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プレスリリース: 3メガ融資先 インドネシア食品大手「インドフード」のパーム油部門 労働権侵害でRSPO認証停止 (2019/3/6)

〜NGO、大手グローバル銀行と投資家が違法行為・労働酷使に加担していると批判〜

パーム油認証制度の「持続可能なパーム油のための円卓会議」(RSPO)が、パーム油生産企業サリム・イボマス・プラタマ(SIMP)とその子会社ロンドン・スマトラ(ロンサム)の会員資格停止を3月1日に発表したことを受けて(注1)、本日6日、環境NGOレインフォレスト・アクション・ネットワーク(本部:米国サンフランシスコ、日本代表部:東京都渋谷区、以下RAN)は、「メガバンクが制定した方針を実行するための試金石となる」とコメントを発表しました。SIMPはRSPOで4番目に大きい会員企業で、インドネシア最大の食品会社及び世界最大の即席麺企業としても知られるインドフードのパーム油部門です。インドフードは、日本のメガバンクの三井住友フィナンシャルグループ(SMBC)、みずほフィナンシャルグループ(みずほ)、三菱UFJフィナンシャル・グループ(MUFG)から長期にわたって多額の融資を受けています。

今回の資格停止決定に先立ち、RSPOは昨年11月、ロンサムが所有するアブラヤシ農園で確認された20件以上のRSPOの基準違反と10件のインドネシア労働法違反に対処するための是正措置計画の提出を求めていました(注2)。しかし、ロンサム、SIMPそしてインドフードはその勧告に従うことなく、1月にRSPO認証制度から脱退することを一方的に告知(注3)していました。

RAN責任ある金融 シニア・キャンペーナー ハナ・ハイネケンは 「RSPOが基準を実行したことを歓迎します。インドフードとその子会社は、RSPO基準、国際的規準、インドネシアの法律を長期にわたって軽視してきました。今こそ、インドフードと取引を続けている全ての銀行や投資家、企業は、違法行為や労働搾取を助長しないよう、自社方針に従ってインドフードとの取引をただちに停止するべきです」と訴えました。

インドフードの事業は、大手グローバル銀行や投資家からの数十億ドルの資金調達によって支えられています。一方で、多くの銀行と投資家は違法行為への資金提供に関する明確な方針を持っています。インドフードへ多額の融資をしているSMBC、みずほ、MUFGも例外ではありません。他の2行と比べ、SMBCの方針は『人権侵害が行われている可能性の高い融資を禁止』し、『RSPO、或いはそれに準ずる認証機関の認証を受けている(略)パーム油農園開発を支援します』と明確に定めています。今回のインドフードのRSPO認証停止を受けて、融資を続けることは方針違反になりかねません。インドフードへの最大の投資家には、ブラックロックや日本の年金積立金管理運用独立行政法人(GPIF)も含まれます。

ハイネケンは「日本のメガバンクは、インドフードとその子会社にとって主要な金融機関です。 インドフードは2018年9月30日の時点で、3メガバンクから730億円以上の融資を受けています(注4)。3行は2018年5月と6月に社会と環境に配慮した投融資方針を初めて発表し、全ての銀行が違法行為への融資を禁止しています。3メガバンクのインドフードに対する今後の対応は、制定した方針を実行するための試金石となるでしょう」と強調しました(注5)。

【これまでの経緯】

●インドフード子会社のアブラヤシ農園での調査は、RAN、国際労働権フォーラム(ILRF)、インドネシアの労働権擁護団体OPPUKの3団体が2016年10月に行った苦情申し立て(注6)がきっかけとなって実施されました。3団体の調査で、同社が所有・運営する農園で非常に高いノルマが課せられるために児童労働が行われたり、無給労働や不安定雇用、有害物質への曝露など深刻な労働権侵害が明らかになっていました。このような労働者の酷使は、これまで独立監査によっても確認されています。

●ネスレ、ムシムマス、カーギル、日本の製油会社の不二製油、ハーシー、ケロッグ、ゼネラル・ミルズ、ユニリーバ、そしてマースなど、多くのパーム油購入企業は、インドフードとの取引をすでに停止しています。しかし、インドフードの合弁パートナーであるペプシコ、ウィルマー、ヤム・ブランズなど多くの企業は現在もインドフードと合弁関係を継続しており、労働酷使とのつながりが残ったままとなっています。

●インドフードは、インドネシアの大財閥サリムグループ の一社で、商品の開発から生産、販売までをグループ企業内で総合的に行う垂直統合型企業です。パーム油事業は、アブラヤシ農園企業のインドフード・アグリ・リソーシズ(インドアグリ)の下で運営され、SIMPはインドアグリの子会社です。労働権侵害が問題となった農園は、SIMPの子会社のロンドン・スマトラによって運営されています。サリム・グループは、近年で最大級の熱帯林違法皆伐との関与も指摘され(注7)、金融セクターには迅速な対応が求められています。

注1)RSPO, “RSPO Secretariat’s statement on complaints panel decision regarding PT Salim Ivomas Pratama TBK”, 2019年3月1日

注2)RAN、「緊急プレスリリース:パーム油大手インドフード、労働権侵害でRSPOの制裁措置 」、2018年11月5日

注3)インドフードからRSPO宛の手紙

注4)インドフードへ資金提供する金融機関については、同社の財務報告(2018年9月30日、英語)を参照のこと

注5)3メガバンクの方針について
・インドフードへの最大の貸し手であるみずほは、「責任ある投融資等の管理態勢強化について」(2018年6月)で、パーム油と木材に特化し、「人権侵害や環境破壊への加担を避けるため、持続可能なパーム油の国際認証・現地認証や(略)先住民や地域社会とのトラブルの有無等に十分に注意を払い取引判断を行います」としている。
・SMBCは「事業別融資方針の制定およびクレジットポリシーの改定について」(2018年6月)で、パーム油の農園開発向けの融資について「違法伐採や児童労働などの人権侵害が行われている可能性の高い融資を禁止します」と明記している。また、パーム油関連の顧客企業がRSPO、あるいはそれに準ずる認証機関の認証を取得しているかどうかを確認することも方針の中でも明記している。
・MUFGは「MUFG環境・社会ポリシーフレームワーク」(2018年5月)で、「ファイナンスを禁止する事業」として「違法または違法目的の事業」「公序良俗に反する事業」を筆頭にあげています。

注6)3団体による苦情申し立て文書(英語)
苦情申し立ての概要(英語、2016年10月12日付け)

注7)RAN、「プレスリリース:新報告書『サリム・レポート』発表 日本のメガバンク3行、近年最大級の熱帯林違法皆伐とのつながりが判明」、2018年4月13日

レインフォレスト・アクション・ネットーク(RAN)は、米国のサンフランシスコに本部を持つ環境NGOです。1985年の設立以来、環境に配慮した消費行動を通じて、森林保護、先住民族や地域住民の権利擁護、環境保護活動をさまざまな角度から行っています。2005年10月より、日本代表部を設置しています。

OPPUKは、インドネシア北スマトラのパーム油労働者の労働・生活状況に懸念を持つ学生運動と労働者によって2005年に設立されたインドネシアの労働団体です。OPPUKは労働者を組織し教育し、北スマトラとインドネシアの他地域でパーム油労働者の権利のための研究、政策提言、およびキャンペーンを実施しています。

国際労働権利フォーラム(ILRF)は、世界中の労働者のために公正かつ人道的な環境を達成するための人権擁護団体です。ILRFは子どもと強制労働、差別などの労働者の権利侵害を明らかにするために、労働組合とコミュニティベースの労働者の権利擁護団体と連携し、組織を作り団体交渉をしています。

レインフォレスト・アクション・ネットワーク
本件に関するお問い合わせ
広報 関本 Email: yuki.sekimoto@ran.org

お知らせ: 3/15 SDGsセミナー 「動物たちの最後の楽園 ルーセルの熱帯林を守ろう」〜インドネシア、パーム油の農園開発から森を守る取り組み〜

インドネシア・スマトラ島に広がる「ルーセル・エコシステム」と呼ばれる熱帯林は、絶滅危惧種のオランウータンやゾウ、トラ、サイが集う、世界中で唯一残された貴重な場所です。東京都の面積の10倍以上の天然の熱帯林が広がり、気候変動に大きな影響をもつ大量の炭素を貯蔵している泥炭湿地林も含まれます。この素晴らしい手付かずの森は世界的にはあまり知られていませんが、森の中の山岳地帯は世界自然遺産として保護対象となっています。

しかし、この「最後の楽園」ともいえる場所が、今、危機的な状況にあります。森林減少と動物たちの生息地が失われている主な理由の一つが違法なアブラヤシ農園開発です。ルーセルの森の破壊に関係している企業のパーム油は日本企業でも利用されています。

 

今回は、現地の問題に取り組む米環境NGOレインフォレスト・アクション・ネットワーク(RAN)のジェマ・ティラックが来日し、スマトラ島の貴重な熱帯林について現地からの目線で語り、日本の皆さんとこのルーセルの貴重な森をアブラヤシ農園開発による森林破壊からいかに守ることができるかを共に考える機会にしたいと思います。国連サミットで採択された持続可能な開発目標(SDGs)では、2020年までに森林減少ゼロ、絶滅危惧種の保護、森林の大幅な回復を目標に掲げています。

スピーカー:ジェマ・ティラック
(レインフォレスト・アクション・ネットワーク 森林ポリシー・ディレクター)

コメンテーター:黒鳥英俊さん
(日本オランウータン・リサーチセンター代表、ボルネオ保全トラストジャパン理事)

開催概要

日時:3月15日(金曜日) 開場:午後6時 開演:午後6時15分 終了予定:8時半

場所:連合会館  住所:東京都千代田区神田駿河台3-2-11

アクセス:東京メトロ「新御茶ノ水駅」 B3出口すぐ、「淡路町駅」B3出口まで徒歩5分、都営地下鉄新宿線「小川町駅」B3出口まで徒歩3分、JR中央線・総武線「御茶ノ水駅」聖橋口より徒歩5分

参加費:無料(逐次通訳付)

主催:レインフォレスト・アクション・ネットワーク(RAN)
協力:プランテーション・ウォッチ、地球人間環境フォーラム、熱帯林行動ネットワーク

問い合わせ&参加申し込み:

レインフォレスト・アクション・ネットワーク日本代表部
電話:03-6721-0441 メールアドレス:japan@ran.org

こちらのサイトにて参加をお申し込み下さい。
または、主催団体のレインフォレスト・アクション・ネットワークのe-mail(japan@ran.org)かFax(03-6721-0959)にて、セミナー名、お名前、ご所属、連絡先(メール、お電話番号)を明記の上、お申込みください。

「ルーセル・エコシステム」の動画

持続可能な開発目標:SDGs (Sustainable Development Goals)とは?

SDGs:持続可能な開発目標とは、2015年に国連サミットで採択された2030年を目標とした持続可能な開発のための国際合意です。17の大目標と169の個別目標が設定されています。なお森林の課題は2020年を目標としており、10年前倒しでの達成を目指しております。今回のセミナーは、以下の大目標と個別目標に特に関連した内容となっております。

ゴール15:陸上生態系の保護、回復および持続可能な利用の推進、森林の持続可能な管理、砂漠化への対処、土地劣化の阻止および反転、ならびに生物多様性損失の阻止を図る。

・ターゲット15.2: 2020年までに、あらゆる種類の森林の持続可能な経営の実施を促進し、森林減少を阻止し、劣化した森林を回復し、世界全体で持続可能な形での森林拡大と森林再生を増加させる。

・ターゲット15.5: 自然生息地の劣化を抑制し、生物多様性の損失を阻止し、2020年までに絶滅危惧種を保護し、また絶滅を防止するための緊急かつ意味のある対策を講じる。

ゴール6:すべての人々の水と衛生の利用可能性と持続可能な管理を確保する。

・ターゲット6.6: 2020年までに、山地、森林、湿地、河川、帯水層、湖沼などの水に関連する生態系の保護・回復を行う。

ゴール12: 持続可能な消費と生産のパターンを確保する

・ターゲット12.6: 特に大企業や多国籍企業などの企業に対し、持続可能な取り組みを導入し、持続可能性に関する情報を定期的に盛り込むよう奨励する。

ゴール13:気候変動とその影響に立ち向かうため、緊急対策を取る。

ターゲット13.3: 気候変動の緩和、適応、影響軽減及び早期警戒に関する教育、人的能力及び制度機能を改善する。
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プレスリリース:3メガ融資先のパーム油大手インドフード子会社、RSPO認証脱退を通知 (2019/1/28)

〜RSPOはインドフードの会員資格停止を警告〜
NGO、インドフードとの取引関係の停止をペプシコ、ウィルマー、銀行に訴え

サンフランシスコ発 ー インドネシアのパーム油大手インドフードの子会社が、世界最大のパーム油認証制度である「持続可能なパーム油のための円卓会議」(RSPO)から脱退する計画を発表したことを受けて(注1)、25日(現地時間)、環境NGOレインフォレスト・アクション・ネットワーク(本部:米国サンフランシスコ、日本代表部:東京都渋谷区、以下RAN)、インドネシアの労働権擁護団体OPPUKはコメントを発表しました。インドフードはインドネシア最大の食品会社で、世界最大の即席麺企業の一つです。また同社は、日本のメガバンクの三井住友フィナンシャルグループ(SMBC)、みずほフィナンシャルグループ(みずほ)、三菱UFJフィナンシャル・グループ(MUFG)から長期にわたって多額の融資を受けています。

インドフードの農園で肥料袋を補充する女性労働者 ©︎RAN

インドフードは昨年11月、所有・運営するアブラヤシ農園におけるRSPO「原則と基準」での20件以上の違反とインドネシア労働法での10件の違反に対し、RSPOから是正措置計画の提出を求められていました(注2)。しかし期限を過ぎても提出がありませんでした。

OPPUKの専務理事ヘルウィン・ナスシオン氏(Herwin Nasution)は「今こそインドフードの実情を批判すべき時です。同社は、高い基準では知られていないパーム油業界でも、特に悪質な労働習慣を持つ会社です。インドフードが『持続可能』とは程遠い企業であることは、私たちにとっては何年も前から周知の事実でした。今こそRSPOは自らの認定基準と会員規則を適用する時です。インドフードのRSPO認証からの脱退通知は、同社が組織的な労働搾取への対処を拒否していることを示す新たな証拠です」と批判しました。

RSPOによるインドフードのアブラヤシ農園の調査は、RAN、OPPUK、国際労働権フォーラム(ILRF)の3団体が2016年10月に行った苦情申し立て(注3)がきっかけとなって実施されました。RSPOがインドフードの会員資格を停止すると考えられますが、まだ実施には至っていません。RSPOはインドフード子会社の脱退計画の通知を受けて同社に手紙を送り(注4)、1月24日の17時まで(ジャカルタ現地時間)に説明の返答を求めていました。インドフードはインドネシア最大のパーム油企業の一社ですが、RSPOが認証停止を実行した場合、RSPO会員資格を失う最大の企業になります。NGOはインドフードの動きを、労働者の権利を尊重する責任から免れるための企てであると批判していますーー RSPOも、会員企業が認証を脱退することで責任を逃れようとする動きを警告しています(注5)

RAN日本代表の川上豊幸は「インドフードといまも取引を続けている企業にとって、取引停止を考える最終段階に来ていることは間違いありません。ペプシコとウィルマーは、インドフードの子会社であるインドアグリからのパーム油調達を停止しています。両企業はインドアグリとの合弁事業の提携も解消すべきです。そして、日本の3メガバンクはインドフードへの融資を停止すべきです。そうでなければ、違法で非倫理的な行為を平気で行なっている企業との取引を、それと知りながら故意に続けていることになります」と訴えました。

昨年11月のRSPOによるインドフードへの制裁措置に先立ち、ネスレ、ムシムマス、カーギル、日本の製油会社の不二製油、ハーシー、ケロッグ、ゼネラル・ミルズ、ユニリーバ、そしてマースなど多くのパーム油購入企業は、インドフードとの取引をすでに停止しています。しかし、インドフードの合弁パートナーであるペプシコ、ウィルマー、ヤム・ブランズなど多くの企業は現在もインドフードと取引関係を継続しており、労働搾取とのつながりが残ったままとなっています。インドフードへの投資家や貸し手には、ブラックロック、ラボバンク、日本のメガバンクのSMBC、みずほ、MUFGが含まれます。

インドフードは、持続可能性への取り組みをインドネシア政府が導入する「持続可能なパーム油のインドネシア国内規定(ISPO)」に集中させると、RSPOへの告知文で述べています。しかしインドネシアの市民団体は、ISPO認証は持続可能なパーム油の実践を確かなものにするには不十分であると批判してきました。

RAN、ILRF、OPPUKの3団体はインドフードに対して、今も続く労働法違反への対処を引き続き求めていきます。また同社に対して、包括的な「森林破壊禁止、泥炭地開発禁止、搾取禁止方針」(NDPE: No Deforestation, No Peat and No Exploitation)を導入し、自社だけでなく、同社を傘下に持つインドネシア最大の財閥であるサリム・グループ全体、そして独立系の供給業者にも適用するよう求めていきます。

注1)インドフードからRSPO宛の手紙

注2)RANプレスリリース「パーム油大手インドフード、労働権侵害でRSPOの制裁措置」、2018年11月5日

注3)3団体による苦情申し立て文書(英語)、苦情申し立ての概要(英語、2016年10月12日付け)

注4)RSPO, “RSPO CEO’s Response to Letter from PT PP London Sumatra Indonesia Tbk (subsidiary of Salim Ivomas Pratama Tbk)”、 2019年1月24日

注5)RSPO、第15回年次総会 決議「GA15-6d」、2018年11月15日

参考
●インドフード社のESGリスクについての分析はRANブログ「3大メガバンクが直面するパーム油セクターのESGリスク:インドフード社の事例」(2018年6月6日)参照のこと

レインフォレスト・アクション・ネットーク(RAN)は、米国のサンフランシスコに本部を持つ環境NGOです。1985年の設立以来、環境に配慮した消費行動を通じて、森林保護、先住民族や地域住民の権利擁護、環境保護活動をさまざまな角度から行っています。2005年10月より、日本代表部を設置しています。
http://japan.ran.org

OPPUKは、インドネシア北スマトラのパーム油労働者の労働・生活状況に懸念を持つ学生運動と労働者によって2005年に設立されたインドネシアの労働団体です。OPPUKは労働者を組織し教育し、北スマトラとインドネシアの他地域でパーム油労働者の権利のための研究、政策提言、およびキャンペーンを実施しています。

国際労働権利フォーラム(ILRF)は、世界中の労働者のために公正かつ人道的な環境を達成するための人権擁護団体です。ILRFは子どもと強制労働、差別などの労働者の権利侵害を明らかにするために、労働組合とコミュニティベースの労働者の権利擁護団体と連携し、組織を作り団体交渉をしています。

レインフォレスト・アクション・ネットーク(RAN)
本件に関するお問い合わせ
広報 関本 Email: yuki.sekimoto@ran.org

メディア掲載:東洋経済オンラインでRANのインドネシア・パーム油農園での調査が紹介されました(2018/12/11)

東洋経済オンライン「3メガ融資先、パーム油生産大手で人権侵害 インドネシアで実態判明、ESG方針の試金石に」(2018年12月11日)〜RANによる、インドネシアの食品大手インドフードの農園における人権侵害の調査について紹介されました〜

こちらから全文がお読みいただけます。

 

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緊急プレスリリース:パーム油大手インドフード、労働権侵害でRSPOの制裁措置 (2018/11/5)

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メディア掲載:雑誌『日経ESG』でRANのインドネシア・パーム油農園での調査が紹介されました(2018/12/8)

雑誌『日経ESG』1月号「NEWS 持続可能な調達:甘さが露呈した日本企業のリスク管理、人権侵害でRSPOが制裁」(2018年12月8日)〜RANによる、インドネシアの食品大手インドフードの農園における人権侵害の調査について紹介されました〜

この記事は2019年1月28日に日経ESGのウエブサイトにも掲載されました。

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プレスリリース:RANとボルネオオランウータン、東京都とJSCに通報〜新国立など五輪会場の木材、オランウータン生息地に深刻な危害〜(2018/11/30)

レインフォレスト・アクション・ネットワーク(本部:米国サンフランシスコ、日本代表部:東京都新宿区、以下RAN)は、本日30日(米国太平洋時間29日)、ボルネオオランウータンとインドネシア熱帯林に代わって、東京都と日本スポーツ振興センター(JSC)に、東京五輪会場建設での熱帯材合板の使用が絶滅の危機にあるボルネオオランウータンの生息地を含むインドネシアの貴重な熱帯林を破壊しているとして、苦情を通報しました(注1)。本苦情は、30日から東京で行われる国際オリンピック委員会(IOC)理事会に合わせて提出されました。理事会では東京2020大会の準備進捗について話し合われる予定です。

今回の苦情申し立ては、東京五輪の「持続可能性に配慮した木材の調達基準」と「持続可能性に配慮した調達コード」にサプライヤー企業や契約企業が違反したとして、新国立競技場を運営するJSCと、有明アリーナを運営する東京都に通報しました。東京2020組織委員会は持続可能性の観点から、合法的に伐採され、「生態系の保全に配慮」し、先住民族と地域住民の権利や労働者の安全対策に配慮した「中長期的な計画又は方針に基づき管理経営されている森林に由来する」木材の調達をサプライヤー企業に求めています(注2)。この苦情は両機関の通報窓口を通じて提出されたと同時に、RAN本部があるサンフランシスコの日本国総領事館へも、オランウータンの着ぐるみを着たRANスタッフによって提出されました。

【苦情の概要】
通報者:ボルネオオランウータン、インドネシアの熱帯林、レインフォレスト・アクション・ネットワーク
被通報者:住友林業などサプライヤー企業、建設会社、設計会社など契約企業数社
通報先:東京都、日本スポーツ振興センター(JSC)※各機関に1通ずつ
内容:熱帯林とオランウータン生息地の破壊
今年5月11日、インドネシアの大手伐採会社コリンド・グループのバリクパパン工場で製造された合板が有明アリーナの建設現場で見つかり、その合板は住友林業によって輸入されていたことが明らかになった(注3)。同工場が2017年に供給した木材の約4割は、植林やアブラヤシ農園、石炭採掘のための皆伐(「転換材」)に由来している。同工場の調達先には東カリマンタン州のオランウータン生息地で皆伐された熱帯林も含まれた。住友林業は、新国立競技場の建設にもインドネシア産合板を提供し、提供した木材に転換材が含まれたことを認めたため、コリンド材が新国立競技場に利用された可能性は高い。RANは東京五輪の木材サプライチェーンを調査し、コリンド社が新国立競技場及び有明アリーナのインドネシア産合板の全部ではないとしても一部を供給していることを新報告書「守られなかった約束」で明らかにし、それに基づいて通報した。

今回の通報に先立ち、RANはWALHI北マルク(ワルヒ:インドネシア環境フォーラム)、Tukインドネシア(トゥック)とともに、東京2020組織委員会、JSC、東京都に、合計4件の苦情を通報しました(注4)。東京五輪施設建設用に、コリンド社の調達した木材が、同国北マルク州の地域コミュニティの土地所有者たちの土地権を侵害しているため、調達基準を違反していることを指摘しました。この主張は今月12日に発表した報告書「ペリラス:コリンド、土地強奪と銀行」(注5)に基づいています。また、RANはオンライン署名「The Olympics vs. the Orangutan(オリンピックvsオランウータン)」も展開し(英語、注6)、IOCと東京五輪関係機関に、コリンドのような問題ある企業からの木材調達を禁止し、合法で持続可能な木材の使用を求めています。11月12日の実施以来、米国を中心にほぼ2万5千人の賛同が集まっています。

RANのシニア・キャンペーナー ハナ・ハイネケンは「東京五輪のためにコリンド社の木材を使用することは、東京2020大会の『持続可能性に配慮したオリンピックの実現』という約束に違反します。さらに、2020年までに森林破壊を止めるという持続可能な発展目標(SDGs)の実現をも危うくしています。苦情に記載した違反行為は非常に残念なものですが、明らかになったからには、東京五輪関係機関、日本政府、企業が過ちから学び、このような環境破壊が今後繰り返されないための重要な機会とすることが必要です」と訴えました。

東京2020組織委員会は、NGOからの度重なる要請にこたえる形で、大会の会場建設に使用された熱帯材合板の産地などを公開しました(注7)。2018年5月末時点で、マレーシアとインドネシアの熱帯材合板の少なくとも134,400枚(一般的なサイズは91センチ x 182センチ)が、コンクリートを固めるための型枠に使用されています。これには非認証のインドネシア産合板が大量に含まれ、新国立競技場の建設に110,200枚、有明アリーナ(バレーボール競技場)の建設に8,700枚が使われています。

1990年以来、インドネシアでは2,500万ヘクタール以上の熱帯林が失なわれました。日本は数十年間、インドネシア合板の最大の輸入国です。熱帯林の破壊で、インドネシアは温室効果ガスの主要排出国になりました。10月に国連の気候変動に関する政府間パネル(IPCC)の画期的な「1.5度特別報告書」が発表され、12月の気候変動枠組条約締約国会議(COP24)までのこの期間、IOC理事会と東京2020大会主催者が取るべきアクションには重要な意味があります。

東京五輪の木材調達基準は現在改定中です(注8)。東京2020組織委員会の改定案では、森林の農地等への転換に由来する「転換材」の排除を明記し、サプライヤーが伐採地までのトレーサビリティを確保するよう推奨しています。しかしながら、ハイネケンは「コリンド社の木材の使用で明らかになったように、現在の調達基準はあまりにも弱く、容認できません。26日に承認された木材調達基準の改定案でも、インドネシアとマレーシアで森林破壊が加速する要因となっている、日本での熱帯材合板消費におけるデューデリジェンス(相当の注意による適正評価)の欠如には対応できていません。基準を強化するための努力が待たれます」と強調しました。

注1)調達コードに係る通報受付窓口の設置について
注2)「持続可能性に配慮した木材の調達基準」
注3)RANプレスリリース「新報告書『守られなかった約束』発表 〜東京五輪木材供給企業コリンドの熱帯林破壊、 違法伐採、人権侵害が明るみに〜 」
注4)4件の苦情は11月23日と26日に提出。詳細はお問い合わせ下さい。
注5)RAN「ペリラス:土地収奪と銀行」、2018年11月12日
RANは、コリンド社の事業全般における違法行為、環境破壊、コミュニティの権利侵害に関する証拠を明らかにした。
注6)オンライン署名URL
注7)東京2020組織委員会「コンクリート型枠合板の調達状況について」
注8)持続可能な調達ワーキンググループ、第27回 資料(2018年11月26日)

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