サンフランシスコに本部を持つ米国の環境NGO RAINFOREST ACTION NETWORKの日本代表部です

プレスリリース:危険なLNG事業を支援する邦銀に要請、 米メキシコ湾岸の住民代表団が初来日(2024/10/8)

日本の金融機関に健康、文化、経済、野生生物を脅かす化石燃料事業への支援停止を訴え

(東京)10月7日から10日、米国テキサス州リオ・グランデ・バレーの活動家であり地域住民の代表が初来日しています。代表団は来日中、米国南部メキシコ湾岸地域のLNG(液化天然ガス / メタンガス)事業と関係がある日本のメガバンクおよび保険会社と東京で会合を持つ予定です。※写真を更新(10月10日)

東京・日本外国特派員協会での記者会見、2024年10月7日

三菱UFJフィナンシャル・グループ宛の署名数を手に会談に向かう代表団、2024年10月9日

代表団 3名

・フアン・マンスィアス(テキサス州カリゾ・コメクルド族チェアマン)
・ベッカ・ヒノホサ(南テキサス環境正義ネットワーク共同創立者)
・ディナ・ヌニェス(南テキサス人権センター シニア・オーガナイザー、Vecinos para el Bienestar de la Comunidad Costeraシニア・オーガナイザー)

代表団は、米環境NGOレインフォレスト・アクション・ネットワーク(RAN)とともに、日本の保険会社および三菱UFJフィナンシャル・グループ(MUFG)などメガバンクの代表者と面会し、先祖伝来の故郷の土地を破壊し、地域のエコツーリズムを衰退させ、絶滅危惧種を脅かす大規模なLNG(メタンガス)事業(※)への支援停止について話し合う予定です。(※)リオ・グランデLNG輸出施設、テキサスLNG輸出施設、リオ・ブラボー・パイプラインの3事業

代表団のコメント

フアン・マンスィアス
「企業はこの土地を占拠しようとしています。化石燃料で富を得るお金持ちのためにです。LNG事業は私たちの空気や水を汚染し、先祖代々の土地を冒涜します。企業はこの土地を破壊しようとしています。しかしそのためには、私たちの民族を滅ぼさなければなりません。私たちはそれを許しません。私たちはもう脅しには屈しません」

日本のメガバンクであるMUFG、みずほフィナンシャルグループ、SMBCグループは、リオ・グランデLNG輸出基地を含め、LNG拡大企業への資金提供で世界の上位にあります。世界主要60銀行への資金提供(融資・引受)を分析調査した「化石燃料ファイナンス報告書」(Banking on Climate Chaos )によると、メガバンク3行は2023年単年とパリ協定以降の提供額の両方で上位10社に入っています。メガバンクには、メタンガスの新規および拡大事業への支援を除外する方針はなく、問題の多い化石燃料からの脱却を顧客企業に促す方針もありません。これはオランダのING銀行が発表した、2026年までにLNG(メタンガス)への投資を段階的に停止するという新方針や、フランスのラ・バンク・ポスタルが発表した、2022年までにすべての化石燃料への投資を停止するという方針とは対照的です。上記報告書によると、アジアの銀行は、気候変動や人権に関する方針において欧州の銀行に遅れをとっています。

ベッカ・ヒノホサ
「これらのメタンガス事業は、地元の低所得者層や野生生物に多大な汚染による危険をもたらします。それは否定できません。私たちのコミュニティはすでに、これらの事業に対する訴訟に勝訴しています。しかし、リオ・グランデLNG輸出施設は法の抜け穴を理由に、いまだにコンクリートを流し、神聖な野生生物の生息地を更地にしています。日本企業は、これらのLNG事業への支援をやめるべきです。そうすれば、事業を完全に停止させることができます」

人々が住み続けることのできる気候を実現するために、金融機関は化石燃料への資金提供を段階的に減らしていかなければなりません。しかし、前述の「化石燃料ファイナンス報告書」によると、銀行は2023年に化石燃料産業に7,058億米ドルの資金提供(融資・引受)を行ない、誤った方向に進んでいます。そのうち、1,209億ドルがLNG(メタンガス)拡張事業に使われています。リオ・グランデ地域のLNG(メタンガス)施設のステークホルダー(利害関係者)からなる代表団は、東京を訪れ、大手金融機関がこれらの化石燃料事業への支援を停止するよう要求する予定です。

ディナ・ヌニェス

「強力な組織化と、地域社会の意思の強い人々のおかげで、ワシントンD.C.(米国コロンビア特別区控訴裁判所)が3つの事業への承認を取り消すという良い判決が下されました。私たちは、リオ・グランデLNGのような巨大事業を打ち負かすことができるとわかっています。そして今、私たちは日本企業が正しい決断を下すよう求めます。そして、このような有害な採取事業への資金提供や支援を廃止するよう求めます」

LNG(メタンガス)に関する日本の金融が及ぶ範囲は、メキシコ湾岸地域を超えて広がっています。日本は、LNG輸出施設への国際的な公的金融の世界最大の資金提供国です。2012年から2022年までに建設されたLNG(メタンガス)輸出施設と、建設中または2026年までに完成予定の輸出施設に提供された世界の公的金融の約50%を占めています。日本はメタンガスへの公的資金提供でも世界トップクラスであり、毎年平均で約43億ドルを提供しています。

英語版はこちら “Japanese Banks Backing Dangerous LNG/Methane Projects: Gulf Coast Community Leaders visit Tokyo to demand that Japan’s financial institutions stop supporting dirty fossil fuel projects that threaten their health, culture, economy and wildlife” 

東京・丸の内の記者会見場にて意気込みを見せる代表団、2024年10月8日

団体紹介

レインフォレスト・アクション・ネットーク(RAN)は、米国のサンフランシスコに本部を持つ環境NGOです。1985年の設立以来、環境に配慮した消費行動を通じて、森林保護、先住民族や地域住民の権利擁護、環境保護活動をさまざまな角度から行っています。

本件に関するお問い合わせ
日本チームマネジャー 関本 Email: yuki.sekimoto@ran.org

“Gulf Coast Residents Demand Japan Stop Supporting LNG Facilities” materials / 米メキシコ湾岸地域住民来日会見関連資料

【October 7th, 2024】
Press Conference: Gulf Coast Residents Demand Japan Stop Supporting LNG Facilities

Juan Mancias, Tribal Chair, Carrizo/Comecrudo Tribe of Texas
Rebekah Hinojosa, Co-Founder, South Texas Environmental Justice Network
Ruth Breech, Senior Campaigner for Climate & Energy, Rainforest Action Network

FCCJ website, Archived Video

Press Release

Presentation Slides

Speaker Biographies

2024 Update: Rio Grande Valley at Risk from Methane Gas Export Terminals

 

【2024年10月8日】
会見「米メキシコ湾岸住民、日本の金融機関にLNG施設への支援停止を要請」

フアン・マンスィアス氏(テキサス州カリゾ・コメクルド族チェアマン)
ベッカ・ヒノホサ氏(南テキサス環境正義ネットワーク共同創立者)
ディナ・ヌニェス氏(南テキサス人権センター シニア・オーガナイザー)
ルース・ブリーチ(RAN気候変動&エネルギー担当 シニア・キャンペーナー)
川上豊幸(RAN日本シニア・アドバイザー)

プレスリリース

プレゼン資料

参考資料「化石燃料ファイナンス報告書204 抜粋版」

登壇者経歴

金融機関・投資家向け説明資料「リオ・グランデ・バレー:液化天然ガス(LNG)輸出基地がもたらすリスク 2024年最新版」

 

Rainforest Action Network
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RAN日本代表部
東京都渋谷区千駄ヶ谷3-13-11-204 | Japan.ran.org

 

 

共同プレスリリース:環境NGO、東証プライム4企業に対して株主提案〜メガバンク全3社含む日本企業の取締役のコンピテンシーに関する開示を要求〜(2024/4/15)

国際環境NGO マーケット・フォース
特定非営利活動法人 気候ネットワーク
レインフォレスト・アクション・ネットワーク(RAN)

国内外の環境NGOとその代表者を含む個人株主は4月15日までに、金融、電力の2業界の4企業(三菱UFJフィナンシャル・グループ、三井住友フィナンシャルグループ、みずほフィナンシャルグループ、日本最大の発電会社・JERAの経営に大きく関与する中部電力)に対し、気候変動対策の強化を求める株主提案を提出しました。

我々は関連企業との対話を続けてきましたが、より一層の気候変動対策への注力を期待し、今年は企業の取締役会に焦点を当てた提案を提出しています。提出先企業の取締役会が、気候関連事業リスク及び機会の適切な監督を行う上で必要な能力あるいは人材を備えているか、株主が評価する上で必要な情報開示を求める議案となっています。

株主提案

昨年の株主総会シーズンで日本企業は過去最多の気候変動に関する株主提案に直面しました。近年、このような株主提案は環境NGOに限らず、国外の機関投資家や地方自治体からも提案されています。多様なステークホルダーが高炭素排出企業による気候変動対策の遅れに対して、広範囲に及ぶ悪影響のみならず、企業価値の低下を招くとの危機意識を共有し、行動に移しています。我々が提出した議案も機関投資家に幅広く支持されました。

メガバンク3社については、気候変動への公約及び気候変動リスク管理戦略を踏まえ、これらの実効性を株主が判断できることが重要です。化石燃料セクターの顧客の移行計画とパリ協定1.5℃目標との整合性について、メガバンク各社がどのように評価を行うか、そして当該セクター顧客がパリ協定に沿った信頼性の高い移行計画を作成しなかった場合、新規資金の制限を含む、対応措置をどのようにとるのかの開示を求めています。

提出先企業が抱える問題の要点は以下の通りです(業界ごと)

■メガバンク

「メガバンクの気候変動対策は1.5度に気温上昇を抑えるために科学が明確に求めている行動水準からいまだに大きく乖離しており、このことは企業価値をリスクにさらします。特に、石油・ガスへのファイナンス方針においてアジアの銀行を含む競合他社から大きく遅れをとり、高リスクの事業に資金を提供し続けており、リスク管理能力が問われています。我々の2つの提案が可決されれば、メガバンクの取締役会に気候関連の事業リスクと機会を監督する能力が備わっているか、またメガバンクが重視する高排出企業への移行エンゲージメントの実効性について株主が評価できるようになるでしょう。ひいては、メガバンクの気候変動対策の強化に繋がり、企業価値の維持・向上にも資すると考えます。」

(マーケット・フォース, 日本・エネルギーファイナンスキャンペーン担当, 渡辺瑛莉)

 

「メガバンクは、融資先の移行計画への評価体制が緩い点が問題です。気候危機下で効果的な管理を行うための取締役など経営レベルでの専門性が不足しているように見えます。結果として、1.5℃目標の達成を困難にするような事業計画を持っている企業にも融資が継続されたり、また、銀行としての方針や管理体制が不十分なのではないかと私たちは懸念しています。例えば、LNGセクターでの事業拡大を進める企業への資金提供を継続し、MUFGとみずほは先住民族の人権を侵害している米国のリオ・グランデLNG事業でも重要な役割を果たしています。3行とも、木質バイオマス発電事業や農業など高炭素セクターでの生物由来CO2排出量の集計も行なっていません。メガバンクにはネットゼロにコミットし、脱炭素社会へのシステム移行をサポートする金融機関として、融資先企業や政府の移行計画の妥当性を見極め、対処する管理能力が問われています。」

(レインフォレスト・アクション・ネットワワーク, 日本シニア・アドバイザー, 川上豊幸)

 

■中部電力

今年は特に『第7次エネルギー基本計画』についての検討が行われる重要な年です。中部電力およびJERAは、引き続き、水素・アンモニア、CCSの導入促進および原発再稼働で脱炭素を図るとしていますが、それらによる実質的な排出削減効果と経済性、さらに安全性の保障を鑑みれば、まったく解決策にはなっていません。根本的な方針転換をするには、会社経営を担う人たちに科学的知見を踏まえた判断をしていただく必要があります。真の脱炭素、再エネが主力となる社会に向かっていくには柔軟な考え方と思い切った転換が必要です。」

(気候ネットワーク, プログラム・コーディネーター, 鈴木康子)

 

「採掘から使用を含めた供給網全体で化石燃料からの脱却なしに気温上昇を1.5度以下に抑制することは極めて困難です。中部電力とJERAの移行計画は、1.5度目標のタイムラインに沿っているとは言えず、両社は大きな移行リスクを抱えるとともに気候変動の悪化を招こうとしています。中部電力の取締役会は真正かつ実効性のある移行計画を後押しする監督責任があり、今後厳しい目で見られることになるでしょう。そもそも、取締役会の気候リスク監督能力を株主が評価するための情報が不足しているのが現状です。」

(マーケット・フォース, エネルギーファイナンスアナリスト, 鈴木幸子)

 

株主提案の提出先企業に求める情報開示は、コーポレートガバナンス・コードの求め、及び投資家団体(CA100+やTPI等)、国際サステナビリティ基準審議会(ISSB)等を通じ、投資家が求める情報開示に合致しています。

また、株主提案を提出先となった企業は、座礁資産リスク(環境や市場、規制の変化で企業が将来的に減損処理する資産を抱えること)や訴訟リスク、ブランド価値の毀損など将来の企業価値に関する重大なリスクを抱えています。また、こうした企業が誤った戦略を取り続けると気候変動対策の妨げともなりかねません。

企業が我々の株主提案を真摯に受け止め、投資家の方々の後押しを受けて気候変動対策を強化するとともに情報開示を進めることが、企業価値の向上に繋がり、ひいては気候危機を防ぐ一助となるとして、ご理解を得られることを期待しています。

 

■ 株主提案に関する詳細 

メガバンク3社(こちらから)

中部電力 (こちらから)

 

■ 株主提案に関する特設サイト

各社への提案書および投資家向け説明資料は特設サイトからもダウンロードいただけます。

Asia Shareholder Action: https://shareholderaction.asia/ja/

 

■ 株主提案の内容に関するお問合せ先

□ マーケット・フォース(Market Forces)https://www.marketforces.org.au
日本語窓口(松木):TEL:+81-80-4395-8529
担当者:Antony Balmain E-mail: contact[@]marketforces.org.au
Tel: +81-80 4395 8529

□ 気候ネットワーク  
https://www.kikonet.org

東京事務所:TEL:+81-3-3263-9210
担当者:鈴木康子 E-mail: suzuki[@]kikonet.org

□ レインフォレスト・アクション・ネットワーク(RAN)
japan.ran.org

担当者:川上豊幸 E-mail: toyo[@]ran.org

記事:ホワイトハウス、LNG輸出の新規許可を一時凍結 ウォール街も後に続くべき(2024/2/13)

ジンジャー・キャサディ(レインフォレスト・アクション・ネットワーク)
フアン・マンシアス(米テキサス州カリゾ・コメクルド族)

(本記事は、米誌「Newsweek」に寄稿した記事の翻訳版です)

米国メキシコ湾岸の石油・ガス開発反対運動のリーダーたちは勝利を収めた。米政権が、液化天然ガス(LNG)として知られるメタンガスの輸出施設の新規認可を一時凍結するよう指示したのだ。メキシコ湾岸では、私たちの世代で最大の石油・ガス開発が計画されている。この一時凍結は、開発中止を求める地元住民やリーダーたちの請願に応えたもので、化石燃料拡大の時代の終焉を告げる画期的な出来事となり得る。開発中止の呼びかけはホワイトハウスで終わらず、漁民、公衆衛生の専門家、科学者、アメリカ先住民族、そして一般市民が、銀行保険会社にも、これらの開発事業を中止するようプレッシャーをかけている。

環境保護活動に反対する主張でよくあるものは、「利益追求」と「保全活動」は相反するという考えだ。つまり「利益追求」は本質的に経済にとって、ひいては人間にとって有益なものだが、「保全活動」は大気や土地、植物、水、野生生物を保護するが、人間の利益のためではないという論理だ。しかし、この主張は米国メキシコ湾岸の実情から遠くかけ離れている。ここで暮らす先住民族の文化には、「大地の健康」は「人々の健康」と同義で、切っても切り離せないという考え方がある。

彼らの考えが正しいことは明白だ。同地域では、土壌や大気の有害物質によって人々が命を落としており、一帯は「がん回廊(Cancer Alley)」という悪名高いあだ名で呼ばれているのだから。メタンガス輸出施設付近の地域住民が健康被害を被っていることや、化石燃料に起因する気候災害に世界中の人々が直面していることを考えれば、これらの事業に反対する道徳的根拠には、反論の余地がない。地域の生活に決定権を持つ人々に良心があるならば、利益、人々、環境の間の分断がこれ以上続くことを止めるだろう。これは多数を犠牲にして、少数と利益を共有する銀行や保険会社にも言えることだ。

メタンガスに反対する経済的根拠も高まっている。メタンガスの輸出は米国の一般家庭のエネルギー価格を引き上げ、メタンガス施設が建設される地域の先住民族や黒人、褐色人種のコミュニティの生活を破壊している。さらに、メタンガスの輸出は石炭よりも気候に悪影響を及ぼすという事実が、新たな調査によって浮き彫りになっている。メタンガスの供給が過剰になることは予測されており、その価格を破壊するだろう。全ての化石燃料の拡張事業は、メタンガス拡張事業に見られる負の傾向と同じ問題に直面している。

バイデン政権によるメタンガス輸出凍結により、提案段階にある12件の計画が停止される見込みだ。自然保護団体シエラクラブによれば、これは石炭発電所223基分の温室効果ガス(GHG)排出に相当する。米国にはすでに8つの既存のメタンガス輸出基地(ターミナル)があり、さらに7つの事業が建設中だ。建設中の事業には、テキサス州リオ・グランデ・バレーの未開発の海岸線での新規基地建設(訳註1)や、ルイジアナ州とテキサス州に所在する既存事業の拡張などが含まれる。投資家は、停止中の事業のリスクが大幅に高まったことを否定できないだろう。全てのメタンガス輸出拡大事業、特に民族の抹消(訳註2)などといった現在起きている重大な人権侵害を永続させるような事業は、中止を求めるコミュニティからのプレッシャーというリスクに直面している。

化石燃料セクターは、化石燃料を拡大する全ての事業を止めるよう求める業界アナリストやコミュニティのリーダーからの訴えを、無謀にも無視し続けている。金融機関や投資家は、そのようなセクターで、座礁資産市場の変動による投資の破壊、資金提供を通じて問題に加担したことによる法的リスクの増大といったリスクを負いながらギャンブルすることをやめなければならない。

銀行や保険会社は何十年もの間、化石燃料事業への資金提供による気候や地域社会への影響を無視してきた。メキシコ湾岸の反対運動のリーダーたちは、ウォール街に対して、ホワイトハウスと同様に行動することを求めている。しかし、金融機関は、黒人や褐色人種、先住民族のコミュニティに汚染被害をもたらすメタンガス事業への支援を取りやめていない。

LNG輸出認可を一時停止するというホワイトハウスの発表により、金融業者と投資家の選択肢は明確になった。化石燃料の拡大への支援を中止するなど、全ての人の生命を守るために必要な方針を策定するか、それとも、政府の規制にますます反するようになっているギャンブルを利益目的で続けるか、のどちらかなのだ。メキシコ湾岸と世界中の人々の命を救うために、今こそリーダーシップが必要だ。ウォール街はホワイトハウスの後に続き、大胆に行動しなければならない。

米環境NGOレインフォレスト・アクション・ネットワーク事務局長
ジンジャー・キャサディ

テキサス州カリゾ・コメクルド族チェアマン
フアン・マンシアス

*本記事で述べられている見解は執筆者個人のものです。

 

訳註1)リオ・グランデLNG事業の概要や問題点については、日本のNGO「環境・持続社会」研究センター(JACSES)がまとめたファクトシート(2024年4月発行)を参照のこと。

https://jacses.org/wp_jp/wp-content/uploads/2019/10/f3f4587241d5a547e73247c7eea46d96.pdf

訳註2)テキサス州の先住民カリゾ・コメクルド族は、アメリカ先住民族であるにもかかわらず、連邦政府から公認の先住民族としての法的地位や土地権などが認められていない。彼らは長年、この「民族の抹消」という深刻な人権侵害とたたかい、また先祖代々に伝わる土地を環境破壊などから守る活動を行ってきた。現在、彼らの聖地にメタンガス輸出施設やパイプラインが建設されるのを阻止するために、世界的なキャンペーンを展開している。彼らの活動の結果、輸出施設の建設が中止・遅延されたり、投融資を検討していた銀行が事業から撤退するなどしている。

(和訳版発行日:2024年9月3日)