サンフランシスコに本部を持つ米国の環境NGO RAINFOREST ACTION NETWORKの日本代表部です

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インドネシア人権委員会、先住民族土地権と企業の国有林開発の画期的調査結果発表

緊急リリース   2016年 3月17日 水曜日

連絡先: Lafcadio Cortesi, Asia Director for RAN: lafcadio@ran.org

レインフォレスト・アクション・ネットワークは投資家や国際市場への影響を強調

ジャカルタ –本日、インドネシア国家人権委員会による先住の権利と土地紛争に係る調査の最終報告と勧告が公開された。

このような調査は初めて行われたものであり、この調査は、5つの州の先住民族コミュニティと伐採・パルプ・パーム油及び鉱山に関与する会社との間の数十の紛争事例についての、文献調査、法的分析、直接のヒアリング等の2年間に及ぶプロセスに基づいている。事例はインドネシア群島にまたがっており、レインフォレスト・アクション・ネットワーク(RAN)が森林破壊や土地収奪に関与しているとして積極的に監視しキャンペーンを展開している対象企業が含まれている。そうした企業として、おそらくFirst Resources and Toba Pulp Lestari (TPL)も含まれる。

委員会の調査では、企業とコミュニティ間の紛争の事例を、アダット(adat)-あるいは慣習林-は国有林とは区別されると認めた2012年憲法裁判所の判決35に照らして、レビューしている。その歴史的な判決は、コミュニティは彼らの伝統的な土地について権利を有し、アダットの森林は国有林として分類されるべきではないということを認めている。これは、コミュニティの同意無くこれらの地域にライセンスを与えることは違憲の可能性が高いことを意味している。提言の概要では、インドネシア大統領に先住民族の権利を担当する新たな政府機関を確立することが求められている。

今日の報告書の発表を受けて、レインフォレスト・アクション・ネットワークのアジア・ディレクター、ラフカディオ・コルテシ氏は、以下の声明を出した。

「国家人権委員会の調査結果は、彼らの土地を取り戻すために闘っている先住民族コミュニティのためだけでなく、インドネシアの人々、それに紙、パーム油、その他の商品の海外の投資家・顧客のためにも非常に重要である。これらの製品の多くは、コミュニティの人々の権利を侵害し、彼らの同意無くしにコミュニティから取り上げた土地から来ており、委員会の報告書の内容を考えるとインドネシアの憲法に違反している可能性が高い。このことは、企業が商品生産のためにその管理下においた土地の多くは、返還または補償しなければならなくなることから、巨大な商業的な意味合いを持っており重大なリスクを示している。将来的には、このことはまた、今まで実践されてきた標準的な投資と開発モデルは、多くの場合、コミュニティの権利が尊重されるように変更される必要があることを示している。」

以上

アジア・パルプ&ペーパー(APP)が問題のない企業となるまでには長い道のり

 緊急リリース(仮訳)

  201624

連絡先: Emma Rae Lierley, Emma@ran.org, 425.281.1989

成果の欠落、環境破壊、紛争、不透明な企業ガバナンス

-精査と独立した進捗検証が必要

サンフランシスコ- 2月4日 紙・パルプの巨大企業アジア・パルプ&ペーパー (APP)は、改善された森林・泥炭地管理、土地紛争、社会問題、景観の保全修 復の進捗 状況を述べた前向きで画期的な森林保全方針(FCP)を出してから3周年を迎えた。 しかし、地域社会、森林・泥炭地や森林ガバナンスのための現場で改善された成 果は見られず、転換し報酬を得るのに値するとAPPが語っていることは誤っている。

RANのアジア部長であるラフカディオ・コルテシ氏は述べている。「2015年にもさまざまな事件が起こり現在も土地紛争が続いていることから、同社が被害の 歴史を改善して問題の無い業者となるためには、中長期的な時間軸での努力が必要だ。長い道のりになるだろう」 。

2015年には以下のようなことが起こった。

•   2015年2月、APPの子会社ウィラカルヤ・サクティ(PT WKS)との土地紛争に関与していた22歳のコミュニティのリーダーと農民組合の主宰インドラ・ペラ ニ氏は、ジャンビ州の会社の警備員によって拘束され殴り殺された。

• 数ヶ月後、制御不可となった有毒な煙と煙霧は、公衆衛生の危機を引き起こし、インドネシアと地域全体の壊滅的な社会的、経済的影響を与えた。火災管理 の法 的義務にもかかわらず、APPおよび供給業者の開発事業権付与地域内では他 の企業やグループよりもはるかに多くの火災が発生しており、政府、市民社 会、シンガポールのスーパーマーケットによる法的措置やボイコットの対象となった。

・8月に、APP社はリアウ州と南スマトラ州において回復のために泥炭地7000haを保持する立派な約束を行った。11月に4000以上のダム建設を報告したが、それはAPP社が保有している泥炭地の1%以下でしかない。

「先住民族や地域社会の土地を十分に認識しなかったこと、そしてその境界を定めることに失敗したことにより、APPはその開発事業権付与地域で社会的対立と不 平等という遺産を引き続き有している。2015年のレインフォレスト・アライアンスによってその約束の実現に関する同社の進捗 が評価されたが、そこで彼らの 開発事業権付与地域では数百の紛争があることが判明した。」

「APPは、紛争の一覧表を作り分類し優先順位を決定するシステムを開発した。そしてそれらを解決するための行動計画を策定し実行するためにコ ンサルタント と共に仕事を進めている。しかしこのシステムの信憑性と有効性には疑問が残る。」

「APPは行動計画の内容を開示しておらず、また、そのような計画ではコミュニティの選出された代表者がその開発に関与すること、またコミュニ ティが独立 した情報や専門家の法務、財務、および他のアドバイスを容易に得られる状態であることが提案されたがそれらには応えていない。このシステムが、紛争解決につながっているかどうかはまだ不明である。そして第三者の調停や市民社会が関与している紛争解決のほんの一握りのケー スにおいてすら苦情が提出されて おり多数の不規則行為が明らかになっている。」

「これらの懸念にもかかわらず、APPは、オキ・ミル・コンプレックス-南スマト ラにあり世界最大級の一つとされる-と共にその紙パルプ生産能力を拡大している。APPが、現在の操業が直面している多くの課題に取り組む前に、また紙パルプ増産のために長期的に十分な木材供給ができることを明らかにする前に増産計画を進めようとしていることは重大な懸念である。」

「これらの出来事と判明した事実は、同社が、社会的・環境的に責任を持てる企業になることはもちろん、問題のない企業になるまでには長い道のりがあることを示している。」

「第三者が企業の実績について独立した結果重視の評価基準を設定すること、そしてこれら評価基準を用いた独立のモニタリング・検証プロセスを確立し実施することが緊急に必要である。」

 

セミナーのご案内 (10月14日):熱帯林を危険にさらす産品と責任ある投融資

熱帯林を危険にさらす産品と責任ある投融資
〜木材、パーム油、紙・パルプ事業での合法性とESGのより良いリスク評価の必要性〜

<本セミナーは、終了しました。セミナー開催報告をご覧下さい。>

世界で残存するアフリカ、中南米、東南アジアの熱帯雨林は急速に失われつつあり、生物多様性の減少、地球温暖化、先住民族や地域住民や労働者の権利侵害等を引き起こしています。

金融機関は、熱帯林を危険にさらす商品、すなわち木材、パーム油、紙・パルプ事業等に関わる顧客企業へ多額の投資・金融サービスを提供することによって、大きく、熱帯林セクターでの違法行為のリスクと環境・社会・ガバナンス(ESG)リスクにさらされています。森林減少、違法伐採、汚職、土地紛争、強制労働、児童労働などに関与している企業への投融資のリスクが含まれます。世界最大級の政府系ファンド、ノルウェー政府年金基金、などの機関は対応し始めています。当該基金は、森林減少のリスクを理由に約50社への投資を引き上げ、その内、約半分はパーム油と関係している会社でした。

ESGリスクに対処することは、新たに施行されたスチュワードシップコードおよびコーポレート・ガバナンス・コードでの課題となっています。本セミナーでは、熱帯林セクターにおける違法性・ESGリスクの特定、軽減に必要な情報やツールをお伝えします。

開会挨拶: 荒井 勝/NPO 法人社会的責任投資フォーラム(JSIF)会長、責任投資原則 (PRI) ボードメンバー

スピーカー: 

ベン・リドリー(Ben Ridley) /クレディ・スイス、サステナビリティ部 アジア太平洋地域代表

  金融取引に関連する環境や社会(労働、コミュニティ)問題の技術面・評判面でのアセスメントを含めた持続可能性課題の管理責任者

トム・ピケン(Tom Picken)/レインフォレスト・アクション・ネットワーク 森林と金融シニア・キャンペーナー

ハナ・ハイネケン(Hana Heineken) /グローバル・ウィットネス シニア・アドバイザー

コメンテータ: 河口 真理子/大和総研 調査本部 主席研究員

モデレータ: 後藤 敏彦/サステナビリティ日本フォーラム 代表理事

【日時】   2015年10月14日(水)13:30~17:30/受付開始13:00

【会場】   大手町ファーストスクエア カンファレンス (東京都千代田区大手町1-5-1大手町ファーストスクエア イーストタワー2F)

【最寄り駅】東京メトロ 「大手町駅」C8/C11/C12 出口から直結、JR「東京駅」丸の内北口から徒歩4分

http://www.1ofsc.jp/common/pdf/access_map.pdf

【主催】   レインフォレスト・アクション・ネットワーク、グローバル・ウィットネス

 レインフォレスト・アクション・ネットワーク(RAN)は、森林とそこに暮らす人々の人権の保護のために1985年に設立された米国のNGO。サンフランシスコ、東京、ロンドン、ジャカルタにスタッフを置く。2000年に、米国の金融機関への働きかけを開始。RANの活動を通じて、シティバンクを皮切りに多くの金融機関が赤道原則を超えるレベルで融資方針等を採用することとなった。

 グローバル・ウィットネス(Global Witness)は、木材や鉱物等の天然資源への需要、汚職、武力紛争と環境破壊との関係性を明らかにするために1993年に設立された英国のNGO。ロンドン、ワシントンDC、北京に事務所を置く。紛争ダイヤモンドに関する活動により、2003年にノーベル平和賞にノミネートされた。

【協力】   PRI日本ネットワーク(責任投資原則(PRI))、Fair Finance Guide Japan

【問い合わせ先】レインフォレスト・アクション・ネットワーク日本代表部 川上

TEL: 03-3341-2022  FAX: 03-3341-2277

インドネシア伐採巨大企業エイプリル社、新持続可能性誓約発表の体制が整う

緊急発信 2015年6月1日
問い合わせ:エマ・リアレイ(Emma Lierley) 425-281-1989  emma@ran.org(英語原文

森林問題の活動家たちは注意深い楽観主義を表明。だが現場での結果こそが新方針を測る真のバロメーターとなる。 (さらに…)

プレスリリース:インドネシア木材合法性証明制度の抜け穴で、林産物製品の顧客は重大な危機に(2015/4/23)

国際的な購入企業と税関当局のための新たなレポートは、合法性検査システムはインドネシアの国内法および国際人権法を満たしているという十分な保証を与えていないことを指摘、追加的なデューデリジェンスが必要

カリフォルニア州サンフランシスコ – インドネシアの林産物製品の監査と認証システムは、依然として合法性を確保するには不適切であると、レポート「偽りの保証(FALSE ASSURANCES)」は指摘。レポートは、これら不十分な点に、どのように取り組んでシステムを改善し得るかを、具体的に勧告。

地域の法的権利を侵すことを避けたいと願う購入企業、輸入製品の合法性法制の実施を担当する関係当局は、製品がインドネシアの法律に適合していることの保証として、この検証システムにのみ頼ることを控えるべきである。 (さらに…)

APP社の誓約進捗状況への第三者監査レポート(RA社2月5日発表)の内容

APP社のFCP誓約から2周年にあたる2015年2月5日にレインフォレスト・アライアンスによるFCP誓約の進捗状況についてのレポートが発表されました。

レポートによれば、「APP 社がマップ化した他の数百の紛争の内、少数の割合(約 10%)は、覚書(MOU)や行動計画が作られたが、これらの紛争の大部分は残されたままである。多数の地元コミュニティや個人とのインタビューを含め、現場で集めた証拠によれば、先住民族や地域コミュニティとの合意の実施や行動計画、FPIC 原則の実施については、その進展は限定されたものでしかないことが示されている。」や「RA 社に対して、いくつかの紛争が確認されたコミュニティは、紛争マッピングの最終結果の情報が共有されていないと報告していた。管理地のスタッフによれば、土地紛争を優先事項として、解決に向けた活動を行うことについて、APP 社からの指示や指令がなされていないようだった。紛争当事者は、紛争解決への進展が遅いということを認めた。たった 1 カ所の先行プロジェクトが完了し、他の紛争の少数の事例で覚書(MOU)や行 動計画が立てられた。ただ、RA によりインタビューをした影響を受けている多数のコミ ュニティによれば、紛争は解決していないことを示しており、これら事例のほとんどで、 (例えば、もし実際に解決されたとしても)解決の正確な状態を最終的に明確にする証拠というものは、はっきりしていない。APP 社は全ての紛争のインベントリーの作成を完 了し、その対処を開始するプロセスとなっているが、多くの紛争が存在しており、これらの紛争を解決するためには、相当の作業が求められる。」と報告されています。

 社会紛争の進捗プロセスは、数百件の社会紛争の中で、1件のみが解決され、約1割で紛争解決プロセスへの合意が進められているものの、9割の紛争については、そうした段階にも達していないことが明らかとなった。さらに、その解決されたとする1件であるジャンビ州セニャランの事例では、本当に解決と言えるのかどうかも議論の余地がある状態であることが報告されている。

レインフォレスト・アライアンス社のレポート原文(英文)はこちら

社会紛争に関連する部分の抜粋部分の翻訳はこちら