サンフランシスコに本部を持つ米国の環境NGO RAINFOREST ACTION NETWORKの日本代表部です

‘気候変動’カテゴリーの記事一覧

Sustainable JapanでRAN「化石燃料ファイナンス成績表」が紹介されました(2018/3/30)

Sustainable Japan「【国際】環境NGO、世界主要銀行の2018年化石燃料融資状況報告書発表。メガバンク3行ほぼ最下位」(2018年3月30日付)〜RAN「化石燃料ファイナンス成績表」が紹介されました〜

「国際環境NGOのレインフォレスト・アクション・ネットワーク(RAN)、バンクトラック、シエラクラブ、オイル・チェンジ・インターナショナル、Indigenous Environmental Network、Honor The Earthの6団体は3月28日、世界主要銀行の化石燃料へ融資・引受状況をまとめた報告書「Fossil Fuel Finance Report Card 2018(化石燃料ファイナンス・レポートカード2018)」を発表した。記事を読む

プレスリリース:大手銀行、数十億ドルの資金提供を通じタールサンドの大規模な破壊と汚染に加担(2017/11/1)

プレスリリース

2017111日

エクストリーム化石燃料[1]インフラの拡大のための世界最大の銀行による無謀な融資は、

パリ協定の1.5°目標を深刻な危機に陥れる

サンフランシスコ、カリフォルニア – 今日発表されたレポートによると、商業銀行は、タールサンド部門への資金提供を続けており、2017年にはその金額が急上昇している。これはパリ協定の1.5°から2°未満という目標に合致しないレベルである。レインフォレスト・アクション・ネットワーク(RAN)と世界の11団体が発表した新レポート「タールサンドへの資金提供:民間銀行 vs パリ気候協定(Funding Tar Sands: Private Banks vs. the Paris Climate Agreement)」は、生産者とパイプライン企業へのタールサンド向けの資金提供が、2017年の現時点までで、既に2016年に実施した合計額より50%も多くなっていることを明らかにした。

「COPでは、各国政府はパリ協定の目標達成に向けて進捗を把握する準備を整えているが、銀行も同様に対応しなければならない。」とRANの気候・エネルギープログラムディレクター、パトリック・マッカリーは語る。「世界規模の銀行に対して、気候災害を回避し、先住民族の権利と人権を尊重するために表明された支援とその行動を整合させるような方針を直ちに確立するよう、我々は求めている。これには、タールサンド事業分野からの退出と、先住民族の権利尊重の方針強化を含めなければならない」。

タールサンドは、高い抽出コスト、市場投入の難しさ、巨大な埋蔵量、温室効果ガスの強度、地域環境や先住民族の権利への重大な影響、より低炭素集約度でより安価な代替物にすぐに代替できるという特徴を持つ独特の燃料である。しかし、この報告書で分析された33の銀行は、タールサンドに2017年だけで320億ドルもの資金を提供した。

「トランプ大統領は、パリ協定から米国が離脱すると発表した時、ある境界線を引いた。気温上昇を1.5℃に制限するというパリ合意の目標と、自身の政権との間にである。銀行は線のどちら側に落ちるか?JPモルガン・チェース社の最高経営責任者(CEO)は、この問題についてはトランプ氏に同意していないとしているが、この銀行はタールサンドの資産を取得する際に主要企業に融資し、今年、タールサンドへの資金提供を増やした。」とRANのエネルギープログラム調査コーディネーター、アリソン・カーシュは述べる。

JPモルガン・チェース社は、再度、米国銀行の中でタールサンドへの最大融資会社となり、彼らの融資方針の格付けはD +となり、この資金提供を抑制する防止策を明らかに欠いていると判明した。  「目標達成に必要なのは、早急な化石燃料の段階的廃止である。一方、世界最大級の銀行は、エクストリーム化石燃料の一つであるタールサンドの強化と生産拡大に資金を提供している。」とNGOのバンク・トラックの気候・エネルギーキャンペーンコーディネーター、ヤン・ルーベルは述べた。「このような危険な資金提供を制限する方針を持っている欧州の銀行がいくつかあるが、気候や倫理的な理由で必要となる、タールサンド拡大の支援を排除する堅実な方針が、ほとんどの大手銀行には欠けている」。

先住民主導の団体や草の根団体、欧州のNGO組織化などを通じた市民からの圧力を受けて、一部の銀行はタールサンドへの資金拠出を断念する方針を約束している。2017年10月、欧州第2位の銀行であるBNPパリバ社は、グローバルな銀行の新しい基準を確立した。この方針では、タールサンドについては、タールサンド事業が30%以上である企業を除外し、キーストーンXL[2]、トランスマウンテン[3]、ライン3[4]のパイプライン事業を含めてタールサンドのプロジェクト全体への資金提供を排除するとしている。

グリーンピースとオイル・チェンジ・インターナショナルによる補足的な報告書である「イン・ザ・パイプライン:タールサンド・パイプラインへの資金提供者のリスク(In the Pipeline: Risks for funders of tar sands pipelines)」は今週発表され、タールサンド・パイプラインへの資金提供による主要銀行の財務面と評判面での損害について警告を発している。この報告書は、法律面の課題、先住民族および地域社会からの反対、飲料水への脅威、経済的脆弱性など、3件の計画中のタールサンド・パイプラインに影響を及ぼすリスクを詳細に検討している。

 

[1]訳注:化石燃料産業において最も炭素集約度が高く財政的に危険で環境破壊的な部門であるエクストリーム・オイル(オイルサンド、北極・超深海の石油)、石炭採掘、石炭火力発電、そして液化天然ガス(LNG)輸出が、エクストリーム化石燃料と呼ばれている。

[2] 訳注:既に稼働中のキーストーンパイプライン(59万バレル/日)に 70万バレル/日の輸送能力を追加し、カナダ原油の米国向け輸入量を増加することを可能にする2,673kmのパイプライン計画

[3] 訳注:原油をカナダ西部アルバータ州から米国西海岸に送るための全長1170 kmのパイプライン計画

[4] 訳注:原油をカナダ西部アルバータ州から米国ウィスコンシン州に送るための全長1659kmのパイプライン計画

お知らせ:ブリーフィング・ペーパー「銀行:隠された高い炭素リスク」

 

本文書は、報告書「Banking on Climate Change: Fossil Fuel Finance Report Card」 とウェブサイトforestsandfinance.orgから必要な情報をまとめたものです。これらもご参照下さい。

 

2017年9月25日〜27日に、ベルリンで開催された国連責任投資原則(UNPRI)の会議の際に、レインフォレスト・アクション・ネットワーク(RAN)は、「銀行:隠された高い炭素リスク(Banks: High Carbon Hidden Risks)」と題するブリーフィング・ペーパー(英文のみ)を発表しました。

本ペーパーでは、大手銀行の多くが化石燃料と熱帯林減少に関与する莫大な投融資を行って気候変動を推進していることを指摘しています。化石燃料の利用推進が温室効果ガス(GHG)排出を推進することはいうまでもないですが、熱帯林減少によるGHG排出も世界の排出量の14〜21%を占めており無視できません。これは主にパーム油、紙パルプ、ゴム、木材、大豆、牛肉を得るための森林と泥炭地の転換によるものです。

ペーパーの中ではJPモルガン・チェース、シティバンク、HSBC、三菱UFJフィナンシャル・グループ、みずほフィナンシャルグループ、ドイツ銀行の8企業[1]を取り上げ、気候変動への寄与に関連する具体的な数値を示しています。

銀行は多くの場合、自社の業務を実施する上でのGHG排出量は公開していますが、他企業への資金提供の結果生じるGHG排出量は公開しておらず、それは自社業務分の100倍以上になることがあるといわれています。また、銀行が危険な新しい炭素排出プロジェクトに多額の資金を提供しているとしても、MSCI ACWI低炭素目標指数などの「責任投資」指標では銀行を「低炭素」と分類していますが、それは虚偽に当たります。そして、これらの銀行には、日本の年金積立金管理運用独立行政法人(GPIF)、野村アセットマネジメント、三井住友信託銀行、バンガード、ブラックロック、ステート・ストリートなどのPRIの署名機関が、株主や機関投資家として関わっています。

機関投資家には、持続可能で低炭素で公正な発展を支援するように議決権を行使することや、気候変動・森林減少・人権のリスクに関する徹底的な情報開示とデュー・ディリジェンスを支援する規制改革を推進すること等を求めています。

(なお、2ページと3ページは見開きで印刷することを想定しており、これらページの下方の表は1枚の横長の表です。)

 

[1] これら8企業は、①大規模な金融機関である、②化石燃料等に関与する投資が多額である、③アジア、ヨーロッパ、アメリカそれぞれの地域で地域を代表するような2企業ずつを取り上げる、という基準で選定された。

 

ブリーフィング・ペーパーはこちら

この文書の英文はこちら

 

 

緊急プレスリリース2020年東京オリンピックが気候変動に加担:熱帯林の利用は停止せず(2017/11/3)

2017年11月3日

緊急リリース

  • ブルーノマンサー基金
  • サラワク・ダヤク・イバン協会
  •                                                         レインフォレスト・アクション・ネットワーク
  •                                                             マーケット・フォー・チェンジ
  •                                                                        熱帯林行動ネットワーク
  •                                                                                 国際環境NGO FoE Japan

連絡先:

  • Peg Putt, Markets For Change, +61 418 127 580, peg.putt@gmail.com
  • Annina Aeberli, Bruno Manser Fund, +41 79 128 58 73, annina.aeberli@bmf.ch
  • Laurel Sutherlin, Rainforest Action Network (USA), +1 415 246 0161, laurel@ran.org
  • 川上豊幸:レインフォレスト・アクション・ネットワーク(日本) 03-3341-2022, toyo@ran.org

2020年東京オリンピックが気候変動に加担:
由来が明らかでない熱帯材利用
を認めたが、利用停止の誓約はせず
熱帯材の利用停止はせず、透明性向上の約束に影を落とす

 気候に重大な影響を与える熱帯林が急速に消滅しつつある中、2020年東京大会当局は、木材の供給源が不明のまま大会関連建設のために熱帯林を利用し続けると明言した。この意向表明は、東京大会の木材調達活動の合法性と持続可能性に対する深刻な懸念を表明した47のNGOにより署名された公開書簡への回答として行われた。 当局は、東京大会のための熱帯材の使用については、より透明なものにすると約束したが、NGOが「根本的に欠陥がある」と要求した木材調達コード改訂については拒否した。

「東京大会で熱帯材を継続して使用し、合理的なデューデリジェンスを拒否していることは、持続可能なオリンピックを開催するという日本の約束と矛盾している。」とレインフォレスト・アクション・ネットワーク(米国)のハナ・ハイネケンは述べ、また「当局は木材調達コードを改善する必要がある」と述べた。

今年4月、新国立競技場の建設現場でマレーシアの木材会社シンヤン社が供給した熱帯材合板が使われていることがわかった。 シンヤン社はこれまでマレーシアのサラワクで、手つかずの熱帯林の組織ぐるみの破壊、違法伐採、人権侵害に関与してきたと指摘されている企業である。

これに応えて、世界中の47のNGOが、今年9月11日に国際オリンピック委員会(IOC)と東京大会当局に書簡を送り、熱帯材及びその他の高リスクな供給源からの木材の使用の終了、使用される熱帯材の出所と量の開示、木材サプライチェーンの完全な追跡可能性と第三者検証、より強い木材調達ルール、他のすべての森林リスク商品に対する確固としたな調達要件の採用を要求した。

10月19日、東京オリンピック・パラリンピック競技大会組織委員会、日本スポーツ振興センター、東京都オリンピック・パラリンピック準備局が東京でNGOとの会合を持った。大会当局は、熱帯材を主原料とする型枠用合板の一部に対する明白な例外規定など、組織委員会の木材調達コードの弱点がいくつもあるにもかかわらず、この欠陥のあるコードの改訂を拒否し、コードの要件に準拠しているとして熱帯材使用を擁護した。

当局はさらに、サプライヤーは自らが供給した木材の出所を把握していることは求められておらず、コードは一方で国産材の使用を優先させる方針を打ち出しているものの、コンクリート型枠用合板の場合には持続可能な森林に由来する国産材の使用を優先させる必要はない、と認識していることが明らかになった。東京大会当局は、熱帯材使用についてより透明性を確保することを約束し、関連施設建設現場で使用される型枠合板について量および正当なデューデリジェンス(確認)プロセスを開示することに合意した。

「東京大会の決定は、責任ある形で製造された国産型枠合板が利用可能であるにもかかわらず、それを優先していないことは非常に残念だ。このことで、責任あるビジネスを行おうとしている日本企業に間違ったメッセージを送っている。」と、熱帯林行動ネットワークの原田公は語った。

日本は、熱帯材合板の世界第1位の輸入国で、その原料の多くはマレーシアとインドネシアの熱帯林から来ている。 日本の木材調達は合法性や持続可能性を確保できないことで、広く批判されてきた。東京大会に向けて、日本は、その調達基準をヨーロッパや米国のレベルに引き上げるチャンスがあったが、日本の従来のビジネス慣行を妨げないように妥協することを選んだ。」とマーケット・フォー・チェンジ(豪)のペグ・パットは述べた。

最近の研究は、熱帯林の劣化に警鐘を鳴らしており、その多くは破壊的な伐採によって引き起こされている。 アジア、南米、アフリカの熱帯林はこれまで温室効果ガスの吸収に重要な役割を果たしてきたが、その劣化が続いていることから、熱帯林が炭素排出の吸収源から排出源に転じていることが報告されている。 熱帯の森林の減少と劣化は、地球温暖化ガス排出量の約5分の1を占めている。

東京大会当局は苦情処理メカニズム(通報受付窓口)の構築を進めつつあるが、10月19日の会合で、その最終決定前に公の協議プロセスを行う意図はないと明らかにした。シンヤン社のサラワクでの伐採行為は先住民族の生活を脅かしており、東京大会での苦情処理の仕組みの欠如は、地域社会が救済を求める道筋を奪ってしまった。

ブルーノマンサー基金(スイス)のアニーナ・アエベリは、「大会施設の建設が始まってから1年近く経つにもかかわらず、苦情申し立てのメカニズムがなく、関連ステークホルダーとの協議にも消極的ということは非常に心配だ。」と述べている。

NGOは、日本が真に持続可能なオリンピック・パラリンピックを開催するには、紙パルプ、パーム油、ゴムなどの他の全ての森林リスク商品へのしっかりとした調達要件が必要であると主張している。

以上

プレスリリース:BNP パリバ銀行が、タールサンド、液化天然ガス及びパイプライン関連のビジネスを断つと発表(2017/10/11)

2017 年10 月 11 日

連絡先:川上豊幸 03-3341-2022、toyo@ran.org

先住民族団体と環境団体の連合組織からの圧力がかかる間での発表

パリ、フランス – 10月 11 日、BNP パリバ銀行 ―ヨーロッパで二番目に大きい銀行― は、シェ ール由来の石油・ガスや、タールサンド由来の石油に関連事業が主な事業活動としている企業と 取引を行わないことを発表しました。BNP パリバ銀行はまた、北極地域の石油やガスプロジェク トに資金を提供しないことを発表しました。

この発表は、レインフォレスト・アクション・ネットワーク(RAN)など 3 つの NGO により 歓迎されました。タールサンドや北極地域の石油やガスを含むエクストリーム化石燃料(注1)プロジェ クトは、今世紀末までに地球温暖化を 2℃未満に抑えるという目標遵守を不可能にするため、こ れら団体は、このようなプロジェクトの支援を撤退するよう銀行に圧力をかけてきました。

「BNP パリバ銀行の新たなコミットメントは、あらゆる大手銀行の最も包括的な石油・ガス政策 だ。タールサンド、シェールから水圧破砕(注2)された石油とガス、シェールガスの輸出を行う液化天 然ガス(LNG)ターミナルへの融資は、先住民族の権利蹂躙と気候の影響をもたらしてきた。こ れらを認識するための重要な前進といえる。」と、RAN のシニア・キャンペーナー、ジェイソン・ ディスターホフトは述べています。「他の銀行は BNP パリバ銀行に続いて、エクストリーム化石 燃料を止めなければならない。ダーティなエネルギーへの資金提供を続けるか否かは、気候変動 と人権に関する真剣さの重要な試金石となる。」と続けました。

同銀行の発表を歓迎した 3 団体、RAN、FOE フランス、Save RGV from LNG は、今年始めに 「BNP パリバ銀行 対 コミュニティと気候(BNP Paribas vs. Communities and Climate)」と 題する報告書を発行しました。その中で、テキサス州リオ・グランデ・バレーで LNG 輸出プロ ジェクトを支援したことで BNP パリバ銀行を非難し、また直接メッセージを伝えるためにテキ サスからパリへ銀行を訪問する先住民族代表団の調整にあたりました。 「私たちは、テキサス州の LNG が私たちの神聖な先住民族の土地を破壊し、地域社会への汚 染を広げ、天然の湾岸を傷つけることを大銀行に直接伝えるために、テキサスからフランスへ出 向いた」。Save RGV from LNGのレベカ・ヒノホサは述べています。「これは、化石燃料産業に 抵抗しているテキサスの先住民族と有色人種コミュニティの人々にとって大きな勝利だ。この戦 いは終わったわけではない。フランスの大銀行、Société Générale は、BNP パリバにならって、 当地域に計画されているリオ・グランデ LNG ターミナルへの支援を終わらせる必要がある。 」

BNP パリバ銀行は、今世紀末に地球温暖化を 2℃未満に保つことを目指すパリ協定に沿って、 資金提供および投資活動を行うと誓約しています。新しい方針の下で、BNP パリバ銀行は、 タ ールサンド、シェールガス、北極圏の石油プロジェクトに関連する新たな探査、生産、輸送、輸 出プロジェクトを支援しません。重要なことに、この銀行は、その業務の 3 割以上がこれらに該 当する事業となっている企業には資金提供しないことを誓約しています。

「BNP パリバは、これらの新しい発表で真のリーダーシップを発揮している。」と FoE フラ ンスのプライベート・ファイナンス・キャンペーン担当者ルーシー・ピンソンは述べています。
「北米のタールサンド、シェールガス、LNG プロジェクトによる影響の最前線にある先住民族の 支援のために活動しているグループにとって素晴らしいニュースだ」。

新しい発表の下で、BNP パリバ銀行はトランスカナダのキーストーン XLパイプライン、エン ブリッジの ライン 3、その他の北米のタールサンド・パイプラインのプロジェクトへの資金提供 をしないこととしています。 BNPパリバはまた、LNG 生産のための大部分のガスは水圧破砕さ れたシェールガスに由来すると計画されているため、北米の、テキサス州 LNG、その他の LNG 輸出ターミナルやガスパイプラインへの資金提供もしません。

「BNP パリバ銀行の発表は、三菱 UFJ、みずほ、三井住友フィナンシャルグループのような 銀行が米国からの LNG 輸出、それに石炭火力、非常に危険な石油開発とされるエクストリーム・ オイルに数千億円の資金を提供している日本の状況(注3)は全く違っていることを示している。日本 の銀行による投融資事業については、パリ協定の目標に合致しているとは言えない。」とレイン フォレスト・アクション・ネットワーク日本代表部の代表、川上豊幸は述べています。

 

注1 )エクストリーム化石燃料は、石炭採掘、石炭発電、 タールサンド、北極および超深海の油、液化天然ガス(LNG) 輸出を指す。

注2)水圧破砕は、地下の岩体に超高圧の水を注入して亀裂を生じさせる方法で、シェールガス、シェールオイル等 の採取に用いられる。天然ガスや石油の掘削の際は、特殊な砂粒や化学物質を添加した水が使われる。これらの方法での天然ガス採掘によるガス漏洩が数%発生するだけで、天然ガスは石炭と同等の温室効果ガス排出量にな ると推定されている。詳細は報告書「A Bridge to Nowhere」を参照

注3 )詳細は報告書「気候変動を加速させる銀行業務:化石燃料ファイナンス成績表2017レポート」を参照 http://japan.ran.org/?p=1075

みずほ銀行へ「無責任銀行ジャパン大賞2017」を株主総会前で贈呈

2017年6月23日

東京 —本日開催されたみずほフィナンシャルグループ(みずほFG)の株主総会で、NGO団体が抗議活動の一環として、みずほFGに「無責任銀行ジャパン大賞2017」を授与しました。 参加者たちは、株主に対し、みずほに危険な化石燃料、森林破壊、原子力への投融資の中止を求めるように呼びかけ、これらのリスクを管理するための包括的なESG(環境・社会・ガバナンス)方針の策定を求めました。 また、みずほFGが投融資ポートフォリオ全体におけるESGリスクを完全に開示するよう要請しました。 みずほFGの社員に扮したNGOメンバーが、「無責任銀行ジャパン大賞2017」という大きな受賞プレートを受け取り、他のメンバーは「みずほ:気候変動を加速させる銀行業務をやめよう」というバナーを持って行動に加わりました

この模擬授賞式は、NGO4団体レインフォレスト・アクション・ネットワーク、350.org Japan、FoE Japan、「環境・持続社会」研究センター(JACSES)が昨日発表した「みずほフィナンシャルグループに関する2016年 ESG評価レポート」調査結果を強調するために行われました。 レポートは、みずほの無責任な銀行業務が、深刻な気候変動を増幅させ、熱帯林を脅かし、人々の健康を危険にさらし、人権侵害を促進していることを示しています。 みずほFGは、これらの問題に対処するための強力な環境、社会、ガバナンス(ESG)方針を策定・採用する点において、世界の銀行に後れを取っており、投資の重大なリスクを株主に適切に開示することができませんでした。

「みずほは、化石燃料や熱帯林破壊に関与している炭素集約度の高い企業に数十億ドルの資金を投入しています。 株主は、これをみずほが適切に開示していない重大なリスクであることを知る必要があります。」と、レインフォレスト・アクション・ネットワークの日本代表、川上豊幸は述べています。

「今日の行動の目的は、気候変動を加速させ、社会や環境問題を引き起こしているみずほFGの無責任な投融資行動に焦点を当てるためです。 みずほFGは責任ある投融資を行い、パリ協定で定められたように気温上昇を2℃以下に抑えるために、化石燃料への資金を削減すべきであります。」と、350.org Japan代表の古野真は述べています。

「みずほFGが資金を提供している幾つかの化石燃料プロジェクトにより、地元の人々の人権が侵害され、生計手段が破壊されている」とFoE Japanの深草亜悠美は語り「これらのプロジェクトがもたらしている負の影響を直視し、融資者として責任を負う必要がある。」と続けました。

NGO団体は、ESG評価レポートを株主が総会会場に入る際に配布しました。レポートでは、みずほFGは2011年と2016年の間に、三菱UFJフィナンシャル・グループ(MUFG)と三井住友フィナンシャル・グループ(SMFG)をはるかに上回る、日本の化石燃料関連企業に380億ドル(約4兆円)以上の融資と引受けを行ったことが報告されています。 同じ時期に、東南ア
ジアの熱帯林を脅かす企業に40億ドル(約4456億円)以上の融資と引受けを行い、日本の原子力関連会社には約80億ドル(約8912億円)を拠出しました。 この報告書は、みずほのポー
トフォリオにおけるいくつかの問題点を浮き彫りにしています。そして、財務ポートフォリオ全体における重要なESGリスクに関する情報開示、気温上昇を2度未満に抑えるという目標達成に向けたポートフォリオの投資先・融資先企業における炭素排出量削減ロードマップの策定、包括的なESG方針の発表をみずほFGに要請することなど、みずほFGの株主に対する具体的な提案を記載しています。

ダウンロードは:

・みずほフィナンシャルグループに関する2016年ESG評価レポート(英文・和文):www.ran.org/mizuho_riskyinvestment

・みずほフィナンシアルグループへのメッセージ送信サイト(英語):