行に入り、みずほが3位、MUFGが6位、SMBCが11位という結果でした。

図:「化石燃料ファイナンス2025」ランキング
左:2024年のワースト12銀行(化石燃料全部門への融資・引受額、単位=十億ドル)
右:各ランキングのワースト5銀行

『化石燃料ファイナンス報告書2025』概要・主な調査結果

世界の主要民間銀行65行が化石燃料部門に行った資金提供(融資・引受)を示した包括的な報告書。化石燃料企業2,800社以上への資金提供について分析。対象期間はIEAが「ネットゼロ・ロードマップ」(注2)を発表した2021年〜2024年で、年別、累計額を分析。化石燃料産業全体、化石燃料拡大企業への資金提供ごとに集計・分析(これまでと異なり、LNG、石炭、オイルサンドなど部門別のランキングは発表しないが、各部門の簡潔な動向と地域コミュニティへの影響を説明している)。パリ協定が発効した2016年〜2024年の全体的な傾向の分析も一部掲載。

  • 大手65行の化石燃料ファイナンス
    • 2024年の資金提供額は約8,690億米ドルだった。
    • 2021年から2023年は減少傾向にあったが、2023年から2024年の金額は1,625億ドル増加した。
  • 資金提供の形態別傾向(2024年)
    • 融資の金額が最も大きく、2023年の4,220億ドルから4,670億ドルに増加した。
    • 債券は増加額が最も大きく、2023年の2,840億ドルから4,010億ドルへと増加。
    • 買収ファイナンスは2023年の637億ドルから829億ドルに増加。
  • 化石燃料事業を拡大している企業への資金提供:
    • 2021年から2024年の提供額は1兆6,000億ドルだった。
    • 2024年だけで4,286億ドルが提供され、2023年から848億ドル増加した。
  •  パリ協定が発効した2016年から2024年の提供額は7.9兆ドルだった。

2024年のワースト銀行JPモルガン・チェースで、2024年にコミットした金額は535億ドルでした。対象となった銀行65行のうち4行が資金提供額を100億ドル以上増加させ、増加額の大きい上位4行はJPモルガン・チェース、シティグループ、バンク・オブ・アメリカ、バークレイズでした。ワースト12行のうち、日米の銀行は合計で9行でした。

米国:米銀は2024年に2,890億ドルの化石燃料への資金提供をコミットし、この金額は本報告書の対象としている世界の化石燃料への資金提額の3分の1にあたります。上位のJPモルガン・チェース、バンク・オブ・アメリカ、シティグループ、ウェルズ・ファーゴの4行だけで全体の21%を占めています。

日本:みずほ、MUFG、SMBC3行の2024年の化石燃料への資金提額は1,063億ドルで、65行全体の約12%を占めました。約半数が米国に本社を置く企業への資金提供でした。詳細は「日本の 3 メガバンクの資金提供分析」をご参照ください。

ヨーロッパイギリスのバークレイズが354億ドルで2024年の最大の化石燃料への資金提供銀行でした。スペインのサンタンデール、フランスのBNPパリバ、ドイツのドイツ銀行、イギリスのHSBCが続き、それぞれ2024年に14~173億ドルを化石燃料産業に拠出しました。

図2:メガバンクによる化石燃料への資金提供(融資・引受)推移(単位:百万米ドル)

図3:メガバンクによる化石燃料拡大企業への資金提供(融資・引受)推移(単位:百万米ドル)

執筆者および執筆団体からのコメント

RAN銀行方針リーダー アリソン・フェイジャンス=ターナー(共同執筆者)

「注意をそらし、引き伸ばし、責任を回避し、そして最後に離脱する。必要に応じて、それを繰り返す。銀行はこういった常套手段を使って、自分たちと化石燃料業界に潤沢な資金を供給して金融システムにリスクを積み上げる一方で、地球の気温上昇を1.5度未満に抑えるための時間を無駄にしてきました。『化石燃料ファイナンス報告書』の威力は、このような戦術を見抜き、資金の流れを追跡している点にあります。災害が深刻化し、科学者や政策専門家がますます悲惨な警告を発しているにもかかわらず、銀行は2023年から2024年に化石燃料への資金提供を増やし、化石燃料インフラの拡大に数十億ドルを注ぎ込んでいます。銀行の方向転換を可能にするには、迅速かつ強固な拘束力のある政府の規制と監督が不可欠です。拘束力のある規制がなければ、気候カオス(混乱)へのファイナンスが銀行の主要な投資戦略であり続け、経済と地球を破綻させてしまいます」

RAN日本シニア・アドバイザー 川上豊幸

日米の銀行が2024年の化石燃料ファイナンスの上位を独占しました。3メガバンクは昨年から順位を下げたものの、米銀らの増加額が多かっただけで、メガバンクの資金提供額は依然として大きく、憂慮すべきことです。2024年、大手米銀の化石燃料産業への資金提供額は前年比30〜50%増加という異常な状況となりました。国際エネルギー機関(IEA)の調査報告書によれば、全ての化石燃料の拡大事業はパリ協定の1.5度目標と整合しないとされるにも関わらず、2024年、みずほは化石燃料拡大企業への資金提供を前年比で約15%増加させ、MUFGは約3%増加させました。

6月12日、JERAの米国からのLNG新規調達契約が発表されました。メキシコ湾岸での化石燃料施設では汚染や環境破壊、地域経済への悪影響に加え、生産・輸送過程でも膨大な温室効果ガスの排出が懸念されます。調達先にはテキサス州リオ・グランデLNG事業も含まれています。事業者であるネクストディケイド社は、先住民族カリゾ・コメクルド族の反対にもかかわらず、同意を得ることなく整地作業を進めて、聖地周辺を破壊しています。このLNG事業にはMUFGとみずほが資金を提供しています。これは、2行が採択する国際基準である『赤道原則』の違反にあたり、銀行のガバナンス体制に問題があると考えられます」

賛同団体からのコメント

気候ネットワーク プログラム・コーディネーター 鈴木康子氏

「今回の報告書からも日本のメガバンクが新たなLNGプロジェクトへの巨額の融資を継続していることが明らかになりました。また、化石燃料全体に対する融資額もトップレベル(3メガ合計で1,063億ドル)にあり、特に米国に本社を置く化石燃料企業への資金額が突出していることから、日本が米国のエネルギー政策を支援していることを浮き彫りにしています。6月12日には、JERAが米国から年間最大550万トンのLNGを購入する20年契約を締結したと発表。今後も米国への融資が続くと想定できます。国内ではガス火力をトランジションと位置づけて、複数の新規LNG火力の計画が進められており、ガス火力が終焉に向かう兆しは全く見えません。銀行が自ら科学的知見に基づき化石燃料事業に投融資することのリスク評価を行い、早期に支援を見直すことを強く求めます」

マーケット・フォース、日本エネルギーファイナンスキャンペーナー、渡辺瑛莉氏

「2024年も日本のメガバンクは不名誉な“Dirty Dozen(化石燃料支援ワースト12行)”に名を連ね、化石燃料への資金提供を続けています。すでに日本および世界各地で気候変動に起因する高温や災害が相次いでいるにも関わらず、メガバンクは短期的な利益を優先し、長期的な社会と経済の安定を危うくしています。欧米や豪州の銀行がリスクを見越して撤退するLNG事業に加担している姿勢は、長期的リスクに対する感度の低さ、そして気候リスク管理の脆弱さを露呈しています。NZBAから脱退した今、メガバンクが掲げるネットゼロ目標に信頼を置けるかどうかは、実効性ある気候リスク管理とガバナンス体制の構築にかかっています。大手銀行の投資家は、将来の企業価値を毀損しかねない経営に対して、確固たる姿勢で臨む必要があります。顧客企業に対する移行支援の実効性を確保し、ガバナンス強化に資する監査委員会の取締役監督に関する株主提案への賛同は、その第一歩となるはずです」

国際環境NGO 350.org、ジャパン・キャンペーナー、伊与田昌慶氏

「この報告書は、日本の金融機関が気候危機を解決する責任を果たさないばかりか、問題の原因であり続けていることを糾弾する告発状です。とりわけみずほFGとMUFGは2023年から2024年にかけて化石燃料ファイナンスを10%以上も増額させており、パリ協定が謳う『資金の流れを低排出にする』との目標に逆行しています。今年になって相次いで『ネットゼロ・バンキング・アライアンス(NZBA)』から離脱した邦銀は『脱退後も取り組みを続ける』などと、まるでこれまで十分に取り組み、成果を出していたかのような説明をしました。しかし、過去から現在に至るまで、邦銀の取り組みがパリ協定の1.5℃目標に整合する十分な水準に至ったことは1度もありません。
3メガバンクに脱化石燃料を求める要請文には、これまでに国内外の210団体から賛同が集まっています。ホワイトハウスの気候変動懐疑論者らではなく、世界中で気候危機の脅威を体験している市民のために、化石燃料からの脱却と再エネ3倍に貢献する金融方針へと転換すべきです」

『化石燃料ファイナンス報告書』はRAN、バンク・トラック、エネルギー・エコロジー・開発センター(CEED)、先住民族環境ネットワーク(IEN)、オイル・チェインジ・インターナショナル、リクレイム・ファイナンス、シエラ・クラブ、ウルゲバルトによって執筆されています。世界69カ国480以上の団体が賛同しています。

注1)「化石燃料ファイナンス報告書2025」全文(英語)
化石燃料の金融データ、方針スコア、最前線の現場からの報告、方法論などはこちらから:

https://www.bankingonclimatechaos.org

日本後要約版:http://japan.ran.org/wp-content/uploads/2025/06/BOCC_2025_Executive-Summary_vJPN.pdf

注2)IEA「ネット・ゼロ・ロードマップ」、2021年5月

今後全ての化石燃料の拡大事業は1.5度目標と整合しないという分析結果が出た。

https://www.iea.org/reports/net-zero-by-2050

補足資料

日本の 3 メガバンクの資金提供分析
記者会見プレゼン資料
6月18日記者会見プログラム

団体紹介

レインフォレスト・アクション・ネットーク(RAN)は、米国のサンフランシスコに本部を持つ環境NGOです。1985年の設立以来、環境に配慮した消費行動を通じて、森林保護、先住民族や地域住民の権利擁護、環境保護活動をさまざまな角度から行っています。

本件に関するお問い合わせ

レインフォレスト・アクション・ネットワーク
日本チームマネジャー 関本 Email: yuki.sekimoto@ran.org
日本シニア・アドバイザー 川上 Email:   toyo@ran.org

声明:MUFGはNZBA脱退後も約束を反故にせず、 パリ協定1.5度目標に整合しない企業への融資中止を(2025/4/9)

三菱UFJフィナンシャル・グループ(MUFG)が銀行間の自主的イニシアティブ「ネットゼロ・バンキング・アライアンス(NZBA)」から3月19日に脱退したことを受けて、レインフォレスト・アクション・ネットワーク(本部:米国サンフランシスコ、日本:東京都渋谷区、RAN)は9日、MUFGに、NZBAから脱退しても投融資ポートフォリオをパリ協定1.5度目標と整合させる約束を反故にせず、パリ協定の1.5度目標に整合しない企業への融資の中止を求める声明を発表しました。

RANは3月と4月に2回にわたって、MUFGに脱退の理由を質問するメールを送りました。同グループは「今後の気候変動対策を検討するにあたり、NZBAにおける加盟継続のメリットを総合的に判断した結果だ」とし、「カーボンニュートラル実現や、パリ協定1.5度目標達成へ MUFG として貢献するというコミットメントは不変です」と回答しました。

 

RAN日本シニア・アドバイザー川上豊幸は「MUFGから『パリ協定1.5度目標達成に貢献するというコミットメントは不変である』という回答をもらいました。MUFGが、2050年までの投融資ポートフォリオの温室効果ガス排出量をネットゼロにするという目標に今後も取り組むと改めて言及したことは重要です。なぜなら米国では大手銀行のNZBAからの脱退が続き、その一行のウェルズ・ファーゴが2月、2050年までのネットゼロのコミットメントを反故にした実例があるからです。MUFGはこのような動きに屈することなく、世界中で危機感が高まる気候変動問題に対して、日本最大手の銀行として責任を持って行動してもらいたいと願います」と主張しました。

一方、MUFGは新規の液化天然ガス(LNG)事業への巨額の投融資など、パリ協定の1.5度目標に整合しないプロジェクトへの資金提供を行っています。RANら『化石燃料ファイナンス報告書2024』によると、パリ協定採択以降、2016年から2023年のMUFGの化石燃料産業への投融資額は世界4位の約3,077億米ドルで、LNG事業を拡大する企業130社への2023年の投融資額は世界2位の約84億米ドルでした。例えば環境・社会面でも大きな問題がある米国テキサス州メキシコ湾岸地域で計画中のリオ・グランデLNG事業を進めるネクスト・ディケイド社に、MUFGは2023年に約21.7億ドル以上を提供しています。

川上は「リオ・グランデLNG施設が稼働すれば石炭火力発電所50基分に相当する二酸化炭素を排出することになると懸念されています。今年、2024年の平均気温がパリ協定の抑制目標である1.5度上昇を初めて上回ったことが明らかになりました。MUFGは直ちに、リオ・グランデLNG施設など、1.5度目標の達成を困難にする事業や企業への資金提供は中止すべきです」と強調しました。

 

昨年12月、米メキシコ湾岸地域の住民や先住民族、市民団体らはNZBAと、その母体であるグラスゴー金融同盟(GFANZ)、国際連合に書簡を送り、NZBAからの加盟銀行脱退の懸念を示し、NZBAは圧力に屈せず規約を維持し、加盟銀行に「世界の平均気温上昇を1.5度に抑える」というパリ協定の合意と目標を整合させることを要請していました。今年3月、 日本のメガバンク3行全てもNZBAから脱退しました。ほぼ同時期にNZBAは加盟規約の見直しを巡り、融資案件を1.5度以内に抑える目標と整合させる必要性について撤廃が提案されていると報道されました。MUFGは2025年3月までNZBAステアリンググループ(地域毎に選出される金融機関で構成)の一員だったとRANに回答しましたが、規約の見直しと脱退との関係については「コメントを控える」としています。

 

本件に関するお問い合わせ先
レインフォレスト・アクション・ネットワーク
東京都渋谷区千駄ヶ谷1-13-11-2F
日本チームマネジャー:関本 Email: yuki.sekimoto@ran.org

共同声明:SOMPOが日本の損保で初めてFPICを含む先住民族の権利を尊重する方針を設定(2025/1/15)

「環境・持続社会」研究センター(JACSES)
国際環境NGO FoE Japan
メコン・ウォッチ
レインフォレスト・アクション・ネットワーク(RAN)

1月10日、日本の大手損害保険会社の1つであるSOMPOホールディングス株式会社(以下、SOMPO)は、「事業におけるESG配慮」方針を更新し、「保険引受・投融資における注意を要する事業」の対象に先住民族の人権を侵害する恐れのある事業を新たに加え、FPIC(自由意思による、事前の、十分な情報に基づく合意)等の国際スタンダードを参照する旨を公表しました(※1)。保険引受・投融資においてFPICを尊重する方針を策定したのは、日本の損害保険会社として初であり、私たちはSOMPOのこの方針策定を歓迎するとともに、東京海上ホールディングス株式会社(以下、東京海上)、MS&ADインシュアランスグループホールディングス株式会社(以下、MS&AD)に対しても、FPICを含む先住民族の権利を尊重する方針を早急に策定するよう要請します。

FPICは先住民族に関する国際連合宣言で明記されている権利であり、先住民族の参加権及び、先住民族や先住民族の土地等に影響を及ぼす可能性のある事業に同意又は不同意する権利を保証しています。また、FPICによって先住民族は、事業の設計や実施、モニタリング、評価の段階で交渉することが可能になります(※2)

なお、SOMPOによる保険引受が判明した米国リオ・グランデLNG事業の事業者NextDecadeは、同事業について現地の先住民族であるカリゾ・コメクルド族との協議会を一度も開催したことがなく、 FPICが取得されていません(※3)。現地住民・環境NGO・現地自治体は、事業者が適切な環境影響調査を怠っていると主張して、これまで抗議活動や訴訟を起こしてきましたが、2024年8月に現地裁判所が事業の建設及び稼働の承認を破棄したことにより、住民側が勝訴しています(※4)。昨年10月には、カリゾ・コメクルド族や現地コミュニティの代表団が来日し、リオ・グランデLNG事業を支援するSOMPOや銀行と会合を行い、事業からの撤退を求めました(※5)

新規の化石燃料事業である同事業は、パリ協定1.5度目標と整合しないことから実施すべきではありませんが、加えてSOMPOはリオ・グランデLNG事業の事業者に対してFPICが取得されているかを確認するべきで、FPIC取得が確認できない場合は直ちに撤退するべきです。

また、東京海上及びMS&ADに対しては、FPICを含む先住民族の権利を尊重する方針を早急に策定するよう強く求めます。

本件に関する問い合わせ先:
「環境・持続社会」研究センター(JACSES)田辺有輝/喜多毬香
tanabe@jacses.org / kita@jacses.org

注:
※1:https://www.sompo-hd.com/csr/esg/product/
※2:https://www.ran.org/press-releases/axis-capital-becomes-first-north-american-insurer-to-adopt-policy-on-free-prior-and-informed-consent/
※3:https://jacses.org/2475/
※4:https://www.sierraclub.org/press-releases/2024/08/dc-circuit-rules-against-ferc-approval-lng-and-pipeline-projects-south-texas
※5:https://japan.ran.org/?p=2347

プレスリリース:危険なLNG事業を支援する邦銀に要請、 米メキシコ湾岸の住民代表団が初来日(2024/10/8)

日本の金融機関に健康、文化、経済、野生生物を脅かす化石燃料事業への支援停止を訴え

(東京)10月7日から10日、米国テキサス州リオ・グランデ・バレーの活動家であり地域住民の代表が初来日しています。代表団は来日中、米国南部メキシコ湾岸地域のLNG(液化天然ガス / メタンガス)事業と関係がある日本のメガバンクおよび保険会社と東京で会合を持つ予定です。※写真を更新(10月10日)

東京・日本外国特派員協会での記者会見、2024年10月7日 ©︎ RAN / Masaya Noda

三菱UFJフィナンシャル・グループ宛の署名数を手に会談に向かう代表団、2024年10月9日
©︎ Yuki Sekimoto / RAN

代表団 3名

・フアン・マンスィアス(テキサス州カリゾ・コメクルド族チェアマン)
・ベッカ・ヒノホサ(南テキサス環境正義ネットワーク共同創立者)
・ディナ・ヌニェス(南テキサス人権センター シニア・オーガナイザー、Vecinos para el Bienestar de la Comunidad Costeraシニア・オーガナイザー)

代表団は、米環境NGOレインフォレスト・アクション・ネットワーク(RAN)とともに、日本の保険会社および三菱UFJフィナンシャル・グループ(MUFG)などメガバンクの代表者と面会し、先祖伝来の故郷の土地を破壊し、地域のエコツーリズムを衰退させ、絶滅危惧種を脅かす大規模なLNG(メタンガス)事業(※)への支援停止について話し合う予定です。(※)リオ・グランデLNG輸出施設、テキサスLNG輸出施設、リオ・ブラボー・パイプラインの3事業

代表団のコメント

フアン・マンスィアス
「企業はこの土地を占拠しようとしています。化石燃料で富を得るお金持ちのためにです。LNG事業は私たちの空気や水を汚染し、先祖代々の土地を冒涜します。企業はこの土地を破壊しようとしています。しかしそのためには、私たちの民族を滅ぼさなければなりません。私たちはそれを許しません。私たちはもう脅しには屈しません」

日本のメガバンクであるMUFG、みずほフィナンシャルグループ、SMBCグループは、リオ・グランデLNG輸出基地を含め、LNG拡大企業への資金提供で世界の上位にあります。世界主要60銀行への資金提供(融資・引受)を分析調査した「化石燃料ファイナンス報告書」(Banking on Climate Chaos )によると、メガバンク3行は2023年単年とパリ協定以降の提供額の両方で上位10社に入っています。メガバンクには、メタンガスの新規および拡大事業への支援を除外する方針はなく、問題の多い化石燃料からの脱却を顧客企業に促す方針もありません。これはオランダのING銀行が発表した、2026年までにLNG(メタンガス)への投資を段階的に停止するという新方針や、フランスのラ・バンク・ポスタルが発表した、2022年までにすべての化石燃料への投資を停止するという方針とは対照的です。上記報告書によると、アジアの銀行は、気候変動や人権に関する方針において欧州の銀行に遅れをとっています。

ベッカ・ヒノホサ
「これらのメタンガス事業は、地元の低所得者層や野生生物に多大な汚染による危険をもたらします。それは否定できません。私たちのコミュニティはすでに、これらの事業に対する訴訟に勝訴しています。しかし、リオ・グランデLNG輸出施設は法の抜け穴を理由に、いまだにコンクリートを流し、神聖な野生生物の生息地を更地にしています。日本企業は、これらのLNG事業への支援をやめるべきです。そうすれば、事業を完全に停止させることができます」

人々が住み続けることのできる気候を実現するために、金融機関は化石燃料への資金提供を段階的に減らしていかなければなりません。しかし、前述の「化石燃料ファイナンス報告書」によると、銀行は2023年に化石燃料産業に7,058億米ドルの資金提供(融資・引受)を行ない、誤った方向に進んでいます。そのうち、1,209億ドルがLNG(メタンガス)拡張事業に使われています。リオ・グランデ地域のLNG(メタンガス)施設のステークホルダー(利害関係者)からなる代表団は、東京を訪れ、大手金融機関がこれらの化石燃料事業への支援を停止するよう要求する予定です。

ディナ・ヌニェス

「強力な組織化と、地域社会の意思の強い人々のおかげで、ワシントンD.C.(米国コロンビア特別区控訴裁判所)が3つの事業への承認を取り消すという良い判決が下されました。私たちは、リオ・グランデLNGのような巨大事業を打ち負かすことができるとわかっています。そして今、私たちは日本企業が正しい決断を下すよう求めます。そして、このような有害な採取事業への資金提供や支援を廃止するよう求めます」

LNG(メタンガス)に関する日本の金融が及ぶ範囲は、メキシコ湾岸地域を超えて広がっています。日本は、LNG輸出施設への国際的な公的金融の世界最大の資金提供国です。2012年から2022年までに建設されたLNG(メタンガス)輸出施設と、建設中または2026年までに完成予定の輸出施設に提供された世界の公的金融の約50%を占めています。日本はメタンガスへの公的資金提供でも世界トップクラスであり、毎年平均で約43億ドルを提供しています。

英語版はこちら “Japanese Banks Backing Dangerous LNG/Methane Projects: Gulf Coast Community Leaders visit Tokyo to demand that Japan’s financial institutions stop supporting dirty fossil fuel projects that threaten their health, culture, economy and wildlife” 

東京・丸の内の記者会見場にて意気込みを見せる代表団、2024年10月8日 ©︎ RAN / Masaya Noda

団体紹介

レインフォレスト・アクション・ネットーク(RAN)は、米国のサンフランシスコに本部を持つ環境NGOです。1985年の設立以来、環境に配慮した消費行動を通じて、森林保護、先住民族や地域住民の権利擁護、環境保護活動をさまざまな角度から行っています。

本件に関するお問い合わせ
日本チームマネジャー 関本 Email: yuki.sekimoto@ran.org

“Gulf Coast Residents Demand Japan Stop Supporting LNG Facilities” materials / 米メキシコ湾岸地域住民来日会見関連資料

【October 7th, 2024】
Press Conference: Gulf Coast Residents Demand Japan Stop Supporting LNG Facilities

Juan Mancias, Tribal Chair, Carrizo/Comecrudo Tribe of Texas
Rebekah Hinojosa, Co-Founder, South Texas Environmental Justice Network
Ruth Breech, Senior Campaigner for Climate & Energy, Rainforest Action Network

FCCJ website, Archived Video

Press Release

Presentation Slides

Speaker Biographies

2024 Update: Rio Grande Valley at Risk from Methane Gas Export Terminals

 

【2024年10月8日】
会見「米メキシコ湾岸住民、日本の金融機関にLNG施設への支援停止を要請」

フアン・マンスィアス氏(テキサス州カリゾ・コメクルド族チェアマン)
ベッカ・ヒノホサ氏(南テキサス環境正義ネットワーク共同創立者)
ディナ・ヌニェス氏(南テキサス人権センター シニア・オーガナイザー)
ルース・ブリーチ(RAN気候変動&エネルギー担当 シニア・キャンペーナー)
川上豊幸(RAN日本シニア・アドバイザー)

プレスリリース

プレゼン資料

参考資料「化石燃料ファイナンス報告書204 抜粋版」

登壇者経歴

金融機関・投資家向け説明資料「リオ・グランデ・バレー:液化天然ガス(LNG)輸出基地がもたらすリスク 2024年最新版」

 

Rainforest Action Network
425 Bush Street, Suite 300 | San Francisco, CA 94108 | RAN.org

RAN日本代表部
東京都渋谷区千駄ヶ谷3-13-11-204 | Japan.ran.org

 

 

ブログ:グリーンウォッシュ警報〜米リオ・グランデLNG事業者のネクストディケイド、CCSを中止〜(2024/10/1)

川上豊幸(RAN日本シニアアドバイザー)
ルース・ブリーチ(RAN米国本部シニアキャンペーナー)

日本外国特派員協会(FCCJ)にて会見を行った筆者(中央:ルース・ブリーチ)と地域住民代表団、2024年10月、東京 ©︎ RAN / Masaya Noda

画期的な判決

2024年8月、米コロンビア特別区連邦巡回区控訴裁判所(No.23-1174)は、テキサス州南部沿岸リオ・グランデ・バレーで計画されている複数のメタンガス(液化天然ガス:LNG)輸出基地事業の認可が、適切な環境評価なしに発行されたとの判決を下した。米連邦エネルギー規制委員会(FERC)が発行したネクストディケイド社のリオ・グランデLNG、グレンファーン社のテキサスLNG、エンブリッジ社のリオ・ブラボー・パイプラインの認可は全て取り消され、これらの巨大事業に大きな遅延をもたらすこととなった。

訴訟手続きの一環として、リオ・グランデLNGは基地の設計に二酸化炭素回収・貯留(CCS)システムを追加することを2021年に提案していた。LNGのCCSとは、化石燃料の処理過程で排出される二酸化炭素(CO2)を回収し、地下に圧入して恒久的に貯蔵することを試みるものであるが、この技術は未だ実証されていない

8月の判決後、リオ・グランデLNGはCCS計画を取り下げた。これにより、ネクストディケイド社の「環境に優しい」という主張がいかにお粗末であるかが明らかになった。ネクストディケイド社はエネルギー移行計画を策定していなく、また中止したCCS計画以外には、ネットゼロ排出を達成するための計画を何も公表していない。日本のメガバンクの三菱UFJフィナンシャル・グループ(MUFG)は、ネクストディケイド社とリオ・グランデLNG事業の主要な資金提供者であり、同事業に23億8000万米ドルを提供している。

リオ・グランデLNGの主要資金提供者


(出典:シェラクラブ「US LNG Export Tracker」より)

 

リオ・グランデLNG施設が稼働すれば、石炭火力発電所43基分に相当するCO2を排出することになる。ネクストディケイド社は、事業の第1フェーズ向け184億ドルのプロジェクトファイナンスが「米国史上最大のグリーンフィールドのエネルギー事業向け融資である」と自慢している。ここでいう「グリーンフィールド」とは、手つかずの海岸沿いの土地に建設するという意味である。事業建設予定地は、米国メキシコ湾岸で未だ工業化されずに自然が残る最後の地域のひとつである。

進みの遅い汚れた事業

ネクストディケイド社は当初、2017年にリオ・グランデLNG輸出基地の最終投資決定(FID)を行い、2020年第4四半期に操業を開始する予定であった。しかし同社は、法的な課題や不十分な規制手続き、コミュニティからの圧力、不安定な石油・ガス市場などにより、度重なる遅延に直面してきた。

2023年7月、ネクストディケイド社は重要な節目を迎えた。リオ・グランデLNG基地の第1フェーズに関する最終投資決定を下したのである。この初期フェーズには3つの「トレイン」(液化プラント)が含まれる。これらのトレインは、年間2700万トンのガスを処理する見込みである。フランスの銀行ソシエテ・ジェネラルは、最終投資決定に至る前にリオ・グランデLNG事業から公に撤退した。 当初ネクストディケイド社のアドバイザーを務めていた日本の三井住友銀行も、現在は事業に関与していない。さらに複数の銀行がリオ・グランデLNGへの資金提供に関与しないことを2023年に非公開で確認している。

リオ・グランデLNG施設予定地、米国テキサス州、2023年12月6日  ©︎ Bekah Hinojosa / (SOTXEJN)

偽りの解決策

ネクストディケイド社は、環境に配慮したイメージを偽り、メタンガス輸出事業による膨大な排出量と現地での影響について積極的に「グリーンウォッシュ」を行なってきた。同社は2020年10月、計画中のリオ・グランデLNG施設でネットゼロ排出の達成を目指すと発表した。CCS技術を使用し、ガスの前処理と燃焼後のプロセスで排出されるCO2を回収し、地下に注入して恒久的に貯蔵することで、ネットゼロ排出目標を達成しようという計画であった。

しかし、炭素回収技術は、米国内のメタンガス輸出施設に未だ適用されたことがなく、他の化石燃料事業でも成功したことがない。リオ・グランデLNGはCCSに関して三菱重工と提携しているが、三菱重工は過去にも石炭火力発電所の炭素回収を試み、コストと技術的な問題が原因で失敗しているMUFGは三菱重工の重要なパートナーでもあり、両社はともに三菱グループの一員で、三菱グループはかつての財閥(戦前に多くの事業分野を支配していた企業グループ)である。CCS事業の中止が、MUFGとネクストディケイド社の関係に影響を与えるかは不明である。

MUFGにリオ・グランデLNGの地域への悪影響を訴え支援停止を要請した代表団、2024年10月©︎ RAN / Masaya Noda

エネルギー経済・財務分析研究所(IEEFA)が2022年9月に行った世界各地のCCS事業の分析によれば、CCS事業の大半は失敗しているか、約束どおりにCO2を回収できていないか、大幅なコスト超過に苦しんでいることが明らかになっている。CCS技術は、メタン輸出においては未だ実証されたことがない。

ネクストディケイド社は、リオ・グランデLNGのCCS事業が「提案されている炭素回収・貯留を通じて、CO2排出量を90%以上削減する」と主張し、「年間500万トン以上のCO2を恒久的に貯蔵すると述べている。ガス業界は通常、LNGのバリューチェーンの狭い部分のみに焦点を当て、ガスを燃やす発電所と石炭を燃やす発電所の排出量を比較する。しかし、メタンの採掘から輸送、発電所での燃焼に至るまでのプロセス全体を考慮したライフサイクル分析を用いると、LNG事業からのメタン排出量は、化石燃料産業が算出する排出量よりも大幅に増加する

リオ・グランデLNG輸出基地用のメタンガスは、テキサス州西部のパーミアン盆地とイーグルフォード・シェールから、フラッキング(水圧破砕)と水平掘削によって採取される予定である。フラッキングは、強力な温室効果ガスであるメタンを大気中に大量に放出し、米国で大気汚染や水質汚染、コミュニティの健康への悪影響をもたらしている。ネクストディケイド社は、基地で処理されるガスは「持続可能な生産者」から「責任ある形で調達された天然ガス」であると主張している。2023年にアースワークスとオイル・チェンジ・インターナショナルが発表した報告書は「認証ガス」の正当性について重要な疑問を提起し、「メタンガスの最大認証機関の一つであるProject Canary社が販売するモニターによる石油・ガス汚染の検出」に重大な欠陥があることを示した。認証ガスに関する主張と使用については、米国の上院議員グループが米連邦取引委員会に異議を申し立てている

バリューチェーン上流での採掘は、私たちの環境をあらゆる面で汚染し、最前線のコミュニティに甚大な被害をもたらすとともに、世界各地で発生している深刻な気候災害を悪化させている。現実には、ガス認証やメタンガス工場のCCS事業は、気候危機に対する偽りの解決策でしかない。例えば、キャメロン郡で提案されていたリオ・グランデLNGのCCS事業は、上流と下流の両方での排出を含めて算出された事業のライフサイクル排出量の約3%しか回収できない。

コミュニティのリーダーたちは日頃からネクストディケイド社の主張に異議を唱え、また同社がウェブサイトに掲載している単純な概要以上の詳細な計画を共有していないと批判している。ネクストディケイド社は、FERCの監視官にも計画を伝えることを怠っていた。

控訴裁判所は8月の判決において、FERCが事業の環境影響を評価する前に、ネクストディケイド社がCCSの計画を共有する必要があったというコミュニティリーダーたちの意見に同意した。これに対しネクストディケイド社は、「現時点ではFERCの審査を継続できるほど十分に開発されていない」として、CCSの申請を取り下げた 

ネクストディケイド社のウェブサイトより “NextDecade Withdraws Carbon Capture and Storage Application at FERC”, 2024年8月20日

https://investors.next-decade.com/news-releases/news-release-details/nextdecade-withdraws-carbon-capture-and-storage-application-ferc/

コミュニティリーダーたちが予想していたとおり、CCS提案はごまかしにすぎなかった。ネクストディケイド社がこの疑わしいCCS提案をあっさりと取り下げたことは、同社の野心的な気候目標に対する真摯さに疑問を投げかけるものである。

幸いにも、控訴裁判所はネクストディケイド社がCCS提案を撤回する可能性を予期し、たとえCCS事業が中止されたとしても、FERCが「リオ・グランデ基地を再承認する前に、少なくとも補足的な環境影響評価書(EIS)を通じて提案を代替案として分析しなければならない」という判決を下した。

ネクストディケイド社と三菱重工との間で結ばれたCCSに関するエンジニアリングサービス契約の行方は不明である。

リオ・グランデLNGのCCS事業は、リオ・グランデLNGと長期売買契約を結んでいるフランスの多国籍電力・ガス会社エンジーとの関係にとって重要であった。エンジー社は2020年にネクストディケイド社とのCCSなしの同様の契約を拒否していた。ネクストディケイドの子会社で、CCS事業の実施主体であるネクスト・カーボン・ソリューションズ社の今後についても不明である。

州道48号線沿いの自然、テキサス州ブラウンズビル、2017年  ©︎ Joseph Fry 

より公正なエネルギー移行への資金提供を

CCSはコストが高く、また再生可能エネルギーへの投資を奪うことになる。現在のCCS技術は、建設にも運用にも莫大なコストがかかり、政府からの多額の補助金なしには実現不可能である。現在提供されている非常に高水準の補助金をもってしても、ほとんどの事業は依然として採算が取れていない。CCS事業に投入されている税金の額が、化石燃料ベースの発電所の風力や太陽光による発電能力(の強化のため)の補助金として使用されれば、風力または太陽光による発電能力を即座に5倍以上にすることが可能である。

銀行が気候変動と人権に真摯に取り組むのであれば、このような不誠実なグリーンウォッシュを見抜き、より公正なエネルギー移行への資金提供に注力すべきである。

リオ・グランデ・バレーと米国メキシコ湾岸のコミュニティには、汚染度の高い化石燃料から解放された未来を手に入れる権利がある。

MUFGにリオ・グランデLNG支援停止をアピール、日本で活動する環境NGOと共に 2024年10月©︎ RAN / Masaya Noda

参考

RANプレスリリース「危険なLNG事業を支援する邦銀に要請、 米メキシコ湾岸の住民代表団が初来日」2024/10/8)

10月記者会見資料「LNG/メタンのリスクと日本の金融機関の役割」

FCCJ会見のアーカイブ映像

本ブログは、英語記事“GREENWASHING ALERT: NextDecade Cancels Carbon Capture” (2024年10月1日)の和訳版です(2024年12月17日投稿)。

 

ルース・ブリーチ(RAN気候変動&エネルギー担当 シニア・キャンペーナー)

米環境NGO「レインフォレスト・アクション・ネットワーク(RAN)」で、世界的なメタンガス拡大に焦点を当てた活動を担当。化石燃料の採掘阻止を目的に、金融と企業責任に関するキャンペーンの組織化、化石燃料インフラの影響 を受ける最前線のコミュニティへの支援、全米の草の根ネットワークを対象とした直接行動トレーニング、銀行や保険会社とのエンゲージメント(対話)などに取り組んでいる。学術誌や多数の報告書の共著者でもある。

川上 豊幸(RAN日本シニアアドバイザー)

経済学博士。専門は国際環境経済学。聖心女子大学現代教養学部国際交流学科教員。2005 年にRAN の日本代表として事務所を設立し、豪州タスマニアの原生林保護に取り組んだ。その後、インドネシアの熱帯林保護活動に取り組み、森林と森林に依存して生活する人々への悪影響是正に向けて、紙パルプやパーム油業界、金融業界への働きかけを行っている。2023年12月より現職。