サンフランシスコに本部を持つ米国の環境NGO RAINFOREST ACTION NETWORKの日本代表部です

‘プレスリリース’カテゴリーの記事一覧

お知らせ:APP社「森林保護方針」5周年について(2018/2/6)

レインフォレスト・アクション・ネットワーク(RAN)は2月6日、APP社(アジア・パルプ・アンド・ペーパー)が「森林保護方針」を2013年2月に発表してから5年が経過したことを受けて、下記を発表しました。

「森林保護方針」5周年となるAPP社の現状について、業界の方々へのお知らせ

インドネシア最大の紙パルプ会社、APP社(アジア・パルプ・アンド・ペーパー)は、2013年2月、“革新的”な「森林保護方針」(FCP)を新たに発表し、製紙原料生産のための天然熱帯林伐採を停止すること、また人権を尊重し、自社植林地の拡大が引き起こした数多くの地域コミュニティとの土地紛争に対処することを誓約しました。それから5年が経ち、一部では明らかな進展が見られました。しかし、APP社とその関連会社にはまだ長い道のりが残されています。泥炭火災や人権侵害など、深刻な環境・社会問題を未だに起こしています。さらに、透明性と説明責任の問題や、森林保護方針の実施速度と有効性は、依然として問題になっています。

これらの問題は、AP通信による先般の調査で浮き彫りになりました。その調査では、シナルマス・グループ(SMG)と同グループの紙パルプ事業を担うAPP社が、国内外の複雑な企業体制やその他の手法により、数多くの事業管理地を秘密裏にコントロールしていたことが明らかになりました。これらの事業管理地は、スマトラ島にあるAPP社の巨大なOKIパルプ新工場や他工場へ、現在、または将来的に原料を供給する可能性があります。SMG/APP社が秘密裏にコントロールしている事業管理地では天然林の伐採が疑われるほか、APP社が新たに木材サプライヤーとして加えようとしている企業の事業管理地では地域コミュニティから「自由意思による、事前の、十分な情報に基づく同意」(FPIC)を得られていないなどの問題があります。

SMG/APP社は、サプライヤー企業やサプライヤー候補企業は同社から分離していてコントロールはしていないと主張していますが、この主張が虚偽であることをAP通信の記事は示唆しています。これまでSMG/APP社は、この主張を様々な場面で都合よく利用してきました。シンガポール政府などには2015年に起きた壊滅的な火災の幾つかに対する責任を否定し、顧客や政府などには同社事業による社会的及び環境的影響の内容や程度を欺き、独立認証機関には改革努力の実施や業務改善を確認するための検証作業の範囲や内容についても誠実さを欠いた交渉だったのです。

またAP通信の記事では、SMG/APP社が投資家、株主、政府、一般の人々へ公開しているほとんどの重要な情報について、その内容と正確性を疑問視しています。記事で明らかになった新事実により、隠された関係の最終的な受益者について疑念が出てきており、規制や税制上での予期せぬ影響を及ぼす可能性があります。

SMG/APP社は、投資家、顧客、政府などから過去数年にわたって、また最近では関係再開を模索している森林管理協議会(FSC)から信用を取り戻そうと試みています。しかし、サプライヤー企業やサプライヤー候補企業とのつながりや管理についての誤解を招くような説明は、そのSMG/APP社の信用を損なってしまいます。

以下、AP通信の調査によって明らかになった2つの事例を考察します。

一つ目は、ボルネオのムアラ・スンガイ・ランダック(Muara Sungai Landak)社に関連する事例です。同社は、シナルマス社の従業員2名によって所有されています。AP通信は「(SMG/APP社が)森林伐採を停止するという誓約に間接的に違反している証拠」を、「ドローン写真と衛星画像から」、そして「熱帯林を伐採する際に支払う賦課金を追跡する政府記録から」発見し、2014年以降、著しい森林破壊が行われていることを明らかにしました。

二つ目は、バングン・リンバ・セジャテラ社(Bangun Rimba Sejahtera、BRS)の事例です。同社は、2013年に南スマトラ沖の小島、バンカ・ブリトゥン島にパルプ材用の産業植林地を開発する許可を得ました。BRS社はSMG/APP社から独立しているとされていますが、 実際はSMG/APP社によって設立されたようです。AP通信によると、同社は「2007年には、マルガレータ・ウィジャヤ(Margaretha Widjaya)氏によって所有されていた。同氏は、2002年から2008年にかけてシナルマス・フォレストリー社(Sinarmas Forestry)の副社長を務めており、また、SMG創業者の孫娘でもある。企業記録によると、BRS社は数年にわたって2層の持ち株会社に所有されており、これらの持ち株会社の住所には、シナルマス社の複数の事務所が登録されていた。また、企業のトップと株主にはシナルマス社の幹部が含まれていた」と報道されています。

BRS社が取得した事業管理地は、地域コミュニティが伝統的に所有してきた土地です。同社による管理は、地域コミュニティによって広範に反対されていて、わずか数週間前の2018年1月19日には、数千人もの地元住民が州知事事務所の前で集会を行い、BRS社の管理許可をインドネシア環境林業省が取り消すように要求することを知事に求めました。

BRS社の事例は、APP社がOKI工場に木材を調達するために供給源を拡大した最初のケースで、SMG/APP社とBRS社の関係についての虚偽に加え、影響を受けるであろう数多くの住民からは管理許可とパルプ材用植林計画についてFPICが得られていないことが明らかになっています。BRS社の管理に対する地域コミュニティと地元政府の反対を考慮しなかったことは、APP社が持続可能性についての誓約に反したということであり、また、法的義務にも違反した可能性があります。 昨年3月、BRS社に対する地域コミュニティの抗議に関して、インドネシアNGOと国際NGOの60団体が懸念を表明し、書簡をAPP社へ提出しました。しかし、APP社からの回答はないままです。

AP通信の調査結果は、森林破壊や地域コミュニティの権利侵害のみならず、巨大OKI工場の原料調達元を拡大するためにSMG/APP社が行っているその他の問題行為という高いリスクがあることを、紙の購入企業や投資家などに示しています。これは、投資家、購入企業、政府、認証機関、地域コミュニティへの警鐘です。

SMG/APP社は、これまで刑事告発、市場からの圧力、FSCからの絶縁措置という結果をもたらしてきた行為や被害を再び繰り返すのでしょうか? SMG/APP社の約束は信頼に値するのでしょうか? AP社の記事は、SMG/APP社のガバナンスに関する組織的な幅広い問題を示しています。これらの問題は、SMG/APP社を信頼して取引を始める前に対処されなければなりません。

私たちは、紙の購入企業、投資家などに対して、以下を要請するよう求めます:

・AP通信の調査結果について、独立した調査を完了すること。調査では、合法性、税制上の影響、受益者の全面開示、APP社の利害関係者が参加する合意形成のプロセスでの誤解を招く説明について検討することを含み、また、調査にはインドネシア政府も関与すること。

・SMG/APP社は、BRS社及びその他の事業管理地において、地域コミュニティのFPICの権利を尊重すること。この権利には、地域コミュニティの土地でパルプ材用植林地開発を拒否する権利も含むこと。また、SMG/APP社は、BRS社をサプライヤーとして認めず、BRS社を管理許可と事業管理地から撤退させること。

・SMG/APP社は、APP社の事業により影響を受けるすべての地域コミュニティの情報を公開すること。これには、APP社が解決済みであると主張する紛争に関わる地域コミュニティの情報も含むこと。

・SMG/APP社は、原料を供給しているサプライヤー企業とのつながりと関係性を全面開示すること。また、産業植林地事業権(HTI)を保有し、現時点ではAPP社の工場に木材や繊維を供給していなくても将来は供給する可能性があり、同社の元従業員や現在の従業員、その他提携先と関連がある企業とのつながりや関係性を全面開示すること。


レインフォレスト・アクション・ネットワーク(RAN)

プレスリリース:インドネシアのアブラヤシ農園への邦銀からの融資について、最新レポート発表(2017/11/28)

労働搾取、貧困水準の賃金、有毒な健康被害を起こし続けるインドネシアのアブラヤシ農園への邦銀からの融資について、最新レポート発表〜RSPO認証パーム油農園での労働酷使は1年半前の最初の問題発覚後も継続〜

ジャカルタ発 – レインフォレスト・アクション・ネットワーク(RAN)、インドネシアの労働権擁護団体OPPUK、国際労働権フォーラム(ILRF)によるレポート『紛争パーム油のヒューマン・コスト(人的損失) 改訂版:ペプシコ、銀行、持続可能なパーム油に関する円卓会議(RSPO)は、どのようにインドフードの労働者搾取を継続させているのか(The Human Cost of Conflict Palm Oil Revisited: How PepsiCo, Banks, and the Roundtable on Sustainable Palm Oil Perpetuate Indofood’s Worker Exploitation)』においては、ペプシコ社ブランドのスナック食品でのインドネシアで唯一の生産者である食品大手インドフード社が所有・運営する3つのアブラヤシ農園での現地調査と労働者へのインタビュー結果を示す。インドフード社への4大資金提供機関のうち3社が日本の銀行で、みずほフィナンシャルグループ、三井住友フィナンシャルグループ、三菱UFJフィナンシャル・グループである。

本日のレポートは、インドフードが所有する農園での労働酷使についての前回の報告のフォローアップである。最初のレポートは、ほぼ1年半前に出版された。今回のレポートでは、農園は児童労働や強制労働の発生リスクが高く、労働者は日常的に危険性の高い農薬にさらされ、賃金が最低賃金を下回り、中核となる業務の遂行に法律違反だが臨時労働者が充てられ、独立した労働組合の形成が阻止されていることなど、概ね状況が以前と同じであることが明らかになった。パーム油産業の主要な認証制度である持続可能なパーム油のための円卓会議(RSPO)によって「持続可能」と認証された農園での労働酷使は、全て文書で報告されており、これはインドフードとの合弁事業パートナーシップによりペプシコ社に関係している。

「パーム油産業における主要な認証として、RSPOはメンバー企業が説明責任を果たすように支えなければなりません。このような特有のリスクに直面している労働者の窮状を無視して、RSPOが労働酷使を認証し続けることはできません。」とOPPUKの専務理事、ヘルウィン・ナスシオン(Herwin Nasution)は述べている。「従業員は保護されて、本当に『持続可能な』パーム油を得られると思えるように、緊急の問題としてRSPOはインドフードに対しての苦情申立について行動し、その基準内容と監査体制の両方を強化しなければなりません」。

パーム油産業では労働酷使の状況が蔓延しているが、世界最大のパーム油生産者でインドネシア最大の食品会社であるインドフード社は同業者に後れをとっている。インドフードは、現在インドネシア最大の民間のパーム油企業であるが、自社の事業全体と独立サプライヤーを通じた方針の強化もなく、森林減少無し、泥炭地への農園拡大無し、労働者の権利及び人権の侵害無しという責任あるパーム油の新しいベンチマークとの合致のための業務慣行の改善もしていない。

「これら明らかになった事実は常軌を逸しています。インドフードの農園で起こっている労働酷使を、インドフード、RSPO、他の方は、ほぼ1年半の間知っていて、ほとんど何の変化もありませんでした。」とRANのアグリビジネス・キャンペーンディレクターであるロビン・アヴェルべックは述べた。「 この2回目のレポートは作成する必要はなかったはずです。 これらの労働者酷使に関係する者は、安価なパーム油のため悪質な労働者搾取を容認した者として記憶されるのか、あるいは、行動するするのか、決断が迫っています 」。

みずほ、三井住友、三菱UFJは、パーム油産業に関わる顧客企業による労働者の酷使や森林減少を防ぐといった誓約の公表もしておらず、同業他社と比較して大きな後れを取っている。これら3行は2017年9月30日時点で約1200億円の融資をインドフードに提供している。これら3行の最大株主でもある年金積立金管理運用独立行政法人(GPIF)もまたインドフードへの6番目の機関投資家となっている。

「この2回目の調査結果は動揺してしまうもので、インドフードのような企業に資金を提供し続けるのなら日本の銀行は責任ある企業とはいえないでしょう。」とレインフォレスト・アクション・ネットワーク(RAN)日本代表の川上豊幸はコメントした。「銀行は、その顧客企業を人権や労働権の規範に沿ったものにして行くのか、あるいは、関係を断つことによって、顧客企業の行動に対する責任を取らなければなりません。何もしないという選択肢はもはや無いのです」。

このレポートには、インドフードおよびその親会社であるファースト・パシフィックへの改革についての提言が含まれている。そして、ペプシコ社への提言、ネスレを含めインドフードとの他の合弁事業パートナーへの提言、そして長年にわたる労働者の権利侵害でインドフードに対して提起された苦情を未だ適切に解決できないRSPOへの提言も含まれている。また、インドフードに投融資する銀行と投資家は、ムシム・マス(Musim Mas)やウィルマーなど、インドフードからのパーム油を直接・間接に調達しているパーム油取引業者と同様に、何らアクションを取っていないことで、レポートで名前が挙げられている。

-本レポート(英文のみ)のダウンロードはこちら

-レポートで使用されている高解像度の写真は、ご請求いただければ提供いたします。

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OPPUKはインドネシア、北スマトラのパーム油労働者の労働・生活状況に懸念を持つ学生運動と労働者によって2005年に設立されたインドネシアの労働団体です。OPPUKは労働者を組織し教育し、北スマトラとインドネシアの他地域でパーム油労働者の権利のための研究、政策提言、およびキャンペーンを実施しています。

レインフォレスト・アクション・ネットワーク(RAN)は、教育、草の根組織化、非暴力直接行動を通じて、世界市場を変革することによって、生命を維持する森林、その住民、自然システムのためのキャンペーンを行っています。

国際労働権利フォーラム(ILRF)は、世界中の労働者のために公正かつ人道的な環境を達成するための人権擁護団体です。ILRFは、子どもと強制労働、差別などの労働者の権利侵害を明らかにするために、労働組合とコミュニティベースの労働者の権利擁護団体と連携し、組織を作り団体交渉をしています。

連絡先: 川上豊幸 03-3341-2022 toyo@ran.org  

 

 

(さらに…)

プレスリリース:大手銀行、数十億ドルの資金提供を通じタールサンドの大規模な破壊と汚染に加担(2017/11/1)

プレスリリース

2017111日

エクストリーム化石燃料[1]インフラの拡大のための世界最大の銀行による無謀な融資は、

パリ協定の1.5°目標を深刻な危機に陥れる

サンフランシスコ、カリフォルニア – 今日発表されたレポートによると、商業銀行は、タールサンド部門への資金提供を続けており、2017年にはその金額が急上昇している。これはパリ協定の1.5°から2°未満という目標に合致しないレベルである。レインフォレスト・アクション・ネットワーク(RAN)と世界の11団体が発表した新レポート「タールサンドへの資金提供:民間銀行 vs パリ気候協定(Funding Tar Sands: Private Banks vs. the Paris Climate Agreement)」は、生産者とパイプライン企業へのタールサンド向けの資金提供が、2017年の現時点までで、既に2016年に実施した合計額より50%も多くなっていることを明らかにした。

「COPでは、各国政府はパリ協定の目標達成に向けて進捗を把握する準備を整えているが、銀行も同様に対応しなければならない。」とRANの気候・エネルギープログラムディレクター、パトリック・マッカリーは語る。「世界規模の銀行に対して、気候災害を回避し、先住民族の権利と人権を尊重するために表明された支援とその行動を整合させるような方針を直ちに確立するよう、我々は求めている。これには、タールサンド事業分野からの退出と、先住民族の権利尊重の方針強化を含めなければならない」。

タールサンドは、高い抽出コスト、市場投入の難しさ、巨大な埋蔵量、温室効果ガスの強度、地域環境や先住民族の権利への重大な影響、より低炭素集約度でより安価な代替物にすぐに代替できるという特徴を持つ独特の燃料である。しかし、この報告書で分析された33の銀行は、タールサンドに2017年だけで320億ドルもの資金を提供した。

「トランプ大統領は、パリ協定から米国が離脱すると発表した時、ある境界線を引いた。気温上昇を1.5℃に制限するというパリ合意の目標と、自身の政権との間にである。銀行は線のどちら側に落ちるか?JPモルガン・チェース社の最高経営責任者(CEO)は、この問題についてはトランプ氏に同意していないとしているが、この銀行はタールサンドの資産を取得する際に主要企業に融資し、今年、タールサンドへの資金提供を増やした。」とRANのエネルギープログラム調査コーディネーター、アリソン・カーシュは述べる。

JPモルガン・チェース社は、再度、米国銀行の中でタールサンドへの最大融資会社となり、彼らの融資方針の格付けはD +となり、この資金提供を抑制する防止策を明らかに欠いていると判明した。  「目標達成に必要なのは、早急な化石燃料の段階的廃止である。一方、世界最大級の銀行は、エクストリーム化石燃料の一つであるタールサンドの強化と生産拡大に資金を提供している。」とNGOのバンク・トラックの気候・エネルギーキャンペーンコーディネーター、ヤン・ルーベルは述べた。「このような危険な資金提供を制限する方針を持っている欧州の銀行がいくつかあるが、気候や倫理的な理由で必要となる、タールサンド拡大の支援を排除する堅実な方針が、ほとんどの大手銀行には欠けている」。

先住民主導の団体や草の根団体、欧州のNGO組織化などを通じた市民からの圧力を受けて、一部の銀行はタールサンドへの資金拠出を断念する方針を約束している。2017年10月、欧州第2位の銀行であるBNPパリバ社は、グローバルな銀行の新しい基準を確立した。この方針では、タールサンドについては、タールサンド事業が30%以上である企業を除外し、キーストーンXL[2]、トランスマウンテン[3]、ライン3[4]のパイプライン事業を含めてタールサンドのプロジェクト全体への資金提供を排除するとしている。

グリーンピースとオイル・チェンジ・インターナショナルによる補足的な報告書である「イン・ザ・パイプライン:タールサンド・パイプラインへの資金提供者のリスク(In the Pipeline: Risks for funders of tar sands pipelines)」は今週発表され、タールサンド・パイプラインへの資金提供による主要銀行の財務面と評判面での損害について警告を発している。この報告書は、法律面の課題、先住民族および地域社会からの反対、飲料水への脅威、経済的脆弱性など、3件の計画中のタールサンド・パイプラインに影響を及ぼすリスクを詳細に検討している。

 

[1]訳注:化石燃料産業において最も炭素集約度が高く財政的に危険で環境破壊的な部門であるエクストリーム・オイル(オイルサンド、北極・超深海の石油)、石炭採掘、石炭火力発電、そして液化天然ガス(LNG)輸出が、エクストリーム化石燃料と呼ばれている。

[2] 訳注:既に稼働中のキーストーンパイプライン(59万バレル/日)に 70万バレル/日の輸送能力を追加し、カナダ原油の米国向け輸入量を増加することを可能にする2,673kmのパイプライン計画

[3] 訳注:原油をカナダ西部アルバータ州から米国西海岸に送るための全長1170 kmのパイプライン計画

[4] 訳注:原油をカナダ西部アルバータ州から米国ウィスコンシン州に送るための全長1659kmのパイプライン計画

プレスリリース:マレーシアの主要パーム油企業が画期的な労働方針を発表(2017/10/31)

2017年10月31日

 IOIグループが、強制労働、児童労働、労働者搾取横行の産業界に新基準

サンフランシスコ – 本日、マレーシアのパーム油大手IOIグループは3つの主要な労働方針を発表した。これは、労働者に募集時に課していた手数料の徴収を止め、組合設立の自由を尊重し、生活賃金の支払いに努めるというものである。これらの方針は、労働者の権利侵害と労働者搾取が繰り返し発覚している産業界において新たな基準をまとめたものとなっている。

「マレーシアのパーム油産業の外国人移民労働者は、募集段階での詐欺や高額手数料のためにしばしば借金に苦しめられる状況に陥っている。 IOIグループの『手数料ゼロ』方針は、いきなり労働者を強制労働や債務奴隷労働の罠にかける債務を防止するのに重要な前例を作った。」とマレーシアの人権団体、テナガニタ事務局長のグローレン・ダス(Glorene Das)は語っている。

「IOIグループの新労働方針は新たな基準を設定しており、サイム・ダービー(Sime Darby)、フェルダ・グローバル・ベンチャーズ(Felda Global Ventures)、クアラ・ルンプル・クポン(Kuala Lumpur Kepong Berhad:KLK)など、他のマレーシアのパーム油企業はすべて従わなければならない。」とダスは続けた。「迅速な是正措置のために、実施における課題が経営陣の注意を引くことができるように、我々が労働者に自由にアクセスできることを期待している」。

強制労働のため、マレーシアのパーム油産業の悪名はますます高まっている。マレーシアのパーム油農園の労働力の大部分を占める外国人移民労働者は、到着時にパスポートを押収され、移動の自由と農園を出る手段が制限される。多くの場合、労働者は農園での雇用機会確保のために第三者の労働仲介人により多額の募集手数料を徴収され、残った借金を減らしていかなければならないので、債務奴隷労働の状況のままとなる。この負債と、移動の自由に関する制限は、現代の奴隷制の構成条件に合致している。

IOIグループの新方針は、いくつかの重大な問題についてマレーシアのパーム油産業における労働基準のレベルを上げている。新しい賃金方針では、IOIは、生産性にリンクした奨励金を上乗せした法定月間最低賃金を労働者に支払うことと、現行の賃金と生活賃金の乖離をなくす目的で信頼できる方法論を使って生活賃金を計算することを約束している。雇用方針においては、IOIは外国人移民労働者に募集関連費用を請求しないことと、既に請求された費用は労働者に払い戻されることを約束した。この方針は、到着後の体系的なヒアリングで実施される予定である。そしてIOIは、結社の自由方針において、労働組合がIOIの私有地に自由にアクセスできるようにすることを約束している。

「IOIグループのコミットメントは重要な第一歩だが、その実施が本当のテストになる。サプライチェーンの強制労働を止めることを約束した消費者ブランドの企業とバイヤーは、IOIの進捗状況を監視し、これらの方針の完全な実行を求める必要がある。」とフィン・ウォッチ(Finnwatch:フィンランドのNGO)の事務局長、ソニア・バーティアラ(Sonja Vartiala)は述べている。「これはまた、例えば手数料を支払った労働者には完全に払い戻しをしなければならないことを意味する」。

IOIグループは厄介な過去を抱えており、森林破壊と泥炭地の排水と焼却の苦情が報告されていることで持続可能なパーム油に関する円卓会議(RSPO)の認証を外された数少ない企業の一つである。同社は、労働慣行やロング・テラン・カナン・ロングハウス(Long Teran Kanan Longhouse)コミュニティとの長期にわたる土地紛争のために、キャンペーンの対象となっており、今もそれは進行中である。NGOの連合体は、IOIがその負の影響に対処するために取るべき是正措置についての提言を作成している。

「これは重要な前進だが、IOIはまた、問題のある過去を是正する必要がある。 IOIグループは、これらの新しい労働方針を完全に実行する以外にも、パーム油の責任ある供給者と見なしてもらう前に、長らく続く苦情、特にロング・テラン・カナンのコミュニティとの間の紛争を解決する必要がある。」とレインフォレスト・アクション・ネットワークのシニア・キャンペーナ、ロビン・アベルベックは述べている。

世界のパーム油消費市場の購買者や政府は、法律や自主的な仕組みを通じて、サプライチェーンにおける現代の奴隷制を根絶することを約束している。米国と英国は、企業にサプライチェーンにおける強制労働にどのように取り組んでいるのかを開示するよう要求する法案を可決し、フランスは大企業には人権デュー・ディリジェンスを規制として導入し、2016年にはコンシューマー・グッズ・フォーラム – 400社の世界的な主要なブランド団体 – は、自社のパーム油サプライチェーンにおける強制労働を根絶することを約束した。

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連絡先:

Emma Rae Lierley, Emma@ran.org, +1.425.281.1989

Sonja Vartiala, sonja.vartiala@finnwatch.org, +358.44.568.7465

Glorene Das, glorene.a@tenaganita.net, +60.10.360.3269

 

さらなる情報は以下をご覧ください。

Finnwatch’s reports on IOI Group’s labor conditions (2014-2016):

–       Working conditions at the IOI Group’s oil palm estates in Malaysia: a follow-up study (2016): https://www.finnwatch.org/images/pdf/IOI-2016_EN.pdf

– The New Law of the Jungle? Responses by certification schemes and the IOI Group to – – – -Finnwatch’s Law of the Jungle report (2015): https://www.finnwatch.org/images/pdf/Palm_oil_followup_EN_2015.pdf

-The law of the jungle – Corporate responsibility of Finnish palm oil purchases (2014): https://www.finnwatch.org/images/pdf/palmoil.pdf

-Rainforest Action Network’s report on Kuala Lumpur Kepong Berhad (KLK), titled Conflict Palm Oil in Practice (2014): https://d3n8a8pro7vhmx.cloudfront.net/rainforestactionnetwork/pages/2779/attachments/original/1415662670/klk_case_study_2014_low.pdf?1415662670

お知らせ:ブリーフィング・ペーパー「銀行:隠された高い炭素リスク」

 

本文書は、報告書「Banking on Climate Change: Fossil Fuel Finance Report Card」 とウェブサイトforestsandfinance.orgから必要な情報をまとめたものです。これらもご参照下さい。

 

2017年9月25日〜27日に、ベルリンで開催された国連責任投資原則(UNPRI)の会議の際に、レインフォレスト・アクション・ネットワーク(RAN)は、「銀行:隠された高い炭素リスク(Banks: High Carbon Hidden Risks)」と題するブリーフィング・ペーパー(英文のみ)を発表しました。

本ペーパーでは、大手銀行の多くが化石燃料と熱帯林減少に関与する莫大な投融資を行って気候変動を推進していることを指摘しています。化石燃料の利用推進が温室効果ガス(GHG)排出を推進することはいうまでもないですが、熱帯林減少によるGHG排出も世界の排出量の14〜21%を占めており無視できません。これは主にパーム油、紙パルプ、ゴム、木材、大豆、牛肉を得るための森林と泥炭地の転換によるものです。

ペーパーの中ではJPモルガン・チェース、シティバンク、HSBC、三菱UFJフィナンシャル・グループ、みずほフィナンシャルグループ、ドイツ銀行の8企業[1]を取り上げ、気候変動への寄与に関連する具体的な数値を示しています。

銀行は多くの場合、自社の業務を実施する上でのGHG排出量は公開していますが、他企業への資金提供の結果生じるGHG排出量は公開しておらず、それは自社業務分の100倍以上になることがあるといわれています。また、銀行が危険な新しい炭素排出プロジェクトに多額の資金を提供しているとしても、MSCI ACWI低炭素目標指数などの「責任投資」指標では銀行を「低炭素」と分類していますが、それは虚偽に当たります。そして、これらの銀行には、日本の年金積立金管理運用独立行政法人(GPIF)、野村アセットマネジメント、三井住友信託銀行、バンガード、ブラックロック、ステート・ストリートなどのPRIの署名機関が、株主や機関投資家として関わっています。

機関投資家には、持続可能で低炭素で公正な発展を支援するように議決権を行使することや、気候変動・森林減少・人権のリスクに関する徹底的な情報開示とデュー・ディリジェンスを支援する規制改革を推進すること等を求めています。

(なお、2ページと3ページは見開きで印刷することを想定しており、これらページの下方の表は1枚の横長の表です。)

 

[1] これら8企業は、①大規模な金融機関である、②化石燃料等に関与する投資が多額である、③アジア、ヨーロッパ、アメリカそれぞれの地域で地域を代表するような2企業ずつを取り上げる、という基準で選定された。

 

ブリーフィング・ペーパーはこちら

この文書の英文はこちら

 

 

緊急プレスリリース2020年東京オリンピックが気候変動に加担:熱帯林の利用は停止せず(2017/11/3)

2017年11月3日

緊急リリース

  • ブルーノマンサー基金
  • サラワク・ダヤク・イバン協会
  •                                                         レインフォレスト・アクション・ネットワーク
  •                                                             マーケット・フォー・チェンジ
  •                                                                        熱帯林行動ネットワーク
  •                                                                                 国際環境NGO FoE Japan

連絡先:

  • Peg Putt, Markets For Change, +61 418 127 580, peg.putt@gmail.com
  • Annina Aeberli, Bruno Manser Fund, +41 79 128 58 73, annina.aeberli@bmf.ch
  • Laurel Sutherlin, Rainforest Action Network (USA), +1 415 246 0161, laurel@ran.org
  • 川上豊幸:レインフォレスト・アクション・ネットワーク(日本) 03-3341-2022, toyo@ran.org

2020年東京オリンピックが気候変動に加担:
由来が明らかでない熱帯材利用
を認めたが、利用停止の誓約はせず
熱帯材の利用停止はせず、透明性向上の約束に影を落とす

 気候に重大な影響を与える熱帯林が急速に消滅しつつある中、2020年東京大会当局は、木材の供給源が不明のまま大会関連建設のために熱帯林を利用し続けると明言した。この意向表明は、東京大会の木材調達活動の合法性と持続可能性に対する深刻な懸念を表明した47のNGOにより署名された公開書簡への回答として行われた。 当局は、東京大会のための熱帯材の使用については、より透明なものにすると約束したが、NGOが「根本的に欠陥がある」と要求した木材調達コード改訂については拒否した。

「東京大会で熱帯材を継続して使用し、合理的なデューデリジェンスを拒否していることは、持続可能なオリンピックを開催するという日本の約束と矛盾している。」とレインフォレスト・アクション・ネットワーク(米国)のハナ・ハイネケンは述べ、また「当局は木材調達コードを改善する必要がある」と述べた。

今年4月、新国立競技場の建設現場でマレーシアの木材会社シンヤン社が供給した熱帯材合板が使われていることがわかった。 シンヤン社はこれまでマレーシアのサラワクで、手つかずの熱帯林の組織ぐるみの破壊、違法伐採、人権侵害に関与してきたと指摘されている企業である。

これに応えて、世界中の47のNGOが、今年9月11日に国際オリンピック委員会(IOC)と東京大会当局に書簡を送り、熱帯材及びその他の高リスクな供給源からの木材の使用の終了、使用される熱帯材の出所と量の開示、木材サプライチェーンの完全な追跡可能性と第三者検証、より強い木材調達ルール、他のすべての森林リスク商品に対する確固としたな調達要件の採用を要求した。

10月19日、東京オリンピック・パラリンピック競技大会組織委員会、日本スポーツ振興センター、東京都オリンピック・パラリンピック準備局が東京でNGOとの会合を持った。大会当局は、熱帯材を主原料とする型枠用合板の一部に対する明白な例外規定など、組織委員会の木材調達コードの弱点がいくつもあるにもかかわらず、この欠陥のあるコードの改訂を拒否し、コードの要件に準拠しているとして熱帯材使用を擁護した。

当局はさらに、サプライヤーは自らが供給した木材の出所を把握していることは求められておらず、コードは一方で国産材の使用を優先させる方針を打ち出しているものの、コンクリート型枠用合板の場合には持続可能な森林に由来する国産材の使用を優先させる必要はない、と認識していることが明らかになった。東京大会当局は、熱帯材使用についてより透明性を確保することを約束し、関連施設建設現場で使用される型枠合板について量および正当なデューデリジェンス(確認)プロセスを開示することに合意した。

「東京大会の決定は、責任ある形で製造された国産型枠合板が利用可能であるにもかかわらず、それを優先していないことは非常に残念だ。このことで、責任あるビジネスを行おうとしている日本企業に間違ったメッセージを送っている。」と、熱帯林行動ネットワークの原田公は語った。

日本は、熱帯材合板の世界第1位の輸入国で、その原料の多くはマレーシアとインドネシアの熱帯林から来ている。 日本の木材調達は合法性や持続可能性を確保できないことで、広く批判されてきた。東京大会に向けて、日本は、その調達基準をヨーロッパや米国のレベルに引き上げるチャンスがあったが、日本の従来のビジネス慣行を妨げないように妥協することを選んだ。」とマーケット・フォー・チェンジ(豪)のペグ・パットは述べた。

最近の研究は、熱帯林の劣化に警鐘を鳴らしており、その多くは破壊的な伐採によって引き起こされている。 アジア、南米、アフリカの熱帯林はこれまで温室効果ガスの吸収に重要な役割を果たしてきたが、その劣化が続いていることから、熱帯林が炭素排出の吸収源から排出源に転じていることが報告されている。 熱帯の森林の減少と劣化は、地球温暖化ガス排出量の約5分の1を占めている。

東京大会当局は苦情処理メカニズム(通報受付窓口)の構築を進めつつあるが、10月19日の会合で、その最終決定前に公の協議プロセスを行う意図はないと明らかにした。シンヤン社のサラワクでの伐採行為は先住民族の生活を脅かしており、東京大会での苦情処理の仕組みの欠如は、地域社会が救済を求める道筋を奪ってしまった。

ブルーノマンサー基金(スイス)のアニーナ・アエベリは、「大会施設の建設が始まってから1年近く経つにもかかわらず、苦情申し立てのメカニズムがなく、関連ステークホルダーとの協議にも消極的ということは非常に心配だ。」と述べている。

NGOは、日本が真に持続可能なオリンピック・パラリンピックを開催するには、紙パルプ、パーム油、ゴムなどの他の全ての森林リスク商品へのしっかりとした調達要件が必要であると主張している。

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