オルタナにRAN川上豊幸が寄稿しました(2018/3/23)
オルタナ「東京五輪、パーム油調達基準が抱えるリスクと課題」(2018年3月23日付)〜RAN川上豊幸が寄稿しました〜
「3月16日、東京オリンピック・パラリンピック組織委員会(東京2020組織委員会)は紙とパーム油に関する調達基準案を作成しました。「持続可能性に配慮した紙の調達基準(案)」と「持続可能性に配慮したパーム油を推進するための調達基準(案)」が公表され、一般からの意見募集を3月30日まで行っています。記事を読む
サンフランシスコに本部を持つ米国の環境NGO RAINFOREST ACTION NETWORKの日本代表部です
「3月16日、東京オリンピック・パラリンピック組織委員会(東京2020組織委員会)は紙とパーム油に関する調達基準案を作成しました。「持続可能性に配慮した紙の調達基準(案)」と「持続可能性に配慮したパーム油を推進するための調達基準(案)」が公表され、一般からの意見募集を3月30日まで行っています。記事を読む
ブルーノマンサー基金
レインフォレスト・アクション・ネットワーク
マーケット・フォー・チェンジ
熱帯林行動ネットワーク
国際環境NGO FoE Japan
国内外のNGO5団体は本日16日、東京2020組織委員会が新国立競技場などの建設における熱帯材の調達状況を公開(注1)したことを受けて、環境・社会面のリスクの高い熱帯材が大量に調達されていることに遺憾の意を表しました。これはNGO44団体が2016年12月に公開を請求した調達木材に関する情報について1年以上経って、継続的な要請にようやく応える形で公表されました。平昌冬季オリンピックが世界の注目を集める中、東京大会の木材調達の持続可能性に関する以前からの懸念が、この開示によって裏付けられました。
写真:オリンピックアクアティクスセンター建設現場で使われているマレーシア・サラワク州産合板(2017年11月20日撮影)
マーケット・フォー・チェンジ(豪)のペグ・パットは「新たに公開された情報を見て、これまで使われてきた熱帯材の膨大な量に驚き、調達木材の持続可能性と合法性を確保する手続きが明らかに欠けていることを遺憾に思います。東京2020組織委員会が、オリンピック競技会場施建設に使用される熱帯材合板について情報を公開したことは歓迎しますが、同時に、東京大会の無責任な木材調達が環境・社会的影響をもたらす恐れがあるという深刻な懸念が裏付けられました」と訴えました。公開された情報によると、2017年11月末時点で、新国立競技場建設のために使用されたコンクリート型枠合板の87%以上がマレーシアおよびインドネシアの熱帯林に由来しています。
レインフォレスト・アクション・ネットワーク(米国)のハナ・ハイネケンは「使用されている木材の大半はインドネシアの熱帯林から切り出された非認証の合板です。インドネシアの熱帯林は森林伐採が急激に進む地域の一つで、生物多様性が脅かされている中心地です」と批判しました。
新国立競技場で使われる木材の約3%がマレーシアからの認証合板ですが、その持続可能性については非常に疑問視されています。NGOの調査(注2)では、マレーシアの伐採企業シンヤン社が供給したマレーシア産合板が、新国立競技場の建設現場で使われていることがわかっています。シンヤン社はボルネオの生物多様性のホットスポット破壊や先住民族の権利の侵害に関与し、以前には違法伐採にも関与したことで評判が悪い企業です。また東京2020組織委員会の発表は、オリンピックアクアティクスセンター、有明アリーナ、海の森水上競技場など他の施設でも同様に、マレーシアやインドネシアの熱帯材が調達されていると記載しています。
熱帯林の保護は、気候変動の抑制、生物多様性の保全、数百万人にも及ぶ先住民族や地元コミュニティの生活環境をささえるために非常に重要であるにもかかわらず、日本は依然として世界最大の熱帯材合板の消費国であり、インドネシアとマレーシアから2016年だけで約200万㎥の合板を輸入しています。ハイネケンは「2020年東京大会の施設建設のために、持続可能ではない熱帯材合板が使われることは、オリンピックの持続可能性への誓約を弱体化させます。オリンピック大会当局は、建設業界とその評判の悪い「従来通りのやり方(ビジネス・アズ・ユージュアル)」を優先し、持続可能性を犠牲にしようとしています」と懸念を述べました。
世界の森林減少は2016年に過去最高水準を記録しました。森林火災、農地開発、木材の伐採、鉱山開発を大きな原因として、2,970万ヘクタールの森林面積(ニュージーランドの総面積に相当)が失われました。インドネシアとマレーシアは2016年の森林減少面積の上位10カ国に入っており、その多くはパーム油やパルプ材の商業プランテーション開発が関係しています。急激な森林伐採は2017年も続いています。パットは「インドネシアとマレーシアからの木材製品の調達が高リスクであると考えると、東京大会当局が公表した情報では、大会関連工事で使用される木材が合法的かつ持続可能な方法で伐採されていることの有意な保証にはなりません。むしろ無責任な調達が大量に行われていることを露呈しています」と述べています。
FoE Japanの三柴淳一は「東京2020組織委員会の『持続可能性に配慮した木材の調達基準』の『持続可能性』は名ばかりで、その調達基準には反映されていません。熱帯林を破壊している企業からの合板の調達を禁止し、それらの企業が法制度や認証制度の不備につけ込むのをやめさせるために調達基準を強化しなければなりません。東京2020組織委員会は、透明性と説明責任を改善して強固なデュー・デリジェンスを確立し、持続可能な日本産の木材を積極的に使用するまで、信頼を得られないでしょう」と訴えました。
※詳細はブリーフィングペーパー「2020年東京五輪の熱帯材使用に関する公式な情報開示に対するNGOの解説」(2018年2月16日発行)をご参照ください。
注1)「『持続可能性に配慮した木材の調達基準』の実施状況に関するフォローアップについて:コンクリート型枠合板の調達状況について」(公益財団法人東京オリンピック・パラリンピック競技大会組織委員会、2018年2月5日)
注2)ブリーフィングペーパー「2020年東京五輪の熱帯材使用に関する公式な情報開示に対するNGOの解説」より
レインフォレスト・アクション・ネットワーク(RAN)
レインフォレスト・アクション・ネットワーク(RAN)は2月6日、APP社(アジア・パルプ・アンド・ペーパー)が「森林保護方針」を2013年2月に発表してから5年が経過したことを受けて、下記を発表しました。
インドネシア最大の紙パルプ会社、APP社(アジア・パルプ・アンド・ペーパー)は、2013年2月、“革新的”な「森林保護方針」(FCP)を新たに発表し、製紙原料生産のための天然熱帯林伐採を停止すること、また人権を尊重し、自社植林地の拡大が引き起こした数多くの地域コミュニティとの土地紛争に対処することを誓約しました。それから5年が経ち、一部では明らかな進展が見られました。しかし、APP社とその関連会社にはまだ長い道のりが残されています。泥炭火災や人権侵害など、深刻な環境・社会問題を未だに起こしています。さらに、透明性と説明責任の問題や、森林保護方針の実施速度と有効性は、依然として問題になっています。
これらの問題は、AP通信による先般の調査で浮き彫りになりました。その調査では、シナルマス・グループ(SMG)と同グループの紙パルプ事業を担うAPP社が、国内外の複雑な企業体制やその他の手法により、数多くの事業管理地を秘密裏にコントロールしていたことが明らかになりました。これらの事業管理地は、スマトラ島にあるAPP社の巨大なOKIパルプ新工場や他工場へ、現在、または将来的に原料を供給する可能性があります。SMG/APP社が秘密裏にコントロールしている事業管理地では天然林の伐採が疑われるほか、APP社が新たに木材サプライヤーとして加えようとしている企業の事業管理地では地域コミュニティから「自由意思による、事前の、十分な情報に基づく同意」(FPIC)を得られていないなどの問題があります。
SMG/APP社は、サプライヤー企業やサプライヤー候補企業は同社から分離していてコントロールはしていないと主張していますが、この主張が虚偽であることをAP通信の記事は示唆しています。これまでSMG/APP社は、この主張を様々な場面で都合よく利用してきました。シンガポール政府などには2015年に起きた壊滅的な火災の幾つかに対する責任を否定し、顧客や政府などには同社事業による社会的及び環境的影響の内容や程度を欺き、独立認証機関には改革努力の実施や業務改善を確認するための検証作業の範囲や内容についても誠実さを欠いた交渉だったのです。
またAP通信の記事では、SMG/APP社が投資家、株主、政府、一般の人々へ公開しているほとんどの重要な情報について、その内容と正確性を疑問視しています。記事で明らかになった新事実により、隠された関係の最終的な受益者について疑念が出てきており、規制や税制上での予期せぬ影響を及ぼす可能性があります。
SMG/APP社は、投資家、顧客、政府などから過去数年にわたって、また最近では関係再開を模索している森林管理協議会(FSC)から信用を取り戻そうと試みています。しかし、サプライヤー企業やサプライヤー候補企業とのつながりや管理についての誤解を招くような説明は、そのSMG/APP社の信用を損なってしまいます。
以下、AP通信の調査によって明らかになった2つの事例を考察します。
一つ目は、ボルネオのムアラ・スンガイ・ランダック(Muara Sungai Landak)社に関連する事例です。同社は、シナルマス社の従業員2名によって所有されています。AP通信は「(SMG/APP社が)森林伐採を停止するという誓約に間接的に違反している証拠」を、「ドローン写真と衛星画像から」、そして「熱帯林を伐採する際に支払う賦課金を追跡する政府記録から」発見し、2014年以降、著しい森林破壊が行われていることを明らかにしました。
二つ目は、バングン・リンバ・セジャテラ社(Bangun Rimba Sejahtera、BRS)の事例です。同社は、2013年に南スマトラ沖の小島、バンカ・ブリトゥン島にパルプ材用の産業植林地を開発する許可を得ました。BRS社はSMG/APP社から独立しているとされていますが、 実際はSMG/APP社によって設立されたようです。AP通信によると、同社は「2007年には、マルガレータ・ウィジャヤ(Margaretha Widjaya)氏によって所有されていた。同氏は、2002年から2008年にかけてシナルマス・フォレストリー社(Sinarmas Forestry)の副社長を務めており、また、SMG創業者の孫娘でもある。企業記録によると、BRS社は数年にわたって2層の持ち株会社に所有されており、これらの持ち株会社の住所には、シナルマス社の複数の事務所が登録されていた。また、企業のトップと株主にはシナルマス社の幹部が含まれていた」と報道されています。
BRS社が取得した事業管理地は、地域コミュニティが伝統的に所有してきた土地です。同社による管理は、地域コミュニティによって広範に反対されていて、わずか数週間前の2018年1月19日には、数千人もの地元住民が州知事事務所の前で集会を行い、BRS社の管理許可をインドネシア環境林業省が取り消すように要求することを知事に求めました。
BRS社の事例は、APP社がOKI工場に木材を調達するために供給源を拡大した最初のケースで、SMG/APP社とBRS社の関係についての虚偽に加え、影響を受けるであろう数多くの住民からは管理許可とパルプ材用植林計画についてFPICが得られていないことが明らかになっています。BRS社の管理に対する地域コミュニティと地元政府の反対を考慮しなかったことは、APP社が持続可能性についての誓約に反したということであり、また、法的義務にも違反した可能性があります。 昨年3月、BRS社に対する地域コミュニティの抗議に関して、インドネシアNGOと国際NGOの60団体が懸念を表明し、書簡をAPP社へ提出しました。しかし、APP社からの回答はないままです。
AP通信の調査結果は、森林破壊や地域コミュニティの権利侵害のみならず、巨大OKI工場の原料調達元を拡大するためにSMG/APP社が行っているその他の問題行為という高いリスクがあることを、紙の購入企業や投資家などに示しています。これは、投資家、購入企業、政府、認証機関、地域コミュニティへの警鐘です。
SMG/APP社は、これまで刑事告発、市場からの圧力、FSCからの絶縁措置という結果をもたらしてきた行為や被害を再び繰り返すのでしょうか? SMG/APP社の約束は信頼に値するのでしょうか? AP社の記事は、SMG/APP社のガバナンスに関する組織的な幅広い問題を示しています。これらの問題は、SMG/APP社を信頼して取引を始める前に対処されなければなりません。
私たちは、紙の購入企業、投資家などに対して、以下を要請するよう求めます:
・AP通信の調査結果について、独立した調査を完了すること。調査では、合法性、税制上の影響、受益者の全面開示、APP社の利害関係者が参加する合意形成のプロセスでの誤解を招く説明について検討することを含み、また、調査にはインドネシア政府も関与すること。
・SMG/APP社は、BRS社及びその他の事業管理地において、地域コミュニティのFPICの権利を尊重すること。この権利には、地域コミュニティの土地でパルプ材用植林地開発を拒否する権利も含むこと。また、SMG/APP社は、BRS社をサプライヤーとして認めず、BRS社を管理許可と事業管理地から撤退させること。
・SMG/APP社は、APP社の事業により影響を受けるすべての地域コミュニティの情報を公開すること。これには、APP社が解決済みであると主張する紛争に関わる地域コミュニティの情報も含むこと。
・SMG/APP社は、原料を供給しているサプライヤー企業とのつながりと関係性を全面開示すること。また、産業植林地事業権(HTI)を保有し、現時点ではAPP社の工場に木材や繊維を供給していなくても将来は供給する可能性があり、同社の元従業員や現在の従業員、その他提携先と関連がある企業とのつながりや関係性を全面開示すること。
レインフォレスト・アクション・ネットワーク(RAN)
「大会を通じて、環境や人権などを大切にする社会を体現できるか。2020年の東京五輪・パラリンピックに向けて課題も見える。
問題になっているのが、競技施設の土台のコンクリートを固める型枠に使う木材だ。新国立競技場の工事をする大成建設などは、「軒庇(のきひさし)」と「屋根集成材」は森林認証を得た国産材を使う方針だが、型枠にはマレーシア・サラワク州の熱帯林乱伐で地域の先住民と紛争が多発している企業「シンヤン」グループの合板が使われていた。記事を読む
ジャカルタ発 – レインフォレスト・アクション・ネットワーク(RAN)、インドネシアの労働権擁護団体OPPUK、国際労働権フォーラム(ILRF)によるレポート『紛争パーム油のヒューマン・コスト(人的損失) 改訂版:ペプシコ、銀行、持続可能なパーム油に関する円卓会議(RSPO)は、どのようにインドフードの労働者搾取を継続させているのか(The Human Cost of Conflict Palm Oil Revisited: How PepsiCo, Banks, and the Roundtable on Sustainable Palm Oil Perpetuate Indofood’s Worker Exploitation)』においては、ペプシコ社ブランドのスナック食品でのインドネシアで唯一の生産者である食品大手インドフード社が所有・運営する3つのアブラヤシ農園での現地調査と労働者へのインタビュー結果を示す。インドフード社への4大資金提供機関のうち3社が日本の銀行で、みずほフィナンシャルグループ、三井住友フィナンシャルグループ、三菱UFJフィナンシャル・グループである。
本日のレポートは、インドフードが所有する農園での労働酷使についての前回の報告のフォローアップである。最初のレポートは、ほぼ1年半前に出版された。今回のレポートでは、農園は児童労働や強制労働の発生リスクが高く、労働者は日常的に危険性の高い農薬にさらされ、賃金が最低賃金を下回り、中核となる業務の遂行に法律違反だが臨時労働者が充てられ、独立した労働組合の形成が阻止されていることなど、概ね状況が以前と同じであることが明らかになった。パーム油産業の主要な認証制度である持続可能なパーム油のための円卓会議(RSPO)によって「持続可能」と認証された農園での労働酷使は、全て文書で報告されており、これはインドフードとの合弁事業パートナーシップによりペプシコ社に関係している。
「パーム油産業における主要な認証として、RSPOはメンバー企業が説明責任を果たすように支えなければなりません。このような特有のリスクに直面している労働者の窮状を無視して、RSPOが労働酷使を認証し続けることはできません。」とOPPUKの専務理事、ヘルウィン・ナスシオン(Herwin Nasution)は述べている。「従業員は保護されて、本当に『持続可能な』パーム油を得られると思えるように、緊急の問題としてRSPOはインドフードに対しての苦情申立について行動し、その基準内容と監査体制の両方を強化しなければなりません」。
パーム油産業では労働酷使の状況が蔓延しているが、世界最大のパーム油生産者でインドネシア最大の食品会社であるインドフード社は同業者に後れをとっている。インドフードは、現在インドネシア最大の民間のパーム油企業であるが、自社の事業全体と独立サプライヤーを通じた方針の強化もなく、森林減少無し、泥炭地への農園拡大無し、労働者の権利及び人権の侵害無しという責任あるパーム油の新しいベンチマークとの合致のための業務慣行の改善もしていない。
「これら明らかになった事実は常軌を逸しています。インドフードの農園で起こっている労働酷使を、インドフード、RSPO、他の方は、ほぼ1年半の間知っていて、ほとんど何の変化もありませんでした。」とRANのアグリビジネス・キャンペーンディレクターであるロビン・アヴェルべックは述べた。「 この2回目のレポートは作成する必要はなかったはずです。 これらの労働者酷使に関係する者は、安価なパーム油のため悪質な労働者搾取を容認した者として記憶されるのか、あるいは、行動するするのか、決断が迫っています 」。
みずほ、三井住友、三菱UFJは、パーム油産業に関わる顧客企業による労働者の酷使や森林減少を防ぐといった誓約の公表もしておらず、同業他社と比較して大きな後れを取っている。これら3行は2017年9月30日時点で約1200億円の融資をインドフードに提供している。これら3行の最大株主でもある年金積立金管理運用独立行政法人(GPIF)もまたインドフードへの6番目の機関投資家となっている。
「この2回目の調査結果は動揺してしまうもので、インドフードのような企業に資金を提供し続けるのなら日本の銀行は責任ある企業とはいえないでしょう。」とレインフォレスト・アクション・ネットワーク(RAN)日本代表の川上豊幸はコメントした。「銀行は、その顧客企業を人権や労働権の規範に沿ったものにして行くのか、あるいは、関係を断つことによって、顧客企業の行動に対する責任を取らなければなりません。何もしないという選択肢はもはや無いのです」。
このレポートには、インドフードおよびその親会社であるファースト・パシフィックへの改革についての提言が含まれている。そして、ペプシコ社への提言、ネスレを含めインドフードとの他の合弁事業パートナーへの提言、そして長年にわたる労働者の権利侵害でインドフードに対して提起された苦情を未だ適切に解決できないRSPOへの提言も含まれている。また、インドフードに投融資する銀行と投資家は、ムシム・マス(Musim Mas)やウィルマーなど、インドフードからのパーム油を直接・間接に調達しているパーム油取引業者と同様に、何らアクションを取っていないことで、レポートで名前が挙げられている。
-本レポート(英文のみ)のダウンロードはこちら。
-レポートで使用されている高解像度の写真は、ご請求いただければ提供いたします。
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OPPUKはインドネシア、北スマトラのパーム油労働者の労働・生活状況に懸念を持つ学生運動と労働者によって2005年に設立されたインドネシアの労働団体です。OPPUKは労働者を組織し教育し、北スマトラとインドネシアの他地域でパーム油労働者の権利のための研究、政策提言、およびキャンペーンを実施しています。
レインフォレスト・アクション・ネットワーク(RAN)は、教育、草の根組織化、非暴力直接行動を通じて、世界市場を変革することによって、生命を維持する森林、その住民、自然システムのためのキャンペーンを行っています。
国際労働権利フォーラム(ILRF)は、世界中の労働者のために公正かつ人道的な環境を達成するための人権擁護団体です。ILRFは、子どもと強制労働、差別などの労働者の権利侵害を明らかにするために、労働組合とコミュニティベースの労働者の権利擁護団体と連携し、組織を作り団体交渉をしています。
連絡先: 川上豊幸 03-3341-2022 toyo@ran.org
2017年11月3日
緊急リリース
連絡先:
2020年東京オリンピックが気候変動に加担:
由来が明らかでない熱帯材利用を認めたが、利用停止の誓約はせず
熱帯材の利用停止はせず、透明性向上の約束に影を落とす
気候に重大な影響を与える熱帯林が急速に消滅しつつある中、2020年東京大会当局は、木材の供給源が不明のまま大会関連建設のために熱帯林を利用し続けると明言した。この意向表明は、東京大会の木材調達活動の合法性と持続可能性に対する深刻な懸念を表明した47のNGOにより署名された公開書簡への回答として行われた。 当局は、東京大会のための熱帯材の使用については、より透明なものにすると約束したが、NGOが「根本的に欠陥がある」と要求した木材調達コード改訂については拒否した。
「東京大会で熱帯材を継続して使用し、合理的なデューデリジェンスを拒否していることは、持続可能なオリンピックを開催するという日本の約束と矛盾している。」とレインフォレスト・アクション・ネットワーク(米国)のハナ・ハイネケンは述べ、また「当局は木材調達コードを改善する必要がある」と述べた。
今年4月、新国立競技場の建設現場でマレーシアの木材会社シンヤン社が供給した熱帯材合板が使われていることがわかった。 シンヤン社はこれまでマレーシアのサラワクで、手つかずの熱帯林の組織ぐるみの破壊、違法伐採、人権侵害に関与してきたと指摘されている企業である。
これに応えて、世界中の47のNGOが、今年9月11日に国際オリンピック委員会(IOC)と東京大会当局に書簡を送り、熱帯材及びその他の高リスクな供給源からの木材の使用の終了、使用される熱帯材の出所と量の開示、木材サプライチェーンの完全な追跡可能性と第三者検証、より強い木材調達ルール、他のすべての森林リスク商品に対する確固としたな調達要件の採用を要求した。
10月19日、東京オリンピック・パラリンピック競技大会組織委員会、日本スポーツ振興センター、東京都オリンピック・パラリンピック準備局が東京でNGOとの会合を持った。大会当局は、熱帯材を主原料とする型枠用合板の一部に対する明白な例外規定など、組織委員会の木材調達コードの弱点がいくつもあるにもかかわらず、この欠陥のあるコードの改訂を拒否し、コードの要件に準拠しているとして熱帯材使用を擁護した。
当局はさらに、サプライヤーは自らが供給した木材の出所を把握していることは求められておらず、コードは一方で国産材の使用を優先させる方針を打ち出しているものの、コンクリート型枠用合板の場合には持続可能な森林に由来する国産材の使用を優先させる必要はない、と認識していることが明らかになった。東京大会当局は、熱帯材使用についてより透明性を確保することを約束し、関連施設建設現場で使用される型枠合板について量および正当なデューデリジェンス(確認)プロセスを開示することに合意した。
「東京大会の決定は、責任ある形で製造された国産型枠合板が利用可能であるにもかかわらず、それを優先していないことは非常に残念だ。このことで、責任あるビジネスを行おうとしている日本企業に間違ったメッセージを送っている。」と、熱帯林行動ネットワークの原田公は語った。
日本は、熱帯材合板の世界第1位の輸入国で、その原料の多くはマレーシアとインドネシアの熱帯林から来ている。 日本の木材調達は合法性や持続可能性を確保できないことで、広く批判されてきた。東京大会に向けて、日本は、その調達基準をヨーロッパや米国のレベルに引き上げるチャンスがあったが、日本の従来のビジネス慣行を妨げないように妥協することを選んだ。」とマーケット・フォー・チェンジ(豪)のペグ・パットは述べた。
最近の研究は、熱帯林の劣化に警鐘を鳴らしており、その多くは破壊的な伐採によって引き起こされている。 アジア、南米、アフリカの熱帯林はこれまで温室効果ガスの吸収に重要な役割を果たしてきたが、その劣化が続いていることから、熱帯林が炭素排出の吸収源から排出源に転じていることが報告されている。 熱帯の森林の減少と劣化は、地球温暖化ガス排出量の約5分の1を占めている。
東京大会当局は苦情処理メカニズム(通報受付窓口)の構築を進めつつあるが、10月19日の会合で、その最終決定前に公の協議プロセスを行う意図はないと明らかにした。シンヤン社のサラワクでの伐採行為は先住民族の生活を脅かしており、東京大会での苦情処理の仕組みの欠如は、地域社会が救済を求める道筋を奪ってしまった。
ブルーノマンサー基金(スイス)のアニーナ・アエベリは、「大会施設の建設が始まってから1年近く経つにもかかわらず、苦情申し立てのメカニズムがなく、関連ステークホルダーとの協議にも消極的ということは非常に心配だ。」と述べている。
NGOは、日本が真に持続可能なオリンピック・パラリンピックを開催するには、紙パルプ、パーム油、ゴムなどの他の全ての森林リスク商品へのしっかりとした調達要件が必要であると主張している。
以上