サンフランシスコに本部を持つ米国の環境NGO RAINFOREST ACTION NETWORKの日本代表部です

‘人権侵害’カテゴリーの記事一覧

プレスリリース:先住民族村長が安倍首相に嘆願:2020年東京五輪のための熱帯林破壊の停止を(2017/10/10)

プレスリリース

2017年10月10日

 

                                                                                                    ブルーノマンサー基金

                                                                         サラワク・ダヤク・イバン協会

                                                        レインフォレスト・アクション・ネットワーク

                                                            マーケット・フォー・チェンジ

                                                                       熱帯林行動ネットワーク(JATAN)

                                                                                国際環境NGO FoE Japan

連絡先:

-Annina Aeberli, Bruno Manser Fund (Switzerland), +41 79 128 58 73, annina.aeberli@bmf.ch

-川上豊幸 レインフォレスト・アクション・ネットワーク(日本), 080 3488 9849, toyo@ran.org

-Laurel Sutherlin, Rainforest Action Network (USA), +1 415 246 0161, laurel@ran.org

-Peg Putt, Markets For Change (Australia), +61 418 127 580, peg.putt@gmail.co

新国立競技場建設の使用木材の供給企業が先住民族の暮らしを破壊していると非難

マレーシア・サラワク州-最初の東京オリンピックの開催の記念日である本日、マレーシア・サラワク州のロング・ジェイク村のプナン族コミュニティのマトゥ・トゥガン村長が日本の安倍首相に、プナン族の森や暮らしを破壊する企業からの木材調達をやめるようにという緊急の嘆願書を届けた。日本は、2020年東京大会に使われる新国立競技場の建設にサラワク産の熱帯材を使い続けている。20174月にNGOが建設現場で集めた証拠により、新国立競技場でシンヤン社製の合板が使われていることが確認されている。同社は、ロング・ジェイク村の周辺地域でおよそ20年間にわたり伐採を続けており、これまでに違法伐採や熱帯林の破壊、人権侵害と関わってきている。

ロング・ジェイク村の地域住民は、シンヤン社による木材伐採やアブラヤシ農園への転換などに反対し、自らの森林を守るため道路封鎖で闘ってきた。地域住民はシンヤン社に対して彼らの慣習的権利を侵害しているという訴訟を起こし、現在も裁判は続いているものの、シンヤン社の地域住民の土地への侵入を止めることにはなっていない。残された森を守ろうとする彼らの最後の試みとして、村長はシンヤン社の日本の買い手を頼って、日本の首相に協力してほしいと願い出た。「総理大臣、どうかシンヤン社が私たちから盗んだ木材を日本が受け入れないようにしてください。日本がこの木材を受け入れ続ける限り、彼らは毎日、森林の伐採と丸太の搬出を続けます」。

トゥガン村長は、嘆願書において、シンヤン社の破壊的な伐採施業や同社の地域住民の自由意思による事前の十分な情報に基づく同意(FPIC)の権利が無視されていると証言している。「シンヤン社は、私たちの祖先から受け継いできた森を承諾や同意なしに伐採してきました。彼らは私たちの意見やニーズを尋ねてきたことはありません」。マレーシア人権委員会(SUHAKAM)は2007年に彼らの窮状について調査をし、シンヤン社の施業が地域住民をさらに貧しい状況に追い込んでいることを明らかにした。

国際オリンピック委員会(IOC)と東京大会当局は、不十分な木材調達基準や調達木材のサプライチェーンの透明性の欠如について、市民団体の国際的な連合体から繰り返し批判されている。彼らはオリンピック関連施設に使われている木材の出所の情報公開やシンヤン社をはじめとするリスクの高い木材の停止をすべきだと繰り返し要請されているにもかかわらず、当局は市民団体の懸念に対して対応できていない。

嘆願書:原文(マレー語)はこちら

嘆願書:和訳はこちら

以上

東京オリンピックでの熱帯林破壊と人権侵害の停止を、NGOが要請

緊急リリース 2017年9月11日

連絡先:       川上豊幸 レインフォレスト・アクション・ネットワーク 日本代表  toyo@ran.org

オリンピック2020年東京大会での熱帯林破壊と人権侵害の停止を、NGOが要請

 

東京・リマ- 47の市民団体は、本日、ペルー・リマで開催される国際オリンピック委員会(IOC)理事会の開始にあたり、IOCと2020年東京大会当局に対して公開書簡を送付しました。書簡は、IOCの持続可能性に関する誓約の正当性と説明責任、そしてオリンピック競技大会の評判と信頼性に対する重大で増大しつつある懸念を繰り返し表明しています。さらに書簡は、大会関連の建設等において熱帯林を故意に利用し、人権侵害を潜在的に助長するオリンピックを批判しています。署名団体は、新国立競技場を含む東京オリンピック関連施設建設に使用されている木材の完全な透明性と、熱帯材使用の停止を求めています。

署名団体には、環境破壊や人権問題に関連するサプライチェーンのリスクを熟知している幅広い分野で活動するNGOが名前を連ねており、東京大会当局による透明性の欠如が続いていることを批判しています。

「東京大会当局は新国立競技場の建設に大量の熱帯材を使っているという事実を隠している。木材サプライチェーンの完全な透明性がなければ、持続可能なオリンピックを主催するという主張はまったく根拠がありません」とレインフォレスト・アクション・ネットワークのハナ・ハイネケンは述べています。

NGOは、IOCが持続可能性の明白なリスクに対処できていないことが、「オリンピックの全ての面に持続可能性を含める」という自らの誓約に対する明確な違反であると主張しています。特に、日本ではコンクリート型枠合板の大半が違法伐採、熱帯林破壊、土地権侵害などの問題が、はびこるマレーシアとインドネシアの熱帯林に由来しているにもかかわらず、型枠に使用されている木材を調達方針の環境、労働、人権の要件から免除できるという、2020年東京大会の調達方針の大きな抜け穴を指摘しています。

2016年12月6日、44のNGOはIOCに対して、違法で持続不可能な熱帯材が新国立競技場やその他の関連施設の建設に使用されるリスクが高いことを警告する書簡を送りました。これらのNGOは、建設着手時に追加の予防策とデュー・デリジェンス措置を採用しなかった場合、人権侵害、違法伐採、熱帯林破壊への加担となる可能性があると警告しました。この書簡は、マレーシアの高リスク木材が東京の建設事業で使用されているという証拠を提示し、2020年東京大会の「持続可能性に配慮した木材の調達基準」はリスクのある木材の使用を防ぐためには不十分であると警告しました。しかし書簡に記された1つの要求も満たされていません。

本日の書簡では、新国立競技場に、コンクリート型枠合板としてかなりの量の熱帯林が使用されていることに言及しています。悪名高いマレーシアの木材会社シンヤン社により供給された熱帯材合板が、同社の違法伐採、熱帯林破壊、人権侵害の歴史にもかかわらず、使用されているという証拠が示されています。東京大会当局は、シンヤン社の木材が認証されていると主張し、その使用を擁護していますが、書簡ではマレーシアのサラワクではシンヤン社の認証木材が人権侵害につながっているという証拠をもって、その持続可能性に異議を唱えています。さらに、書簡は新国立競技場でコンクリート型枠用として使用されている木材の大部分は実際には未認証製品であり、日本で使用されているほとんどのコンクリート型枠用合板を供給しているマレーシアまたはインドネシアの熱帯林に由来する可能性が高いと述べています。

マーケット・フォー・チェンジのCEO、ペッグ・パットは「シンヤン社の伐採事業が先住民族の伝統的土地や暮らしを破壊しているという先住民族の代表者自身の証言の前では、シンヤン社の認証は無意味である」と述べています。

2020年東京大会当局は、熱帯林減少の主な原因であるパーム油と紙パルプについて調達基準を策定中です。日本での熱帯林由来の紙の消費が大きいこと、またパーム油の消費が増えつつあることを踏まえ、NGOは東京大会当局に対し、環境面・社会面の強固な保全措置を採用することを要求し、そうでなければ熱帯林破壊、違法伐採、人権侵害を助長する行為により、さらなる批判に直面すると警告しています。

以上

なお、公開書簡については、以下をご覧ください。

(IOC向けの英語版の公開書簡へのリンクはこちら)

英語のプレスリリースについては、RAN本部のサイトをご覧ください。

また、関連する写真については、以下をご覧ください。

https://www.dropbox.com/sh/hfjjq01oaxa8wyg/AACxyIrcFxd0m90YKhhdmgBOa?dl=0

******************************以下、東京大会当局宛ての公開書簡の全文です*******************

2017年9月11日

日本スポーツ振興センター 理事長 大東 和美 様

東京オリンピック・パラリンピック競技大会組織委員会 会長 森 喜朗 様

東京都知事 小池 百合子 様

2020年東京大会当局への公開書簡

 

件名: 2020年東京オリンピックにより、オリンピックの持続可能性へのコミットメントが脅かされている件について

拝啓

私たち下記の署名団体は、2020年東京オリンピック・パラリンピック競技大会の持続可能性と説明責任について重大な懸念を抱いています。2020年東京大会が熱帯林を利用し、人権侵害に拍車をかけている可能性があることを示す証拠が増加しており、オリンピックの持続可能性と人間の尊厳への尊重についてのコミットメントが脅かされています。私たちは、国際オリンピック委員会(IOC)と2020年東京オリンピック当局に対して、使用されているすべての熱帯木材の産地と量を含め、2020年東京大会の木材サプライチェーンについて直ちに情報を開示し、これ以上、熱帯林をはじめとするリスクの高い供給源からの木材を使用するのを止めるよう要請します。

オリンピック・アジェンダ2020にも謳われているように透明性はオリンピックの信頼性の基本となるものです。森林関連製品(特に森林ガバナンスの脆弱な熱帯諸国から調達されるもの)に伴う高い環境・社会リスクを考えれば、全サプライチェーンの透明性と強化したデュー・デリジェンスは責任ある調達を確実に実施するために極めて重要です。

残念ながら2020年東京大会当局は大会関連施設での木材の使用に関して情報公開しておらず、違法で持続不可能な熱帯木材を使用するリスクを軽減する十分な対策を講じてきませんでした。木材調達に伴うリスクについては、2016年12月6日にNGO 44団体がIOCに送った書簡で明確に説明されていました[1]。書簡では東京の建設事業でマレーシアからの高リスク木材が使われている証拠を示し、2020年東京大会の木材調達コード[2]が高リスク木材の使用を防止するのに不十分であると論じました。しかし、書簡で提示された要求は一つも実現されていません。特に持続可能性に配慮した木材調達コードは、現在も根本的な欠陥があります:2020年東京大会当局は、調達コードでコンクリート型枠用合板が環境、労働および人権の基準の適用を免除されていることを盾に、新国立競技場の建設に大量の熱帯木材を使っています。型枠用合板は、日本国内外から一貫して批判の対象となってきた低い水準の合法性基準を満たすことしか義務付けられていません[3]。このような基準は国際的なベストプラクティスをはるかに下回っています。

今年の4月、マレーシアの木材会社シンヤン社の供給した熱帯材合板が新国立競技場の建設現場で発見されました[4]。シンヤン社は、マレーシア・サラワク州で手つかずの熱帯林の組織だった破壊、違法伐採および人権侵害に関わってきたことが指摘されています[5]。2020年東京大会当局は同社の供給する木材の使用を認めたばかりでなく[6]、この問題となっている供給業者から調達した木材を使用し続けています[7]。2020年東京大会当局は、その発見されたサンプルがPEFC認証材であると主張して、シンヤンの木材の使用を正当化しようとしました[8]。しかし、競技場でコンクリート型枠として使われている合板の大部分は非認証製品で、日本で使われている型枠合板の大半を供給しているマレーシアまたはインドネシアの熱帯林から調達されている原料を使っている可能性が高いのです[9]。また、熱帯林破壊と人権を侵害する伐採を行ってきたことで問題となっているシンヤン社から調達することは、オリンピックの価値観とコミットメントと矛盾しています。

さらに、合法性と伝統的・市民的権利や保護価値の高い地域を含め社会・環境面への責任ある配慮をPEFC認証が保証していないことを示す実質的証拠もあります。PEFCに相互承認されたマレーシアの認証制度であるマレーシア木材認証制度(MTCS)は、基準もシステムの強固さも、PEFCよりさらに脆弱であると評価されてきました[10]

サラワク州ロング・ジェイク村の先住民族は、土地に対する権利を守ろうとして長年、同社と闘ってきました[11]。村長のマトゥ・トゥガンさんは、最近、次のように発言しています:「[シンヤン社は]丸太を伐り出す前に目の前の全てのものを破壊します。今、ロング・ジェイク村の生活がとても困難となっているのは、そのためです」。長期にわたる住民の反対にもかかわらず、ロング・ジェイク村の周りの森林は少なくとも[12]

こうした展開に抗議して東京の新しいオリンピック関連施設の建設に熱帯木材を使用することをすぐに止めるよう求める14万以上の署名が5月10日に日本大使館に提出されました[13]。日本政府も2020年東京大会当局も、この陳情に応答していません。透明性もなく、異議申立制度も確立されてないということは、説明責任がほとんど果たされていないということです。

2020年東京大会当局は現在、熱帯林減少の重要な原因であるパーム油と紙・パルプなどの商品(「森林リスク商品」)に関する調達基準策定も検討しています。同様の間違いを回避するためには、強固な社会・環境セーフガードを導入することが不可欠です。

したがって、下記署名団体は、早急に以下の措置を求めます:

  • 熱帯木材および他のリスクの高い供給源からの木材の使用停止;
  • 新国立競技場を含む全ての2020年東京大会施設の建設に使われる熱帯木材の産地と数量について即時での情報開示および木材の合法性と持続可能性を保証する措置に関する詳細な報告;
  • 木材サプライチェーンに関する本格的なトレーサビリティと第三者検証の義務付け;
  • 木材調達コードの改訂:全ての保護価値の高いエリアと炭素蓄積量の多い森林を保護し、自由意思による事前の十分な情報に基づく同意(FPIC)の確認を含め、先住民族や地域社 会の土地、森林、天然資源に対する法的、慣習的な権利を尊重することを要求する、強化 された社会・環境基準とデュー・デリジェンスを義務付ける、コンクリート型枠用合板に 関する抜け穴を埋め、強固な合法性基準を採択することを含む;
  • 他の全ての森林リスク産品について、東京大会で使用されるいかなる原料や製品も熱帯林破壊や違法伐採もしくは人権侵害に関連しないことを保証する強固な調達方針の採用。

この手紙に対する回答を可能な限り早く、遅くとも10月2日の前にお送りくださるよう要請します。ご質問があれば、ハナ・ハイネケン(hheineken@ran.org)まで(英日どちらでも)、お問い合わせください。

敬具

署名団体

  1. Accelerated Rural Development Organisation (ARDO), Ghana – Pascal Benson Atiglah, Director
  2. ARA, Germany – Wolfgang Kuhlmann, Director
  3. Biodiversity Conservation Center, Russia – Alexey Zimenko, Director General
  4. Biofuelwatch, UK/US – Almuth Ernsting, Co-Director
  5. Bob Brown Foundation, Australia – Jenny Weber, Campaign Manager
  6. The Borneo Project, US – Jettie Word, Executive Director
  7. Bruno Manser Fund, Switzerland – Lukas Straumann, Executive Director
  8. Center for International Environmental Law, US – Carroll Muffett, President & CEO
  9. Center for Orang Asli Concerns (COAC), Malaysia – Colin Nicholas, Coordinator
  10. Chlorine Free Products Association, US – Archie Beaton, Executive Director
  11. Civic Response, Ghana
  12. Dogwood Alliance, US – Scot Quaranda, Communications Director
  13. Environment East Gippsland Inc , Australia – Jill Redwood, Coordinator
  14. Environmental Investigation Agency, US – Alexander von Bismarck, Executive Director
  15. FERN, Belgium/UK – Saskia Ozinga, Campaigns Coordinator
  16. The Finnish Nature League (Luonto-Liitto), Finland – Leo Stranius, Executive Director
  17. Forest Peoples Programme, UK – Patrick Anderson, Policy Advisor
  18. Forest Watch Ghana, Ghana – Samuel M. Mawutor, Coordinator
  19. Friends of the Earth Japan – Junichi Mishiba, Director
  20. Gaia Care, Ghana
  21. Gesellschaft für Ökologische Forschung, Germany – Sylvia Hamberger
  22. Global Justice Ecology Project, US – Anne Petermann, Executive Director
  23. Global Witness, UK – Patrick Alley, Director
  24. Greenpeace International – Matthew Daggett, Global Campaign Leader, Forests
  25. Human Rights Now, Japan – Kazuko Ito, Executive Director
  26. Japan Tropical Forest Action Network, Japan – Akira Harada, President
  27. Jikalahari (The Network for Riau’s Forest), Indonesia – Woro Supartinah, Coordinator
  28. Keruan, Malaysia – Komeok Joe , CEO
  29. Link-AR Borneo, Indonesia – Agus Sutomo, Director
  30. Markets For Change, Australia – Peg Putt, CEO
  31. Mighty Earth, US – Henry Waxman, Chairman and former US Congressman
  32. More Trees, Japan – Ryuichi Sakamoto, Representative
  33. Mother Nature Cambodia, Cambodia – Alejandro-Gonzalez Davidson, Chief Executive
  34. New York Climate Action Group, US – JK Canepa, Co-Founder
  35. PADI Indonesia – Ahmad Sja, Director
  36. Pro REGENWALD, Germany – Martin Glöckle
  37. PT AirWatchers, US – Gretchen Brewer, Director
  38. Rainforest Action Network, US – Lindsey Allen, Executive Director
  39. Rainforest Foundation UK – Simon Counsell, Executive Director
  40. Rainforest Rescue / Rettet den Regenwald, Germany – Mathias Rittgerott, Campaigner
  41. Salva la Selva, Spain – Guadalupe Rodríguez, International Campaigner
  42. Sarawak Campaign Committee, Jeapan – Tom Eskildsen, Steering Committee Member
  43. Sarawak Dayak Iban Association (SADIA), Malaysia – Nicholas Mujah, Secretary General
  44. SAVE Rivers, Malaysia – Peter Kallang, Chairman
  45. Talents Search International, Ghana
  46. The Wilderness Society, Australia – Lyndon Schneiders, National Campaigns Director
  47. TuK INDONESIA – Rahmawati Retno Winarni, Executive Director

[1] http://www.foejapan.org/forest/library/161206.html

[2] https://tokyo2020.jp/jp/games/sustainability/data/sus-wcode-timber-JP.pdf

[3] 例えば次を参照:籾井まり「違法木材の取引:日本における取組」(2014年11月)、www.chathamhouse.org/publication/trade-illegal-timber-response-japan

[4] http://japan.ran.org/?p=1032

[5] グローバル・ウィットネス「マレーシアの熱帯林破壊と日本:持続可能な2020年オリンピック東京大会へのリスク」(2015年12月)、www.globalwitness.org/en/reports/shinyang/

[6] www.bloomberg.com/news/articles/2017-04-20/rainforest-wood-breaches-tokyo-green-olympic-vow-activists-say

[7] www.thestar.com.my/news/nation/2017/08/10/tokyo-olympic-stadium-to-use-certified-msian-wood/#j8BZikQ0VyxAk2JR.99と私的な情報交換に基づく。

[8] www.jpnsport.go.jp/newstadium/Tabid/367/ItemID/220/Default.aspx

[9] 国産材など、より持続可能な代替製品が利用可能であるにもかかわらず、日本で使われているコンクリート型枠合板のほとんどすべてが熱帯木材から作られている。脚注5を参照。

[10] 例えば次を参照:WWF Forest Certification Assessment Tool (CAT)、http://wwf.panda.org/wwf_news/?246871/WWF-Forest-Certification-Assessment-Tool-CAT;および www.greenpeace.org/international/en/campaigns/forests/solutions/alternatives-to-forest-destruc/Weaker-Certification-Schemes/

[11] ロング・ジェイクのコミュニティは、シンヤン社のライセンス区画LPF 0018の中に位置する。コミュニティの住民への影響についてマレーシア人権委員会が調査を実施したことがある。このコミュニティの住民が先住慣習権の侵害でシンヤン社を提訴した裁判が係争中である。例えば、次を参照:SUHAKAM, Report on Penan in Ulu Belaga: Right To Land and Socio-Economic Development, 2007, www.suhakam.org.my/wp-content/uploads/2013/12/Report-On- Penan-In-Ulu-Belaga.pdf

[12] 次を参照:www.pefc.org/company-detail?id=287157、www.pefc.org/company-detail?id=282283、および 「Global Forestry Services, Chain of Custody Checklist & Assessment Report of Shin Yang Plywood (Bintulu) and Forescom Plywood」www.gfsinc.biz/wp-content/uploads/2015/05/Summary-Shin-Yang-Plywood-Bintulu-Nov- 2016.pdf,www.gfsinc.biz/wp-content/uploads/2015/05/Summary-Forescom-Plywood-Bintulu-Nov- 2016.pdf

[13] http://www.jatan.org/archives/4075

以上

IOC、無計画で持続不可能な東京オリンピック競技場建設に加担

緊急リリース

2017年7月24

連絡先:

ペグ・パット(マーケット・フォー・チェンジ):+61 418 127 580, peg.putt@gmail.com

川上豊幸 (レインフォレスト・アクション・ネットワーク):+81 80 3488 9849, toyo@ran.org

アニーナ・エベリ(ブルーノ・マンサー・ファンド):+41 128 58 73/+60 11-25117107, annina.aeberli@bmg.ch

ちょうど3年後に開催される東京2020オリンピックを記念して今日開かれる「東京2020オリンピック・パラリンピック・フラッグ・ツアー・フェスティバル」に、オリンピック主催者の持続可能性コミットメントの重大な弱点が影を落としています。過去6ヶ月間、国際オリンピック委員会(IOC)は、東京の新国立競技場の建設に、その由来が不明または不審な大量の熱帯材を使用されることがわかっていながら認めていたと、レインフォレスト・アクション・ネットワーク、マーケット・フォー・チェンジ、ブルーノ・マンサー・ファンド、サラワク・ダヤック・イバン・アソシエーション、熱帯林行動ネットワークが述べています。熱帯材原産地に関する明らかな透明性欠如と調達における予防策の脆弱さにより、その持続可能性または合法性を保証することができなくなっています。 持続可能性の明白なリスクへの対処にIOCが失敗していることは「オリンピックのあらゆる面に持続可能性を含める」という自らのコミットメントへの明確な違反であると、NGOは主張しています。

今年4月には、マレーシアのサラワク州の悪名高い木材会社が供給した熱帯材合板が、新東京オリンピック競技場の建設現場で発見されました。環境団体にそれを公表された後、東京オリンピック当局はシンヤン社(Shin Yang)が供給している木材を使用したことを認めましたが、その対象の木材がPEFC認証を受けていることを理由にそれを擁護しました。新国立競技場の基礎工事のために大量の熱帯材合板が引き続き使用されていましたが、当局は木材が伐採された場所や、認証を受けた供給源からの木材の割合を公表していません。

サラワク州は熱帯材合板の日本への主要な供給元ですが、腐敗、持続不可能な伐採、先住民族の権利侵害がはびこっています。例えば、シンヤン社は手つかずの熱帯林の破壊、違法伐採、人権侵害に組織的に関与しています。ブルーノ・マンサー・ファンドのアニーナ・エベリは次のように述べています。「どの会社が木材を供給しているか、木材がどこから来ているのかについての完全な透明性がない状況では、サラワクの木材が持続可能、または合法であるという保証はありません」。

2016年12月6日、44のNGOはIOCに対して、違法で持続不可能な熱帯材が東京の新オリンピック競技場とその他関連施設の建設に使用されることを警告する手紙を送りました。この中でNGOは、建設当初に追加的に予防策とデュー・デリジェンスの措置を講じないと、人権侵害、違法伐採、熱帯林破壊の共犯になる可能性があると警告しました。

5月17日、IOCは、東京オリンピック当局は「持続可能性に配慮した木材の調達基準」を遵守していることに言及してNGOの懸念に応えました。驚いたことに、公益財団法人東京オリンピック・パラリンピック組織委員会は、持続可能性を犠牲にしたとしても「基準は…実現可能性を確保するために木材貿易の実際のビジネス慣行を考慮」を許容すると、その手紙は伝えていました。

「 持続可能性に配慮した木材の調達基準は、数十年間日本の『実際のビジネス慣行』であった熱帯材合板の極めて持続不可能な使用を正当化している。」とレインフォレスト・アクション・ネットワークのハナ・ハイネケンは述べています。日本は熱帯材合板の最大輸入国であり、コンクリート型枠に使用される合板はほとんどがマレーシアやインドネシアの熱帯林に由来しています。コンクリート型枠用合板は、特定の例外の下で、環境、労働、人権の要求事項から適用除外となっています[1] 。「これは業界への大きな贈り物だった」と彼女は語りました。

PEFC認証システムは合法性および社会的・環境的責任を保証できていないというかなりの証拠があるにもかかわらず、東京大会の木材コードがこの認証を取得したすべての木材にゴーサインを出すことで、これらの欠陥品も混入させてしまっていると、NGOは指摘しています.[2]。

シンヤン社のPEFC認証合板は人権侵害と関連していることを示す証拠が存在しています。 サラワクのロング・ジェイク先住民族コミュニティのマットゥ・トゥガン氏は、30年以上にわたりシンヤン社と闘い続けており、最近の声明の中で「(シンヤン社は)、伐採の前に彼らの前にあるもの全てを破壊する。そのため、ロング・ジェイクでの私たちの生活は非常に厳しい。」と述べています。現在、コミュニティの周囲の森林は、シンヤン社のPEFC認証合板工場の少なくとも2つに木材を供給しています[3]。「シンヤン社のPEFC認証は、その『認証された』伐採行為が先住民族の生活を破壊しているという証拠を前にして、意味をなさない。」とマーケット・フォー・チェンジのCEO、ペッグ・パットは述べました。

NGOは、オリンピック当局に対して木材調達について完全に透明であること、すなわち使用中のすべての熱帯木材に対する完全な追跡可能性と第三者による検証の確立、全ての木材が熱帯林破壊、違法伐採、人権侵害に関連していないことの保証を求めます。そのためには、シンヤン社の木材の使用を直ちに止める必要があります。

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[1]この例外は、再利用される型枠用合板に適用される。型枠用合板は、通常2〜3回使用された後廃棄される。.持続可能性に配慮した木材の調達基準、2項目を参照。 https://tokyo2020.jp/jp/games/sustainability/data/sus-wcode-timber-JP.pdf

[2] マレーシアにおけるPEFCとの相互認証制度は、マレーシア木材認証制度(MTCS)である。 PEFCとMTCSの弱点の分析については、以下を参照。WWF Forest Certification Assessment Tool The PEFC-endorsed system in Malaysia is the Malaysian Timber Certification Standard (MTCS). For an analysis of the weaknesses of PEFC and MTCS, see WWF Forest Certification Assessment Tool (CAT), http://wwf.panda.org/wwf_news/?246871/WWF-Forest-Certification-Assessment-Tool-CAT; http://timbernews.org/malaysia_eu_vpa/; www.greenpeace.org/international/en/campaigns/forests/solutions/alternatives-to-forest-destruc/Weaker-Certification-Schemes/

[3] ロング・ジェイクのコミュニティは、License for Planted Forest (LPF) 0018に位置するが、ここはシンヤン合板のビントゥル工場とビントゥルのシンヤン社所有のフォレスコム合板工場に原料供給することが知られている。以下を参照。Global Witness, Japan’s Links to Rainforest aDestruction in Malaysia: Risks to a sustainable 2020 Tokyo Olympics, December 2015, www.globalwitness.org/en/reports/shinyang/, and Global Forestry Services, Chain of Custody Checklist & Assessment Report of Shin Yang Plywood (Bintulu) and Forescom Plywood, www.gfsinc.biz/wp-content/uploads/2015/05/Summary-Shin-Yang-Plywood-Bintulu-Nov-2016.pdf, www.gfsinc.biz/wp-content/uploads/2015/05/Summary-Forescom-Plywood-Bintulu-Nov-2016.pdf

 

みずほ銀行へ「無責任銀行ジャパン大賞2017」を株主総会前で贈呈

2017年6月23日

東京 —本日開催されたみずほフィナンシャルグループ(みずほFG)の株主総会で、NGO団体が抗議活動の一環として、みずほFGに「無責任銀行ジャパン大賞2017」を授与しました。 参加者たちは、株主に対し、みずほに危険な化石燃料、森林破壊、原子力への投融資の中止を求めるように呼びかけ、これらのリスクを管理するための包括的なESG(環境・社会・ガバナンス)方針の策定を求めました。 また、みずほFGが投融資ポートフォリオ全体におけるESGリスクを完全に開示するよう要請しました。 みずほFGの社員に扮したNGOメンバーが、「無責任銀行ジャパン大賞2017」という大きな受賞プレートを受け取り、他のメンバーは「みずほ:気候変動を加速させる銀行業務をやめよう」というバナーを持って行動に加わりました

この模擬授賞式は、NGO4団体レインフォレスト・アクション・ネットワーク、350.org Japan、FoE Japan、「環境・持続社会」研究センター(JACSES)が昨日発表した「みずほフィナンシャルグループに関する2016年 ESG評価レポート」調査結果を強調するために行われました。 レポートは、みずほの無責任な銀行業務が、深刻な気候変動を増幅させ、熱帯林を脅かし、人々の健康を危険にさらし、人権侵害を促進していることを示しています。 みずほFGは、これらの問題に対処するための強力な環境、社会、ガバナンス(ESG)方針を策定・採用する点において、世界の銀行に後れを取っており、投資の重大なリスクを株主に適切に開示することができませんでした。

「みずほは、化石燃料や熱帯林破壊に関与している炭素集約度の高い企業に数十億ドルの資金を投入しています。 株主は、これをみずほが適切に開示していない重大なリスクであることを知る必要があります。」と、レインフォレスト・アクション・ネットワークの日本代表、川上豊幸は述べています。

「今日の行動の目的は、気候変動を加速させ、社会や環境問題を引き起こしているみずほFGの無責任な投融資行動に焦点を当てるためです。 みずほFGは責任ある投融資を行い、パリ協定で定められたように気温上昇を2℃以下に抑えるために、化石燃料への資金を削減すべきであります。」と、350.org Japan代表の古野真は述べています。

「みずほFGが資金を提供している幾つかの化石燃料プロジェクトにより、地元の人々の人権が侵害され、生計手段が破壊されている」とFoE Japanの深草亜悠美は語り「これらのプロジェクトがもたらしている負の影響を直視し、融資者として責任を負う必要がある。」と続けました。

NGO団体は、ESG評価レポートを株主が総会会場に入る際に配布しました。レポートでは、みずほFGは2011年と2016年の間に、三菱UFJフィナンシャル・グループ(MUFG)と三井住友フィナンシャル・グループ(SMFG)をはるかに上回る、日本の化石燃料関連企業に380億ドル(約4兆円)以上の融資と引受けを行ったことが報告されています。 同じ時期に、東南ア
ジアの熱帯林を脅かす企業に40億ドル(約4456億円)以上の融資と引受けを行い、日本の原子力関連会社には約80億ドル(約8912億円)を拠出しました。 この報告書は、みずほのポー
トフォリオにおけるいくつかの問題点を浮き彫りにしています。そして、財務ポートフォリオ全体における重要なESGリスクに関する情報開示、気温上昇を2度未満に抑えるという目標達成に向けたポートフォリオの投資先・融資先企業における炭素排出量削減ロードマップの策定、包括的なESG方針の発表をみずほFGに要請することなど、みずほFGの株主に対する具体的な提案を記載しています。

ダウンロードは:

・みずほフィナンシャルグループに関する2016年ESG評価レポート(英文・和文):www.ran.org/mizuho_riskyinvestment

・みずほフィナンシアルグループへのメッセージ送信サイト(英語):

日本の銀行グループは気候変動リスクに未対応、新レポート発表

2017年6月22日

プレスリリース

みずほフィナンシャルグループが、国内化石燃料関連企業への日本一の資金提供者で、

世界的な熱帯林破壊と人権侵害の主要な資金提供者の一員であると露呈

東京 — レインフォレスト・アクション・ネットワーク、バンクトラック、シエラ・クラブ、オイル・チェンジ・インターナショナルの4つのNGOが本日発表した報告書によると、日本のメガバンク3行を含む世界最大級の銀行は、環境負荷が極度に高い化石燃料(Extreme Fossil Fuels)-石炭採掘、石炭発電、オイルサンド、北極および超深海の油、液化天然ガス(LNG)輸出等を指す-への継続的な資金提供を通じて気候リスクに対応することができていません。

報告書「気候変動を加速させる銀行業務:化石燃料ファイナンス成績表2017」は、化石燃料産業の中で最も炭素集約度が高く、経済リスクが高く、環境破壊的な事業分野に資金提供し、気候変動を助長している世界の37の銀行を分析しています。その事業分野とは石炭採掘、石炭火力、エクストリーム・オイル(オイルサンド、北極・超深海の油)、液化天然ガス(LNG)輸出などがあります。みずほフィナンシャルグループ(みずほFG)、三菱UJFフィナンシャル・グループ(MUFG)、三井住友フィナンシャルグループ(SMFG)などの邦銀も責任を負うべき金融機関として含まれています。「気候変動を加速させる銀行業務:化石燃料ファイナンス成績表2017」では、これら分野での気候変動リスクに対処する有意義なコミットメントが欠如していることから、日本のメガバンク3行にはFグレード(成績の中で最も低いスコア)をつけています。

日本の三大銀行のうち、みずほFGはパリ協定の後に環境負荷が極めて高い化石燃料への融資を増やした唯一の銀行で、気温上昇を2度未満に抑えるという世界的な目標を無視していることで際立っています。みずほFGは、2016年だけで、世界で最大で最も炭素集約度の高い化石燃料企業に29億ドル(約3230億円)以上を拠出しました。これらの融資の半分は、最も炭素汚染度が高く、二酸化炭素排出量が多いエネルギー源である石炭火力発電に関連していました。みずほFGは、パリ協定と世界的な脱炭素化に向けた動きにもかかわらず、2014年以降、化石燃料の融資を合計60%増加させました。

これらの結果を踏まえ、レインフォレスト・アクション・ネットワーク、350.org Japan、FoE Japan、「環境・持続社会」研究センター(JACSES)は、「みずほフィナンシャルグループに関する2016年ESG評価レポート」を独立レビューとして公表しました。みずほFGは環境負荷が極めて高い化石燃料(Extreme Fossil Fuels)への国際的な関与に加えて、日本の化石燃料および原子力関連企業へのトップ資金提供者であり、また東南アジアの熱帯林伐採を推進する企業に多額の資金を提供しています。2011年から2016年の間に日本の化石燃料関連企業に、三菱UFJフィナンシャル・グループ(MUFG)と三井住友フィナンシャル・グループ(SMFG)をはるかに上回る、380億ドル(約4兆円)以上の融資と引受けを行いました。同じ時期に、東南アジアの熱帯林を脅かす企業に40億ドル(約4456億円)(セグメント調整済)以上の融資と引受けを行い、日本の原子力関連企業には約80億ドル(約8912億円)を拠出しました。

みずほFGは、気候変動、森林破壊、人権問題に対処するための強力な環境、社会、ガバナンス(ESG)方針の策定において他の金融機関に後れを取っており、投資の重大なリスクを株主に適切に開示することができていません。みずほFGは、その社会・環境面の予防措置方針が不適切であるために、世界中で主要なESG論争に巻き込まれています。これらには、先住民族の権利の侵害により国連職員により非難された米国のダコタ・アクセス・パイプライン(Dakota Access Pipeline)事業、児童労働に結びついているインドネシアのパーム油企業インドフード社、健康や生計への被害のためにコミュニティの反対活動に直面しているインドネシアのチレボン石炭火力発電所等があります。セクターに特化したESG方針がなければ、みずほFGは、より多くの企業スキャンダルや、座礁資産になりかねない炭素集約度の高い産業への誤った資金配分、熱帯林破壊や人権侵害への資金提供による企業責任などに巻き込まれるリスクがあり、これらのいずれもが株主の利益に影響を及ぼす可能性があります。

レインフォレスト・アクション・ネットワークの日本代表、川上豊幸は「化石燃料の燃焼と熱帯林減少は気候変動の主要な推進要因であり、みずほFGはこれらに何十億ドルもの資金を提供している。株主としては、その無謀な資金提供のやり方に対しては、みずほFGが説明責任を果たすようにしておく必要がある。」と述べています。

「みずほFGが化石燃料関連企業への融資を増やすことは、パリ協定の世界的目標に反している。みずほFGは、融資および投資方針の一環として気候関連の財務情報を完全に開示し、1.5〜2度の温度目標に沿ったポートフォリオの脱炭素化を約束すべきである。ダコタ・アクセス・パイプラインのようなプロジェクトへの資金提供を続ければ、みずほFGは、人権と気候変動に関する懸念のために国際的なダイベストメント(投資撤退)のターゲットとなるだろう。」と350.org Japan代表の古野真は述べています。

「みずほ銀行はインドネシアなどで、地元のコミュニティの生計手段に負の影響などをもたらしている石炭火力発電事業に資金を提供している。みずほFGは、地元の人々に悪影響を及ぼしているような事業に融資すべきでなく、融資者として責任ある行動をとるべき」と、FoE Japan の深草亜悠美は語っています。

ダウンロード先:

・気候変動を加速させる銀行業務:化石燃料ファイナンス成績表2017レポート(英文):www.ran.org/bankingonclimatechange

・気候変動を加速させる銀行業務:化石燃料ファイナンス成績表2017レポート(和文要約版):

・みずほフィナンシャル・グループに関する2016年ESG評価レポート(英文・和文):www.ran.org/mizuho_riskyinvestment

 

連絡先:

レインフォレスト・アクション・ネットワーク: 03-3341-2022, japan@ran.org

350.org Japan: 090-2183-2113, marie.tanao@350.org

FoE Japan: 03-6909-5983, info@foejapan.org

 

団体紹介

レインフォレスト・アクション・ネットワークは、30年以上、最前線の人々とのパートナーシップと戦略的キャンペーンにより企業の力や構造的不正に挑むことで、森林を保全し、気候を保護し、人権を守っています。詳しくは www.ran.org

350.org Japanは、米国ニューヨークに拠点をおく国際環境NGO 350.orgの日本支部として2015年4月に設立されました。350.org Japanは気候変動防止に向けた化石燃料への投資撤退「ダイベストメント」を広めるために、My Bank My Futureキャンペーンを展開しています。このキャンペーンを通じて、「パリ協定」で定められている気温上昇を1.5-2℃未満に抑えるという目標に整合した投融資方針を策定することを邦銀に市民とともに呼びかけています。350.orgは180を超える国と地域で活動を展開しています。詳しくは:350.org/ja

FoE Japan は、気候変動、原発・エネルギー、森林、生物多様性、開発金融など地球規模での環境問題に日本で取り組む国際環境NGOです。Friends of the Earth International のメンバー団体として、日本で1980年から活動を続けています。詳しくは:http://foejapan.org/

JACSESは、1992年、ブラジルで開催された地球サミットを契機として、市民の立場で独立した研究・政策提言・情報提供を行うNGOの構想が提起され、1993年6月に設立されました。現在、日本政府から途上国に向かう開発援助資金の改善を目指す「持続可能な開発と援助プログラム」と、日本国内の大量生産・消費・廃棄を見直すための政府資金の改善を目指す「持続可能な社会と税制・財政プログラム」が中心となって活動しています。詳しくは:http://jacses.org/

 

ブログ:APP 社は約束を果たすべき時だ(2017/5/24)

森林 シニアキャンペーナー ブリアナラ・モーガン

APP(アジア・パルプ・アンド・ペーパー)社は、インドネシアと中国の両国における最大手の紙パルプメー カーだ。同社は森林破壊や人権侵害をあからさまに行ってきた歴史があるが、2013 年の「森林破壊ゼロ、人権侵害ゼロ、泥炭地開発ゼロ」方針の採択、および天然熱帯林の伐採からの撤退は、インドネシアの森林破壊の防 止に向けた大きな前進だった。しかし現場レベルでは、特に最前線の地域や先住民族のコミュニティにとって十 分な変化は見られていない。

インドネシア、北スマトラ州ルブック・マンダルサ村で、慣習的に所有してきた土地を歩く農民たち。 同村では APP 社との社会的紛争が今も続いている。

APP 社は、森林を破壊し、地域コミュニティの同意なしに土地を利用するという点で、紙パルプ産業における 「最悪中の最悪企業」として長年知られてきた。同社はこれまで、インドネシア国内で管理する土地 260 万ヘク タールのうち 200 万ヘクタール以上(7,700 平方マイル以上)を皆伐している。森林の大部分は、大量の炭素を 貯蔵している泥炭地域にあり、また絶滅の危機に瀕するトラやゾウの生息地であったが、パルプ原料のため、あ るいはパルプ用産業植林地への転換のために皆伐された。皆伐された土地の 100 万ヘクタール以上は、現在ユー カリやアカシアといった単一樹種の植林地と化している。

このような環境破壊と温室効果ガス排出に加えて、 APP 社の負の遺産には社会紛争と地域コミュニティへの被害も含まれる。問題の多くは、APP 社が地域コミュ ニティが所有する土地を特定して伐採や植林開発から除外することを怠ったために生じており、その結果、同社 は数百もの地域コミュニティに対して威圧的な行為を行ったり(時には暴力的な) 紛争を起こしたりしている。

APP 社の木材運搬用重トラックは、紙パルプ用植林地で収穫した木材を運ぶために、定期的に地域コミュニティ の所有地を縦断している。道路を破壊し、もうもうたる砂塵で道路わきの家を覆っている。

主にレインフォレスト・アクション・ネットワーク(RAN)、WWF、FoE、グリーンピースなどの NGO が インドネシアの市民社会ともに、この悪質な企業の問題を明らかにし、同社との取引中止を求める大キャンペー ンを行ったことにより、APP 社による深刻な環境・社会影響は国際社会の注目を浴びることとなった。同社が重要な森林生息地として知られる地域を皆伐したことが発覚後、森林管理協議会(FSC)は 2007 年、同社との関 係を解消した。世界市場もこれを考慮し、ディズニー、マテル、ハーパー・コリンズ、オフィスデポなど数多く の大企業が同社との契約を解除することとなった。解除された契約額は、合計 8 億ドル以上と推定される。

「私たちの土地が解放されるまで、私たちの権利を回復するまで、続けなければなりません。」 イブ・ヌルホトマサリさん(インドネシア、ジャンビ州ルブク・マンダルサ村)

APP 社は、大規模な契約解除への対応のなかで、自らが変わる必要性を認め、2013 年 2 月には自社の業務から森林破壊、人権侵害、および泥炭地での皆伐を止めるという誓約を採択した。これ以降、いくつかの面で進歩はあり、ほとんどの森林減少や、泥炭林への植林地拡大は停止されている。しかし、大きな懸念がある。APP 社 は最近、世界最大規模のパルプ・製紙工場となる OKI 工場を南スマトラ州に完成させたが、この工場のための長期的な原料や木質繊維の供給が足りないのだ。これは APP 社が泥炭地を排水して利用することに引き続き依 存し、パルプ材の生産基盤を拡大する必要があるという、深刻なリスクを意味する。また、それによって新たな 社会紛争やさらなる森林破壊という重大なリスクも発生してくる。

「APP 社が誓約を破っていることは明らかです。」 フランドディ・タルナ・ネガラさん(インドネシア、ジャンビ州ルブク・マンダルサ村)

さらに、APP 社による土地収奪、権利侵害、社会的被害という負の遺産は、依然として大きな問題として残っ ている。現在、数百もの地域コミュニティが、慣習的に所有する森林や農場を、同社が同意なしに使用したり皆伐したことに対して是正を求めているのだ。APP 社の植林地で係争中の社会紛争のなかでも、最も極端な例のひとつは“Beyond Paper Promises”ウェブサイト(英語:訳「紙の約束を越えて」)で紹介しているルブク・マンダルサ村のケースである。事 例として、以下に述べる。

スマトラのジャンビ州のルブック・マンダルサ村は、約 6,000 人のマラユ民族が形成する農業コミュニティで、 自給と現金収入を米や野菜、コーヒーの栽培に依存している。APP 社は 2006 年から同地域で業務を開始し、農 地をブルドーザーで潰し、伐採した木を細い川に投げ入れた。コミュニティは抗議のために立ち上がり、地方政 府に対して苦情申し立てと抗議活動を行った。抗議しても何も変わらず皆伐が続いたため、人々は直接行動を起 こし、掘削機械を破壊した。9人の村人が逮捕され、15ヶ月間刑務所に収容されたが、人々は諦めなかった。APP 社が1期目のユーカリを収穫した後、農民たちは空閑地となったその地に戻り、作物を植えて自分たちの土地を 取り戻した。

インドネシアのルブク・マンダルサ村では、農業はたんなる生計手段ではなく、抵抗手段でもある。

この紛争は 2015 年 2 月 8 日、悲劇的な頂点を迎えた。懸案の土地に出入りして農業を行っていたルブック・ マンダルサ村コミュニティの人々は収穫祭を予定しており、APP 社も収穫祭について事前に通知され、一帯への 出入りを監視していた検問所を人々が自由に通過することに合意した。その日の午後、地元出身の青年活動家インドラ・ペラーニさんは祭りに出席するために検問所を通過しようとしたが、検問所で警備員と言い争いになっ た。インドラ・ペラーニさんが祭りに到着することはなかった。翌日、手足が結ばれ、撲殺された彼の遺体が見 つかった。

殺害された農民活動家、インドラ・ペラーニさん(写真提供:ワルヒ・ジャンビ)

この殺人事件は国内外の報道で広く非難された。殺人事件以降、APP 社は現地の警備会社による業務を停止さ せ、地域コミュニティから概ね手を引いた。警備員は警察に自首し、現在は刑務所で服役している。しかし事件以降もこの地域の根本的な紛争はほとんど変化していない。現在 300 人以上の人々が耕作している土地は、地域 コミュニティが数世代にわたって使ってきたものであるが、法律上、今では APP 社の植林地の一部とされてい るのだ。農民は土地、農作物、建てた家屋を失う恐怖の中で暮らしている。

APP 社は、このような紛争が再び発生しないこと、既存の紛争が解決されること、コミュニティが受けた被害 に対処し、改善されることを確保しなければならない。

英語のブログはこちら(2017/5/24)

関連資料
プレスリリース:紙パルプ調達方針実施に積極的な企業ランキング発表『紙の約束を超えて』」(2018/6/14)